エンタプライズ発信〜 メールマガジン【№27】2013. 7

高齢社会になってアンチエイジング(anti-aging)は、健やかな健康体で老後を生き生きと過ごすことへの憧憬となっています。そのなかでも唾液は生きていくのに欠かせない要素です。唾液はナトリウムやカルシウム、炭酸水素、アミラーゼ消化酵素、IgA免疫物質など多くの成分を含んでいます。これらが消化をよく促し、また耳下腺にあるパロチンと呼ばれるホルモンは食べ物をよく噛むことで副交感神経が刺激されて放出されます。これにより筋肉・内臓・骨・毛髪などの発育が盛んになり、身体が若返る仕組みです。年を重ねるにつれて低下していくバイタルフォースを補ってくれるのですね。とかく早食いする人やカレー、蕎麦など一気に食べやすい食物はついつい流し込みがちに……。食べる時にはなるべく多く噛む、これがアンチエイジングのキーワードです。美しきかな老後を過ごすには食・息・動・想のうち、まずはよく噛んで食べることを実践して百年の長寿を全うしたいものです。完全咀嚼数は諸説あるのですが、できるものなら、いま何回くらい噛んだのか不定期に観測してみたらいかがでしょう。ちなみに編集子は、食べ物によって変わりますが20-35回でした。

★☆★━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━★☆★

【1】意識に基づくエネルギー療法 “ BodyTalk ” (最終回)
【2】伝統医学をシルクロードに求めて
【3】カイロプラクティック・エネルギー治療へのパラダイムシフト
【4】根拠に基づく腰痛の原因と治療
【5】“連動操体法”について、ちょっとばかり…
【6】N・E・W・S
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【新刊】『図説・直立動態と心身症状』 〜人の立つしくみに内在する病因の発見と臨床応用

本書は、ロデオのような動きをしているアタマ(上顎)と、それを巧みに下から支えることで直立バランスを維持している「歯と下顎」の平衡機構、およびその関係性(咬合)におけるバランス不良が“多彩な心身症状”を引き起こしているメカニズムを検証し、根本治療への方途をさし示す刮目のテキストである。現代では原因不明と言われている様々な心身症状の発病メカニズムを知るとともに、ヒトの直立動態に内在する病因および歯科臨床応用が図解の導入でわかりやすく解説されている。学術的に【顎口腔医学】として発展する新たな領域であり、歯科医師と国家医療資格を有する施術者との連携による共通のゴールを確実にしていくことができる。
[A4判、350頁、カラー、定価10,500円 ]
・ご注文は、http://eppub.jp/


【近刊】『KBS 東医宝鑑』(翻訳) 7月発売予定

2010年に世界記録遺産(医学書)に認定された許浚著『東医宝鑑(東醫寶鑑)』の概要をわかりやすく紹介しようと、韓国国営放送・KBSが連続ドキュメントとして放映した内容を、当時の製作者(PhD)が文字化し編纂した書の翻訳。韓医学の礎となっている『東医宝鑑』の概要、特長ほか著者許浚(ホジュン)にまつわる逸話もいたるところで紹介され、許浚と東医宝鑑の連関・結びつきが歴史を通じ理解が進む。(帯津良一先生推薦)
[A5判、上下巻(上巻250頁・下巻230頁)、カラー、各1,890円]
・ご注文は、http://eppub.jp/


◆TOPICS
第3回『逆襲サミット』が開催される

6月9日、東京町田市・ホテルエルシー会議室において医療者を中心とした経営向上セミナー(逆襲サミット)が開かれ、首都圏周辺の柔道整復師、カイロプラクターや整体師約20名が参加した。会員持ちまわりの主催方式で、今回は町田市でカイロ治療院を昨年10月に開業した亀山真吾氏がホストを務め、和やかな雰囲気の中、開業にあたっての経験談や好感度アップのためのノウハウなどを披露した。その後、亀山氏の話の中で出た課題点ほかを集約し、全員でサジェステョン/ディスカッションが行われ、HP制作の要点や他店との差別化の有効戦略、また資金準備や実現のためのビジョン設定など、理論値および経験値を交えながら“地域一番の繁盛店”への逆襲プロトクルが醸成された。参加者の一人は、「やりたいけれどできないジレンマがあったが、今日の参加で漠然としたものから必要・不必要が明確になり覚悟ができた」と語り、「衝撃がすごかった」と締めくくった。この集まりは紹介制とのこと。詳しくはこちらを http://www.golazo.co.jp/c/system


◆◆◆ 連載  最終回◆◆◆

『意識に基づくエネルギー療法 “ BodyTalk ”』

…… 今 田   泰 (IJBA東日本支部支部長)……


1年以上にわたって紹介してきたBodyTalkだが、今回をもって本連載も最終回となる。最終回の今回はBodyTalkの現状と今後の展望について述べたい。

< 世界に広がるBodyTalk >
BodyTalkは現在世界32か国以上に広がり、様々な場面で活用されるようになってきている。ブラジルでは軍病院や複数の公立病院で正式な治療法として導入されており、カナダではマウントロイヤル大学の授業でBodyTalk Accessが取り入れられている。さらに、ドイツ、オーストリア、スイスでは4年間の学士号の学位取得コースとしてBodyTalkを学ぶ学科を新設することで基本合意がなされた。また、南アフリカ共和国においては国の予算で看護師3000人がBodyTalk Accessを習得し、地域医療に役立てられている。加えて、様々な言語でのテキストの翻訳が計画されており、世界中でますますその広がりを見せてきているのである。

< 日本国内での現状 >
日本では2006年秋からセミナーが開講され、認定施術士の数も毎年増加してきた。認定施術士は医療関係者や様々な分野の治療家・セラピスト、カウンセラー、スポーツトレーナーなどの援助職、さらには教員や主婦など様々なバックグラウンドや経験を生かした活動を行っている。
現在約134名の認定施術士が23都道府県にいるが、全都道府県に生まれる日も遠くはないであろう。入門編のBodyTalk Accessも、現在毎月50人以上の修了者が全国各地に生まれており、月毎の修了者数は増加の一途である。修了者は2013年5月末現在で1,686人となった。

< 今後の展望 >
BodyTalkはその応用範囲の広さから様々な場面で活用できる。それは、BodyTalkが病気の治療法として存在しているものではなく、より良く生きるためのツールとして、どんな人にも、そしてどんな局面においても幅広いサポートができるからだ。もちろん BodyTalkは心身にプラスの変化をもたらすため、医療や介護現場、企業におけるメンタルケアの場面などで大いに活用できるであろう。しかしそれだけでなく、教育やスポーツ、芸術の分野、自己開発・探求のためにも活かせる包括性を持っている。
BodyTalkの本部組織であるIBA (International BodyTalk Association) では “2020年までに全家庭に1人のBodyTalk Access修了者を” という目標を持っている。これが達成されるのは容易なことではないが、時期はともかく、そのことによる各家庭、ひいては社会にもたらすメリットは計り知れない。親子のコミュニケーションが促進され、子どもはより生き生きと個性や内在した可能性を発揮できるであろう。

< 最後に >
この連載は、BodyTalkの紹介の機会をくださり、様々な面でサポートしてくださった産学社エンタプライズの北島編集長、症例の公開に快く応じてくださったクライアント様、表現方法にアドバイスをくださったBodyTalk Japanの皆様やBodyTalkerの仲間たち、深夜に文章の校正をしてくれた妻の支援なくしてはできなかった。末筆ながらこの場を借りて皆様に御礼申し上げ、本連載を閉じたい。
読者の皆様も長期間にわたる連載をご覧いただきありがとうございました。またどこかでお会いしましょう。(了)


《連載9 》

伝統医学をシルクロードに求めて

       池上正治(作家・翻訳家)


[ 加藤清也氏(ラマ僧修験者)に聞く =つづき]

土間に水をうち、汗をかかせる

バトー・ウムチのところには、毎日のように病人が治してもらいに来たり、逆に往診を頼む家族が来たりしましてね、そう、どちらかといえば往診の方が多かったようですね。それでそういうときは鹿皮の袋に入れた30種類ほどもある薬を馬に積んで、ダーッと半日でも1日でも出かけるんですよ。そりゃあもう遠いですし、蒙古人には時間の観念がないですからね、どこまでも診にいくわけですよ。
風邪ね、どこにでもある、その治し方が変わってるんですよ。病人が葛根廟に来た場合には、土間にですね、チベット建築ですから、とにかく水をうつんですよ。必ず。往診に行った先のパオ(遊牧民の住居)の場合も同じです。パオは丸いですけど、入口を入った所に、長方形に土が出ていて、そこに五徳を置いたりするわけです。そこに水を撒くんです。いや、ビチャビチャというほどではありません。これが不思議なんです、今もって。乾燥を防いで、湿気を少しでも多くするためかどうか。
そうしておいて、例の薬研で作った粉薬をやるんです。発汗剤じゃないかと思うんですが、それが効くまでに1週間かかるんです。ええ、自然のうちに汗をかくらしいんですね。1回に投薬する分量は、日本の粉量とあまり変わらないです。いや、やや多いかな。私も千振(センブリ)を使って腹痛をずいぶん治したものですが、「マニヤ、エッダルダ(私のと同じだ)」と言っておったから、分量はだいたい同じくらいだったのでしょう。
不思議なことがもう一つあるんですよ。それは私の場合は、アスピリンでも千振でも水だけで服用させていましたが、バトーは使い分けるんです。薬の種類により、牛乳、焼酎、お湯、スーテー茶のどれかで服用させるんですね。その組み合わせが私にはわからない。その辺が、ラマ医学の真髄というか、薬の性格を考えての組み合わせなんでしょうね。

観血手術もあることはあるんですよ。病名はもう覚えていませんが、病人の首にですね、羊か牛に使うような綱を巻きつけるんです。もちろんそんなに強くではありません。そうすると、額のコメカミに血管が浮き上がりますよ。その浮き上がった血管にね、日本のイバラとそっくりのトゲのある草が蒙古にはあるんですよ、そのトゲを血管に当てておいて、指先ではじくんです。当然出血しますよね。そうして病気を治すんです。日本にも背中やコメカミから血を取るという古式な治療方法があるといいますが、それによく似ているといえましょうか。ほう、中国にもある、そうですか。コメカミのある側頭部の血管を狙ってハリやメスで出血させるんですか。それで感冒や神経衰弱、頭のクラクラするのを治療できるんですか、いや、蒙古でやっていたことと、まったく同じですね。
バトー・ウムチの読経による治療ですか? それはありません。医学部のバトーが読経や祈禱によって病気を治すというのは、それはしません。ただバトーがある病人の治療をしているときに、その家族なりが、別に坊さんに頼んで護摩をたき、祈禱してもらうことは、それはありますよ。密教(チュトビ)ですね、そういうときは使い分けているといってもいいかもしれませんね。(次号につづく)


<<連載 第27話>>

カイロプラクティック・エネルギー治療へのパラダイムシフト

       保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


カイロプラクターは“調律師”

カイロプラクティックアジャストメントをはじめ、様々な治療法で効果が示されるのは、前号で述べた同調化によるものである。人間のからだの波長が性状に調律された結果であるともいえよう。とくにカイロプラクティックの施術に関係深い機械的受容器は、振動に対する閾値の感受性が異なる。
例えば、マルケル小体は低振動数(5-15Hz)、マイスナー小体は中間域の振動数(20-50Hz)、パチーニ小体は低い閾値〜高い振動数(60-400Hz)、筋紡錘、ゴルジ腱は高い振動数(100Hz)である。これらの受容器を活性化させるためには最小限の振動数が必要で、脊椎の後方から前方への共鳴振動域の場合は、30-50Hzであることが発見された。また組織特有の波長域として、神経再生、培養神経節からの軸索成長作用は2Hz、骨の成長作用は7Hz、靭帯の修復作用は10Hz、神経増殖因子との協力作用は25Hz、50Hzとされている。

そしてさらに『エネルギー医学の原理』(産学社エンタプライズ刊)の著者であるジェームズ・オシュマン博士は、仮説的に「治療エネルギーとは発生源が治療器具であるにせよ人間の手であるにせよ、1種類以上の組織の修復を促す特定の波長または波長域のエネルギーである」と定義している。さらに博士は、「生体の構成要素は最小のものにいたるまで振動によって伝えられる情報を常に受信し、そして発信している。振動が伝える情報とは生体のあらゆる場所で起きているあらゆる活動についての情報である。生体が100%健康であるということは、各要素間の情報交換がスムースであることを示している。ところが身体的および精神的外傷が蓄積すると、この情報が妨げられる。すると生体の防御機能や修復機能が損なわれ病気にかかりやすくなる。鍼をはじめとするエネルギー療法は、振動がうまく伝わるように組織間のバランスを回復させる手法であり、明らかに大きな効果をもたらす。防御機能や修復機能が回復すれば、病気はおのずと治るのである」と述べている。
われわれ施術者は、肉体内(ハード面)の波長と、人間の心因的波長や環境、飲食物などの外因的環境(ソフト面)の波長との調和、すなわちそれぞれの波長との間の情報交換ができるように調整を行う調律師のような役割を担っているといっても良いのではないだろうか。 (次号につづく)


根拠に基づく腰痛の原因と治療 – 腰痛治療の新常識(1)

   長谷川淳史(TMSジャパン代表)
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今回から『腰痛治療の新常識』と題して、腰痛を中心に筋骨格系疾患の原因と治療に関するエビデンスを紹介していきます。

エビデンスを知ったからといって必ずしもよい医療ができるとは限りません。エビデンスを最優先し(俗にいうエビ固め)、それを患者に押し付けるのは暴力行為(ドクターハラスメント)です。そもそもEBMの定義は、エビデンス、患者の状況、患者の価値観、治療者の技を統合することです。したがって、エビデンスは全体の4分の1でしかないということを肝に銘じていただきたいと思います。エビデンスは必要条件であってもけっして十分条件ではありません。
私がここで『腰痛治療の新常識』を公開する理由は、腰痛にまつわる迷信や神話に振り回されて腰痛難民になってほしくないからです。また、イギリスとアメリカではメディア・リテラシーやヘルス・リテラシーを育むために「根拠を尋ねよう」と銘打つキャンペーンが始まっていますが、日本でこのようなキャンペーンを実施するのはおそらく不可能だと思うからです。
医学教育の基礎を築いたウイリアム・オスラーの「医療はサイエンスに支えられたアートである」という言葉を忘れないでいただきたいと思います。どちらに傾くこともなく、常にサイエンス(エビデンス)とアート(患者の状況・患者の価値観・治療者の技)のバランスを考えていただければ幸いです。

< 50年に1度の大発見とされる、腰痛概念に劇的な転換が起きたプロセスからリスタート!>

■従来の腰痛概念に重大な転機が訪れたのは、アメリカ医療政策研究局(AHCPR)が1992年までに発表された急性腰痛に関する論文の体系的レビューを実施し、『成人の急性腰痛診療ガイドライン』を発表した1994年のことです(http://1.usa.gov/uhlYSO)。ちなみに、1991年にゴードン・ガイアットがEBM(Evidence-Based Medicine:根拠に基づく医療)という医の在り方を世に問うてから、世界で最初に作成された診療ガイドラインは、命にかかわるガンでも心臓病でも脳卒中でもなく、急性腰痛だったことが事の重大さを物語っていると言えるでしょう。
次号では、AHCPRが『成人の急性腰痛診療ガイドライン』の作成に着手した4つの理由を紹介していきます。


【連載コラム】

“連動操体法”について、ちょっとばかり… (27)

       根本 良一(療動研究所主宰)


5. 大腰筋の操作 〜 膝から腰骨を動かす

大腰筋の操体法に入る前に、筆者と大腰筋との“出合い”を記してみたい。
筆者は1980年ごろ、いくつかの療法を学び、操体法を習い、療動研究所として出発した。操体法は安全なので失敗ということはなかったが、成功も少なかった。当時も腰痛治療が多かったが、筆者には壁の高いカテゴリであった。腰椎すべり症、腰部椎間板ヘルニア、坐骨神経痛などやはり難関がいっぱいであった。
苦しまぎれに神経生理学や解剖学など、以前買っておいた本の解剖図を見ていてハタと思いついた。腰椎を取り巻く大きな筋“大腰筋”に何かあるのでは?

大腰筋は腰椎から大腿骨小転子に至る強大な筋で、各腰椎から起始するが、各々において若干角度が変わる。腰椎すべり症とか腰部椎間板ヘルニアなどの起こる位置は、手の届かない位置を走る大腰筋の「部分」が関与しているのだろうか。この部分にかかる異常張力を処理すればどうだろうか? 大腰筋の緊張を解消する方法はないだろうか? と考えをめぐらせた。また操体法では「連動」という技法があるから、うまくできれば、この大腰筋の歪力を低下させることが可能なのでは? とも考えた。
それからいろいろな人に訊ね、いろいろな療法を調べ、多くの文献も探した。少しでも手がかりが、と思うが、操体法の連動がどうしてできないか、これが契機になり、他力によらず、自力で行い、連動させて大腰筋の緊張を解消する、と絞り込んでいった。

一方、大腰筋への連動を確かめる方法はあるか? これも難問であった。大腰筋の機能は、膝を上げること、加えて腰の形を維持する脚の筋が硬くなると痛みが走る(坐骨神経痛)という影響も出現する。腰痛のある人をよく診ると、
① 腰背部の脊柱起立筋が硬く膨隆している。しかも左右同じではなく、どちらかに偏っていることが多い。
② 腰の痛い人は、脚が硬くなっている。とくに腿の後ろ、大腿二頭筋が硬い。
③ この①と②はほとんど同側にある。
大腰筋とこの①〜③と結びつけることはできるか?

これから“患者様”のお助けが始まります。
④ 大腰筋へ届く動きは、どこからがいいだろうか?
⑤ どの角度がいいだろうか?
そしてわかったことは、大腰筋が緊張していると、バランスをとるためにその逆側の腰背部が緊張する。そしてこの刺激で同側の大腿二頭筋が緊張する。したがって大腿二頭筋の硬さを探って、その逆側の大腰筋を処理すれば良いのだ!

処理とは、操体法で言う「気持ちよい動き」である。
【主動作として、膝を押し出し、腰を押し出し、肩は補助動作として腰の逆方へかるく絞る。膝が主なら、肩で補佐することである。】
本来、筋にはピストンのような「押す力」はないから、逆方の腰を引くことで「膝を押し出す」動きができる。しかし日常の習慣から「腰を引いてください」と言ってもうまくできないことが多い。そこで、次号では大腰筋に対する操体法を紹介したい。(次号につづく)


*** N *** E *** W *** S ***


NEWS ■セルライトが原因で肩こり・腰痛になる?


血流が悪くなったり、リンパの流れが滞ったりすることで進行してしまった脂肪細胞の変性した状態をセルライトと言いますが、セルライトのできやすい部分は血流やリンパの流れが少なく、代謝が悪くなっています。こうした部分には筋肉の量も少なく、筋肉自体への血流も滞りがちです。腰痛になる原因のひとつに、運動不足によるお尻の筋肉の弱化があります。お尻の筋肉の働きが弱くなると腰への負担が増え、無意識のうちに腰の関節の動きが悪くなります。動きが悪くなった腰の周りには脂肪やセルライトが増え、さらに腰部の血流が悪くなるといった悪循環を起こします。お尻にもセルライトが増える可能性大です。
セルライトが増えると、腰を支える筋肉自体のコンディションが悪くなるため、「腰が疲労しやすい」「腰が痛い」「スッキリしない」などの症状が増えるかもしれません。またセルライトが増えて神経を圧迫してしまうと、痛みやしびれといった症状が出ることもあります。この場合は早急に対処した方が良いでしょう。そのほか腕の筋肉を使う頻度が少なくなる要素があると、セルライトが増えやすい状態になり、肩こりにつながる恐れがあります。肩こりを避けるためにも、腕は適度に使い、脂肪を増やさないようにしましょう。(All About =一部 6/27)


NEWS ■初産30.1歳、「晩産」鮮明…少子化対策白書


政府は6月25日午前の閣議で、2013年版「少子化社会対策白書」を決定した。女性が第1子を出産した平均年齢が30.1歳となり初めて30歳を超えるなど、「晩産化」が進む傾向が少子化の一因と分析した。これまで子育て支援を重視してきた少子化対策について、「晩産化」と、背後にある「晩婚化」を踏まえた支援策の重要性を強調した。
1980年の統計は、女性が初婚を迎えた平均年齢は25.2歳で、第1子出産の平均年齢は26.4歳だった。いずれも年々上昇し2011年の平均年齢で、29.0歳で初婚、30.1歳で第1子出産となり、「晩婚化」と「晩産化」が同時に進んでいることを裏付けた。
背景として、白書は「若い世代はこの10年間で低所得層にシフトした」と、若い世代における雇用不安や所得減少を指摘した。20歳代の所得分布は、年収200万円台前半の層が最も多い。30歳代も97年統計で最多の層は年収500万〜600万円台だったが、07年には300万円台に落ち込んだ。(読売新聞 6/25)


NEWS ■若者にも痛風リスク 遺伝子変異で22倍


体から尿酸を排出する働きに関係する遺伝子に変異がある男性は、20代以下と若くても痛風を発症するリスクが最大約22倍高まることを、防衛医大(埼玉県)や東京大、東京薬科大などのチームが突き止め、6月18日付の英科学誌に発表した。
防衛医大の松尾洋孝講師は「痛風はぜいたく病といわれるが、遺伝子の影響も大きい。遺伝子検査でリスクの高い人が分かれば予防につながる」としている。痛風は、血中の尿酸濃度が高まって発症し、激しい関節痛を起こす。チームは、尿酸を腸から体外に出すのに関わる遺伝子「ABCG2」に着目。この遺伝子は、日本人の約半数で変異があるとみられ、変異の度合いと病気の関係を調べた。
痛風の男性705人と健康な男性1887人を調査。複数の変異があり遺伝子の働きが大幅に落ちている人は、変異のない人と比べ、20代以下で発症するリスクが22.2倍高いとの結果になった。日本人の1%程度が該当するという。この遺伝子の働きが半分の人は15.3倍、少し働きの下がった人も5.5倍リスクが高かった。患者のうち、働きが大幅に落ちている人は平均38.2歳で発症し、変異のない人より6.5歳若かった。ABCG2遺伝子の変異に関しては、既に民間で検査事業が始まっており、医療機関などを通じて検査可能という。(共同通信社  6/19)


NEWS ■妊娠中の飲酒が赤ちゃんに役にたつという間違った主張


「毎日グラス1杯のワインが赤ちゃんに良いかも」という完全に間違った見出しが今日のDaily Telegraphに掲載された。他の新聞は妊娠中の飲酒は「悪影響がない」と報道したがこれも間違っている。このニュースは出産前のアルコール暴露と子どもの重要な発達指標であるバランス能力の関連について調べた新しい研究に基づく。これまでの研究では妊娠中の飲酒がいくつかの神経発達指標に悪影響を与えることがわかっていたが、バランスについてはよくわからなかった。研究者らは低から中程度の飲酒が子どものバランスに悪影響を与える根拠を見つけることはできなかった。また中程度飲酒が全く飲まない群に比べて良い影響があるように見えた。しかし研究者らは飲酒と社会的地位の高さの関連を完全に補正できていない可能性があると言っている。
この研究は妊娠中の飲酒についての知見を増やすものであるが、妊娠中の飲酒の「安全量」についての不確実性は残る。このため、現在のガイドラインでは妊娠の最初の3ヶ月は禁酒を薦めている。この時期の後、飲むのであれば週に1-2回、1-2ユニット以内にすべきで、暴飲してはならない。メディア報道とは違って、この研究はこの助言を変えない。(食品安全情報blog 6/18)


NEWS ■食後15分のウォーキングで糖尿病リスク低下


糖尿病発症リスクの高い高齢者では、1日1回まとまった運動をするより、毎食後15分間の軽いウォーキングを行うほうが血糖改善に効果があることがわかった。米ジョージワシントン大学公衆衛生・保健サービス大学院による小規模検討の結果で、1日3回15分ずつのウォーキングは、午前か午後に1回45分のウォーキングを行うより血糖管理に有効だった。特に夕食後の血糖低下については、食後のウォーキングが最も効果が大きかった。
対象は平均70歳の高齢男女10例。4週間おきに2日間ずつ3回、研究施設に滞在してもらった。滞在中は48時間連続の血糖モニタリングを行った。各回とも初日は運動せず、2日目に①毎食後15分ずつのウォーキング、②午前45分のウォーキング、③午後45分のウォーキングを行ってもらい、2日間の血糖値を比較した。研究開始時の10例の空腹時血糖は105〜125ml/dLで、正常より高かった。平均BMIは30で、肥満に分類されるレベルだった。
毎食後に15分ずつのウォーキングを行う日は、食後30分から時速約3マイル(約4.828km)のトレッドミル歩行を開始してもらった。その結果、24時間血糖を下げる効果が最もあったのは毎食後のウォーキングだった。次いで早朝45分間のウォーキングも有効だったが、早朝や午後にまとめて歩行するより夕食後に短時間行うほうが効果は大きかった。(Diabetes Care 6/12)


NEWS ■規制改革原案「混合診療」今秋に拡大


政府が6月14日に閣議決定する「規制改革実施計画」の原案が明らかになった。治療行為の一部に例外的に保険外診療を認める「保険外併用療養費制度」を拡大するよう厚生労働省に要求。新技術が同制度の対象になる「先進医療」かどうかの審査を迅速化するため、外部機関などによる専門評価体制の創設も打ち出した。現行制度の対象拡大で保険診療と保険外診療を組み合わせた「混合診療」の将来的な全面解禁につなげる狙いがある。
計画は「本年秋をめどにまず抗がん剤から開始する」と実施時期も明記した。日本では公的保険外の自由診療と保険診療の併用(混合診療)を禁じており、併用を認めるのは例外という位置付けだ。認定の際は、技術の有効性や安全性の証明を医療機関が担い、年間の審査件数は約40件。期間も1件に6〜7カ月かかり、これまでに認められたのは約100技術にとどまっている。
これに対し、外部の評価機関を活用すれば審査の迅速化、効率化が見込める。計画は「最先端医療迅速評価制度(先進医療ハイウエー構想)」(仮称)を掲げる。抗がん剤は次々と新薬が出るため、自由診療の併用が迅速に認められるようになれば、抗がん剤の新薬を使いやすくなる。(毎日新聞 6/12)


NEWS ■むずむず脚(レストレス・レッグス)症候群が早期死亡リスクに関連


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むずむず足症候群の男性は、早期死亡リスクの高いことが新たな研究で示された。研究著者は米ハーバード大学医学部助教授のXiang Gao氏。
今回の研究では、約1万8,500人の米国人男性を8年間追跡。約4%(690人)がむずむず脚症候群と診断された。むずむず脚症候群の男性は抗うつ薬の利用率が高く、高血圧、心血管疾患、パーキンソン病の比率が高かったほか、当然ながら不眠を訴える比率が高かった。追跡期間中に約2,800人が死亡した。むずむず脚症候群の男性はそうでない男性に比べ、死亡率が39%高かった。
Gao氏によると、睡眠障害や睡眠の質の低下のほか心血管系のリスクファクターも関係している可能性があるという。鉄欠乏症なら鉄分補充が有効であり、そうでない場合でも、ほかにいくつかの治療法があるという。Neurologyオンライン版 6/12)


NEWS ■サッカーのヘディングで脳に変化


ヘディングをよくするサッカー選手は、脳の白質に外傷性脳損傷に似た変化が認められるほか、思考力や記憶力に障害を来すリスクが高いことが、米アルバート・アインシュタイン医科大学のMichael Lipton氏らの研究により示された。
今回の研究ではアマチュアサッカー選手37人を対象とした。被験者は試合を週1回以上、練習を平均週2回行い、ほとんどは小児期からサッカーをしていた。白質の顕微鏡的な変化が詳細にわかる拡散テンソル磁気共鳴画像法(拡散テンソルMRI)と呼ばれる画像検査を全被験者に実施するとともに、ヘディングの頻度や脳震盪の経験を尋ねる質問票に記入してもらい、思考力・記憶力を評価する検査を実施した。その結果、ヘディングによる損傷には閾値があり、脳の変化については年間885〜1,550回、記憶力スコアの変化については年間1,800回を超えるヘディングで高リスクが有意に認められた。この所見は、脳震盪とは独立したものだった。
Lipton氏は「問題はどの程度の外傷を負うと持続的な損傷が生じるのかということ。このことは、特に小児については未解決の問題である」と述べている。小児の脳は発達途中にあるため、傷害の影響を受けやすい可能性があるが、一方では極めて順応性が高く、成人に比べて脳卒中などの症状から容易に回復することができる点も同氏は指摘している。(Radiologyオンライン版 6/11)


■発行日を当月1日ごろに変更いたします。
■次号のメールマガジンは2013年8月1日ごろです。お楽しみに。


[発行]産学社エンタプライズ