エンタプライズ発信〜メールマガジン【№120】 2021. 4

外出時のマスク着用は必須・不可欠の世相になりました。ヒトが生きるうえで最も重要な呼吸の出入り口をウイルス対策とはいえ塞ぐのですから問題はありそうです。ここでは口腔内の衛生についてピンポイント。鼻と口を塞ぐ以上、やはり多少の息苦しさから「口呼吸」になってしまいます。実感的にマスク内は乾燥している気がしませんが、呼吸時に水蒸気が発生し、蒸発するときに水分も一緒に奪われてしまい乾燥します。口腔内が乾燥した状態が続くといわばドライマウス状態で、唾液がうまくまわらずに、口腔内の自浄作用、抗菌作用、粘膜の保護作用といった機能が弱くなってしまいます。そのため、マスクをして過ごしていると歯周病や睡眠時無呼吸症候群、誤嚥性肺炎、口腔機能低下症、慢性扁桃炎などの疾患を悪化させる原因にもなります。これから暑さが増すとより口呼吸になりやすいと指摘されていますので、水分をこまめに摂ることと、人との距離を取った上で適宜マスクを外して鼻で呼吸をすることを意識する、また食後の歯磨きを忘れないでと歯科医師はアドバイスしています。ここからは口腔衛生余話です。読者諸兄は朝起きがけの歯磨きをしますか? 口腔内のバクテリアは寝ている間に爆発的に増えるので、朝起きたときが最も口内環境が悪いそうです。衛生的に望ましいのは1日4回、朝に2回(朝食後は軽く)〜ランチタイム後〜夕食後に歯を磨くことを推奨しています。編集子は幼少期から成人までは起きがけ1回のみ、その後はずっと毎食後がいいと思って3回でした。明日からは起きがけも磨くことを決心しました。なお、マウスウオッシュをよく使う方もおられるでしょうが、それは口の中をすっきりとさせても歯磨きの代わりにはなりませんのでご注意ください。

★☆★━━━━━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━━━★☆★

【1】 エネルギー医学の将来〜点と点からの発展性
【2】 “こころ” と “からだ”……臨床にモノ思う
【3】 からだの外から内を知る〜現代社会の身近な健康科学〜
【4】 円熟したプロフェッショナルになるための
バウンダリー・マネジメント・スキル
【5】 N・E・W・S


連載vol.78

エネルギー医学の将来 〜点と点からの発展性

<小社編集部編>

なぜほかの伝達系が必要か(つづき)

〔調節に関する固相生物学的アプローチ〕
(前号より続く) これをマクロ的に捉えると、生体コミュニケーションの仕組みや生体全体がほとんどエラーを起こさずに協力して機能を果たすメカニズムが現実味を帯びて感じられるではないだろうか。
例えば情報の一部を受け取った端末がほかのすべての端末にその情報を送るとき最も簡単なのは、ネットワークを自らのメッセージで満たすことである。つまり1つの端末が隣接するすべての端末にメッセージを送り、それを受け取った隣の端末がまた隣接するすべての端末に同じメッセージを送るのだ。そのような通信方法のプロトコルでは、メッセージに順位をつけておく必要がある。つまり1つのメッセージをできるだけ速くシステム全体に伝えなければならないときは、同時に送られてきた別のメッセージを無視するか、あとで処理・送信できるように保存しておくのである。

またフィードバックの仕組みも必要だ。ほかの端末にメッセージを伝えた端末は、そのメッセージが伝わったことを知る必要がある。アドルフ(Adolph)によると「フィードバックは統合の重要な要素である。(中略)作動中には常に情報が発生しているからだ」という。システムを伝わるメッセージには2つの流れがあり、1つはメッセージの発信元の端末からネットワークへ、もう1つは受信先のネットワークから端末へと向かう。

前号に記した接続性のテストは、端末がどの端末と接続しているかを確認するためのプロトコルによって行われる。また最短ルートの検索は、メッセージの通り道になる端末の数を最小にするためのプロトコルである。ルーティングの更新を行うプロトコルは、不必要なループにメッセージを送って作業が遅れることのないように、作業のたびに効率的なルートへの変更を可能にする。
健康な状態を逸した生体と特に関係が深いのは、リンクや端末のエラーを検出してカバーする「トポロジー的変化対応プロトコル」だろう。このプロトコルは、トポロジーの変化をネットワークに伝え、システムの変数を順にリセットする。例えば最短ルートの検索は一定時間ごとに実行されるが、これによってリンクや端末が更新されるたびにトポロジーが変化するので、新しいトポロジーに対応するためのプロトコルが実行される。

このようにコンピュータの分散システムと生体コミュニケーションシステムとを対応させてみると、類似点と相違点がはっきりするだろう。先に述べたようにコンピュータシステムではリンクプロトコルによってメッセージの発信元と受信時刻を追跡できるようになっている。これは2点を結ぶ情報のルートが何通りも存在すると同時に、伝達速度もルートによって異なるためである。生体では、さまざまな種類のシグナルや伝達速度、およびルートが存在するので、オペレーティングシステムによってメッセージの着信順を判定しなければならない。(次号へつづく)
(出典『エネルギー療法と潜在能力』 小社刊2005 )


連載エッセイ 876☆

“こころ” と “からだ” …… 臨床にモノ思う。

・保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


身体を害する“ストレス”の正体

“ストレス”が身体を害するというのは多くの人たちが知っています。胃の不快感や胃痛などで病院を受診すると、通常は対症療法的に薬を処方されます。「胃痛の原因は胃粘膜の炎症、あるいは潰瘍から生じているようです」ということで胃酸を抑える薬を処方されるかもしれません。ここで「なるほど」と思う人と、「胃の炎症や潰瘍の原因は何ですか?」と質問する人に大きく分かれます。
多くの人は身体に不調があると「内臓から生じているのではないか?」と考える傾向があります。たしかに内臓の問題が体表の症状として現れることがあります。しかし、その内臓が傷つく原因は何でしょうか? おそらく多くの人がご存知のようにストレスです。がん、血管障害、心疾患、糖尿病などの慢性疾患の多くはストレスが関係していると言われており、怪我や事故などと異なって、自覚がないまま徐々に病気が進行していくのが特徴です。

病院の検査で構造的な異常、数値的な異常が発見された場合、構造的な異常を修復するか、あるいは、数値的な改善を図るため薬が処方されます。多くの人が早期に発見され、このような身体の構造や機能を調整することで症状が改善方向に向かい安心します。しかしながら、慢性症状の元の原因となるストレスが影響しないように本質的な予防のための対策・対応までは考えが及びませんし、そのようなストレスの治療があるということすら知らない人がほとんどです。

筆者はストレスと身体の機能異常の関係性ついて、臨床現場で長年研究してきました。そこで分かった身体を害するストレスの正体は何かということです。特徴としては以下の内容が含まれます。
1. 身体の機能(働き)に誤作動を生じさせる、目には見えない信号
2. 意識している明らかな内容ではなく、無意識的で曖昧な内容
3. 意識と無意識が葛藤するような内容

つまり、身体を害するストレスとは自覚しがたい内容であり、当院で言っているような“身体に聴く検査”でないと分からないということです。
上記のような慢性病になっていなくても、身体が発する症状は、何らかの身体の訴えであり、慢性症状へ向かうシグナルかもしれません。“身体に聴いて”検査することで、“ストレス”の正体を知り、慢性病の予防につなげていくことが肝心です。

連載 第9回

からだの外から内を知る 〜現代社会の身近な健康科学〜

安達 和俊 (醫王堂カイロプラクティック院長・DC)

1)ストレスと自律神経系・内分泌系の諸疾患

ストレス反応とは人間のみならず他の動物にも備わった生体防御反応の一種です。つまり危機の到来に対し、自らを防御するためのからだの反応であることはご承知のことと思います。
脳が危険を察知すれば副腎髄質に指令が送られ、アドレナリンやノルアドレナリンが分泌され、血圧が上昇し、脳、とくに前頭葉や筋肉の血流が盛んになり、危険に対処できるようになります。ですから生きていくため、ある程度のストレス反応はやむを得ないことであり、ストレス障害はいわばそのための代償です。
ただそれも過度に陥り、失調さらには疾病にまで至るとそれは問題です。自律神経の中枢である視床下部にストレスがかかると、自律神経の中の交感神経が興奮し、血管が細く狭くなって血圧が上がり、脈拍も速くなります。自律神経はわれわれの意思に関係なくからだの内臓を動かし続けてくれる存在です。交感神経と副交感神経があり、両者は拮抗的に働くこともご存じのとおりです。

ストレスは強く絶え間なく繰り返されると、人は重大な病に冒されます。情動が原因でからだが疾病に陥ることを心身症と呼びます。とりわけ消化器系・呼吸器・循環器系の心身症がよく見られます。またストレスは単に視床下部を刺激するばかりでなく、解剖的にその下部に位置するホルモン系の中枢である下垂体も刺激し、ひいては全身のホルモン系に影響を与えます。
ここでは現代社会におけるストレス病の中でも、消化器系の疾患、呼吸器・循環器系の疾患、内分泌系の疾患について取り上げてみることにします。

a) 消化器系の疾患
ハンス・セリエ博士は、胃腸はとくにストレスに敏感で、食欲の減衰は重要な初期徴候の一つであると述べています。交感神経、なかんずく大内臓神経の緊張が高ずれば、胃の噴門がきりきり痛む神経性胃痛になったり、胃の平滑筋が働かない上に胃液が分泌されないために胃もたれ(胃アトニー)になったり、さらに高ずれば交感神経が疲れ果てて働かなくなり、代わりに副交感神経、この場合迷走神経だけが緊張して、逆に胃液が過剰分泌になり胃液中の塩化物質が塩酸になり、すなわち胃酸過多を惹起し、さらには胃カタル→胃潰瘍へと発展します。

大腸のS状結腸でも同じようなことが生じます。大および小内臓神経の緊張により小および大腸の平滑筋が働かない上に小腸で腸液が分泌されないため結腸性便秘になったり、副交感神経(迷走神経)が緊張して腸液過多になり神経性の下痢→過敏性腸症候群に陥ったりします。
また慢性的に交感神経の緊張が続けば肝臓でつくられた肝臓胆汁が蓄えられ、胆嚢胆汁となる胆嚢が弛緩し、胆汁の中のビリルビンやコレステロールが固まって胆石となったりします。

連載…27

円熟したプロフェッショナルになるための
バウンダリー・マネジメント・スキル

Nina McIntosh /廣瀬寛治・訳
審判のとき!(つづき)

(前号で)最初の例に提示した、あなたの信条を攻撃するような団体に所属するクライアントについては、そのクライアントにとって何が一番良いのかを決めたいと思います。第一に、あなたは自分が持つ偏見について正直でないといけません。もしあなたが、「うわー、またこんな輩が来た。こいつらはみんなだらしがなく/道徳心に欠けて/頑固者ばかりだ」と思ったとします。あなたはそのこと(噂)が本当だと思いますか? それともこれらはステレオタイプであり、あなたの目の前にいる人には当てはまらないかもしれないということを理解していますか? プロとして私たちは常に心を開いておく必要がありますが、通常、心を開くには努力が必要なのです。

同じことが、正当な理由(例えばクライアントが暴力的だったり、あなたをぞんざいに扱ったりしたなど)もないのに、あなたが勝手にイヤだとか、嫌いだとか思うクライアントの場合にも言うことができます。そういう場合は、自分の中にその人と通じるものを探すよう努力してみてください。何かあなたが心を開けるような…。
でももしそういった自己分析が不調に終わり、否定的な感情が強すぎて、クライアントに対する思いやりがもてないようなら、クライアントにはほか(の施術者のこと)に行ってもらうように言ってください。
とはいえ、たとえそのクライアントをほかの施術者に紹介できたとしても、一度自分の中にある偏見や個人的な嫌悪の感情を見つけたのであれば、それらの感情を処理する方法を、メンターやコンサルタントに相談しながら見つけていかなければいけません。

どのようにしたら、クライアントとの関係が進み始める前から、すでに双方ともいつでもその関係をやめられるのだということを明確にしておくことが望まれることから、その辺の対応を、心理療法家であるNan Narboeから、それを簡単にする一つの方法が提案されています。
—-最初の予約を受けたときに、あなたは見込み客に対して、最初の数セクションはセラピスト(自分)がいいワークをするかどうか、また行われたワークがクライアントに対して効果的かどうかを判断する機会であることを伝えてください。他方、もしあなたがクライアントに対して、これ以上ワークするべきではないと判断した場合は「私のワークよりはXさんやYさん(ほかの療法や施術者の名前)のワークの方が、あなたにはより効果的だと思います」と言ってもいいでしょう。—-
(出所:『エデュケーティド・ハート』The Educated Heart Professional Boundaries for the Massage Therapists,2nd ed. )

 N  E  W  S

NEWS ■ 望む睡眠とのギャップが原因…高齢者の不眠

不眠は、週の半分以上、夜眠るのが困難な状態を言う。寝付きが悪い、朝早くに目が覚めて眠れないなど、高齢になるほど不眠を訴える人が増加する。東京足立病院の内山真院長は「高齢者の不眠は望む睡眠と実際の睡眠のギャップが主な原因です」と語る。
2018年の経済協力開発機構(OECD)の調査では、日本人の平均睡眠時間は7時間22分と先進国の中で最も短い。しかし、内山院長は「実は一番望ましい睡眠時間なのです」と話す。健康な人の標準的な睡眠時間は15歳なら約8時間だが、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間と徐々に短くなる。65歳を越えると睡眠時間は6時間程度になる。
「特に仕事を引退すると健康に対する意識が高まり、睡眠不足は体に悪いと考えて少しでも長く寝ようとしがちです。しかし、実際に体が必要とする睡眠時間は加齢とともに短縮するため、望んでいる睡眠時間は取れず不眠だと感じてしまう」と説明する。体が要求する睡眠時間を知り、必要以上に眠ろうとしないことが重要だという。
「眠くなってから寝床に入るようにし、睡眠時間は7時間以内、朝は目覚まし時計をかけて決まった時間に起床します。もう少し寝ていたいと感じるくらいが体にはちょうどいいです」と内山院長。起きたら太陽の光を浴びると睡眠と覚醒のリズムが保たれる。日中の午後に眠くなるのは自然な現象で、病気などがない限り長く寝てしまうことはなく、夜間の睡眠にも影響しないという。
(4/17 メディカルトリビューン=部分)

NEWS ■ 緑や自然がストレスを軽減…机にミニ観葉植物OK

2019年に発表された米ミシガン大学のハンターらの調査では、都会暮らし36人の被験者に8週間、週に最低3回10分以上、自然に触れる機会をつくって過ごしてもらいました。場所は、被験者それぞれが「自然」と感じる場所(近所の公園だったり山だったり)を選んでもらい、その上で各被験者に調査期間中、4回にわたってコルチゾールの分泌量(ストレス度合い)をチェックしました。
その結果、20〜30分間、自然に触れると最も効果があることが分かり、ストレス値が1時間当たり28.1%も低下したのです。また、30分を経過するとストレスそのものが下がる半面、下がるペースは鈍化することも分かったそうです。つまり、たった20〜30分ほど自然を感じるような場所に身を置き、森林浴をするだけでストレスレスな暮らしに近づくというわけです。
自然との接触がなかった人と比べて、自然に触れた時間が1週間で120分以上ある人は健康状態が良く、幸福感を感じるといわれています。休みの日などは、キャンプや自然あふれる地域を散策するのが効果的です。
面白いところでは、米カンザス大学のアチリーらの研究(12年)に「自然の中に3日間いると問題解決能力が高まる」という調査結果があります。実験では、彼と学生22人がユタ州の峡谷でキャンプをし、3日間キャンプしながら歩き回ったグループと、そうではないグループに分け、比較しました。すると、前者の方が問題を解決する能力が5割も高まり、論理的に積み上げていく思考力や知的能力が向上したといいます。自然が私たちに良い影響を与えることは、イメージだけではなく、実証的な根拠があるのです。
またガーデニングがおすすめ。ガーデニングといっても机やテーブルの上に自然を感じられるミニ観葉植物やミニ盆栽を置いておくだけで大丈夫。たったそれだけで、疲労の軽減につながるという千葉大学の研究もあります。
(4/16 日刊ゲンダイヘルスケア=部分)

NEWS ■ 疼痛が伴わないとPADの歩行能は改善しない

強度の高いウォーキングは下肢末梢動脈疾患(PAD)患者の歩行距離と歩行時間の改善に有効であることが、米・Northwestern UniversityのMary M. McDermott氏らが行った多施設共同ランダム化比較試験(RCT)で明らかになった。虚血性疼痛を誘発しない低強度のウォーキングは運動を全くしない場合と同等の効果しかなかった。詳細はJAMAに報告された。
McDermott氏らは、4つの同国内医療機関で登録された下肢PAD患者305例(平均年齢69.3歳、男性159例、女性146例)を、低強度運動群(116例)、高強度運動群(124例)、運動なし群(65例)の3群にランダムに割り付け、12カ月間介入して歩行能力改善効果を比較検討した。
低強度運動群は虚血性下肢疼痛を伴わないゆっくりとした速度のウォーキングを、高強度運動群は虚血性下肢疼痛を伴うほど速度が速いウォーキングをそれぞれ1日50分間、週5回、12カ月間行った。主要評価項目は、12カ月後における6分間歩行距離(6MWD)のベースラインからの平均変化量とした。305例中250例(82%)が2カ月間の試験を終了した。
ベースライン時と12カ月後の平均6MWDは、低強度運動群がそれぞれ332.1mと327.5m、高強度運動群が338.1mと371.2m、運動なし群が328.1mと317.5m。
6MWDの平均変化量は、低強度運動群が-6.4m(95%CI -21.5〜8.8m、P=0.34)、高強度運動群が34.5m(同20.1〜48.9m、P<0.001)、運動なし群が-15.1 m(同-35.8〜5.7m、P=0.10)。低強度運動群と高強度運動群の差は-40.9m(同-61.7〜-20.0m、P<0.001)、低強度運動群と運動なし群の差は8.7m(同-17.0〜34.4m、P=0.44)だった。
高強度運動群は、低強度運動群や運動なし群と比べて12カ月後の6MWDが有意に延長した。さらに高強度運動群では、他の2群に比べて12カ月後のトレッドミル上の歩行時間についても有意な延長が見られた。
以上から、McDermott氏は「虚血性下肢疼痛を伴う高強度のウォーキングは、低強度のウォーキングに比べてPAD患者の歩行能力を有意に改善した」と結論。「運動効果を得るには、虚血性下肢疼痛を伴う高強度のウォーキングを行う必要がある。疼痛は時間とともに軽減し、ほとんどの人は痛みなしに長距離を歩けるようになる。
(4/9 Medical Tribune=部分)

NEWS ■ 妊娠中の運動は子の肥満予防につながる…東北大学ほか

東北大学は4月6日、妊娠期の運動が子の肥満を防ぐメカニズムを明らかにしたと発表した。この研究は、同大学学際科学フロンティア研究所の楠山譲二助教、理化学研究所の小塚智沙代基礎科学特別研究員、金沢医科大学の八田稔久教授らの国際共同研究グループによるもの。研究成果は、「Cell Metabolism」(電子版)に掲載されている。
2型糖尿病患者は2045年までに世界で6億3000万人に達すると予想されており、肥満や糖尿病の病因に対する抜本的な介入が必要だ。近年、母親の肥満や2型糖尿病は、子が健康的な生活をしていても糖尿病のリスクを高めることがわかってきている。そのため糖尿病の次世代伝播を防ぐ効果的な手段を確立できれば、生物医学と医療政策の両方に大きなインパクトをもたらすことができる。
今回、研究グループは、母親の「妊娠中の運動」が子の肝臓における糖代謝を向上させることで、将来肥満や糖尿病になりにくくなる分子メカニズムを解明した。妊娠中の運動は、マウスとヒトの胎盤でスーパーオキシドジスムターゼ3(SOD3)の発現を増加させており、この胎盤由来SOD3が母親の運動の有益な効果を子へ伝達していることを実証した。また日常の活動レベルが高いヒト妊婦では、血中と胎盤でSOD3の量が上昇しており、妊娠期運動効能のマーカーとして利用できることが示唆された。
今回の研究は、妊娠期の運動が子の将来的な健康に及ぼす根底的な分子機構を世界で初めて実証したもの。「胎盤を通じて子の将来の健康を増進できれば、これまでにない次世代医療の実現につながる可能性がある」と、研究グループは述べている。
(4/8 QLifePro編集部=部分)

NEWS ■ セロリ・大根・ゆずで「気」を巡らせストレスを解消する

ストレスがたまっている状態とは、中医学では気の流れが滞っている=「気滞」の状態と考えます。気の巡りは、西洋医学でいう自律神経に重なり、そのコントロールが利かなくなることでイライラ、情緒不安定といった症状が起こるのです。ストレスを解消するためには、とにかく「気を巡らせる食材」を取り入れることが肝心です。
おすすめは「香り野菜」。セロリ、春菊、三つ葉、青じそ、パセリ、パクチーやハーブ類は、スッキリした香り成分が気の流れをよくしてリラックスさせる働きがあります。まさに、食べるアロマテラピー効果を発揮してくれるのです。
とくにセロリがおすすめです。肝の働きを助けて気の流れをよくするとともに、興奮状態を静めてくれます。高血圧、目の充血の改善にも役立ちます。また、葉の部分に薬効が多いため捨てずに使う。そして「香り」が気を巡らせるポイントなので、調理する場合は加熱時間は短めで仕上げましょう。春菊もイライラを解消して精神を安定させてくれます。安眠効果も高いので、気滞にありがちな、不眠、寝ても夢ばかり見て疲れがとれないといったタイプには、とてもおすすめです。
また、香り野菜ではありませんが、大根も気を巡らせるとともに、下へおろす作用があるのでイライラのクールダウンに役立ちます。外食がちな人は「刺し身のツマ」は残さず食べる。青じそ、菊花、大根はすべてストレス解消食材。ほかにオレンジ、グレープフルーツなど柑橘類も肝の機能を高めて、滞った気を巡らせてリラックスさせてくれます。ゆずは食欲不振や胃の不調も改善してくれるので、搾り汁や皮をこまめに使うのがよし。
お茶ではジャスミン茶や、カモミール、ミントといったハーブティーがストレス解消の救世主。デスクに常備して職場やテレワークのストレスを吹き飛ばしましょう。
(4/8 日刊ゲンダイヘルスケア=部分)

NEWS ■ 自分に合った「正しい歩き方」を知る

足のクリニックを受診する患者さんが訴えるトラブルのほとんどが、足の痛みと変形です。外反母趾、タコ・ウオノメ、足底腱膜炎、陥入爪、強剛母趾など、現れる症状はさまざまですが、いずれも幹の部分は同じ、足の骨格構造の崩れです。
こうした足のトラブルに対して欠かせないのがリハビリです。リハビリは、痛みの原因を解消するために行います。歩行解析をして、自分の歩き方のどこに問題があるかを分析し、その人に合った筋トレやストレッチ、正しい歩き方を指導するのがリハビリです。
足の痛みの背景には、多くの場合、歩き方の問題があります。足のどこかに不具合があると、それをカバーしようとして、本来の動きとは違った歩き方になり、さらに症状を悪化させるばかりか、膝や腰、肩など全身の痛みにつながります。
まず、今どんな歩き方をしているのかを客観的に評価します。足底圧装置により、歩行の特徴をより詳しく分析できるようになりました。足を出す速度、一歩を踏み出すタイミング、歩幅、重心がどこに乗っているかなど、多くの情報が得られます。正しく歩くということを身につけない限り、足の治療は完結しないのですが、足の壊れた環境を整えることを先にしないと、正しく歩くことはできません。
たとえば、強剛母趾がある場合、親指の付け根の部分が曲がりにくくなるため、かかとから親指に重心が移動して、踏み返すという一連の動作がスムーズにできなくなります。すると、足先を外に向けて、足の内側の側面を蹴って歩く、つまり、がに股歩きの状態になってしまいます。不自然な歩き方で足に負担がかかり、親指の付け根に痛みが出たり、足裏にタコができたりします。
このようにまず原因を取り除くことが先決です。それにより、その人本来の歩き方ができる土台ができてきます。
(3/31 時事メディカル=部分)

NEWS ■ ウォーキングは「自分1人で」がいい

パートナーと定期的にウォーキングする習慣は素晴らしいが、一方で健康上のメリットを減らしているかもしれないという。カップルでのウォーキングは歩行速度が低下する傾向にあるというのがその理由だ。米・パデュー大学の研究。
この研究では25-79歳までの72組のカップルの歩行時間と歩行速度を調べた。参加者には、様々な設定-例えば障害物のある経路、無い経路を歩いたり、パートナーと一緒に、またはさらに手をつないで歩く、1人で歩くなどしてもらった。
看護学のリチャーズ准教授は、「パートナー同士で歩くことで歩行速度が低下しないことが望ましいと思っていました。遅い方が速い方に合わせてスピードを上げると良いと考えていたのですが、そうではありませんでした。しかしながら、身体活動や速度に関係なくウォーキングは、何もしないよりはましだということを心に留めておくことが重要です」。
特に米国人は、毎週150分の適度な活動の目標を達成することが奨励されているため、配偶者、パートナー、または友人と一緒に歩いたり運動したりするのが一般的であるという。「他の人と一緒に歩くことで大幅に減速した場合、より速いペースで一人で歩いた場合の健康上の利点の一部が無効になってしまうかもしれません」とリチャーズ准教授。
健康・運動学の教授であるリートディク氏は、歩行速度は全身の健康に関連しているとして重要視している。歩行速度は、転倒リスク、機能的能力、障害の回復、および死亡率を予測できるという。
ウォーキングは最も簡単なアクティビティの1つだが、加齢に伴い歩行速度は低下する傾向がある。活動的な状態を維持するために、他のフィットネス・ルーチンを見つける必要が生じる場合があるとのことだ。
(3/30 TMS-Net=部分)

NEWS ■ 運動30分前のカフェインが脂肪を燃やす

運動30分前のカフェイン摂取が最良の脂肪燃焼法かもしれない。これまでの研究で、カフェインが最大脂肪酸化率(MFO)と有酸素能力を増加させることが明らかになっているが、運動と組み合わせた効果は詳しくわかっていなかった。今回、スペイン・グラナダ大学のMauricio Ramirez-Maldonado氏らが、運動テスト中におけるMFOの日内変動に対するカフェイン摂取の影響を調査した結果、有酸素運動30分前のカフェイン摂取は、時間帯に関係なく運動中の脂肪酸化を増加させることを発見した。The Journal of the International Society of Sports Nutrition誌に掲載。
本研究は、プラセボ対照三重盲検クロスオーバー試験で、男性15例が参加した(平均年齢:32±7歳)。すべての被験者は次の条件に合致した(BMI:18.5〜28、非喫煙者、持病がない、服薬していない、1日50mg未満のカフェイン消費、週3回以上の持久力トレーニングを最低2年間継続)。
7日間隔で4回の段階的な運動テストを実施、各テストの30分前に、無香料・無着色・無臭の粉末状無水カフェイン(グリーンコーヒー豆抽出物)またはプラセボ(純度100%の微結晶セルロース)のいずれか3mg/kgを250mLの水に溶解した。MFOと最大酸素摂取量(VO2max)を間接熱量測定法で測定し、MFOを誘発した運動強度(Fat max)を計算した。
その結果、研究者らは「カフェイン摂取と午後の適度な運動の組み合わせは、継続的な有酸素運動により脂肪燃焼量を増やしたい人にとって最良のシナリオとなる。なお、高用量のカフェインが全身の脂肪酸化により大きな効果を誘発し、持久力のパフォーマンスをさらに改善するかどうかはまだ調査されていない」と結論している。
(3/30 TMS-Net=部分)


次号のメールマガジンは2021年5月15日ごろの発行です。

(編集人:北島憲二)


[発行]産学社エンタプライズ