エンタプライズ発信〜メールマガジン【№40】2014. 8

時間の問題でしたが2013年の日本人男性の平均寿命が80.21歳と80歳台に乗りました(女性86.61歳)。いずれも過去最高を更新し、大老人時代を迎えましたが、老後も“健康年齢”が伴っての晩節にしたいものです。ちょっと激しい運動をしてみたら、あれ、体が全然ついてこない、なんて経験をお持ちの中年諸氏も多かろうと思います。誰にでもいつの日か確実にやってくる老化です。あるサイトで「男性におくる老化はじまりの8項目」が紹介されています。その中でも編集子が気になったのは、「歯が汚なくなった」…男性は30歳をすぎると歯が汚れやすくなるようです。その原因は歯茎の萎縮。歯茎が縮み、歯の隙間が増えた状態で歯磨きがきちんと行われていないと、口腔内の衛生状況が悪くなり、結果歯石がたまりやすくなり歯が汚く見えるそうです。30代以降は仕事に追われる日々だけに、見た目もさることながら口腔内衛生のために正しいブラッシングが必要です。ご存知のように、生涯にわたり自分の歯を20歯以上保つことにより「健全な咀嚼能力」を維持し、健やかで楽しい生活をすごそうという8020(ハチマル・ニイマル)運動が以前から提唱・推進されています。健康年齢を考える上で、足腰の維持とともに脳活性に大切なしっかりとした歯噛み習慣も同時に意識していきたいですね。

★☆★━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━━━★☆★

【1】カイロプラクティックの安全性に関するガイドライン
【2】“こころ” と “からだ”……臨床にモノ思う。
【3】伝統医学をシルクロードに求めて
【4】根拠に基づく腰痛の原因と治療 《腰痛治療の新常識》
【5】“連動操体法”について、ちょっとばかり…
【6】N・E・W・S
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■ 連載 8

カイロプラクティックの安全性に関するガイドライン

〜 Chiropractic Guideline-Safety 〜
<一般社団法人日本カイロプラクターズ協会>


1)施術者の教育背景の現状(つづき)

ⅲ)有資格者による脊椎マニピュレーションの安全性
脊椎マニピュレーションはカイロプラクターだけが用いる治療手段ではなく、個人レベルやその他の療法でも行われている。医療資格や医業類似行為の有資格者が脊椎マニピュレーションを行う場合、それがたとえ医師であったとしてもWHOガイドラインの教育基準下でカイロプラクティック教育を修め手技訓練を修了していなければ、それはカイロプラクティック・ケアではない。実際、WHOガイドラインでは医師などの医療資格取得者に対しても2,200時間以上のカイロプラクティック教育を義務付けている。有資格者であったとしても、WHOガイドライン教育基準を満たしていない者による施術はカイロプラクティック・ケアとしての安全性が担保されていないことを認識する必要がある。

2)今後のわが国のカイロプラクティック教育のあり方

WHOガイドラインの基準を満たした教育機関に学び、手技を習得するだけではなく、適応と禁忌を判断できる基礎医学・臨床医学的な知識を身につけた者だけがカイロプラクターと呼ぶに相応しい。こうしたなか、今後のわが国のカイロプラクティック教育のあり方について、しばしば2つの方向性が議論されている。それは、わが国のカイロプラクティックをWHOガイドラインの基準に合わせることに関して、積極的に肯定して推進する考え方と、肯定しつつも現状を維持する考え方である。後者は、大多数を占める既存のカイロプラクティック類似施術者の存在を肯定し、WHOガイドラインの基準以下の教育背景であっても将来にわたってわが国でのカイロプラクターとしての職業的地位を擁護する立場である。両者の考え方は、利用者の安全性を重視するのか、あるいは現存するカイロプラクティック類似施術者の職業的な身の保全を重視するかの違いである、ということもできる。

カイロプラクティックは世界的に認められているヘルスケアであり、そのケアを受ける利用者の安全性を最優先に考えてカイロプラクティックの教育基準が決められるべきである。したがって、わが国でもWHOガイドラインの基準を満たしたカイロプラクティック教育を積極的に推進していく必要がある。わが国のカイロプラクティックが、世界から見て特殊なカイロプラクティックになるようなことは避けなければならない。(つづく)


★連載エッセイ ⑧☆

“こころ” と “からだ”  …… 臨床にモノ思う。

 保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


「恐れ」が「恐れ」でなくなるとき

以前からメンテナンス的に利用してくださっている患者さんで、最近、重要な役職に就かれたようで、挨拶回りやスピーチでの緊張感を改善したいとのことで来院しました。スピーチでの具体的な症状を尋ねると、震えや言葉を詰まらせる、あるいはスピーチの途中で真っ白になるなどでした。この方には優越感や喜び、意欲などの肯定的な感情がある一方で、「恐れ」の感情も関係していました。
恐れや不安などの否定的な感情が、身体面や精神面に影響を及ぼすということはよく知られています。メンタル面に限らず、自律神経系や筋肉系にも幅広く影響を及ぼします。そして、その感情治療をニューロパターンセラピー(心身条件反射療法)で施すと多くの症状が改善されます。このような「恐れ」に関係する感情の施術を終えた後にいつも患者さんにアドバイスするのは「恐れの内容を明らかにする!」ということです。

恐れを明らかにする……「えっ?」さらに怖くなるのでは??と思われた方がほとんどではないでしょうか。あるいは、怖いことは考えないようにしたほうがいいのではないの? と考えるかもしれません。しかしニューロパターンセラピーの臨床現場では、恐れの内容が明らかになればなるほど、治療効果が高くなり、「恐れ」に関係した身体的ならびに精神的症状がほとんど改善されていきます。
恐れを克服するには、心を強くして、怖いことは考えないようにする! 忘れるようにする! と考えている人も少なくはないでしょう。しかし脳科学的にいうと、「恐れ」の内容を認知すればするほどその全体像が見えてきて、その情報に脳が慣れてくるのです。例えば、美味しい物を食べ続けると慣れて飽きてくる、あるいは、最初の部屋の臭いや衣服の臭いも慣れてくれば感じなくなってくるという経験はないでしょうか。
嗅覚に関係する脳の神経細胞は、情動(感情)や記憶をつかさどる神経細胞の近くにあり密接に関係していると考えられており、嗅覚に「慣れ」の習性があるように、感情にも慣れの習性があると考えられます。ただ、「恐れ」などの否定的な感情に対しては、何を本当に恐れているのかを明確にせずに、それを見ないようにすればするほど脳の中では無意識に空想して怖さが増幅することが予測されます。

「怖い」ということは、暗闇を歩いているようなもので、「先が見えない」から怖いのです。その暗闇にスポットライトを当てるとどうでしょうか? 見える部分に関しては怖さがなくなってきます。
さらにスポットライトを当てると全体像が見えてきて、「なんだ〜こんな状態だったのか〜」となるかもしれませんし、スポットライトが当たったことで、何が危険なのかも明確になり、それを避けるすべを学ぶかもしれません。
このように「怖さ」というモノは明確になればなるほど軽減してくる性質があるということを知っておくと、未来が明るくなるのではないでしょうか。未来を考えるのはあまり好きではないという人もいます。何か隠れた未来のへの怖さが潜んでいるかもしれませんし、何かを避けようとしているのかもしれません。でも、その何かを明らかにすると、何だ、それはただの錯覚、あるいは思い込みに過ぎないということになるかもしれません。なぜなら、未来というものは、基本的に不確実なものだからです。
自分の中にある「恐れ」は、明らかになればなるほど、自分で支配することが可能になってくるのです。


《 連載22 》

伝統医学をシルクロードに求めて

       池上正治(作家・翻訳家)


“一に結核、二に結核…” (つづき)

<久留米大学のネパール医学調査診療隊>
—-この11月30日、12月1日、2日の3日間は、まことにうれしい時を過ごしました。久留米大学ネパール医学調査医療隊の先生がたが、わざわざタンセンまでおたずねくださったのです。やっぱり日本男子はいいですなあ。気は優しく力持ちというドクターたち総勢6人もが、人口8千人の街を闊歩されるんですから壮観です。加うるに紅一点の看護婦さん、タンセンはまさにジャパニーズ・ブームです。特に隊長の脇坂教授は日本キリスト者医科連盟の大先輩で、ちょうど12月1日は日曜日、タンセン教会での礼拝でオルガンも奏楽していただきました。(68年12月)
久留米大学では創立40周年を記念し、またネパール政府の要請に応えて、1968年9月から12月にかけて、ネパールの中でも最も深刻な医療不足に悩まされている西部ネパールへ医学調査診療隊(隊員9、新聞記者1)を派遣した。毒蛇や猛獣、マラリア蚊の襲来にさらされ、時としては岩を砕き、道を拡げながら、医学調査診療隊は総重量3.5トンの荷物を人夫や騾馬で運び、5千人以上の患者を診療した。隊長の脇坂順一氏は調査診療の活動について、報告書の中で次のように総括している。
「要するにネパールでは都市に住む一部の人は医療を受けられるが、他の多くの人たちは病気になっても医療の恩恵を受けることができず、みすみす死んでいくのが現状である。そのためかネパールの平均寿命はわずか37歳。特に乳幼児の死亡率が高い。(シルガリ・ドーティで)さっそく診療を始めたが、日増しに患者の数が増え、3-4日かけて歩いてくるのはザラ、遠いのは1週間も山道を歩いてきた老婆もおり、しかもそのほとんどが生まれて初めて医者に診てもらうという人たちであった。朝8時から診療を始めたが、日が暮れてもまだ患者は外で順番を待っているという有様。遠方から病身をおしてせっかくやって来たのに翌日にまわすことは気の毒なので、たいてい夜の9時か10時ごろまでランプの下で診療を続けた。毎日が13-14時間の重労働で、宿舎に帰って夕食を済ませ就寝するのは12時ごろ。……このたびの西ネパールは日本や沖縄のどの無医村よりも、遥かに遥かに医療に飢えていただけに現地の人たちからは非常に感謝され、奉仕の喜びに心ゆくまでひたることができた。そして医師としての生き甲斐をしみじみと感じるとともに、医学の尊い使命というものを改めて考えさせられたことであった」(『ネパールの医療』 久留米大学、1973)
(つづく)


根拠に基づく腰痛の原因と治療 – 腰痛治療の新常識(15)

   長谷川淳史(TMSジャパン代表)
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■多くの研究者が腰痛に取り組んできたにもかかわらず、腰痛は依然として医学的・社会的大問題である。効果のない治療と見当違いの政策によりこの危機が雪だるま式に大きくなっている。「腰痛は20世紀の医学的大問題だったが、その遺産は21世紀も拡大している」 http://amzn.to/mdUzuP
……医療提供者は腰痛に関する患者の誤解を解くとともに、効果的な管理へ導かなければならない。「患者は生体力学的な視点から生体力学的な異常が見つかることを期待している。何らかの形で我々が患者にそのような考え方を教えてきたのである。患者にも再考を迫る必要がある」by David Shute。
見当違いの政策は今すぐどうこうなるものではありませんけど、効果のない治療法は明らかになってきているので即刻やめることができます。そろそろ21世紀の治療を始めませんか?
腰痛の原因は生体力学的な異常と考えている医療関係者がいる限り、患者の誤解を解くなど不可能です。まずは医療関係者の頭を変えなければなりません。常に情報のアップデートを心がけましょう。あっという間に浦島太郎になってしまいます。

■腰痛はアメリカでもっとも過剰診療が行われる疾患だが、それによって患者の治療成績や発症率が改善したようには思われない。http://1.usa.gov/lrANBd http://abcn.ws/cBnU4o
……アメリカだけではなく日本も同じなのはご存知のとおりです。画像検査はもちろんブロック注射や脊椎固定術の実施率が上昇しているにもかかわらず、腰痛疾患は増え続けています。
腰痛問題が解決しないのは、医療提供システムに欠陥があるからだといいます。画像検査、鎮痛処置、手術を受けさせた方が、過剰な恐怖心、不適切な疼痛行動といった心理社会的危険因子を取り除くより容易であり、しかも現行の健康保険制度は、慢性腰痛に役立つサービスを提供できる構造になっていません。
たとえ医療システムに構造的欠陥があったとしても、腰痛患者を減らすことはできます。オーストラリアをはじめとしたメディアキャンペーンがそれを立証しています。

■体系的レビューとメタ分析の結果、慢性腰痛は年齢・性別・体重・教育レベルの影響をまったく受けておらず、肉体労働・仕事の満足度・病欠などの影響も弱い。もっとも重要なリスクファクターは、心理学的・機能的領域と考えられる諸因子(イエローフラッグ)である。http://1.usa.gov/lr6fyx
……慢性腰痛の危険因子は目に見える身体ではなく、目に見えない心理社会的因子(イエローフラッグ)だと第一級のエビデンス(科学的根拠)が示しています。そろそろ腰痛に対する考え方を根本的に改めましょう。


【連載コラム】

“連動操体法”について、ちょっとばかり… (40)

       根本 良一(療動研究所主宰)


【 連動操体法の応用編 】
1.足首、腓腹部の異常(つづき)

1)足の異常 〜 アスリートのふくらはぎについて

腓腹筋の力は、アスリートの日常生活すべてに関わってくる。走る、ジャンプする、投げる、打つ、格闘技の突きや蹴りなど、すべて足・膝・腰・肩・腕・手と全身の筋をうまく連動させることの技術において、運動神経がいいとか、技が切れると言われる。
この基点となるのが、地面との接点に大役を担う腓腹筋、足底筋である。この部分を最上の状態にする連動操体法は、苦行ではなく、気持ちよくできる自療医学と言ってよい。ただし、この内腿部からの操作は「足関節を底屈させる」とき、足が攣(つ)れないように誘導の角度に注意する必要がある。
アスリートの足(腓腹部)はよく絞りこまれているが、中身はどうだろう? よく鍛えこまれた筋が十分機能を発揮できないときがある。この腓腹部は、歩くとき、走るとき、跳び上がる、ボールを投げる、打つなどの野球、テニス、ゴルフなどいろいろなケースにおいて、地面または床面から全身に力(エネルギー)を伝える伝動器官である。
指でつまんでみて、コリコリしてイターイ、これは筋本来の姿ではない。休んでいる筋はゴムのように、他方、緊張すれば鋼のようになるのが通常であり、休んでいるときに硬いのは筋が虚の状態といえる。ややもすると足首を傷めたりする。アキレス腱、足底筋もそういえる。さらに膝痛も近づいてくる。よくマッサージしたりストレッチするのも良いことだが、実は内腿部に緊張があり、殿部・仙腸関節部の梨状筋を硬くし、坐骨神経を刺激する。そうするとその一部である脛骨神経が、ふくらはぎ、足底筋へ影響する。このときの腓腹部への操体法を簡単に紹介する。
この操体法は、足首を底屈させること、肩をまわす補助動作を加味するが、これには足を攣らせない工夫が要る。
足首を底屈し、腓腹部をまっすぐに張らせるとますます硬くなる。そこで連動関係をみる圧診の応用で、まっすぐに緊張する腱を横下へ押さえ、直線状ではなく屈曲させると筋に力が入らない(腓腹部が硬くならない)。このようにして腓腹部を整え、足の踏ん張りが強くなると、アスリートは大きな力を発揮できるようになる。

(つづく)


*** N *** E *** W *** S ***


NEWS ■熱中症、昨夏40万人。高齢者45%、重症化の傾向


医療機関で昨夏、熱中症の治療を受けた人が全国で40万7948人にのぼることが、患者の診療報酬明細書情報から分かった。5万8729人だった救急搬送者ばかりでなく、自力で来院した患者も含め、ほぼ全医療機関で受診者を網羅している。全国的な熱中症患者の規模が明らかになったのは初めて。
厚生労働省が管理する診療報酬明細書データを研究目的に提供を受けた三宅康史・昭和大病院救命救急センター長が、2010年〜13年の6〜9月の熱射病や熱性失神など熱中症に関連する計10疾患について集計した。家族や職場、学校関係者に連れられた来院者も含まれ、2回目の受診や医療機関に到着時に死亡していた人数を除いてまとめた。(朝日新聞 7/24)


NEWS ■喫煙者率、初めて2割切る…消費増税で拍車か


たばこの喫煙者率が1965年の調査開始以来、初めて20%を割り込んだ。4月の消費税増税に伴う値上げが、たばこ離れに拍車をかけたとみられる。日本たばこ産業(JT)が7月30日、喫煙者率の調査結果を発表した。
調査によると、成人全体の喫煙者率は前年比1.2ポイント減の19.7%で、96年から19年連続で減った。男性は30.3%で、女性は9.8%だった。女性は初めて10%を割り込んだ。
国内では、健康意識の高まりなどで喫煙者の減少傾向が続いている。喫煙者率に基づく喫煙人口の推計は、前年比136万人減の2059万人。喫煙者率のピークは66年の49.4%で、男性は83.7%、女性は18.0%だった。調査は今年5月に約3万2000人を対象に行い、1万9420人から回答を得た。(読売新聞 7/30)


NEWS ■「無資格」マッサージ、相次ぐ被害相談


厚生労働省は、消費者庁から約1000件の被害相談の情報提供を受け、被害を与えた疑いのある無資格の約330店舗を特定した。ただ被害の実態把握が難しく、今後、消費者庁や自治体と連携し、被害相談を受けて速やかに保健所が調査に乗り出す体制を整えたい考えだ。
「全身マッサージを受け、肋骨を骨折した」「歩行困難になった」。独立行政法人・国民生活センターには、そんな相談が寄せられている。
2013年度の相談は金銭トラブルなども含めて1304件に上り、07年度に比べてほぼ倍増した。健康被害の訴えも、13年度は07年度の倍の232件あり、骨折や脱臼・捻挫のほか、脊髄損傷などもあった。(読売新聞 7/31)


NEWS ■「説明できぬ」戸惑う教員も…危険ドラッグ


幻覚作用などがある「危険ドラッグ(脱法ドラッグ)」の使用による事件や事故が後を絶たず、若者にその危険性を伝える教育が重視されている。しかし、教員の3割が危険性を「はっきりと説明できない」と回答するなど、教育現場の取り組みは遅れがち。関係機関との連携が求められている。
東京都足立区では、2年前からドラッグの危険性を伝える劇をつくり、希望する小・中学校で上演している。未就学児から中学生が自分を守る力を身に付けるための取り組み「子どもの安全安心プロジェクト」の一環。本部が米国にある民間団体の日本支部、日本薬物対策協会と協力し、プロの劇団「現代劇センター真夏座」が台本をつくった。
劇のストーリーは、危険ドラッグにはまる大学生を描いた。入学したばかりの大学生らが「捕まらないから」と好奇心で脱法ハーブを吸う。はじめは「依存性はないと思う」「すごい冒険だった」とはしゃぐが、そのうち1人が救急搬送。それでもやめず、次第に覚せい剤などにも手を出し、大学を中退したり、薬物の売人になったりして人生が崩壊していった。
日本薬物対策協会は昨年3月〜今年2月、首都圏などの小中高校の教員781人に意識調査した。その結果、危険ドラッグ(調査時は脱法ドラッグ)の有害性について「はっきりと(児童・生徒に)説明できない」と回答したのは29.3%に上り、「明確に説明できる」と答えたのはわずか7.2%だった。また、危険ドラッグについて「研修や講習を受けたことがある」教員は12%。また、7%は「覚せい剤や大麻ほど有害だとは思わない」と答えた。
さらに同協会が昨年、首都圏の中高生を対象に実施した意識調査では、危険ドラッグ(調査時は脱法ハーブ)を使用するかどうかは「個人の問題で判断は自由」と回答したのが11%。「法律に反していないなら悪いとは言えない」と答えたのは5.11%で、危険性の認識の低さが浮き彫りになっている。(中日新聞 8/4 一部)


NEWS ■うそつき、脳で分かる?=活動領域で解明-京大


脳の活動領域から正直者とうそつきの違いが分かったと、京都大の阿部修士特定准教授らの研究グループが発表した。報酬を期待する際に働く「側坐核」という領域の活動が活発な人ほど、うそをつく割合が高かったという。論文は7日、米科学誌ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス(電子版)に掲載される。
研究グループは20〜30代の学生ら約30人を対象に、2種類の実験で脳活動を測定した。第1の実験は表示される画像に従ってボタンをうまく押せば、お金がもらえる仕組み。報酬への期待が大きい人は、側坐核の活動が活発だった。第2の実験ではコインの表裏を予測。正解するとお金がもらえるが、不正解だと失う。結果を予測してあらかじめ申告しておく場合と、心の中で予測するだけで当たったかどうかは自己申告に委ねる場合の2条件で試した。申告しない場合の正答率が不自然に高ければ、お金を得るためうそをついたと見なされる。
この結果、第1の実験で側坐核の活動が活発な人ほど、第2の実験でうそをつく割合が高かった。第1実験で側坐核が活発だったのに、うそをつかなかった人は、理性的な判断や行動をつかさどる脳の領域「背外側前頭前野」がよく活動していた。阿部特定准教授は「食べ物や異性など、お金以外の欲に関しても同様の結果が出るか、研究を進めたい」と話している。(時事通信 8/6)


NEWS ■出生前診断の倫理的課題、病院側の説明不十分…厚労省


約20年前に国内で導入された出生前診断について、「命の選別」につながりかねないという指摘があることなど倫理的な課題を説明している医療機関は約4割だったとする調査結果を厚生労働省研究班がまとめた。出生前診断は事前の説明が欠かせないが、不十分なまま広がっていると研究班はみている。
出生前診断には、妊婦の血液を調べて胎児にダウン症が出る確率を示す「母体血清マーカー」や、羊水から胎児の異常の有無を確定する「羊水検査」があり、それぞれ1990年代、60年代に始まった。両検査とも年間約2万人が受けているとされるが、実態はわかっていなかった。
研究班は、両検査の実施状況などを尋ねる調査票を日本産婦人科医会に所属する5622施設へ昨秋送り、41%の2295施設から回答があった。2295施設のうち、血清マーカーを実施していたのは38%の864施設、羊水検査は27%の619施設だった。(朝日新聞 8/7)


NEWS ■エステ脱毛で健康被害相次ぐ…機器などでやけど


エステ利用後に健康被害を訴える人が相次いでいることが8月6日、医師を対象に厚生労働省研究班が実施した調査で分かった。医師の回答によると、患者324人の41%が脱毛の施術を受けていた。自由記述では「脱毛効果を出そうと必要以上のエネルギーで機器を使用している」との指摘もあった。
研究代表者の関東裕美・東邦大教授(皮膚科学)は、エステで使われる光脱毛の機器の不適切な使用でやけどをするケースが多いと指摘し、「事業者は安全管理を徹底すべきだ」と話した。(共同通信 8/7)


NEWS■来院患者「氷山の一角」=エボラ熱感染者


国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」が西アフリカ・シエラレオネで行う緊急援助活動に従事した看護師の吉田照美さんは、このほど時事通信のインタビューに応じ、エボラ熱感染者が急増する現状を語った。
吉田さんは6月中旬から約1カ月間、約40人が入院するエボラ熱専門の治療施設で活動した。感染が疑われる患者は隔離された「要注意区域」で治療を受け、出入りするスタッフには重厚な防護服の着用が義務付けられる。煩雑な感染予防作業に膨大な時間が奪われる中、人員不足を身をもって感じたという。
「地域住民の誤解を解くのが難しかった」と吉田さん。これまでに経験したことのない感染症の大発生で、エボラ熱を「呪いの類だと考える人もいた」。混乱した一部の住民の間では「MSFがエボラ熱を拡散させている」「患者の臓器を取り出して売るつもりだ」などと根も葉もないうわさが広まった。石を投げられ、MSFの救急車の窓ガラスが割られる事件も起きた。葬式の際に遺体を洗浄する地元の風習も、患者の血液や唾液、汗などを介して感染するエボラ熱の感染拡大の大きな要因となった。
住民同士のつながりが強い地域では感染を隠す傾向が強く、「施設に来る人は氷山の一角」とみている。病気に対する正しい知識を持ってもらうと同時にMSFに対する理解を深めるため、見舞いに来る患者の家族に施設内を見てもらう試みも行った。「現地の文化を尊重しつつ、敬意を持って根気強い啓発活動を行うことが大事」と表情を引き締めた。(時事通信 8/7)


NEWS ■介護受給者、6年連続で過去最高を更新。566万人超


昨年度に介護サービスか介護予防サービスを1回以上受けた人は、前年度比22万9900人増の566万500人となり、過去最高を記録したことが、厚生労働省の「2013年度介護給付費実態調査」の結果で分かった。受給者数が過去最高を更新するのは6年連続。
介護サービスの受給者は455万3600人(前年度比16万8400人増)。このうち居宅サービスは345万7600人(14万7300人増)、施設サービスは119万500人(1万8900人増)、地域密着型サービスは46万8600人(2万8700人増)、居宅介護支援は315万3100人(12万400人増)だった。
居宅サービスのうち、受給者数が最も多かったのは福祉用具貸与の191万7900人(11万2000人増)。以下は通所介護の174万7500人(10万1100人増)、訪問介護が139万1900人(3万9900人増)、短期入所生活介護69万1700人(2万200人増)などの順となった。
施設サービスの受給者数では、介護福祉施設サービス(特別養護老人ホーム)が60万2700人(1万5800人増)、介護保健施設サービス(介護老人保健施設)が52万9300人(8700人増)と増えた一方、介護療養施設サービス(介護療養型医療施設)は11万1500人(7900人減)となった。
地域密着型サービスでは、短期利用を除く認知症対応型共同生活介護の21万9600人(6800人増)、小規模多機能型居宅介護の10万2300人(8600人増)などが多かった。
介護予防サービスの受給者は143万400人(8万8400人増)だった。
また受給者1人あたりの費用額を都道府県別に見ると、もっとも高かったのは沖縄の21万1900円だった。以下は石川(20万5300円)、鳥取(20万5000円)と続いた。最低は福島(18万300円)だった。(医療介護CBニュース 8/8)


■次号のメールマガジンは9月1日ごろです。お楽しみに。


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