エンタプライズ発信〜メールマガジン【№82】 2018. 2
今月、何年かぶりに熱を出しました。しかも最高39.8℃という初老の身には危険信号でした。すわインフルエンザかと翌日には病院にかかりましたが陰性と聞いて一安心。しかし服薬しても熱は37-38℃台。さて風呂はどうしたものかと思案。2日入浴しないのは衛生的とは言えないし、ネットでリサーチ。「風呂と風邪の関係を悪化させているのは、風呂を出てからの湯冷めが大きな要因」「入り方に気をつけて、風呂の効果を最大限引き出すことができればOK」ということでした。そういえば幼少のころの家は北側に風呂場があったし、隙間風もある、脱衣所はむろん寒く、湯冷めしやすい環境だった…。現代の住環境はサッシ窓の普及と暖房器具のおかげで入浴条件は様変わりしました。では風呂に入ることによるメリットはどのようなことがあるのでしょうか。入浴はからだ全体の血行を良くし筋肉の硬直を和らげて血管を拡張させるので、新陳代謝を高め鼻づまりにも有効です。湯気は喉の保湿対策に奏功しウイルスの活動を抑える環境として好適。また、熱があるときは汗もかきます。湯で体温を上げると体は熱を逃がそうとするため、解熱剤よりもゆるやかに体温を下げることが可能です。この入浴をより有効にするコツは、あらかじめ脱衣所を暖めておく、または風呂のドアを少し空けて脱衣所に熱気を逃がす、風呂上がりは完全に髪を乾かす、湯冷めを防ぐ入浴剤を活用することなどです。ただし、疲労感が出るほどの長湯や熱い湯は体力を消耗してしまうので注意を促しています。レッドカードでは、熱が38℃以上の人、ひどい悪寒や全身の倦怠感がある、嘔吐やひどい下痢をしている、めまいや頭痛がつらい人は入浴しないことを勧めるとまとめてありました。かくいう編集子は、安心しつつ、こわごわながら風呂に入りました。そのときの爽快感は至極愉悦、数日かかりましたが熱ほかも落ち着いてくれました。
★☆★━━━━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━━━★☆★
【1】老いない人の健康術 〜免疫と水素〜
【2】『ひとりあんま気功』 〜自分で押すのが一番効く
【3】エネルギー医学の将来〜点と点からの発展性
【4】“こころ” と “からだ”……臨床にモノ思う。
【5】伝統医学をシルクロードに求めて 〜くらしのなかの中医学〜
【6】根拠に基づく腰痛の原因と治療 《腰痛治療の新常識》
【7】N・E・W・S
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Topics
第72回アクティベータメソッドセミナー(2018)が2月4-5日にわたって新大阪丸ビル別館で開催された。外は風が強く、寒波の2日間であったが、会場内は受講生の熱気にあふれ、熱い大阪セミナーとなった。プログラムは「基礎編」「四肢・脊椎編」のどちらかを選択し、2日目の午後からは合同実技となる。受講生は6つのテーマから学びたいテーマを選び、3回のグループワークを行った。今回は初受講生6名を迎えての開催であったが、ベテランの講師陣が懇切丁寧に指導に加わり、また受講回数の少ない受講生も熱心に質問し、チームで相互に学び合うスタイルが印象的であった。セミナーの詳しい様子はこちらへ(http://www.activator.gr.jp/14347876900701)。次回セミナーは4月15日-16日と東京・味覚糖UHA館で開催される予定。
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老いない人の健康術 〜免疫と水素〜
* 安保 徹(元新潟大学名誉教授)
* 太田成男(日本医科大学教授)
自律神経はエネルギー消費と
エネルギー蓄積の変換スイッチ(つづき)
[太田] 生きているということは、エネルギーを作って使うことです。そう考えると、エネルギーがないと何もできないわけです。体や心臓を動かすことも、体を治すことも、考えることも…。このエネルギーの消費と蓄積のスイッチを担う自律神経は、生命活動の根幹的役割を担っているわけですね。
[安保] エネルギーを作るためには、まず「エサ」が必要です。狩りなどでエサを捕獲するためには交感神経を働かせて活動的にならなければならない。エサを捕まえてきたら、今度はそれを食べてエネルギーを蓄えたり排泄したりする。栄養摂取や排泄時には副交感神経が働きます。
エサ取りと栄養摂取を言い換えれば、エネルギー消費と蓄積です。多細胞生物が進化するにつれて、細胞間の機能分担が複雑になっていきますが、エネルギー消費と蓄積の作用をうまく同調させるために、自律神経が必要になったと考えられるんじゃないでしょうか。
運動や食事は年齢によって変えるもの
[太田] 高等生物の複雑な生体機能も、エネルギー消費と蓄積というシンプルな目的のために働いていて、自律神経はその調整役というわけですね。
エサ取りはエネルギーの消費行動ですが、生物によってエサの取り方も違ってきます。その違いがエネルギーの使い方にも現れます。前に赤身の肉はミトコンドリアが豊富な証拠と言いましたが、筋肉の色も違ってくるんですね。
[安保] 赤筋と白筋の話に少し戻りましょうか。獲物を捕まえるときの動き方、狩りのしかたによって使う筋肉が違ってきます。動物の世界を見てみると、赤筋をよく使う動物と白筋をよく使う動物に分けることができそうですね。
[太田] 魚だったらマグロなどの赤身魚とヒラメなどの白身魚の違いですね。マグロは回遊魚で絶えず泳ぎ続けているからミトコンドリアが多く持久力に優れた赤筋が発達しています。ヒラメはふだんは海底でじっとしていて、エサを捕まえるときに瞬発力を発揮して素早く泳ぐから、瞬発力を発揮する白筋が発達しています。
[安保] 草食動物と肉食動物の違いも同じだね。草食は長距離を走り続ける持久力、つまり赤筋が発達しているし、肉食はエサを捕まえるときだけ全速力で走る瞬発力、つまり白筋が発達しています。
[太田] 赤筋が発達した持久力のある動物は主にミトコンドリア系のエネルギーを活用していて、白筋が発達した動物の瞬発力には解糖系エネルギーが生かされています。簡単に言えば、酸素を使ってじっくりたくさんエネルギーを作るか、手っ取り早く無酸素でエネルギーを作るかの違いですね。(この項、次号につづく)
◆連載–2◆
『ひとりあんま気功』〜自分で押すのが一番効く
孫 維良(東京中医学研究所所長)
あんまと気功。一人でできるという点は同じでも、あんまは治療法の一種で、気功はどちらかと言えば養生法の一種です。体の動かし方も違います。そうであるにもかかわらず、あんま気功法という言葉にこだわるのは、気功だけでなく、あんまにおいても気の動きが重要なポイントとなるからです。
日本ではあんまは力まかせにツボを押したり、痛いところをもむ療法だと思っている人が多いようです。けれどもあんまは腕相撲ではありませんから、ただ強い力で手を動かすだけでは大した効果をあげることはできません。気を動かすことが必要なのです。
ヒトの体の中を流れている気を「内気」と呼びます。一方、体の外に放出された気を「外気」と呼びます。あんまにおいて大切なことは、この内気と外気の呼応しあう関係です。つまり手から出た外気がツボに注ぎ込まれ、それが体内の気を刺激して、体内の気の流れをスムーズにしていくことが治療効果を高めるうえで重要なポイントになるのです。
しかし外気が出て、内気がそれに呼応するためには一定の手続きが必要です。ヒトの手とツボは、気の自動販売機ではありませんから、手でツボを押しさえすれば自動的に気が出るという具合にはいきません。そこで、あんまを始める前にまず姿勢を整え、精神を統一し、呼吸を整え、手に気を集めておく必要があります。そしてこの手続きは、気功を始める前の手続きと共通するのです。
これら手続きを経てツボを刺激すると、ツボに気が送り込まれ、やがてツボの周囲に独特の感覚が生じます。つまりこの感覚が、ツボが気を受け取ったよという返事なのです。この受領書のような合図を「得気」または「酸脹感」と言います(以降は酸脹感に統一します)。
では得気と酸脹感とはどういうものなのか説明しましょう。得気には大きく分けて5種類あります。①酸(だるい感じ)、②麻(しびれる感じ)、③涼(涼しい感じ)、④熱(熱いまたは温かい感じ)、⑤脹(はれぼったい感じ)を言い、そのうち酸と脹の感覚を酸脹感と呼びます。ただしこの5種類の感覚をすべて感じる必要はありません。5種類のうち、どれか1種類の感覚を感じればよいのです。
これを言い換えれば、あんまは外気と内気との静かな無言の対話なのです。手から外気を送り込むことが友人の家のドアをノックすることだとすれば、酸脹感は家の主の無言の返事なのです。(つづく)
連載vol.40
エネルギー医学の将来 〜点と点からの発展性
<小社編集部編>
現代のエネルギー医学
どのような仮説にしろ、まずは疑うのが科学者の仕事であるとはいえ、エネルギー医学に対する従来の偏見は、科学的疑念を超えていた。しかし幸いにも世情は急速に変化してきている。科学者たちのエネルギー療法に対する反感が薄れ、これからの医学としての重要性が認められはじめたのである。
エネルギーという観点から生命を見つめることで、いくつもの貴重なデータを収集できることは確かだ。すでに各分野で多数のデータが得られているにもかかわらず、これまでは近視眼的な見方しかできない学者が多かったために、医学的な視線でそれらを総合する試みが行われなかったのである。
生命の本質を追究する人々にとって、「全体論か還元論か」「生命論か唯物論か」「定量的手法か定性的手法か」という議論はきわめて重要であるらしい。彼らは長年にわたって宿命のように意見を闘わせてきた。これらの議論はたしかに好奇心を掻き立てるものだが、生命の全体像を明らかにするという本来の目的とはあまり関係がない。彼らは無用の議論を何百年も続けてきたために、迷路に入ったまま出られなくなり、生命の本質を追うという大切な使命を忘れてしまったのだ。これは医学の進歩にとっては大きな損失である。
すべての医学はエネルギー医学
あらゆる分野を見渡せるだけの広い視野が従来の医学者にあったなら、生命の探求ははるかに進んでいたことだろう。筆者はさまざまな研究講演に出かけ、それに取り組む専門家たちに出会った。彼らの研究や実践はアプローチこそ違うがすべてエネルギー医学をテーマにしていた。しかし彼らは狭い視野しか持てなかったためにエネルギーに関する彼らの研究が医学的に重要であるとはほとんど想像していなかった。エネルギーを使った治療はどのような手法であれ、すべて眉唾ものと見なされていたからだ。これは実に不条理な風潮である。
すべての医学はエネルギー医学であるという命題は、エネルギー医学の本質と医学全体における意味を明らかにせよという、筆者自身に対する試練にほかならない。もう一つ試練がある。新しい概念と古い概念を統合させるには、古い概念を改めて検証しなければならないのだ。そうすることによって読者がこれまでの常識と新しい仮説を自らの経験や意見と照合しながら比較できるからである。私の仕事の狙いは、1つの意見を押し付けることなく、独創的なアイデアを求め、学び、生み出すことなのだ。 (つづく)
(出典『エネルギー療法と潜在能力』(小社刊))
連載エッセイ ㊿☆
“こころ” と “からだ” …… 臨床にモノ思う。
・保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)
自然療法の本質 (後編)
東洋医学で検査や施術の対象となる「経絡」とよばれる「気の流れ」や「チャクラ」などの生体エネルギーは、目では確認することができないために西洋医学ではほとんど重要視されません。しかし、この生体エネルギーの不足や過剰などのバランス異常を含めた「生体エネルギーのブロック」(EB)が、自然治癒力にブレーキを掛ける原因の一つになるのです。
そのEBを引き起こす原因は様々ですが、なぜ、慢性的に症状が続くのかという観点からすると、「記憶」が深く関係していると言えます。脳は健全な機能を記憶する一方で、不健全な機能も記憶するという視点に立つと、記憶は自然治癒力に多大な影響を及ぼしていることが分かります。言い方を変えると、「記憶」という機能が、脳や神経系その他に備えられているからこそ慢性症状が生じるということです。
脳は五感を通じて様々な関係性を経て情報をインプット(入力)し、無意識的に学習、記憶して思考や言語、行動などをアウトプット(出力)します。日常生活の中では、それらの情報の入力と出力を繰り返して習慣化します。そのような習慣によって健康が維持される一方で、知らず知らずのうちに不健康な「誤作動記憶」(習慣)が構築され、自然治癒力を妨げ病気を引き起こすようになります。そのような観点に立てば、「誤作動記憶」を健全な記憶に書き換えれば自然治癒力が引き出されて健康が維持されるということになります。
自然療法の本質をまとめると、生体内だけで言えば、神経の伝達や気の流れを含めた生体エネルギーの誤作動記憶に関係するEB。外界から入力される五感に関係する様々な誤作動記憶。さらには心理面に関係する様々な誤作動記憶をトータルに調整することで、自然治癒力が本質的に引き出されるでしょう。具体的に調整とは何だろうという疑問が生じるかもしれません。自然療法で使われる様々な調整の本質は「刺激」です。刺激といっても強い刺激は必要ありません。神経系や気の流れを活性化させるために必要な最小限の刺激を加えることで、自然治癒力が引き出されるのです。
人は「神経系の働き」以外に他の「生体エネルギー」でも生かされており、様々な環境や衣食住との関係性に適応することで、自然治癒力が引き出されます。自然療法の本質を語る上で大切なキーワードをまとめると、「生体エネルギー」、「誤作動記憶」、「関係性」、「刺激」ということになるでしょう。
《連載64》
伝統医学をシルクロードに求めて
池上正治(作家・翻訳家)
ゲストハウスの喬さんは、利用者の評判を二分していた。彼女のことをシャオ・チャオと気軽に中国語で呼べるときは彼女はルンルン気分である。なにしろ食堂の料理は彼女の手によって作られ利用者のテーブルに運ばれてくるのだから、彼女の機嫌は料理の味にも影響するというもの。中国ではサービスを提供する側に発言権があることを納得するまでに、かなりの時間が必要だった。その社会的背景をここで論じようとは思わないが、とにかく現実はそうなのである。
そのシャオ・チャオがある日のこと、料理のオーダーも憚れるほど落ち込んでいた。眉間には青いアザまでつけて……。
「掐眉頭(チア・メイトウ)よ」とこちらの気持ちを察したかのように彼女の方から切り出した。
「チア・メイ・トウ?」
「そう。風邪をちょっとひいて、ひどくならないうちにチア・メイトウをね」
と言いながら、右手の親指と人差し指の爪で、眉間の青いアザの部分をつねってみせた。彼女の言うところでは、額や眉のあたりから邪をもむようにして、ここに集め、つねって出してしまうという。
印堂である。シャオ・チャオは印堂のことは知らず、「眉をつねる」とだけ言った。ツボの名前など知らなくとも風邪が治ればいいのである。この奇穴の効能が「風熱を去る」であることを、彼女は経験的に自分のものとしていたのである。こうした専門的ともいえる知識が、20歳そこそこの女性の身についていること、それが随時実行されていることはやはり貴重なことである。
紅を眉間におく習慣は中国のものであろうか。それともインドのものであろうか。インドでは大人も子供も、中国では子供が、眉間に紅をおいている。お化粧に意味を問うのも野暮なことだが、眉間の1点の紅は、ある美意識を代表したものである。
ところで、眉間にある種の感覚を覚える人は、意外に少ないようだ。それほど自覚されないため、そのことが話題にされはじめて「そういえば自分も」という程度のことが多い。眼を閉じ、深い腹式呼吸をすると、眉間の印堂を中心とした部分に、軽いかゆみのようなチリチリとした感覚が現れる。ここと実は、ヨーガで言う、アジナ・チャクラでもある。チャクラはプラーナ(気)の渦巻くところ、というのが古代インド人の身体観である。
根拠に基づく腰痛の原因と治療 – 腰痛治療の新常識(57)
長谷川淳史(TMSジャパン代表)
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腰痛に関する正確な情報には想像を絶するほどの治癒力があります。どうか情報の拡散にお力をお貸しください。
■11〜14歳における腰痛の危険因子をコホート研究と横断研究で調査した結果、身体活動やバックパックによる負荷よりも心理社会的因子がもっとも強力な予測因子であった。http://goo.gl/johnf5 http://goo.gl/1lxsLu
……この研究は身体的負荷が子どもたちの腰痛発症に重要な役割を果たしているという仮説を証明するために行なわれた研究ですが、意外なことにBMI(肥満度)、バックパックの重量、力仕事を伴うアルバイト、激しいスポーツといった物理的因子よりも、SDQ(Strengths and Difficulties Questionnaire)スコアの高さ(心理社会的因子)が
腰痛発症に関連していたことが明らかになりました。ちなみに、福島県立医科大学の県民調査では子どもたちの約半数のSDQスコアが高く、メンタルサポートを必要とすることが判明しています。
■腰痛と頚部痛の治療に関するランダム電話調査(2055名の成人)によると、現代医学単独よりCAM(補完代替医療)単独もしくはCAMを併用している患者がはるかに多かった。現代医学だけに頼る治療パターンはまれ。http://goo.gl/xvSRWF
……この研究によって1997年だけでもアメリカにおいて腰痛と頚部痛の治療でCAMの利用回数は2億回を超えていることが明らかとなりました。その内訳はカイロプラクティック(18%)・マッサージ(9%)・エネルギーヒーリング(2%)・ホメオパシー(2%)・イメージトレーニング(1.9%)・リラクゼーション法(1.7%)・アロマセラピー(1%)・食事療法(1%)・鍼治療(0.9%)・神経治療(0.8%)・ヨガ(0.3%)その他(2.8%)で、合計約2億300万回ということです。腰痛や頚部痛の治療ではCAMが重要な役割を果たしているようです。
■腰痛の研究機関が増加してきたために、一般的に行なわれている腰痛治療の体系的評価が可能となった。現存する科学論文には欠点があるものの、現在行なわれている治療法の有効性と危険性に関する結論には充分な科学的根拠がある。http://1.usa.gov/uhlYSO
……AHCPR(アメリカ医療政策研究局)が作成した『成人の急性腰痛診療ガイドライン』は、1984年〜1992年までに発表された医学文献を徹底的に分析した、もっともエビデンスレベルの高い第一級の証拠に基づく知見です。
■AHCPRの『成人の急性腰痛診療ガイドライン』作成委員会は、医師、カイロプラクター、看護師、理学療法士、作業療法士、および患者の代表などから構成され、腰痛とは下肢痛を含む腰に関する症状で活動障害があるもの、急性とは3ヶ月以内と定義した。http://1.usa.gov/uhlYSO
……医療関係者の他に経済学者や腰痛を経験したことのある消費者代表も委員会に加わっているところが興味深いです。お偉い専門家ばかりでは庶民の痛みを本当に理解できるとは思えません。有効性と安全性だけでなく費用対効果にも注目した点も注目に値します。
■『成人の急性腰痛診療ガイドライン』では科学的事実を次の4段階に分類している。【A】強力な事実に則した根拠(多数の質の高い科学的研究)。【B】中等度の事実に則した根拠(1件の質の高い科学的研究か多数の妥当な科学的研究)。【C】限られた事実に則した根拠(腰痛患者に関する1件以上の妥当な科学的研究)。【D】事実に則した研究としては基準を満たさないと判断した研究。しかし、腰痛に関するRCT(ランダム化比較試験)は全体の0.2%しかないため、グレード「A」の科学的事実は存在しない。http://amzn.to/vjHaRg http://1.usa.gov/uhlYSO
……エビデンスレベル(科学的根拠の信頼性)の高い順に確証度(推奨度)を4段階で示しているわけですが、1984年〜1992年までに発表された急性腰痛に関する論文の中に「確証度A」のエビデンスが存在しなかった点に注目してください。
N E W S
日本生命保険は2月14日、死亡保険の保険料を、4月から定期保険を中心に最大で2割程度引き下げる方針を固めた。長生きの人が増え保険会社が払う死亡保険金が少なくなっているため。長寿化による死亡保険料の本格値下げは11年ぶり。他の生保各社も長寿化を受けた見直しを進めている。
月内にも正式発表する。値下げは、新たに加入するか、契約を更新する人が対象。値下げ幅は加入年齢や性別で異なる。子どもの養育費などとして保障を手厚くしたい期間に入る定期保険の下げ幅は大きく、生涯保障が続く終身保険の下げ幅は小さくなる見通し。(2/15 朝日新聞)
乾燥するこの季節に大活躍の加湿器。自宅や職場でお使いのかたも多いはずだ。しかし、ひとたび管理方法を誤ると人の命を危険にさらす“殺人加湿器”となってしまうことが判明し、世間を震撼させている。
1月19日、大分県の高齢者施設で男性入所者3人がレジオネラ菌に感染し肺炎を発症、うち1人が死亡した。原因は、施設に設置されていた2台の加湿器だった。レジオネラ菌は、水に菌が繁殖し、その水が細かいミスト状になり、それを人が吸い込んだ時、肺に入って感染するケースがほとんど。例えばこれまで、感染例として入浴施設のジャグジーやシャワーなど、霧状の水が発生するような場所で感染が報告されてきた。今回の事件も、菌に汚染された加湿器のタンク水から空気中に広がったとみられる。
2000年以降、年間百数十件で横ばいだったレジオネラ菌感染者数は、2005年に200件を超え、2017年は1722件と15年間で実に10倍以上と急増している。(2/22号 女性セブン=部分)
所得税の医療費控除の仕組みが大きく変わり、一部の市販薬を購入した際に控除が受けられる「セルフメディケーション税制」が、2017年分の確定申告から初めて適用される。
医療費控除は、病院代や薬代など自らが負担した医療費から10万円(総所得200万円以上の場合。それ未満は総所得の5%)を差し引いた額が税額計算上で所得から差し引ける従来の制度に、セルフメディケーション税制が加わった。薬代を含めた医療費は本人分だけでなく、生計をともにする家族の分も含めることができる。
セルフメディケーション税制では、一部の市販薬の購入費から12000円を差し引いた額が医療費控除額となる。対象となる薬は、医師の処方が必要だった医薬品から市販用に転用されたスイッチOTC薬だ。ただ、両制度は併用できず、申告する場合はいずれかの制度を選択しなければならない。(2/8 中日新聞)
喫煙本数を1日20本から1本に減らしても心臓発作や脳卒中が起こる確率が大幅に低下することはなく、20本の場合と比べて約50%のリスクが残るという研究結果が1月24日、英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)で発表された。
論文の筆頭著者である英国のロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)のアラン・ハックショウ(Allan Hackshaw)教授は、「1日に吸う本数を20本から1本に少なくすればリスクも20分の1、つまり5%に低下すると直感的に考えがちだ」と指摘。その上で、「これは肺がんのケースでは当てはまるようだが、心臓発作や脳卒中の場合は違う。1日1本の喫煙でも1日1箱分の50%程度のリスクが生まれる」と述べた。
同教授は、喫煙本数を1日数本に減らせば長期的な健康被害のリスクがほとんどなくなる、または完全になくなると勘違いすべきではないと強調している。世界保健機関(WHO)の統計によると、喫煙が原因で毎年約700万人が死亡しており、うち約200万人は心臓発作や脳卒中など循環器系の疾患によるケースだという。(1/25 時事通信)
就寝中に呼吸が止まり、ぐっすり眠れない「睡眠時無呼吸症候群」は、太った中高年男性の病気と思われがちだ。だが、子どもにもみられる。寝ている間に分泌される成長ホルモンの量が低下し、心身の成長や発達が遅れるおそれがあり、侮れない。
13歳未満の子どもの有病率は1〜3%とされる。太田睡眠科学センター(川崎市)の千葉伸太郎所長は「診察を受けていない潜在的な患者がおり、実際はもっと多いだろう」と話す。
幼児期から小学校低学年は、のどの奥の口蓋扁桃や、鼻の奥のアデノイド(咽頭扁桃)が一時的に大きくなり、気道が狭まるのが主な原因だ。就寝時に口で呼吸している子どもは、アレルギー性鼻炎が関係していることもある。(1/24 朝日新聞)
ストレスが多い状態が続いている男性は、ストレスが少ないと感じている男性に比べて、がんの発症リスクが約20%高いとする研究結果を、国立がん研究センターが1月19日、まとめた。全体では約10%高くなった。ストレスとがんとの関係を長期間、大規模に調べた結果が出るのは世界的にも初めてという。
調査は全国9府県の40〜69歳の男女を対象に実施。1990〜94年に「日常受けるストレスは多いと思うか」と質問し、「少ない」「普通」「多い」のいずれかで回答を得た。5年後に同じ質問をし、回答した約8万人を平均で18年追跡。ストレスの感じ方とがん発症との関係を分析した。
2回の調査で、いずれもストレスが多いと回答した人は、いずれも少ないと答えた人より、がんになるリスクが約10%高かった。男性は約20%高くなったが、女性ではストレスとの明確な関係がみられなかった。がんの種類では、肝臓がんと前立腺がんでストレスとの関連が強かった。
研究グループは、男性は仕事によるストレスが多いことや、女性よりもストレスの影響を受けやすい可能性があるとしている。がんのリスクを高める喫煙や飲酒など生活習慣の影響を除いて分析しており、同じ多量飲酒者や喫煙者の中でもストレスが多い人の方ががんのリスクが高かった。(1/20 毎日新聞)
岐阜大学は1月17日、脊髄性筋委縮症患者の運動機能を、モーションキャプチャを活用した3次元動作解析により定量的に評価する方法を世界で初めて開発したと発表した。この研究は、同大大学院連合創薬医療情報研究科・同医学系研究科の加藤善一郎教授と同連合創薬医療情報研究科大学院生の松丸直樹博士(岐阜薬科大学グローバル・レギュラトリー・サイエンス寄附講座特任助教)によるもの。研究論文は日本小児神経学会の英文誌「Brain and Development」に掲載される。
SMAの新薬開発の臨床試験では、運動機能改善の客観的・定量的な指標が重要だ。従来のSMA患者の運動機能の評価方法は、複数の動作ができる度合いを段階評価するものが多く、患者の保護者や臨床医が感じている治療効果との差が大きく、治療意欲を維持させる点からも課題があったという。
今回、研究チームは患者・保護者・臨床医の運動機能改善の実感に合致する、客観的・定量的なSMA患者の運動機能の評価指標を開発することに成功。一般的なモーションキャプチャを用いた動作解析では、マーカーを20個以上、被験者に装着するため、煩雑で、測定に長い時間を要するなど患者と測定者ともに大きな負担を強いられるが、今回開発した評価指標では1つのマーカーを肘に装着するだけでよく、簡便に短時間で測定できるため、成人だけではなく小児においても非常に実用的だという。(1/19 QLifePro)
高温多湿の室内で行う「ホットヨガ」に、従来のヨガを上回る心血管保護効果はない可能性が高いことが米テキサス州立大学のグループの研究で明らかになった。運動習慣がない健康な中年の男女を対象としたこの研究では、ホットヨガと通常の室温で行うヨガで血管内皮機能の改善効果に差はないことが示されたという。この研究結果は「Experimental Physiology」オンライン版に掲載された。
今回の研究では、運動習慣はないが健康な40〜60歳の男女52人を40.5度の室温でビクラムヨガを行う群(ビクラムヨガ群)、23度の室温でビクラムヨガ群と同じポーズのヨガを行う群(通常ヨガ群)、いずれのヨガも行わない群(対照群)のいずれかにランダムに割り付けた。ビクラムヨガ群および通常ヨガ群では、90分のヨガ教室を週3回のペースで12週間受けてもらった。血管内皮機能は血流依存性血管拡張反応検査(FMD検査)で評価した。
その結果、二重エネルギーX線吸収法(DXA法)で測定した体脂肪率は通常ヨガ群や対照群と比べてビクラムヨガ群の方が低かった。一方、血管内皮機能は通常ヨガ群では改善したが、ビクラムヨガ群ではわずかに改善する傾向が認められただけだった(それぞれP<0.05、P=0.056)。対照群では血管内皮機能の改善は認められなかった。さらに、研究期間中の血管内皮機能の変化量を全ての群の間で比較したところ有意差は認められなかった。この結果について同大学チームは、「通常のヨガでもホットヨガと同程度のベネフィットがあることが示され驚いた」とコメントしている。(1/19 HealthDay News=部分)
健康寿命を延ばすには1日平均で8000歩のウオーキングを心がけ、そのうち“中強度の活動”(=速歩)を20分-が効果的。東京都健康長寿医療センター研究所運動科学研究室の青柳幸利室長が、群馬県中之条町の住民5000人を対象に行った中之条研究。
歩数と中強度の活動を理想に近づけると、それぞれの病気の発症リスクを10分の1にできる。メタボリックシンドロームや肥満対策では、歩数と中強度の活動量が多くなるが、上限は平均で1万2000歩・そのうち40分は速歩。これ以上は意味がないそうだ。「1日の歩数が多いだけでは、病気予防にはつながりません。老化や病気に関わる活性酸素の弊害を防ぎ、血流をよくして免疫力も高め、足腰を強くするには、歩数と中強度の活動のバランスが重要になります」(青柳室長)
たとえば、65歳の女性は、健康維持のために朝晩2回の散歩を日課にしていた。1日平均の歩数は約8000歩。病気予防としては理想的な歩数だが、生活習慣病の2型糖尿病になってしまった。中強度の活動が足りなかったのだ。
「散歩のようにゆっくり歩くのは、低い強度の運動になります。新陳代謝が活発になる効果はあまりなく、骨や筋肉、心肺機能を強化する作用も期待できません。速歩などの中強度の運動に、血圧や血糖値を下げる効果があるのです」。仕事が忙しい人でも、日常生活をちょっと見直すだけで、中強度の活動は取り入れられるという。(1/17 夕刊フジ=部分)
保険診療の治療件数を集積した国のデータベースの情報が2年前から公開され、国内で行われる人工関節の手術件数や患者の性別、年齢層などが正確にわかるようになった。これによると、2015年度に国内で行われた膝の人工関節手術は約7万8600件。股関節は約5万4500件に上る。
帝京大学病院整形外科教授の中川匠氏は「国内の人工関節手術は、ここ10年でほぼ倍増の勢いだと感じている」と話す。中心は高齢者の変形性関節症で、膝の手術を受けた人は70歳代後半が最も多い。股関節は、生まれつきの形状も影響するので50歳代から増え、60〜70歳代が多い。膝も股関節も、手術を受けた人の8割以上が女性だ。破損やゆるみなどによる入れ替えの再手術は、全体の数%程度だった。
歩行には筋力も関わるが、痛みが取れることの影響が大きいという。ただ、金属の人工物が入り、半月板や一部の 靱帯(じんたい) も取り除くので、微妙な感覚の変化を感じる人もい
る。また、関節を深く曲げる動作、強い衝撃がかかるスポーツなども制限される。骨粗しょう症が進行し、骨折の危険性が高い人など適さない例もある。(1/17 読売新聞)
■次号のメールマガジンは3月10日ごろの発行です。(編集人:北島憲二)
[発行]産学社エンタプライズ