エンタプライズ発信〜メールマガジン【№47】2015. 3
読者の皆様、イライラや不安などのネガティブな感情が生まれたら、どう対処していますか? その場で怒りの感情を表してしまう。あとでその人の悪口や愚痴を言ってスッキリする。実は、悪口やネガティブな言葉は自分の脳にもネガティブなメッセージを伝えてしまうため、それが続くとストレスとなって脳細胞が減ってしまう、という認知神経学の研究報告があります。ネガティブであれ、ポジティブであれ、感情を生み出すのは脳です。脳はストレスや不安を感じていると、コルチゾールというストレスホルモンが放出されてダメージを受けてしまいます。逆に、よい刺激を与えてどんどん活用することで活発にはたらくようになるそうです。例えば、健康によい、アンチエイジングに役立つといって、イヤイヤやっていたのでは、かえってストレスになるだけです。まずは好奇心をもって何事も面白がること。面白くなくても「面白い」と自分で自分の脳をだまします。すると脳はけっこう簡単にだまされて「面白い」と感じるようになると言います。好きなことをどんどん楽しみ、たくさん感動する。それがポジティブな感情を生む刺激となり、脳の活性化、好循環につながります。そして、感情は伝染していきます。あなたが幸せなら周りの人も幸せになるし、ごきげんな人の周りにはごきげんな人が集まることもわかっています。「どんな人と一緒にいるか」 もとても大切。ごきげんな人に積極的に会いにいきましょう。
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★☆★━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━━━★☆★
【1】エネルギー医学の将来〜期待される今後の研究
【2】“こころ” と “からだ”……臨床にモノ思う。
【3】伝統医学をシルクロードに求めて
【4】根拠に基づく腰痛の原因と治療 《腰痛治療の新常識》
【5】“連動操体法”について、ちょっとばかり…
【6】N・E・W・S
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◎連載vol.5
エネルギー医学の将来 〜期待される今後の研究
<小社編集部編>
《 増 幅 》(つづき)
生体エネルギーが増幅される仕組みはレーザーと似ているかもしれない。レーザー(laser)とはもともと「Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation」の頭文字からで
きた言葉で、分子や原子の固有振動を利用して電磁波を発生させる装置のことを言う。波長の揃った電磁波を装置の中で循環させることにより、より位相の揃った強力なコヒーレント光へと増幅するのである。エネルギーが装置の中を循環することで、高速なうえに規則正しい原子の振動が生じ電磁波が発生する。生体においては生体マトリックスの結晶構造、すなわち腱・靭帯・骨のコラーゲン分子や細胞膜中の脂質分子がレーザー装置のような役割を果たすことによって、生体分子のコヒーレント振動が増幅されるのだろう。
電子工学の分野では、最も効率よく電波を送信するには、送信アンテナの長さを送ろうとする電波の波長に合わせればよいことが知られている。このことは受信アンテナにも当てはまる。したがってセラピストや患者が深部組織法やストレッチ、あるいは食物療法や瞑想などを繰り返し実践すると、生体組織の「コヒーレント・ドメイン」が徐々に定着して、コヒーレント・エネルギーを感知する能力と放出する能力がともに向上するのではないだろうか。生体エネルギーの増幅に関係していると推測される生物物理学的メカニズムについては、以上に挙げたもの以外に、次のような仮説が報告されている。
・超伝導性と超流動性:ベンゼン環の周囲の電子の動きにより超伝導電流が発生する可能性をポーリングとロンドンがそれぞれ報告している。またリトルによると、生体分子は基本的に体温下で超伝導体にとなるはずだという。生物の超伝導体については、コープとウルフらのグループがそれぞれの研究結果を報告している。
・音響量子の超発光:ビアレクは生体組織の高分子のようなポリマー系で、大規模なコヒーレント振動が起きるメカニズムを報告している。ビアレクの仮説には、多くの物理学者が異議を唱えているが、デルギーディスとプレパレータは「凝集した物質」がもつ量子的性質により超発光が生じることを明らかにしている。
・超蛍光:ボニファシオらは、生体組織中にジョーゼフスン接合と同じ構造が存在すると予測し、その構造によって共鳴放射が起こりうることを報告している。
・プラズマ: セドラックとロフィは、それぞれの論文の中で生物が磁気に反応するのは生体組織がプラズマ状態になることが一つの理由だと考察している。
要するに、生体組織に認められる規則性の高い分子配列を、量子物理学的に解釈することによって、種々の驚異的なエネルギー現象を説明できるということだ。一方、未知なる自然の力や(「微妙な」または「清澄な」という意味での)サトルエネルギーの存在を肯定する仮説もある。その仮設も否定できないが、これまでに得られた知識を統合すると、生体が既知の力をどのように活用し、セラピストが既知のエネルギーをどのように治療に活かしているのかを、部分的ではあるにせよ理解することができるであろう。そこで、生体がどのように既知のエネルギーを活用しているのかについて、具体的な例を挙げながら検証していくことにしよう。まずは神経系の仕組みについてである。(つづく)
(出典:『エネルギー医学の原理』小社刊2004)
★連載エッセイ ⑮☆
“こころ” と “からだ” …… 臨床にモノ思う。
・保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)
「食事制限による成長不良」
以前、1歳半の男の子が来院。最初はお母様よりお子様のアレルギーのことで相談を受ける。生後数か月後から湿疹の症状があらわれ、最初の病院ではステロイド治療などを受けて一時症状が改善される。その後、症状が悪化して他の病院で治療を受ける。そこでは主に除去療法が中心で6か月ほど入院されたとのこと。
生後10か月より体重が増えていないとのことで、このまま体重が増えなければどうなるのだろうと深刻に悩まれていた様子。食事制限をかなり厳しく行われているとのことで、食べているものが随分と限られている印象を受けた。
乳幼児の場合、お母さんの健康状態も影響を及ぼすので、一緒に施術を受けて頂いた。食事を中心にしたアレルゲンとそれに絡んだ感情面を特定しながら、食事全体が身体のバランスに影響を及ぼさないように施術を行った。
施術を開始して、徐々に改善傾向へと向かい、今まで制限していた食品が食べられるようになり、体重も1キロほど増えて、お母さんも安心された様子。まだ卵やその他の食品にアレルギー反応は示されるが、施術前に比べると、メンタル的にも安定感が出た様子。
様々な医療情報が錯綜する中で、何を信じていいのか分からなくなってしまったのだろう。西洋医学では科学情報が基本になり、科学というモノを基本にするあまり、様々な情報が錯綜してしまう。
科学的情報は大切な情報ではあるが、それが医療のすべてではなくほんの一部分にすぎないという認識が大切だろう。科学的医療が全てであるかのごとく盲信してしまうのは危険である。科学はとても進歩しているのは事実であるかもしれないが、かといって生命体の病気、健康のことが全て解明されているわけではない。人間の生命体にはまだまだ解明されていないことがたくさんある。
自分の健康を自分で守るためには、医療技術を信じるよりも、まずは自分の身体の治癒力を信じることが大切である。その上で、自分の体調に応じて自分にベストな医療を選択することが必要だろう。
人間は本来、時間の経過とともに治るという力、すなわち自然治癒力というものを持ち備えているということを忘れないでほしい。我々自然療法家は、その治癒力の扉を開き、本来の生命力を発揮させるお手伝いをさせていただいている。
健康を損なったとき、この自然治癒力を発揮させる有機生命論的医療を選ぶのか、機械構造論的医療を選ぶのか、その時々の症状によるだろう。どちらがいいとか悪いとかの問題ではなく、もちろんどちらが優れているか否かの問題でもない。
けがをした時に機械構造論的医療はとても効果を発揮してくれる。しかしながら、原因が分からず知らず知らずに自然に病気になった場合などは、有機生命論的医療を選択して自然治癒を引き出して治していくのが賢明かもしれない。
今回の症例では、身体に合わないものを除去して、症状を押さえてしまう機械構造論的医療では結果的には改善にはつながらなかった。有機生命論的に合わないものを身体に調和させて自然治癒力を引き出すことで症状が改善された。このような自然治癒力の効果をもっと多くの人に知っていただき、気軽に利用していただける環境を目指して、医療に貢献できればと願う。
《連載29》
伝統医学をシルクロードに求めて
池上正治(作家・翻訳家)
“グエン・ディン・チウを想う” 〜リウ・キ・ロク〜
わが国数千年の歴史の中で
勇敢で秀英な祖国の息子たちは たえず祖国を守りつづけ
その名声と年輪とを、世界の地図に刻みつけた
偉大な天才たちの中に 疾病に苦しむ人民を救った人がいる
疫病を克服することは 正義と民族を守るために
侵略軍を撃退するに等しい一大事
愛国の詩人、グエン・ディン・チウは150年前の名医
祖国の医学に大きく貢献した
『漁樵問答』の楽曲を詠ずれば
疾風と暴雨とは過ぎ去り、東医の林に若い芽は伸びる
北と南と、情義は一つである
万年の歴史に残る人物たらん
われわれは団結し、目的をめざし、栄光ある任務を果たすまで励む
わが祖国、永久(とわ)に雄強であれ
ここに、医薬に携わる者の義務がある。
5. インド編 〜古代医学の最高峰〜
薬にならない草など一本もない
その昔、釈迦(ブッダ)が人々を集めては説教をしていたころのことである。中部インドの王舎城(ラージャグリハ)にジーヴァカ(Jivaka耆婆=ぎば)という名医が現れ、人々からは「医王」と呼ばれていた。ジーヴァカの出生については諸説があるが、複数の仏教経典から再構成すると……
王舎城の隣にある毘舎離城(ヴェーサーリー)にきわめて美しい娼婦がいて、その名を菴婆羅婆利(アンバラバリ)といった。彼女と一夜の歓をつくしたい者は、誰でも50両を用意すればよかった。昼でも50両を出せば彼女と遊ぶことができた。美しいアンバラバリを一目でも見ようと諸国から人々が集まり、毘舎離城は繁栄するようになった。この噂が広がると、王舎城でも婆羅跋提(バラバツダイ)というさらに美しい娼婦を置いて100両の値をつけた。こうして王舎城は四方から集まる人々のために非常に繁栄するようになった。(つづく)
根拠に基づく腰痛の原因と治療 – 腰痛治療の新常識(22))
長谷川淳史(TMSジャパン代表)
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■腰痛患者200名と健常者200名のX線写真を比較した研究によると、両群間に変形性脊椎症、骨粗鬆症、椎体圧迫骨折などの異常検出率に差は認められなかった。したがって老化による解剖学的変化が腰痛の原因とは考えられないと結論。http://1.usa.gov/jb0ly3
……変形性脊椎症だろうと骨粗鬆症だろうと椎体圧迫骨折だろうと、症状もなく健康的に暮らせるということが明らかになっているのです。レントゲン写真のシミやシワを見せられて不安になる必要はありません。
■有痛性の骨粗鬆症椎体骨折患者を対象としたRCT(ランダム化比較試験)によると、骨セメントを注入する経皮的椎体形成術群(38例)と模擬手術群(40例)の術後成績に差は認められず、両群とも急速に痛みが軽減した。椎体形成術はプラシーボに勝てず。http://1.usa.gov/jPz9Pb
……骨粗鬆症による椎体圧迫骨折の中には痛みを訴える患者さんがいます。その治療法として骨セメント療法が脚光を浴びていますが、残念ながらその成績はプラシーボ効果だったことが証明されたわけです。
■有痛性の骨粗鬆症椎体骨折患者131名を対象としたRCT(ランダム化比較試験)によると、経皮的椎体形成術群と対照群(保存療法)を比較したところ、両群間の疼痛および活動障害に差は認められず、椎体形成術の適用を支持する結果は得られなかった。http://1.usa.gov/kvXvxo
……脊椎疾患では手術というドラマ、手術という儀式が絶大な効果を発揮することが多々あります。骨セメント療法もそのひとつだったわけですが、ランダム化比較試験によって保存療法と同じ効果しか得られないことが明らかになった今、はたして貴重な医療費を費やしてまで続ける価値があるでしょうか。健康保険料を支払っている国民一人ひとりが考えてみるべきだと思います。
■健常者41名を対象に腰部椎間板を5年間にわたってMRIで追跡調査した結果、物理的負荷(重量物の挙上や運搬・腰の回転や屈曲等)という従来の危険因子は椎間板変性とは無関係で、腰痛発症率はむしろ椎間板変性のある方が低かった。http://1.usa.gov/178sVnE
……重い物を持っても椎間板が潰れることはありませんし、椎間板が潰れている人は腰痛になりにくいという事実が確認されました。腰に負担がかかる動作を怖れる必要はありません。腰痛にまつわる迷信や神話は頭から消去しましょう。
■男性の一卵性双生児115組を対象にMRIで椎間板変性を促進させる危険因子を調査した結果、椎間板変性は仕事やレジャーによる身体的負担、車の運転、喫煙習慣といった物理的因子より、遺伝的因子の影響を強く受けていることが判明。http://1.usa.gov/kWg7Iw
……椎間板が潰れるかどうかは腰にかかる物理的負担より遺伝子の影響が強いとことが明らかになっています。国際腰椎学会でボルボ賞を受賞した研究です。素人ならともかく腰痛患者をあつかう医療関係者が知らなかったではすみません。
■21〜80歳までの腰痛未経験者52名を対象にCATスキャンで腰部椎間板を分析した結果、年齢に関わらず35.4%に何らかの異常が検出され、40歳未満の19.5%に、40歳以上の26.9%に無症候性椎間板ヘルニアが確認。http://1.usa.gov/mBTclS
……レントゲンやMRIだけでなく、CATスキャン(CTと同じ)でも健康な人の中に椎間板の異常が見つかります。したがって椎間板変性や椎間板ヘルニアが痛みの原因とはいえません。
【連載コラム】
“連動操体法”について、ちょっとばかり… (47)
根本 良一(療動研究所主宰)
【 連動操体法の応用編 】
2. 腰に関わる障害
子供にドーンと背中を押され…
養護教員・男、45歳。教室内で生徒に不意にドーンと腰を押され、一時「うっ」とショックを感じたが、午後になったら苦しく動けなくなり、救急車を要請した。椎間板ヘルニアだから次回から牽引をすることになった。
この患者は以前から知り合いだったので、見舞いながら事情を聞いて少しさわってみた。
①仰向けで両膝を立て、大腿二頭筋の硬い方の膝下から腕を差し入れ、逆方の膝頭へ手を掛け、膝を押しださせた。このとき、腕を通した膝が引きつけられる。フィンガースケールで見ると操作前より指間がよく開いている。
②腹部の緊張を触診し、外腹斜筋の左右と腹直筋の上部と下部を、腕の角度を合わせて解消する。
③膝へ足先を載せ、内腿部の上から殿部、腓腹部の緊張を取る。
これで立ち上がれるし、腰がちょっと重たいが歩行も差し支えなくなった。その後、病院で治療をしてもらって「あとで先生には“仕上げ”をしていただきます」と退院報告が来た。
腰をドンと押されたとき、どの角度かでフッと堪えたとき、外腹斜筋、大腰筋が瞬時に緊張する。これは車でドンと追突されたときのムチ打ち症のようで、首というが、必ず腰〜脚まで異常が現れる。ドンと押されたときにはじめ腰で堪えたつもりでも、腰から背へ歪みが連動し、背部から肋椎関節を経て、肋間神経〜外腹斜筋、あるいは腹直筋が緊張し、腰が動かなくなるというふうに解釈される。
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NEWS ■米国は「睡眠大不況」…対処法は?
米国人にとって睡眠不足は身近な問題だ。コロンビア大学公衆衛生大学院の研究チームは米小児医学会の機関誌でこのほど発表した論文で、現在の米国の状況を「睡眠大不況」と呼んだ。米疾病対策センター(CDC)も昨年、睡眠不足は国民の健康にとって伝染病のようなものだと警鐘を鳴らしている。特に影響を受けているのは10代の若者のようだ。
コロンビア大学の研究では、1991年から2012年にかけて27万人以上の中学2年生、高校1年生、同3年生の睡眠時間を調査。若者の睡眠時間が徐々に減少していることを明らかにした。これによれば平均睡眠時間は7時間で、理想とされる時間よりも2時間少ない。なかでも短いのはアフリカ系と中南米系の男子だ。研究チームでは、インターネットやソーシャルメディアの利用や、大学入試の競争激化が1つの要因として挙げられるのではないかと考えている。一方で寝付きをよくしたり、ぐっすり眠るための方法についての研究も進んでいる。南カリフォルニア大学の研究チームが米医師会の内科専門誌で発表した論文によれば、瞑想も効果があるという。
この研究では軽い睡眠障害を抱える55歳以上49人を2つのグループに分け、1つのグループには瞑想の方法を教え、1日20分間行うよう指導した。もう一方のグループには、睡眠障害を引き起こすような日中の行動や要因を見直すよう指示を出した。すると、瞑想を行ったグループの方がよく眠れたという。この結果の有効性を証明するにはさらに大規模な調査が必要だが、寝る前にリラックスするのが大切だというのは不自然な話ではないだろう。
全米睡眠財団も、寝る前にリラックスできるような「儀式」を行ってからベッドに入ることを勧めている。(CNN=一部 3/14)
NEWS ■「骨粗鬆症」発症リスクの認識度は?
骨粗鬆症は日本において公衆衛生上の大きな問題となっている疾患である。しかし、そのリスクは過小評価され、患者はきちんとした治療を受けていない場合も多い。
骨粗鬆症を予防するためには、骨粗鬆症に対するリスクをしっかりと認識する必要がある。日本イーライリリーの佐藤氏らは、骨折の既往歴と、“自分が骨粗鬆症になる危険性がある”という認識(リスク認識)との関係を明らかにするため、日本の50歳以上の女性を対象に大規模年次調査を行った。その結果、想定されていたよりもリスク認識が低いことがわかった。
本研究は、日本のNational Health and Wellness Survey(NHWS)のデータを基に解析した。対象は骨粗鬆症と診断されていない50歳以上の女性で、50歳までの骨折歴と骨粗鬆症のリスク認識の有無で4つの群に分類された。社会人口学的特性と健康状態特性の群間比較には二変量解析が用いられ、健康アウトカムは一般化線形モデルで比較された。主な結果は、以下のとおり。
・調査には1万6,801人の女性(50〜93歳)が参加し、平均年齢60歳であった。
・参加者の大半(76.2%、n=1万2,798)は、骨折歴がなく、骨粗鬆症のリスクを感じていなかった。
・12.9%(n=2,170)は骨折歴がないが、骨粗鬆症のリスクがあると感じていた。
・8.7%(n=1,455)は骨折歴があったが、骨粗鬆症のリスクを感じていなかった。
・2.2%(n=378)は骨折歴があり、骨粗鬆症のリスクがあると自覚していた。
・リスク認識は、骨折歴がある人でわずかに高かった(骨折歴あり:20.6%、なし:14.5%、p<0.001)。
・骨粗鬆症の家族歴がある人ほど、リスク認識が高かった。
今回の調査から、50歳以上の日本人女性の約15%が将来、自身が骨粗鬆症になるリスクを認識していることがわかったが、この数字は疫学研究者の想定よりもはるかに低い数字であった。さらに、このリスク認識と疫学的リスクである骨折との関連性は弱いものでしかなく、患者教育の必要性が示唆された。(Archives of osteoporosis誌 3/13)
NEWS ■10年に2回インフルエンザに感染〜30歳以上
30歳以上の普通の人は、10年に約2回インフルエンザに感染することがわかった。英インペリアル・カレッジ・ロンドンのSteven Riley氏らの研究報告。Riley氏らは、中国南部のボランティアから採取した血液検体を分析し、1968〜2009年に中国でみられた9種類のインフルエンザウイルスに対する抗体レベルを評価した。現代の血液検査から集団の感染歴が再構築されたのは今回が初めてだという。
Riley氏らは血液検査の結果から、小児は平均して1年おきにインフルエンザに感染するが、若年成人になるにつれてその頻度が減ると結論づけた。30歳以降は10年ごとに約2回インフルエンザに感染する傾向があるという。
Riley氏らは、異なるインフルエンザウイルスに遭遇したときの生涯にわたる免疫系変化に関するモデルも考案。このモデルは、人生の早いうちに曝露したインフルエンザウイルスは後に遭遇したウイルスよりも強い免疫反応を引き起こすという、既存研究が示したエビデンスをさらに裏付けている。
Riley氏は、「成人のインフルエンザ感染は一部の人が考えるより少なく、幼児や思春期の子どもたちのほうがはるかに多い。これは他人との付き合いが増えるためだろう。30歳超の成人の正確な感染頻度は、インフルエンザとワクチン接種の背景レベルに左右される」という。
研究終了時までに、マインドフルネス群の睡眠障害尺度スコアは平均で約3点低下した。一方、標準教育群の低下は平均1点であり、マインドフルネス群のほうが有意に大きく改善していた。また、マインドフルネス群のほうが抑うつ症状、日中の疲労も改善しており、その便益は睡眠薬や認知行動療法「トークセラピー」と同等だった。(PLoS Biology オンライン版 3/13)
NEWS ■「孤独感」は寿命を縮めることが明らかに
社交的であるかどうか、というのは性格によるところが大きい。だが、「人前に出るのはちょっと…」という人でも、友人を持ち、積極的気に社会とのつながりを維持した方がよさそうだ。というのも、孤独でいると早死にするリスクが高まり、肥満と同じくらい寿命を縮める要因になるのだという。ブリガムヤング大学の研究チームが、これまでに行われたさまざまな健康調査のデータ(対象者300万人超)を分析して明らかになった。
それによると、社会とつながっていない人は早死にしやすく、逆に友人を持つなど社会とのつながりを維持している人は健康で長生きする傾向が浮かび上がった。もちろん、死亡リスクは個人の年齢や健康状態、経済状況などによって異なるわけだが、それでも孤独が寿命を縮める要因になっているのは変わらないのだとか。また、孤独は1日15本の喫煙やアルコール中毒、そして肥満にも匹敵する短命リスクとのこと。
これは、伴侶を亡くすなどして孤独な環境に陥った人だけでなく、もともと孤独を好む人にもいえるという。高齢者ほど孤独に陥りやすいが、研究チームは「若い人であっても孤独が短命を招きやすくなることに変わりはない」と指摘する。年齢にかかわらず、趣味を持って仲間と一緒に活動したり、日頃からイベントなどに積極的に参加したりするとよさそうだ。(Brigham Young University 3/11)
NEWS ■肉の多い酸性食が腎疾患患者にリスク
慢性腎疾患を抱える患者が日常的に肉の多い高酸性の食事を摂取していると、腎不全リスクが高まることが、新たな研究で示された。
米国立衛生研究所(NIH)によると、腎機能障害があると身体からの酸の排出が妨げられ、代謝性アシドーシスと呼ばれる高酸性の状態が引き起こされる。専門家の間では長年、高酸性の食事(肉が多く、果物や野菜が少ない食事)がこの状態を増悪させるのではないかと考えられていた。
「この仮説は、複数の無作為化試験でアルカリの補充により慢性腎疾患患者の腎機能喪失が遅くなることが示されたことからも裏付けられる」と米マウント・サイナイ・アイカーン医科大学(ニューヨーク市)のJaime Uribarri氏は説明している。
米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のTanushree Banerjee氏が率いた今回の研究では、米国政府による大規模な健康調査に登録された腎疾患患者1,500人弱を対象に、約14年にわたる栄養分析を実施した。その結果、高酸性の食事を摂取していた群は、腎不全リスクが低酸性の食事を摂取していた群の3倍であることがわかった。
「慢性腎疾患患者は、腎不全の進行を抑えるため、高酸性の食事の摂取にもっと注意を払う必要がある」とBanerjee氏は述べ、「果物や野菜に富む健康的な食事を取り入れることで、高額な費用やQOLの低下をもたらす透析治療を避けることができる」と付け加えている。
Uribarri氏もこれに同意し、「この知見は明確であり、食事の酸性が強いほど腎疾患の進行が早まるというこれまでの知見を裏付けるものだ」と述べるとともに、今回の研究は因果関係を明らかにするものではないが、被験者数が多いため、結論に重みを加えるものだと指摘している。(Journal of the American Society of Nephrology 3/10)
NEWS ■サウナで心疾患死亡リスクが低下
サウナはリラックスできるだけでなく、心臓の健康にも良い可能性があることが、フィンランド、東フィンランド大学のTanjaniina Laukkanen氏らの研究で示唆され、研究論文が「に2月23日掲載された。
研究では、サウナを頻繁に利用する男性は心疾患で死亡する可能性が低いことが判明した。1週間にサウナに行く回数が多いほど、1回のサウナで過ごす時間が長いほど、リスクは低かったという。伝統的なフィンランドのサウナは、湿度が10〜20%、入浴者の顔の高さの温度が80〜100℃に保たれている。フィンランド東部の42〜60歳の男性2,300人以上を平均20年間追跡したところ、以下のことがわかった。
・心臓突然死のリスクは、週2〜3回サウナを利用すると22%低下し、週4〜7回利用すると63%低下する。
・致死的な心疾患のリスクは、週2〜3回サウナを利用すると23%、週4〜7回利用すると48%低下する。
・心疾患または脳卒中による死亡リスクは、週2〜3回サウナを利用すると27%、週4〜7回利用すると50%低下する。
・週1回のみサウナに行く男性に比べて、週2〜3回の男性の死亡リスクは24%低く、週4〜7回の男性では40%低かった。
・サウナで過ごす時間が11分未満の男性に比べて、11〜19分の男性の心臓突然死のリスクは7%低く、19分以上の男性では52%低かった。
サウナが心臓によい理由は不明だが、運動時に発生するのと同じような健康的ストレスを心臓に起こすのではないかと、専門家はコメントしている。なお、今回の研究はサウナ利用と心臓の健康の関連性を示したが、因果関係を示したものではない。(JAMA Internal Medicineオンライン版 3/8)
NEWS■瞑想が高齢者の睡眠障害に有用
「マインドフルネス瞑想」が高齢者の夜間の睡眠の改善に役立つ可能性があることが、米南カリフォルニア大学(ロサンゼルス)予防医学助教授のDavid Black氏らの研究で示唆された。マインドフルネス瞑想とは、一般に、過去や未来でなく今の瞬間に焦点を当て、自分の考えや感情を客観的に見ることを促す。Black氏らによると、マインドフルネスの実践法を学んだ高齢者では6週間以内に睡眠が改善されており、これは従来の訓練法より優れているという。
今回の研究では、睡眠の質に関する標準的な質問票への回答から「中等度」の睡眠障害を有するとされた高齢者49人を対象として、睡眠「衛生」教育またはマインドフルネス訓練のいずれかの6週間のセッションに無作為に割り付けた。(JAMA Internal Medicineオンライン版 3/4)
NEWS ■「爪水虫」初の塗り薬登場
足にかゆみがなくても、足爪に変色や変形があれば爪水虫の可能性がある。最近、爪水虫の新薬も登場した。毎年繰り返す水虫に悩んでいるようなら、いまから治療を開始しよう。
カビの1種の白癬菌が皮膚に寄生して起こる水虫。体の寄生する場所で呼び名が変わるが、爪水虫の90%以上は足の爪に発症する。その感染経路を「仲皮フ科クリニック」(埼玉・川越)の仲 弥院長が説明する。
「最初の感染元は足水虫です。足の皮膚に棲みついた白癬菌が徐々に爪の中に入り込んで起こります。ところが爪水虫はかゆみなどの症状が出ないので放置されやすい。それで爪が白癬菌の巣の状態になり、いくら足水虫を治しても繰り返す。また、体の他の部位の水虫の原因にもなります」。日本臨床皮膚科医会の調べでは、日本人の10人に1人が爪水虫にかかっている割合になるという。
爪水虫の治療は飲み薬が基本。しかし、肝機能障害や持病薬との飲み合わせの関係で飲めない人や内服薬を嫌う人も少なくなかった。そんな中、昨年9月に爪水虫では初の塗り薬(エフィナコナゾール)が登場した。
「この外用薬は爪の成分のケラチンと結合しにくいので、爪の中まで浸透しやすい。抗菌薬濃度も通常の外用薬よりも10倍高いのが特徴です」
内服薬が3-6カ月の服用で1年後に8割程度治るのに比べて、外用薬の効果は落ちる。臨床試験のデータでは、1日1回塗り、48週の完全治癒率は約20%。ただ、軽症なら外用薬だけで治る可能性は十分あるという。
「内服薬ですべての人が完全治癒するわけではありません。外用薬のもう1つの使い方としては、内服治療後に外用薬をプラスする方法も有効と考えられます」(毎日新聞=一部 2/24)
■次号のメールマガジンは2015年4月10日ごろです。お楽しみに。(編集人:北島憲二)
[発行]産学社エンタプライズ