エンタプライズ発信〜メールマガジン【№14】2012.5

平成24年3月期の決算が各社から発表されています。電機界では不沈空母といわれた旧松下電器産業(現パナソニック)は7,721億円、ソニーが4,566億円、シャープ3,760億円という膨大な赤字決算に陥っています。3社ともテレビ部門が赤字の主因ですが、赤字の見通しがわかっていて作り続けたというのですから何をかいわんやです。一昔前は同じ程度の黒字・利益を誇っていた大企業がこれですから、この国の経済はこの先どうなるのかこれまで以上に不透明です。株価指標も同様で、いま日本は9,000円、米国は13,000ドルですが、2000年の頃は日本20,000円、米国10,000ドルだったのですから。3.11大震災後も雇用、雇用と言いながら国内経済はデフレスパイラルを抜け出せず、景気浮揚感はまったくと言ってよいほどの沈滞状態です。少子化・年金問題、医療費の硬直化、政治力の鈍化など、国が動脈硬化を引き起こさないうちに景気浮上へのてこ入れ、増税はしばし棚上げして抜本的行政改革を実行してほしいものです。家庭経済の逼迫は深刻度を増しており、病院や治療院での受診機会も削がれているのが現実なのですから。

★☆★━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━★☆★

【1】<新連載> 意識に基づくエネルギー療法 “ BodyTalk ”
【2】WHO『健康の社会的決定要因 確かな事実の探求』 第2版
【3】CHIROPRACTIC REPORT 「法的状況の国際調査報告書」
【4】カイロプラクティック・エネルギー治療へのパラダイムシフト
【5】補完・代替医療の真贋を斬る!
【6】“連動操体法”について、ちょっとばかり…
【7】N・E・W・S
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◆◆◆ 新連載 ◆◆◆

『 意識に基づくエネルギー療法 “ BodyTalk ” 』

   …… 今 田   泰(IJBA東日本支部 支部長)……


〜BodyTalkの考え方〜

BodyTalkは1990年代にアメリカで開発されたホリスティックなヘルスケア様式である。身体、心、意識など、人を構成するすべての要素は動的なシステムの一部であり、各部が全体を反映しながらそれぞれの相互的なコミュニケーションのもとに存在しているとする理論をもとにしている。これは人間を個々のパーツの機械的な寄せ集めとするデカルト理論とは大きく一線を画すものである。

〜ストレスにより失われる体内のコミュニケーション〜

ヒトには身体の全機能をつかさどるインネイトウィズダム(天生の知恵)が備わっており、心身複合体内の相互のコミュニケーションを図ることで健康が維持される。
しかし機械的、心理的、社会的、環境的要因を含むストレスによってこれらのコミュニケーションが失われることがあり、それが結果的に心身の不調や疾患となって表面化するのである。

〜BodyTalkの施術〜

そこでBodyTalkの施術者は包括的な質問からなるプロトコールをもとに、クライアントの腕を介した神経-筋バイオフィードバック法によるチェックを用い、低下したり分断された心身のコミュニケーション網(リンク)を探し出す。そして導き出されたリンクをもとに、脳と心臓へタップを行う。
脳へのタップによって脳はリンクの回復の必要性を認識し、自ら回復へと動き始める。また心臓へのタップによって回復されたリンクの情報を心臓に記憶するよう働きかけ、部位間のコミュニケーション欠落や停滞を起こさないように修正する。

〜BodyTalkの特徴〜

BodyTalkは、以下の点において際立った特徴を持っている。

①  非侵襲的であること
治癒はクライアント自身の内部の力によって行われるものである。身体に直接的に外から侵入し、介入を加えるということをしない。

②  診断をしないということ
BodyTalkはコミュニケーション網の回復によって自己治癒力を増進する。したがって病名や症状に応じてクライアントに対応したり働きかけたりしない。すなわち、施術者の知識からアプローチするのではない。

③  問題VS優先
神経-筋バイオフィードバック法によって得る答えは、「何が問題か」ではなく、「何が優先か」である。問題は誰にでもたくさんある。その中でどの順番でバランスをとっていくかが重要なのである。

④  副作用がない
クライアント本人が本来持ち合わせている自己治癒力を増進することによって健康が回復する。自己治癒に副作用はなく、したがって安全であると同時にまた、一時的な症状の軽減ではなく、長期的かつ持続的な心身の健康の改善が期待できる。

以上、BodyTalkの基本概念を簡単に述べた。次回からテーマごとに詳細にBodyTalkを紹介していく。


<<< 連 載 ⑤ >>>
【REVIEW】

WHO『健康の社会的決定要因 確かな事実の探求』第2版

<訳:WHO健康都市研究協力センター・日本健康都市学会・健康都市推進会議>


はじめに INTRODUCTION – 続き -

本冊子は、政府、公的機関・民間機関、職場、地域社会のあらゆるレベルの政策において、最新の根拠が提示する健康な地域社会を創出するための幅広い分野における責務がしっかりと考慮されるよう意図するものである。しかし限られた誌面では公衆衛生の決定要因に対する充分な指針を語り尽くすことはできない。

健康保健政策の一部の分野(例えば職場で有毒ガスから身を守る必要性)は充分認識が高まっている(充分であるとは思えないことがしばしばあるが)という理由で本冊子では触れていない。個々の行動様式を変えるよう推奨することは健康推進の充分確立されたアプローチであるが、こうした勧告は時折その効果に限界があることから、個人が自分自身の健康を改善するためにできることがほとんどないということが元となった根拠から言える。
しかしながら私達は、環境により行動様式がどのように形成されるのか理解する必要があることを強調したい。また、社会的決定要因を通して一貫して健康問題に取り組みつつ、一層健康的な行動様式につながるために環境をいかに変えていけば良いか提言していきたい。

各分野の定評ある多くの専門家の貢献によってこの冊子発行が可能になったことを考慮に入れると、印象に残るのは、経済的にも社会的にもより適切で思いやりのある社会が必要だという点で各セクションが共通していることだ。経済学、社会学、心理学・神経生物学や医学を組み合わせて考えると、物質的不利とその社会的意味合いの間に見られる相互作用に対して理解を深めることで多くの事柄は左右されるようである。物質的に貧しい状況が必ずしも健康を害するとは言えない。

貧困である、失業中である、社会的に排除されていること、汚名を着せられていることも問題である。社会的な存在として、物質的に良い条件が整うだけでなく、幼少期に始まりその後も自分には価値があり、認められたいと感じることが必要である。
私達には友人が、そして打ち解けた社会が必要であり、そして自分が役に立っていると感じ、意味のある仕事に対してある程度のコントロールを持つことが必要である。こうしたことが欠けると、憂鬱になり、薬物使用、不安、敵意、失望感といった身体的な健康に跳ね返ってくるものにとらわれてしまう。
物質的や社会的な不公平について議論をすることで、政策が健康と生活の改善のみならず、健康不良に伴う社会経済的プロセスに根付いている様々な社会問題を減じることになると望んでやまない。

リチャード・ウィルキンソン/マイケル・マーモット

(次号につづく)


■□■□CHIROPRACTIC REPORT □■■□

『カイロプラクティック業務に関する法的状況の国際調査報告書』(6)


3. 名称保護

3. 1. カイロプラクター
「 カイロプラクター」 の名称もしくは他の言語での同意語は、カイロプラクティック業務が法的に認知されているほとんどの国々で保護されている。名称使用は登録された(資格を取得した)カイロプラクターに限定されている。これは下記の国々で認められている。
・オーストラリア、カナダ、ケイマン諸島、キプロス、デンマーク、フィンランド、フランス、香港、アイスランド、イラン、イスラエル、イタリア、リヒテンシュタイン、ナミビア、ニュージーランド、ノルウェー、パナマ、フィリピン、南アフリカ、スウェーデン、アラブ首長国連邦、イギリス、アメリカ、ジンバエブ

例外はスイスとドイツである。
ドイツではHeikpraktiker法のもと開業しているすべてのカイロプラクターの正式名称は、ハイルプラクティカー・カイロプラクティックである。資格取得のカイロプラクターは自分をカイロプラクターと呼んでいるが、カイロプラクティックテクニックを使用しているその他の者は、自分をカイロプラクティカー(Chiropraktiker)と呼んでいる。
ベルギーとポルトガルでは法律で職業は規制されているが、完全な法制化にはまだたどり着いていない。名称保護はまだ存在しないが、近いうちに規定されることが期待されている。

3. 2. ドクター(Dr.)とフィジシャン(医師)
以下の14か国で、カイロプラクターはまた「ドクター」の名称を使用することが認められている。
・オーストラリア、カナダ、ケイマン諸島、香港、イラン、イスラエル、イタリア、ナミビア、ニュージーランド、パナマ、南アフリカ、アラブ首長国連邦、アメリカ、ジンバエブ

また4か国で、カイロプラクターは「フィジシャン」の名称を使用することが認められている。
・ケイマン諸島、イラン、アラブ首長国連邦、アメリカ

職業を認める法律は存在しない国(例:アイルランド)を含むさまざまな国では、「ドクター」の名称は容認されているが認可されていない。
患者が医師の診察にかかっていると誤解させない範囲で「ドクター」や「フィジシャン」といった名称を使用しなければならないという回答がいくつかあった。一般的な認可された名称は、「ドクター・オブ・カイロプラクティック」と「カイロプラクティック・フィジシャン(医師)」である。 (次号につづく)

(資料提供:日本カイロプラクターズ協会 URL:www.jac-chiro.org


<<連載>>
カイロプラクティック・エネルギー治療へのパラダイムシフト <第14話>
       保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


情報をどこまで深く知るかどうかで
治療の効果も大きく異なってくる

(前号からのつづき)
ロッシはさらに、ストウニアによる情報とエネルギーの等式と、アインシュタインによるエネルギーと質量の等式を統合し、質量、エネルギー、情報の三者の間で実験的に検証可能な公式を得ることが、心身の相互関係を追求する科学における、最も挑戦の名に値する、最先端の問題であると述べている。
情報は遺伝子から始まるとされ、ノーベル賞を受賞した分子生物学者M・アイゲンは、生命の起源を自己複製する拡散の最初の集合にまでさかのぼり、それが遺伝子を形成する過程をたどり、「遺伝子の暗号こそ情報の真の起源」だとした。だとすれば、情報こそが、遺伝子を変える根源になると言えないだろうか?
そうだとすれば、治療家がこの「情報」という価値をどこまで深く知るかどうかによって、治療の効果も大きく異なってくるであろう。実際、ファミリーカイロプラクティックセンターでは、検査・治療において、情報という深い概念を利用して様々な手法を用いている。その一つとして“イメージ情報”によって「患者の身体に聞く」「患者の潜在意識に聞く」という検査法がある。以下にその概略を記してみる。

狭い固定観念に縛られることなく、
「情報」という概念を応用して実践する

人間の身体は様々な情報に対して、心(潜在意識)−脳−神経系−筋肉系を通じて反応を示す能力を持ち備えている。情報が物理的エネルギーに変換されて神経系に作用を及ぼし、筋肉系に変化を示すのである。その情報は実際のモノであったり、モノや動きのイメージであったり、その情報をコピーした写真情報であったり、水に転写された波動情報であったりする。しかも、その情報は第3者のイメージを通じて転送させることも可能である。
例えば、乳幼児や子供の検査治療を行おうとするとき、乳幼児・子供がイメージできない場合は、母親が代わりにイメージすることでその情報は子供の身体に転送され、その情報に対する身体反応を術者は、子供あるいは母親の身体を通じて検査分析することが可能である。
また子供の湿疹などの原因情報は、その子供の環境によって様々であるが、特に母親の栄養面、精神面の原因情報が絡んでおり、その原因情報の検査が正確であればあるほど治療効果は顕著に現れる。
関節の痛みなども、生体内ハード面の検査(AMCTによる検査)には異常反応が検出されず、生体外ソフト面に異常反応を示す場合もある。そのときは生体外ソフト面の原因情報が特定できると、患部に触れなくとも適切な治療を行えば症状はその場で改善されることが多い。
(次号につづく)


補完・代替医療の真贋を斬る!【連載⑬】

   長谷川淳史(TMSジャパン代表)
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アガリスクの安全性

Liu らが行なったパイロット研究では、健常成人11名(平均 43.6歳)にアガリクス錠(9g/日)を6か月間摂取させたところ、体調、肝機能および腎機能に変化はなく、有害事象は認められなかったという。
ところが、薬剤性肝障害を起こす原因物質としては、ダイエット食品を除けばアガリクスはウコンに次いで2番目に多いという報告がある。また、天然のキノコ類には発がん物質のアガリチン(弱い遺伝毒性を持つ)が含まれており、東京都立衛生研究所の調査ではアガリクスから1〜11μg/g のカドミウムが検出されている。
カドミウム濃度 0.2〜1.0μg/g の米でタイタイタイ病の症状が出ることを考えれば、その5〜50倍のカドミウムを含んでいるアガリクスは、もはや健康食品といえるような代物ではない。事実、アガリクスによる健康被害が多数報告されている。以下参照。

・アガリクスの摂取中に発熱および肝機能マーカー(AST、ALT、総ビリルビン値)が上昇し、肝炎と診断されたが摂取を中止すると正常値に戻った卵巣がんの60代女性。

・アガリクスを数日間服用した後に強い疲労感に襲われて入院し、AST、ALT、総ビリルビン値、プロトロンビン時間の上昇から急性肝炎と診断され、入院7日目に劇症肝炎で死亡した乳がんの50代女性。

・アガリクスを数日間服用したところ、食欲不振、吐き気および嘔吐などを訴え、肝機能異常 (AST、ALT、総ビリルビン値の上昇) のため入院したが、入院7日目に劇症肝炎
で死亡した骨転移があった乳がんの40代女性。

・健康増進を目的にアガリクスを摂取していたところ、3か月後に全身の掻痒感、眼球結膜の黄染、褐色尿が出現し、薬剤性肝機能障害と診断され、摂取中止後 28 日目にほぼ回復した50代女性。

・術後の体力回復を目的にアガリクスを摂取していたところ、1か月後に全身の倦怠感、食欲不振、吐き気、皮膚黄染が出現し、薬剤性肝機能障害と診断され、摂取中止後3か月で回復した肺がんの70代女性。

・化学療法を受けながら自家製のアガリクス茸抽出液を飲用していたところ、激しい痒みと発疹が出現したが、服用中止後3日で改善した肺がんの70代男性。

・肝臓がんの入院加療中にアガリクスを摂取したところ、2週間後に呼吸困難が出現して薬剤性肺炎と診断されたが、摂取を中止しても改善がみられず、さらにステロイド剤のパルス療法を加えて改善した60代男性。

・胃がんの手術後からアガリクスを摂取したところ、3週間後に肝機能障害が出現し、摂取中止後3か月半で正常化したが、再度アガリクスを摂取して肝機能が悪化した50代男性。

・肺がんの手術直前からアガリクスの摂取を開始し、術後4日目に呼吸困難となり、摂取中止と同時に改善したことから薬剤性肺炎と診断された70代男性。

・アガリクスの摂取でALPとγ-GTP値が上昇した、胃十二指腸潰瘍と鉄欠乏性貧血の50代女性。
(この項次号につづく)


【連載コラム】

“連動操体法”について、ちょっとばかり… (14)

       根本 良一(療動研究所主宰)


5. どのようにまわすか?

まわすポイントとポジションがわかったら、どのようにまわすかが次のステップとなる。

・握り方……軽く手指を添える。握るのではなく、手の重さを、まわす中心になる中足指節関節裏へ人差し指第2節を当てて載せ、ここを軸にしてコマの歳差運動のように丸く、ゆっくり、気持ちよくまわす。
親指は握らずに軽く添える。まわすときは動きに遊びがあることが大切。

・方向……左右・内外へ大きく(100%)まわしてみて、ゴロゴロする方は不快な方であるから止め、スムーズにまわる方を選ぶ。

・大きさ……無理のない範囲で、なるべく大きく、しかし痛い、不快などの危険域に近づかないよう、70-80%程度が良い。

・速度……ゆっくりが喜ばれるが、ときどき例外がある。本人にどのくらいの速度がよいかまわしながら確認して、「その人の快い速度」を選んで行う。

【ヒント】時間があるときは、足指をまわしてあげる。そうして指関節が柔らかくなると、身体のいろいろなところが動いて、どこといわずラクになるからである。まわし方によってラクになったり、あまり影響がなかったり、時には悪くなるということもある。悪くなりそうなときはすぐにやめる。どうして?と思いながらまわし方を変えてやっていると、ときどき「あー、そこはラクになるー」と言われることがある。それはどこと決まっていない。首であったり、手であったり、足であったり、捉えにくい。連動の、連動たるちょっとしたゆえんである。
(次号へつづく)


*** N *** E *** W *** S ***


NEWS ■ジョギングが寿命を延ばす-スローペースがベスト


定期的なジョギングにより、寿命が約6年延びる可能性がデンマークの研究で示された。心臓病専門医(Bispebjerg大学病院)Peter Schnohr氏は、「定期的なジョギングによって寿命が延びると断言できる。それもたくさんしなくてもよい」と述べている。同研究は、1976年に開始されたもので、20〜93歳の約2万人を対象としたもの。
研究ではジョギングをする人としない人の死亡率を比較した。ジョギングをする男性1,116人/女性762人に、ジョギングの速度や1週間に走る距離を尋ねた。35年の追跡期間中、ジョギングをしない人1万158人、する人122人が死亡した。このことから、ジョギングをする男女は死亡リスクが44%低く、男性は6.2年、女性は5.6年寿命が長いことがわかった。週に1時間〜2時間半のスローペースでのジョギングで、最も有意な効果が認められたという。
ジョギングには寿命の延長に寄与する健康効果がいくつかあり、以下の点で改善がみられるという:
・酸素摂取量・インスリン感受性・脂質状態(HDL [高比重リポ蛋白] コレステロールが増加、トリグリセライド(中性脂肪)が低下)・心機能・骨密度・免疫機能・心理的機能
Schnohr氏は「心理的健康状態の改善は、ジョギングの際の社会的交流によるものと考えられる」と説明している。さらに「ジョギングは血圧降下、血小板凝集の減少および肥満防止にも有用である」と付け加えている。


NEWS ■エナジー・スポーツドリンクが若者の歯を浸食


スポーツドリンクおよびエナジードリンクが、強い酸性によって歯のエナメル質を浸食し、若者の歯に不可逆的な損傷をもたらすとの報告が、医学誌「General Dentistry(一般歯科学)」5/6月号に掲載された。
スポーツドリンク13種類およびエナジードリンク9種類の酸性度を分析。「5日後にはエナメル質の損傷が顕著となり、エナジードリンクによる損傷はスポーツドリンクの2倍であった」と研究グループは報告している。
米国ではティーンの30〜50%がエナジードリンクを摂取し、62%が少なくとも1日に1本を飲んでいるという。飲んだ後は口腔内の酸性度を正常に戻すために無糖のガムを噛むか、口をすすぐよう勧めている。また、こういったドリンクの摂取後は、歯の表面に酸を広げないよう、1時間以上待ってから歯を磨くべきであるという。


NEWS ■9時間以上寝れば肥満遺伝性影響は少なく7時間未満だと影響大


「Sleep diet」が、体重増加傾向の遺伝を有する人たちにとってスリム化をもたらす方法となるかもしれない。9時間超の睡眠は、体重増加の遺伝要素を抑制し、睡眠不足は逆の効果を示すという。
研究は同じ遺伝子を有する双生児で環境要素をみたもので、BMIの遺伝性が長期睡眠者に比べ短期睡眠者では2倍ほど影響があると報告されている。睡眠7時間未満の双生児の片方はBMIの影響が70%であり、もう片方の9時間超の睡眠の場合は32%の影響だとしている。
http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/05/97.html


NEWS ■寿命への影響は人種・地域よりも社会的因子が大—米国


70歳まで生存する確率を示す指標として、人種や地理的な要因よりも、教育・所得・職業などの社会経済的な因子群の方が優れていることが、新しい研究で示された。研究を行った米スタンフォード大学医学部は、「これまで人種および居住する地域が寿命の最も優れた指標となると考えられてきたが、この知見はそれに疑問を投げかけるものである」と述べている。
研究では、米国の各郡に暮らす人が70歳まで生きる確率に関するデータを検討した。このデータをまず性別および人種によって区分したが、その後、別の因子が平均余命にどのような影響を及ぼすかを検討した。分析の結果、各地域の社会的条件(教育・所得・職業・婚姻状況など)に関連する因子を分析に含めると、人種および地域による健康状態の差が事実上消失した。
Mark Cullen教授は、「最も問題となるのは社会的・環境的特徴と人口である。その郡での高校を卒業した成人、管理職や専門職に就く人、両親がいる家庭に暮らす成人の割合など特定の因子を考慮した場合、南部に暮らすなどの地理的因子は意味がなくなる」という。


NEWS ■健康リテラシーが低い高齢者は死亡率が高い–イギリス


イギリスの高齢者の約3分の1は健康リテラシー(健康情報を読解する能力)が十分でなく、理解力が低い人ほど死亡率が高くなることが、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの調査で明らかとなった。健康リテラシーの低さが、有害な健康アウトカムと関連することが示されている。米国の2つの試験が、低い健康リテラシーにより高齢者の死亡率が上昇することを報告しているが、イギリスでは高齢者の健康リテラシーの問題は検討されていなかった。
研究グループは、イギリスの高齢者の死亡と健康リテラシーとの関連を評価する地域住民ベースの縦断的コホート試験を実施。対象は52歳以上の7,857人。
参加者は4項目のテスト(アスピリンの服用に関する書面での指示の理解力を評価)を受けた。全問正解の場合に健康リテラシーが高いと判定し、不正解が1問の場合は中等度、不正解が2問以上の場合は低いと判定した。「これらの知見は、イギリスにおける高齢者の健康関連サービスの計画や提供の仕方に影響を及ぼすと考えられる」と指摘している。


NEWS ■「温泉医科学研究所」を開設。温泉や入浴の効果を検証


温泉療法や気候療法など、自然環境を利用した自然療法などの研究を行っている日本健康開発財団は、温泉や入浴に特化した研究拠点「温泉医科学研究所」(東京都中央区)を開設した。日本人にとってなじみの深い温泉や入浴の効果について科学的に検証していくという。
開設は4月1日。温泉療法の専門医でもある早坂信哉・大東文化大准教授(医学博士)が所長を務め、大学や自治体、企業などと連携して研究を行う。
研究対象は「温泉」と温泉・家庭の内風呂・銭湯での「入浴」。主任研究員の後藤康彰さんは「日本には世界最大規模の温泉資源、長い歴史を持つ温泉文化がある。日常的に40℃程度の湯につかるのも日本人ならではの生活習慣。これらの効果について医科学的な根拠を構築していく」と話す。
具体的には、温泉地に滞在することによるストレスの緩和、湯船につかることによる眠りの質改善、温泉や入浴の長寿への影響などについて、医学的、疫学的に研究を行う。研究成果を応用し、温泉・入浴などを活用した健康づくりの提案なども行っていく。


NEWS ■生涯未婚の男性、2割を突破…30年で8倍


50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合である生涯未婚率(2010年時点)は、男性20.1%、女性10.6%と、初めて男性が2割台、女性が1割台に達したことが4月30日わかった。政府が6月初めに閣議決定する2012年版「子ども・子育て白書」に盛り込まれる。
1980年時の生涯未婚率は男性2.6%、女性4.5%で、今回は30年前より男性が約8倍、女性が2倍以上に増えた計算。男女ともに90年頃から生涯未婚率が急上昇している。年代別の未婚率を見ると、25-29歳では男性71.8%、女性60.3%だった。30-34歳は男性47.3%、女性34.5%。35-39歳は男性35.6%、女性23.1%となっている。


NEWS ■統合医療も「EBMで評価できる」-厚労省検討会


小宮山洋子厚生労働相は4月25日、「統合医療」のあり方に関する検討会の冒頭にあいさつし、統合医療の推進が求められる理由について、「がんや生活習慣病などの慢性疾患に対しては、近代西洋医学が必ずしも万能ではないという意見もあり、伝統医療などへの関心が最近特に高くなっている」と述べた。
検討会では、統合医療研究の代表者を務めた福井次矢・聖路加国際病院長から聴取した。福井氏は、統合医療にもエビデンスに基づいて医療を評価するEBMの考え方を導入できるとの考えを示した。
現在、エビデンスを証明する実験方法として「ランダム化比較試験(RCT)」が主流となっているが、従来の近代西洋医学に漢方や鍼灸、サプリメント療法などを取り入れた統合医療は、RCTで評価しづらいとされている。しかし福井氏は、「評価方法はRCTでなければだめというわけではない」と指摘。被験者集団の健康状態を一定期間追跡する「コホート研究」などを例に、RCT以外の方法を用いるよう提案した
この日の検討会で厚労省は、統合医療に含まれるとされる治療を誰が提供するかによって3通りに分けた資料を提示した。医師の指示の下で実施されるあん摩マッサージ指圧や温泉療法が「医師により提供されるもの」に、きゅう師によるきゅうや、薬剤師の服薬相談の下で服用される一般用漢方薬が「医師などの医療関係者により提供されるもの」に、音楽鑑賞や森林浴、サプリメントなどが「医師など以外の者または患者・利用者自身の判断で提供されるもの」に分類された。
また「資格を持った人が施術者ならおそらく医療に入るが、患者自身の判断で提供できるものはどうなのか」「ドクターが主導で、医療従事者がチームでやるのが統合医療ではないか」などの疑問も提示された。


■次号のメールマガジンは2012年6月10日ごろです。お楽しみに。


[発行]産学社エンタプライズ