エンタプライズ発信〜メールマガジン【№34】2014. 2
1週間前は3月末を思わせる温暖な気候で心も体も和みましたが、2月8日未明からの降雪は昨年2月14日の首都圏交通マヒの再現になりそうです。昨年のそれは8㎝の積雪でしたが、首都混乱の余波は3日ほど続きました。今回は1998年1月の首都圏“豪雪”15㎝の積雪記録を凌駕するのではないかと危惧されています。やや救われるのは土・日をまたいでいること。積雪量と気温しだいでは、週明けは通勤通学や移動に手こずることも予想されます。一時の暖かさから急激な冷え込みで、急増しているインフルエンザ禍に拍車がかかっています。この寒さゆえエアコン温度は20-22℃に設定され、湿度は乾燥し20-30%の部屋環境になるとインフルエンザウイルスにとっては好都合となります。設定温度はもっと低い方がいいですがそれは無理としても、せめて湿度は加湿器などを用いて50%程度に保つようにすることが予防につながります。立春過ぎても風雪変わらず、ご健勝にて過ごしてください。
★☆★━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━━━★☆★
【1】カイロプラクティックの安全性に関するガイドライン
【2】“こころ” と “からだ”……臨床にモノ思う。
【3】伝統医学をシルクロードに求めて
【4】根拠に基づく腰痛の原因と治療 《腰痛治療の新常識》
【5】“連動操体法”について、ちょっとばかり…
【6】N・E・W・S
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【TOPIC】◆第10回統合医療展 2/19-20開催◆
今回10回目の開催を迎えるIMEC2014 / 統合医療展が「抗加齢(アンチエイジング)」「高齢者福祉・介護予防」をテーマとして開催される。伝統医学、東洋医学(予防医療・補完療法・未病対策)、サプリメントのほか、本メールマガジンで連載した「BodyTalk」のワークショップも開催される。
・日 時 2月19日(水)・20日(木) 10:00-17:00
・会 場 東京ビッグサイト 西4ホール(東京都江東区有明)
・入場料 3,000円 ※招待券持参者、来場事前登録者は無料
【お問い合わせ】http://www.togo-iryo.jp/index.php
■ 連載 2
カイロプラクティックの安全性に関するガイドライン
〜 Chiropractic Guideline-Safety 〜
<一般社団法人日本カイロプラクターズ協会>
ガイドラインの背景
1)「なに」がカイロプラクティックか
歴史的には古くから脊椎の手技療法が行われてきたが、19世紀後半に米国のD.D.パーマーによって学問として体系化されたのがカイロプラクティックである。いまやカイロプラクティックは44の国と地域で法制化されている。1988年に設立された世界カイロプラクティック連合(World Federation of Chiropractic:WFC)は、1997年に世界保健機関(WHO)の 非政府組織に加盟している。WHOではカイロプラクティックは補完代替医療に位置づけられ、2005年には「カイロプラクティックの基礎教育と安全性に関するWHOガイドライン」が発行され、それは10カ国語以上に翻訳されており、もはやカイロプラクティックは世界的に認知されたヘルスケアと言える。
このような世界的な趨勢を踏まえれば、WHOが提示したカイロプラクティックの定義、すなわち「神経筋骨格系の障害とそれが及ぼす健康全般への影響を診断、治療、予防する専門職であり、関節アジャストメントおよび(もしくは)マニピュレーションを含む徒手治療を特徴とし、特にサブラクセーションに注目する」という定義をわが国でも採用することが望ましいと思われる。したがって本ガイドラインでは、カイロプラクティックの定義をWHOによる定義に準拠することとした。
2)「だれ」がカイロプラクターか
前述のように、利用者が安全で信頼できるカイロプラクティック・ケアを受けられる環境をわが国でも整備する必要がある。そのため本ガイドラインでは、WHOガイドラインが提示したカイロプラクティック教育基準と内容を修了した者をWHO基準カイロプラクターと定義し、それに満たない教育背景の者をカイロプラクティック類似施術者と呼ぶ、という立場をとる。あえてその立場を明確にしたのは、わが国ではカイロプラクティックが法制化されていないため勝手にカイロプラクティックの看板を掲げて施術することができるという、利用者の健康が脅かされている現状から脱却する必要があると考えるからである。WHO基準カイロプラクターの詳細については後述する。
3)カイロプラクティックと整体の違い
カイロプラクティックはしばしば整体と同一視されることがある。ここではあえて、両者は異なる療法であることを明示しておきたい。両者はともに脊椎など骨格を手技的に操作するという点では一致していると思われるが、定義と教育基準が明確なカイロプラクティックとは異なり、整体には学問としてそれを説明できる明確で統一的な見解が歴史的背景上も概念的にもいまだに見出すことができない。また、個人や団体レベルで行われている整体の教育はそれぞれの独自の「整体観」に基づいた内容である。
以上から、カイロプラクティックと整体とは異なる療法であり、本ガイドラインは整体もしくは整体師を名乗る施術者に対する指針ではないことを明記しておく。(以下次号へ続く)
★連載エッセイ ②☆
“こころ” と “からだ”……臨床にモノ思う
保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)
「考えるだけで家電操作」と「イメージだけで検査治療」
以前、日経新聞に「考えるだけで家電操作」という見出しで記事が紹介されていた。考えるだけで家電を操作したり車いすを動かしたりできる“賢い住宅”が開発されており、住んでいる人の頭部にセンサーを取り付けて脳波の変化をコンピューターに送信し指令を出す仕組み。2020年前後の実用化を目指すという。
数年前から脳波を読み取って機械を動かす技術研究は進化してきている。このような技術を日常生活で使うことが十数年後には当たり前になっているかもしれない。そうして考えると、ファミリーカイロで行っている「イメージしながら検査」、「イメージしながら治療」という治療法(心身条件反射療法=ニューロパターンセラピー)もそのうちに「不思議な治療」から「当たり前の治療」へと変化してくるかもしれない。
治療した後は良くなるけれども家に戻ると症状がぶり返す、あるいは職場に行くと症状がぶり返すという「ぶり返すパターン」を調べる際に、心身条件反射療法(ニューロパターンセラピー)ではどの場面で症状がぶり返しているのか検査を行う。脳は緊張するパターンを学習記憶しているので、その場面をイメージしてもらうと「反応」を示す。
その場合、その場面での身体の誤作動状態を引き出したまま治療することが必要になるので、患者さんにはしばらくその場面をイメージしてもらったままで治療を施す。身体に学習記憶された誤作動のパターンは視覚的な場面だけでなく、動作や姿勢にも関係していることがあるからである。
このようにイメージしながら検査、治療するということは、機械的に考えると不思議に思えるかもしれない。しかし、脳(心)と身体は密接に関係しあっているので、あえて言えば、イメージしながら治療するということが本質的な症状の改善につながることになる。
最近、患者さんから、症状に結びついている可能性がある季節のパターンや周期的なサイクルのパターン検査を求められることが増えてきた。このように積極的に症状のパターンがどこからきているのかを探すことは、症状を改善するうえでとても大切なことにつながる。
一般的に「身体の問題は構造的な問題」という身体を部品としてみる機械的な考え方が、多くの人達に染みついている。しかし、本質的な原因はその奥にある「無意識のパターンや習慣」にあることが多いと思われる。それゆえ、もしかすると○○のパターンが影響しているかもしれない、という視点を臨床家が持つことが臨床でのアプローチを広げることになる。
《 連載16 》
伝統医学をシルクロードに求めて
池上正治(作家・翻訳家)
英国人の見たチベット医学
1957年8月、英国のジャーナリスト、A・ウィニントンがチベットを旅行している。ラサにある人民病院には、どんな治療も無料ということで、農民や牧民をはじめ僧侶や貴族までも長い列をつくって並んでいたという。ウィニントンは「厳密に言えば本来ラマ教徒は現代医学の世話などになってはならないはずである」。なぜなら「ラマ教には—古来からの漢方医学、薬草学、宗教、それに占星術を組み合わせたところの—独自の医療体系があるのである。チベットの医者—すべて僧侶だが—は金持ちに対してはその効験を実験済みの薬草から選び出した完全で最善な胃腸薬、それと同時に、いずれかの大ラマの排泄物を混ぜた丸薬を与える。これらはすべて占星術学上縁起のよい吉日を選んで服用されなければならない。貧乏人は、かつては医者にかかることはできなかった。恵まれた者は、病気になると僧侶にお布施を出して祈禱をしてもらった」からであるとしている。
ソンツェン・ガムポの妃となった文成公主などが伝え、ボン教の魔術やラマ教の教義と融合したチベット医学が、現代医学と共存していることを、ウィニントンはレポートしている。
ある日の大半を費やして、チベット医学の指導的地位にある老僧チンロブ・ノボが、チベット医学の理論と実際についてウィニントンに説明してくれた。チンロブはダライ・ラマの侍医でもあった。それを要約すると次のようである。
――動物たると植物たるとを問わず、生きているものすべては五つの元素(金・木・水・火・土の順序)から成り立ち、それぞれの元素はその次の順位のものよりも強力である。そのわけは、例えばある人が火を欠いているとすれば、火は水を思うとおりに駆使することができなくなる、という具合である。一般に老人になると、火気に乏しくなりがちである。金気を欠くと人間は短命、虚弱になり、腰が曲がったり、甲状腺が肥大したりする。しかし、火は山の陽当たりのよい所に生える薬草で補給できる。
――診断は、人間が母親の胎内にいる期間と考えられている38週間における、患者の状態を検討することから始まる。このときにも占星術の役割は大きい。診断には、脈拍、眼、耳、舌、顔色、排泄物の6項目がある。どういう祈禱を唱えるべきか、どういう処方を行うべきかは、そのすべてが医者の経典に対する知識如何である。
――薬は、満月の夜を選んで調剤されなければならない。なぜなら、そのとき患者の健康もまた良くなるからである。だが、もしそれ以外のときに調剤する必要が生じた場合には、チベット暦から見て吉日を選ばなければならない。星まわりの良くないときに診察、処方、調合、あるいは投薬などをしてみたところで、その効果はない。チベットでは避妊は違法であり、犀の角は肺病の特効薬であり、また多年にわたり梅毒の治療には水銀が用いられてきた。原始林に広く生育しているタツーラという木の根から作られる麻酔剤は2千年の歴史をもっている。(次号につづく)
根拠に基づく腰痛の原因と治療 – 腰痛治療の新常識(8)
長谷川淳史(TMSジャパン代表)
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【患者への情報】のつづき
(7) 急性腰痛患者は、長時間座り続けたり、重い物を持ち上げたり、物を持ち上げる際に腰を曲げたり捻ったりなど、脊柱に構造的負担がかかる特別な活動を一時的に制限したり避けたりることで楽に過ごせる可能性がある(確証度D)。……こんなことはいちいち勧告されなくても体験者はよく知っていることですね。
(8) 急性腰痛患者の活動量や作業内容の変更を検討する際、年齢と全般的な健康状態、仕事で要求されるだけの体力があるかどうかを考慮する必要がある(確証度D)。……この当時は確証度Dでしたが、現在では腰痛疾患の治療と予防には職場の協力が不可欠とされています。医学的介入だけで腰痛問題を解決しようとするのは医療関係者の奢りといえるでしょう。
【薬物療法】
(1) アセトアミノフェンは安全性が高く急性腰痛患者の治療に許容できる(確証度C)。
(2) アスピリンを含むNSAID(非ステロイド系抗炎症薬)は急性腰痛患者の治療に推奨できる(確証度B)。……要するに市販の鎮痛剤を用いても良いという勧告ですが、これで急性腰痛(ぎっくり腰)を治してしまおうというのではなく、もし痛みが和らいだらその間に普段の生活に近づけるよう努めることが大切です。普段どおりの生活をすることが腰痛の特効薬なのですから。
(3) NSAIDには主に胃腸障害の副作用があるため、使用にあたっては既往歴・副作用・費用対効果などを考慮する必要がある(確証度C)。
(4) フェニルブタゾンには骨髄抑制(再生不良性貧血など)のリスクがあるため推奨できない(確証度C)。……胃潰瘍の既往歴のある人はNSAIDに注意してください。フェニルブタゾンが日本で使われることはほとんどありません。
(5) 筋弛緩剤は急性腰痛の治療において選択肢のひとつになる。ただし、プラシーボより有効だろうがNSAIDを上回る有効性は示されていない(確証度C)。
(6) 筋弛緩剤とNSAIDを併用してもNSAID単独より有効とはいえない(確証度C)。……この当時(1994年)は評価が低かったようですけど、その後RCT(ランダム化比較試験)が増えたため、最新のガイドラインでは発症後4週間以内の急性腰痛に筋弛緩剤を推奨しています。
(7) 筋弛緩剤は患者の30%に眠気やめまいなどの副作用が現れるため、筋弛緩剤を選択肢のひとつとして使用する場合は、他の薬物療法で生じ得る副作用のリスクを考慮して処方すべきである(確証度C)。……そもそも筋肉のこわばり(筋拘縮:筋性腰痛症・筋筋膜性腰痛)が腰痛の原因だという概念にコンセンサスはありません。
(次号につづく)
【連載コラム】
“連動操体法”について、ちょっとばかり… (34)
根本 良一(療動研究所主宰)
肋椎関節運動軸を動かすのは、1)肩を動かす、2)腕を動かす、3)大きく胸を広げる:胸式呼吸をする、などである。いろいろ動かしてみて、胸部、腹部の筋がコリコリから少し柔らかくなってくる。この辺に手がかりがあれば、といろいろと動かしてみた。
① 2)の腕を動かすでは、その張力が目的の肋椎関節運動軸を広げる角度を選ぶので、肩→腕の角度を選ぶ。
②腕の角度が適合すると、肋骨間を指頭でなぞるとき、肋間神経の昂進が鎮まり、ピリピリ痛かったのが解消する。
③そして下の方なら硬くコリコリしている外腹斜筋が軟らかになる。
こうした過程で、外腹斜筋各部、腹直筋を胸部の異常、外腹斜筋各部、腹直筋の緊張を解消することができた。
④さらに外腹斜筋から影響される腰、肩の障害、腹直筋から影響される頚部の異常を解消できる。
姿勢が悪くなるときに、正しい姿勢を維持し、身体に歪みを起こさせない。
以上のように、この外腹斜筋各部、腹直筋の操作は重要な連動操体法の1つとなった。
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8.腕の動きから 〜背部から胸部・腹部への連動
肋間神経がピリピリするのは、腰の緊張、背中の肋椎関節運動軸周辺の緊張により引き起こされる障害であることから、その誘引となる大腰筋の操作と内腿部の操作、および逆側の内腿の操作に注目しなければならない。
操作にあたっては、まず背中をゆるめる操作である次に示す肋間神経経由の操体法を行なう。それでもなお不十分なときは、上に示した同側の内腿部の操作および逆側の内腿の操作、大腰筋の操作を行う。
心臓、血圧に異常はないが胸が圧迫されて苦しい、痛い、動悸・息切れがするというようなときは胸部の筋が緊張している。そのため胸郭が広がらず、少ない空気量(少ない酸素量)で呼吸をするから、呼吸回数が増えて息切れし、同時に酸素の薄い血液だから多量に必要なため心拍数が増え動悸がするということになる。
胸部中央(胸骨上)がツンツン突かれるような刺激で咳が止まらないのも、背部の緊張が関連している。胸部において押さえて痛いところ、あるいは異常感覚のあるところはそれぞれの胸髄神経系に対応しており、胸部の異常に対応する背骨の後部(肋椎関節運動軸周辺)の緊張を解消すれば、胸が楽になってくる。(次号につづく)
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NEWS ■食べる量やカロリーよりBMIで体格に合わせ新基準
1日にとるべき食事の量を定めている食事摂取基準が大きく変わる。厚生労働省は2月3日、朝昼晩で計2000キロカロリーなどとエネルギー量を決めていたのを改め、身長と体重から算出するBMIの目標を示し、それを維持できる量を薦める方針を決めた。個人による体格の違いを反映させ、生活習慣病の予防につなげる目的だ。
目標とするBMIは18歳〜49歳で18.5〜24.9と設定。50代以上は下限を上げる。国内外の論文をもとに総死亡率が低い範囲などを検討、年齢が高いほど栄養状態が悪い人の割合が増えることを踏まえた。
これまでは30、40代で運動量が中くらいの女性は1日2000キロカロリー、18〜49歳の同様の男性は2650キロカロリーが必要量とされていたが、高身長の女性や小柄な男性などには対応できなかった。生活習慣病の改善や重症化予防では、体重の減少が推奨されており、病気の可能性がある人にも使える基準にする。このほか、食塩の1日の目標量を厳格化。15歳以上の男性は8グラム(現在は9グラム)、女性7グラム(同7.5グラム)とする。
新たな基準は2015年度から、全国の事業所の社員食堂や保育所などの食事に活用される。(朝日新聞 2/5)
NEWS ■がん患者数、2030年までに1.5倍に—国連報告
国連(UN)は、2012年に世界で1400万人だったがん患者数が、2030年までに1.5倍増え、2160万人に達するとの予測を発表した。その間、がんにより死亡する人は年間820万人から1300万人に増えるという。
世界保健機関(WHO)の付属機関である国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer:IARC)がまとめた報告書は、2030年までに世界人口は増えるとともに高齢化し、またリスクの高い生活習慣を持つ人が増えると述べている。がんは2011年に心疾患を抜いて、世界の死因の第1位となっている。
死亡する患者が最も多いがんの種類は肺がんで、全体の19.4%を占め、次いで肝がん9.1%、胃がん8.8%となっている。中でも報告書は、たばこの売上増を目指す企業の戦略と肺がんの増加には「密接なつながり」があると改めて指摘している
「世界がん報告書(World Cancer Report)」によると、がんの発症には地域差がある。世界全体の患者数の60%以上、死亡例の70%以上はアフリカ、アジア、中南米で報告されている一方で、人口比を考慮すると、北米や西欧、日本や韓国、オーストラリアやニュージーランドといった高所得国で罹患率が高い。
2012年にがんと診断された新たな患者数は、全世界でアジアが半数近くを占め、その大半は中国だった。次いで欧州が25%、北中南米が20%、アフリカ・中東が8%強。しかし死亡した患者では、アジアが50%以上と突出し、欧州21.4%、北中南米16%、アフリカ・中東が約10%だった。(時事通信社 2/4)
NEWS ■世界がんデー:EUのがん対策についての10の事実
EUは1987年にがん対策11か条を開発しており2014年に第4版を発表予定。その内容は…
・喫煙しない
・肥満にならない
・毎日運動する
・いろいろな野菜や果物を食べる量を増やす
・お酒は制限する
・日光に当たりすぎない
・既知の発がん物質への暴露は避ける
・25才以上の女性の子宮頸がんスクリーニング
・50才以上の女性の乳がんスクリーニング
・50才以上の男女の大腸がんスクリーニング
・全ての人のB型肝炎ウイルスワクチン接種
(食品安全情報blog 2/14)
NEWS ■歩行中の携帯メールは危険—オーストラリア
歩行中の携帯メールは危険であることを示すエビデンスがまた提示された。報告によると、歩行と携帯メールを同時に行うことは、姿勢やバランスに影響し、歩行や方向転換が遅くなるという。研究を行ったオーストラリア、クイーンズランド大学のSiobhan Schabrun 氏は、「携帯メールを打ちながら歩くことは安全性に影響する可能性がある」と述べている。
Schabrun 氏らは26人の被験者に、①携帯なし、②携帯メールを読みながら、③携帯メッセージを打ちながら――の3つのパターンでまっすぐに歩いてもらった。その結果、メールを打ちながら、あるいはメールを読みながら歩くと、歩行時の体の動きに変化がみられた。メールを打っているときは、携帯なしのとき、あるいはメールを読んでいるときより歩行速度は遅く、方向転換が多く、首の動きが少なかった。
Schabrun 氏らは、「メールを打っているときとメールを読んでいるときは、バランスをとるのが難しいのか、頭部の動きに影響がみられた。携帯でメールを打ったり読んだりしながら歩くのは、歩行者が道路を渡るときや、障害物を避ける際に危険を生じる可能性がある」と指摘している。(オンライン医学誌「PloS One」1/21)
NEWS ■近親者を亡くした子どもに精神病リスク増大
家族の死を経験した子どもは、のちに統合失調症などの精神疾患になるリスクがやや高いことが、英マンチェスター大学女性精神保健センター教授のKathryn Abel氏らの大規模研究で示された。知見によると、親や兄弟姉妹が自殺した子どもは特にリスクが高いという。
今回の研究では、1973年から1985年に出生した約94万7,000人の小児データを分析。このうち33%が13歳までに家族の死を経験していた。家族が自殺した小児は1万1,000人強、事故死は1万5,000人強、自然死は28万人強だった。小児期に家族の死亡を経験した子どものうち、0.4%が統合失調症などの非情動性(感情や気分に関連しない)の精神病を発症した。さらに0.17%が双極性障害、精神病性うつ病などのいわゆる情動精神病を発症したという。
全体として、小児期に家族の死を経験した人には精神病リスクの増大がみられ、小児期の早い段階で経験するほどリスクが高かった。出生から3歳までに家族の死を経験した群では最も高いリスクがみられた。このリスク増大は小さいが有意であると、研究グループは述べている。死亡の種類別にみると、近親者が自殺した群では最も精神病リスクが高く、次いで事故死、自然死と続いた。(BMJオンライン版 1/21)
NEWS ■20代男性、草食化? 40%「性交渉なし」
20代男性の42%が「異性と性交渉を持った経験がない」としたインターネットのアンケート結果を、性教育や不妊相談を手掛けている民間の日本家族計画協会が1月20日、発表した。20代女性で「ない」と回答した21%の2倍で、北村邦夫専務理事は「男性の草食化が話題になる中、20代の男女差は顕著で驚いた」と話している。
昨年12月、全国の20〜69歳の男女約10万人に電子メールで依頼し、回答した5千人を集計の対象にした。
「性交渉の経験がない」とした回答は30代男性で10%、30代女性で7%と差は縮まり、それより上の年代も男女差はあまりなかった。
このほか最近1カ月間に性交渉がなかったセックスレスの割合は、男性が31%、女性が34%だった。理由で最も多かったのは、男性は「相手がいない」(28%)、女性は「面倒くさい」(25%)だった。既婚者では「面倒くさい」との回答が男女とも最多で、北村さんは「少子化の一因ではないか」と分析している。(共同通信社 1/21)
NEWS ■肥満対策—世界で広がる高カロリー食、課税や禁止
新興国や発展途上国の経済成長などに伴い肥満が世界的に深刻な問題となる中、関連が指摘される飲食物への課税や、肥満につながる成分の使用禁止を目指す動きが各国に広がっている。世界有数の「肥満大国」といわれるメキシコでは昨年10月、糖分を含む清涼飲料水や、ファストフードなど高カロリー食品への課税案が議会で可決された。今年1月1日から、食品は価格の8%、飲料は1リットル当たり1ペソ(約8円)の税がそれぞれ課される。
メキシコは成人に占める肥満者の割合が32.8%で、もう1つの肥満大国、米国の31.8%より高い。米食品医薬品局(FDA)も昨年11月、肥満との関連が指摘されるトランス脂肪酸を段階的に禁止する方針を表明した。ハンガリーでは2011年、スナック菓子や清涼飲料水など塩分や糖分が高い食品に課税する通称「ポテトチップス税」を導入。フランスは糖分入り清涼飲料水への課税を導入している。WHOによると、肥満は年々、中低所得国を中心に拡大。世界の成人の約10%が肥満という。ただ、特定の飲食物への課税にはメーカーから異論が出ているほか、食料価格上昇を招く懸念もある。(共同通信 1.12 一部改変)
NEWS■禁煙で白内障リスクが低下
禁煙すると、白内障の発症リスクを低減できることを、スウェーデン、エレブルー大学病院のBirgitta Ejdervik Lindblad氏らが示した。
白内障は、眼の水晶体に徐々に濁りが生じる疾患であり、視覚障害の主要な原因となっている。今回、Lindblad氏らは、1日に15本以上喫煙する中年男性では、禁煙によって20年間で白内障リスクを低減できることを明らかにした。
今回の研究は、45〜79歳のスウェーデン人男性が対象。Lindblad氏らは12年間にわたり5,700例を超える白内障手術の症例と禁煙との関連を調べた。
その結果、1日に15本を超える喫煙者は、喫煙経験のない人に比べ、白内障手術を受けるリスクが42%高かった。しかし、そのリスクは禁煙後の時間経過とともに低下し、禁煙後20年以上経過すると、喫煙経験のない人に比べ21%高いというレベルにとどまったという。
Lindblad氏らは、「禁煙すれば白内障リスクを低減できると考えられるが、喫煙経験者のリスクは数十年間持続する。喫煙は他の眼疾患にも関連しているため、禁煙を促進する戦略は重要であり、アイケアの専門家は禁煙を奨励すべきである」と結論付けている。(JAMA Ophthalmologyオンライン版 1/2)
NEWS ■不眠症への行動療法—-夜間頻尿を軽減できるか
不眠症に対する行動療法は夜間頻尿の軽減につながる可能性が示唆された。米国・ピッツバーグ大学のShachi Tyagi氏らが、不眠症と夜間頻尿を併発している60歳以上の地域住民を対象に、行動療法を行った場合と情報提供のみを行った場合を比較検討した結果を報告した。
研究グループは、慢性不眠症を呈する60歳以上の地域住民において、行動療法が夜間頻尿に及ぼす影響を評価することを目的に、睡眠への行動介入の無作為化対照試験の二次解析を行った。対象は、大学病院で登録された79例のうち、不眠症があり夜間に1回以上トイレに起きる30例であった。介入はNurse clinicianにより、簡易行動療法(BBTI)または情報提供 (IC)が行われた。BBTI群(14例)では「ベッドにいる時間を少なくする」「規則正しい睡眠スケジュールを立てる」などの指導が行われた。IC群(16例)では印刷物が手渡された。ベースライン時と介入開始4週間後に、自己報告の毎晩(14日間)の夜間覚醒について評価した。ベースライン時に夜間トイレのために少なくとも1回起きた者を解析対象とした。主な結果は以下のとおり。
・ベースライン時に夜間頻尿を示した患者において、14日間の夜間覚醒の回数は、BBTI群で6.5±4.8回の減少が、IC群では1.3±7.3回の増加が認められた(p=0.04、効果サイズ:0.82)。
・ベースライン時の夜間頻尿エピソードで補正後も、その差は有意なままであった(p=0.05)。
・不眠症と夜間頻尿を併発している高齢者において、不眠症に対する行動療法は、自己報告による夜間頻尿を改善させる可能性があった。この点について、さらに検討する必要がある。(Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版 1/2)
■次号のメールマガジンは3月1日ごろです。お楽しみに。
[発行]産学社エンタプライズ