エンタプライズ発信〜メールマガジン【№88】 2018. 8
トランポリンが静かなブームになっています。トランポリンってオリンピック競技でもあるのです。2000年に開催されたシドニーオリンピックから体操競技の一環として正式種目になりました。また来年の茨城国体から競技種目にもなりました。トランポリンは、スプリングの弾力により小学生でも簡単に跳躍高を獲得することができ、陸上では不可能な様々な空中動作を可能にします。幼少期の身体の発達は、特に神経系で急速な発達が見られることから、足腰への負担の軽いエクササイズ法としてトランポリンを活用したトランポビクス(trampobics)が多くの施設で子どものみならず利用されつつあります。またトランポリンによって体重の7割から8割が衝撃吸収されるので、腰痛などがあっても苦痛なく取り組むことができ、バランス感の向上、姿勢の矯正、内臓の活性化、脂肪の燃焼効果があると言われています。さらには加齢によって高齢者の筋肉量が減少すると、下半身の筋力低下は歩行機能を著しく阻害することになりQOLを落とすことに直結することから、高齢者でも筋肉、関節などに過度の負荷をかけずに、手軽に、楽しく筋力維持ができるように近年「ミニトランポリン」を用いた運動プログラムが開発されてきていると聞きます。有酸素運動でもあり、血圧や中性脂肪が高い人、膝や関節が悪い人も続けられるトランポリン。膝・関節に不安を覚える人は、跳ぶのでなく、バランスをとりながら歩くのがよいということです。トランポリン人気は日本だけでなく、世界規模で起きているそうです。リズミカルに空中浮遊を楽しんでみませんか。
★☆★━━━━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━━━★☆★
【1】老いない人の健康術 〜免疫と水素〜
【2】エネルギー医学の将来〜点と点からの発展性
【3】“こころ” と “からだ”……臨床にモノ思う
【4】『ひとりあんま気功』 〜自分で押すのが一番効く
【5】根拠に基づく腰痛の原因と治療 《腰痛治療の新常識》
【6】N・E・W・S
Information 1
咬合バランスとヒト直立バランスの因果関係に着目し、上部頭蓋や下顎骨などの動きを歯科とヒト構造を統合し病理および検査・治療法を啓発しつづける日本直立歯科医学研究会の年次学術大会が札幌市で開催される。概要は以下のとおり。
- 日時:9月22日(土)14:00〜18:30 *19:00〜懇親会
23日(日) 9:30〜15:30 - 会場:札幌市教育文化会館 4階講堂
- 主催:日本直立歯科医学研究会
- テーマ:「バランスよくまっすぐに立つ」がキーワード
〜犬歯誘導の弊害とABCコンタクトの意味〜 - お問合せ:http://douken.kenkyuukai.jp/event
Information 2
小社とゆかりの深い元国際腰椎学会会長にして前福島県立医科大学理事長兼学長の菊地臣一先生が、本メールマガジンのコラムニスト・長谷川淳史先生が主宰するTMSジャパンに招かれ講演することになりました。テーマは「EBMが明らかにしたNBMの重要性―腰痛診療を通じて―」で、直接キクチイズムを学びたい方、また世界の頂点を極めた脊椎外科医から薫陶を受けたい方は絶好の機会です。なお、満席に達した場合はその時点で締め切られます。
- 【講 師】 菊地臣一先生(福島県立医科大学常任顧問兼ふくしま国際医療科学センター常勤参与)
- 【日 時】 12月16日(日) 14:00〜16:00を予定(13:30開場)
- 【会 場】 TKP品川カンファレンスセンター4F バンケットルーム4D
東京都港区高輪3‐16‐33 京急第10ビル
(品川駅高輪口より徒歩1分 MAP) - 【受講料】 一般=12,000円 TMSジャパン会員=10,000円
学生・介護職・シングルマザー=10,000円
ペア割(2名様)=20,000円
※早割=各1,000円引き(10月16日締切) - 【最終締切】 12月9日(ただし定員になり次第終了)
- 【詳 細】 TMSジャパン
- 【お申し込み】 「12月の特別講演会」と明記の上、メールフォームからどうぞ。
Information 3
PCRT(心身条件反射療法)研究会では定期研究会のほかに本療法を身近に知ってもらうために短時間セミナー(年数回)を開催している。入門編として、臨床現場ですぐに活用できるハード面調整法とソフト面調整法を実践的に紹介。長年の臨床研究のエッセンスが詰まった内容となっている。
- 開催日時:9月2日(日)10:00~17:00
- 開催場所:つちこカイロプラクティック
東京都新宿区新宿1-16-14 大高ビル 2F
電話 03-3350-9133
Eメール - 講 師:土子 勝成先生
- 参加費用:30,000円
- 申込期限:8月28日(火)電話かEメールにて。
⑮
老いない人の健康術 〜免疫と水素〜
* 安保 徹(元新潟大学名誉教授)
* 太田成男(日本医科大学教授)
姿勢を正すだけでもミトコンドリアは増える(つづき)
[太田] そう考えると、姿勢を保って赤筋を鍛える運動は意外と多いです。バレエや日本舞踊、ジャズダンス、エアロビクスといった踊りはすべてそうですね。もっと言えば、どんなスポーツでも基本姿勢が大切です。
[安保] 日本の武道では姿勢を正すことが基本です。ヨガや太極拳なども姿勢を整え呼吸法を加味していきますね。姿勢を保つためにはこの呼吸が大切で、いろいろな健康運動で呼吸法の技術を取り入れています。酸素が必要なミトコンドリアを増やす条件が揃うわけですね。
[太田] 運動中に姿勢を意識することは大切ですが、やはり日常的に背筋を伸ばした姿勢を心がけることが一番ですね。
[安保] これは簡単な健康法だ。椅子に座ったときも意識して背筋を伸ばす。パソコンとかやっていると前かがみになってしまうから。
[太田] 歩くときも下を向かずにまっすぐ前を見るとかね。僕の場合は社交ダンスで姿勢がよくなりましたが、よく言われるように、上から糸で頭を吊られているイメージを持ちながら背筋を使って踊っています。
[安保] 1日数分の運動と姿勢の保持でミトコンドリアを増やすことができる。これを心がけて、生きがいをもって前向きに生きていく人が増えれば、高齢者の病院通いも減ってくるのではないかなと…。
サウナ後の水浴びはミトコンドリアを増やす
[太田] 高齢者でも元気な人はサウナのあとに水風呂に入っても平気ですよね。
[安保] 私のまわりにもけっこういますね。
[太田] あれも実は、ミトコンドリアを増やす方法なんです。
[安保] 水をかぶることで逆に体がポカポカしてきますよね。寒さを感じることでミトコンドリアが増えるんでしょうか。
[太田] はい。一時的に寒さを感じることで体はエネルギーの必要性を感じてミトコンドリアを増やそうとします。
[安保] 体は生命の危機を感じて本能的にエネルギーを必要とするわけだね。サウナに入ったら体は温まっているから水風呂が気持ちいい。それでさらにミトコンドリアが増えるんだったら楽な健康法ですね。丈夫な人にはお勧めできそうです。ただ、あくまで体を冷やし過ぎないことが大事ですね。
空腹を感じるとミトコンドリアが増える
[太田] 体に危機感を感じさせてミトコンドリアを増やす方法はもう一つあって、それは空腹を感じることです。
[安保] 断食をしたら元気になったとか、粗食や小食が長生きの秘訣とよく言いますね。
[太田] 断食や修行僧の精進料理など、人間は70%のカロリー制限で長寿遺伝子が働くと言われています。1日1400キロカロリーですね。ちなみに鰻重1杯が約1000キロカロリーです。
[安保] 1日鰻重1杯に玄米ご飯2杯程度ですね。
[太田] 僕なんかは「長生きできなくてもいいかな」と思ってしまいますね。(笑い)=つづく
連載vol.46
エネルギー医学の将来 〜点と点からの発展性
<小社編集部編>
共 感 覚
知覚運動のしくみに関連して「共感覚」という現象に触れてみたい。共感覚とは、ある刺激(例えば音)が1つまたはそれ以上の異なる感覚(例えば味、色、においなど)をもたらす現象のことを言う。共感覚を持つ人は非常にまれで、10万人に1人と言われている。彼らにとってはほかの人たちが違う感じ方をしていることの方が不思議で、特別な感覚を与えられたことを1つの「天分」と思っている人が多い。
例えばある人は、ピアノの音を聞くと誰もが知っているピアノの音とともにいろいろな形が感じられるという。それらの形は音と別に感じられるのではなく、音の一部として感じられるのだそうだ。「楽器のビブラフォンの音は円形で、調べが聞こえるたびに金色の小さな玉が転がるような感じがする。それが私にとっての音なのだ。それ以外に表現のしようがない」。
共感覚という現象は、1993年に出版されたリチャード・シトウィックの名著『Man Who Tasted Sharps』(形を味わう人)に詳しく記述されている。この本の内容は、メディカルライターとして有名なオリバー・サックスの1998年の著書『Man Who Mistook His Wife for a Hat』(妻と帽子を取り違えた男)にも引用されている。シトウィックが著書のテーマにした研究は、神経科医である彼が食物の様々な味とともに球や円柱や点などの形を手に感じるという男性に出会ったことから始まる。共感覚が起きるときには、何種類もの感覚が組み合わさって1つになる。この現象をPETスキャンで調べたシトウィックは、「共感覚者」に共感覚が起きているとき、知覚領野が機能していないことを発見した。
共感覚は、以前見たものを視覚的に記憶している直感像記憶や、極度の記憶力をもつ記憶増進と関連があるらしい。そのことはルーリャーの著者『The Mind of a Mnemonist:A Little Book About a Vast Memory』(記憶男の心:膨大な記憶についての話)に記されている。ルーリャーは特別に鮮明な共感覚とともに文字どおり無限の記憶力をもった男性の生涯を記録した。この男性は、見たものや聞いたものを強い味覚や音として感じると同時に、鮮やかな画像として記憶していたという。(つづく)(出典『エネルギー療法と潜在能力』)
連載エッセイ 56☆
“こころ” と “からだ” …… 臨床にモノ思う。
・保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)
エピソード記憶調整法に関連する心理的要因
1か月半ほど前に病院で注射を受けて以来、肘や肩の周辺が痛くなったという患者さん。注射を受ける際、1回で済まずに何度もやり直されたらしい。症状の程度は10段階(NRS)で7レベル。肩や肘周辺の目安検査では筋肉関節系の陽性反応が示されていたので、アクティベータ療法にて調整。筋骨格系の症状の程度は4レベルまで軽減。
その後、患者さんから、「記憶ですかね?」という指摘。この患者さんは別の症状が、PCRTの「エピソード記憶」で改善した経験があるので、そう感じたのだろう。
今回の検査でも「エピソード記憶」の調整法が必要とされたのでその調整を行う。注射の際に痛みを感じている自分の姿を想像してもらうとすぐにイメージができた様子で、検査では陽性反応が示された。次に、注射の際に痛みを感じていない理想の想像ができるかを尋ねたところ、少し考えられた後……「サイボーグ人間になります(笑)」と言って想像され、検査では陰性反応が示された。
エピソード記憶の調整後、症状は1レベルまで軽減
以前、エピソード記憶の調整法を経験した患者さんだったので調整もスムーズにいった。しかしながら、稀に理想の想像が「できない」という患者さんもいる。その理由も人それぞれで、「今が痛いから想像できない」、「良くなった経験がないから想像できない」など、想像できない人は、それなりの理由がある。
例えば、鳥のように空を飛ぶことは、現実にできる人はいないが、想像することはできる。しかし、そのようなファンタジーな想像でさえもできないという人がいる。また、ネガティブな空想はしやすいが、ポジティブな空想はしにくい人、人の幸せは想像しやすいが、自分の幸せは想像しにくい人などさまざまな特徴がある。
もしも、今回の患者さんのように、SFやファンタジーの映像作品を見た経験があれば、その映像に自分を置き換えるだけで、現実にありえないことも簡単に想像できるだろう。本来、人間の脳はそのような想像力や空想力は備えられているはずである。
◆連載7◆
『ひとりあんま気功』〜自分で押すのが一番効く
孫 維良(東京中医学研究所所長)
頚椎症は中高年の男女、とりわけ男性に多い疾病です。単に首が痛いだけでなく、肩や上肢にも痛みがあり、指や上肢が痺れたり知覚が鈍化することがあり、かなり広範囲に症状が及びます。しかも悪化すると手指の運動障害や知覚障害を引き起こすことになるので注意が必要です。
頚椎症の初期症状を改善するには、気の流れをスムーズにし、血液の循環を良くし、筋肉の緊張を緩和するあんま気功法が最適です。実践法を記してみます。
①まず楽な姿勢で椅子に腰かけ、腹式呼吸を繰り返しながら、両手の平をこすり合わせましょう。手が温かくなったら首の後ろ、髪の生え際にある風池(ふうち)というツボに、両手の中指の指先を当て、最初は軽く、徐々に強く力を入れて押します。30秒をめどに押し、ツボの周囲に独特のだるい感覚が生じてくるまで続けます。そんな感覚になったら風池から手を離し、同じ中指を使って頚椎の両側の筋肉を上から下へと押しもみます。そうしながらもっと痛いところを探し、その痛みの中心点を重点的に押しもみ、コリと痛みがやわらぐまで続けます。
②体の後ろ側の中心線に風府(ふうふ)と大椎と呼ばれるツボがあります。風府は頚椎のすぐ上にあり、大椎は第7頚椎と第1胸椎の中間、首を曲げたときに首の付け根に突き出る骨の下のくぼみにあります。この首の上の端と下の端にある2つのツボを結ぶ縦の線を、上から下へ数回押してください。
③腋の下にある極泉(きょくせん)というツボを、反対側の手の親指で押します。30秒ほど押して、ツボのあたりにだるい感覚を感じたらゆっくり手を引きます。
この①〜③を行えば十分です。しかし上肢にも痛みや痺れ感が広がっている人は次の④の方法も試してみましょう。
④中指の指先で肩井(けんせい)、肩貞(けんてい)、曲池(きょくち)、手三里(てさんり)、合谷(ごうこく)という5つのツボを順に押していきます。肩井は乳首からまっすぐ上に線を引き、この線が肩と交わった位置にあり、肩貞は肩の後ろ側、後腋窩線(こうえきかせん)のくぼみにあります。曲池は肘を曲げたときにできる横ジワの端にあり、手三里は肘の曲がりめから指の横幅3本分ほど下、合谷は親指と人差し指の付け根のやや人差し指側にあります。いずれも首や肩の痛み、腕の痛み、腕の痺れなどに効果のあるツボです。
それぞれ30秒をめどに押し、痛みがやわらぐまで続けてください。ツボを押し終わったら、最後に手の平でツボの周囲を軽くつまみましょう。
根拠に基づく腰痛の原因と治療 – 腰痛治療の新常識(63)
長谷川淳史(TMSジャパン代表)
***** ***** ***** ***** ***** ***** ***** *****
腰痛に関する正確な情報には想像を絶するほどの治癒力があります。どうか情報の拡散にお力をお貸しください。
■腰痛分野における遺伝学的影響の研究はまだ初期段階だが、椎間板変性に関する従来の仮説が誤りであることを証明すれば、より有用な仮説に向かって研究が進み、時代遅れの考え方に基づく効果が実証されていない予防法を刷新できる。http://1.usa.gov/jbLioe
……これまで散々言われてきた腰痛の予防法は誤りです。明確な根拠のある事実に目を向けましょう。
■ノースカロライナ州の地域住民を対象とした研究では、慢性腰痛患者が増加していると共に医療機関の受診率も上昇しているが、画像検査、薬剤投与、物理療法が過剰使用されていて、エビデンスに基づく治療が行なわれていないことが判明。http://1.usa.gov/imqCav
……エビデンス(科学的根拠)に基づく治療が行なわれれば慢性化を防ぐことができるだけでなく、医療費の節約になるというデータが掃いて捨てるほどあります。いつまでも時代遅れの考え方に捉われていないで、そろそろ21世紀の医療を導入しましょうよ。それとも慢性腰痛患者を増やしてお金儲けに走りますか?
■頚部痛と腰痛患者256例を対象に、医師の標準的な治療群、脊椎マニピュレーション群、理学療法群、シャムトリートメント群に割り付けたRCT(ランダム化比較試験)によると、最も成績が悪かったのは医師の標準的な治療群とシャムトリートメント群だった。http://1.usa.gov/kfFvV6
……時代遅れの科学的根拠のない治療法はプラシーボと同等の効果しか得られなかったというランダム化比較試験です。プラシーボを超えられない治療法はそろそろやめにしませんか? 無理強いはしませんけど医療費
を有効活用しなければ健康保険制度が崩壊します。
■急性腰痛患者186例を対象としたRCT(ランダム化比較試験)によると、安静臥床群、ストレッチ群、日常生活群のうち、最も早く回復したのは日常生活群で、最も回復が遅かったのは安静臥床群だった。腰痛に安静第一は間違い。むしろ回復を妨げる。http://1.usa.gov/mOolz9
……急性腰痛(ぎっくり腰)は安静に寝ていると回復が遅れます。どうかお願いです。サイトに「腰痛には安静が第一」と記載している方は直ちに訂正してください。患者さんを慢性化させてしまいます。
■エビデンスに基づく正確な情報を平易かつ理解可能な言葉で患者に提供できれば、腰痛患者は不適切な治療を選択しなくなるだろうが、3つの専門学会と10ヶ所の医療機関のウェブサイトを調査した結果、97%が患者にとって難解だった。http://1.usa.gov/kuWavp
……耳がちぎれるほど痛い話です。ヘルスリテラシーを身につけてほしいと声高に叫んでみても、サイエンスコミュニケーションができなければ意味がありません。自分の能力不足を猛省しているところです。
■近年、慢性腰痛に対する医療費が激増している。硬膜外ブロック(629%増)、オピオイド鎮痛剤(423%増)、MRI(307%増)、脊椎固定術(220%増)。しかし患者の症状や活動障害は改善していない。明らかに過剰診療。http://1.usa.gov/lrANBd
……このまま費用対効果の低い治療を続ける意味はどこにあるのでしょう。今こそ安全で費用対効果の高い治療法を選ぶべきではないでしょうか。無駄なことをしている余裕などないと思いません?
N E W S
東京医科大学の入試で女子受験生が一律に減点されていた問題で、その措置に「ある程度理解できる」とした医師が6割に上ったことが8日、医師向け人材マッチングサービス大手が約100人の医師に行った緊急調査で分かった。「周りに負担をかけているため仕方ない」という諦めの声が多く寄せられ、同社は「妊娠・育児を経る医師が働き続けることのできない医療現場に課題がある」と分析している。
一律減点に対し、「理解できる」が18.4%、「ある程度理解できる」が46.6%だった。その理由について、「女子の離職率や勤務制限があるのは事実であり、男性や未婚女性への負担が大きくなっているから」(放射線科医)、「妊娠・出産での欠員を埋めるバックアップシステムが不十分であることも事実」(小児科医)などの声が寄せられた。
医師になってから受けた不当な差別については、「外科系の医局は女子というだけであまり熱心に勧誘されることがなく、悔しい思いをした」、「『女のお前には何も教えてやる気にならない』と言われた」などの意見もあった。(8/8 産経新
聞)
サッカーのヘディングをした際に、女子の脳は男子より傷つきやすい――。こんな研究結果を米国の研究チームが、北米放射線学会の学会誌に発表した。ヘディングを教える際には、男女で違うガイドラインを作る必要があるかもしれないと指摘している。
研究は2013年〜16年にかけて、18〜50歳の男女のアマチュア選手49人ずつを比較。男子は1年間に487回、女子は469回(ともに中央値)ヘディングをしていた。体の中の様子を見るMRIの一種「DTI」という手法で脳を調べたところ、女子選手は、大脳の白質と呼ばれる部分の損傷量が平均で男子選手の5倍になっていた。白質の損傷は、記憶や認知の障害を起こす可能性がある。アメリカンフットボールなどで話題になったほか、サッカーでも繰り返し頭部に衝撃が加わるリスクを指摘する報告がある。
研究チームは、男女差の理由は今のところ特定できていないとした上で、首の筋肉の付き方や骨格の違い、遺伝子、ホルモンなどが影響している可能性を指摘。「ヘディングの回数制限は傷を防ぐのに有効かもしれないが、現時点で何回までなら良いかを勧めることはできない」としている。(8/7 朝日新聞)
日本たばこ産業(JT)が7月30日に発表した2018年の「全国たばこ喫煙者率調査」によると、成人男女に占めるたばこを吸う人の割合「喫煙者率」は前年比0.3ポイント減の17.9%で、3年連続で過去最低を更新した。健康志向の高まりや禁煙スペースの拡大が理由とみられる。調査は例年5月に実施している。今年は全国の成人男女3万2000人を対象に郵送で行い、1万9442人が回答した。
男女別では、男性が0.4ポイント減の27.8%、女性は0.3ポイント減の8.7%だった。全国の喫煙人口は、前年比37万人減の1880万人と推計した。(7/31 読売新聞)
京都大学の研究チームが8月1日から開始するiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使ったパーキンソン病患者に対する臨床試験(治験)は、これまで国の了承を受けた、同じくiPS細胞を使った目の難病や心臓病患者に対する臨床研究に比べ、より実用化に近いことが大きなポイントだ。
治験は臨床研究の一つだが、国から医薬品や再生医療製品としての承認を受けることを目的に、医薬品医療機器法(薬機法)で規定された厳しい基準で実施される。京大のチームは治験の審査を担当する国の機関と事前相談を重ねるなどしており、治験で有効なデータが得られれば、通常より短い審査期間で承認を受け、一般医療として保険適用が認められる可能性もある。
一方、理化学研究所などの目の難病や、大阪大学の心臓病患者への臨床研究は、いずれも治療の実施に向けた研究段階のものだ。再生医療安全性確保法に基づき了承された。iPS細胞から作った目の網膜の一部や心筋細胞を再生医療製品として承認してもらうには、改めて薬機法に基づく治験を行う必要がある。
京都大学iPS細胞研究所の高橋 淳教授らのグループは、サルを使った実験などで、効果や安全性の研究を進めてきていて、治験の計画が国から承認された。iPS細胞研究所が保管している他人のiPS細胞を、ドーパミンを出す神経細胞に変化させ、患者の脳に注射して移植するという。iPS細胞を使ったパーキンソン病の治療は、世界で初めて。(7/30 毎日新聞)
気管の長さと太さを決める仕組みを解明したと、理化学研究所と神戸大学大学院の共同研究チームが7月26日、発表した。論文は英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。理研の森本充チームリーダーは「気管系疾患の病態解明や、管状の再生臓器を作る医療技術への応用が期待できる」と話している。
研究チームは、気管が短いマウスは細胞の向きを調節する遺伝子が平滑筋の細胞にないことを発見。正常なマウスの細胞はそろって円周状に並び、細胞同士が結び付いて気管が伸びるが、遺伝子がないと細胞がバラバラに配置され、成長が止まっていた。食道でも同じ状態が見られた。
一方、気管をリング状に取り巻く気管軟骨の形成に必要な遺伝子を破壊したマウスを作製したところ、気管が正常な太さの約6割までしか成長しなかった。マウスの気管が成長する過程をコンピューター断層撮影(CT)で観察すると、前半に長さが伸び、後半に直径が拡大することも初めて分かった。(7/26 時事通信)
普段の生活の中で、座って過ごす時間が1日当たり6時間以上の人では、3時間未満の人と比べて早期死亡リスクが19%高いことを示した研究結果が「American Journal of Epidemiology」オンライン版に発表された。米国がん協会の今回の研究では、このような死亡リスクの上昇をもたらす14の疾患も明らかになった。
近年、座って過ごす時間が長いと死亡リスクが高まるとする報告が相次いでいる。しかし死因別では、がんや心血管疾患以外の死因を幅広く検討した研究はほとんど行われていなかった。そこで、同協会のPatel氏らは今回、がん予防研究-Ⅱ(Cancer Prevention Study-II)栄養コホートのデータを用いて、余暇を座って過ごす時間の長さと全死亡リスク、さらにさまざまな死因別の死亡リスクとの関連について検討した。対象は、同コホートの参加者のうち研究登録時に主要な慢性疾患がなかった男女12万7554人。このうち4万8784人が21年間(中央値20.3年)の追跡期間中に死亡した。
年齢や性、学歴、喫煙の有無、食生活、運動習慣などを考慮して解析した結果、余暇を座って過ごす時間が1日に6時間以上の人では、3時間未満の人と比べて全死亡リスクが19%高いことが分かった。また死因別では、がん、心疾患、脳卒中、糖尿病、腎疾患、自殺、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺疾患、肝疾患、消化性潰瘍などの消化器疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病、神経障害、筋骨格系障害の14の死因による死亡リスクが上昇することが明らかになった。さらに、死亡リスクの上昇の程度は死因によってばらつきがみられ、がんでは約10%の上昇だったが、筋骨格系障害では約60%の上昇が認められた。
以上の結果を踏まえ、Patel氏は「この研究結果のメッセージは“もっと動くべき”という、いたってシンプルなものだ。座位時間は短いほど身体に良い。1時間座って過ごしたら2分間立つだけでも脂質や血糖、血圧の値は改善する」と話している。(7/25
HealthDayNews)
慢性的な膝の痛みに苦しむ変形性膝関節症(膝OA)の患者数は、世界中で2億5000万人以上に上ると推定されている。高齢者や肥満傾向の人は膝OAになりやすいとされるが、新たな研究で、過体重や肥満の膝OA患者は体重が減少するほど膝の痛みが軽減し、健康関連のQOL(生活の質)も向上することが明らかになった。「Arthritis Care & Research」オンライン版に掲載された。
米ウェイクフォレスト大学健康運動科学部門のStephen Messier氏らの研究グループは既に、肥満を伴う膝OA患者を対象に、食事療法と運動療法の有効性を検証するランダム化比較試験であるIDEA(Intensive Diet and Exercise for Arthritis)試験を実施。その結果、18カ月にわたって10%以上減量すると膝の痛みが50%程度軽減し、関節の可動域も大きく改善したと報告している。同氏らは今回、IDEA試験のデータを用いて、膝の痛みを伴う過体重または肥満の膝OA患者240人を対象に、減量の程度が痛みの軽減や健康関連QOLの改善に及ぼす影響を調べた。
対象患者を体重減少率で4つの群(5%未満、5%以上10%未満、10%以上20%未満、20%以上)に分けて解析したところ、体重が減少するほど痛みが軽減するだけでなく、関節機能が向上し、6分間歩行距離や身体機能も有意に改善することが分かった。20%以上の減量に成功した患者では、10%以上20%未満だった患者と比べても痛みが25%軽減し、身体機能も向上し続けたという。(7/17 HealthDayNews)
総務省情報通信政策研究所は、AIのネットワーク化に関する報告書を公表した。有識者会議が取りまとめたもので、医療診断などで想定される便益や課題を提示。AIの誤診で患者の症状が悪化した場合、ブラックボックス化されていて判断の経緯などを説明できないと、患者やその家族らの理解が得られない恐れがあることを挙げている。
この報告書は、AIネットワーク社会推進会議(議長=須藤修・東大大学院情報学環教授)が取りまとめたもので、さまざまな分野でAIが活用されることを想定し、AIのネットワーク化が社会・経済にもたらす影響の評価を行った上で課題を整理した。
医療診断については、AIによる画像診断で病気の早期発見や見落としの改善につながるほか、医師の負担が軽減されることを指摘。遠隔診断で専門医のいない地域でも適切な診断を受けられるようになり、「医師不足・偏在などの問題の解決に貢献できるようになる」と予測している。
その一方で、想定される課題も挙げている。AIの誤診によって適切な治療が行われず、患者の症状が悪化した場合、「なぜ誤診したのか、AIがどのような判断をしたのか説明できないと、患者や家族などの理解が得られない恐れがある」としている。
また、AIがハッキングの被害に遭い、患者の医療データが流出するケースも想定。ネットワークを介して他のAIシステムとデータが共有されたり、さまざまなデータが統合されたりすることで個人が特定され、重大なプライバシーの侵害につながる恐れがあるとしている。(7/20 CBnews)
総務省情報通信政策研究所は、AIのネットワーク化に関する報告書を公表した。有識者会議が取りまとめたもので、医療診断などで想定される便益や課題を提示。AIの誤診で患者の症状が悪化した場合、ブラックボックス化されていて判断の経緯などを説明できないと、患者やその家族らの理解が得られない恐れがあることを挙げている。
この報告書は、AIネットワーク社会推進会議(議長=須藤修・東大大学院情報学環教授)が取りまとめたもので、さまざまな分野でAIが活用されることを想定し、AIのネットワーク化が社会・経済にもたらす影響の評価を行った上で課題を整理した。
医療診断については、AIによる画像診断で病気の早期発見や見落としの改善につながるほか、医師の負担が軽減されることを指摘。遠隔診断で専門医のいない地域でも適切な診断を受けられるようになり、「医師不足・偏在などの問題の解決に貢献できるようになる」と予測している。
その一方で、想定される課題も挙げている。AIの誤診によって適切な治療が行われず、患者の症状が悪化した場合、「なぜ誤診したのか、AIがどのような判断をしたのか説明できないと、患者や家族などの理解が得られない恐れがある」としている。
また、AIがハッキングの被害に遭い、患者の医療データが流出するケースも想定。ネットワークを介して他のAIシステムとデータが共有されたり、さまざまなデータが統合されたりすることで個人が特定され、重大なプライバシーの侵害につながる恐れがあるとしている。(7/20 CBnews)
次号のメールマガジンは9月10日ごろの発行です。(編集人:北島憲二)
[発行]産学社エンタプライズ