エンタプライズ発信〜メールマガジン【№123】 2021. 7

コロナ禍の夏がまたやってきました。行動制限もあり、酷暑のつづくこの時節は自宅など屋内で過ごすのが多くなりがち。冷たい物をよく飲食するし、気分的にも滅入り傾向となり、人によってはこの先迎えるであろう夏バテに気をもむことに…。夏バテ防止には、腸内環境を整える“腸活”が大事だとよく言われます。腸は「第二の脳」とたとえられるほど、ヒトの免疫力をはじめ心身の調子を左右します。幸せホルモンのセロトニンの多くは腸で作られ、このセロトニンが脳で幸せを感じさせてくれます。これは腸が脳に影響を与えていることを示しています。したがって自律神経のバランスを整えるためにも腸内環境をしっかり良くすることが重要です。この夏を元気に乗り切ろうと、つい肉類をたくさん食べることもあるでしょうが、高脂肪・高たんぱく質の食事は、腸内フローラのバランスが善玉菌より悪玉菌が優勢になりがちという報告があります。ほかにも悪玉菌を増やすものとして、食品添加物や保存料、遺伝子組み換え食品、抗生物質、感情的なストレスなどがあげられます。一方、善玉菌を増やすには発酵食品や有機農産物、天然のサケやサバが良いとされています。善玉菌を助ける栄養素として食物繊維とオリゴ糖があります。これらは善玉菌のエサとなるため善玉菌を増やすことができます。食物繊維=野菜類、イモ類、海藻、きのこ類、豆類、果物。オリゴ糖を含む食品=果物、豆類、野菜類です。また、体を動かさないでいると腸内環境を乱れさせます。これを防ぐのが軽い有酸素運動です。早歩きや遠いスーパーまで買い物に行く、駅で階段を使う、自転車を使ってみる。疲れの残らない有酸素運動によるちょっとした高揚感や爽快感がメンタルに働きかけるうえ、運動が腸に物理的な刺激を与えてくれるのです。“腸活”…今風の表現ですが注目に値する健康ワードです。

★☆★━━━━━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━━━★☆★

【1】 エネルギー医学の将来〜点と点からの発展性
【2】 “こころ” と “からだ”……臨床にモノ思う
【3】 からだの外から内を知る〜現代社会の身近な健康科学〜
【4】 円熟したプロフェッショナルになるための
   バウンダリー・マネジメント・スキル
【5】 N・E・W・S


連載vol.81

エネルギー医学の将来 〜点と点からの発展性

<小社編集部編>

コミュニケーションの個体発生論

生体のコミュケーションシステムは、長い年月をかけた進化の中から生まれ、それは完成されたシステムだ。そのシステムの組み立てに必要なコンポーネントをコンピュータシステムにたとえてここまで示してきた。では、神経系や内分泌系をもたない下等生物が成長・進化する中で、このシステムがどのようにして誕生したのだろうか。例えば海綿にも経絡に相当する仕組みがあるのだろうか。おそらく経絡は、生物が成長してから形成されるのではなく、幼生期、場合によっては胚の時期から存在するものと推察できる。
システムを組織化するのはエネルギーの流れであるという説があり、この説は生体のコミュニケーションシステムの形成にも当てはまると考えられる。エネルギーと情報のネットワークが量子エレクトロニクス的コンポーネントで自然に組み立てられるとすれば、その組み立てのプロセスには、個体発生時のエネルギーの流れが影響を及ぼしているはずである。個体発生の非常に早い時期から生体を流れる電流について調べたジャフェ(Jaffe)は、卵母細胞の段階ではランダムなパターンしか示さない電流が、やがて少しずつパターン化して、その後はっきりとしたパターンが現れることを報告している。このパターン化は、ある種の自己集合から始まるもので、「複雑ではあるがやり直しのきく」パターンへと変わっていく。

個体発生の段階で作動する「自己集合機能」については、いくつもの仮説がある。長年この機能に関する研究を続けてきたジャフェは、発生段階での自己集合による組織全般の形成に、電流が関与していることを示した。彼の研究では、細胞や微生物の表面に生じるわずかな電流・電圧を測定するために、高感度の振動プローブが用いられている。このプローブの先端には直径10-30mmのプラチナ球がついており、これが2点の間を数百ヘルツという周波数で振動することにより、2点間のわずかな電圧差を電流として検出するという仕組みである。このような装置を使用すると、顕微鏡サイズの細胞や組織の表面付近でも電流密度を測定することが可能になる。

蛋白質などの高分子や水は極性が強いので、電流勾配のあるところでは自己電気泳動や電気浸透によって凝集したり、整列したりする傾向がある。種々の動物の細胞を調べてみると、発生段階を通じて1平方センチメートルあたり1-100ミリアンペアという電流が共通して検出された。例えばフシアの卵ではカルシウムイオンの流れによる電流が、その後の発達パターンの決定に大きく関与しているらしい。発生段階の電流および電流勾配の役割に関するジャフェのレビューからは、フシアの卵で認められるような現象が、さまざまな器官のパターン形成に関わっていることが推察される。(次号へつづく)(出典『エネルギー療法と潜在能力』 小社刊2005 )


連載エッセイ 90☆

“こころ” と “からだ” …… 臨床にモノ思う。

・保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


「つながり」 と 「関係性」 でとらえる力

だいぶ前ですが、レオナルド・ダ・ビンチの思考を分析するために膨大な「手稿」を世界から入手してAI解析を行い、ダ・ビンチの「脳内」を再現する広大なプロジェクトが紹介されていました。その中で、ダ・ビンチを研究している心臓弁手術専門の心臓外科医は、ダ・ビンチが描いた心臓の内部を表した解剖図に感銘を受けたと言います。その解剖図には心臓の内部の血液の流れが描かれており、血流の渦の回転力で心臓弁を閉じる機能まで解説しているのです。それは500年前に描いた解剖図です。心臓弁を閉じる仕組みは最近のコンピュータのシミュレーションによって、血液の流れを解析することで心臓弁の箇所で渦を巻いてその勢いで弁が閉じられるという仕組みが明らかになったとのことで、どのようにしてダ・ビンチが最新の分析機器もない時代に、その弁を閉じる仕組みが血流の渦によって引き起こされているということが分かったのでしょうか?

番組では当時ダ・ビンチがどのように心臓弁を閉じる原理を知り得たのかということが紹介されていました。その秘密をAI解析してみると、ダ・ビンチは「水」に対して異常なこだわりがあったことが分かりました。彼は運河を観察し、渦が生じる仕組みを何度も実験し、解剖によって動脈で再現したのではないかと言われています。水は血液と結び付き、生命という根源的な関心へとつながっていく様子が示されていました。まさに水こそが地球を循環しており、世界をつないでいる大切な生命の源になる。理論物理学者フリチョフ・カプラによると、「世界のすべてを知りたいと願ったレオナルドにとって、水こそがその象徴だったのではないか」と述べています。

ダ・ビンチは「自然には法則のない結果は何もない」「法則を理解せよ」と記述しています。フリチョフ・カプラによると、……「ダ・ビンチが膨大な知識に基づいて、複雑な仕組みを全体の『つながり』を通して考える発想を持っており、それは、すなわち『システム思考』で物事を幅広く考察し、体系的に考えていたのではないか」「光学、解剖学、認知科学、存在論など科学や哲学、さらには芸術を融合させ、すべての知識がインターネットのように分かっていたのではないか?」……と述べています。ダ・ビンチは科学と芸術の領域を行き来して、さらには哲学をも融合させていたようです。これはカイロプラクティックの創始者であるD.D.パーマーやB.J.パーマーの考えに通じていますが、もしかすると、ダ・ビンチの影響を受けていたのかも知れません。

番組ではダ・ビンチが幼少の頃から「自然」をくまなく観察していた様子が紹介されていました。そのような「自然」に対する観察力が土台となって、数学や幾何学などの様々な知識とつながり、様々な発明発見につながったのでしょう。「自然」という本質を土台にすることは、様々な法則につながっているようで、「人間の本質」も「自然の本質」につながっているように思います。番組の最後に、……人類の複雑化、グローバル化が進む現代において「細分化」する技術では対応できない問題が生じている、これからは「つながり」から世界をとらえる力が求められるのではないか……というコメントが心に残りました。
この番組を通じていろいろなことを考えました。本質的な治療法を長年研究してきた治療家として、「細分化」でとらえる機械論的な診方に限界を感じ、「つながり」「関係性」でとらえる有機論的な診方へと方向転換した20年以上も前のことを思い出しました。改めてこれまでの臨床研究が意義あるものであり、時代の流れに沿ったテーマであることを再認識し、これからもこのテーマを深めていきたいと心に響くものがありました。

連載 第12回

からだの外から内を知る 〜現代社会の身近な健康科学〜

安達 和俊 (醫王堂カイロプラクティック院長・DC)

1)ストレスと自律神経系・内分泌系の諸疾患

c) 内分泌系の疾患
ストレスは自律神経系の中枢である視床下部を刺激するばかりでなく、その下部に位置するホルモン系の中枢である下垂体をも刺激し、全身のホルモン系に影響を与えます。
まず下垂体前葉から甲状腺刺激ホルモンの分泌が増し、甲状腺の機能が亢進します。すると甲状腺から分泌されるサイロキシン(チロキシン)が過剰に分泌されることになります。そのためサイロキシンの各種代謝作用もまた過剰になり、基礎代謝が亢進します。
つまり体温の上昇、発汗の増加、血糖の増加、あるいは糖尿、食欲の亢進(多食だがやせている)、心拍数の増加、心悸の亢進、眼球の突出、甲状腺の腫大などがみられます。またこのうち甲状腺の腫大、心拍数の増加、眼球の突出および指先の振戦を伴う疾患をバセドウ病と呼びます。

次に例えば強い緊張のストレスが生体に加わるとき、交感神経すなわち自律神経によって副腎髄質が刺激され、そこからアドレナリンが分泌されると、これが直接あるいは視床下部を通して間接的に下垂体前葉を刺激します。すると下垂体前葉は副腎皮質刺激ホルモンを分泌します。
一方、副腎髄質から9対1の割合で分泌されるアドレナリンやノルアドレナリンは、同時に直接肝臓におけるグリコーゲン分解を促進させ、そこでグリコーゲンをブドウ糖に変え血中に送り出します。したがってストレスが長く続けば、血液中のブドウ糖の値、つまり血糖値が上昇することになります。
そこでこの場合、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞の異常からインスリンの分泌が損なわれ、そのため血中の糖の組織への吸収が損なわれて起こるいわゆる真性糖尿病とは異なる副腎皮質の機能亢進からくる糖尿病に陥ることが考えられます。
さらに副腎皮質の機能が亢進すると、クッシング症候群に陥ることがあります。これはグルココルチコイド(糖質コルチコイド)の分泌が過剰になり、満月様顔貌、肥満、高血圧、高血糖、多毛などの症状がみられます。

連載…30

円熟したプロフェッショナルになるための
バウンダリー・マネジメント・スキル

Nina McIntosh /廣瀬寛治・訳
倫理的バウンダリー:ワークを断ったりやめることはできるのか

次に、自分の身体に負担がかかりそうなクライアントへのワークはしないと決めたのであれば、クライアントに対してその理由をはっきりと伝えることができます。「あなたのようなサイズにはワークの中で私の持ち味が十分に発揮できないと思います。あなたに合うであろう何人かの施術者をお知らせすることでいかがですか」と伝えてください。。
またあなたが十分に対処できるためのトレーニングを受けていない心理的な症状(大うつだったり幼少期に受けた虐待の問題など…)をもつクライアントに対してもワークを行いたくないと思います。たとえクライアントが心理療法などを受けていたとしても、彼らへのワークは自分には向いていないと考えるのが安全です。

例えば、ずっと泣いているクライアントへのワークは気が重いでしょう。そして、もしそうしたクライアントが心理療法などのワークを受けていないのであれば、あなたには2つの選択肢があります。まず一つは、彼らが心理的なカウンセリングも将来的に受けるということを理解したうえで、そのクライアントにワークすることに同意する。しかし心理的な問題は取り扱わずにマッサージセラピストとしてです。二つ目に、あなたが快くカウンセラーや心理療法家を紹介することを彼らに知らせることです。どちらの場合にせよ、あなたが心理的な問題に関するトレーニングを受けていないこと、また彼らが現在経験している症状には、通常、経験ある心理療法家にワークを受けるのが一番望ましいことを知らせるようにしてください。

倫理的バウンダリー:守秘義務

倫理規定
クライアントがしたことや言ったこと、また私たちが保有するクライアントに関する情報は、法律によって開示が求められたり、公共の安全を守るために必要な場合でないかぎりは、クライアントの許可なしにこれを第三者に開示してはいけません。私たちが合法的に守秘義務を破って良い状況とは、明らかにクライアントやそのほかの人々に差し迫った危険がある場合や、幼児の虐待や育児放棄、また不審者の疑いがあるとき、もしくは緊急医療事態などです。

審判のとき!
もし施術者が守秘義務の法令に対して注意を向けていなければ、簡単に義務違反を犯してしまいがちです。
例えば、夫婦ともにワークを行っているケースの場合、ご主人があなたに性的に不適切な発言をしたため、あなたはもうご主人にはワークをしないと決めていたのですが、次に奥さんのワークの際にご主人のワークをなぜやめたのか聞かれたときに、あなたは何と言いますか? そのときには、あなたはその理由を暗示したり、ほのめかしてはいけま
せん。
たとえご主人でも、倫理的に考えて「あなたにほかのクライアントのことについては話せません」と言わなければなりません。(この項つづく)

(出所:『エデュケーティド・ハート』The Educated Heart Professional Boundaries for the Massage Therapists,2nd ed. )

 N  E  W  S

NEWS ■ 高齢者の熱中症は体温調整機能の低下と脱水の蓄積

名古屋工業大学の研究グループは今回、名古屋市消防局から提供された熱中症に関するビックデータを分析した。65歳以上の熱中症搬送者1299人を抽出し、そのうち55.5%が自宅で熱中症を発症していることを確認した。その搬送者を対象とし、体温、発生場所、搬送日時、および搬送日の朝から搬送時刻までの気象データから、深部体温、発汗を大規模数値シミュレーションにより再現し、実際の搬送時の体温と比較した。
その結果、一般的な高齢者の体温調整機能を再現した場合では、真夏の屋内では深部体温は38℃以下であるのに対し、実際の搬送時には体温が38℃以上の患者が42%を占めていた。
実際に熱中症を発症した搬送者の状況を計算機で再現し、標準的な高齢者の発汗とした場合、発汗を全くしていないと仮定した場合の深部温度を推定し、搬送時に測定された体温と、計算による深部体温を比較した。すると、標準的な発汗を模擬した場合より、発汗がない場合のほうが、実際の搬送時の体温とよく一致し、暑さの知覚を含む体温調節機能が著しく低下している可能性が示唆された。
また、健常な体温調整機能であると仮定した場合、搬送者の状況から推定される搬送当日の汗の量は、最大でも500g(不感蒸散を除く)程度であり、体重の1%未満であること、食事により一定の水分を取得していることを考えると、脱水症状は、その当日のみが影響して生じるのではなく、数日間の水分蓄積によって引き起こされることが示唆された。これは、研究グループで以前に得られた知見とも一致しているという。
今回の研究によって、これまで科学的知見が不足していた日本の住宅環境における高齢者の熱中症発症メカニズムの一部が明らかになった。体感以上に暑さを感じる機能が低下している高齢者が多いこと、のどが渇いていなくても数日間にわたって少しずつ脱水症状になっていることを科学的に裏付けられた。
(7/14 QLifePro編集部=部分)

NEWS ■ 温水便座が院内で多剤耐性菌を拡散か

温水洗浄便座(以下、温水便座)は多くの医療機関でも導入されているが、温水便座を介して多剤耐性緑膿菌(MDRP)を伝播させるリスクがあると、東京医科大学病院感染制御部・感染症科准教授の中村造氏が第31回欧州臨床微生物学会議で報告。英国のTimes、Daily Mailなどでも報じられた。
中村氏らは、2020年9月〜21年1月に同院病棟トイレに設置した温水便座のノズルから検体を採取した。このトイレを使用していたのは、重症敗血症2例を含むMDRP感染患者3例。DNAフィンガープリント法を用いてノズルから採取した検体と3例から検出されたMDRP株が同一株かどうかを調べた。
解析の結果、患者検体と温水便座ノズルの検体で株が一致し、全ての検体で緑膿菌ST235クローンが優勢であった。そのため、温水便座の使用を介して菌の移行が生じた可能性が示唆された。
「この知見はMDRPが患者コミュニティ内で伝播される可能性を示しており、汚染された温水便座のノズルを介して院内に拡大する懸念がある」と中村氏は指摘している。その一方で、手指衛生や清掃・環境整備といった感染症対策が十分に行われていれば、患者の免疫系が低下した場合も感染拡大を抑制できるとしている。ただし今回の結果は、単一の医療機関病棟における小規模研究に基づくものであり、遺伝子解析では患者からノズルへの感染移動なのか、その逆なのかは見分けられないなどの限界もあると付言した。
(7/15 Medical Tribune=部分)

NEWS ■日本のワクチン忌避者は11%、若年女性は3倍に

6月25日、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は、日本初の新型コロナワクチン忌避に関する大規模オンライン調査の結果を発表した。Vaccines誌に掲載された。
研究チームは、本年2月8日〜26日に日本全国の2万6000人を対象にワクチン接種の意向に関するオンライン調査を実施した(有効回答数は2万3142人)。
新型コロナワクチン接種を接種したいか…という設問に対する「接種したい」「様子を見てから接種したい」「接種したくない」の3つの選択肢の中から、「接種したくない」を選択した回答者を「ワクチン忌避者」と定義づけた。
主な結果は以下のとおり。
・ワクチン忌避者の割合は11.3%だった。年齢・性別で層別化すると、若年(15〜39歳)女性の15.6%から高齢(65〜79歳)男性の4.8%まで、大きなばらつきがあった。
・ワクチン忌避の理由として最も多かったのは「副反応への懸念」(74%)だった。
・日本のワクチン忌避者の割合は、海外での調査で明らかになったものとほぼ同等で、若年者の割合は高齢者の2倍以上だった。
・若年、女性のほかにワクチン忌避者の割合が高くなる背景としては、一人暮らし、年間100万円未満の低所得、中学卒業および短大・専門学校卒業の教育歴、政府ないしコロナ政策への不信感、重度の気分の落ち込みがある、が挙がった。
(7/13 ケアネット)

NEWS ■ 就寝前の音楽は睡眠の質を下げるか

誰でも、音楽の一部が頭にこびりついて離れず、繰り返し流れ続けて煩わしい思いをしたことがあるはずだ。この「イヤーワーム」と呼ばれる現象が、睡眠の質に悪影響を与える可能性のあることを、米ベイラー大学の睡眠研究者Michael Scullin氏らが報告した。詳細はPsychological Scienceに掲載された。
1日に何時間も音楽を聞き、就寝時間近くに音楽鑑賞をする人は少なくない。そこでScullin氏らは、音楽が睡眠に及ぼす影響を、イヤーワームに着目して、調査と実験により調べた。
まず、199人(平均年齢35.9歳)の参加者に対して、睡眠の質、音楽を聞く習慣、およびイヤーワームの頻度(入眠時、深夜の覚醒時、および起床後すぐに、イヤーワームが生じた回数など)に関する一連のアンケート調査が行われた。その結果、頻繁に音楽を聞いている人は、夜間にしつこく続くイヤーワームを経験する頻度が高く、それが睡眠の質の低下と関連することが明らかになった。
次に50人の参加者(平均年齢21.2歳)を対象に、ボーカルありのバージョン、または演奏のみのインストゥルメンタルバージョンのいずれかの音楽を聞かせてイヤーワームの誘発を試みた。就寝中の参加者には、脳波や心拍数、呼吸などの生体活動を基に睡眠状態を調べる睡眠ポリグラフィー検査が実施された。
その結果、ボーカルありよりもインストゥルメンタルの方がイヤーワームを引き起こす確率が高く、睡眠の質の低下と強く関連することが明らかになった。また、イヤーワームを経験していた人では、特に一次聴覚野において、記憶の固定化の指標となる睡眠中の脳波のゆっくりとした振動が有意に増加していた。一次聴覚野は、覚醒中の人でのイヤーワームの処理に関係することが分かっている。そのためこの結果は、睡眠中も脳が音の情報を処理し続けていることを示唆している。
こうした結果を受けてScullin氏は、「ほとんどの人が、音楽は睡眠の質を高めると思っている。しかし、今回の研究により、音楽をより多く聞いている人では、むしろ睡眠の質が低下していることが判明した。とりわけ驚かされたのは、インストゥルメンタル音楽が、睡眠の質を低下させたことだ。本研究では、インストゥルメンタル音楽により生じたイヤーワームの数は、ボーカルありの音楽の2倍だった」と述べている。
(7/13 HealthDayNews=部分)

NEWS ■歯を失うごとに認知症のリスクが高まる

ニューヨーク大学ローリー・マイヤーズ看護学部はこのほど、歯を失うごとに認知症のリスクが高まることを明らかにしました。研究はThe Journal of Post-Acute and Long-Term Care Medicineに掲載されました。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、65歳以上の約6人に1人がすべての歯を失っているとのこと。これまでの研究ですでに歯の喪失と認知機能の低下に関連性があることが示唆されていました。その理由について専門家は「歯の喪失は咀嚼を困難にさせ、それがきっかけで栄養不足に陥り、ひいては脳の神経変性を助長する可能性がある」と指摘します。ほかにも、歯の喪失の主要原因である歯周病と、認知機能の低下との関係を指摘する研究結果も増えています。そこでWu氏と研究チームは、歯の喪失と認知障害について調査した14の先行研究を対象に、その相関性をメタ分析しました。分析では、合計3万4074人の成人男女と、4689人の認知機能低下者を対象としました。
調査の結果、歯の喪失が多い人は、認知機能障害を発症するリスクが1.48倍、認知症と診断されるリスクが1.28倍になることが分かりました。一方で、入れ歯や義歯を使っている人(16.9%)は、使っていない人(23.8%)に比べ、認知症の発症リスクが低くなっていました。さらにチームは、歯の喪失本数が多いほど、認知機能低下のリスクが高いかどうかも調査。すると、歯の喪失が1本増えるごとに、認知機能障害のリスクが1.4%、認知症と診断されるリスクが1.1%増加するという結果が示されました。Wu氏は、この結果を受けて「口内衛生を良好に保つことが、認知機能低下の予防につながることが明確に確認できた」と述べています。
(7/9 ナゾロジー=部分)

NEWS ■夏バテ対策のトップはこまめな飲水…アンケート

「夏バテ」について、働く世代の実際の状況はどのようなものか、㈱アイスタットは6月18日にアンケートを行った。30〜69歳の300人が対象。調査形式はWEBアンケート方式。
アンケート結果の概要:
・今までの夏バテ経験率は74.3%。また毎年夏バテする人は24.3%
・「夏バテ経験あり」と「夏バテ知らず」の夏の生活習慣の主な違いは、睡眠・食欲・運動
・夏バテ予防対策で「適度に運動する」「エアコンよりも除湿機能や扇風機を活用する」を回答した人ほど「夏バテ知らず」
・コーヒーを毎日1回以上飲む人ほど「夏バテ経験あり」が多い傾向
・夏バテの有無に影響している体質の第1位は「手足が冷たく、肩こり」
・平熱が「36.4℃以下」の人は「夏バテ経験あり」が多く、「36.5℃以上」の人は「夏バテ知らず」が多い
・体型が「やせ型」「ぽっちゃり型」「肥満型」の人ほど「夏バテ経験あり」が多く、「普通体型」の人ほど「夏バテ知らず」が多い
上記のうちトピックとしては、
「あなたの体型について」(単一回答)に対しては、「普通体型」が47.0%と最も多く、「ぽっちゃり型」が23.0%、「やせ型」が18.3%と続いた。夏バテ経験の有無でみると、体型が「やせ型」「ぽっちゃり型」「肥満型」の人ほど「夏バテ経験あり」が多く、「普通体型」の人ほど「夏バテ知らず」が多かったが、体温と同様に「夏バテ」との関連性はとくに見いだせなかった。
また「これまでに夏バテや夏の暑さによる体調不良を予防するために行なっていること」(複数回答)に対しては、「水分をこまめに摂る」が69.0%と最も多く、「1日3食しっかり食べる」が41.3%、「ミネラル・塩分を摂る」が26.7%と続いた。主に体内に摂取する食べ物、飲み物に関する内容が上位を占めた。とくに「夏バテ経験あり」と回答した人ほど「水分をこまめに摂る」(72.2%)と回答し、夏の脱水対策をしていることがうかがえた。
(6/30 ケアネット=部分)

NEWS ■交通事故の3割にドライバーの意識レベル低下

救急治療を要する負傷者が発生した交通事故の約3割に、運転中のドライバーの意識レベル低下が関与していた可能性が報告された。日本医科大学千葉北総病院ショック・外傷センターの小田有哉氏らの研究によるもので、詳細はAcute Medicine and Surgeryに掲載された。
2018年の同センターの受け入れ患者2721人のうち、自分が運転中の交通事故で搬送された患者の中から、死亡者や事故の詳細が不明の患者を除外し、193人を解析対象とした。ドライブレコーダーの画像、本人や同乗者または目撃者へのインタビューをもとに、58件が運転中の意識レベル低下が関与した事故と判定された。
意識レベル低下が関与した事故と関与していない事故とでドライバーを比較すると、年齢や性別、重症度などには有意差がなかった。また、既往症のうち、心疾患、呼吸器疾患、腎疾患の有病率、および透析患者の割合は群間に有意差がなかった。糖尿病については、意識レベル低下が関与した可能性のある事故のドライバーで有病率がやや高かったが、群間差は統計的有意レベル未満だった(P=0.055)。
一方、過去の単独事故や、てんかん、高血圧、および精神障害の有病率は、意識レベル低下が関与した可能性のある事故のドライバーの方が有意に高かった。ロジスティック回帰分析の結果、過去の単独事故〔オッズ比(OR)3.59、95%信頼区間1.76〜7.34、P<0.001〕、高血圧(OR2.64、同1.13〜6.15、P=0.0248)、精神障害(OR3.49、同1.08〜11.3、P=0.0370)が有意な因子として抽出された。てんかんについては有意性が消失した。
なお、ドライバー本人や目撃者の情報および検査所見から意識レベル低下の原因を推測すると、32.8%が居眠り、19.0%が急性アルコール中毒、13.8%が不明で、疾患関連では不整脈10.3%、感染症8.6%、てんかん6.9%などが上位を占めた。
(6/30 HealthDayNews=部分)

NEWS ■減量後のリバウンドを防ぐには座位時間の短縮

つらい思いをして減量に成功しても、しばらくすると体重が元に戻ってしまうことがある。このリバウンドを防ぐには、座位時間の減少が重要なポイントになるとする論文が発表された。米カリフォルニア州立工科大学のSuzanne Phelan氏らの研究によるもので、詳細はObesityに掲載された。
Phelan氏らはこの研究で、米国で行われている商業ベースの体重管理支援サービス(Weight Watchers)を利用して20ポンド(約9.1kg)以上の減量に成功し、その後1年以上その体重を維持している18歳以上の人4,953人を「減量維持群」として設定。一方、ソーシャルメディアなどを通じて、BMI30以上で過去5年間の体重変化が±5ポンド(約2.3kg)以内の人650人を募集し、これを「対照群」とした。参加者全員が生活パターンに関するアンケートに回答した。解析した結果、減量維持群の平日の座位時間が10.9時間であるのに対し、対照群は13.9時間であり、休日は同順に9.7時間、12.6時間と、平日・休日ともに減量維持群の座位時間が約3時間短かった。
Phelan氏は「座位時間を減らし、体を動かしている時間を増やすことの双方が重要だ。例えば60分間ウォーキングすることは良いことだが、残りの時間を座って過ごすのではなく、座位を頻繁に中断してほかの作業を差し挟むべき」とアドバイスしている。Kahan氏はまた、「短時間の激しいトレーニングを好む人もいれば、時間をかけて軽い負荷の運動を行う方が好きな人もいるだろう。それらはどちらも価値のある戦略であり、自分の体の状態や生活スタイルに合ったものであれば、いずれでも構わない」と解説。より具体的に、「座位時間を減らすには、テレビゲームではなくスポーツをすること、人と電話で話すのではなく実際に会って会話を楽しむことだ。体を動かす習慣づくりから始めてほしい」と助言している。
(6/29 HealthDayNews=部分)


次号のメールマガジンは2021年8月15日ごろの発行です。

(編集人:北島憲二)


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