エンタプライズ発信〜メールマガジン【№85】 2018. 5

夏の日差しが季節外れに訪れています。燦燦の日光は目を傷めます。とりわけ50代で約6割、60代で約8割が白内障になると言われ、年間140万件もの手術が行われているそうです。人間の目の構造をカメラに例えると、レンズに当たる部分が水晶体です。水晶体の性質が変化し混濁してくると、外からの光が眼球の奥に届きにくくなり、かすみや視力低下、光をまぶしく感じたりするなどの症状が生じます。車を運転する人や旅行が趣味の人など、まして眼を酷使する職業の人には喫緊の問題です。白内障にならない人もいるのですが、それは目のダメージと目の回復のバランスで決まります。目のダメージとは、怪我をしやすい生活や、目をこする生活、薬を飲んでいる、紫外線をよく浴びる人です。目は光のダメージを直接受けやすく、酸化(=老化)しやすいそうです。そのため進行しやすい人は、光をとても見ている人。パソコンのモニタもそうですし、また一般に紫外線が多い、南に住んでいる人がなりやすいと言われています。またストレスの多い人は目が“老化”しやすいですし、糖尿病の人もなりやすいです。過剰な飲酒で白内障が進んでしまうこともあります。喫煙する人も注意が必要です。喫煙により血管が収縮するので目の血流が悪くなり、発症の確率が2.8倍に増加するというデータもあります。では対策はどうすればいいのでしょうか。紫外線を避ける、日傘やつばの広い帽子の着用、UVカット機能の入ったメガネで直射日光を避ける。サングラスは紫外線の吸収率を見て、UVカットされていれば色が薄くてもOKです。またスマホは30cm以上離して見るか、輝度を下げるほうがいいと言います。白内障の原因は加齢だとしても、見え方に困っていなければ治療は必要ありません。ただし白内障が進行している人で、見え方に不自由を感じるようになれば手術が必要となります。気になっている方、いませんか?

★☆★━━━━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━━━★☆★

【1】老いない人の健康術 〜免疫と水素〜
【2】エネルギー医学の将来〜点と点からの発展性
【3】“こころ” と “からだ”……臨床にモノ思う
【4】『ひとりあんま気功』 〜自分で押すのが一番効く
【5】伝統医学をシルクロードに求めて 〜くらしのなかの中医学〜
【6】根拠に基づく腰痛の原因と治療 《腰痛治療の新常識》
【7】N・E・W・S
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Topic

心身条件反射療法研究会(基礎2)が開催される

第61回心身条件反射療法研究会(基礎2)が5月13-14日にわたって日本赤十字社本社ビルで開催された。本研究会では三分の二が1〜2回目の参加というフレッシュなメンバーであったが、5人のインストラクターのほかベテラン、中堅の先生方が自身の経験を交えて指導に加わり、密度の濃いテーブルワークが行なわれた。心身条件反射療法(PCRT)研究会では、チームで学び社会に貢献するをモットーに活動しており、事務局の吉田美和子さんは「これからも脳が無意識に学習した誤作動記憶を書き換える有機的な施術で患者さんのお役に立ち、社会に貢献していきたい」と語っている。次回研究会は7月8日-9日、東京・味覚糖UHA館TKP浜松町カンファレンスセンターで開催予定。心身条件反射療法研究会の詳しい情報はこちら。
http://www.mindbody.jp/category/2007218.html

Information

前福島県立医科大学理事長兼学長の菊地臣一先生が講演
予約受付 TMSジャパン主催

小社とゆかりの深い元国際腰椎学会会長にして前福島県立医科大学理事長兼学長の菊地臣一先生が、本メールマガジンのコラムニスト・長谷川淳史先生が主宰するTMSジャパンに招かれ講演することになりました。テーマは「EBMが明らかにしたNBMの重要性―腰痛診療を通じて―」(仮)で、直接キクチイズムを学びたい方、あるいは世界の頂点を極めた脊椎外科医から薫陶を受けたい方は、お誘い合わせの上ご参加ください。なお、満席に達した場合はその時点で締め切られるとのことでお申し込みはお早めに。
【講 師】 菊地臣一先生(福島県立医科大学常任顧問兼ふくしま国際医療科学センター常勤参与)
【日 時】 12月16日(日) 14〜16;00を予定(13:30開場)
【会 場】 東京都港区高輪3‐16‐33 京急第10ビル
     TKP品川カンファレンスセンター4F バンケットルーム4D
      (品川駅高輪口より徒歩1分 https://bit.ly/2ImKZTC
【受講料】 一般=12,000円 TMSジャパン会員=10,000円
学生・介護職・シングルマザー=10,000円
ペア割(2名様)=20,000円
超早=各2,000円引き(8月16日締切)
早割=各1,000円引き(10月16日締切)
【最終締切】12月9日(ただし定員になり次第終了)
【詳 細】 http://www.tms-japan.org/lecture.html
【お申し込み】「12月の特別講演会」と明記の上、以下のメールフォームからどうぞ。
http://form1.fc2.com/form/?id=576620

★★★★★★ 連載対談 ★★★★★★

老いない人の健康術 〜免疫と水素〜

* 安保 徹(元新潟大学名誉教授)
* 太田成男(日本医科大学教授)

厄年とはミトコンドリアが減る時期のこと?

[太田] 男性の大厄は42歳ですが、これはあながち根拠のないことではありません。年齢別にミトコンドリアを調べてみると、ちょうど40歳前後でエネルギー生産力が衰えてきます。ちょっとした体力や瞬発力の衰えで思わぬケガや事故が起こりやすい時期であることを、昔の人は経験的に知っていたのでしょうね。
[安保] これくらいの高さは何でもないと思ってジャンプしたら、着地に失敗して骨を折ってしまったとか。まだ若いと思っている自分と現実のギャップが生じやすい時期ということだね。昔より平均寿命が延びた現代では、50歳前後で特に注意するようにした方がいいでしょうね。
[太田] 無理がきかなくなる年代、とよく言いますが、エネルギー生産力が衰えるという科学的根拠とその仕組みを知っていれば、若さと健康を保つための対策をいろいろ立てられるわけです。ミトコンドリア研究はエネルギーのメカニズムを明らかするための学問なのですから…。
[安保] 瞬発力に身を任せた生き方から、ミトコンドリアを増やしてうまく活かしていける生き方にシフトしていくことで、健康的な長寿が可能になります。健康かどうかはエネルギーをうまく作れるかどうかにかかっているわけだから、ミトコンドリアを増やして体内で十分なエネルギーを作る生活習慣が大事ですね。

いくら寝ても疲れが残るのはなぜ?

[太田] ではミトコンドリアを増やす具体的な方法について話す前に、エネルギーについてもう一つ話しておきたいことがあります。
エネルギーは体を動かして活動することに使われますが、それだけではないということです。私たちは体を修復するためにも多大なエネルギーを使っているんです。1日働けば疲労が溜まるわけですが、疲労とは体の細胞が破壊されて放置された状態です。疲労回復とは、破壊された細胞を修復して元に戻した状態です。
[安保] 活動中だけでなく、休息中により多くのエネルギーが必要ということだね。細胞がうまく修復されれば疲れは残らないし、1日働いてヘトヘトになっても健康な状態であれば一晩寝ることで復活できますね。
だけどミトコンドリアがうまく機能しなければエネルギー不足になり体の修復が追いつかなくなります。いくら寝ても疲れが残り、そんな状態が続くと病気になりやすいということですね。
[太田] 遺伝子も1日に5万から20万か所くらい壊れていると言われています。それをみんな治さなければいけないのだから、相当なエネルギーが必要です。老化とともに遺伝子の修復は不完全になっていきますし、ミトコンドリアをいかにうまく機能させるかが老化防止のカギですね。


連載vol.43

エネルギー医学の将来 〜点と点からの発展性

<小社編集部編>

極限状態での知覚と運動

特殊な条件下で発揮される人間の常識を超えた能力について、いくつかの例を示しながらその背景にある生体エネルギーの存在を検証していく。私たちが一般にこのような能力を目の当たりにするのはスポーツ観戦時や音楽演奏などのパフォーマンスであろう。また身近になった神秘的な修行、つまり武道や瞑想などの精神修行、あるいは各種ヒーリングの場においても散見される。さらに、衝撃的な出来事に遭遇した人間は、予想もつかない力を現わすものだがこれも同様の領域であると窺われる。

あらゆる種類のスポーツ選手やパフォーマーたちは、時として驚くべき調和と機敏さを見せることがあるが、その瞬間は、限界をはるかに超えた人間の能力が働いているように見える。与えられた環境に対して、あらかじめ完璧に準備ができていたかのように100%の集中力で素早く反応する様子は、あたかも特別な力が彼らに備わっているかのようだ。
例えばジャズミュージシャンやスポーツ選手やダンサーなどが「ゾーン」という表現をしばしば用いるが、それは一生懸命がんばらなくても、共演者やチームメイトと瞬時にして動きが調和する現象を意味している。このゾーンが、仮に意識の力によってもたらされるとするならば、神経学的な意味での意識ではゾーンに入る素早さを説明することができない。

武道の場合

武道の世界では、常識はずれの現象が日常的に起きている。例えば1人の弟子が師範の背後から忍び寄り、渾身の力で襲いかかろうとしていたとする。師範には弟子の姿も見えず、足音すら聞こえていないにもかかわらず、師範の体は瞬間的に反応して部屋の反対側まで弟子の体を投げ飛ばしている。何が起きたのかを師範に聞いてみると、弟子の体が宙を舞うまで襲われたことを「意識」していなかったと、師範は答えるはずだ。「なぜそのような技ができるのか」と問えば、「君は決して私に触れることはできないが、私は常に君に触れている。私は『時間』を支配できるのだ」という答えが返ってくるに違いない。

2種類の時間
師範の言葉はいったいどういう意味なのか。時間について私たちが知らないことを、師範は知っているというのだろうか。それとも私たちには決して解けない謎なのだろうか。
 「今」というときに不可欠な何かがある。しかしそれは科学の域を超えている。(アルバート・アインシュタイン、1963)

ここで時間をめぐる謎に少し迫ってみよう。例えば時間には2つの種類があると考えられる。1つは「神経学的な時間」であり、もう1つは神経系よりはるかに速く動く時計をもとにした「結合組織的時間」である。後者は「量子論的時間」とも言える。神経学的な時間は通常の「神経学的意識」によって確認され、結合組織的時間は稀にしか現れない「結合組織的意識」によって認識されるのではないだろうか。結合組織的意識は全身に広がる組織、すなわち生体マトリックスを知覚のアンテナや情報伝達経路として、また反応を伝える媒体として利用しているのである。(つづく)(出典『エネルギー療法と潜在能力』(小社刊))


連載エッセイ 53☆

“こころ” と “からだ” …… 臨床にモノ思う。

・保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


「生体反応検査法」 をマスターするための大前提

代替医療には様々な療法があります。その中でも症状に応じて治療法を選択する療法と、患者の生体反応に応じて調整法を選択する療法があります。前者は症状に応じて、施術する部位や手法がすでに決まっており、料理本に従って料理をするように長年の経験に基づいて施術手順をハウツー的に真似る手法になります。多くの人は通常医療に類似した手法に慣れており、代替医療においても症状に応じて薬を処方してもらう感覚で、対症療法的にマッサージや鍼灸、整体などを受けるとういうが普通ではないでしょうか。
一方、後者の患者への生体反応に応じて調整法を決定する療法ではオーダーメイド的な手法になります。症状にかかわらず、それぞれの患者が示す生体の反応に応じて施術部位と施術法が決定されます。タイトルにつけた「生体反応検査法」とは、文字が表すように、ある刺激によって示される生体の反応を読み取る検査法のことです。この検査法は神経生理学的な作用を利用しています。生体エネルギー論的に言えば、生体のエネルギーや生体の情報を読み取る方法です。生体反応検査法は特にカイロプラクティックの分野において発展し、数多くのカイロプラクターによって臨床現場で使われています。

カイロプラクティックの領域では、施術部位や施術法の決定には下肢長検査や筋力検査などの「生体反応検査法」が使われてきた長い歴史がありますが、西洋医学の思想に準じて、西洋医学的な診断をベースに調整を行うカイロプラクティックの流派もあります。科学至上主義とまでにはいかないにしても、機械論的な思考が色濃く、目は見えない生体エネルギーや有機的な関係性による反応には否定的な考えを示す傾向にあるようです。生体反応検査法を客観的に評価して、信頼性を示そうという科学的研究もありますが、可能な限り機械的な指標で見なければ、信頼度の高い結果は示されないようです。
もしも、骨の長さだけを評価するのであれば、2人の試験者間の一致度は高まる傾向があります。そこに筋肉の緊張度を加えた評価になるとその一致度は低くなり、さらに動作やメンタル面などの関係性を加えた評価になるとさらに一致度は低くなるでしょう。これらの信頼度を測定する研究には、試験管内で行う研究とは異なり、生きた人間を使って検査を行うため、一定の条件を統一するには無理があります。だからと言って、信用しないという人もいるかもしれませんが、客観性のある科学的データがすべてではありません。科学的なデータだけに基づいて治療を行うということは、様々な関係性や心の影響を排除して、機械論的に施術を行うということになります。

西洋医学の整形外科や外科、内科などの分野において科学的なデータに基づく客観性、再現性のある機械論的な検査や治療はとても重要です。しかしながら、西洋医学では改善が困難な症状に対し求められる代替医療の領域では、目には見えない関係性やメンタル面などの複合した原因が絡んできます。そのような目には見えない因果関係が絡んだ症状を機械論的な西洋医学の概念でアプローチしようとすると、本質的な問題が見えなくなるでしょう。
生体反応検査法は機械論的検査では診ることのできない、様々な関係性を診る有機論的、生命論的検査法です。画像や数値で判断するのではなく、エネルギー的な情報を感じ取って有機的に判断することが大切です。生体反応検査法をマスターするための大前提として、機械論的な検査ではなく、有機論的な検査が必要であるという理解がまず必要になるでしょう。

◆連載5◆

『ひとりあんま気功』〜自分で押すのが一番効く

孫 維良(東京中医学研究所所長)

よいイメージを思い浮かべ、雑念を払う

調心は自分の意識をコントロールして、雑念を払い、精神を統一し、究極的には無の境地に至ることです。しかし仏教の修行僧や武術の達人でない限り、いきなり無の境地になれと言われてもなれる人はいません。そう思えば思うほどかえって雑念が浮かんでくるものです。
ですから、雑念を払おう払おうと思うのではなく、心の中に良質なイメージを思い浮かべたり、気功に適したプラス思考の言葉を唱えるなど、雑念にとって代わる思念をもつようにすればいいのです。
良質なイメージとは、たとえば森、湖、海など、自分の好きな美しい風景を思い浮かべることです。また自分にとって最高に楽しかったことを思い出しながら、元気になった自分の姿を想像したりすることです。このように、プラス・イメージで雑念を払い、心の中のキャンバスを無理に真っ白にしようとするのではなく、そのキャンバスに美しい風景や楽しい思い出を描いて、雑念の入る余地をなくしてしまうのです。
一方、プラス思考の言葉を唱えることを「黙念法」と言います。唱える言葉は、「静かに、静かに」とか「安らかに、安らかに」など、調心に適した言葉なら何でも構いません。「血圧が下がる」「痩せてきれいになる」でも結構です。ただし一心不乱に唱えることはしないでください。過度に意識を集中するとかえって精神の緊張をもたらし、安静の境地とは正反対の混然を招きかねないからです。黙念法ですから口に出さず心の中で唱えることも大切なことです。

もうひとつ、雑念を払い、意識を統一するために効果的な方法があります。それは意識を体の一部に集中させることによって可能とします。これを「意守法」と言います。意守法でよく使われる体の箇所は、手または丹田です。丹田には上丹田、前丹田、下丹田、内丹田、後丹田などがありますが、あんま気功法で意守するのは主に前丹田で、これは臍から親指の横幅で1.5本分ほど臍の下までの範囲を指しています。
手と丹田に意識を集中するのは、雑念を払うためだけではなく、もうひとつ目的があります。それはあんま気功に備えて気の流れをととのえておくのです。
丹田を意守するのは、丹田は本来気が集まるところなので、ここに気を集めて体内の気の流れを調節する目的があります。また手を意守するのは、ツボを刺激する前に手に気を集めて、手から気が出やすいようにスタンバイするのです。ただし、意守法を行う際も意識を集中しすぎないように注意しましょう。「偏差」と呼ばれる副作用をもたらす結果になります。
意識しているようで意識していない、意識していないようで意識している……そんな軽いフットワークの意識の集中を心がけるようにしてください。
こうして良性意念、黙念法、意守法などによって結果的に雑念を追い払い、心安らかな境地に至れば、無の境地にならなくても調心は成功したことになるのです。(つづく)


《連載67》

伝統医学をシルクロードに求めて

池上正治(作家・翻訳家)

酸梅糖(スワン・メイ・タン)

梅の話をつづけようと思う。それというのも「台湾の話梅」の項でも書いたように、梅を材料にした夏の飲料に酸梅糖(スワン・メイ・タン)があるからだ。華北の夏は暑い。北京も天津も本当に暑い。昼寝の習慣をはじめ、この暑い夏をやり過ごす方法を人々は持っている。酸梅糖は言わば家庭の味であり、それぞれの特徴がある。多くの家庭で酸梅糖をごちそうになったが、北京の陳家のものが最も口に合った。甘みと酸味がよく調和し、やや酸味の勝っているところが実に美味だった。爽やかな味が口に広がり、渇いたのどを潤すとともに、口渇感を消してくれる。
陳家のご主人である陳濤さん、奥さんの張京先さんは、ともに中国きっての日本通である。陳さんは慶応大学を、張さんは奈良女子大学を戦前に卒業されている。陳家の酸梅糖が美味だったのも、そんなところに一因があるかもしれない。

梅を塩と砂糖で漬け込み、日乾しにしたものが話梅(ホワメイ)であり、梅を乾燥していぶしたものが烏梅(ウーメイ)である。烏梅を氷砂糖とともに水で煮て、酸梅糖を作る。梅と砂糖の割合で味が決まることになる。一般には氷砂糖がかなり多く、甘味が強い。それというのも中国では甘いことがある種のごちそうであり、氷砂糖はかなり高価な甘味料でもある。タデ食う虫の例えのように、味覚は理論ではなく、その人の好みである。

ふと思いついて、烏梅の薬効を調べてみた。あるある、である。
 ・斂肺止咳 ・渋腸止瀉 ・生津 ・安虫
などである。暑い夏に酸梅糖として梅を取るのは生津である。これはキャンディの酸梅糖の包み紙に印刷された「潤津」と同じものであろう。

華北の夏は暑いだけではなく、極度に乾燥する。洗濯物が乾くかどうかなどは、まったく心配することはない。あっという間に乾いてしまう。そうした環境では、人間もどうしてものどが渇いてしまう。そんな場合、多量の水を飲むよりも、口渇感を取り除くことが大切である。それにはコーラなどではなく、冷やした酸梅糖に限る。しかも烏梅には水分の摂り過ぎに備えて「渋腸止瀉」の効能もあるというではないか。
花も実もある梅に、人間は感謝しなければならない。
 (次号の結語をもって本コラムの終結といたします)


根拠に基づく腰痛の原因と治療 – 腰痛治療の新常識(58)

長谷川淳史(TMSジャパン代表)
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腰痛に関する正確な情報には想像を絶するほどの治癒力があります。どうか情報の拡散にお力をお貸しください。

■【画像検査】(4)腫瘍や感染症を疑わせるレッドフラッグ(危険信号)が存在する場合、単純X線撮影で異常所見がなくても骨スキャン・CT・MRIが必要となる可能性がある(確証度C)。http://1.usa.gov/uhlYSO
…腰痛疾患を診る場合はとにかくレッドフラッグを見逃すなということです。レントゲン写真より病歴聴取(問診)や理学検査(身体検査)の方がはるかに重要なのです。

■同(5)斜方向からの腰椎単純X線撮影を日常的に行うことは、放射線被曝の影響を考えると成人には推奨できない(確証度B)。http://1.usa.gov/uhlYSO
…レントゲン写真の斜位像は脊椎分離症を確認するために撮るわけですが、成人の脊椎分離症と腰痛は無関係なので、意味のない放射線被曝は避けろという強い勧告です。

■同(6)馬尾症候群や進行性の筋力低下のある患者は緊急手術が必要となる可能性があるため、CT・MRI・ミエログラフィー・CT-ミエログラフィーの緊急検査を推奨する。緊急検査の実施は外科医と相談して決定すべき。(確証度C)。http://1.usa.gov/uhlYSO
…馬尾症候群は24時間以内の緊急手術が必要ですが、確証度Cということでも分かるように、現在はミエログラフィーとCT-ミエログラフィーは推奨されません。

■同(7)脊椎腫瘍・感染・骨折・その他の占拠性病変の存在が強く疑われる場合は、CT・MRI・ミエログラフィー・CT-ミエログラフィーによる検査を実施することが推奨される(確証度C)。http://1.usa.gov/uhlYSO
…ハイリスクでハイコストの画像検査はレッドフラッグのある患者だけに許されるということです。

■同(8)重篤な疾患を示唆するレッドフラッグがある場合を除き、腰痛発症後1ヶ月以内のCT・MRI・ミエログラフィー・CT-ミエログラフィーは推奨しない。発症1ヶ月後に重篤な疾患の鑑別や手術を検討する場合には容認(確証度B)。http://1.usa.gov/uhlYSO
…レッドフラッグがない腰痛患者に対して、コストがかかる上にリスクを伴う画像検査はするなという強い勧告です。

■同(9)腰椎外科手術の既往歴のある急性腰痛患者において、腰椎外科手術による瘢痕組織と椎間板ヘルニアを鑑別するための画像検査にはMRIを用いる(確証度D)。http://1.usa.gov/uhlYSO
…腰痛疾患の画像検査は放射線被曝のないMRIが望ましいのですが、コストパフォーマンス(費用対効果)がイマイチです。

 N  E  W  S

NEWS ■ 「慢性疼痛治療ガイドライン」 が発刊される

痛みに関連する7学会のメンバーが結集し作り上げた「慢性疼痛治療ガイドライン」(監修:慢性の痛み政策研究事業「慢性の痛み診療・教育の基盤となるシステム構築に関する研究」研究班)が発刊された。
これまで種々の疾患(がん、生活習慣病、感染症、精神疾患、難病など)への対策が日本政府により行われてきたが、慢性疼痛に対する施策は、エアポケットのように抜け落ちていた。しかし最近、慢性疼痛に対する施策も国の事業として進められるようになり、前述の研究班ほかにより、All Japanのガイドラインが策定された。
本ガイドラインは、全6章(総論、薬物療法、インターベンショナル治療、心理的アプローチ、リハビリテーション、集学的治療)から成り、全51個のクリニカルクエスチョン(CQ)が設定されている。本ガイドラインでは、薬物療法の項に最も多くの紙面が割かれている。なお本ガイドラインでは、「医療者は各項の推奨度のレベルのみを一読するのではなく、CQの本文、要約、解説を十分に読み込んだ上での試行・処方などを検討するようにお願いしたい」「一部、現在(平成30年3月現在)の保険診療上適応のない薬物や手技もあるが、薬物療法においては、添付文書などを熟読の上、治療に当たることが望ましい」と記載されている。
また心理療法として取り上げられた心理教育、行動療法、認知行動療法、マインドフルネス、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)は、いずれも推奨度1(行うことを強く推奨する)とされている。また、最近話題の集学的治療や集団認知行動療法(集団教育行動指導)も推奨度1とされ、その重要性が示されている。(5/18 ケアネット)

NEWS ■ シナモンで関節リウマチ症状が緩和の可能性

わが国では、人口全体の0.4〜0.5%、30歳以上ではおよそ1%が関節リウマチ(RA)にかかるといわれている。シナモンは、民間療法で関節炎などに使用されるが、詳細は検討されていなかった。今回、イラン・Ahvaz Jundishapur University of Medical SciencesのFarideh Shishehbor氏らの研究結果により、シナモンの摂取は、RA患者の炎症および臨床症状を改善する、安全かつ潜在的な補助的療法である可能性が示唆された。Journal of the American College of Nutrition誌オンライン版5月号に掲載。
本研究は、女性RA患者36例を対象とした無作為化二重盲検試験。対象者を無作為に2群に分け、シナモン粉末500mgまたはプラセボが入ったカプセルを8週間連日投与し、開始時および終了時の空腹時血糖(FBS)、脂質プロファイル、肝酵素、C反応性タンパク質(CRP)、TNF-α、赤血球沈降速度(ESR)、血圧、臨床症状を測定した。主な結果は以下のとおり。
・プラセボ群と比較して、シナモン群のCRPおよびTNF-αの血清中濃度が有意に減少した(p<0.001)。
・拡張期血圧はプラセボ群と比較して、シナモン群で有意に低かった(p=0.017)。
・プラセボ群と比較して、シナモン群は、臨床スコアであるDAS28(Disease Activity Score)、VAS(Visual Analogue Scale)、圧痛関節数および腫脹関節数を有意に減少させた(p<0.001)。
・FBS、脂質プロファイル、肝酵素、またはESRの有意な変化は観察されなかった。
(5/16ケアネット)

NEWS ■ 日本人高齢者の歩数と死亡率

これまでの研究では、高齢者の日常的な歩行活動の評価はアンケートに基づいている。今回、愛媛大学の山本直史氏らは、客観的に歩行活動を評価する手段として歩数計を用いて、歩数と全死因死亡率の関連を検討した。その結果、1日平均歩数が多いと全死因死亡率が低いことが示唆された。BMC public health誌4月号に掲載。
本コホート研究には、身体的に自立している地域在住の71歳の日本人419人(男性228人、女性191人)が参加した。1日の歩数は、ベースライン時に連続7日間、腰に装着した歩数計で測定した。1日平均歩数によって参加者を四分位に分け(第1四分位:4,503歩/日未満、第2四分位:4,503〜6,110歩/日、第3四分位:6,111〜7,971歩/日、第4四分位:7,972歩/日以上)、平均9.8年間(1999〜2010年)追跡した。主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中に76人(18.1%)が死亡した。
・1日平均歩数の各四分位における死亡のハザード比(性別、BMI、喫煙、飲酒、薬剤服用を調整)は、最低四分位から順に1.00(基準)、0.81(95%CI:0.43〜1.54)、1.26(同:0.70〜2.26)、0.46(95%CI:0.22〜0.96)であった(傾向のp=0.149)。
・最高四分位の参加者は、最低四分位の参加者と比較して死亡リスクが有意に低かった。

(5/8 ケアネット)

NEWS ■ 心筋梗塞は夏の夜に増加する-日照時間が関与か

急性心筋梗塞の発症時刻には日照時間が強く関与しており、日照時間が長い夏は他の季節と比べて日中の急性心筋梗塞の発症数が減少し、夜間にシフトして増加することを、京都府立医科大学循環器内科の西真宏氏らの国際共同研究グループが明らかにした。また、日光を浴びると合成されるビタミンDの血中濃度が急性心筋梗塞の発症に関与している可能性も示された。詳細は「Journal of the American Heart Association」4月オンライン版に掲載された。
これまでの研究で、急性心筋梗塞の発症数は日中に多く夜間に減少し、冬に増えて夏に減少するといった季節変動もみられることが知られている。このように、急性心筋梗塞の発症には環境や天候などの要因が影響する可能性が報告されているが、季節によって変化する概日リズムが急性心筋梗塞の発症に影響を及ぼすのかどうかは明らかになっていない。研究グループは今回、特に発症数が減少する夏に注目し、急性心筋梗塞の発症数と季節による概日リズムとの関連について調べる国際共同研究を行った。
対象は、日本、イタリア、英国、フィンランド、中国、シンガポール、オーストラリアと緯度が異なる地球両半球の計7カ国で、2004〜2014年にST上昇型急性心筋梗塞を発症した患者計2,270人。研究グループは「急性心筋梗塞の発症時刻には天候(曇天)を考慮した日照時間が影響していると考えられ、晴れた日は急性心筋梗塞の発症は夜間にシフトすることが分かった」と述べている。(5/3 ヘルスデーニュース)

NEWS ■ ギラン・バレー治療に新たな光-千葉大学の研究

ギラン・バレー症候群は日本でも年間約1,400人が発症する。今回、千葉大学医学部附属病院 神経内科教授の桑原 聡氏らの研究グループは、同症候群の患者への臨床試験を
行い、薬剤「エクリズマブ」の有効性を世界で初めて示した(Lancet Neurology誌オンライン版4月号に掲載)。同症候群の治療については、1992年に免疫グロブリン療法の有効性がオランダから報告されて以来の進展で、日本から新規治療の可能性を示すことができたのは、今回が初。
桑原氏らの研究グループは、発症間もない重症患者34例を対象に、免疫グロブリン療法に加えて、エクリズマブの効果を検討する臨床試験を行った。本研究は、厚生労働科学研究受託事業、日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けて実施された第II相多施設共同前向き試験である。
結果は、エクリズマブ投与により、治療開始4週時点で自力歩行可能まで回復した患者が61%(従来治療:プラセボ群では45%)、24週時点で走行可能まで回復した患者が74%(プラセボ群では18%)に認められた。ただし、推定期待値を下回る結果であったため、統計学的には有意な有効性との結論には至らなかった。(5/2 ケアネット)

NEWS ■ 高たんぱく質食、高齢男性の筋肉増加にはつながらず

筋肉量を維持するには、少なくとも筋肉トレーニングなどの習慣がない高齢男性では、たんぱく質の摂取量を増やしても筋肉量には影響しないことが小規模なランダム化比較試験(RCT)で示された。このRCTの成績は「JAMA Internal Medicine」4月号に掲載された。
対象は、身体機能に制限があり(簡易身体能力バッテリー;SPPBで3〜10点)、1日当たりのたんぱく質の平均摂取量が0.83g/kg以下の65歳以上の男性92人。対象者を、1日当たりのたんぱく質の摂取量を1.3g/kgに増やす高たんぱく質食群と米国医学研究所(IOM)の推奨量(0.8g/kg)とする群(対照群)にランダムに割り付け、6カ月間介入した。なお、両群で高強度の筋肉トレーニングや持久運動は行わないよう指示した。
6カ月間の試験を完遂した78人を対象に解析した結果、ベースライン時からの除脂肪体重(lean body mass;LBM)や筋力、身体機能の変化量は両群間に差がなく、高たんぱく質食によるこれらの測定値の改善は認められなかった。(4/19 HealthDayNews)

NEWS ■ 美を遠ざける! やってはいけない歩き方5つ

ウォーキングは「質」が大切です。間違った歩き方は体に負担をかけ、腰痛や膝痛などトラブルの原因につながることもあります。一方、筋肉をしっかりと使った歩き方をすれば歩数は少なくても脂肪燃焼を助け、健やかで美しい体へと導いてくれます。意外とやってしまいがちなNGウォーク5つを紹介。
1. ハイヒールで膝を曲げて歩く; ハイヒールを履くと重心バランスが通常とは異なり、体の前に重心が行きがちになります。その姿勢で歩くと、バランスをとるために、膝を曲げて太ももの前側の筋肉を使って歩く歩き方となります。すると、腿前面ばかりの筋肉が発達し、脚のバランスが悪くなります。
2. ペタンコ靴でバタバタ音を立てて歩く; フラットシューズは足に良いと思われがちですが、クッション性のないフラットシューズは、地面からの衝撃がダイレクトに伝わってしまいます。この時、足裏の筋肉が発達していないと、衝撃をダイレクトに受けてしまい、脚全体のトラブルにつながります。
3. 歩く速度が遅い; 歩くスピードが遅く、ダラダラと歩くのはNGウォーキングのひとつ。主な理由は、下半身だけで歩こうとしているから。本来「歩く」というのは全身運動なので、足だけの筋肉で歩こうとすると速さには限界があります。結果、脚の筋肉は過剰に張るのに、速度が遅いダラダラしたウォーキングになってしまうのです。
4. 歩幅が狭い; チョコチョコと狭い歩幅で歩くのはNG。下半身は、全身の7割の筋肉を占めています。歩幅が狭いということは使われる筋肉が限られていること。せっかくたくさん歩いても、狭い歩幅ではもったいない結果になってしまいます。
5. ガニ股・内股で歩いている; ガニ股、内股になっている人は、脚の外側の筋肉を使っているため、脚の外側の筋肉ばかりが発達するO脚やX脚を誘発します。美しい脚のラインは、くるぶし・ふくらはぎ・膝・太ももの4点がついていること。エステや特別なエクササイズをしなくても「歩き」を見直すだけでOK。
やってはいけない5つのNGウォーキング。どれも普段の「歩く動作」ではやってしまいがちなものですが、ちょっとした意識で簡単に改善できることばかりです。「歩くこと」は毎日行う日常動作。単なる動作を「エクササイズ」に変えるのはあなたの意識次第。(5/1 All About)


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