エンタプライズ発信〜メールマガジン【№18】2012.9

出版に携わっていると印刷会社は密接な関係になります。それが最近、校正印刷に関わっていた社員に胆管がんが頻発し、それを調べた厚労省は胆管がんに関する労災請求が計34件(うち死亡23件)あったことを公表しました。校正印刷とは、本印刷の前に少数の刷り出しを行い、色やスミの調整をする工程ですが、何度か行うこともしばしばで、そのたびに印刷機に付いたインキを洗うので洗浄剤(有機溶剤)を多用します。労働安全衛生法では有機溶剤取扱業務には防毒マスク&保護メガネを着用させることとしていますが、(防護していたかどうかは別として)換気の悪い環境だと結果的に洗浄剤である有機溶剤の蒸気を日常的に吸うことになります。胆管は胆汁が流れる管で、肝臓内に枝のように広がり、肝臓の外で太くなって十二指腸につながっています。有機溶媒は呼吸や皮膚から体内に侵入し肝臓と腎臓を通じて排泄されますが、肝臓で毒素が減衰されないまま胆管に排泄され、がん化したと考えられています。印刷業務に関わる人は膨大な数です。また有機溶剤等危険物を扱う産業は多数あるはずです。劣悪な環境の改善を社員が訴えても無視する企業もあります。不景気の世の中では転職もままならず従業員の立場は弱い。この状況でどうやって「職業病がん」から身を守ればよいのでしょう。がんは1年間で進行がんに十分なりえます。少なくとも年に1回は人間ドックを受けていただきたいと思います。

★☆★━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━★☆★

【1】WHO『健康の社会的決定要因 確かな事実の探求』 第2版
【2】意識に基づくエネルギー療法“ BodyTalk ”
【3】CHIROPRACTIC REPORT 「法的状況の国際調査報告書」
【4】カイロプラクティック・エネルギー治療へのパラダイムシフト
【5】補完・代替医療の真贋を斬る!
【6】“連動操体法”について、ちょっとばかり…
【7】N・E・W・S
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【 TOPICS 】
■ Liga国際ホメオパシー医学会大会を奈良市で開催

9月14日〜17日にわたり奈良県新公会堂にてLiga国際ホメオパシー医学会大会(主催:日本ホメオパシー医学会)が開催された。本大会は67回目にあたり、日本では初めての開催の運びとなった。
会場には国内外のホメオパシー医師、獣医師、研究者、指導者などが参集、4日間にわたり12の招待講演、7つのシンポジウム、9つの口演、4つのグループプレゼンなどが行われた。日本ホメオパシー医学会理事長の帯津良一氏は主催者挨拶で、「最もホリスティックな医学ともいえるホメオパシーが登場したことによって、わが国の健康戦略が引き締まってくる思いがする」と述べ、自然治癒力を高める上でホメオパシーが大きく貢献していることを強調した。


【 TOPICS 】
■ 「正しいホメオパシーを知る」副読本を出版

日本ホメオパシー医学会は、WHO安全指針に準拠した一般の方のための副読本『正しいホメオパシーの理解のために』を制作し頒布を始めた。ホメオパシーとは何か?/メカニズム/有効性/副作用などをコンテンツに30ページほどにまとめてある。世界を見渡すと、補完代替医療の中では最も多く用いられているホメオパシーが、日本では正しく理解されていないという現状に鑑み、また今後、混合診療や統合医療が進展すれば大きく普及することが予測できるため、一般の人向けに平易な表現と内容で綴られている。A5判、28ページ、頒価300円


【 TOPICS 】
■ ボディートーク・アクセスセミナーが開催される

本メールマガジンでも連載中の「BodyTalk療法」のボディートーク・アクセスセミナーが9月2日、東京・目黒で開催された。このアクセストレーニングは、ボディートーク療法のエッセンスを抽出した簡易版にあたり、同療法の技法のなかから、身につけやすく、健康全般に効果が期待できる5つのテクニックを取り上げ、心身両面の健康状態の回復・維持に役立てようというもの。今回はファスト・エイド(応急措置)も加わった。
バイオフィードを活用しボディ・マインド・スピリチュアリティを統合するべく自然治癒力に働きかけるボディートークは、世界35カ国で2,000人以上が認定施術士として臨床にあたっている (日本では130人)。10月3日(水)
にはボディートーク療法説明会が横浜市で開かれる。詳しくは http://www.bodytalk.co.jp/bodytalker/seminars/


【Information】
■ 「タオ人間医学」講座のご案内

弊社刊の『タオ人間医学』(謝明徳・原著)の出版を記念して、訳者であり、ヒーリング・タオをライフワークとしている鎌崎拓洋氏を講師に、タオ人間医学のエッセンスを読み解くという企画です。本書には広範なタオのヒーリングが紹介されています。時間の許す限り紐解いていく予定です。問い合わせはアルカノン・セミナーズ
講師:鎌崎拓洋
受講日:11/11(日)
受講時間:14:00〜17:00(休憩あり)
受講料金:なし
場所:アルカノン・セミナーズ教室 (東京都渋谷区渋谷3  渋谷駅徒歩5分)
参加条件:『タオ人間医学』(産学社エンタプライズ刊)をご持参の方

※アルカノン・セミナーズ受付窓口でも取り扱っております。※DVD受講あり


<<<連 載 ⑧ >>>
【REVIEW】

WHO 『健康の社会的決定要因 確かな事実の探求』 第2版

  <訳:WHO健康都市研究協力センター・日本健康都市学会・健康都市推進会議>


■ 3. 社会的排除

貧困の中での人生は短いものとなる。貧困や社会的排除、差別は困窮や憤りなどを引き起こし、命を縮めてしまう。

【現 状】
貧困、相対的貧困、社会からの排除は、当人の健康に大きな影響を与え、死を早める原因となる。貧困の中で生きていくことは、いくつかの社会的集団に大きくのしかかる。絶対的貧困、即ち生きていくうえでの基礎的な物が不足している状態はいまだに見られ、ヨーロッパの最も富んだ国でも見受けられる。失業者、少数民族グループ、外国人労働者、身体障害者、避難民、ホームレスなどは特に排除される危険性が高く、路上生活者は早く死亡する率が最も高い。
相対的貧困は、所属する社会の多くの人たちよりも貧しい状態にあり、国民平均収入の60%以下の水準で生活をしている者と定義されることが多い。また相対的貧困は、世間並みの住環境、教育、交通や他の要素といった、生きていくことに積極的に関わるために不可欠な要素との接点を阻むものである。
社会生活から排除され平等に扱われないことは、健康を害し、死を早めることにつながる。貧困の中のストレスは特に妊娠中、または乳幼児や子供、そして高齢者に対する害が大きい。ある国では、国民の4分の1(子供はさらに高い割合)が相対的貧困の中で生活を強いられている。

人種差別、蔑視、敵意、失業といったことも社会的排除の一因となっている。こうした過程により教育や訓練を受ける機会は奪われ、行政のサービスを受けることも市民活動に参加することもままならなくなる。こうしたことは社会的にも心理的にも人々を傷つけ、物質的な犠牲も強い、健康を蝕む。刑務所、孤児院、精神病院のような施設に入っている人やその出身の人はさらに傷つきやすい立場にある。
恵まれない環境に長く居ればいるほど、こうした人々は特に心血管系の病気など、さまざまな健康問題を抱えやすい。人々は貧しいときもあればそうでないときもあるので、生涯を通して一度でも貧困や社会的排除を受けたことのある人数は、現に社会的排除を受けている人の数よりもはるかに多いと言える。
貧困と社会的排除により、離婚、別居、障害、病気、薬物使用、社会的孤立といったものの危険性は高まり、こうした要因は貧困や社会的排除をもたらすという悪循環を生み出しており、苦境にある人々をさらに追い込むことになる。
健康状態は貧困による直接的な影響と同様に、権利などの剥奪、高失業率、貧しい住環境、行政サービス等が受けにくい状況や劣悪な環境によって荒廃したコミュニティに住むことで、間接的に損なわれてしまう。

【提 言】
どの政府も税、年金などの給付金、雇用、教育、財政や他の多くの分野をとおして、所得分配に多大な影響を与える。こうした死亡率や罹患率関連の政策の効果に関する明白な根拠は、絶対的貧困を排除し物質的な不平等をなくすことが行政の責務であることを示している。

・あらゆる人は最低所得、最低賃金を保証され、行政のサービスを受けられるよう守らなければならない。
・貧困と社会的排除を減らすためには個人と地域の両方に対して政策介入が必要である。

・法律によって少数者グループや弱者を差別や社会的排除から守ることができる。
・公共機関が医療・健康政策を行うことにより、住民が健康をケアしていく上での障害をなくし、社会的な補助を受けやすく、また住宅の提供を可能とする。
・労働市場、教育や家族に対する政策は社会的階層化を減じるものでなければならない。

(次号につづく)


◆◆◆ ⑤ ◆◆◆

『 意識に基づくエネルギー療法 “ BodyTalk ” 』

   …… 今 田  泰 (IJBA東日本支部 支部長)……


前回からBodyTalkがいかに心身複合体のあらゆる面を包括しているかについて、クラスごとに紹介している。今回はBodyTalkシステムの背景にある哲学の基礎を形成し、上級モジュールと呼ばれるモジュール3以降のクラスで最も重要とされるモジュール3について解説していく。

モジュール3 「意識の原則」

ここで学ぶ内容は「五感」、「基礎意識」、「高次の意識」である。いずれも人間の健康において、種々の問題の根源になり得る重要な概念と言える。これらに適切にアプローチできるか否かが、未来のヘルスケアシステムにおける試金石になると筆者は考える。

<< 五 感>>
五感が示すものは言うまでもなく、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚である。重要なのは通常の五感だけでなく、BodyTalkで「鋭敏な感覚」と呼ぶ、感覚をより広い意味でとらえた概念をも包括することである。
人間のすべての経験は五感を通じてなされるがゆえに、これらにかかるフィルターがいかなるものかによって個人の経験そのものが変わってくる。
例を挙げると、世界は危険だというフィルターがあれば、恐ろしいニュースや周囲のマイナスな側面ばかりに目が向くことになり、結果的にそのフィルターがますます強化される。この人物にとって世界は恐怖に満ち溢れているので、そのフィルター≒信念が取り除かれない限り、いかに周囲の環境が変わろうと真の平安が得られることはないであろう。

<< 基礎意識>>
BodyTalkでは、臓器や体の各部位は人間の意識状態を反映していると考える。例えば小腸は「認識」や「識別」を表し、肩は「責任」や「保護」を表しているとされる。
したがって、セッションにおいて小腸と肩のリンクということになれば、認識と責任のバランス、例を挙げれば「自分の責任を適切な範囲で認識し、過剰に背負い込まないようにする」という意味を表すこともある(これはバイオフィードバックによって明確になる)。

<< 高次の意識 >>
ここで扱うのは、主に精神的な成長の過程における種々の課題である。人間が生まれてから死ぬまでの精神的な発達の過程にはある種のパターンがあり、人類共通の課題を個々人が持っている。
「分離」「時間」「罪悪感/恐怖」「インディビジュエーション(個性化)」という課題を克服していくサポートとなるのが「高次の意識」の扱う範疇である。
(次号へつづく)


■□■□CHIROPRACTIC REPORT □■■□

『カイロプラクティック業務に関する法的状況の国際調査報告書』(最終回)


9. 治療費の払い戻し

9. 1. 政府の補助
義務化している民間保険を含めた政府の資金計画の中からカイロプラクティック治療費のすべてもしくは一部の払い戻しについて次のことが言える。

a)  10か国ですべての患者が対象になる。
ベルギー、デンマーク、ホンジュラス、イタリア、リヒテンシュタイン、オランダ、ノルウェー、パナマ、スイス、タークスカイコース諸島。
これにはカイロプラクティック業務が法律で管理されていない2か国を含む(ホンジュラスとオランダ)。

b) 12か国では患者の一部が対象になる。
オーストラリア、カナダ、ケイマン諸島、ドイツ、香港、イラン、イスラエル、ナミビア、ニュージーランド、スウェーデン、ウガンダ、アメリカ

アンケートに回答した49か国中27か国(45%)では、カイロプラクティックサービスに対する政府補助がない。
アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、キプロス、エジプト、フィンランド、フランス、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、日本、レバノン、モーリシャス、ペルー、フィリピン、シンガポール、スロバキア、南アフリカ、スペイン、台湾、トルコ、アラブ首長国連邦、イギリス、ベネズエラ、ジンバエブ

9. 2. 民間保険会社
49か国中37か国で、雇用主の援助および/もしくはその他の民間保険会社のもとでカイロプラクティック治療費のすべてもしくは一部の払い戻しがあると回答した。

a) 18か国(31%)ですべてもしくはほとんどの患者(51-100%)が対象になると回答した。
ベルギー、カナダ、ケイマン諸島、キプロス、フランス、ドイツ、香港、イラン、アイルランド、リヒテンシュタイン、ナミビア、オランダ、ノルウェー、パナマ、南アフリカ、スイス、アラブ首長国連邦、アメリカ、ジンバエブ

b) 10か国(20%)では一部の患者(11-50%)が対象になると回答した。
オーストラリア、コロンビア、デンマーク、アイスランド、モーリシャス、ニュージーランド、ペルー、タークスカイコース諸島、ウガンダ、イギリス

c) 9か国(18%)では少数の割合の患者(1-10%)が対象になると回答した。
フィンランド、ホンジュラス、イスラエル、イタリア、フィリピン、シンガポール、スペイン、スウェーデン、ベネズエラ

以下の国では患者への払い戻しはない。
アルゼンチン、ブラジル、チリ、エジプト、ギリシャ、日本、レバノン、スロバキア、台湾、トルコ

【 結 語 】
この法的状況の報告書(本連載)は、2011年2月28日時点での49か国の調査のため、各国での法律状況が変わるたび情報の正確性が失われる可能性がある。カイロプラクティックの法律の有無にかかわらず、アンケートに回答したすべての国においてカイロプラクターはプライマリ・コンタクトとして患者に接する権利が認められている。約半分の国では臨床検査を指示する権利が認められている。また法律のあるほとんどの国では単純フィルムX線の撮影、依頼、読影と診断用超音波の撮影依頼が認められている。 (了)=付帯するいくつかの図表は
省略しました。

(資料提供:日本カイロプラクターズ協会 URL:www.jac-chiro.org


<<連載>>

カイロプラクティック・エネルギー治療へのパラダイムシフト <第18話>

               保井志之 (ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


カイロプラクティック矯正の誤った認識や先入観

20年以上も前になるが、カイロプラクティックを志す前、筆者は某整骨院にて修行した経験がある。当時、その整骨院では、多いときには1日に200人もの患者が来院しており、新鮮外傷の患者も多く、本来の柔道整復師の業務である骨折や脱臼などの患者も急患で来院していた時代だった。
筆者も修行の身でありながら、肘内障(肘関節の亜脱臼)患者の整復や骨折、脱臼整復の助手を務めていた。当時はカイロプラクティックの矯正という治療法も、脱臼を整復する行為とは異なるが、それに類似した亜脱臼的な関節の構造のズレを整復する程度に認識していた。そのような微妙な背骨の関節のズレを矯正する行為がカイロプラクティックで、そのための手技は熟練が必要だという感覚であった。

おそらく多くのカイロプラクターや治療家がそのような誤った認識をしているのではなかろうか? ある位置から正しいとされる位置に入れる、合わせるという感覚である。しかし、アトラスの矯正映像によって、その仮説的認識は払拭された。そしてその後、臨床経験を積み重ねて治療効果が向上するに従って、カイロプラクティック矯正の治療学的メカニズムがだんだんと見えてきた感じであった。
筆者も素手による矯正が大変好きで、その矯正法にこだわり、四肢や顎関節を含めたあらゆる関節の矯正法をマスターして自己満足していた時期があった。もしもその矯正技術だけに満足して、臨床の現場で治療効果、治療結果を徹底的に追求して試行錯誤していなければ、カイロプラクティックの本質を体験的に知ることはできなかっただろうと考える。
素手によるカイロプラクティック矯正では、特にキャビテーションによる「ボキッ」という音を鳴らせるため、機械的に整復したという誤解をまねきやすい。実際にこのボキッという音が、患者やその周りの観察者に対して強い印象を与えやすいため、この音がカイロプラクティック矯正を完了させたという目安になりがちである。
(次号につづく)


補完・代替医療の真贋を斬る! 【最終回】

   長谷川淳史(TMSジャパン代表)
***** ***** ***** ***** ***** ***** ***** *****

グルコサミンの有効性(つづき)

アメリカのCleggらも1,583名の膝関節OA患者を対象に、グルコサミン1,500mg/日群、コンドロイチン1,200mg/日群、グルコサミンとコンドロイチンの併用群、セレコキシブ(COX2阻害剤)200 mg/日群、プラシーボ群の5群に割り付け、他の施設と共同による二重盲検無作為対照試験を行なっている。それによると、6ヶ月後の鎮痛効果はセレコキシブ群がもっとも高く、グルコサミン群、コンドロイチン群、両者の併用群は、いずれもプラシーボを上回る鎮痛効果が認められなかったという。ただし、中等症から重症の膝関節OA患者においては、グルコサミンとコンドロイチンの併用群がプラシーボより有効であることが示唆されている。
このように、二重盲検法まで用いた無作為対照試験の結果が対立しているのである。となれば、もっともエビデンスレベルの高い体系的レビューでは、どのように評価されているのかが気になる。
アメリカのSamsonらは、保健福祉省(HHS)の下部組織である医療研究・品質管理局(AHRQ)の助成を受け、膝関節OAの治療法に対する体系的レビューを行なっている。ヒアルロン酸関節注射に関する42件の無作為対照試験、グルコサミンとコンドロイチンに関する21件の無作為対照試験、関節鏡下手術に関する23件の研究論文を検討した結果、いずれの治療法にも科学的根拠が見出せず、グルコサミンやコンドロイチンの効果はプラシーボと同等でしかないと報告している。体系的レビューでこのような結果が出たとなると、グルコサミンのサプリメント摂取で膝関節OAが改善したというのは、プラシーボ効果以外の何物でもない可能性が高い。

しかし、OAは股関節でもよく見られる病態である。もしかするとグルコサミンは、変形性股関節症(以下股関節OAと記す)に有効かもしれない。
オランダのRozendaalらは22名の股関節OA患者を対象に、無作為対照試験を行なっている。グルコサミン1500mg/日群とプラシーボ群に割り付け、2年間にわたって追跡調査したところ、両群間に疼痛、機能障害、関節間隙狭小化の差は認められなかったと報告している。
とどめはカナダのTowheedらが行なった、膝関節OAと股関節OAに対するグルコサミンの有効性と安全性に関するコクランレビューである。20件の二重盲検無作為対照試験を検討した結果、鎮痛効果という点では、質の高い研究や新しい研究であるほど、グルコサミンとプラシーボとの間に差が認められず、質の低い研究や古い研究であるほど、グルコサミンの方がプラシーボより優れていたという。また、機能改善効果という点では、評価方法によって結果が異なることが明らかとなっている。
こうしてみると、グルコサミンは研究デザインの優れた臨床試験に耐えられないようである。つまり、現時点における膝関節OAや股関節OAに対するグルコサミンの有効性は、プラシーボと同等と言わざるを得ないのだ。  (了)


【連載コラム】

“連動操体法”について、ちょっとばかり… (18)

       根本 良一(療動研究所主宰)


足首から頸部へ(腹直筋下部から)〜下腹部から遠く首周辺まで
(つづき)

◆自療操体法

仰向けに寝て、足首を交差し、足先は内へ向ける。
1.  仰向けに寝て、衣服の上から恥骨上縁を上から指先で横にこする。触れて痛いときは、逆方の踵を上から交差して下になる足の母指側へかける。下の足先を反らせて内側へ向ける。
2. 下の足を内側にまわして反らす。上の足を交差して、小指側足底で下の足と母指側の甲を軽く押さえる。
3. 軽く腕を組んで、両肩を前へ出し、首も一緒に足先の向く逆方へまわして、(補助動作)(左肩を+5なら右肩は-5という気持ちで軽く)
4. そのままで約3秒間、弱い力で動作を維持し、フーッと息を吐きながら脱力する。3呼吸程度、気持ちよく間をおいて戻る。

2. 腓腹部(ふくらはぎ)〜内腿部

ふくらはぎは、よく攣(つ)れることがある。揉んでも、手でさすってもどうにもならぬことがある。
a)  内腿部上側の筋が緊張すると、
b) お尻の後側面の仙骨角にかぶさっている梨状筋が緊張し、坐骨神経を刺激する。これが、
c) 坐骨神経の一部である脛骨神経を刺激して、
d) 下腿部(ふくらはぎ)が緊張する、という流れになる。

この解消法として、緊張側の内腿部上側(伸筋群)からの操体法を行なうと良い。腓腹部が緊張する動作にもかかわらず、腓腹部が緩むことになるからである。これは連動の基部を処置する操作が優先する例である。

【解説】内腿部の筋 –その位置と影響度
 内腿部の緊張により影響を受ける部分を足首の動きからたどると、そこには不思議な流れがある。椅子での座位でみてみる。
・ 内腿部中央を縦に走る筋の下側(膝関節の屈筋群)でピンと張った部分、すなわち大腿薄筋、半腱様筋、長内転筋などを境にして下側の内転筋群。
・ 同じく中央を縦に走る筋の上側、すなわち膝関節の伸筋群(縫工筋、内転筋群)。

これら内腿部位を動かすのは、末端つまり足首から、膝から、そして補助動作としての上体のひねりなども加えた全身からの連動となる。
首がまわらない、背から首が痛い、お尻の横から腿が痛い、足が攣れるというとき、足首操作と補助動作を加味したアプローチをかけると解消するケースが多い。

1) 触診:内腿部の筋に触れてみる

指腹で内腿部を縦に走る筋を横に撫でるとコリコリと触れる筋の、
① 下の部分、膝関節の屈筋群と、
② 上の部分、膝関節の伸筋群とでどちらが硬く感じるか。
この触診が、微妙でむずかしい。両方の区別がつかない程度なら問題はないとみて良い。あるいは両方とも緊張しているという場合もある。

内腿部の上から1/3ほどの位置がわかりやすい。硬いところから柔らかいところへ移るときはコリッと落ちるが、逆のときは乗り上げる感じでコリッとはしないので注意が必要。
衣服、ジーンズでも触診は可能。
① 軽く大きく触れて、およその位置を確認し、
② 皮膚あるいは衣服と指腹を一緒に動かし、筋の上を軽く滑らし、深部の筋の硬さの変化を探ってみる。衣服上を滑らせると、滑り摩擦で触覚が錯乱しわかりにくい。
(次号につづく)


*** N *** E *** W *** S ***


NEWS ■■寝る子は脳もよく育つ 東北大チーム


睡眠時間の長い子どもほど記憶や感情に関わる脳の部位「海馬」の体積が大きかったことを、東北大の滝靖之教授らの研究チームが9月17日までに突き止めた。研究成果は日本神経科学大会で発表する。
研究チームによると、うつ病や高齢者のアルツハイマー病患者で、海馬の体積が小さいことが明らかになっており、滝教授は「子どものころの生活習慣を改善することで、健康な脳を築ける可能性がある」としている。
研究チームは2008年からの4年間で、健康な5〜18歳の290人の平日の睡眠時間と、それぞれの海馬の体積を調べた。その結果、睡眠が10時間以上の子どもは6時間の子どもより、海馬の体積が1割程度大きいことが判明したという。
滝教授は東日本大震災の後、宮城県内の被災者の健康状況も調査しており「十分な睡眠を取れず、ストレスを感じたことが、子どもの脳にどう影響を与えるのか、見ていかなければならない」と話した。(共同通信社  9/18)


NEWS ■高齢者の転倒防止。スクワットなどの「ロコトレ」を推奨


日本整形外科学会は高齢者の骨折に関するセミナーを開いた。現在、高齢者の要介護原因のうち、1割を骨折や転倒が占めており、講演した帝京大学医学部の松下隆・主任教授は「骨を丈夫にすることのほかに転ばないようにすることが大事」と訴え、片足立ちやスクワットなどの「ロコモーショントレーニング(ロコトレ)」を呼びかけた。
松下教授は自立して健康に生活できる期間「健康寿命」が男性70.42歳、女性73.62歳だったことを提示。その差を縮めるために、メタボリックシンドロームや認知症の対策に加え、骨、関節、筋肉、腱、神経などの運動器の障害によって要介護になる危険が高い状態「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」の対策が必要と説いた。
同教授は「まずは自分で、高齢になると転ばない努力をしなければいけない。それにはバランスと筋力アップを心がけること。ロコトレのほか太極拳が効果がある。一本足立ち訓練は、非常に転倒予防に効果がある。またほんの小さな段差でも転びやすいので、家中からなくすように」と提言した。さらに「(片足立ちで靴下がはけるか、階段を上るのに手すりが必要かなどの)ロコチェックをし、リスクのある人は骨密度の検査をすること、ロコトレで転ばないようにすることが大事」と話した。(9/18毎日新聞)


NEWS ■自転車に乗りすぎるとEDになる!?


節約ブームで広がる自転車人気に水を差しかねない脅威が広がっている。過度に乗りすぎると「勃起障害(ED)」の危険があるというのだ。
日本性機能学会が今年発行した「ED診療ガイドライン」に興味深い一文が載り注目されている。それによると、EDを起こす一要因として「自転車には注意が必要」とし、「自転車乗車時間とEDの間には明らかに用量(=一定の量)相関関係がある」と指摘。乗りすぎが障害を招く危険性を示したのだ。
ED治療の第一人者、新宿ウエストクリニック院長の室田英明医師が説明する。「スポーツサイクルのサドルは細くて堅い。これに乗り、陰のうと肛門の間にある会陰部を毎日長い時間圧迫すると危険です。会陰部には陰茎に繋がる細い血管や神経が集中しているため血流が阻害され、インポテンツにつながりかねない」。また「特にロードバイクは前傾姿勢で乗るので圧迫が強い。陰茎への血流に良い影響はない」と警告。毎日2時間以上スポーツサイクルに乗る人は注意が必要という。
ではどう防止すればいいのか。「サドルの細いタイプは漕ぎやすくスピードも出るが会陰部が圧迫されやすい。最近は先のない、骨盤だけを支えるタイプも出ているほか、会陰部の下をへこませた型のサドルもある。股間にクッションの入ったサポーターを履いて負担を和らげるのも有効です」(室田氏)
自転車を使った適度な有酸素運動はストレス解消に効果は高い。道具を選び、適切な頻度で下半身の健康も守りたい。(夕刊フジ 9/13)


NEWS ■介護により収入減が2割超 半減世帯も


介護を始めてから世帯収入が減ったのは20%超―。家族介護に伴う働き方の変化が家計に深刻な影響を与えている現状が、明治安田生活福祉研究所の実態調査で明らかになった。
半分以下になったと答えた人も10%を超えており、同研究所は「退職を余儀なくされたり、定年退職を早めたりしたためではないか」と分析している。
調査は5月31日と6月1日、家族介護の経験がある40〜79歳の男女を対象にインターネットで実施。1032人から回答を得た。世帯収入が減ったのは全体で22.1%。男性が20.5%、女性は23.7%だった。「勤務時間を減らした」「転職した」など働き方に変化があったと答えた人(複数回答)は、男性24.0%、女性39.5%。このうち「退職した」は男性7.2%、女性12.0%で、女性に介護を依存しがちな状況も浮き彫りになった。(共同通信社
9/12)


NEWS ■アトピー性皮膚炎「脱出」へ 心のケアも大切


アトピー性皮膚炎の患者は全国で約35万人といわれる。近年は、患者数の増加とともに大人になっても悩まされる人も多い。薬を正しく使うとともに、心理的なアプローチも大切だという。
東京慈恵会医科大付属第三病院の上出良一教授は、「患者の中には、かゆくなくても無意識にかいてしまう動作(嗜癖的掻破)がある人が多い。不安だったり、逆にほっとしたりしたときにでる。かくという行為が、安心、ストレス解消につながってしまう」と話す。
ストレスなどによる嗜癖的掻破がアトピーを悪化させ、治りにくくしている面があるとして、上出教授は外来での初診時、少なくとも15分程度の問診を行っている。家族や学校、職場といった生活環境全般についても聞く。「一番つらいと感じている話題に触れると、無意識にかこうとするしぐさが出る。ストレスをなくすのは無理でも、それに気づくだけで嗜癖的掻破を減らすことができる。アトピーは禁煙同様、『治す』というより『抜け出す』病気だと考えています」
症状がひどく、引きこもりがちだったり、鬱になったりしてしまう人もいるが、「専門的な精神ケアが必要な人はそんなにいない。特に子供は、できなかったことを指摘して『頑張れ』というより、できたことを褒めた方が治療に前向きになる」という。(9/12産経新聞)


NEWS ■スピリチュアリティは精神的健康を向上させる


スピリチュアリティ(霊性)が精神的健康を向上させる可能性があることが、米ミズーリ大学宗教学教育専門助教授のDan Cohen氏らの研究で明らかになり、さきごろ「Journal of
Religion and Health」に掲載された。
仏教徒、カトリック教徒、ユダヤ教徒、イスラム教徒、プロテスタントを対象に、人格、精神性のレベル、身体的および精神的健康について尋ねた3件の調査結果を検討した結果、5つの信仰すべてにおいてスピリチュアリティが高い人ほど精神的健康が良好であり、特に神経症的傾向が低く、外向性が強かった。Cohen氏らは、人格に関する変数を考慮後、寛容性が精神的健康を予測する唯一の精神性の特性であると結論付けた。
Cohen氏は、「スピリチュアリティは自己中心的な考えを抑制し、より大きな世界に属する感覚を育てることで、精神的健康の助けになる可能性がある。この研究結果はスピリチュアリティが多くの点で人格特性として機能するという意見を裏付けている。興味深いのは、宗教的活動への参加頻度などが人格、精神性、信仰、健康間の関係において重要でなかった点である。精神的信念はストレスを主情的に処理するうえで役立つ対処法と思われる」という。
Cohen氏らは、治療やリハビリテーションプログラムを個人の精神的信念に合わせるなど、スピリチュアリティと健康の関係が医療の一助になるのを証明できることを示唆した。(9/2 Journal of Religion and Health)


NEWS ■エコノミー症候群神話を否定するガイドライン


米国胸部医学会が改訂した診療ガイドラインでは、深部静脈血栓症の危険因子としてエコノミークラス席を利用することで引き起こされる説を支持する確固たるエビデンスは存在しないとして“エコノミークラス症候群神話”を否定した。
同症は、長時間同じ姿勢でいることが原因の一つ。列車やバスなどに乗っていても発症する可能性があるが、座席が狭くて長時間搭乗する旅客機のエコノミークラス席を利用した場合、発症する確率が高いとされていた。
今回のガイドラインでは「エコノミークラス席の利用自体が長距離飛行によるリスクを上昇させることはないが、長時間同じ姿勢を取り続けるとリスクは上昇する。窓側席でリスクが上がるのは動ける範囲が制限されるからで、この他にも危険因子があるとリスクはさらに上昇する」と述べている。その一方で、水分摂取不足や飲酒により長距離飛行中のリスクが上昇することを示す確固たるエビデンスは存在しないと指摘した。(9/1 CHEST2012; 141: 2 supple)


NEWS ■体内時刻を血液で簡単測定–睡眠障害など診断期待


ヒトの血液中で24時間周期で増減する物質を特定して「分子時刻表」を作り、時差ぼけなどで生じる体内時計のずれをこの時刻表と照合するだけで推定する方法が開発された。理化学研究所と慶応大、国立精神・神経医療研究センター、北海道大の研究チームが8月27日までに論文にまとめた。米科学アカデミー紀要電子版に発表する。
時差ぼけや睡眠障害を簡単に診断できるほか、特定の病気が発症しやすい体内時刻に薬を飲むなどの「時間治療」の実現が期待される。ぜんそくの発作は未明に起きやすく、アレルギー性鼻炎や慢性関節リウマチは朝に症状が最悪になる傾向が知られる。
体内時刻を調べるには、これまでは血中ホルモンのメラトニンやコルチゾールの量、深部体温を長期間調べる必要があった。理研発生・再生科学総合研究センターは、食事や昼夜の光環境の影響を受けずに24時間周期で増減する物質を調べ、分子時刻表を作る方法を考案。2009年にマウスで体内時計測定法を開発していた。
今回、被験者3人に1日半、光量や室温が一定の室内に座ってもらい、眠らずに2時間おきに少しずつ食事してもらった。血液を採取してさまざまな代謝産物を調べたところ、分子時刻表の作成に役立つ24時間周期の増減を示す物質が58種類見つかった。(8/28時事通信)


NEWS ■「せっかち」は脳卒中リスクに。ストレスが影響


競争的でせっかち、仕事熱心な人は行動医学的に「A型行動パターン」に分類され、ストレスを引き起こすことから、心臓や血管の病気になりやすいといわれている。こうした中、スペイン・マドリード・コンプルテンセ大学のJose Antonio Egido氏らは、A型行動パターンが脳卒中発症と関連することを、8月27日付の英医学誌「Journal of Neurology Neurosurgery & Psychiatry」(電子版)に発表した。
行動パターンの分類では、A型行動パターンは攻撃的、好争的、仕事熱心、せっかちなどの特徴がある。B型行動パターンはA型と真逆の性格で、消化性潰瘍や過敏性腸症候群(IBS)になりやすいといわれ、C型行動パターンはB型に似ているものの感情を抑えたり耐えたりすることが多い性格。こちらはがんになりやすいとされている。
スペイン・マドリード在住の脳卒中患者150人(脳卒中群)と、スペインの国勢調査から地方在住で脳卒中にかかったことのある人を除外した300人(対照群)を対象に検討を行った。
その結果、H&Rスケールが150点以上(ストレスが大きい生活習慣)の人は、150点未満に対して脳卒中リスクは3.84倍だった。ERCTAが24点以上(A型行動パターン)の人でも、24点未満に対してリスクが2.23倍と高かった。
このほか男性(女性の9.33倍)、1日2回以上の栄養ドリンク摂取(1日2回未満の2.63倍)、喫煙(非喫煙の2.08倍、禁煙者では2.35倍)、エプワース眠気尺度(眠気の度合い)が9点以上(9未満の2.83倍)なども脳卒中の危険因子と認められた。(8/27 Journal of Neurology Neurosurgery & Psychiatry)(電子版)


NEWS ■ポジティブ思考で健康に–医師らが学会設立


人間の持つ強さやしなやかさの本質を解明し、心身の健康の維持や疾病予防につなげようと、精神科医師らが中心となって設立した「日本ポジティブサイコロジー医学会」の発足記者会見が8月18日、東京都内で開かれた。
大野裕理事長は、「今の日本の状況を見ると、すべての国民が心を病む可能性がある」と指摘。英国における精神疾患の年間コストが、2026年には07年からほぼ倍増し、14.2兆円に達するとの試算を挙げ、将来的には入院中心の精神医療から、幅広い精神保健に支えられた良質な専門医療への転換が必要と訴えた。
また坪田一男理事は、米国で研究が進んでいるポジティブサイコロジーを紹介。「幸せだから健康になる」との研究データが出てきていることを踏まえ、「最近になって少しずつ幸福を、科学的な手法を使って評価する流れができている」として、今後、日本での研究が進展する可能性を示唆した。
福島原発の事故後も郡山市内で医療活動を続ける佐久間啓理事(あさかホスピタル院長)は、被災者の放射能被害などによる急性のストレスと、状況が改善されないための慢性のストレスに対し、「よりポジティブに、より幸せを感じて生きるために、どう考え、どう行動すべきかを、心のエキスパートの考えを聞き、これからの福島県について考える機会が持てれば」と述べた。(8/19医療介護CBニュース)


■次号のメールマガジンは2012年10月15日ごろです。お楽しみに。


[発行]産学社エンタプライズ