エンタプライズ発信〜メールマガジン【№93】 2019. 1

北国では寒波吹雪が続いており、冬季の寒さはピークを迎えようとしています。寒さが募ると身体は放熱を防ぐために交感神経を優位にして、手足などの末梢の血管を収縮させます。身体のなかでも特に手足が冷たくなりやすいのはこのためです。身体の冷えにはいくつか原因がありますが、精神的なストレスもあります。仕事上の悩みや通勤、異動や転職などの変化でストレスがかかると交感神経優位がつづき、身体が戦闘モードになって心臓の鼓動が速くなり、体温が上がってきます。しかし何か月もこのような状態が続くとエネルギーがなくなって体温は下がってきます。そのため冷え性傾向になり、冬場は寝つきが悪くなる人が多くなっているようです。最近では寝つき対策として湯たんぽを愛用する人が増えてきました。湯たんぽは電気毛布と違い、時間とともに温度が低くなります。一度温めた体温の自然な低下を妨げず、睡眠の質を落とすことはありません。またもうひとつ、首に薄手の柔らかいタオルを軽く巻いて寝ると首元が冷えず安眠できると言います。じつはこれ、全身を温めるためにとても効率のよい方法なのです。首を温めるとよい理由は2つあります。①首の皮膚表面近くに動脈がある。②首元は心地よさを感じやすい体表ポイントである。①は血流が体表近くを通っている部位が首であること。首を温めることによって血液がすぐに温められ循環を良くするというメリットがあります。②首元は短時間で温かさを感じやすい体表のホットポイント。首元を温めると安心感を伴って心地よくリラックスでき入眠しやすいのです。編集子は湯たんぽやタオルは使いませんが、布団に入ってドライヤーで3分ほど足部周辺に暖気を送ります。安堵感を覚えて時間をかけずに休むことができます。真似する人はヤケドに気をつけてくださいね。…極寒に安眠あれ…。

★☆★━━━━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━━━★☆★

【1】老いない人の健康術 〜免疫と水素〜
【2】エネルギー医学の将来〜点と点からの発展性
【3】“こころ” と “からだ”……臨床にモノ思う
【4】『ひとりあんま気功』 〜自分で押すのが一番効く
【5】根拠に基づく腰痛の原因と治療 《腰痛治療の新常識》
【6】N・E・W・S

★★★★★★ 連載対談 ★★★★★★

老いない人の健康術 〜免疫と水素〜

* 安保 徹(元新潟大学名誉教授)
* 太田成男(日本医科大学教授)

ミトコンドリアの「燃費」を上げると活性酸素は減る

[安保] 人間には運動して活性酸素が出てもそれなりに処理する能力が備わっています。ミトコンドリアが増えるほど、それに比例して活性酸素が増えるというわけではないのですか。
[太田] 学者の中でもそう考える人は多いです。しかしこれは逆で、ミトコンドリアが増えると活性酸素が減るんです。なぜかというと、ミトコンドリア一つあたりの働きに無理がなくなるからです。少ないミトコンドリアが無理するから活性酸素が出てしまうということです。
[安保] 子どもも年寄りも運動をしないと身体能力そのものが低いから、日常生活そのものがストレスになってしまいます。運動しない子どもは手伝いを頼んでも面倒くさがるようになる。やる気が起こらないんですね。
身体能力が高ければ何でもできるでしょ。年寄りでも運動している人は「安保さんの講演でも聞きに行くか」とか行動を起こせます(笑い)。運動不足の人は日常生活の行動だけで活性酸素が出てしまい、なかなか元気が出ない。
[太田] 今まで楽していた人と継続的に運動していた人が同じ運動をしたら、楽していた人の方が活性酸素はたくさん出ます。以前、活性酸素がどのくらい出ているかテレビで実験したことがあります。タバコを吸ったとき、早食いしたとき、運動したときと3つの条件で測定したのですが、タバコと早食いはみんな活性酸素がたくさん出ました。運動では個人差があってバラバラでした。
[安保] それぞれの運動能力によって活性酸素が出る人がいれば出ない人もいるという面白い実験だね。
[太田] ミトコンドリアが多くなると、少しの酸素でエネルギーが出せるようになります。燃費が良くなるというイメージですね。運動をして息をハアハア心臓がドキドキということがなくなる。心臓で酸素という燃料を送り込んでいるわけだから、燃費がいいとより少ない燃料で心臓に負担をかけることなく運動のパフォーマンスを上げることができるわけです。
[安保] いいこと聞いたな。これは知っておかないとダメだね(笑い)。


連載vol.51

エネルギー医学の将来 〜点と点からの発展性

<小社編集部編>

コラーゲンと水(つづき)

1970年代の終わりまでに私が集めた結合組織関連の学術論文のコピーは膨大な数にのぼる。論文を集めた理由は、結合組織に興味があって、知りたいことがたくさんあったからにすぎない。その当時私は文献を集めてはいたが、結合組織がその後の私の重要な研究テーマになるとは予想もしていなかった。
結合組織に関する研究の意味を私が改めて認識したのは、70年代後半にロルフィングという整体法に出合ってからのことだ。この手法を扱うセラピストは、人体の構造と機能の関係に深く精通していた。ロルフィングという手法は、結合組織が一つの系であるという認識と、その認識を裏付ける十分な研究を基礎にしている。私はやがてロルフィングの開発者であるアイダ・ロルフとその同僚であるジョージ・ホール3世が書いた結合組織に関する一連の論文を知った。ロルフィングに出合ったことがきっかけになって、私はその後、結合組織の研究に取り組み、いくつかの論文と本書を書くに至ったのである。

結合組織の重要性

動・静脈および毛細血管の全体的な形状や細部の構造あるいは物理学的性質は、すべて結合組織によってつくられている。そのほか、リンパ系や消化管を構成しているのも、コラーゲンを主体とする結合組織なのである。それぞれの臓器や腺に特有の形状は、結合組織の線維の並び方によって決まることになる。そして筋肉は「筋膜」と呼ばれる結合組織で覆われている。結合組織という系全体の特性やほかの系との相互関係は、本書の中でもっとも重要なテーマである。そこで結合組織について以下にまとめてみた。

結合組織は動物の体の中でもっとも多くを占める要素であり、体の大部分は結合組織でできている。また体全体の形状だけでなく、全身の臓器・器官の構造や機能、そして物理学特性もほとんどが各部位に存在する結合組織の配列や特性によって決まるのだ。いわゆる大器官、つまり循環系、神経系、筋骨格系、消化管および様々な臓器は、結合組織で覆われていると同時に、結合組織によって区切られている。生体のすべての要素をつなぎ合わせているのが結合組織というわけだ。
全身や細部のあらゆる動きは、結合組織に加わる張力によって生じる。結合組織は半導体で構成される液晶とよく似ており、驚くべき特性をいくつも持っている。例えば「圧電気」だ。圧力が加わると電気エネルギーが発生するのである。したがって体の一つ一つの動きや、各所に加わる圧力および張力によって電気的シグナル、つまり微小電流や電気以外のシグナルが発生する。このシグナルが、体の動きや加わった圧力および張力の特性を正確に反映するのである。
(出典『エネルギー療法と潜在能力』小社刊)


連載エッセイ 61☆

“こころ” と “からだ” …… 臨床にモノ思う。

・保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


患者への「質問力」 〜隠れたニーズを読み解く洞察力〜

首の痛みが教えてくれた「結婚の目的」

30代の女性が首の痛みを訴えて来院。最初は頚部痛の施術で身体のみのハード面の施術を行ったが、深いところの緊張が改善されていない様子。そこでメンタル系のソフト面の施術を行う。検査では「意欲」に関係していたので、将来の意欲に関係することを意識してもらい調整。施術後に痛みは軽減したが、11日後に首の痛みが継続しているとのことで再来院。その日も将来の意欲で調整したが、同じ意欲のパターンなので、おそらく内容が不明瞭であると推測。詳しい内容を聴いた方が調整も効果的になると思い、「話せる内容であれば教えてくださいますか」と尋ねる。
前々回の副鼻腔炎の施術の際にも深い内容のことを伺っていたので、おそらくそのことに関連したことだろうと、内容をお聞きした。「もしも意欲的になっているとすれば、仕事と家庭を両立させることかな…」と話された。そこから、生体反応検査を行いながら、質問させていただき、深いレベルの無意識を探索。
コーチングのやりとりが厳密ではないが以下のように進めた。

何のために仕事と家庭を両立させるのですか?
「幸せのため…」
あなたにとって仕事と家庭の両立で得られる幸せとはなんですか?
「…良きパートナーと巡り会えて……子供を産んで幸せな家庭を築く…」
そもそも結婚の目的は何ですか。何のために結婚をするのですか。良きパートナーと巡り会えて、子供が生まれると幸せになれそうですか?
「いや……お互いに成長しながら家庭を築いていくこと…」

生体反応検査法ではさらに深い意欲の目的はないようなので、そのことを認識してもらい調整。その後、調整前にあった首の回旋時痛は消失した。また、将来への意欲に関係する目的が整理された様子で、喜んでいただいた。ご本人は将来について深く考えていたのだろう。なぜなら過去に色々経験をされていたので、今度はそのようなことが繰り返されないようにと真剣に自分の将来について考えていたのが伝わってきた。
おそらく「何のために結婚するのですか」などと、誰からも質問されたことはないだろうし、一般的に「幸せになるため」としか答えようがないだろう。そこで、いきなり「あなたにとって幸せとはなんですか?」と尋ねられると、返答に困るのが普通だろう。結婚して、子供を産んで、家庭を築いて、幸せになれるかもしれないし、なれないかもしれない。それはその人それぞれの価値観であるということは言うまでもない。ただ、あえて言うならば、幸せとは「創り出すもの」で、単に「与えられるモノ」ではないだろう。むしろ「与えることで得られるモノ」と捉えることもできる。

多くの人にとっての幸せは、良きパートナーを得ることや子供を授かることかもしれない。たしかにそうかもしれないが、そこから何かを与え続け、創造していかなければ幸せは得られないだろう。「幸せ」は何かを得るということよりも何かに向かって前進し続けていく過程で遭遇するものではなかろうか?
今回紹介した患者さんも、おそらくそのようなことをどこかで考えており、施術の質問を通して気づかれ、モヤモヤした心の葛藤が整理されたようだ。そして、それに伴って首の痛みを生じさせた無意識の緊張がほぐれて症状改善につながったようだ。首の痛みが人生にとって大切なことを教えてくれた一症例である。

◆連載14◆

『ひとりあんま気功』〜自分で押すのが一番効く

孫 維良(東京中医学研究所所長)

「痛みをやわらげる、ひとりあんま気功・実践編2」
顔がむくむ、脚がむくむ

体に含まれた水分(体液)が異常に増え、皮膚の下に溜まってしまった状態をむくみと呼びますが、西洋医学では、顔がむくむのは腎炎や尿毒症、脚がむくむのは心臓病や肝臓病、全身がむくむのは心臓病が原因だと考えます。中国医学では基本的に脾と胃および腎の機能低下と密接に関わっていると診ます。
脾は胃とコンビを組んで、体内に入った水分と食物を消化・吸収し、全身に栄養素を運ぶ役割を担っています。ところが脾の気が滞り、脾の機能が低下すると体に余分な水が溜まって、むくみという症状になって現れます。また腎は体内に残す水分と排泄する水分とを選り分ける役割をもっているのですが、腎の気が不足し、腎の機能が低下すると、やはり体に余分な水が溜まってきます。そのためむくみをとるには、脾とつながった脾経(経絡)か、胃とつながる胃経、あるいは腎とつながった腎経を刺激して気の流れを良くしなければなりません。

ではその条件をすべて満たし、短時間でできるあんま気功法を紹介します。
①楽な姿勢で椅子に浅く座り、体の余分な力を抜いて心身ともにリラックスしましょう。目を軽く閉じ、脚下にやや意識を集中させながら、ゆっくり腹式呼吸を行います。しばらく続けたら椅子から立ち上がってください。
②両足の踵の上、アキレス腱のほぼ中央に跟中(けんちゅう)というツボがあります。また足首の付け根、足の甲の中央に解谿(かいけい)というツボがあります。呼吸に合わせて片方の足の跟中を、もう片方の足の解谿で蹴りながら歩きます。わかりにくいですが、片方のツボにツボをぶつけ、2つのツボを同時に刺激するのです。強く蹴る必要はないですが、確実にツボにツボをぶつけましょう。また息を吐ききる瞬間に、足を蹴り出すようにしてください。蹴りながら合計10歩くらい歩きます。
解谿は胃経のツボ、跟中は奇穴のツボですから、こうして2つのツボをぶつけることで胃経、脾経の気の流れがスムーズになり、徐々にむくみが解消されてきます。

以上①②を1日2回行ってください。なお太りすぎや高齢で足がもつれやすい人は、歩きながらではなく、転ばないように壁に手をついて足の甲で踵を蹴るようにしましょう。


根拠に基づく腰痛の原因と治療 – 腰痛治療の新常識(67)

長谷川淳史(TMSジャパン代表)
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腰痛に関する正確な情報には想像を絶するほどの治癒力があります。どうか情報の拡散にお力をお貸しください。

■腰痛に対する脊椎マニピュレーションに関する論文58件をメタ分析した結果、3週間以内に腰痛が回復する確率は50〜67%だった。慢性腰痛に対する効果は不明としながらも、急性の非特異的腰痛には一時的な効果があることが判明。http://t.co/R9DMmIJ
……カイロプラクティックは急性腰痛(ぎっくり腰)に対してある程度の効果があるということです。しかし現在では、急性腰痛よりも慢性腰痛に有効であることが証明されています。

■腰痛に対する脊椎マニピュレーションに関する37件のRCT(ランダム化比較試験)を吟味した体系的レビューでは、研究デザインに不備があるために正確な評価は困難で、腰痛に対する有効性は科学的に証明できないが、たしかにある患者には効果が認められる。http://t.co/CwMdT89
……第一級のエビデンスである体系的レビューによって、腰痛に対するカイロプラクティックの効果が示唆されたことになります。

■1911年〜1991年に発表された脊椎マニピュレーション後に馬尾症候群が生じた29例を詳細に分析した結果、重度あるいは進行性の神経障害にマニピュレーションは行なうべきでないが、症状が悪化する可能性はきわめて低い。http://1.usa.gov/qsCsK1
……馬尾症候群のサインを見逃さなければ、カイロプラクティックはとても安全な治療法です。

■腰下肢痛患者を対象に脊椎マニピュレーション群、骨盤牽引群、スクレロサント(組織硬化剤)注射群、ステロイド注射群に割り付けたRCTによると、1ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後のどの時点においても4群間の改善率に差は認められない。http://1.usa.gov/qjUTqL
……1987年のRCTではまだカイロプラクティックの有効性が明らかになっていませんでした。RCTの積み重ねによって初めて真実が浮かび上がってくるのです。個人の主観的経験がいかに不正確であるのかを感じ取っていただければ幸いです。

■椎間板ヘルニアか脊柱管狭窄症と診断された腰下肢痛患者73名を対象とした硬膜外ブックに関するRCTによると、ステロイド剤+局所麻酔剤群と生理食塩水+局所麻酔剤群の間に改善率の差は認められなかった。ステロイド注射は無効?http://1.usa.gov/qAFypS
……もっとも強力な抗炎症剤であるステロイドが効かないところをみると、腰下肢痛は炎症によるものではないと考えられます。

■腰下肢痛患者に対する硬膜外ステロイド注射に関する12件のRCTをレビューした結果、硬膜外ステロイド注射の効果は明確ではないものの、神経根症状を伴う急性腰下肢痛に限っていえば一時的な効果は望める可能性がある。http://1.usa.gov/okMOHg
……最新の腰痛診療ガイドラインでは、硬膜外ブロックの短期成績に関するエビデンスは一貫しておらず、長期成績に関するエビデンスも乏しく、脊柱管狭窄症に対してはリスクとベネフィットを評価できるだけのエビデンスがないとされています。

 N  E  W  S

NEWS■がん罹患率…塩分摂取多い東北・日本海側、喫煙率高い北海道

厚生労働省が1月17日付で初めて発表した「全国がん登録」の集計結果。2016年にがんと新たに診断された患者の実態から、がんにかかる割合(罹患率)に地域差があることも明らかになった。住民の年齢構成を調整した人口10万人当たりの罹患率。都道府県別で最も高いのは長崎の454.9で、秋田446.3、香川436.7の順に多かった。最も低いのは沖縄の356.3で、愛知367.5、長野367.6と続いた。
がんの種類ごとに都道府県別の罹患率も出ている。地域によって罹患率が異なる理由は明確でないが、生活習慣の影響も指摘される。胃がんは、食塩の摂取量が多い東北地方や日本海側で目立つ。肺がんは、北海道など喫煙率の高い地域に多い傾向がみられる。肝臓がんは西日本で高い傾向がある。肝炎ウイルスの感染者の多さと関連していると言われる。
課題を対策につなげる動きも出ている。大腸がんで1位、胃がんで2位だった秋田県は「全国平均と比べ塩分摂取量が多く、喫煙率が高い。飲酒や運動不足なども含め、複合的に影響している可能性があり、生活習慣の改善などに力を入れたい」(健康づくり推進課)という。肺がんで2位の北海道は「禁煙外来のある医療機関を周知するなど、喫煙や受動喫煙の防止に努めたい」(地域保健課)とする。(1/17 読売新聞)

NEWS■認知症による死亡、中年期からの体重減少と関連

肥満が認知症に対して防御的であるという仮説を検証するために、英国London School of Hygiene and Tropical MedicineのAlexander N. Allen氏らは、中年および高年者の両方で、認知症による死亡と体重およびBMIとの関連を比較した。その結果、認知症による死亡が中年期より高年期のBMIと強い逆相関を示し、また中年期から高年期までのBMIや体重の減少と強い相関を示した。Age and Ageing誌オンライン版1月9日号に掲載。
著者らは、1967〜70年のWhitehall研究における英国ロンドンの中央政府職員の中年男性1万9019人と1997年の再調査で生存していた6158人の参加者における前向き研究において、身長と体重を測定した。40年間で320人の参加者が認知症により死亡し、Cox回帰を用いて、体重・BMIと40年間の認知症死亡との関連を調べた。なお、体重とBMIは医療者が測定し、年齢、喫煙習慣、職業階層、婚姻状況で調整した。主な結果は以下のとおり。
・中年期に測定された体重は認知症による死亡と弱い逆相関を示した(1kg当たりのハザード比[HR]:0.98、95%CI:0.97〜0.99)が、身長とBMIは関連していなかった。
・一方、高年期の体重は認知症による死亡と強い逆相関を示し(1kg当たりのHR:0.96、95%CI:0.95〜0.98)、BMIも同様(1kg/m2当たりのHR:0.92、95%CI:0.86〜0.97)であった。
・ベースラインから再調査までの30年間における体重減少は、認知症による死亡リスクの増加と関連し、30年間で1kg減少当たりの調整HRは1.04(95%CI:1.02〜1.08)であった。BMI減少との関連はより強く、1kg/m2減少当たりの調整HRは1.10(95%CI:1.03〜1.19)であった。(1/18 HealthDayNews)

NEWS■ひざや腰の痛み、靴下で矯正。まちの整体院が開発

ひざや腰の痛みの原因は足首のゆがみかもしれません。和歌山市古屋の快養整体院が、足首のねじれを矯正し、体のバランスを整える「かんしんソックス」を開発した。開発したのは木本福一さんと和秀さん親子。整体師としての長年の経験から、足首に着目した。足首のねじれを矯正できれば、ひざや腰などの痛みの改善や美しい姿勢につながると考えた。
かんしんソックスには伸縮性のあるゴムのような素材が使われ、テーピングのような機能がある。くるぶしを内側または外側、親指を上または下に引っ張ることで、足首のゆがみを矯正するという。福一さんは「健康は家族の宝。痛みや不調のない日常生活を過ごしてもらいたい」と話す。
一昨年5月ごろから1年以上かけて完成。昨年夏に販売を開始し、9月にはPRなどの支援を受けられる和歌山市の「チャレンジ新商品」に認定された。O(オー)脚用と内股用があり、それぞれ親指が上がっているか下がっているかで計4種類。サイズはS、M、Lがあり、左右セットで5000円(税別)。整体院で体のくせやねじれを検査してから、右足と左足それぞれにあった靴下を選んでもらう。(1/16 朝日新聞)

NEWS■学校の人骨標本、なぜ本物…事件性ないが取扱い苦慮

各地の学校で本物の人骨標本が相次いで見つかっている。今月も宮崎市の学校で新たに見つかり、警察が鑑定中のものも含め、少なくとも鹿児島県や大分県など4県の計10校で確認された。いずれも入手経緯はわかっておらず、学校現場では対応に苦慮している。
宮崎県立明星視覚支援学校(宮崎市)が保管する標本が人骨だと判明したのは1月8日。頭蓋骨や腕、脚の骨があり、学校側は鑑定した県警から「事件性はない」と説明を受けたという。
同校には、あん摩マッサージ指圧師などの国家試験受験資格を取得する理療科があり、授業で人体模型を使用している。この人骨は「昭和20年代頃に譲り受けた」と伝えられており、以前は授業で使用していたとみられる。県警によると、正当に入手した標本ならば人骨でも刑法上の問題はないという。別府宗光校長は「今後の取り扱いについては県教委などと協議する」と話した。
同様の事例は各地で確認されている。鹿児島県立鶴丸高校(鹿児島市)では2016年7月、教員が生物講義室の標本棚を整理中に頭蓋骨を見つけた。骨は鹿児島市が火葬し、市営墓地に埋葬した。県内ではほかにも高校2校で頭蓋骨が見つかり、うち人骨と判明した1校では美術のデッサン用に使われていた。
大分県では昨年6月、県立高田高校(豊後高田市)で木箱に入った頭蓋骨が見つかった。豊後高田市は昨年12月、官報で「心当たりのある方は申し出てください」と呼びかけたが、身元につながる情報はなかった。ほかに2校でも頭蓋骨が見つかり、県警が人骨かどうかを鑑定している。
日本大学の金沢英作名誉教授(解剖学)によると、約50年前、インドで人骨を使った標本が多く作られ、業者を通じて国内の大学や医療機関などに販売されたという。国内でも70年ほど前まで、解剖実習後に標本にすることが珍しくなかったと話す医療関係者もいる。(1/10 読売新聞)

NEWS■タバコと飲酒で「食道がん」リスク上昇…東大などチーム

食道がんを発症するリスクが飲酒や喫煙によって高まる詳しい仕組みを、人の食道の細胞を遺伝子解析して解明したと、京都大学や東京大学医科学研究所などのチームが発表した。飲酒歴と喫煙歴が長い人ほど発がんに関わる遺伝子変異が起こる頻度が高まるという。論文が英科学誌ネイチャー電子版に掲載された。
がんは、正常な細胞の遺伝子が何度も変異して発症すると考えられているが、発症前にどのような変異が起きているかは不明な点が多い。食道がんは、国内で毎年新たに2万人以上が発症。早期に発見されにくく、難治性がんの一つとされる。
チームは、健康な人と食道がんの患者計134人(23〜85歳)の食道から、がん化していない細胞の組織を採り、遺伝子変異の有無を調べた。その結果、飲酒、喫煙歴の両方が長い人ほど発がんに関わる「NOTCH1」や「TP53」という遺伝子で頻繁に変異が起きており、変異する遺伝子の種類も多いことがわかった。
一方、高齢者では飲酒と喫煙の有無にかかわらず、食道全体の4〜8割の細胞で遺伝子の変異が見つかった。小川誠司・京大教授(分子腫瘍学)は「加齢による遺伝子変異に飲酒と喫煙が加わり、発がんリスクが一気に高まる。予防には酒やたばこを控えることが重要だ」と話している。(1/7 読売新聞)

NEWS■半年間のウォーキングで脳が若返る?

記憶力や思考力に衰えを感じたら、ウォーキングなどの適度な運動を半年間ほど続けると脳が若返るかもしれない-。こんな研究結果を、米デューク大学医学部教授のJames Blumenthal氏らが「Neurology」オンライン版に発表した。記憶力や思考力が低下した55歳以上の男女が運動を6カ月間続けたところ、目前の状況を把握し、物事を整理して考えて行動する「実行機能」が特に向上することが分かった。
この研究は、客観的な検査で記憶力や思考力に低下がみられた55歳以上の男女160人を対象としたもの。参加者にはアルツハイマー病などの認知症はみられなかったが、実年齢の平均は65歳だったにもかかわらず、実行機能の成績は90歳代の前半に相当していた。また、参加者は高血圧などの心血管リスク因子を有していた。
研究では、参加者を(1)適度な有酸素運動を行う群、(2)高血圧予防の食事療法であるDASH食を行う群、(3)運動に加えてDASH食を行う群、(4)健康指導のみを受ける群-の4つの群にランダムに割り付けて6カ月間観察した。
その結果、運動を行った2つの群では6カ月後の実行機能が向上したのに対し、健康指導のみを受けた群では、実行機能は低下しつづけたことが分かった。こうした運動による効果は、運動とDASH食を併用した群で最も高かった。一方、DASH食のみを行った群では、6カ月後の実行機能に有意な変化はみられなかった。
この結果について、専門家らは、一般的に考えられている「健康的な生活習慣は脳の老化を防止する」という説を裏付けるものだとしている。また「今回の結果では運動による体力向上とテストの成績の間には関連がみられたほか、血圧などの心血管リスク因子を改善しても成績は向上した」と説明している。(12/20 HealthDayNews)

NEWS■夜間の心理的ストレスには要注意?

夜間の心理的ストレスは、午前中のストレスよりも身体により大きな負担となる可能性があることが、北海道大学大学院教育学研究院准教授の山仲勇二郎氏らの研究で明らかになった。健康な人を対象に、夜間に心理的なストレスの原因を与えたところ、ストレス反応の指標となるコルチゾール値が上昇する正常なストレス反応がみられないことが分かったという。研究の詳細は「Neuropsychopharmacology Reports」オンライン版に掲載された。
山仲氏らによると、人間の身体には心理的、身体的なストレス要因に適応する防御システムが備わっており、その代表が視床下部-脳下垂体-副腎皮質系(HPA axis系)であるという。HPA axis系は身体の中枢神経系と内分泌系をつなぐ役割を担っており、身体にストレスがかかるとHPA axis系が活性化されコルチゾールが分泌される。また、コルチゾールの値は脳内の概日時計によってもコントロールされており、朝方は高く、夜間に低いというリズムを示すことも知られている。
今回の研究では、若い健康な男女27人を対象に、朝方または夜間に心理的なストレスの原因を与えた上で、唾液中のコルチゾールの値を測定して比較検討した。参加者にはまず、腕時計型の活動量計を装着してもらい、2週間規則正しく生活したことを確認した後に、ストレス負荷テストを起床から2時間後の午前中に受ける群と起床から10時間経過した夜間に受ける群に分けて比較した。
その結果、午前中にストレス負荷テストを実施した群では、試験前に比べて試験後20分の時点でコルチゾール値が有意に上昇していた。一方、夜間にストレス負荷テストを実施した群では、試験前に比べて試験後にはコルチゾール値の有意な上昇はみられなかった。しかし、参加者の心拍数(ストレスに対する交感神経系の反応の指標)の変化には両群間で時刻差はみられず、ストレス負荷試験中には、いずれの時刻ともに有意に高いことも分かった。
山仲氏は「今回の研究から、人間の身体は、夜間は心理的ストレス要因への防御機構が適応できない可能性が示唆された。ただ、それぞれの人に固有の体内時計を考慮した上で、1日の時間帯別のストレス反応を評価し、ストレス管理法やストレスを原因とした疾患の予防法を考えることが重要だ」と話している。(12/19 HealthDayNews)


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(編集人:北島憲二)


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