エンタプライズ発信〜 メールマガジン【№25】2013. 4

中国で鳥インフルエンザが広がっているのを受け、厚生労働省は24日、H7N9型を「指定感染症」に、また海外からのウイルス持ち込みを防ぐため「検疫感染症」に指定しました。これらにより患者の強制的な入院や就業制限などの措置や、疑いがある入国者に対して検疫所検査などを実施できるようになります。くしくもこれからゴールデンウィークで海外へ出かける日本人が多いことから一層の注意が必要でしょう。ことは中国と思われそうですが、人の往来がこれだけ活発な現代、中国国外に広がらない保証はありません。編集子は先日、生牡蠣を食し、高熱と長期の水便となり大変な思いをしましたが、このときはノロウイルスの疑いがもたれました。いまだノロウイルスの脅威は現存しますし、2006年には「ノロウイルスと言えば牡蠣」という印象が広まり風評被害も甚大な規模で出ました。私たちが大きな地震が起こる可能性を想定し、常日頃からそれに対して防災を築き上げてゆくように、ウイルスによる世界的流行(パンデミック:pandemic)に対しても、近い将来の最悪の事態を想定して、地球全体で今から可能な準備を始めることが必要であるといえます。

★☆★━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━★☆★

【1】WHO 『健康の社会的決定要因 確かな事実の探求』第2版
【2】意識に基づくエネルギー療法 “ BodyTalk ”
【3】伝統医学をシルクロードに求めて
【4】カイロプラクティック・エネルギー治療へのパラダイムシフト
【5】根拠に基づく腰痛の原因と治療
【6】“連動操体法”について、ちょっとばかり…
【7】N・E・W・S
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【新刊案内】
◆『タオ 性科学』 女性編(改訂版)を発売開始!◆

改訂による翻訳で時間を要していました謝明徳・原著 『タオ 性科学』 女性編(改訂版)が刊行となりました。ご予約をいただいていました皆様には大変長い時間お待たせしまして心よりお詫びいたします。弊社HPよりご注文ができますので、 http://eppub.jpまでアクセスしてください。

人気のヒーリング・ラブが男女編そろい、双方向のエネルギー交換のプロセスを学ぶことができるようになりました。セクシャル系ヒーリングとして好評を博している本書、およびユニバーサル・タオのベーシックとして基礎知識を涵養できる『タオ人間医学』も併せてご購読ください。


【Topics】

◆アクティベータメソッド創始者を招き、セミナー開催◆

アクティベータ・ネットワーク・ジャパン(ANJ)は4月6日から2日間にわたって、アクティベータメソッド創始者であるDr. ファー(Fuhr)を招き、アドバンスセミナーを開催した。Dr. ファーは9年ぶりの来日で、ほかに2人のDCを帯同してセミナーに臨んだ。折りしも米国では治療器ActivatorⅤが発売されたばかりで、開発のリーダーとして携わったDr.ファーは実技のデモンストレーションで最新メカニクスによるアップグレードテクニックを披露した。画期的イノベーションといわれる同Ⅴは現在在庫がないほどで、米国内外で好評を博しているという。
会場となった東京・ベルサール三田には柔整師、鍼灸師、カイロプラクターをはじめ約70人の参加者を得てアドバンス講義および実技演習が行われ、米国人DCによる本場のアプローチの細微にわたる技術の修得に余念なく取り組んだ。次回は大阪での開催で、ベーシック/インターミディエイトクラスが6月9日-10日に行われる。詳しくは、 http://www.activator.gr.jp/


<<< 最 終 回>>>
【REVIEW】

WHO 『健康の社会的決定要因確かな事実の探求』第2版

<訳:WHO健康都市研究協力センター・日本健康都市学会・健康都市推進会議>


【本書に関する機関・団体】

◆WHO(World Health Organization 世界保健機関)
WHOは1948年に国際連合(United Nations)の専門機関として設立され、国際的見地からの保健に関する問題や公衆衛生について指導ならびに調整をする役割を果たすものである。WHOの組織上の機能は、人の健康に関わる客観的かつ信頼のおける情報とアドバイスを提供することであり、出版活動を通してその責任を果たすことである。出版を通じてWHOは国レベルの健康保健政策をサポートし、最も緊急度の高い公衆衛生案件に対処するよう努めている。

◆WHO欧州地域事務局(WHO Regional Officefor Europe)
本局は、世界に六つある地域事務局の一つである。各事務局は担当国の健康問題に合う独自のプログラムを擁している。ヨーロッパ地域では北はグリーンランド、南は地中海からロシア共和国の太平洋沿岸までの地域に住む約8億7000万人が対象である。従ってWHOの欧州プログラムは、産業化社会あるいは脱・産業化社会に伴う諸問題にも、中央・東ヨーロッパならびに旧ソ連邦に出現しつつある民主化に伴う諸問題にも力を注いでいる。
信頼性の高い情報やガイダンスが可能な限り確実に入手できるようにするため、WHOは幅広く世界に向けて出版物を頒布し、翻訳やそれぞれの地域に実情にあう形にするよう勧めている。健康を守り促進し、疾病を予防しコントロールすることにより、WHOの出版物は「全ての人に可能な限りの高い水準の健康を」というWHOの主要な目的を果たすのに貢献している。

◆WHO都市保健センター
この冊子はWHO欧州地域事務局 都市保健センターにより編纂されたものである。当センターの専門的な着眼点は健康保健政策の分野におけるツールの開発や資料の活用、健康と持続可能な開発の統合促進、都市計画の推進、統治や社会的サポートの進展である。また都市保健センターは、健康都市計画と都市開発計画についての責務を有する。

◆国内の関連機関・団体

・WHO健康都市研究協力センター
WHOが展開する「健康都市プロジェクト/プログラム」の理念に基づき、健康都市と都市政策研究の推進普及に携わっている。[東京医科歯科大学健康推進医学/国際保健医療協力学内]

・健康都市推進会議(特定非営利活動法人)
すべての人々が健康的な生活をおくることができるよう、健康都市に関する学術的基盤を拡大し、健康都市づくりを積極的に推進するための企画と提案を行うことで健康都市の実現を図ることを目的とし、1991年より活動している。

・日本健康都市学会
健康都市プロジェクト/プログラムや健康を重視した都市政策、まちづくりに関する学術研究の発展に寄与することを目的として活動している。

<The Solid Facts 2nd edition 日本語版 発刊編集委員会委員>
淺野牧茂、石館敬三、井上恵司、猪瀬智子、大西真由美、荻野忠、河原和夫、木津喜雅、草刈隆、下光輝一、鈴木重任、鈴木聰男、高石昌弘、高野健人(委員長)、中村桂子、福田吉治、村田篤司、本橋豊、山本信夫、吉田美津子、渡辺雅史


◆◆◆ ⑫ ◆◆◆

『意識に基づくエネルギー療法 “ BodyTalk ”』

…… 今 田   泰 (IJBA東日本支部支部長)……


前回は2月19日-20日に開催された「統合医療展2013」へBodyTalk Japanとしてブース出展した様子を紹介した。今回はつい先日、日本で初開講された「リンパドレナージと応用解剖生理学(旧モジュール5)」について解説したい。

ヴェルトハイム・リンパドレナージ・メソッド(VMLD)

細胞間質液は、細胞に有益な物質と老廃物を交換する役割を持つ。細リンパ管に入った段階でリンパ液となり、組織において発生したCO2や破砕されたウイルスなどを細リンパ管を経てリンパ節に運ぶ。そのため免疫系とも密接に関係している。
VMLDを行うことで患部に触れることなく慢性や急性の浮腫に対処できるだけでなく、ある部位の有害物質を除去することにもなる。これには感情に起因する神経伝達物質や、器官の周囲で滞っているホルモンまでが含まれると考えられ、結果としてしこりや嚢胞が消失することもある。
一般的なリンパドレナージとは中医学的な脾臓の役割を重視している点と、実際的な見た目の違いで大きく異なる。一般的なリンパドレナージを知っている人から見れば、一見リンパドレナージをやっているようには見えないであろう。
ところで、このVMLDはBodyTalkのプロトコルチャートに項目として含まれていないこともあり、他の上級クラスよりも後になって開講された経緯がある。BodyTalkのチャートには「その他の様式」という項目があり、これはここに行き着いた際には施術者が熟練しているBodyTalk以外の他のテクニックを使用することを意味するが、その選択肢としてこのVMLDが候補になりうるのである。

応用解剖生理学

ここでは人体を構成する量子レベル(原子、クォーク、電子など)から化学レベル、細胞レベル、組織レベル、器官レベル、器官系レベルまで詳細な名称と機能、そしてその部位が表す意識の表が体系だった形で用意されており、これをどのようにBodyTalkセッションに応用させるかを講義とデモンストレーション、実践にて学ぶ。
したがって、これまで施術士の知識の範囲外であったことまでセッションで詳細に引き出せるようになる。このことで必然的により深みのある内容となり、実際的なセッションの精度が増すだけでなく、施術士自身の思惟の深化にもつながるため、結果的にクライアントの納得度、満足度も増すことであろう。

以上の内容から、このクラスはBodyTalkのセッションを高度に補完するものと言える。すでに参加者から数キロ単位での体重の減少や浮腫の解消などの話が聞こえてきているため、機会があればそれらも紹介していきたい。
(次号へつづく)


《 連載7 》

伝統医学をシルクロードに求めて

       池上正治(作家・翻訳家)


珍重され、かつ忌諱されるマンドラゴラ (つづき)

それでは朝鮮人参とマンドラゴラの関係はどうか。絹や茶のように、西域を経てシルクロードを揺られていったのは人参であろうか、あるいはガラス器やニンニクのようにマンドラゴラが運ばれてきたのだろうか。
そのどちらでもない。両者はまったくの別物である。朝鮮人参は学名を、Panax ginseng C.A.Meyer といい、ヤツデやウドの仲間でウコギ科に属する。マンドラゴラはナス科の植物で、学名は Atropa Mandragora L. である。
かつて朝鮮には、自分の娘のもとに通ってくる人参の精に糸をつけて大金持ちになった父親がいたという。今日、マンドラゴラを輸入し、鉢植えして売り出せば大儲けができるそうだ(『牧野富太郎集』)
「興味深いマンドラゴラ、すなわちマンドレーク、すなわち悪魔りんご、すなわち恋りんご、すなわち恋なすの生木が、昔からこんな有名な植物でありながら、まだ一度もわが日本へ来たことがないのは何としても物足りない。……どこかの植木屋でさっそくこれを欧州から取り寄せ、盆栽にでも仕立てて売り出したら、カフェーなどではたちまち競うてこれをテーブルの上に並べるだろうから、きっと大儲けができるに違いない。それは確かにわしが請け負うから、ここは一つ、うんとやってみるがよい。そのときは、これ、この秘策を授けたおれに、その儲けの一割だよ、よいか」

■ 2. 蒙古編 大興安嶺でのラマ医僧十年

   [ 加藤清也氏(ラマ僧修験者)に聞く ]

私は蒙古の地へと旅立ったのは、昭和10年5月のことでしたから、ずいぶん昔のことになります。日本橋をふりだしに、名古屋、神戸、大連、長春(新京)、白城市などを経て、大興安嶺のふもとにある葛根廟にたどり着きました。約3か月かかりました。
当時で言えば、満州国興安南省西科前旗というところですが、現在では中国の吉林省科爾泌右翼前旗(烏蘭浩特)ということになります。
葛根廟というのは通称です。正しくは梵通寺。葛根は中国語で言うとゲゲンですが、このゲゲンというのは活(い)きた仏、活仏(かつぶつ)ということなんですね。チベットでは、中国人がこの寺には活仏(ゲゲン)がいると、それで葛根と俗称したわけです。私が行ったときのゲゲンは、第六世諾諺呼図克図(ノウヤンホトクト)だったわけですけど、どこの寺にもゲゲンがいるかというと、そうではありません。
私にとっては言葉も習慣もみな違う異国の寺、梵通寺にはご本体として釈尊、その左右には八大菩薩が祀ってありました。ここに居住する僧侶は総勢578名で、私以外はすべて蒙古人です。周囲の住民はほとんどがモンゴル人ですが、少数の中国人、朝鮮人もいたようです。ええ、そのほとんど全部がラマ教の信者だったということができます。もっとも、周囲といってもすぐ隣ではありませんよ。20里も30里も離れて住んでいることはザラにあるんですから。(次号につづく)


<<連載>>

カイロプラクティック・エネルギー治療へのパラダイムシフト <第25話>

       保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


“振動”と“リズム”(つづき)

生命における大きな周期は生と死であるが、骨や筋膜などの組織は常に入れ替わり、完全に入れ替わるのは一生のあいだに10回から15回、皮膚や小腸などの組織は、同じ一生のあいだに約1万回も入れ替わると言われている。心拍、呼吸、月経周期などはわれわれが自覚できる生体リズムであるが、心電計や脳波計によってもそのエネルギー的波長のリズム、すなわち「波」を測定することができる。

800年変換の大きな波動周期説

さらには、時代の流れにも「周期」があることを発見した歴史学者もいる。『文明と経済の衝突』の共著者である村山節氏によると、世界の歴史には800年周期という大波があり、その周期は遺伝子(DNA)と大きな共通点があるという。生命の営み、経済、文明などは密接不可分なものであるという大胆な仮説だ。
6400年という時間的スケールで世界の文明を見ると、紀元前3600-3500年は古代メソポタミア文明の崩壊、同2800-2700年はエジプト古王国文明の崩壊、同2000-1900年はインダス文明・シュメール文明の崩壊、同1200-1100年はエジプト新王国文明の崩壊、同400-300年はペルシャ文明の崩壊、そして紀元400-500年はローマ帝国の崩壊というように、たしかに800年変換の大きな波動周期が実在していることが明らかである。
また西の文明が繁栄すると東の文明が衰退するという、文明には「文化低調期」と「文化好調期」のサイクルがあり、それはDNA遺伝子の二重螺旋構造のごとく、サイクル運動をなしていることもわかってきた。
すなわち、文明エネルギーの蓄積を“プラス”とし、放出を“マイナス”とすれば、プラス期(文化低調期)には文化はネガティブ(陰性)であり、マイナス期(文化高潮期)には文化はポジティブ(陽性)であるという理屈になる。これは東洋の陰陽学説に通じており、われわれには感じることのできない巨大な陰陽バランスが常に保たれていることでもあり、小宇宙である人間の身体の成り立ちや働きを知る上で重要な手がかりになるであろう。
このような歴史的研究や近代科学の研究成果を振り返ると、自然界のリズムと生命のリズムとが密接に関連しあっていることが見えてくる。そしてこれらの自然に生じている目には見えないエネルギー的リズムを知ることが、自然治癒力を引き出す大きな手がかりにつながることは、有機的な治療を志す臨床家であれば理解いただけると思う。(次号につづく)


根拠に基づく腰痛の原因と治療 -世界発信より- 2013. 3〜4

   長谷川淳史(TMSジャパン代表)
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世界の腰痛診療ガイドラインがエビデンスに基づき患者教育を推奨すると発表した論文を中心に、各国の医療情報を日々集約し開発を進めている「TMSジャパン」。代表の長谷川淳史氏の厚意により、時々刻々と遷移する腰痛治療に関する世界の情報をお届けする。ソースの詳細は英文。SNSはもちろんブログやサイトに、引用先のURLごとコピー&ペーストして可。

【最新の腰痛に関する情報一覧】

■慢性リウマチ患者18名の疼痛や機能障害などと患者が住んでいる地域の気圧・気温・湿度を分析した結果、患者の症状と気象条件との間に関連性は認められなかった。これまで天候が関節痛に影響するという結果が得られた研究はない。 http://1.usa.gov/RNYAB5

■65歳以上の脊柱管狭窄症による手術件数は1979年〜1992年にかけて8倍に増加しており、地域によって5倍の差が生じている。手術成績に関する十分な情報がないまま生死にかかわる治療を選択せざるを得ない状況は好ましくない。 http://1.usa.gov/S8iXZL

■腰部脊柱管狭窄に対する選択的除圧術と脊椎固定術を受けた患者114名を分析した結果、65歳以上の42%に栄養不良が認められ、術後感染率が85%と高率だったことから、栄養不良は脊椎手術による術後合併症の危険因子である。 http://1.usa.gov/R4q3Sz

■老人専門病院のナースを対象に運動プログラムの腰痛予防効果を調査したRCT(ランダム化比較試験)によると、13ヶ月後の腰痛による欠勤日数はトレーニング群で28日、対照群で155日だった。運動には腰痛を予防する効果がある。 http://1.usa.gov/OOV5d3

■脊椎分離症または脊椎分離辷り症のあるアスリートを約5年間追跡調査した結果、連日の過酷なトレーニングにもかかわらず症状を訴えた者は皆無だった。若者にアスリートの道を諦めさせたり激しい運動をさけさせたりする必要はない。 http://1.usa.gov/NJNbpB

■郵便局員に対する腰痛教室(脊椎力学・姿勢・荷物の正しい持ち上げ方に関する教育)の有効性を調査した結果、腰痛発症率・欠勤日数、復職後の再発率のいずれも減少しなかったことから、腰痛教室は時間と費用の無駄であることが判明。 http://1.usa.gov/SUrpwE

■3つのビスケット工場を対象に心理社会的教育パンフレット(腰痛に対する恐怖心を打ち砕く内容)の有効性を1年間にわたって追跡調査した結果、教育パンフレットを使用した工場は腰痛発症率と欠勤日数が大幅に減少したことを確認。 http://1.usa.gov/VPdkFb

■突発性側彎症に対する保存療法(装具治療1459名・側方体表電気刺激322名・経過観察129名)に関する研究をメタ分析した結果、装具を1日23時間装着した群だけが治療に成功することが判明。短時間装着や他の方法は無効。 http://1.usa.gov/PNGT4s

■線維筋痛症患者538名を7年間追跡調査した結果、現在の医学的介入(治療法)では疼痛・機能障害・疲労感・睡眠障害・精神状態を改善させることはないことが判明。線維筋痛症の病態を説明できる証拠さえなく収集のつかない混乱状態。 http://1.usa.gov/PNQd8I


【連載コラム】

“連動操体法”について、ちょっとばかり… (25)

       根本 良一(療動研究所主宰)


3.-2 大腿直筋の操体法(つづき)

大腿直筋の自療操体法:

1)膝を上げにくい方の足について、踵を床につけ、足先を内側にまわす。
2)別の足を、足首を交差して上から足甲に載せ、足の母指側から軽く抵抗をかける。充分内側へまわったところで足首を反らせ、
3)足の向いた方の腰を出し、
4)肩を足先の向く方へ軽くまわす。
5)充分に動いたら、上の足を前へ軽く押す(このとき下の足は軽く引きつけ動きになる)。そのままで約3秒間連動させて、フーッと息を吐きながら脱力させる。
6)ゆっくり2呼吸あいだをおいて、これを2-3回行う。

4. 仙骨から首まで

腰の後ろ、背骨の下端にある三角形の骨が仙骨、この中央を縦に走る隆起線が中仙骨稜であり、その両側を縦に首まで走る強い筋が仙棘筋である。足から動いて、膝の動きを補助動作とすると、左右、内外で4種の動きにより、気持ちよく首の硬さが消え、背中、首および首に関連する部位がすっきりする動きがある。

4.-1 腰仙部からの操体法

[誘導語]
受者は伏臥位に寝る。両足を伸ばし、首の違和感がある方の足を床に立てる。
1)「踵を内側に倒してみてください。腰がまわり、下になる方は膝を曲げてお腹へ引きつけましょう」
術者は後ろにいて、膝を引きつける足首へ手をかけ、軽く引き、上の脚へ擦りつけるように抵抗をかける。
2)「踵を外側へ倒してみてください。逆方の腰が上がるので、上がる膝を脇腹へ軽く引きつけます」
術者は曲がる膝へ肘を差しこみ、掌で外へ倒れていく膝へ軽く抵抗をかける。

これを左右の足に行い、これら4種の動きについて一番気持ちよく動けるものを選んで2-3回行う。
首の痛み、顎関節症、肩の痛み、背部痛などには、この遠方からの連動が有効である。(次号につづく)


*** N *** E *** W *** S ***


NEWS ■便意ガマンで腸が破裂!? 大腸憩室炎が増加


腸の内部に憩室があっても、それだけでは「大腸憩室症」といい、経過観察で済む。怖いのは炎症を起こす「大腸憩室炎」だ。時には耐えられないほどの強い腹痛が襲う。痛みは胃のあたりに感じることもあり、問診だけでは、胃炎などと誤診されることもある。
あんこうメディカルクリニック(東京都豊島区)の安康晴博院長は、こう話す。「肉食が増え、食物繊維を取らなくなってきたことが一因ともいわれている。便秘傾向の人で、40代以上であれば、大腸がん検診などで憩室が偶然見つかることがよくある。高齢者が『憩室炎』になると、ひどい場合、憩室の壁が破裂して腹膜炎になる可能性がある。
「大腸憩室炎」は、絶食、整腸薬、腸管運動を調節する薬の内服、経口補水液や点滴などによる補液と抗生剤で保存的治療を行う。これで大部分が回復するが、破裂して腹膜炎になり緊急を要する場合は、手術。大半は命に別条ないが、高齢者は別だ。
予防には、日常生活と食事の見直しが必須だ。安康院長は「便秘になると、内側にたまったガスが腸を圧迫するため、憩室ができやすくなる。まずは便秘を避けるため、普段からヨーグルトや納豆などの発酵食品、繊維の多い野菜などを意識して増やすこと」とアドバイスする。
また、腸は、食後に必ず動く「ぜんどう運動」を始める(胃結腸反射)。この運動は朝食後が1日のうちで最も強い。つまり、朝食は欠かせない。「時間がなくてもバナナやりんごに野菜を入れてミキサーでジュースを作って飲むだけでもよい」(安康院長)。(夕刊フジ 4/24=一部)


NEWS ■寝起きの一服は肺癌や口腔癌のリスクを高める


起床後すぐにタバコを吸う人はそうでない喫煙者に比べ肺癌や口腔癌を発症する可能性が高いことが、米ペンシルベニア州立大の研究で示され、研究論文が「Cancer Epidemiology, Biomarkers and Prevention」 3月29日号に掲載された。
それによると、全米健康栄養調査(NHANES)に参加した成人喫煙者2,000人近くのデータを分析した。被験者から得た血液検体と喫煙習慣に関する情報を分析した結果、被験者の約32%が起床後5分以内に最初の1本を吸い、31%が6〜30分以内、18%が31〜60分以内、19%が1時間以上経過してからタバコを吸っていた。
1日の喫煙量にかかわらず、起床後すぐにタバコを吸う人では起床後30分以上経過してから吸う人に比べてNNAL(NNKと呼ばれるタバコに特異的な発癌物質の副産物)の血中濃度が高かった。血中NNAL濃度は年齢や性別、喫煙開始年齢、他の喫煙者との同居などの因子にも関連していた。
「起床後すぐにタバコを吸う人はより深く、より多く吸入するため血中NNAL濃度が高まり、肺癌や口腔癌のリスクが増大する可能性がある」という。(tms-net 4/24)


NEWS ■世界の成人のほとんどが塩分を摂り過ぎ


世界の成人の4分の3が1日推奨量の2倍近くの塩分を摂取している――こんな研究報告が米国で開催された疫学・予防/栄養・身体活動・代謝に関する米国心臓協会(AHA)年次集会で発表された。米ハーバード大学公衆衛生学部のSaman Fahimi氏らの研究。
世界保健機関(WHO)ではナトリウム摂取を1日2,000mg未満に抑えることを推奨し、AHAでは1日1,500mgに制限することを推奨している。今回の研究の結果、2010年の食卓塩や市販の加工食品、調理時に加える塩や醤油による成人のナトリウム摂取量は1日平均4,000mg近くであり、米国では約3,600mgだった。
平均摂取量が最も多かったのはカザフスタンの1日6,000mgで、ケニアとマラウイが最も少なく約2,000mgだった。全体では、世界の人口の推定99%がWHOの推奨限度を超えていた。この研究結果は、2010 Global Burden of Diseases Study(世界疾病負荷研究)の一環として行われた成人のナトリウム摂取に関する調査247件の分析に基づく。(読売新聞4/19)


NEWS ■一人ぼっちは早死する—タバコ1日15本と同じ健康被害


ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのアンドリュー・ステップトゥ教授(免疫学、公衆衛生)らによって行われた調査結果は3月25日、米国科学アカデミー紀要(電子版)に掲載された。
50歳以上のイギリス人6500人に、彼らの孤独のレベルについての質問に答えてもらい、集めたデータを分析した。友達、家族、宗教団体、そのほかの組織など、社会的なつながりを聞いた上で、7年後に何人の人が死んだかを調べた。
すると、性や年齢、そのほかの要因を考慮に入れてもなお、かなりのレベルで社会的に孤立している人は死亡率が26%も高かったそうだ。ここでいう「社会的孤立」とは、客観的に見て、他人とほとんど交流していない状態をさす。一方の「孤独感」は、社会的なつながりに不満を覚える人が抱く感情のことだ。
また、極度な孤独感は一見すると死の要因になっているようにも思えるが、所得や教育、そして健康問題の有無といった生存に関わるほかの要因を考慮に入れたところ、それだけでは、人々を死に至らしめることはないことがわかったという。
社会的な関係と死のリスクに関する調査は2010年にケンブリッジ大学でも行われていた。「社会的関係は、タバコやアルコールと同等で、肥満や運動不足よりも死亡率に影響がある」と結論付けられており、論文中で、社会的に孤立していて孤独を感じていることは「1日に15本タバコを吸うのと同じくらい健康に悪い」とされていた。(J-CASTニュース4/10)


NEWS ■家族との食事は十代若者の精神的健康に有用


夕食を常に家族と一緒にとることが十代若者の精神的健康に良いことが、カナダ、マギル大学(モントリオール)のFrank Elgar氏らの研究でわかり、研究論文が「Journal of Adolescent Health」4月号に掲載された。効果は、親と話しやすいと感じていようがいまいが同じだという。
Elgar氏らは、2010年に行われたカナダの学齢児童の健康行動に関する研究に参加した11〜15歳の十代の若者約2万6,000人のデータを検討した。その結果、家族と夕食を一緒にとる機会が多いほど、情緒障害と行動障害が少なく、精神的に安定し、他人に対する信頼感や役立つ行動が増え、生活満足度が高かったという。
家族との食事時間がもたらす良い効果は性別や年齢、家族の収入に関係なく同じだった。Edgar氏は、「調べた結果すべてで一貫してこのような効果がみられたことに驚いた。1週間のうち家族と一緒に夕食をとる回数が0回から7回まで、1回増えるたびに精神的健康は有意に改善した」と述べている。
同氏らは「家族との食事時間は家族のオープンなやりとりの場。親は子どもに積極的な対処方法や健康行動を教え、子どもは自分の不安を口にし、自分の価値を実感できる。これらはすべて良好な精神的健康に効果がある」という。今回の研究は、家族との食事と十代若者の精神的安定の関連性を明らかにしたが、因果関係を証明するものではない。(tms-net 4/9)


NEWS ■健康被害防止へ安全指針—カイロ療法団体が作成


国民生活センターは安全性確保のための施術者への指導や施術の指針(ガイドライン)作成を要請。日本カイロプラクターズ協会(JAC)がまとめたのが今回の指針だ。
国内のカイロプラクティック施術者数は推定2万人前後に上るが、WHO基準を満たす教育の修了者は同協会員を含めた約800人にすぎず、数日〜数週間の講習会や、1〜2年の短期養成校などに通って開業するケースが大多数だという。
「短期の教育では実技に偏重する。しかし最も重要なのは問診で症状や健康状態を確認し、施術の適応か禁忌かを見極めること。そのためには時間をかけて基礎医学や臨床医学の知識を身につける必要があります。現状では被害が発生するのも当然です」と竹谷内啓介理事長は危機感を募らせる。
指針は、カイロプラクティックの適応症として腰痛や頸部痛、むち打ち症、肩こり、背部痛、疲労感などを挙げる一方、施術によって患者に直接的な害が及ぶ可能性がある禁忌症としてリウマチ性関節炎やがん、感染症などの疾患名を具体的に示した。また、WHO基準の教育こそが安全性の向上につながるとし、これを満たしていない多くの施術者には再教育が必要だと指摘した。
「施術者の認定試験制度や、利用者が安全な施術者を選別できる仕組みを作りたい。こうした業界の努力が、将来の法制化や資格の制度化につながるはずです」と協会の竹谷内啓介理事長は期待している。(共同通信社 4/9=一部)


NEWS ■「院内暴力」4割が被害 都内11病院の医師ら


「私立大学病院医療安全推進連絡会議」は3月29日、東京都内11病院の医師や看護師、事務員ら計約2万2千人を対象に2011年12月に実施した調査で、過去1年間に患者から暴言や暴力、セクハラといった「院内暴力」を受けた人が44.3%に上ったとの結果を発表した。
具体的な被害の内容は、複数回答で「暴言」が41.5%、「暴力」が14.8%、「セクハラ」が14.1%。医療側のトラブル要因としては「説明や確認不足」「長い待ち時間」「医療者の態度」「未熟なコミュニケーション」などが挙げられた。被害に遭った際の個人としての対応は「我慢した」24.8%、「院内のルールに従い人を呼んだ」11.8%、「助けを呼んだ」10.9%など。
連絡会議は「長い待ち時間など改善すべき点はあるが、一方で、自己中心的で理不尽な要求をする『モンスター・ペイシェント』の存在は医療従事者に大きな負担を与える。院内暴力は社会的に許されるべきではない」とした。(共同通信社 4/1)


NEWS ■睡眠時無呼吸症候群…肥満でない人、女性も要注意


虎の門病院(東京都港区)睡眠呼吸器科睡眠センター長の成井浩司さんによると、男性の発症率は成人の9%程度であるのに対し、女性は少ないとはいえ、その2分の1から3分の1はいるという。女性の発症率が低いのは、女性ホルモンの「プロゲステロン」(黄体ホルモン)が呼吸中枢を刺激し、上気道を拡張する働きを持つためだ。女性がいびきをかきにくいのも、そのせいとされる。
血圧は夜になると通常下がるが、無呼吸で目が覚めてしまうため、下がらないままになる。頻繁な無呼吸で血液中の酸素濃度が下がることは、動脈硬化や自律神経の乱れ、糖代謝の異常などを起こす。高血圧や脳卒中、糖尿病などを招くうえ、治りにくくなるという。
睡眠時無呼吸症候群を根本的に治すことは難しいが、症状を改善することはできる。1時間のうち呼吸が30回以上も止まる重症の場合、鼻につけたマスク状の器具から圧縮した空気を気道に送り込む「シーパップ(CPAP)」が最も有効だ。症状が軽ければ、寝る前に歯に装着してあごを少し前に出すことによって気道を広げる「口腔内装置」(マウスピース)でもよい。
成井さんは「日常生活に支障があるだけでなく、合併症を起こせば死にもつながりかねない。特に女性は病気が見逃されがちで、気になる症状があれば検査を受けるべきだ」と話している。(読売新聞3/31)


NEWS ■「健康で長生き」の脅威> 日本人は「腰痛」トップ


日本人にとって「健康で長生き」の脅威となる病気や障害のトップは腰痛との分析結果を、米ワシントン大、東京大などの研究チームがまとめ、英医学誌ランセット(電子版)に発表した。自殺も上位に入っている。チームは「世界一長寿の日本人の健康が揺らぎ始めている。長く生きても病気などに苦しむ期間が延びていることを示している」と説明する。
日本の分析は、厚生労働省の人口動態調査などを基にした。平均寿命より早く死亡することで失った年数、障害を抱えて生きる年数を考慮し、病気などが健康に与える負担の程度を分析した。この手法は、死に直結しないが日常生活に支障をきたし、健康寿命を縮める病気や障害を明らかにできる。
その結果、2010年で最も負担度が重かったのは「腰痛」で、脳卒中、虚血性心疾患(心筋梗塞など)、肺炎、関節症などの筋骨格系障害、肺がん、自殺--と続く。1990年の分析ではトップ3は脳卒中、腰痛、虚血性心疾患の順だった。また、自殺は若年層(15〜49歳)の死因の27%を占め、90年の16.5%から急伸、世界でも飛び抜けて高かった。
さらに、こうした脅威の背景にある最も重要な要因として「食生活」を指摘した。和食は低カロリーだが塩分が強く、果物やナッツ類が不足するなど栄養素の偏りが問題だという。2位以下は高血圧、喫煙(副流煙を含む)、運動不足、肥満だった。
チームによると、2010年の日本人の平均寿命は82.6歳だが、健康寿命は73.1歳(男女平均)。分析にあたった渋谷健司・東京大教授(国際保健政策学)は「政府は国民の健康課題に効果的に取り組んでいるように見えない。食事の改善、禁煙、腰痛対策など高齢化に伴う問題とともに、自殺予防に向けた精神疾患対策などを進めなければ、健康長寿世界一の座を維持できないだろう」と話す。(毎日新聞3/27)


NEWS ■糖尿病、喫煙、肥満は関節リウマチのリスク増大に関連


糖尿病、喫煙、肥満はすべて関節リウマチ(RA)の発症リスク増大に関連することが、新たな研究で示唆された。関節リウマチは自己免疫疾患で、関節痛、むくみ、こわばりや機能喪失を生じ、身体器官の各所に影響を与える。今回の知見は、関節リウマチの高リスク者を特定するスクリーニングの簡易ツールの開発につながるという。
今回、英国関節炎研究疫学ユニットのチームは、数年にわたって追跡された2万5,000人強(40〜79歳)のデータを調査した。関節リウマチを発症した184人を非発症者と比較したところ、喫煙、肥満、糖尿病のすべてがリスク増大に関連することがわかった。
「これらの生活習慣因子は、関節リウマチの発症につながるプロセスの初期段階に必要不可欠な証拠を示してくれる。これらの因子については質問で簡単に聞くことができるので、予防プログラムの一部として利用可能」と、研究著者である英マンチェスター大学教授のIan Bruce氏は述べている。
今回の研究ではほかに、少量の飲酒や高い社会的地位は関節リウマチのリスク低減に関連すること、2人以上の子どもを出産し短期間だけ母乳哺育した女性は、関節リウマチの発症リスクが高いことも判明した。(Annals of the Rheumatic Diseases」オンライン版3/16)


NEWS ■腰痛緩和にオステオパシー療法は超音波より有効


整骨医が手技で患者の腰の筋肉を動かすオステオパシー療法(オステオパシー・マニピレーション・テクニック[OMT])が、超音波療法よりも腰痛緩和に優れている可能性が新しい研究で示唆された。OMTにより、超音波療法よりも高い治療効果が得られただけでなく、12週間の研究期間中に使用する薬剤の量にも減少が認められたという。OMTを受けた患者の約3分の2で30%の疼痛レベル軽減が認められ、そのうち半数には50%の疼痛軽減がみられた。
OMTでは、整骨医が腰部に両手で圧力をかけることによって圧痛、ゆがみ、可動域などを評価した後、いくつかの手技を施すことにより可動域を増大させ、圧痛を軽減し、身体の機能レベルを最善の状態に修復する。一方、超音波療法では音波で身体の組織を温め、筋肉を弛緩させるが、「われわれの研究では、超音波療法を受けた患者には疼痛の軽減も処方薬の減量も認められなかった」とKearns氏は述べている。今回の研究では、450人強の慢性腰痛患者のうち、OMTを受けた群は超音波療法群に比べて治療結果に満足する比率が高かった。ただし、身体機能、全身の健康状態および仕事関連の障害に差はみられなかった。
米オハイオ大学整骨医学部のKenneth Johnson氏は、腰痛治療としてOMTを支持しており、今回の研究について「われわれが日常的に行っている治療の正当性を実証するもの。OMTは腰痛の緩和に有用であり、結果として薬剤を減量できることに自信を感じている」と述べている。(Annals of Family Medicine 3/4月号)


■次号のメールマガジンは2013年5月20日ごろです。お楽しみに。


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