エンタプライズ発信〜メールマガジン【№114】 2020. 10

ゴルフと言えば娯楽というのが一般通念だと思いますが、健康スポーツと評価する人がいるのもまた事実です。緊急事態宣言の解除後(5月以降)、人の移動制限の緩和とともに、20〜30代のゴルフ場予約数が前年の約2倍に増加しているそうです。その背景にはテレワークが勧奨され、「体を持て余している…3密にならないところへ行きたい、ということで(若い層が)ゴルフを選んでくれている」(日本ゴルフ協会) ことが大きな要因だと言います。テレワークを続けていると不規則な生活に陥りかねません。仕事時間は集中、休息時間にはリフレッシュといった切り替えを求めているのでしょうか。朝ゴルフに行って、昼過ぎには家に帰って仕事をするという働き方も可能です。ゴルフ場側もコロナ対策としてスループレー(18ホールを食事休憩なし=食堂を使用しない=で回る)やハーフプレーを導入するなど、ゴルフに関わる拘束時間の短縮を図ったのが奏功していると業界は見ています。ゴルフには健康効果として5つのマクロな要素が挙げられます。歩く・紫外線を浴びる・脳を活性化する・緑の中でプレーする・交友を広げる、です。中でも歩くことの重要性が大きいと思います。18ホールを回るとカートを使っても約1万4000歩になります。もちろんコースや腕前によって歩数は前後します。ゴルフ場の芝はクッションになって、膝・股関節への負担も軽減します。このさいできるだけ歩く姿勢を意識し大股で速く歩くことが望まれます。またゴルフは考えるスポーツです。1回のショットでも残り距離、クラブの番手、危険ゾーンはどこか、どこに打つのか、風は? などです。この「考える」ことが脳へ刺激を与え、認知症予防につながると言います。編集子も年に数回はラウンドしますが、腕前に関係なく友人知己と一緒に楽しめるので交友を図れるほかコミュニティ形成にも役立っていると感じています。

★☆★━━━━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━━━━━━━━━★☆★

【1】連載: カイロプラクティックオフィスにおける
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策ガイドライン
【2】エネルギー医学の将来〜点と点からの発展性
【3】“こころ” と “からだ”……臨床にモノ思う
【4】からだの外から内を知る〜現代社会の身近な健康科学〜
【5】円熟したプロフェッショナルになるための
バウンダリー・マネジメント・スキル
【6】根拠に基づく腰痛の原因と治療
【7】N・E・W・S

Information

日本統合医療学会学術大会がWeb上で開催 12/12-13

第24回 日本統合医療学会学術大会がWeb方式で開催される。今年の大会テーマは「幸せの統合医療:AI からスピリチュアリティまで」。AI(人工知能)などの先端技術に加えて 人間の本質でもあるスピリチュアリティを大切にし、「幸せ」を追求する次世代型統合医療の実現を目指す。視聴するには参加登録が必要です。開催後約2週間の視聴が可能。
http://web.apollon.nta.co.jp/imj2020/sanka.html

会期:12 月 12 日(土)〜13 日(日)
早期登録:10月31日(土)
後期登録:11月1日(日)〜12月18日(金)
会場:東京大学フューチャーセンター
大会長:酒谷 薫(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 人間環境学専攻)
問合せ:E-mail

Topic

アクティベータメソッド、Web講義+OneDay実技を開催

新型コロナ感染禍の影響に鑑み「Web講義-事前動画配信+OneDay実技」のセミナースタイルで開催されているアクティベータメソッドセミナー。10月11日には、東京・港区と福岡市の2極でOneDay実技(基礎編および四肢・脊椎編)が開催された。実技セミナーの前にWeb講義で予習し課題点を探し出し実技でマスターするというこの取り組みは好評で、分かりにくいところは繰り返し観ることができる、実技によるスキルが手にとるようにわかるという。12月6日には大阪市で開催される。同セミナーの詳しい情報はこちら

短期連載—その2

『カイロプラクティックオフィスにおける

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策ガイドライン』

監修 小林寅喆(東邦大学看護学部感染制御学教授)
編集 一般社団法人日本カイロプラクターズ協会(JAC)

〔Ⅰ.〕 カイロプラクティックオフィスでの感染リスク(つづき)

3. 感染リスクのあるオフィス内の場所
カイロプラクティックオフィスでの飛沫感染のリスクは、換気の状況、他者との距離、大声での会話などで評価される。また接触感染のリスクは、他者と共有する備品や手が触れる場所と頻度を特定する。
1)飛沫感染のリスクがある場面:室内でスタッフと患者、患者同士、施術者(カイロプラクターなど)と患者、スタッフ同士で会話する場面である。
2)接触感染のリスクがある場所:注意が必要な場所は、テーブル、椅子の背もたれ、室内専用シューズ(スリッパやサンダルなど)、施術台(カイロプラクティック・テーブル)、治療器具(アクティベータ、三角ブロックなど)、検査器具(打診器、音叉など)、脊椎模型、物理療法機器、ドアノブ、電気のスイッチ、筆記用具(ペン他)、電話、キーボード、タブレット、タッチパネル、レジ、蛇口、水栓レバーハンドル、便座*、手すり、エレベーターのボタンなどである。
*新型コロナウイルスは患者の糞便中にも排泄されるので、トイレを流すフラッシュによる飛沫から便座等にウイルスが付着するリスクがある。

以下は、感染リスクのあるオフィス内の場所および場面である。具体的なオフィス内での感染症対策については〔Ⅲ.〕で述べる。

【感染リスクのあるオフィス内の場所や場面】
・密集場所
密接場面:受付(入口)、スタッフと患者が会話する場面。パソコン機器などに接触する場面。テーブルや椅子に接触する場面。待合室。
・患者同士が近距離になる場所
患者同士が会話する場面。テーブルや椅子に接触する場面。施術室で施術者と患者が会話する場面。用具や器具に接触する場面。パソコン機器などに接触する場面。テーブルや椅子に接触する場面。更衣室、テーブルや椅子に接触する場面。化粧室、トイレや水回り(蛇口、水栓レバーハンドルなど)に接触する場面。休憩室(スタッフ待機室)。
・スタッフ(施術者含む)同士が近距離になる場所
スタッフ同士で会話する場面。用具や器具に接触する場面。テーブルや椅子に接触する場面。密閉空間を避けるため、できるだけすべての部屋の換気をよくする。サーキュレーターを使うと効果的に換気できる。

〔Ⅱ.〕カイロプラクティックオフィスでの感染症対策

1. 新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について
1)新型コロナウイルスを減らす感染予防
① 飛沫感染の予防:新型コロナウイルスを含む飛沫が口、鼻、眼の粘膜に侵入し、ウイルスがついた手指で口、鼻、眼の粘膜に触れることで感染する。そのため他者との距離を確保す る、会話時にマスク(医療用:サージカルマスク)を着用する。
② 接触感染の予防:備品を消毒・除菌することで手指に付着したウイルスを減らすことができる。
※「消毒」は菌やウイルスを無毒化(限りなく感染しない程度に減らす)すること。「薬機法」に基づき「医薬品・医薬部外品」の製品に記載される。
※「除菌」は菌やウイルスの数を減らすこと。「医薬品・医薬部外品」以外の製品に記載されることが多い。
※ 手指などに用いる場合は「医薬品・医薬部外品」表示の消毒・除菌製品を使用。
(この項、次号へつづく)


連載vol.72

エネルギー医学の将来 〜点と点からの発展性

<小社編集部編>

鍼療法と調節生物学

いわゆる「健康」という状態は、多様な調節機能によって維持されている。通常の範囲から少しでも外れた状態に陥ったときは、すぐさま修復機能や防御機能が作動して生体の形状や機能を回復させようとする。調節という概念は、洋の東西を問わずあらゆる治療法や健康法の基礎となっているのである。
鍼療法の基礎にあるのは、生体のコミュニケーションを担う一連のチャンネル、つまり経絡が生体の機能を調節しているという解釈だ。経絡は生体の「すべての基質や臓器を連携させる、目に見えないネットワーク」と見なされている。目には見えなくても、このチャンネルを通じて栄養とエネルギーと情報が伝わり、生体全体の統合を促しているのだ。したがって鍼療法とは、生体物質と臓器・器官と経絡の相互連携に働きかける治療法ということになる。

ところが西洋では、生体のコミュニケーションを担っているのは神経系、内分泌系、代謝系そして循環系であると解釈する。神経系についてはどのようにシグナルが発生し伝達および作用するかというメカニズムが十分に解明されており、また全身をくまなく走る血管系には、養分やホルモンを運搬することによって調節に関する情報を伝える役割があることが知られている。また血液が運ぶ情報に応じて、誰もが知っているような代謝反応や細胞活動がコントロールされている。さらに神経系、内分泌系、代謝系の相互関係についても詳細な仕組みが解明されている。しかしそれらの知識だけでは、生体内でそれぞれの機能を果たしている各要素が、どのように活動を統合させているのかを説明できないのである。

なぜほかの伝達系が必要か

ではなぜ、鍼療法の原理に示されているようなエネルギーと情報の伝達システムを、新たに探る必要があるのだろうか。そのような伝達システムが本当に存在するのなら、なぜこれまでの生理学的研究の中で発見されなかったのか。あるいはそのシステムは従来の調節システムと比較して、どのような役割を果たしているのか、またどのようにシステムが形成され独自の機能を果たすのか、ここではこれらの疑問について1つ1つ検証していきたい。(出典『エネルギー療法と潜在能力』 小社刊2005 )


連載エッセイ 81☆

“こころ” と “からだ” …… 臨床にモノ思う。

・保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


「心のブレーキ」がもたらすパフォーマンスの低下(後編)

勝負の世界では「闘争心」が力を発揮します。しかし、彼にとってはその闘争心という言葉には違和感がある様子でした。おそらく世界トップレベルの選手が勝ち続けている背後には「不屈の闘争心」があるのではないでしょうか。あらゆる壁を突き崩して勝利へと導くには闘争心が必要不可欠でしょう。相手に絶対に勝つという闘争心を燃やすことで、自分の実力を最大限に発揮し、さらにはそれ以上に力を引き出すことにつながるかもしれません。闘争心には相手を慮る心がないように感じますが、それも解釈の仕方で様々な受け止め方ができます。

トップに近くなるほど真剣勝負の度合いが高まります。世界選手権やオリンピックの大会になると自国の期待を背負うことになります。そんなプレッシャーの中で、相手を慮る気持ちがあると複雑な心境になるでしょう。
「相手を敬う心」を変えることなく、秘めたる闘争心を引き出すためにはどうしたらいいのでしょうか? 勝負の世界ではお互いが全力を尽くして戦うことに意味があります。お互いに真剣勝負で全力を尽くすことが「相手をリスペクトする」ということになり、闘争心を燃やして、自分を出し切ることが、相手に敬意を払うことになると解釈することもできます。
互いに全力を尽くして戦って、たとえ相手が負けたとしても、それは勝敗を超えた意味のある課題が相手に生まれることでもあり、未来のための意味ある課題の創造につながることもあると思います。真剣勝負で戦うことの意味や心得を整理できれば、今までとは異次元のレベルで試合ができるかもしれません。

身近にいるトップ選手にそのような「闘争心」があるかどうか質問してみました。すると、ある時、その選手は、練習の際に力を抜いたようなプレーがあったというような感じで相手の選手に怒っていた場面があったといいます。
その時は違和感があったとのことですが、コーチングでこのような話をした後で彼のことを振り返ると、練習の時でさえも真剣勝負で闘争心を燃やしており、格下の選手にもそのレベルの気持ちがないと、叱咤激励の意味も込めて鼓舞していたのだということが分かった……とその時のことを回想していました。練習や試合以外の時には「相手を敬う心」は大事にしても、いざコートに立ったら、練習試合でも闘争心を燃やす訓練は日々積み重ねておくべきでしょう。おそらく本番の試合だけ闘争心のスイッチを入れて切り変えればできるというものではないように思います。

コーチングを織り交ぜた遠隔治療を終えた後、とても大切なことに気づいたとフィードバックしてくれました。昨年はランキングも伸び悩み、プレー自体も楽しめない自分もいたということを打ち明けてくれました。トップ選手に必要な「闘争心」が欠けていたのかもしれません。私も長年彼をサポートさせていただき、この気づきは彼にとって大きなターニングポイントなったのではないかと感じました。おそらく彼が持っている秘めたる闘争心に火をつけることで、さらなる次元へと進化していくように思います。彼の成長を楽しみに陰ながら応援しているところです。

連載 第3回

からだの外から内を知る 〜現代社会の身近な健康科学〜

安達 和俊 (醫王堂カイロプラクティック院長・DC)

2)食にまつわる微生物
a)細菌性食中毒(つづき)

・毒素型…球菌に属するブドウ球菌(staphylococcus)によるものにせよ、桿菌であるボツリヌス菌(botulinus bacillus)によるものにせよ、その菌が産生する菌体外毒素(エクソト
キシン)によって起こるものが毒素型食中毒です。
前者ブドウ球菌は、例えば調理する者の手に外傷があったり、そこにこの菌が感染したりしている場合、それらが産生するエンテロトキシンと呼ばれる腸管毒によって起こるものです。後者ボツリヌス菌は嫌気性菌であり、欧米ではソーセージ中毒、腸管中毒と呼ばれるように、ソーセージ・缶詰あるいは塩漬け食品など密閉性の高い食品によって起こるものです。ただわが国においては、その中毒例が報告されることはきわめて稀です。それでもその産生する神経毒は中枢神経系に強い親和性があり、致命率も非常に高いようです。
ちなみに昭和36年(1961)秋田県下のさんまの「いずし」事件では中毒患者16名中12名が死亡しています。この菌体外毒素は80℃の加熱で無毒化されます。

・O157-H7…毒素の中には1996年にわが国で大発生した腸管病原性大腸炎の1種であるO157-H7があります。そもそも大腸菌とは腸内常在の桿菌で、通常、病原性はありません。ところがこのO157-H7は、その腸管病原性大腸炎の中でも特に重篤な症状を引き起こす腸管出血性大腸菌であり、ベロ(vero)毒素を産生する大腸菌の1つです。通常の食中毒が菌数1億個ほどで発病するのに対し、ベロ毒素産生性大腸菌は菌数50-100個ほどで発病します。ただし細胞内への侵入機能はもっていません。
ベロ毒素産生性大腸菌にはほかにもO26・O111・O128・O145などがありますが、このO157-H7が全体の約80%を占めます。ベロ毒素とは、赤痢菌が産生し、その発見者・志賀潔博士の名にちなんで命名された志賀毒素に類似したVT(vero toxin)1およびVT2と呼ばれる志賀類似毒素のことで、これらの両方を産生します。
感染経路は、牛など保菌動物の腸管内に保有されているものが糞便とともに排泄され、それにより肉類など二次的に汚染された食品を媒介とします。
治療は、下痢止めは病原体の腸内停滞を遅延させるため禁忌です。一般的には、抗菌剤と乳酸菌製剤の併用が広く行われています。また抗菌剤として小児にはホスホマイシン、成人にはニューキノロン系が良いとされます。さらに溶血性尿毒症にまで至った場合には血漿交換療法や血液透析が考えられます。予防としては、食品の十分な加熱および感染者との接触を避けることなどが挙げられます。(次号へつづく)

連載…21

円熟したプロフェッショナルになるための
バウンダリー・マネジメント・スキル

Nina McIntosh /廣瀬寛治・訳
倫理的バウンダリー :倫理に関する質問集(2)

ささいなバウンダリーに関するミスを大問題に発展させないようにする

・その行動をとることで、クライアントと二重関係(クライアントと施術者の関係のほかに関係をもつこと)になってしまい、プロとしての関係が明確でなくなってしまいませんか。
・その行動は、当初の契約にあるもの(自分の専門の領域およびクライアントが同意したことなど)を超えていませんか。
・その行動は、あなたの通常のポリシーから外れていませんか。

重大な倫理に関するミスは、ほとんどが青天の霹靂ではありません。これらの質問は、あなたがバウンダリー(プロとしての存在や立場、関係を取り囲む防護壁)を曲げることが多くなるにつれ、もっと重大な倫理に関する問題に巻き込まれるようになるという事実に即したものです。クライアントと二重関係をもつなどの、多くのバウンダリーについての違反は、必然的にそれ自体が倫理に反するということではないですが、もしあなたが、その事態にまつわる困難に注意を払わずに繰り返し同じことを行っていると大きな問題へと発展していくのです。

<例> クライアントとしばしば社交的な付き合いをしているマッサージセラピストは、彼女との立場をはっきりさせるのに苦労していました。そのクライアントはセッション中にセラピストに対して「自分は多発性硬化症を患っているが、そのことを秘密にしていてほしい」と言いました。しかしある日、ほかの友達がそのクライアントを批判していたので、セラピストは「彼女にそんな強く当たらないで。彼女は多発性硬化症なのよ」と言ってしまいました。クライアントはそのことを伝聞で知り、憤慨し、セラピストおよび属する職業協会を相手取って倫理に関する訴訟を起こしました。単に友達の間で起こったことならば不快だというだけで済んだかもしれませんが、この守秘義務違反により営業的にも切実な影響が生じてしまいました。

不適切さや見苦しさ(無作法)を見せないようにする

・クライアントの目にどう映るかにかかわらず、他人から見てもその行動は適切ではないのではないですか。

「不適切さ」は、この業界の自由な精神を謳歌する人々にとって、しかつめらしい都合の良い言葉です。あなたは、自分は腕が良く、良心的なプロである限り、部外者にどのように見られたり、実際に近所の人にどう見られようと気にすることはないでしょうか。しかしながら、マッサージやセラピーが世間の目に、風俗と関連づけられているという事実を無視できません。残念なことにいまだに世間の文化では、半裸になることやタッチを性的な行為と同等に見てしまうのです。マニュアル・セラピー業界が誤解されたり、良心的なプロが周りからの勝手な思い込みに対抗しなくてはいけないというのは公平ではありませんが、もし自分やこの業界を守りたいのであれば、常に用心しているのが一番です。
以下に例を示す、良心的なマッサージセラピストの発言をよく考えてみてください。(この項つづく)(出所:『エデュケーティド・ハート』The EducatedHeart Professional Boundaries for the
Massage Therapists,2nd ed. )


根拠に基づく腰痛の原因と治療 – 腰痛治療の新常識(86)

長谷川淳史(TMSジャパン代表)
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腰痛やむち打ち症に関する正確な情報には想像を絶するほどの治癒力があります。どうか情報の拡散にお力をお貸しください。

■【病歴聴取】病歴聴取は全グレードのWAD患者に必要で以下の情報が含まれるべきである。1)生年月日、性別、職業、家族構成、婚姻関係。2)むち打ち症を含む首の問題の既往歴。3)痛み、筋緊張、麻痺、筋力低下、頚椎以外の症状。

http://1.usa.gov/LYNegq

……腰痛疾患と同じようにWAD(むち打ち関連障害)も病歴聴取でかなりのことが判ります。グレード4の骨折や脱臼だけは見逃さないようにしましょう。

■ 4)症状の部位、発症時刻、発症状況。5)受傷原因(スポーツ、自動車事故など)。6)受傷のメカニズム。
【理学検査】理学検査は全てのWAD患者に必要で、少なくとも以下の検査が含まれるべき。1)視診。2)患部の触診。

http://1.usa.gov/LYNegq

……WAD(むち打ち関連障害)患者の障害範囲と重症度の評価は詳細な病歴聴取と理学検査で十分可能です。

■ 3)可動域の評価(屈曲・伸展・回転・側屈)。4)上肢と下肢の神経学的テスト(腱反射・知覚検査)。5)合併症の評価。6)必要に応じて一般的臨床検査。

http://1.usa.gov/LYNegq

……こうして書き出してみるとWAD(むち打ち関連障害)より腰痛疾患の理学検査の方が簡単ですね。

■【単純X線撮影】1)グレード2および3の患者は、頚椎の単純X線撮影が必要で前後像・側面像・開口像を撮影すべきである。2)また7個の全頚椎とC7-T1の椎間板スペースが撮影されていなければならない。

http://1.usa.gov/LYNegq

……筋骨格系所見と神経学的所見がある患者のレントゲン写真を撮る場合の注意点です。

 N  E  W  S

NEWS ■ コロナで変わる私大医学部の学費事情

朝日新聞は「私立大学の医学部で学費を値上げする動きが出ている」として、東京女子医科大学が2021度の入学生について、6年間で前年度入学生よりも計1200万円上げ、私立医大で2番目に高くなったと伝えています。同大HPによると、初年度納入金が1144万9000円、2年目以降が695万3000円で、6年間の学費は計4621万4000円となっています。学費のうち「施設整備費」という費目が新たに加わり、これが年間200万円、6年間で計1200万円増えています。値上げの詳しい理由はホームページ上には記載されておらず、朝日新聞の取材にも回答していません。
私立大学医学部の2021年度の募集要項をまとめたサイト(医学部受験情報発信サイトなど)によれば、一般選抜など主な選抜方式における6年間学費が最も高いのは川崎医科大学(岡山県)の4736万5000円。2位が値上げ後の東京女子医科大学、3位は金沢医科大学(石川県)の4054万3000円、4位は埼玉医科大学の3957万円、5位は帝京大学の3938万140円です。東京女子医科大学は昨年度時点では約3900万円で上から16番目、私立大学医学部全体のほぼ真ん中でした。
一方、学費総額が最も安いのは国際医療福祉大学の1850万円です。次いで順天堂大学の2080万円、日本医科大学の2200万円、慶応義塾大学の2205万9500円、東京慈恵会医科大学の2250万円と、偏差値の高い、東京の私立大学医学部が続いています。(10/14 CareNet=部分)

NEWS ■ 月の自殺、昨年比8%増…女性は28%増

9月の全国の自殺者は速報値で1805人に上り、昨年の同じ月と比べて8.6%(143人)増えたことが10月12日、厚生労働省と警察庁の集計で分かった。女性は27.5%増えており、さらに8月をみると、10歳代女性(40人)が前年同月(11人)と比べて4倍近く増えていることも判明した。
厚労省は「新型コロナウイルス感染拡大の影響で女性や若者を中心に生活リズムが変化した。不安を独りで抱えこまず、メールやSNS、電話などで相談してほしい」と呼びかけている。
自殺者の総数は近年、減少傾向だったが、今年7月は対前年比で増加に転じた。女性は7〜9月の3か月連続で600人を超え、7月は15.6%増、8月も40.3%増となっている。(10/13読売新聞)

NEWS ■ 立っているだけでも健康に良い効果がある

立ち上がったり歩き回ったりするだけで健康に良い効果が得られるようだ、という米国カリフォルニア大学サンディエゴ校の2つの新しい研究報告。10月12日付で『老年医学雑誌シリーズA』に発表された研究では、研究チームは、じっと立っているだけで死亡リスクが低くなることを発見したという。アンドレア・ラクロワ教授率いる研究チームは、女性健康イニシアチブと協力して、63歳から97歳までの約6000人のアメリカ人女性の活動レベルを観察した。参加者は、研究グレードの加速度計を7日間着用して、座ったり、立ったり、移動したりした時間を正確に測定した。
データ解析の結果、立っている時間が最も多かった参加者は、最も少なかった参加者と比較して、死亡のリスクが37%低かったという。最も多い群は1日あたりほぼ90分間立っていたが、死亡リスクの低下は1日あたりわずか30分間立っているだけでも観察された。参加者が立っていると同時に動き回っている場合には、立っていることのポジティブな効果はさらに強かったという。
「この研究は、世界中でますます支配的になっているテクノロジー志向の生活習慣の深刻な影響を示唆している」とジェームズ・サリス名誉教授は述べている。また「人間として、我々は活動的になるように設計されており、我々の健康がそれにどれほど依存しているかがわかった。ほとんどの高所得国の人々のためには、我々は彼らが椅子から立ち上がって歩きまわるのを助ける努力をより優先する必要がある。低所得国の活動性の高い人々のためには、食料安全保障がより優先度が高いのである」(10/10 TMS-net=部分)

NEWS ■ 「天気痛」の患者が増加…対処法は?

台風などが来ると症状が出やすくなるという天気痛とは、季節の変わり目に起こるといわれている頭痛やめまい、耳鳴りや倦怠感などの症状です頭痛の専門医である「らいむらクリニック」の来村昌紀院長によりますと、温度や湿度、気圧が大きく変化すると耳の奥にある「内耳」と呼ばれる気圧センサーが作動して自律神経が乱れて起こるということです。近年、天気痛の患者数は増えており、その理由としてまず挙げられるのが「異常気象」です。ゲリラ豪雨や台風の大型化など、異常気象の影響により、気圧や気温、湿度の変化が激しくなっているためだと考えられています。
また「生活スタイルの変化」も挙げられます。夜型の生活など不規則な生活をする人が増え、寝る直前まで長時間にわたってスマートフォンを操作する人もいるなど、自律神経が乱れやすくなっています。さらに今年は新型コロナの影響で家にいる時間が長くなり、運動不足の人が多い、加えて今夏の猛暑と冬の寒暖差が大きくなることで、天気痛が起きやすい条件がそろっています。
対策としては、耳の血行を良くする「耳ほぐし」が効果的です。耳ほぐしの手順は(1)親指と人差し指で両耳を軽くつまみ、上・下・横にそれぞれ5秒ずつ引っ張る▽(2)耳を軽く横に引っ張りながら、後ろに5回ゆっくりと回す▽(3)耳を包み込むように折り曲げて、5秒間キープ▽(4)手のひらで耳全体を覆い、後ろに円を描くようゆっくりと5回回す。耳をマッサージすることで耳の血行が良くなり、むくみを取り除けば、天気痛の症状が軽くなるということです。(10/9 TOKYO MX=部分)

NEWS ■ 愛玩動物看護師法、22年に施行 獣医師を補助

政府は10月9日、動物病院で獣医師を補助する動物看護師を国家資格とする愛玩動物看護師法の施行日を2022年5月1日とする政令を閣議決定した。獣医師の指示の下で行われる愛玩動物の診療補助や看護に従事する人を「愛玩動物看護師」と新たに規定。採血やマイクロチップの埋め込みといった従来できなかった幅広い補助が可能となる。ほかに、飼い主へのしつけ指導やペットの栄養管理も担う。資格を得るには国家試験に合格し、免許を受けなければならない。受験には大学や専門学校での専門知識・技能の習得が必要。無資格の病院スタッフは愛玩動物看護師と名乗れない。同法で質の高い獣医療を目指す。(10/9 共同通信)

NEWS ■ 認知症の原因物質…歯周病による仕組みを解明

歯周病菌が体内に侵入し、認知症の原因物質が脳に蓄積して記憶障害が起きる仕組みを九州大学などの研究チームが解明した。歯周病と認知症の関連は近年注目を集めており、認知症対策につながる発見という。
認知症の7割を占めるアルツハイマー病は、「アミロイドベータ(Aβ)」などの異常なたんぱく質が長年、少しずつ脳に蓄積し、発症や症状の進行につながるとされる。 近年、歯周病の原因菌やその毒素が血管を通じて体内に侵入することで、Aβが体内でつくられ、脳に蓄積することが解明されてきたが、蓄積の仕組みは詳しく分かっていなかった。 九大や北京理工大(中国)などの研究チームは、マウスの腹の内部に3週間、歯周病菌を直接投与して感染させ、正常なマウスと比較した。その結果、歯周病菌に感染したマウスの脳血管の表面では、Aβを脳内に運ぶ「受容体」と呼ばれるたんぱく質の数が約2倍に増えていた。脳細胞へのAβの蓄積量も10倍に増えた。
暗い部屋に入れば電気ショックを受けることを学ばせた記憶実験では、正常なマウスは5分間、明るい部屋にとどまり続けたが、感染マウスは約3分で暗い部屋に入ってしまい、記憶力低下が裏付けられた。一方、Aβを運ぶ受容体の働きを阻害する薬剤を使えば、感染した細胞内を通るAβの量を4割減らせることも確認できたという。チームの武洲・九大准教授(脳神経科学)は「歯周病菌が、異常なたんぱく質が脳に蓄積することを加速させてしまうことが明らかになった。歯周病の治療や予防で、認知症の発症や進行を遅らせることができる可能性がある」と話す。(10/5 朝日新聞デジタル)

NEWS ■ 新型コロナ、アジアで少ない理由。たんぱく質タイプの差か

新型コロナウイルスによる感染者数や死亡者数がアジアの国々で欧州と比べて少ないのは、血圧の調整などにかかわるたんぱく質の遺伝子タイプが関係しているかもしれない。国立国際医療研究センター研究所などのチームがそんな研究をまとめ、遺伝子医学の専門誌で発表した。
新型コロナによる人口あたりの感染者や死亡者は、台湾や韓国、中国や日本などで比較的少なく、ベルギーやスペイン、英国などで多いことが報告されている。マスクなどの衛生習慣や医療環境などの違いのほか、それぞれの地域に住む人たちの遺伝的な特徴も関係しているのではないかといわれている。
チームは気道や心臓、腎臓などにある「ACE(エース)」と呼ばれるたんぱく質の遺伝子タイプとの関係に注目した。二つあるACEのうち「ACE2」というたんぱく質は新型コロナが細胞に感染するのにかかわっているとされるからだ。すると、ACE2とのかかわりは特にみられなかったが、構造が似ていて血圧調整などに関係している「ACE1」というたんぱく質の遺伝子タイプと関連が見つかった。
これまで計25カ国・地域について報告された論文などをもとに約1万5千人のデータで分析したところ、ACE1の遺伝子が「I/I(アイアイ)」というタイプの人の割合が欧州では少なく、アジアでは多い。割合が多くなるほど感染者数や死亡者数が少なくなる傾向が、統計学的に認められたという。(10/2 朝日新聞)

NEWS ■ コーヒーは大腸がんの進行を遅らせる?

コーヒーを飲むことで、大腸がんの進行を遅らせることができる可能性が、米メイヨー・クリニックのChristopher Mackintosh氏らによる研究で示唆された。研究結果の詳細は「JAMA
Oncology」オンライン版に発表された。
この研究は、未治療の局所進行性または転移性大腸がん患者を対象に実施された。本研究で解析に含められたのは総計1171人で、694人(59%)が男性、年齢中央値は59歳だった。
追跡期間中央値5.4年の間に、死亡またはがんが進行した患者は1092人(93%)
だった。解析の結果、コーヒーの摂取量が多いほど、がんの進行と死亡のリスクが低下することが明らかになった(コーヒー摂取が1日1杯増加するごとのハザード比はそれぞれ0.95、0.93)。また、コーヒーを1日2〜3杯摂取する人では、コーヒーを摂取しない人と比べた全生存期間(OS)のハザード比は0.82(95%信頼区間0.67〜1.00)、無増悪生存期間(PFS)のハザード比は0.82(同0.68〜0.99)であった。
コーヒーを1日4杯以上摂取している人では、得られるベネフィットはさらに大きく、コーヒーを摂取しない人と比べたハザード比は、OSで0.64(同0.46〜0.87)、PFSで0.78(同0.59〜1.05)であった。さらに、こうしたコーヒーの有益性は、カフェイン入りのコーヒーだけでなく、カフェインレスのコーヒーでも認められた。
同氏によると「われわれの研究では、化学療法で治療中の進行性または転移性大腸がん患者のうち、コーヒーを飲む習慣がある人は、がんの進行が遅く、生存期間が長いことが示された」と述べている。しかし、がんの進行にコーヒーが与える影響を明らかにするためにはさらなる研究が必要であることから、「現在コーヒーを飲む習慣のない人が、健康にメリットがあるとの考えからコーヒーを飲み始めることは勧めない」と話している。(9/30 TMS-net=部分)


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(編集人:北島憲二)


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