エンタプライズ発信〜 メールマガジン【№26】2013. 5

関東地方は例年よりも10日早く入梅しました。長い梅雨になるかもしれません。都市型マンションでは洋間が幅を利かせますが、この時季には和室で過ごすのがより健康的です。畳の部屋ですね。畳は空気の洗浄機とよく言われます。畳の素材であるイグサは、空気中の湿度が40%以上になると水分を吸収し、40%以下になると水分を放出します。1畳分の自然吸湿能力は約500ml。この梅雨の季節には湿気を抑え、冬にはほどよいマイナスイオンを発生させるなど、畳は室内の空気を綺麗にして健康な環境づくりに奏功します。またイグサの香りは人をリラックスさせ、ストレスを減じ、精神を安定させる、森林効果・鎮静作用があると言われます。一つヒントです。梅雨時期、畳にカビが生えたら、畳表の効能でもある空中の湿度調整機能のあらわれです。カラ雑巾などでこまめに拭き掃除をし、晴れの日には部屋に湿気がこもらないよう窓を開けて空気の入れ替えを行うとよいそうです。身土不二と言います。日本の知恵をちょっと見直したら畳の部屋でも過ごしましょう!

★☆★━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━★☆★

【1】意識に基づくエネルギー療法 “ BodyTalk ”
【2】伝統医学をシルクロードに求めて
【3】カイロプラクティック・エネルギー治療へのパラダイムシフト
【4】根拠に基づく腰痛の原因と治療
【5】“連動操体法”について、ちょっとばかり…
【6】N・E・W・S
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【◆近刊】
『KBS 東医宝鑑』(翻訳) 6月末刊行予定

3年前に世界記録遺産(医学書)に認定された許浚著『東医宝鑑(東醫寶鑑)』の概要をわかりやすく紹介しようと、韓国国営放送・KBSが連続ドキュメントとして放映した内容を、当時の製作者(PhD)が文字化し編纂した書の翻訳。韓医学の礎となっている『東医宝鑑』の概要、特長ほか著者許浚(ホジュン)にまつわる逸話もいたるところで紹介され、許浚と東医宝鑑の連関・結びつきが歴史を通じ理解が進む。(帯津良一先生推薦)
・A5判、上下巻(上巻250頁・下巻230頁)、カラー、各1,890円


【◆近刊】
『図説・直立動態と心身症状』〜人の立つしくみに内在する病因の発見と臨床応用

本書は、ロデオのような動きをしているアタマ(上顎)と、それを巧みに下から支えることで直立バランスを維持している「歯と下顎」の平衡機構、およびその関係性(咬合)におけるバランス不良が“多彩な心身症状”を引き起こしているメカニズムを検証し、根本治療への方途をさし示す刮目のテキストである。現代では原因不明と言われている様々な心身症状の発病メカニズムを知るとともに、ヒトの直立動態に内在する病因および歯科臨床応用が図解の導入でわかりやすく解説されている。学術的に【顎口腔医学】として発展する新たな領域であり、歯科医師と施術者の連携による共通のゴールを確実にしていくことができる。
・A4判、350頁、カラー、定価10,500円 6月末刊行予定


◆◆◆ 連載 ⑬◆◆◆

『意識に基づくエネルギー療法 “ BodyTalk ”』

…… 今 田   泰 (IJBA東日本支部支部長)……


本連載も残すところ、今回を含めてあと2回となる。今回はBodyTalkの数多くの症例の中から代表的なものを2例ではあるが紹介したい。

■ ぎっくり腰、つわり、逆子(30代、女性)

筆者らはBodyTalkを紹介し、デモンストレーションほかもご覧いただく機会となるBodyTalk説明会を全国各地で開催しているが、そこにちょうど前日にぎっくり腰になったという女性(Tさん)が骨盤ベルトを巻いた状態で何とか参加された。
デモンストレーションにおいてBodyTalk Accessのファーストエイドを実演したところ、その場で痛みが消失した。加えて可動範囲が劇的に向上し、その後は骨盤ベルトが不要となったことでBodyTalkにさらに興味をもたれ、数か月後セッションを受けることとなった。
このときTさんは妊娠しておられたが、つわりがひどく、本人曰く「気持ち悪く、さらに苦しい」状態で、ほぼ1日中横になっていなければならなかった。
セッション後、その晩から苦しさが無くなり、気持ち悪さのみになったおかげで家事もできるようになり、帰宅されたご主人が驚かれていたという。
次のセッションは数か月後、今度は胎児が検査で逆子だとわかったとのこと。セッションにおいては胎児の位置をエネルギー的に調整する「体ヴィヴァックス」というテクニックなどを実施した。その後本人の自覚は無かったようであるが、次回の検診で胎児が正常な位置に戻っていたという。この間、逆子のための体操などの特別なことは行っていないとのことであった。現在は無事に出産され、母子ともに元気に過ごしておられる。

■ 肺の影(50代、女性)

主婦。病院の検査で左肺に影があるということで経過観察となり、非常に心配された様子で当セッションルームにお見えになった。
月に一度程度のペースで複数回のセッションを行うものの、本人の主訴である肺に関してバランスをとるような内容は何も出ず、過去のトラウマ的な記憶の処理や、固定観念の解消など、心理的な面のバランスをとることが続いていた。また、この間の検査でも肺の影に関しては変化がない状態が続いていた。
しかし変化が現れていたのはむしろ本人の言動や性格の方で、このころになると自身の肺の状況を心配するような発言は一切無くなり、「生きているのが楽しい」とまでおっしゃるようになっていた。
そんな時、初回セッションから半年くらい経過した6回目のセッションで、初めて左肺のバランスが優先となり、タップを行った。しかも次の日にちょうど肺の検査があるという。
1か月後に再度フォローアップセッションを行ったが、その途中で「そういえば思い出しましたけど、前回のセッションの後の検査で肺の影が無くなっていました。医者が喜んでました」とのこと。
影が消えていたことを筆者に報告し忘れている上に、はじめのころであれば考えられないような発言でもあったのでやや驚いたが、本人にとってはどうでも良いと思えるような心理状態になっていたのかと思うと、心身が良くなっていくのにも順番があるのだと実感した経験であった。

BodyTalkのセッションはその場の症状をしのぐためのものではなく、包括的に、かつ長期的な視点でもプラスになるように働く。したがって筆者はBodyTalkが病気治しのテクニックだとは考えていない。むしろ「より良く生きるためのツール」であり、その過程で学びが得られて行けば病気は自然に消えて行くものなのであろう。
(次号へつづく)


《連載8 》

伝統医学をシルクロードに求めて

       池上正治(作家・翻訳家)


ラマ医学の名手、バトー・ウムチ

ラマ寺院が学問寺といわれるには、それなりの理由があるわけです。一般に、ラマ寺というのは、四つの学部から成り立っているんです。密教(チュトビ)、顕教(ラサン)、天文(トングリ)、医学(マンバー)の学部です。それぞれチベットのダライ・ラマから授与されてくるわけです。ただ葛根廟の場合は、マンバー学部は、計画中で、実際の学部としてはまだなかったことになります。
いや、ラマというのはですね、正しくは階級順に下からいうと、ゴブシ、カンボー、ホビルハン、ホトクトの4種類のことをいいます。ホトクトが活仏のことです。一般の僧侶のことはホボロクといい、このホボロクが修行を積んでラマに達すると、達(ダー)ラマになるわけですね。ですから、密教学部でホビルハンになった人は、チュトビ・ホビルハンであり、顕教では、ラサン・ホビルハンということになってくるわけです。
ここにバトー・ウムチという、非常に優秀な医学(マンバー)をやった人がいました。ええ、学部はなくとも医者は必要なわけですから。医者のことをウムチといいます。バトーというのはその人の名前ですが、堅固な、という意味です。だからバトー・ウムチとかバトー・ダーラマなどと呼んでいましたがね。このバトーのおかげで、600人近くいるラマ僧や周辺の住民たちが、どのくらい助かったか計り知れません。とにかく出かけたら1週間やそこら、場合によっては1か月も寺に帰らず、ほうぼうで病人を診てくるんですから……。

鹿皮の袋に密封した粉末の漢方薬

バトー・ウムチとはですね、僧房が近くだったんですよ。隣同士。先生もそんなわけで心安くなり、互いに話をしているうちに自然に親しくなったわけです。バトーは家にいるときには、いつでも、ゴリゴリと薬研(やげん)で薬を作っているんです。どんな薬でも粉末にしちゃうんですね。私も暇なときはよく手伝わされたものです。そうやって粉末にした薬、漢方薬をですね、鹿の皮で作った丸長の袋に詰めておくんです。そうですね、長さ20センチ、太さ5センチくらいでしょうかね。ちょうどピストルの弾丸(たま)を装備したベルトのようなものがありますね、あれです。大きさはいろいろとありますが、どの袋を見ても、それはもう、きつうく縛ってあるんですよ。そうね、湿気を嫌うからかもしれませんね。
その鹿皮の袋が、ずらっと並べてあって、それぞれに名前が書いてあるんです。たぶん、何々の病気、何々の病気という名前だろうと思うんですが。薬剤はですね、全部、北京から買ってくるんです。原地にもあるはずです、大興安嶺のふもとは薬草の産地ですからね。甘草(カンゾウ)なんか、朝鮮人が掘っていたんですがね、こんなに太いのがあるんですよ。蒙古人は、そんなもんに関心がないんですね。ただ、羊の尻を追っかけていれば、それで満足なんですから。(次号につづく)


<<連載>>

カイロプラクティック・エネルギー治療へのパラダイムシフト <第26話>

       保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


ヒトは固有の振動特性を持っている

われわれの施術をわかりやすい言葉で表現すれば、生体リズムの調整であるともいえる。生体リズムとは、生体の波長、周波数、振動数のことである。生体内に存在するあらゆる電子、原子、化学結合、分子、細胞、臓器、器官はそれぞれ固有の振動特性を持っており、それぞれの振動は複雑に調和しあってエネルギー波となり、そこに託された情報が全身にダイナミックなエネルギーネットワークとして伝達され健康を維持することができる。不健康なときは、逆にそのエネルギーネットワークがブロックされ、生体内のリズム、振動の周波数が乱れるということになる。

このような生体のリズムを維持するために、常に「同調化」が生じているといわれている。物理学の世界では、周波数がほぼ同じである二つのリズムが互いに干渉しあって、やがて同一のリズムになることを同調化という。専門的にいうと「2個の発振器の相互位相同期化」という意味である。
たとえば、同じ壁にいくつもの振り子時計を仕掛けたとしよう。これらの時計はやがて同調化して、すべての振り子がまったく同じ周期で動くようになる。このような現象が起きるのは、振り子の長さによって決まる振動周期がほぼ同じ時計の場合に限られる。振り子の揺れは、壁に伝わって振動(弾性波または音波)となり、その振動が互いに干渉しあうのである。同様な現象は二つのバイオリンを合わせて調弦し、片方をテーブルの上に置いて、もう片方のバイオリンである音色を弾くと、片方のバイオリンで弾いているのと同じ弦が、テーブルに置いてあるバイオリンの方でかすかに音を出すという実験からも検証できる。

この二つのあいだには、明らかに“共鳴”が起こっている。共鳴現象によって同調化が生じるともいえるだろう。弦から発生した音響エネルギーが空気の波に伝わり、その周波数の波は同じ音色に調律された弦に伝わる。神経細胞は、無数の非線形の発信器が結合しており、その非線形発信器の特性に多少の差があっても、発信器同士が結合すると互いに同調しあい共同歩調をとるようになる。発信器の片方だけが発信状態になくても、もう一方の影響で発信状態に引き込まれたり、本来違う周期の発信器が結合することで、互いに周期をずらして一つになったりするのである。 (次号
につづく)


根拠に基づく腰痛の原因と治療 -世界発信より- 2013. 4〜5

   長谷川淳史(TMSジャパン代表)
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世界の腰痛診療ガイドラインがエビデンスに基づき患者教育を推奨すると発表した論文を中心に、各国の医療情報を日々集約し開発を進めている「TMSジャパン」。代表の長谷川淳史氏の厚意により、時々刻々と遷移する腰痛治療に関する世界の情報をお届けする。ソースの詳細は英文。SNSはもちろんブログやサイトに、引用先のURLごとコピー&ペーストして可。

【最新の腰痛に関する情報一覧】

■ランダムに抽出した医師342名を対象に急性腰痛診療ガイドラインが与える医療サービスへの影響について調査した結果、医療制度が障害となって必ずしもガイドラインに従った適切な医療が行なわれていないことが明らかとなった。http://1.usa.gov/WeuN72

■人間工学的介入によって腰部損傷を予防できるという概念を捨てる時である。我々は60年間、腰部損傷という概念と共に生きてきたが、それはあまりにも欠陥が多いために、もはや正当化することはできない。しかも腰痛を医原性にしてしまう。http://amzn.to/S1i6RJ

■椎間固定ケージは嵐のように脊椎手術市場に旋風を巻き起こし、世界中で80,O00個以上のケージが使用されているが、FDAの聴聞会で報告された研究では、疼痛の緩和は認められるものの、疼痛の完全消失は報告されていない。http://1.usa.gov/UEy4iM

■腰椎手術予定の患者122名に心理テストを実施し、疼痛・機能障害・就労状況を1年間追跡調査した結果、心理的苦痛(不安や抑うつ)が少ないほうが疼痛改善率も職場復帰率も高かった。心理的苦痛は慢性腰痛の治療成績を左右する。http://1.usa.gov/WKVUXT

■研究者の間では、活動再開・自信回復・単純な対症療法・腰痛と機能障害や活動障害との相関関係に関する誤った思い込みの修正・医療化(medicalization)の回避によって、腰痛はうまく治療できるという確信が高まりつつある。http://bit.ly/VU8aVW

■過去100年間の腰痛に関する話題のほとんどは整形外科的な解釈と治療の話で、解剖学的損傷とそれを治す方法を見つけ出そうとしてきたが、こうした非常に機械的(mechanical)な方法は失敗だったことが判明している。http://bit.ly/VU8aVW

■ほとんどの腰痛研究者は、これまで腰痛に対して過剰診療が行なわれてきたこと、そして今それをやめる時期に来ていることに同意している。危険信号(レッドフラッグ)の探究を越えて疼痛の身体的原因を追求するのは逆効果の可能性がある。http://bit.ly/VU8aVW

■臨床医は心理学的問題と不適切な信念や態度に対して警戒を怠ってはならないが、その一方でプライマリケアの段階で心理社会的因子(イエローフラッグ)を検出するための最善のスクリーニング方法と戦略を明らかにする必要がある。http://bit.ly/VU8aVW

■これまでの腰痛研究で安静臥床の禁止、不必要な画像検査を行なわない、患者自ら腰痛に立ち向かう姿勢が有効であることは判明しているものの、医師は医療制度や営利的圧力に拘束されているために臨床現場で最善の腰痛治療が行なえない。http://bit.ly/VU8aVW

■WHOのデータから5大陸14ヵ国のプライマリケアを受診した25,916名の患者を抽出して行なった身体症状とうつ病に関する国際的研究によれば、うつ病患者の69%が主訴として筋骨格系などの身体症状を訴えていたことが判明。http://1.usa.gov/XrCo73


【連載コラム】

“連動操体法”について、ちょっとばかり… (26)

       根本 良一(療動研究所主宰)


4.-2 自分で行う:自療操体法

伏臥位に寝て、片手で頸椎横突起部を触診しながら、違和感のある方のつま先を床につけ、膝を伸ばしたまま踵を内・外のラクになる方へ倒す。
足から腰まで動いてみて、変化がなければ、逆の足について試してみる。他方の足では、次のように抵抗をかける。
1)踵を外側に倒すときは、別の方の足を曲げて、足の甲を膝の裏から巻きつけるように掛け、足首で膝の外側から抵抗をかける。掛けた足は、膝を引きつけるようにすると腰が大きく動き、頸部までよく連動する。
2)踵を内側に倒すときは、足をそろえて逆足の膝を足の下を通し、足の甲を下から膝に掛け、足の甲で巻きつけるようにして抵抗をかける。この抵抗により、足から腰、頸部へと大きく連動する。

5. 大腰筋の操作 〜 膝から腰骨を動かす

大腰筋は腰の中心に深く潜伏し、腰を操る大切な筋である。その重要さゆえにちょっと過労になると姿勢が悪くなったり、腰痛や頸腕障害(首、肩、腕、手の異常)など広く渦害を及ぼすことがある。良い姿勢に努めるようにし、適切な処置をして腰を保護してあげることが肝要だ。
もしも状態が悪くなったら、よくテレビや雑誌の健康コーナーに出てくるように大腰筋を鍛えるなど無理なことをしないで、この筋の緊張が取れて「最高の力を発揮できる状態に戻す」ことが、次に述べる方法である。
腰痛、頸腕障害、腿、足の異常などは、大腰筋の緊張を処理すると解消されることが多い。どのようなときに、どのような方法で行うのが最も有効かがここでの問題である。

腰痛の例で操作順を示してみよう。
1)椅子に浅く掛けて、腿の裏(大腿二頭筋)を親指と中指の指腹で大きく、軽くつまむと、コリコリとした緊張感があるので(強くつまむと痛い)、これを左右の足で比較してみる。片側が硬いことが多いが、両方とも硬いこともある。
2)椅子の端に片足を載せ、膝を抱え込むようにする。腰に痛みのある側の膝より、逆側の方が腰はラクになる(大腰筋の屈診)。大腿二頭筋の緊張が解消しているのは、大腰筋の張力が低下する姿勢になっているからである。
3)腿の裏側の緊張が解消しているときは、逆側の大腰筋の緊張が消失しているからである。大腰筋の緊張が消えると、これに影響される首からの頸髄神経の支配を受ける手指の筋の緊張が消え、各指が大きく開くようになる。
(次号につづく)


*** N *** E *** W *** S ***


NEWS ■総合診療医など養成事業の公募開始 - 文科省


文部科学省は5月28日、メディカル・イノベーションを推進する人材や、臓器別・領域別でなく幅広く患者を診ることができる「総合診療医」の養成に取り組む大学に補助金を交付する今年度予算事業(22.5億円)の公募を開始した。6月27日まで受け付け、8月ごろに交付先を決める予定だ。
「メディカル・イノベーション推進人材の養成」で5-10件程度、「リサーチマインドを持った総合診療医の養成」で10-15件程度、計20件程度を選定する。1大学の「単独事業」、複数の大学が連携した「共同事業」のいずれかとして申請する。事業計画の期間は5年以内で、初年度の補助金交付額は、単独事業が5000万-7000万円程度、共同事業が1億-2億円程度。
補助金の交付を受ける大学には、事業の趣旨や目的に沿った教育プログラム・コースを1つ以上設けるよう求められており、既に実施しているプログラムなどは対象にならない。文科省では、補助期間終了後も継続させることを念頭に事業を実施するよう求めている。(医療介護CBニュース 5/28)


NEWS ■こむら返りは「強い疲労」が引き金に!


1日を終えて布団に入る時、普通の人は安堵の表情で眠りにつくもの。しかしMさん(49)は違う。恐怖におびえ、冷や汗をかきながら寝る毎日。何と気の毒な睡眠だろう。
Mさんは高校教師。剣道部の顧問をしているため、朝は6時前に家を出るので、寝るために帰るようなもの。しかし、明け方近くになるとよく脚がつる。夢の中で気配を感じ、急いで目を覚ますのだが、何もできない。あっという間にふくらはぎがけいれんして、激痛にのた打ち回る。
「疲労がたまってけいれんが起きているのでしょう」と語るのは、川崎市麻生区にある麻生総合病院スポーツ整形外科部長の鈴木一秀医師。そのメカニズムを次のように解説する。
「脚のけいれんが起きる背景にはいくつかの理由が考えられます。乳酸の蓄積はもちろん、ナトリウムやカリウム、カルシウム、マグネシウムなどの電解質の低下でバランスが崩れても、けいれんは起きやすくなる。いずれも“強い疲労”がベースにあるのは明らか」
鈴木医師によると、気温が低い時のほうが起きやすいが、夏でも疲れや発汗、脱水などが原因で起きるという。対策は、脚の血流改善と電解質の補給だ。「風呂でゆっくり脚を温め、寝る前にストレッチをして脚の血行を良くすると効果的。寝る時は脚を高い位置に上げたり、ふくらはぎを締め付けるストッキングを使ってもいいでしょう。またスポーツ飲料などの摂取も必要です」
いくらストレス社会とはいえ、睡眠中も不安から逃れられないなんて、あんまりだ。(夕刊フジ 5/22)


NEWS ■「逆流性食道炎」 20代に増加中


最近20〜30代を中心に逆流性食道炎が増えているそうだ。胃酸過多となった胃液が食道に逆流することで、炎症を起こし、胸やけや胃もたれ、胃痛など、様々な症状を引き起こす。
「若い患者さんが増えている一番の原因は『ピロリ菌』という細菌の保有率が世代的に低いからです」
そう教えてくれたのは、とよしまクリニック院長の豊島治先生。ピロリ菌とは胃酸の酸度を下げる働きがあるものの、胃の粘膜を損傷し、胃炎を起こす悪性の菌。衛生環境が悪かった頃はピロリ菌の保有者が多かったため、逆食の患者は少なかったそう。しかし、現在はピロリ菌の保有率が下がり胃酸の酸度が高い人が増え、患者も増えているのだとか。
「70代以上の人は半数以上がピロリ菌を保有していますが、20〜30代になると保有者は2、3割。そのため、若い世代は逆食を発症しやすいのです。ただ、ピロリ菌は胃がんや十二指腸潰瘍の原因になると考えられていますから、発病のリスクを減らすためにはいないほうがいい。むしろ除菌治療をした方がよいくらいです」
ピロリ菌以外に考えられる逆食の原因は、どういうことがあるのでしょうか。
「食べ過ぎ、飲み過ぎに気をつけることです。特に油っこいものや甘いもの、香辛料のきついものの食べ過ぎはよくない。それから、おなかを圧迫しないように、姿勢をよくすること。太り過ぎも注意。脂肪が胃を圧迫してしまい、胃酸が逆流しやすくなってしまいます」(web R25  5/21)


NEWS ■アレルギーや喘息の人の運動


運動は誰にとっても良いことだが、アレルギーや喘息がある人にとっては特別な挑戦になる。米国スポーツ医学会(ACSM)は、次のようなアドバイスをしている。
・運動(プログラム)を開始する前にアレルギーの専門医に相談をする
・医師に処方されたアレルギーや喘息の治療薬をすべて携帯する
・運動をする際は鼻呼吸をする
・花粉が飛ぶ季節は屋外を避け、屋内で運動する。窓やドアを閉め、カーペットではなくマットの上で
・救急薬を手元に置いておく。症状が悪化し始めたら運動しない。ウォームアップとクールダウンに時間をかける(毎日新聞 5/10=部分)


NEWS ■アレルギーで肺疾患の重症度が上昇


花粉症や同様のアレルギーは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者における呼吸障害の頻度、重症度を増大させることが、米ジョンズ・ホプキンス大学(ボルチモア)喘息・アレルギーセンター内科准教授のNadia Hansel氏らの研究でわ
かった。研究論文は、「American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine」オンライン版に掲載された。
COPDは、呼吸しにくくなる進行性の肺疾患。今回の研究で、Hansel氏らはCOPD患者1,400人超を対象に検討した。その結果、アレルギーのある人はない人に比べて、喘鳴、慢性の咳や痰、咳による夜間の覚醒が認められたり、COPDの症状が悪化して抗生物質や受診が必要になったりする可能性がはるかに高かった。
Hensel氏は、「今回の研究結果は、アレルギーの治療または発症誘因の回避がCOPD患者における呼吸器障害の発生数と重症度の低減に効果があることを示唆している。現行のCOPD治療のガイドラインはアレルギーの管理を扱っていない。アレルギーとCOPDの関わりについてはさらに研究を重ねる必要がある」と述べている。(American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine」オンライン版 5/10)


NEWS ■PT、OTの上級職新設を提言-将来は独立開業も


日本慢性期医療協会の武久洋三会長は5月8日の記者会見で、心身の機能回復訓練に当たる理学療法士(PT)や作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)の上級職として、3職種の技能や知識を兼ね備えた「総合リハビリテーション療法士」の国家資格を新設すべきと提言した。3職種の機能を併せ持つことで、総合的なリハビリができると指摘。将来的には、訪問リハビリ事業所の独立開業を新資格者に認めたり、新資格者がいる医療機関を「総合リハビリテーションセンター」として国が認定し診療報酬で評価したりする構想も明らかにした。
新資格を取得するまでの流れとしては、PT・OT・STのいずれかの教育課程を修了した人が、さらに1年間の専攻課程を学んで国試を受ける案を提示。PTなど現行の3職種の資格は廃止せず、それらのキャリアアップ先に新資格を位置付ける考えを示した。
武久会長は、「OT的な手法をPTが全く知らなくていいわけではないし、STがいなければ嚥下訓練は一切しなくていいということではない。慢性期も急性期も含め、総合的な知識と技能を持った療法士がこれから必要になる」と述べたほか、在宅分野のリハビリでも、1職種だけの技能では不十分と指摘。リハビリの対象となる患者増が見込まれる今後に備え、新資格を創設する必要性を強調した。(医療介護CBニュース 5/8)


NEWS ■肩関節炎の症状を和らげるには…


肩関節炎は、肩の関節の炎症によって発症し、痛みや強ばりを生じる。米国整形外科学会(AAOS)は、肩関節炎の症状を和らげるためにできることとして次のような方法を紹介している。
・肩に負担がかからないように、日常の活動を調節する
・可動域を向上させるために、理学療法を受けることを検討する
・炎症を和らげて痛みをコントロールするために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の服用について医師に相談する
・肩を氷で20分ほど冷やす(1日にこれを2〜3回行う)(産経新聞 5/7=部分)


NEWS ■睡眠障害が前立腺癌リスクに関連


睡眠障害が男性の前立腺癌リスクを増大させる可能性が新たな研究で示唆された。アイスランド大学(レイキャビク)のLara Sigurdardottir氏によると、「前立腺癌は男性にとって公衆衛生
の主な懸念事項の一つで、睡眠障害は非常によくみられる障害。さらに詳しい研究によって今回の結果が裏付けられれば、前立腺癌リスク低減のための介入措置として、睡眠が標的となる可能性がある」と、述べている。
今回の研究は、アイスランドの67〜96歳の男性約2,100人を対象に実施されたもので、眠るために薬を飲んでいるか、なかなか寝つくことができないか、夜中や早朝に目が覚めた後に眠れなくなるなどの状態があるか質問した。その結果、14.4%に重症または極めて重症の睡眠障害が認められた。研究開始時点で前立腺癌のある男性はいなかったが、5年の追跡期間中に6.4%が前立腺癌と診断された。
年齢調整後、睡眠障害のある男性が前立腺癌を発症する確率は、睡眠障害のない男性の1.6〜2.1倍だったと、研究グループは結論付けている。睡眠障害が重症であるほどリスクも高かった。この関連は、前立腺癌全体よりも進行前立腺癌で強く認められ、極めて重症の睡眠障害のある男性は、進行前立腺癌リスクが3倍であることが示された。(Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention 5月号)


NEWS ■糖尿病や喫煙は認知機能も阻害する


糖尿病や喫煙といった心疾患のリスク因子は認知機能の低下にも影響することが、オランダのフローニンゲン大学病院腎臓学フェローのHanneke Joosten氏らによる大規模検討で明らかになった。この影
響は高齢層だけでなく若年成人においても見られたという。対象は35〜82歳の約3,800人。喫煙や糖尿病、LDLコレステロール高値といった心疾患のリスク因子のほか、記憶力の程度や計画性、仕事の遂行や場面転換への能力など認知機能に関する評価を行った。
その結果、心疾患リスクが最も高かった群では、最も低かった群に比べ、認知機能の評価が50%低いことがわかった。特に喫煙と糖尿病という心疾患の2リスク因子は認知機能低下に強く関連していた。この関連は年齢にかかわらず認められた。
Joosten氏は「若い人は、喫煙や過体重の影響が出るまでには年月がかかると思いがちだろうがそうではない。また、心疾患リスク因子がメンタル面にもダメージを及ぼすことはあまり知られていない。心臓に悪いことは脳にも悪いのだ」と指摘。
医師が心疾患リスク因子と脳の機能低下の関連について注意するほか、心疾患リスク因子を減らすための社会的行動も求められるとして、禁煙プログラムの重要性などに言及している。(Strokeオンライン版 5/2)


NEWS ■線維筋痛症の痛みを運動療法で軽減


線維筋痛症に伴う疼痛は運動で悪化することはなく、長期にわたって軽度から中等度の運動をすれば症状が軽減する可能性を示唆する研究論文が、「Arthritis Care & Research」オンライン版に掲載された。米
ウェイク・フォレスト大学バプティスト・メディカルセンター(ノースカロライナ州)内科准教授のDennis Ang氏らの研究。
Ang氏は「多くの線維筋痛症患者は1、2週間運動し、痛みがあると、運動が疼痛を悪化させると思って運動をやめてしまう。今回の研究結果によって、患者の不安が軽減されることを期待している。運動を続けることで全体的な健康が改善し、疼痛を悪化させることなく症状が軽減するということを理解してもらえれば」と述べている。
Ang氏らは、170人に軽いジョギングや速歩きなど中等度の運動を1日20分間、個別にやってもらった。36週間の研究期間中、12週間ごとに被験者の症状と身体活動を質問票で評価した。その結果、中等度の運動を12週間以上行った被験者では、それより弱い運動を行った被験者よりも症状が改善した。Ang氏らは、現行の診療ガイドラインが推奨している長期の身体活動によって線維筋痛症患者の疼痛が増大することはないという。(Arthritis Care & Research」オンライン版 5/2)


NEWS ■運動や代替療法の降圧効果


一部の人は、超越瞑想法、バイオフィードバック、インナーボディ瞑想といった代替療法によって高血圧が改善する――米国心臓協会(AHA)。ただし、薬物療法以外では有酸素運動だけが大きな影響をもたらし、強く推奨されることが証明された。今回の報告はリラクセーション療法や瞑想療法、ヨガや鍼による降圧効果を支持するものではないが、これらの療法に関する研究の質には限界があるため、代替療法が有効であるという希望は残っていることも示唆している。
研究著者である米ミシガン大学内科准教授のRobert Brook氏は「代替アプローチは有害でないが、医師が推奨する薬物療法の代わりに用いるべきではないということは明らかだ。これまで減量、食事と塩分の摂取制限、運動を勧めてきたが、順守することは難しい。血圧を低下させる代替法に関する全研究をレビューする時期がきたと考えた」と述べている。
今回の報告では、速歩のような有酸素運動が高血圧に最も有効であると位置づけられ、最も質の高い研究がそれを裏付けていた。バイオフィードバック、ウエートリフティング、超越瞑想法、一連の音に合わせて行う呼吸同調なども有効性の点では高スコアを示した。ものによっては、収縮期血圧が5〜10mmHg低下する可能性があるという。(Hypertension オンライン版 4/22)


NEWS ■男も女もその声に惹かれる


太く低い声の男性、高い声やハスキーな声の女性は魅力的――こんな研究結果が英ロンドン大学(UCL)のYi Xu氏らによって報告された。今回の研究の結果、男女とも異性の声から
身体の大きさを想像し、男性は小柄であることを想像させる女性の高い声やハスキーな声を好み、女性は大柄であることを想像させる男性の低い声を好んだ。ただし、女性は男性のハスキーな声も好ましいとした。これは、大柄な男性がもつ攻撃性を和らげると思われるためだという。
以前の研究では、動物や鳥は(相手の)鳴き声を聞いて、その特徴から体の大きさや意図を判断できることが明らかにされている。たとえば、低周波のうなり声は大きな体、優位性や攻撃の可能性を、また高周波の音は小さな体、恐れ、服従をそれぞれ示唆する。
Xu氏らは、今回の研究により、複雑な言語が発達していても、ヒトの音声による意思疎通にはやはり動物としての直感が働いていることが示されたと述べている。(PLoS ONE 4/24)


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