エンタプライズ発信〜メールマガジン【№117】 2021. 1

加湿機をお使いですか? 湿度が40%を割り込んでくるとウイルスが活発化すると言われています。また風邪にかかりやすい季節でもあるので、加湿することで健康を維持することにつながります。加湿器には大きく分類するとスチーム式(加熱型)と超音波式があります。スチーム式は水を加熱して湯気を出すことで加湿するので、沸騰したお湯を想像していただければわかりやすいと思います。他方、超音波式は水槽内にある振動子によって超音波振動を起こして水を細かく破砕し、霧状の水滴をファンで吹き出すというものです。沸騰させないためタンク内にカビや細菌が入っている場合は、それらも一緒に空気中に放出されます。最悪、加湿器病といった肺の病気などになると指摘されています。そのため大手電気メーカーは約10年前から超音波式加湿器の製造から撤退しています。しかし使い方によっては健康に危険性を孕んでいるにもかかわらず超音波式は依然として人気があるようです。というのは、スチーム式と比較して消費電力が低く、デザイン性が高く、安価で手軽なことが決め手になっていると言われています。若い世代には種類が豊富、デザインよし、コスパよしが魅力的に感じるのでしょう。超音波式を使うにあたっては、面倒ですが使用後は毎回タンク内を洗い水を替える、可能な範囲で噴射口の水滴を拭き取ったりアルコール除菌を行うなどの対策をお勧めします。またシーズン後は本体・タンクともに洗浄し、きちんと乾かして次季に備えておくと安心です。安価で済むことは望ましいことですが、十分に説明書を読んでデメリット要素をこまめな配慮で排除して活用してほしいものです。なお快適に過ごせる適正湿度は40〜60%です。夜間は70%を超える日もあるので、気象庁などの湿度予報を目安に上手に使うようにしましょう。

★☆★━━━━━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━━━★☆★

【1】カイロプラクティックオフィスにおける
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策ガイドライン
【2】エネルギー医学の将来〜点と点からの発展性
【3】“こころ” と “からだ”……臨床にモノ思う
【4】からだの外から内を知る〜現代社会の身近な健康科学〜
【5】円熟したプロフェッショナルになるための
バウンダリー・マネジメント・スキル
【6】根拠に基づく腰痛の原因と治療=休止=
【7】N・E・W・S

短期連載—その5

『カイロプラクティックオフィスにおける

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策ガイドライン』

監修 小林寅喆(東邦大学看護学部感染制御学教授)
編集 一般社団法人日本カイロプラクターズ協会(JAC)

1. 新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について

〔Ⅱ.〕カイロプラクティックオフィスでの感染症対策
2. オフィスでの取り組み(前号よりつづく)

3)検温・健康チェック スタッフおよび患者の体温測定ならびに健康チェックを行う。さらには患者に対して、感染症についての問診(もしくは健康アンケートなど)を行う。
4)部屋のレイアウト 入口から人が移動する導線や待合室での患者の着席について、感染拡大防止のためのレイアウト変更を行う。着席の際には一定の距離を空けて向き合わないようにする。(※ 椅子の間隔は最低 1 メートル以上が望ましい)
5)消毒場所の提供 受付や待合室にアルコール系消毒液を準備したり、洗面所などで手洗いが出来る水道施設を設ける。
6)必要備品の確保 ①飛沫感染防止の備品:マスク、アクリル板などの遮断壁(必要に応じて)、フェイスシールド(必要に応じて)などのPPE(個人用防護具)等の準備。②接触感染防止の備品:アルコール系消毒液、ハンドソープ、自動手指消毒器(必要に応じて)、ゴム手袋(必要に応じて)、除菌シート、ペーパータオル、ウェットティッシュ、フェイスペーパー(治療台専用)等の準備。③検温・健康チェックの備品:体温計もしくは非接触型体温計、健康アンケート用紙(必要であれば)等の準備。
7)スタッフ研修等 スタッフに対する事前準備として、本ガイドラインに基づく新型コロナウイルス感染拡大防止対策の研修を行う。
8)スタッフの体調管理 規則正しい生活とバランスの取れた食事、適切な睡眠、適度な運動を心がける。日頃から手洗いまたは手指消毒を徹底する。
9)スタッフの体温測定 毎日すべてのスタッフ、および可能であれば同居する家族の体温測定を行う。万が一、37.5度以上の発熱など風邪の症状がある場合は自宅等で待機する。
10)スタッフの移動に関する感染対策 感染が流行している地域からの移動やそうした地域への移動は控えること。

3. 予約時・受付時の注意事項

①既往歴や行動範囲が不明な新規患者の予約を取る際には、事前に発熱など風邪の症状や感染者との濃厚接触歴や海外渡航歴について質問する。②患者が発熱など風邪の症状を持っている場合、予約が取れない旨の説明をし、かかりつけ医、地域の医療相談窓口、もしくは「帰国者・接触者相談センター」に問い合わせるよう伝える。(*PCR 検査が日常容易に無料でできるようになった場合は、あらかじめ PCR 検査で陰性であることを証明してもらうことも検討する)
2)受付時 ①来院する患者の密着を避けるため、予約枠は一定の間隔を空けるよう調整する。少なくとも 5〜10分程度の余裕をもって予約を取る。②新型コロナウイルスの陽性者
がオフィス内で発生した際に備え、患者から連絡先等の情報を得ること。③来院時に手指消毒ができるようアルコール系消毒液を受付や待合室に設置する。④必要に応じて患者の検温を行う。(※非接触型体温計の使用が望ましい)
(この項、次号へつづく)


連載vol.75

エネルギー医学の将来 〜点と点からの発展性

<小社編集部編>

なぜほかの伝達系が必要か(つづき)

〔統合の進化〕
神経系や循環系以外のコミュニケーションを探る第二の医学的意義は、調節機能の進化と関係がある。防御、修復および自他の認識という調節機能は、原生動物や海綿といったもっとも単純な生物にも存在する。
環境的刺激に対して反応する能力は、神経系、内分泌系および循環系が形成される以前から、場合によっては組織や臓器がつくられる以前から生物に備わっているのだ。生物がより高等なレベルへ進化すればするほど、より複雑な調節機能やコミュニケーションシステムが必要になってくる。しかし生物は、新しいシステムをつくり出しても、古いシステムを必ず保存しつづける。その証拠に、細菌や原生動物がよく活用する仕組みが、高等な哺乳動物の細胞にも認められるのだ。この仕組みは動物とともに進化を遂げてきたのかもしれないし、最初から完璧な形で備わっていたのかもしれない。わかっているのは、古いシステムから発達した新しいシステムと今も共存を続けているということだ。この進化論的に新しいシステムというのが、現代医学で注目される神経系や内分泌系なのである。

生体細胞の調節機能を研究していたラスムッセンは、重要な結論を導き出している。彼が抱いたのは、下等生物がつくり出した原始的なシステムが動物の進化に伴って変化するのか、それとも「動物の進化とともに必要な新しい機能を付加したりバージョンアップを繰り返したりしながらも、もともとの性質を何千年も保てるだけの知恵と適応力」が最初から備わっていたのかという疑問であった。
ラスムッセンは慎重に研究を重ねた結果、後者のメカニズムを支持する結論に達した。泥状の粘菌と肝細胞には共通の調節因子があり、アメーバと哺乳類の脳細胞に存在する受容体蛋白質はよく似た構造をもっていることがわかった。また白血球が体内に侵入した細菌を見つけ破壊する仕組みは、アメーバが養分を摂取する仕組みと同じであった。つまり進化とは、実に保守的なプロセスなのである。

神経生物学者も内分泌学者も生化学者も、自分たちが専門とする調節機能がすべてで、ほかの機能を研究する必要はないと主張しつづけてきたが、状況は変化しつつある。いくつもの事実から、鍼療法などの補完代替療法は、進化的に古い重要な調節機能を介して効果を発揮していることが予測される。それらの治療法のいくつかは、半導体的性質をもつ分子の集合体に特有の協力効果を明らかに利用しているのだ。(次号へつづく)
(出典『エネルギー療法と潜在能力』 小社刊2005 )


連載エッセイ 842☆

“こころ” と “からだ” …… 臨床にモノ思う。

・保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


心を込めて治療する

毎日の臨床の現場で自分がどれだけ患者さんと正面から向き合って「心を込めて」治療をしているだろうか……。先日、雑誌『致知』をめくっていたら、「気持ちを込める」「心を込める」という言葉が目についた。このことに関して自分の臨床を振り返ると反省することが多々ある。

ずいぶん前のことではあるが、ある患者さんから「先生、今日は“念”が入っていますね」と何気なくコメントをいただいたことがあった。そのことは私に大きな気づきを与えていただいたので、私のブログにも投稿したことを憶えている。
毎日の臨床で心を込めているつもりになってはいるが、客観的に振り返ると、セミナーの準備に追われていたり、自分の治療技法ばかりに目を向けたりして患者さんの心に寄り添っていないこともある。すなわち心を込めて向き合っていなかったかもしれないと反省する。

では、「心を込めて治療する」とはどういうことなのか? と考えると、簡単には言葉で表すことはできないが、常に心を込めるということは大切だと思う。
開業して駆け出しのころは、時間を忘れて結果を出すことにこだわっていた時期があった。患者さんも増えて、予約制である以上は、ほかの患者さんにご迷惑にならないように時間内に施術を終えなくてはならない。

そこで10年ほど前から時間制という「ルール」を明確にして、患者さんに理解を得て、時間内に施術を終えるようにしている。メンタル系に関係する患者さんには2枠の予約時間を取っていただくようにしている。
患者さんの中には時間など関係なく症状が取れるまでとことん時間をかけて施術をするべきだと考えている方もおられるだろう。患者である自分が苦しんでいるのだからとことん時間をかけるのが治療者のあるべき姿だと期待している方もいるだろう。
そうかもしれないが、開業している治療者は無償で治療を行っているわけではない、有償というルールの中で治療を施している。そのことを理解していただいた上で、「心を込めて治療する」という有料のサービスが成り立つ。

時折、思うような結果が出てこない患者さんには、天に導いてもらうために祈りを捧げることもある。短時間ではあるが、それは施術以外のところで遠隔的に心を込めるということである。時間をかけることが「心を込めている」と感じる方もいるかもしれないが、一瞬でも純粋な気持ちで心を込めることは大切だと思う。
「心を込める」ということは、治療や対人関係に限らず、すべてにおいて大切なテーマだと思う。日常生活の中から常に実践できるように心がけたい。

連載 第6回

からだの外から内を知る 〜現代社会の身近な健康科学〜

安達 和俊 (醫王堂カイロプラクティック院長・DC)

3)呼吸にまつわる微生物

a)結 核(前号よりつづく)

・サナトリウム 結核との診断がなされた場合、サナトリウムすなわち結核療養所に入所隔離されることもありましたが、その40%が自然治癒しており、それはそのまま栄養、睡眠、適度な運動、規則正しい生活などにより一般的な健康状態が良ければ、人体の防御力を十分発揮できることを証明したものと言えましょう。

・抗生物質と抗結核薬 1929年、イギリスの細菌学者アレクサンダー・フレミング(Fleming;1881-1955)は、コウジカビ科の1種である青カビの培養から初めて抗生物質ペニシリンを分離しました。そもそも抗生物質とは抗原の膜に働きかけ、その人が以前から持っている抗体を働きやすくするもので、細菌によって有効な抗生物質は異なります。
1944年、ロシア生まれのアメリカ人で微生物の生化学者セルマン・アブラハム・ワックスマン(Waksman)が結核菌に有効な抗生物質であるストレプトマイシン(atreptomycin)を発見すると、1949年、レーマン(Lehmann)が抗結核薬であるパス(PAS)すなわちパラアミノサルチル酸を発見し、1952年、アメリカの製薬会社がイソニコチン酸ヒドラジドを結核に対する新薬として発表、そして1957年、わが国の梅沢浜夫らがストレプトマイシン同様、結核菌に有効な抗生物質であるカナマイシンを発見するともはや結核は治ると言われるようになりました。

・現在、再び高齢者に結核がみられるのは、副腎皮質ホルモンや免疫抑制剤の使用による免疫力の低下によるところが大きいと思われます。検査はツベルクリン反応が用いられていますが、結核感染の疑いが強い場合にはイソニアジドの予防投与などの処置がとられます。

b)SARS
2002年11月、中国・広東省で発生したSARSは、2003年初頭にかけて香港、台湾、北京、カナダなどなどで感染拡大を見せましたが、同年7月には大規模な感染の連鎖は一応の終息を見るに至りました。

・SARSとは? severe acute respiratory syndromeすなわち重症急性呼吸器症候群のことです。SARS corona virusすなわち新型のコロナウイルスの引き起こす疾患であり、こ
のウイルスはエンベロープをもったRNAウイルスです。
拡大は院内感染によるものでしたが、その様式は気道分泌物の飛沫、接触によるものであり、まずもってサージカルマスクにより予防すべきです。空気感染が関与する事例はありますが、WHOでは空気感染はないとしています。(次号へつづく)

連載…24

円熟したプロフェッショナルになるための
バウンダリー・マネジメント・スキル

Nina McIntosh /廣瀬寛治・訳
倫理的バウンダリー :倫理に関する質問集(4)

・審判のとき

私たちは国や協会で定められた基準に従いたいと思いますが、時としてその基準は一般論ばかり述べているので、実際にはどのようにその内容を解釈すればいいのかむずかしいところです。ここでの目的は、どんな状況においても賢明で倫理的な選択ができるようになることです。
どんな営業であれ、施術者は自分たちのクライアントや職業また自分自身の名声を守りたいと思っているので、そのためにある状況において審判を下さなくてはいけないときがあります。すでにそれらに関する質問やその考え方はこれまで検討してきたので、ここではどのようにして良い選択を行ったり、審判を下したら良いのかについていくつか例を挙げます。

〔性的な関係〕
倫理規範…クライアントと性的な関係をもつことは倫理に反します。元クライアントとは、施術者とクライアントの関係において発生する好意や力、また親密性を施術者が利用して性的な関係をもとうとすると倫理に反することになります。また施術者が誘惑するような服を着たり、クライアントといちゃついたり、性的な発言をしたりして関係を性的なものにしようとするのはやはり倫理違反です。

審判のとき!

—-パーティーの席で、あなたは初めて出会って、とても魅力的な人に話しかけています。その人はあなたがボディワーカー(またはマニュアルセラピスト)だということを知り、セッションの予約をしたがっています。あなたは予約を受け付けますか?
—-あなたはあるクライアントに数か月間ワークをしていますが、あるときふと、彼もしくは彼女に性的に魅了され始めていることに気がつきました。あなたはどうしますか?

皆さん、絶対的なルールではクライアントとデートをしてはいけませんし、性的な関係になってはいけないことを知っておいてください。では性的に魅了されたときはどうですか? 1つの答えとしては、それはあなたがどれくらい魅了されているかによって判断は変わってきます。
*それは単なる一時的なもの(考え)ですか?
*あなたたちの間に恋の火花が飛び散っていますか?
*あなたはしばしばほかの人にも性的に魅了されていることに気づいていますか? もしくはこれはめったにない感情なので、あなたにとって重大な意味を持ちますか?
*あなたは感情的に高揚しているので、いつもよりさらに魅惑に対して反応してしまいそうですか?
*あなたは結婚していたり、恋人がいるにもかかわらず新たな誘惑を受け入れられるように感じていますか?
*あなたのワークに支障が出ない程度に、程良くクライアントに魅了されていたという経験をしたことがありますか?
(次号へつづく)
(出所:『エデュケーティド・ハート』TheEducatedHeart Professional Boundaries for the Massage Therapists,2nd ed. )

 N  E  W  S

NEWS ■ コロナ禍「歩行数が減った人」を襲う老化リスク

1月7日に1都3県に再び緊急事態宣言が出され、再びテレワークの日々が始まった、という人もいるのではないだろうか。
「たしかに先進国の人の歩行数はコロナ以降、世界的に落ちています。とくに日本では40代以降の中年世代の歩行数減少が顕著ですね」と足の病気に特化した下北沢病院の理事長、久道勝也医師は話す。「歩行を維持することは、健康にとって重要な要素です。運動器官にとっていいのはもちろん、ストレス解消など精神面での効果も大きい。言うなれば歩行は、健康を維持するための主食のようなものなんです」と久道医師は言う。
ジムで汗を流しているから歩かなくても大丈夫、と思っている人もいるかもしれない。だがジムは、あくまでも健康にとっての“サプリ”のようなもの。「サプリだけで主食を補いきれないように、このまま歩行量が減った状態が続くと、中年世代のプレ老人化が早まって、健康上のダメージにつながる可能性が大きくなるのではないかと思っています」と警告する。
さらに今回やっかいなのは、歩行数が減ったことで、足の痛みなどのトラブルが軽減した人が多いことだ。足の痛みなどから解放され、歩行数が減っていることの長期的リスクに気がついていない中年世代も多い。
日本では「足の健康」に対する関心はまだ低いが、欧米では足の専門クリニックがあるなど、足をケアすることへの関心が高い。久道医師もアメリカで足病専門医「ポダイアトリスト」の存在を知り、超高齢社会に突入した日本にこそ、足の健康と歩行を維持するための病院が必要だと感じたという。
歩行数の減少で一気にプレ老人になってしまわないために、何かできることはないのだろうか。まず減少した歩行数を補うべく「継続的に歩くこと」が、何より大切だと久道医師は言う。
(1/14 東洋経済オンライン=部分)

NEWS ■ トイレ強い水圧で使うと…お尻の洗いすぎ禁物

温水洗浄便座で洗浄するとスッキリして気持ちがいい。しかし、松島病院大腸肛門病センター(横浜市)の紅谷鮎美医師は、「お尻がかゆいと訴える患者さんを診察すると、肛門付近の皮膚が荒れていることが多い。温水洗浄便座を強い水圧で使っているという答えが返ってくることが結構あります」と言う。
同センターでは、2017年10月に同院外来を受診した初診患者992人(男性603人、女性389人、平均年齢52歳)を対象に温水洗浄便座の使用状況に関するアンケートを実施し、肛門疾患との関連を検討した。それによると、初診患者は男女とも40歳代が最も多く、受診疾患は痔核(いぼ痔・62%)、裂肛(切れ痔・10%)、肛囲膿瘍(9%)の順だった。
日常的に温水洗浄便座を使用している人は全体の75%(738人)で男性は77%(466人)、女性は70%(272人)。痔核、裂肛、肛囲膿瘍のほか肛囲皮膚炎、肛門掻痒症、排便障害などすべての症状において温水洗浄便座の使用者が多かった。
皮膚症状の有無別に見た温水洗浄便座使用状況では、症状があると答えた人で、「強い水圧」で洗浄している人が多いという結果だった。「強い水圧にすると、お尻が緩い人では、洗浄する水が肛門内に入ってしまい、それがまた出てきて、便漏れのような状態になることもあります」
「知っておいてほしいのは正しい洗浄法です。目安の洗浄時間として10〜20秒が適正で、長時間の洗浄や習慣的に便意を促す目的での使用は注意喚起しています。強すぎない水圧にすることも必要です」と紅谷鮎美医師は注意を促す。
(1/6 日刊ゲンダイヘルスケア)

NEWS ■ 腰痛に運動は有益だが、理由についての同意は?

慢性腰痛の緩和に運動が有効であることは証明されているものの、なぜそれが有効であるのかについては依然として不確かである、という豪州ニューサウスウェールズ大学からの系統的レビュー報告。
研究チームは、65歳未満の慢性腰痛に運動が役立つ理由について、理学療法エビデンスデータベースの文献を検索し、得られた110件の論文を系統的にレビューした。それらは、ほぼ30年にわたって、豪州、米国、中国、ブラジル、欧州など、様々な国や地域で実施されていた。
検討の結果、研究チームは、腰痛に運動が有効であるかという理由に関する合意はないにもかかわらず、いくつかの共通する理由を見つけたという。
「研究者らは、運動が有益である一般的な理由について、体幹部の安定性、有酸素フィットネスの向上などによるフィットネスの改善や気分、自信の改善などを提案していた」と主任研究者のマット・ジョーンズ博士は語っている。けれども、こうして提案された理由がアウトカムに及ぼす影響について調べた論文はきわめて少なかった。3分の1の論文では、なぜ運動に効果があるのかについて、なんの提案もされていなかったという。
「慢性的な腰痛は、トリッキーであり、それに寄与する可能性のある多くの要因がある。単に組織損傷といった生物学的側面だけでなく、心理社会学的要素や、その人の気分、自分の能力への自信なども関係してくる」、また「運動の効果は幅広く人間のさまざまな部分に影響を及ぼすので、それが痛みをもつ人々に利益をもたらすと彼らが考える理由を正確に特定することを難しくしているのだろう」とジョーンズ博士は語っている。
(1/4 TMS-net=部分)

NEWS ■ ビーガンやベジタリアンは骨折リスクが高い

肉や魚、乳製品を食べないビーガンは、骨折リスクが4割以上高いことが英国の研究で判明した。また、魚は食べるが肉は食べないペスクタリアンや、肉と魚を食べないが乳製品や卵は食べるベジタリアンも、大腿骨近位部の骨折リスクが高いという。英オックスフォード大学のTammy Tong氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Medicine」に掲載された。
Tong氏らは、1993〜2001年に登録された、ベジタリアン食に関する世界最大規模のコホート研究である「EPIC-Oxford研究」の参加者5万4,898人を平均17.6年追跡し、骨折リスクを検討した。研究登録時と追跡調査時の2回、食事調査を実施。非ベジタリアン(一般的な食生活の人)が2万9,380人で、ペスクタリアンは8,037人、ベジタリアン1万5,499人、ビーガン1,982人だった。骨折の発生は、国民保険サービスのデータを用いて確認した。
その結果、追跡期間中に発生した総骨折件数は3,941件だった。ビーガンは非ベジタリアンに比較して、総骨折のハザード比(HR)が1.43(95%信頼区間1.20〜1.70)、大腿骨近位部の骨折がHR2.31(同1.66〜3.22)、脚の骨折はHR2.05(同1.23〜3.41)であり、その他の主要部位の骨折もHR1.59(同1.02〜2.50)と、有意にハイリスクであることが分かった。
Tong氏はその理由として、肉を食べない人はカルシウムとタンパク質の摂取量が少なく、ビーガンはカルシウム摂取量が特に低いことの関係が考えられる。ただし本研究において、食事中のカルシウム量やタンパク質量を調整因子に加えて解析しても、結果の有意性は保たれていた。そのためTong氏は、「未知の因子が骨の健康に影響を及ぼしている可能性もある」と述べている。
(12/28 CareNet)

NEWS ■ 関節リウマチ患者は足の温度が高い傾向

寛解に至っている関節リウマチ(RA)患者は、関節疾患のない人よりも足の温度が高いとする研究結果を、マルタ大学健康科学部のAlfred Gatt氏らが報告した研究の詳細は「PLOS ONE」掲載された。
この研究は、寛解に至っているRA患者32人(平均年齢60.19歳、女性29人)と、RAのない健常者51人(平均年齢36歳、女性39人)を対象にしたもの。Gatt氏らは、対象者の足を、前足部や踵部などさまざまな領域に分け、各領域の温度をサーマルカメラで測定し、RA患者と健常者との間で比較検討した。
その結果、RA患者では前足部の内側、中央、外側の全ての領域で、健常者よりも平均温度が有意に高いことが明らかになった(内側:28.5±1.8対26.98±2.5、中央:28.59±1.8対26.84±2.4、外側:28.04±1.8対26.98±2.5)。RA患者内で、領域による有意差は認められなかった。踵部についても、全ての領域でRA患者の方が健常者よりも平均温度が有意に高かった(内側:27.91±1.6対26.78±2.4、中央:27.87±1.6対26.78±2.4、外側:27.86±1.6対26.79±2.4、)。また、RA患者の中で踵部の領域による有意差は認められなかった。
こうした研究結果を受けてGatt氏は、「われわれの研究により、寛解を得たRA患者と健常者とでは、前足と踵部の全領域で温度が有意に異なることが判明した。この結果は、今後の研究において、サーモグラフィーのパターンが疾患活動性によって変化するかどうかを評価するための基礎となる知見だ」と話している。
この論文の共著者で、同大学健康科学部のCynthia Formosa氏は、「この研究結果は、RA患者では、たとえ従来の方法で炎症が検出されない場合でも、足の関節から放出される熱が、健康な成人よりも高いことを示したものである。この研究により、RAのスクリーニングにおけるベースラインが新たに設定されたと言える」と高く評価すると述べている。
(12/26 TMS-net=部分)

NEWS ■ 脊髄損傷、4割「平地転倒」が原因…高齢化の影響

外傷性の脊髄損傷の原因で最も多いのは平地で転ぶ「平地転倒」で、38.6%を占めていることが、日本脊髄障害医学会の全国調査で明らかになった。2位は転落、3位は交通事故。
1990〜92年の前回調査では交通事故、転落、平地の順で、データを解析した秋田大大学院医学系研究科の宮腰尚久准教授(整形外科)は「平地転倒の多くは高齢者であり、順位の入れ替わりは高齢化の影響と言える。高齢者の転倒予防対策が脊髄損傷予防の大きな課題だ」と話している。
調査は同医学会の脊損予防委員会が2019年、全国3771の2次、3次救急施設に調査票を送り、2018年の1年間に急性期入院治療を行った外傷性脊損の患者について、年齢や受傷原因、まひの程度などについて質問。2804施設(74.4%)から4603人分の回答があった。受傷時の平均年齢は66.5歳、ピーク年齢は70代で、前回の平均48.6歳、ピークは59歳と20歳の「二峰」より高齢化していた。男性は女性の約3倍だった。
受傷原因は多い順に、平地転倒(38.6%)、転落(23.9%=3メートル以上の高所から10.2%、低所から13.7%)、交通事故(20.1%)。前回は交通事故(43.7%)、転落(28.9%)、平地転倒(12.9%)で、交通事故の割合が半減する一方、平地転倒が3倍になった。年代別に見ると、10代はスポーツ、9歳以下と20〜40代は交通事故が多く、50代は交通事故と平地転倒がほぼ同じ、60代以上は平地転倒が最も多かった。
(12/25 オーヴォ=部分)

NEWS ■ 30分ごとに3分の運動が血管を健康にする

長時間の座位行動が続く時は、30分ごとに3分の簡単な筋力運動を行うと、血管機能の有意な改善が期待できるというデータが報告された。オーストラリアン・カトリック大学のFrances Taylor氏らが、2型糖尿病患者を対象に行った研究結果であり、詳細は「American Journal of Physiology. Heart and Circulatory Physiology」に掲載された。
Taylor氏は、「交通機関が整備され、テクノロジーの発達により職場や家庭でも身体を動かす機会が減っており、社会そのものが長時間の座位行動を増やす環境に変わってきた」と話す。そこで座位行動中にごく短時間の身体活動を挟むことで、血管機能を改善できないか検討した。
検討の対象は、35〜70歳の肥満2型糖尿病患者24人(男性13人、平均年齢61.5±7.8歳、BMI32.6±3.5、罹病期間10.1±7.0年、HbA1c7.6±0.8%)。対象者全員に、以下の3条件で7時間にわたって座位を維持する試験を行う、ランダム化クロスオーバー法で血管機能を検討した。
条件1では7時間中断なく座位を保ち、条件2では30分ごとに3分間の簡単な筋力運動を行い、条件3では1時間ごとに6分間の同様の運動を行うというもの。7時間の平均値は条件1では3.7±0.3%であったのに対し、条件2では4.1±0.3%であり、有意差が認められた(P=0.04)。条件3は条件1と有意差がなかった。
この結果からTaylor氏は、「座位行動による血管内皮機能の低下を抑制するには、座位中にそれを中断する頻度が、中断中に行う運動の時間の長さよりも重要である可能性が示唆された」と述べている。その上で「座位時間が長くなりがちな現在の社会生活において、良好な血管機能を維持するために、より頻繁に座位を中断する必要があると考えられる」としている。
(12/22 TMS-net=部分)


次号のメールマガジンは2021年2月15日ごろの発行です。

(編集人:北島憲二)


[発行]産学社エンタプライズ