エンタプライズ発信〜メールマガジン【№86】 2018. 6

ファッションや見た目に気を使っていても、背中が丸まり、腰や膝に不調を抱えた状態では、歩く姿はいい印象とは言えません。ふだん意識することのない「歩き方」。自分の歩く姿勢を見ることはあまりないと思いますが、道行く人の歩き方を見てみると、背中を丸めて歩いている人の多さを感じることと思います。二足で立つヒトは姿勢も歩く姿も軽んじることはできません。そこで基本となる姿勢の作り方から。まっすぐ立って、アゴを軽く引いて視線を上げ、頭が前方にいかないよう意識することが大切です。顔が上がって背中がすっと伸びた状態になります。おでこを後方に軽く押すだけでも頭の位置を意識することができます。簡単にできるセルフチェック法は、1)両肩をすくませるようにして肩と耳を近づけるように上げる。2)その状態で肩甲骨を背中側で締めるように近づける。3)一気に脱力し、上げていた両肩をストンと落とす。これが自然形です。次に骨盤の位置をチェックします。腸骨稜に手を当てて、骨盤の位置を確認します。しっかりと骨盤を立てて前傾した状態(軽く腰が反った状態)を保持するようにすると、重心の位置も正しくおさまります。そして歩き方。歩くときには足のつま先を前方に向け、膝も同じ方向にして歩くようにします。また左右の足が接地する幅は、骨盤からすっと足をまっすぐ下ろした位置が理想的です。骨盤が歩くたびに前後しないように、左右の足幅は拳一つ分くらいの間隔を空けて歩くように心がけると良いと言われています。ふだんの歩き方を見直してみるだけでも姿勢が変わる、肩こりや腰痛などの改善にもつながるということ、加えてやや大股で颯爽と気持ちよく歩けるようになればスマートさも伴って心は軽やか。良い歩行は自律神経のバランスにも有用です。気象のぐずつきのある今の時季には患者さんに啓発するのもタイムリーです。

★☆★━━━━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━━━★☆★

【1】老いない人の健康術 〜免疫と水素〜
【2】エネルギー医学の将来〜点と点からの発展性
【3】“こころ” と “からだ”……臨床にモノ思う
【4】『ひとりあんま気功』 〜自分で押すのが一番効く
【5】伝統医学をシルクロードに求めて 〜くらしのなかの中医学〜
【6】根拠に基づく腰痛の原因と治療 《腰痛治療の新常識》
【7】N・E・W・S
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Information

オープンセミナー 「ホメオパシーを知ろう!」 鹿児島

ホメオパシーの啓蒙活動を推進している日本ホメオパシー医学会では、多くの方にホメオパシーについて知っていただくために、オープンセミナーを開催している。7月は鹿児島市内にて行われる。参加費無料。

  • 講義内容 :ホメオパシーとは/ホメオパシーの薬とは/ホメオパシーの診察とは/ホメオパシーの適応は/ホメオパシーは安全か
  • 開催日:7月22日(日)14:00〜16:00 <参加無料>
  • 講 師:板村論子氏(MD., Ph.D., MFHom)
  • 会 場:宝山ホール第6会議室(鹿児島県文化センター 鹿児島市山下町5-3 TEL:099-223-4221)
  • 参加資格:医師、歯科医師、薬剤師
  • 参加ご希望の方は日本ホメオパシー医学会事務局宛E-mailで 「参加希望」とお送り下さい。
    info@jpsh.jp(URL:http://www.jpsh.jp
★★★★★★ 連載対談 ★★★★★★

老いない人の健康術 〜免疫と水素〜

* 安保 徹(元新潟大学名誉教授)
* 太田成男(日本医科大学教授)

2週間の運動でミトコンドリアは増える

[安保] ミトコンドリアを増やす方法はいろいろあると思いますが、一番大事なことは何ですか。
[太田] やはり運動ですね。増えたり減ったりすることがミトコンドリアの大きな特徴です。つまり運動や食事などの生活習慣でミトコンドリアの能力は簡単に変えることができます。しかも年齢を問わず、いつでも変えることができるんです。
[安保] 歳をとってからでも遅くないのですね、励みになる話だ。(笑)
[太田] それからミトコンドリアの増減は2週間を目安に考えるといいですよ。
[安保] 2週間運動をさぼると減るということですか。
[太田] 1週間なら大丈夫でしょうけど、2週間さぼると減りますね。
[安保] 2週間さぼってミトコンドリアが減ったとしてもまた気軽に最初から始めることができると思えば、逆に気が楽ですね。
[太田] ミトコンドリアはエネルギーが足りないと感じたときに増えます。エネルギーがある程度少なくなったときに増えるわけだから、それくらいの負荷の運動をすればちょうどいいわけです。
[安保] 軽めの運動というか、その人にとって少し負荷のかかる運動ですね。
[太田] そうです。速歩きくらいでかまいません。例えば3分間速歩きしたら普通に3分間歩く、という運動を繰り返せばミトコンドリアは増えます。3分間とはいえ、実行してみると結構きついものですよ。

運動する人の方が寿命は長い

[安保] 運動能力には個人差があるから、自分にとってちょうどいい運動をすることが大事ですね。
[太田] 55歳以降の寿命がどのくらいあるか、30年間にわたり2000人ほどを調べた大規模な調査があります。その調査によると、若いころからよく運動をしていて歳をとっても続けている人と、もともと運動していなくて歳をとっても運動しない人の寿命には8年ほどの差が出ました。
[安保] 平均寿命の男女差くらいの違いがあるんですね。
[太田] さらに55歳ぐらいになってから急に無理な運動を始めると、逆に寿命が短くなるという結果も出ています。ある程度の年齢になったら、急激に頑張って運動を始めるのは良くないということですね。
[安保] 自分の体の声を聞いて無理をしない、やはり己を知る、ということですね。
[太田] はい。とはいえ今まで運動をしなかったからと言ってあきらめる必要はありません。少しずつ始めればよいのですから。疲れが残らない程度に運動して、それに慣れたと思ったら徐々に負荷を増やしていく、そんな感じでボチボチやるのがいいと思います。


連載vol.44

エネルギー医学の将来 〜点と点からの発展性

<小社編集部編>

2種類の時間(つづき)

次に引用する一節は、合気道の師範と弟子の稽古風景の描写である。弟子の心の動きを見事に表現したものなので、人間の内なる能力を考えるうえで非常に参考になる。

――砂糖の味を知らない子どもに「どんな味か」と尋ねたら、誰もが「甘い味だ」と答えることだろう。しかし甘いとはどういうことか、どうしたら言葉で味を説明できるのか。味覚は人によって異なるはずである。ある味に対して人がどのように反応するかは、過去の経験、知識、個性によって決まる。味を十分に理解するには味わってみる以外に方法はない。
私はよく早朝稽古で先生(師範)から受け身の技を習ったものだが、ときには1mほども投げ飛ばされることがあった。私の経験を、奥義の一言で片づけずに、真実を探求する者の素直な目で見てもらいたい。自らの経験に対する私の解釈は、時とともに変化し成長したが、経験を積み重ねることこそが私の求道であったし、そのことは今も変わっていない。したがって自分の経験を言葉で表現することは、私の使命なのである。
稽古で技を披露するとき、私は全力で師範に立ち向かう。そのとき私の頭の中には師範を倒すこと以外の考えはない。師範の気合の声(下腹部から出る鋭い叫び声)が響くと、道場の壁が震え、私の全身はその振動に囚われる。嵐のような力を感じる。台風のように猛烈な風が私を襲う。そして師範の引力が私をとらえる。その引力は宇宙のエネルギーから引き出されたもので、「ブラックホール」のように強い力に引きつけられた私は、逃げることもできない。私の奥深いところで爆発が起き、宇宙全体が広がる。そこにあるのはただ光だけだ。目も眩むような閃光とエネルギーだけがあるのだ。
私には自分の体が見えず、感じることもできない。唯一の存在は、光から広がる莫大なエネルギーだけである。側から見れば何分の1秒間の出来事かもしれないが、私の時間は停止している。時間も空間も音も色も何もない。静寂は、師範の雄叫びよりも耳をつんざく。一面の光の中で私も光になる。私の心と魂が照らし出され、手にとるように見える。私の体が畳と一体になったとき、私は甦るのである。(早乙女 1993)――

◇調和のダンス
チームスポーツに参加する選手には、この上もなく完璧にチームメートと調和するときがあるという。アメリカンフットボールでラインバッカーを務める友人によると、彼と彼のパートナーは互いに相手の動きを感覚的に読み取っていたそうだ。相手チームのボールの持ち主の動きが引き金になって、2人のラインバッカーは見事に協力しあい、1つ1つのタックルを決めたという。同じような同調化は、バレエをはじめとするさまざまなパフォーマンスでも認められており、何人ものパフォーマーの動きが完璧に調和するのである。
ジャズミュージシャンがよく例に挙げるのは、それぞれの奏者がただ感じるままを即興的に演奏しているだけなのに、しばらくすると全員が1つになったかのようにリズムやハーモニーが揃って、1曲の音楽が出来上がる瞬間である。同じような話はドラムの奏者たちからも聞くことができる。(つづく)(出典『エネルギー療法と潜在能力』)


連載エッセイ 54☆

“こころ” と “からだ” …… 臨床にモノ思う。

・保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


イップスの改善にブレーキをかける「技術論」と
イップスにならない「コツ」

ゴルフのドライバーイップスの患者で、しばらく通院し、一時改善していたが、またぶり返していた。その原因の一つに「技術論」へのこだわりがあった。通院過程でフォームなどのテクニックなどに囚われすぎるとイップスの改善に影響を及ぼすということは、頭では理解しても、ついついテクニック論の方へ傾いて症状の改善を遅らせていた。
なぜそこから抜け出せないのか? それを調べてみることにした。するとゴルフの技術論を追求すること自体が大好きで、そこが「快」になっているということが分かった。「ゴルフプレー」→「問題を引き出す」→「技術論で答えを模索」→「快」→「ゴルフプレー」→「問題を引き出す」→「技術論で答えを模索」→「快」→「ゴルフプレー」というような潜在的な負の習慣(パターン)が「快」にリンクしており、そのサイクルから抜け出せていないとうことが分かった。
好きだからゴルフをやっている。それはごく当たり前のことなのだが、具体的にゴルフの何が好きなのかを質問してみると、人それぞれに微妙に違うものである。だんだんと上達するという「自己成長」が「快」になっている人もいるだろう。勝ち負けに関係なく、友人とゲームを楽しむことが「快」になっている人もいるだろう。ゴルフプレーを継続する動機は人それぞれであるが、今回は隠れた動機(快)が条件づけされて、イップスの改善にブレーキをかけていたという事例である。

患者はそのことが心の底から理解できた様子で、撮りためていたゴルフ指導に関するビデオを見るのをやめると宣言した。以前から技術論がイップスに影響しているのが分かっていたので、技術論から卒業したのかなと安心していたものの、心の底では抜け出せていなかったということがその時に分かった。
誤解のないように言えば、「技術」を意識することがすべてイップスにつながるというわけではない。スイングのフォームを改良して成績が向上した人もいる。どのようなスポーツでも最初は基本のフォーム(型)を指導者から学んで、何度も練習を繰り返し、身体に覚えさせて上達していくものである。
要するに技術(テクニック)は必要だが、その捉え方が大事なポイントになる。「どのような技術論がイップスになりにくいのか」、多くのイップスの患者をサポートしてきた経験からイップスになりにくい「コツ」を紹介してみたい。これはゴルフのイップスに限らず、あらゆるスポーツやパフォーマンスなどのスランプにも影響を及ぼすので、参考にしていただければと思う。

  『イップスにならないためのコツ』
   < 機 械 論 >         < 有 機 論 >
機械論的な理論のメカニズム  ⇒ 有機論的な自然のメカニズム
細かい技術理論の指導を受ける ⇒ 全体を見てマネして身体で覚える
部分的なテクニカル指導    ⇒ 全体的で抽象的な指導
腕や足の部分を意識する    ⇒ 軸や下半身など全体を意識する
部分的な身体の動かし方    ⇒ 目的に応じた自然な身体の動かし方
力やスピード         ⇒ バランスやリズム

この「機械論」と「有機論」を比較してどのように感じるだろうか? 一見すると「機械論」の方が、何か理論的で信頼できるような感じがしないだろうか? その一方で「有機論」は、抽象的で答えがないような曖昧な感じがするだろう。それは、多くの人が機械論的あるいは科学的な教育を受けているからであると言えよう。その思考ラインで考えると、分析的、還元論的になり、身体をロボットのように考えて、部分的な理屈で問題を改善しようと考えてしまう。
しかしながら、人間は部品を取り替えれば修理できる単純なロボットではない。部分的で機械論的な理論で答えが出ないことばかりの連続である。人間はむしろ、全体的で有機論的な「関係性」や「つながり」で統合された生き物であることを忘れてはならない。

◆連載6◆

『ひとりあんま気功』〜自分で押すのが一番効く

孫 維良(東京中医学研究所所長)

腹式呼吸をしながら両手のひらをこすり合わせる

では、調心の具体的なやり方を説明してみます。調心は一様ではなくて、あんま気功法の種類によって微妙に違うのですが、ここでは一番ポピュラーな方法を取り上げてみます。
①まず軽く目を閉じます。目を開けたままでいるとどうしても周りの人や物に注意をうばわれ、雑念を払いにくくなるからです。
②続いて、頭の中から雑念を払い、頭を空白の状態にします。それができないときはなるべく心の安らぐイメージや楽しいイメージを思い浮かべます。
③臍に軽く意識を集中して、丹田に気を集めます。こうするとやがて丹田が温かくなってきます。
④両手に軽く意識を集中して、手に気を集めます。今度は手も温かくなってきます。
ただし、臍や手に集中して気を集めるのは初心者にはむずかしい場合があります。いきなり丹田や手を意守しても、なかなか丹田・手が温かくならないこともあるのです。ですから初めてあんま気功法に挑戦する人は、丹田を意守することは除外して、ただ腹式呼吸をしながら、両手のひらをこすり合わせるだけにしてください。
両手のひらをこすり合わせると、しだいに手は温かくなってきます。手が温かくなるのは、手に気が集まったからなのです。つまり手を意識して気を集めることができなくても、同じ効果をもたらすのです。

手のどこを使うかで圧の差が生じる

あんまとは、手さえあればどこでも、いつでも治療できる便利な療法です。中国の医者たちは手だけであらゆる病気の症状に対応できるように昔から工夫を重ねてきました。
その一つが手のどこを使うか、という工夫、試みです。例えば、指先で押すのと指面で押すのではかなりの違いがあります。指先を垂直に立ててツボを押すと、その先端はかなり細い点に近づきます。そのゆえ鍼麻酔の代わりに指先で麻酔をかけることもできるのです。ところが指面はわずかな面積だと言っても、指先に比べればその数倍の面でツボに接することになります。また同じ指面でも、使う指が親指と中指ではその様相は変わってきます。つまり圧のかかり方が変わってきます。
指ではなく、ほかの手の部分だったらどうでしょう? 母指球と小指球、あるいは掌根と呼ばれる手首の上の部分のように、面の広さはそう変わらなくても肉の厚みにはそうとうな差があります。この肉の厚みの差が、押したり揉んだりするときに刺激の差、圧の差となって現れます。しかも圧の差は痛みの差でもあるのです。例えば殿部のように肉のついた部位は少し強い力で押しても痛く感じませんが、胸や背中の薄い肉の部位は強い圧をかけると痛くてたまりません。そこで肉の薄い部位には母指球を用い、厚い部位には掌根ほかの部分を用いるようにします。(つづく)


《最終回》

伝統医学をシルクロードに求めて

池上正治(作家・翻訳家)

「木」を見て「森」を見ない西洋医学

日本では高齢社会の話題で持ちきりである。また近代医学だけでは十分な治療効果の期待できない疾患が増えてきている。今日の時代、人体の持つ自然治癒力を重視し、心身をホリスティックに把握する人類の知恵の結晶――伝統的な医学と薬学が再認識されるのはまことに当然のことである。その傾向は、伝統的な医薬の要素を温存している「農業を主」とした発展途上国よりも、「近代化」した工業国において、むしろ強いのである。
現在は一般的に西洋近代医学をオーソドックスな医学とし、それ以外の治療法をオルタナティブ(代替)療法などと呼んでいる。この規定は現時点に力点を置きすぎており、歴史的、長期的に見るならば、西洋医学もまたオルタナティブ医学の一つに過ぎないのである。顕微鏡の発明は16世紀末、血液循環の立証は17世紀初め、19世紀後半にウイルヒョウーの「細胞病理学」やコッホの結核菌の発見がある。

「近代哲学の祖」デカルトは、心(精神)と身(物体)を二元的に論じた。それによりヨーロッパは中世の暗黒およびキリスト教の呪術から解放されることになる。科学技術の進展や産業の発達により、西洋医学は飛躍的に進歩したことは事実である。その結果、人類は、大敵であった各種の感染症から救われたこともまた、歴史的な事実である。しかし、このヨーロッパ的思考の限界と弊害は、すでに議論の対象になっている。それは心と体を分離し、人体を徹底的に解剖して、人体の臓器を「部品」と考えるようになったことである。同時に個別の専門性を進化させるあまり、人体をグローバルに見ることができなくなったことである。

「木」を見て「森」を見なくなったのが西洋医学である。これに対し、伝統医学の理論や思考には、豊かなる「森」がある。医学は神の啓示であり、人間は大きな宇宙の一部であるとする。それは一種の自然哲学であり、人類の悠久の歴史の中で育まれてきた英知である。惜しむらくは、伝統的な医薬学はその歴史性ゆえに、現代の人間にとって難解極まりないことだ。中国の伝統医学の教育では、まず「医古文」の勉強に重点が置かれる。このように伝統医学では「森」は豊かなのだが、「木」がいささか見えにくいと言えよう。
伝統的な医学や薬学の世界は、難解ではあるが、それは人類のたどった道の一部であり、理解することは不可能ではない。その作業の中から、新時代へのステップが開始されるだろう。

今世紀の大方向は、おそらくそれまでの科学の到達レベルを踏まえ、人類のこれまでの伝統知を重視し、現在の西洋医学をもオルタナティブ医学として包括したものになるだろう。それは、数百年を単位として通用し、「木」を見て「森」をも見る新たな医学――「人類医学」とでも呼ぶべきものになるのではなかろうか。(了)


根拠に基づく腰痛の原因と治療 – 腰痛治療の新常識(61)

長谷川淳史(TMSジャパン代表)
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腰痛に関する正確な情報には想像を絶するほどの治癒力があります。どうか情報の拡散にお力をお貸しください。

■(10)ミエログラフィーとCT-ミエログラフィーは侵襲的な検査であり、合併症のリスクを増大させることから、外科手術を前提とした特別な状況に限って行われるべき画像検査である(確証度D)。http://1.usa.gov/uhlYSO
・・・日本ではまだ行なわれているようですけど、腰痛診療ガイドラインが新しくなればなるほどミエログラフィー(脊髄造影)は避けるべきと勧告しています。

■(11)CTとMRIのスライス幅は0.5cm以下で椎体終板に平行。MRIの磁界強度は0.5T以下。ミエログラフィーとCT-ミエログラフィーは水溶性造影剤。これらの画像検査の調書は放射線科医の報告を基に作成する(確証度B)。http://1.usa.gov/uhlYSO
・・・これはテクニカルなことなので特にコメントはありません。

■(12)骨スキャンはレッドフラッグが認められる急性腰痛患者の評価に推奨するが、妊娠中は禁忌である(確証度C)。
 (13)サーモグラフィーは急性腰痛患者の評価に推奨できない(確証度C)。http://1.usa.gov/uhlYSO
・・・レッドフラッグがなければ画像検査は無意味なのは分かりますが、サーモグラフィーが役立たないというのは意外ですね。

■(14)椎間板造影(ディスコグラフィー)は侵襲的な検査である上にその解釈も曖昧なため、急性腰痛患者には推奨できない。他の非侵襲的検査(CT・MRI)を行うことで、椎間板造影による合併症は回避可能である(確証度C)。http://1.usa.gov/uhlYSO
・・・そうはいってもCTだってかなり侵襲的(身体を傷つけること)なのですけどね。

■(15)腰部椎間板ヘルニアによる神経根障害が疑われる患者に対するCTディスコグラフィーは、合併症のリスクが増大するために他の画像検査(CT・MRI)以上には推奨できない(確証度C)。http://1.usa.gov/uhlYSO
・・・要するに椎間板造影はやめろという勧告です。なのに日本ではまだ行なっている医療機関があるようです。

■(16)鍼筋電図(EMG)とH反射は腰痛の有無にかかわらず下肢症状が1ヶ月以上続く患者の神経機能障害の査定に有益と考えられる(確証度C)。
 (17)理学検査で神経根症状の存在が明白なら電気生理学的検査は推奨しない(確証度C)。http://1.usa.gov/uhlYSO
・・・鍼筋電図(EMG)とH反射は下肢症状が神経根に由来するものなのか、あるいはニューロパシーの存在を確かめるには役立ちますが、発症後1ヶ月以内に行なうと誤診率が高くなります。電気生理学的検査というのはEMG(筋電図)やSEPs(脊髄誘発電位)を指します。

■(18)急性腰痛患者の評価に体表EMG(筋電図)とF波テストは推奨できない(確証度C)。
 (19)SEPs(脊髄誘発電位)は、脊柱管狭窄症と脊髄ミエロパシーが疑われる場合の評価に有用と考えられる(確証度C)。http://1.usa.gov/uhlYSO ;
・・・推奨しないのというのでどうでもいいのですが、F波テストとは伝導速度検査法のことです。

■(20)心理的・社会的・経済的因子は腰痛発症と治療成績に大きな影響を与える(確証度D)。
 (21)レッドフラッグがないのに日常生活が困難な場合、検査や治療を追加する前に非現実的な期待や心理社会的因子を検討する(確証度D)。http://1.usa.gov/uhlYSO ;
・・・確証度Dですからまだ手探り状態だったんでしょう。しかし1994年にはすでに腰痛疾患とイエローフラッグ(心理社会的因子)との関連に気づいていたわけです。
 (※本号でガイドラインの紹介は終了いたします)

 N  E  W  S

NEWS ■ 指がポキッと鳴る原理、数式で解明?

指を引っ張ると関節がポキッ。1世紀以上前から論争になってきたこの不思議な音の原理がとうとう解明されたかもしれない。米スタンフォード大などの研究者が、音が鳴る仕組みを数式で示し、英科学誌サイエンティフィックリポーツに発表した。
指が鳴る音は「クラッキング音」とも呼ばれる。関節に力がかかると、隙間を満たす液体中の圧力が変化し、たまった気泡がつぶれるときに音が鳴るという説が有力だ。研究者らは、中指の第三関節が折れ曲がって鳴るまでの様子を、数式を組み合わせてシミュレーションした。
関節の直径などをもとに骨と骨の間を流れる液体の量を推定し、気泡の崩壊によって生じる圧力の変化がクラッキング音を生みだすことを数理的に導き出した。実際に3人の中指の音を測定し、数式で予測した音と比べてみたところ、よく似ることも確かめた。今回の成果だけで音が鳴る仕組みを完全に説明できたわけではないが、研究者は「音の原因は小さな気泡の崩壊によるものと考えるのが正しい」と自信たっぷりだ。(6/13 朝日新聞)

NEWS ■ 夜更かしの75歳以上、認知症リスク高まる

夜更かしする75歳以上は認知症のリスクが高まるとする調査結果を、国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)などの研究チームがまとめた。6月14日から京都市で始まる日本老年医学会で発表する。
2011年度に、有志で参加した大府市の65歳以上のうち、認知症や認知症になるリスクの高い脳卒中などの疾患のある人を除いた4268人の起床や就寝時刻などを調べた。このうち約4年後までに認知症を発症した人は、75歳未満で73人(2.3%)、75歳以上で113人(10%)いた。
認知症の発症リスクと就寝時刻の関係をみたところ、75歳未満では差がなかったが、75歳以上では、午後9〜11時に寝る人に比べて、午後11時以降に寝る人は認知症の発症リスクが1.83倍高かった。調査にあたった同センター予防老年学研究部の中窪翔・流動研究員は、「明確な理由は明らかではないが、体内時計の自然な流れに逆らうことが影響を与えているのかもしれない。何時以降に寝るとよりリスクが高まるかなど、今後さらに研究を進めたい」としている。(6/13 朝日新聞)

NEWS ■ 足趾力が糖尿病の診断マーカーとなる可能性

糖尿病患者の足趾力は、糖尿病に罹患していない人よりも有意に弱いことがトヨタ自動車健康支援センターウェルポの諏訪雅貴氏らの研究によって明らかになった。著者らは「糖尿病の診断マーカーとしては握力よりも足趾力が適しているだろう」としている。Endocrine Journal誌オンライン版3月28日号に掲載。
以前の研究で、筋力低下は糖尿病の潜在的な予測因子の1つであるということが示唆されている。今回の研究では、35歳から59歳までの日本人男性1390例の足趾力と握力の測定を行い、糖尿病有病率との関連を調査した。糖尿病の定義は、空腹時血糖126mg/dL以上、糖化ヘモグロビン6.5%以上、および/または血糖降下薬を使用している場合とした。筋力測定における1標準偏差増加当たりのオッズ比および95%信頼区間は、多重ロジスティック回帰モデルを用いて算出した。主な結果は以下のとおり。
・対象のうち、114例が糖尿病と診断された。
・糖尿病と診断された群の足趾力は、糖尿病に罹患していない患者の足趾力よりも有意に弱かったが、握力では有意な差は認められなかった。
・筋力測定における1標準偏差増加当たりのオッズ比は、足趾力 0.769(95%CI:0.614〜0.963、p=0.022)、足趾力/体重 0.696(95%CI:0.545〜0.889、p=0.004)、足趾力/BMI 0.690(95% CI:0.539〜0.882、p=0.003)であった。握力ではこのような関連は認められなかった。
(6/5 ケアネット)

NEWS ■ 難病・ALSの原因を細胞内から取り除く抗体開発

全身の筋肉が動かなくなる難病・ALSの原因となるたんぱく質を細胞内から取り除く抗体を開発したと、滋賀医科大学などの研究チームが発表しました。
ALS=筋萎縮性側索硬化症は、脳などからの命令を筋肉に伝える運動神経細胞が消失していく難病で、異常が起こったたんぱく質が塊となって症状を引き起こすといわれています。発症すると数年のうちに、飲み込んだり呼吸したりすることも困難となりますが、治療法は確立されていません。滋賀医科大学などの研究チームが開発した抗体は、人の腎臓から培養した細胞で実験したところ、異常を起こしたたんぱく質を細胞内から取り除くことができ、正常なものには反応しなかったということです。研究チームは「病気の進行を止めるための治療薬を開発するうえで重要な知見になる」としています。(6/1 MBSニュース)

NEWS ■ 現代女性は低体温…基礎体温36℃未満が4割近くも

現代女性の平均基礎体温は36.5℃で、36℃未満の女性が38%もいる。こんな研究結果が5月25日〜27日大阪で開催された日本抗加齢医学会で発表された。産科婦人科舘出張佐藤病院院長の佐藤雄一氏、順天堂大学医学部小児科学講座らの共同研究グループが民間の3万2000人のビッグデータを分析して明らかにした。
分析は、エムティーアイ社が運営する月経管理アプリ「ルナルナ」利用者のうちデータ利用の同意が得られた匿名ユーザー3万2735人、延べ119万5800日のデータで行われた。年齢層は10代後半から40代を中心に幅広く分布している。その結果、全対象者の全期間の高温期と低温期のすべての体温を平均した平均基礎体温は、36.53±0.22℃。また、データ解析から日本人女性の平均的な低温期の基礎体温は36.197℃、高温期では36.763℃と推計した。
平均基礎体温を0.5℃刻みで見ると、35.0℃未満0.1%、35.0℃以上35.5℃未満1.9%、35.5℃以上36.0℃未満36.8%、36.0℃以上36.5℃未満60.2%、36.5℃以上37.0℃未満0.9%、37℃以上0.1%。平均基礎体温が36℃に満たない女性が38.8%にも上った。低温期の基礎体温を、過去(1972年)の報告と条件を整えて比較したところ、0.32度低くなっていた。さらに低温期の平均基礎体温について、低値群(36.1℃未満)と高値群(36.1℃以上)に分け、その特徴を調べたところ、低値群で、タンパク質摂取量、運動実施率が有意に低く、朝食欠食率、月経異常の割合は有意に高かった。
佐藤氏は「現代女性はさまざまな理由でかつてよりも低体温になっていると考えられる。今回の分析で、低体温者には月経異常や栄養不良が多い傾向がわかったため、女性ホルモンや女性特有疾患との関連性を検討する必要がある」としている。(6/1 ケアネット)

NEWS ■ 中・高校時代の部活が心血管死リスクに〜7万人調査

日本人の中高生時代における運動部への参加と成人期の運動習慣が心血管疾患(CVD)死亡率にどのように関連するのかを、米国・Harvard T.H. Chan School of Public Healthのゲロ クリスティーナ氏らが調査した。その結果、成人期に運動している男性において、中高生時に運動部に参加していた人の冠動脈疾患(CHD)死亡リスクはより低いことが示唆された。Preventive Medicine誌オンライン版5月10日号に掲載。
本研究では、1988〜90年に40〜79歳の男性2万9526人と女性4万1043人にアンケートを実施し、ベースライン時の運動頻度と中高生時の運動部参加について質問した。2009年末まで実施した追跡調査で、CVD死亡4230例(冠動脈疾患870例、脳卒中1859例)を同定した。Cox比例ハザード回帰モデルを用いてハザード比(HR)を推定した。主な結果は以下のとおり。
・追跡調査開始から3分の2(比例ハザード性が成立)の期間において、ベースライン時に週1〜2時間運動していた人に対して週5時間以上運動していた人では、全CVD死亡率の多変量調整後HR(95%信頼区間)が、男性で0.77(0.61〜0.98)、女性で0.82(0.61〜1.10)であった。また、CHD死亡率のHRは、男性で0.65(0.39〜1.07)、女性で0.40(0.17〜0.91)であった。
・成人期と中高生時の運動の複合的な関連性を検討したところ、ベースライン時に5時間以上運動していた男性のうち、中高生時での運動部参加者における非参加者に対する多変量調整後HRは、全CVD死亡率で0.89(0.61〜1.30)、CHD死亡率で0.24(0.08〜0.71)であった。女性では、運動部参加者と非参加者の間に統計学的有意差は認められなかった。
(5/25 ケアネット)

NEWS ■ 「座り過ぎ」は心臓だけでなく脳にも悪影響

椅子やソファに長く座り過ぎると心臓だけでなく脳にも悪影響を及ぼすらしい-。「PLOS ONE」4月12日オンライン版に掲載された研究によると、座った姿勢で長時間過ごす人は、新たな記憶の形成に重要な脳領域の皮質が薄いことが分かった。研究行った米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)セメル神経科学・ヒト行動研究所のPrabhaSiddarth氏らは、こうした脳領域の皮質の菲薄化には、座りがちな生活による運動不足ではなく、座ること自体が関連しているのではないかと指摘している。
この研究では、認知機能が正常な45〜75歳の男女35人を対象に、日常的な運動量と過去1週間の1日の平均座位時間について尋ねた上で、脳のMRI検査を実施し、記憶の形成に関わる内側側頭葉(medial temporal lobe)と小領域(subregion)の皮質の厚さと運動量および座位時間との関連を調べた。その結果、座っている時間が長い人ほど内側側頭葉とその小領域の皮質が薄いことが分かった。一方で、こうした脳領域の皮質の厚さと運動量との間には関連はみられず、比較的運動をしている人でも座位時間が長いとこれらの領域の皮質は薄くなっていた。しかし、専門家の一人で米ズッカー・ヒルサイド病院のMarc Gordon氏は「座るという行動全てが脳に悪影響を与えるわけではなく、座っている間に何をしているかで影響は異なる可能性がある」と指摘する。Siddarth氏らもこの意見に同意を示しており、「座っていても、クロスワードパズルや書き物、書類の作成、コンピューターゲームなどで認知的な活動をしている人と、テレビや映画を見ているだけの人では差があるかもしれない」と話している。
また同氏らは、内側側頭葉の皮質が薄くなることは、中年期以降に認知機能が低下したり、認知症を発症する前兆である可能性を指摘し、「座位時間をいかに短くするかが、アルツハイマー病やその他の認知症を予防する鍵となる可能性がある」と述べている。さらに、これまでの研究で座位時間が長いと心臓病や糖尿病、早期死亡リスクが高まることが報告されており、同氏らは「座りがちな生活を解消することはこれらの疾患の発症や死亡リスクの低減にも役立つだろう」と付け加えている。(5/24HealthDayNews)

NEWS ■ 医学部定員、削減検討を=22年度以降

厚生労働省の有識者検討会は6月21日、将来的な医師過剰が見込まれるため、医学部の定員について2022年度以降の削減を検討すべきだとする報告書案を大筋で了承した。医師不足解消のため、政府は08年度以降、医学部定員を暫定的に増員してきた。しかし、人口減少などで医師の需要は減る見込みで、厚労省の推計によると、定員が現状のままなら、28〜33年ごろ需給が均衡した後、供給過剰に転じるとされる。 (5/22時事通信)

NEWS ■ <神奈川・免許センター> 作業療法士採用、運転支援

高齢者らの自動車運転を支援するため、神奈川県警は6月、リハビリ専門家の作業療法士を全国で初めて運転免許センター職員として採用する。高齢者による交通事故が多発する中、専門家は「交通安全につながる」と話す。作業療法士は、全国500超の病院や施設で高齢者らの運転再開に向け、検査や、自動車教習所と連携して運転能力を評価する活動を行っている。県警は専門能力に着目し、県内のリハビリ病院に勤務する30代の女性作業療法士1人を非常勤で採用することにした。センターでは、75歳以上の運転免許証更新時に実施される「認知機能検査」の相談に乗り、脳卒中の病後に運転能力が回復しているかなどを検査する。高齢者の事故が多発していることを受け、警察庁は昨年、医療をはじめ専門性の高い職員をセンターの相談窓口に置くよう都道府県警に通達。現在19都府県で計33人の看護師や保健師が配置されている。神奈川県警運転教育課は、看護師に比べて運転に関する知識のある作業療法士がより適任と判断、「高齢化に伴って相談や検査のニーズが高くなっている。専門家の助言を得てスキルアップしたい」としている。蓮花一己・帝塚山大学長(交通心理学)は「作業療法士だけでなく、多くの職種が協力して交通行政に関わることで、より安全につながるのではないか」と話している。(5/21毎日新聞)


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