エンタプライズ発信〜メールマガジン【№13】2012.4
長い時間座りっぱなしの生活は健康に良くなく、身体活動量が多い生活は健康に良いことは広く認識されています。WHO(世界保健機関)は、中等度以上の強度の有酸素運動を週に150分以上実施する生活を推奨しており、これを続けると心血管疾患や2型糖尿病、一部の癌などの慢性疾患のリスクが低下するとしています。先月にはシドニー大学の研究者が、1週間の運動時間で調整しても、1日の座っている時間の合計が長くなるにつれて、全死因死亡リスクが有意に上昇することを大がかりなデータをもとに明らかにしました。反面、座っている時間を減らし運動する時間を増やせば死亡リスクは低下することも示されたのは座業の多い人には福音です。気になる方にとってはまだ遅くはないということです。概して事務職や公務員、クリエイティブなどの人たちは座ったままの状況がとかく続きますが、座ったままで足の背屈・底屈を繰り返しするだけでも腓腹筋や周辺の筋を刺激するし、下腿は第2の血液ポンプとも言われるので循環流通にも一役買います。とはいえ1時間に1回は席を離れて有酸素運動を取り入れると杞憂の必要もなくなるかもですよ。
★☆★━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━★☆★
【1】<TOPICS>
『エネルギー医学の原理』の著者Dr.オシュマンが講演
心身条件反射療法(ニューロパターンセラピー)セミナーを開催
【2】<REPORT> オシュマン博士の講演に参加して
【3】WHO『健康の社会的決定要因 確かな事実の探求』第2版
【4】CHIROPRACTIC REPORT「法的状況の国際調査報告書」
【5】カイロプラクティック・エネルギー治療へのパラダイムシフト
【6】補完・代替医療の真贋を斬る!
【7】“連動操体法”について、ちょっとばかり…
【8】N・E・W・S
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【Topics】
◆『エネルギー医学の原理』の著者Dr.オシュマンが講演◆
弊社刊の『エネルギー医学の原理』の著者Dr.ジェームズ・オシュマンが3月20日、福岡県久留米市において、エネルギーが医療にもたらす効果や健康への要訣などについて講演をしました。
Dr.オシュマンは、「太陽のスピリチュアルな科学」をテーマにエネルギーおよび生体エネルギーのことを分かりやすく解説、医療者にとっても臨床研究や患者教育などにアシストできる内容でした。また、だれでも実践できることや、大地のエネルギーを取り入れることができるグッズも紹介しました。(講演の概要は下のREPORTで紹介)
【Topics】
◆心身条件反射療法(ニューロパターンセラピー)セミナーを開催◆
4月1日、2日の両日にわたって、心身条件反射療法(ニューロパターンセラピー)セミナー <basic1>が開催された。
心身条件反射療法とは、心-脳・神経系-生体との関係性(心身相関)を、条件反射作用に基づいて検査し、精神面(ソフト)と肉体面(ハード)との適応系統(生命エネルギーネットワーク)を構築するエネルギー療法である。今年から「エネルギーブロックとその関連パターンの学習記憶を調整する」というシンプルな定義に基づいて進行される。
非常に高度な内容ではあるが、講師の平易な語り口、視覚的にもわかりやすいテキストが用いられており、実技とともに十分に理解が進む講義が行われた。
次回は6月30日-7月1日にbasic2が東京・日赤本部で開催される。
【 【 REPORT 】】
“オシュマン博士の講演に参加して”
………保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長・DC)………
「エネルギー医学のDr.オシュマンが久留米市で講演するそうです」と、出版社の方から驚きの一報をいただいた。「あのオシュマン博士が!? 久留米に…」心がソワソワした。7年ほど前になるが、エンタプライズ社から翻訳出版された『エネルギー医学の原理』、それに続く『エネルギー療法と潜在能力』という本を読んだ時の感動は今でも覚えている。当時、このような奥深い研究をされているオシュマン博士という人はどのような人物なのだろうかとネットで検索した。何かセミナーを行っているのであれば、海外でも出向いて行こうかと考えたくらいだった。
そのオシュマン博士が、東京ではなく私のオフィスがある福岡市に隣接する久留米市に来られるという。縁のある人が久留米市に在住するとの理由のようだが、私は何かの引き寄せだろうと勝手に思い込む。その日はすでに予定が入っていたが、なんとか調整してオシュマン博士の講演だけを拝聴させていただくことができた。講演の冒頭から、生体エネルギーを体感できるワークから入り、そのワークと講演の内容とが結びつくようにプレゼンテーションが構成されていた。生体エネルギーという目には見えない存在を、できるだけ一般の方々に分かるようにという工夫がなされていた様子が伺えた。
講演内容は、上述の2冊の著書に書かれていることが主な内容で、その内容は私たちが主催している心身条件反射療法(ニューロパターンセラピー)研究会の講義などに引用していたのでよく理解できた。私は開業当初から臨床の現場で施術効果の本質を研究している治療家である。カイロプラクティックや鍼灸、その他各種療法で「なぜ、効果があるのか?」「その背景には何があるのか?」その本質を臨床現場で何度も検証に検証を重ねてきている。そして、様々な施術法の効果の本質を洞察していると『振動』=『エネルギー』というキーワードの共通概念が浮かび上がってきた。我々が引き出す施術効果というものは、『生体エネルギーの変化』によってもたらされているという事実が見えてきた。
以来、セミナーや研究会の講演では、『身体はエネルギー的に見なければならない』と治療家に指導しつづけている。カイロプラクティックのアジャストメント(矯正)で特に誤解されているのが関節の「ズレ」の矯正である。アジャストメントによる「ボキッ」という関節音とともに、あたかも関節の「ズレ」が整復されたかのような錯覚に陥る傾向にある。しかし、カイロプラクティックのアジャストメントは、脱臼の整復とは異なる。「ボキッ」というアジャストメントの後に症状が軽減、あるいは消失した場合、「ズレ」が矯正されたから症状が改善されたのだと思い込んでしまう。
しかし、それは本質的な原因と結果ではない。本質的な効果は、「ズレ」の矯正によるものではなく、振動刺激によってもたらされた生体のエネルギー的変化によるものである。そのことを『どのように科学的に証明されるのですか』と尋ねられると、『臨床的には証明ができるが、科学的なデータはありません……』と答えるしかない。生体エネルギーによる治療効果は、カイロプラクティックに限らず各種療法の施術効果に共通していて、目には見えない生体エネルギーによるため、そのことを科学的に証明できる検査手法やデータによる検証が乏しいのが現状である。しかしオシュマン博士の著書は、幅広い情報で我々の臨床的効果を科学的にバックアップしてくれていると私は思う。
大げさに聞こえるかもしれないが、私はオシュマン博士の本に触れて救われた気がした。なぜならば、オシュマン博士の本が出版される前から治療哲学として機械構造論から有機生命論へのパラダイムシフトの必要性を感じ、どのようにしてその概念を分かりやすく伝えることができるのかと案じていた時だったのである。まさに絶妙なタイミングでオシュマン博士の著書に出会うことができたと感謝している。そして、今回も絶妙なタイミングでオシュマン博士の講演を拝聴することができ、自分が目指す方向性を新たに再確認させていただくことができた。
現代医学の機械構造論に慣れ親しんでいる人々にとっては、この目には見えないエネルギー医学の分野は眉唾もののように受け止められかねない。しかし、オシュマン博士が書かれた著書は、本質的な施術法を追い求めている我々臨床家にとっては心強い情報であり、理論と臨床とが螺旋のごとくかみ合いながら我々の方向性を勇気づけてくれる。自然治癒力を引き出すことを目的に施術を行う治療者にはぜひオシュマン博士の著書を熟読していただき、臨床と理論を矛盾なく結びつけて、多くの患者さんに幅広く貢献していただければと願う。
<<< 連 載 ④ >>>
【REVIEW】
WHO『健康の社会的決定要因 確かな事実の探求』第2版
<訳:WHO健康都市研究協力センター・日本健康都市学会・健康都市推進会議>
はじめに INTRODUCTION – 続き -
健康保健政策はかつて、医療の供給と財源確保に関するものにすぎないと考えられていた。健康の社会的決定要因は研究者の間のみで議論されていた。いまや、状況は変わってきている。医療行為により寿命は伸び、重大な疾病の予後も改善された一方で、人々の健康に関して一層重要なことは、人々が病気になり医療が必要となるような社会経済環境そのものである。しかし依然として、医療への普遍的なアクセスは明らかに健康の社会的決定要因の一つである。
また、なぜ健康の社会的決定要因の最新版には遺伝子についての記述がないのであろうか。ヒトゲノムについての新発見は特定の疾病への理解と治療の観点では素晴らしい進歩を遂げたが、どんなに個々の人が遺伝子的に病気にかかりやすいとしても、人々に影響を与える疾病の共通要因は環境的なものである。
これらの要因は、私たちの生活様式を反映するものなので、遺伝子のゆっくりとした変化よりも格段に早いペースで動いている。このために近年の平均余命は劇的に改善されたのである。また欧州の一部の国では人々の健康状態が改善された一方、他の国々では改善したとは言えず、このため社会や経済の状況の変化に伴い、異なる社会的集団では健康格差が広がったり狭まったりするのである。
この冊子が元とする根拠は何千という膨大な量の調査報告書から来ている。中には前向き調査で、何十年も何万という多くの人々を、それも生まれたときから追跡したものもある。また横断的調査法を用い、個々の人、地域、国内外のデータを研究したものもある。時には因果関係を特定する際(おそらく追跡調査をしても)困難が生じ、それを介入研究やいわゆる自然実験、あるいは他の霊長類の研究からの根拠を用いて解決したものもあった。しかし、健康とそれに影響を与える主要な因子は経済の発達の度合いに左右されるものなので、読者各位はこの冊子の元となった根拠は富裕な先進国のものであり、開発途上国のものは限られているという点を忘れないでいただきたい。(次号につづく)
■□■□CHIROPRACTIC REPORT □■■□
『カイロプラクティック業務に関する法的状況の国際調査報告書』(5)
2.2.1 定義の実例
f) パナマ(1974年):
カイロプラクティックは脊椎サブラクセーションやその他異常な位置関係の関節、健康障害を引き起こす脳および内臓、組織での神経インパルスの発生や伝達、正常な表現を阻害する構造を正すために行う、人体のアジャストおよびマニピュレーション、治療のそれぞれの科学から成り立つ職業である。
g) フィリピン(2010年):
カイロプラクティック、神経筋骨格系の障害とそれが及ぼす健康全般への影響を診断、治療、予防する専門職であり、関節アジャストメントとマニピュレーションを含む徒手療法を特徴とし、とくにサブラクセーションに注目する。(基礎教育と安全性に関するWHOカイロプラクティックガイドラインに表記のWHO定義を使用している)
h) 南アフリカ(1982年)
次の法令は、カイロプラクターの職業に関連するものである。
・X線プレートの撮影、読影、分析にかかわらず、患者の身体欠損、病気、障害を診断する目的で行う理学検査
・脊椎、骨盤、脊椎内臓と一般的な人体の神経筋骨格系の症状に関わる下記の方法を用いた身体欠損、病気、障害の治療もしくは予防である。
【マニピュレーション/アジャストメント、電気療法、運動療法、水治療法、牽引療法、温熱療法、振動療法、固定療法、神経筋反射療法、マッサージ、鍼治療/指圧、もしくは漢方薬/食事指導または栄養サプリメント】
(次号につづく)
(資料提供:日本カイロプラクターズ協会 URL:www.jac-chiro.org)
<<連載>>
カイロプラクティック・エネルギー治療へのパラダイムシフト <第13話>
保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)
エネルギー治療のキーワードは
「情報」=「エネルギー」=「物質」
(前号から続く)
エネルギーとは「情報」であり、様々な波動情報が集まってエネルギーを生み出すということが言えるだろう。日本に古くから伝えられている「言霊」という意味も、様々な言葉の情報に、それぞれの言葉のエネルギーが含まれているということである、江本勝氏は『水からの伝言』という水の結晶写真集でそのことを証明した。この本を読んでみるとそれぞれに受け止め方もあるであろうが、ここで紹介されている本質は、「情報」=「エネルギー」=「物質」ではないかと考えている。
『情報物理学の探求』の著者であるストウニアは、「情報」とは宇宙の構造と組織そのものである、という大胆な情報物理学理論を提唱した。近代科学は「物質」の研究を中核に据え、今日でもほとんどの人が、宇宙は物質から成り立っていると考えている。しかし、19世紀から20世紀にかけて「エネルギー」の研究が人々の関心を集めはじめ、それはアインシュタインの相対性理論の有名な等式 E=MC2で最高潮に達した。この式ではエネルギーと物質(×光速の2乗)は互いに交換可能となっている。そして1990年代にストウニアによって、ついに「情報」が物質とエネルギーと同等の地位をもつ「宇宙の根本原理」として認められたのである。つまり物質とエネルギーと情報は互いに変換可能だということになる。
この意味するところは、ファミリーカイロプラクティックセンターでの治療の効果も、生体内ハード面の生物学的レベル、さらには生体外ソフト面の心理学的レベルまでに及んだ情報の変換、ならびにエネルギー変換の結果であると考える。
情報をどこまで深く知るかどうかで
治療の効果も大きく異なってくる
情報物理学の考えを心身相関の医学に応用したアーネスト・ロッシは、次のように述べている。変換とは、物質、エネルギー、情報がある形から別の形に転換あるいは変形することである。風車は風のエネルギーを羽根の機械エネルギーに変換する。羽根の機械エネルギーが発電機に伝えられれば電気エネルギーに変換され、今度はそれが電球によって光エネルギーに変換される。バイオフィードバックの典型的な臨床への応用では、筋肉の緊張という生物学的な「エネルギー」が測定計器の目に見える「情報」に変換され、それを通じて被験者は自分の筋肉の緊張度を変化させることができる。このような例や、情報、コミュニケーション、サイバネティック理論の基本概念から、すべての生物を情報変換システムとみなす考え方が生まれたのである。(次号につづく)
補完・代替医療の真贋を斬る!【連載⑬】
長谷川淳史(TMSジャパン代表)
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アガリスクの有効性
アガリクスはがん患者がもっとも多く利用しているサプリメントなのだから、その有効性を示す臨床試験が数多く存在すると思いきや、実際にはヒトを対象にした研究はほとんど行なわれていない。免疫賦活作用や 抗腫瘍作用があるといっても、がん患者ではなく 試験管内かマウスを使った実験 によるものである。
たとえば Mizuno らは、 アガリクスの熱水抽出物をマウスに経口投与したところ、脾臓細胞内に Leu4陽性細胞 (pan T cell) ならびに CD4(ヘルパーT細胞)、CD8(キラーT細胞)が陽性化したリンパ球の増加がみられたことから、アガリクスはヒトのがんを予防する可能性があると報告している。
Fujimiya らは、腫瘍細胞を腹部右側と左側の皮下に移植したマウスを用い、アガリクス 子実体の酸化処理転写因子(ATF)を原発腫瘍に注入した結果、抗腫瘍活性が著しく上昇したナチュラルキラー細胞が離れた腫瘍部位にまで浸透していた。また試験管内における観察によると、ATFはアポトーシスによって腫瘍細胞を直接抑制したと報告している。つまりアガリクスの 抗腫瘍作用は、 ナチュラ
ルキラー細胞の活性化とアポトーシスによってもたらされるというのだ。
Liu らは、マウスにアガリクスの熱 水抽出物もしくは冷水抽出物 を経口投与したところ、抗腫瘍作用(腫瘍増殖の抑制)、炎症性サイトカイン抑制作用(TNF-α の増加抑制)、肝臓保護作用(GOT上昇の抑制)が確認されたと報告している。
もちろん、試験管内や動物実験で得られた結果が、そのままヒトにも当てはまると考えるのは危険である。しかし、がん患者ではないものの、 Liu らは健康な成人を対象にパイロット研究、すなわち本格的な臨床試験に進む価値の有無を判断するために、とりあえず少人数を対象に行なう予備的研究も行なっている。
まず、健常成人8名(平均 22.3 歳)を対象とした二重盲検クロスオーバー試験では、プラシーボ群では変化がなかったのに対し、アガリクス錠( 3g/ 日を7日間)摂取群では末梢血におけるNK細胞の活性化が認められている。
また、健常成人 12 名(平均 45.3 歳)にアガリクス錠( 3g/ 日)を3ヶ月間摂取させたところ、体重、BMI、体脂肪率、内臓脂肪率、血糖値の低下がみられたという。
やはりがん患者ではないが、 Hsu らもヒトを対象としたパイロット研究を行なっている。 2型糖尿病に1年以上罹患しており、グリクラジドおよびメトホルミン(いずれも糖尿病治療薬)を6ヶ月以上服用している中国人 72 名 (20 歳〜 72歳) を対象とした二重盲検無作為対照試験である。 それによると、 1 日 1500mg のアガリクス抽出物を 12 週間摂取した群は、プラシーボ群に比べて空腹時の HbA1c、インスリン濃度、インスリン抵抗性が低下し、血漿アディポネクチン濃度の上昇が認められたという。
しかしながら、これだけの情報ではアガリクスの有効性を判断できない。事実、国立健康・栄養研究所も「ヒトに対する有効性については参考になる十分なデータは見当たらない」としている。(次号につづく)
【連載コラム】
“連動操体法”について、ちょっとばかり… (12)
根本 良一(療動研究所主宰)
4.足指をまわす際のポジション
・受ける人のラクな姿勢……これまでの操体法では仰向けに寝て行うよう指導されてきたが、かならずしも良い姿勢ではない。そこで以前から奨励している厚手の座布団を6/4折にして、合わせ目を尻のほうへ、折り目を膝下にくるよう挿入するとよい。
・受ける人の角度……操作する人は、足に直角より30°くらい受者の方へ向いて座る。この位置は、肩が前に出ることで、まわす腕の重さが自然に足指の付け根に載り、心地よい。またこの向きなら、受者との対話がしやすい。
・脚をサポートする……まわす足の逆方の腿の下へ、柔らかな、枕くらいのものを入れると、まわす指が柔らかくなり、受ける人の快感が増す。大腰筋がリラックスし、逆方の脚から足指が柔らかになるからである。
・操作する人のラクな位置……せっかく周囲の設定がよくても、一番大事な 《操作する人》 がラクではなくては効果が上がらない。正座するとか椅子にかけて行うと、操作勝手がよく、良い姿勢でラクに行うことができる。無理な体勢で行うと、せっかくのスキルが十分発揮できないことになる。
(次号へつづく)
*** N *** E *** W *** S ***
NEWS ■2週間余で神経幹細胞—損傷治療へ前進・慶応大学■
マウスやヒトの皮膚細胞を2〜3週間弱で神経のもとの幹細胞に直接変えたと、慶応大医学部の赤松和土講師や岡野栄之教授らが3月28日付の米科学誌ステム・セルズ電子版に発表した。
ヒトの皮膚細胞を人工多能性幹細胞(iPS細胞)に変えてから神経幹細胞にする場合は2〜6カ月かかる。マウスでは従来の直接作製法に比べ、より有効で安全性が高いことが確認され、脊髄損傷や筋萎縮性側索硬化症(ALS)の再生医療実現に前進した。
赤松講師らは、大人や成体マウスの皮膚細胞に、iPS細胞を作る時と同様に4遺伝子を導入して培養。その後、培養液に「EGF」というたんぱく質を加えつつ、iPS細胞作製に必要なたんぱく質を抜くことで、神経幹細胞に直接変えた。マウスでできた神経幹細胞は、神経細胞のほか、神経細胞の周囲で支援するグリア細胞を多く生み出すことが判明。脳に移植して2カ月間観察した結果、腫瘍ができることなく生着していた。(3/28、時事通信社)
NEWS ■『現代型不眠』 多く約7割が睡眠に問題■
武田薬品工業は3月23日、現代人の睡眠の実態に関するセミナーを開催し、20〜60代の男女約6000人を対象に行ったライフスタイルと睡眠に関する意識調査の結果を公表し、日本人の約7割が睡眠に問題を抱えているという実態を明らかにした。
同社は今年2月に現代人の睡眠に関する実態調査を行い、その結果「睡眠の問題有り」との回答が68.7%にものぼり、日本人の約7割が睡眠に問題を抱えていることが浮き彫りとなった。具体的な内容としては「夜中に目が覚める」が29.1%で最も多く、次いで「熟睡感が得られない」23.8%、「なかなか起きられない」22.6%などがあげられており、特に女性・未婚・若い世代で高い割合を示した。
さらに「睡眠に問題有り」とした人のうち、睡眠について悩んでいる・気にしている人は4割強を占め、その中の約6割が悩んでいながらも何の対処もしていないことから、同社では生活習慣の改善や薬物治療の適切な介入など啓発を進め、症状改善につなげていきたい考えだ。(4/4、読売新聞 )
NEWS ■PT・OTの合格率、8ポイント超アップ■
厚生労働省は30日、第47回理学療法士(PT)/作業療法士(OT)の国家試験の合格発表を行った。PTの合格率は前回より8.1ポイント高い82.4%、OTは8.6ポイント高い79.7%となった。
PT国家試験の受験者は前回比1481人増の1万1956人で、合格者は2064人増の9850人だった。またOT国家試験の受験者は3人減の5821人、合格者は499人増の4637人だった。
NEWS ■精神科入院の24%に被ばく恐怖影響――福島県立医大調査■
東京電力福島第1原発の事故後に福島県内の精神科に入院・再入院した患者のうち、放射線被ばくの恐怖が関連した可能性のある人は24.4%と全体の4分の1に達したことが福島県立医大の調査で分かった。外来も事故関連とみられる新患は3割を占めた。
原発事故が精神疾患へ及ぼす影響を示す事故直後のデータは世界的にもなく、同大は大規模原発事故や長期の避難生活などが心にどんな負担となっているのか患者の追跡調査をしていく。
入院調査は同大神経精神医学講座の和田明助教らが、30病院に3月12日からの2カ月間のアンケートをし、27病院から回答を得た。(3/26、毎日新聞)
NEWS ■日医・横倉氏が見解「混合診療認めない」――医学部新設も否定的■
日本医師会(日医)の横倉義武会長は4日の会見で、保険診療と保険外の自由診療を併用する混合診療について、「保険給付範囲を縮めることになるため安易な導入は認められない」と強調し、強く反対していく方針を明確にした。また、医学部新設にも否定的な考えを示した。
横倉氏は、混合診療に反対する理由を、学校週5日制導入になぞらえ、「週5日制で何が起きたか。お金持ちの子どもが塾に行き、お金のないところは塾に行けないという教育格差が生じた。医療費が拡大しているとか、財源が足りないとかで、混合診療を認めることはできない」として、改めて混合診療に反対する姿勢を示した。
医学部新設問題について、横倉氏は「歯学部をたくさんつくったことで、定員割れの大学が出てきている。この現状を見ると、安易に医学部を新設することはできない」と述べた。
NEWS ■9割以上が漢方薬処方—医師千人にアンケート■
医師の9割以上が日常の診療で漢方薬を処方しており、病気の種類や患者の状態によって第1選択薬とする医師も3人に1人に上ることが、医師向け情報サイトを運営するケアネット(東京)のインターネット調査で分かった。3月上旬、同社の会員医師千人から回答を得た。
漢方薬の処方状況を尋ねると「西洋薬の効果に満足しない場合は処方」が最も多く42.4%を占めた。次いで「疾患・状態により第1選択薬とする」が34.1%。「患者から要望があった場合のみ処方」(14.1%)を合わせると、全体の9割以上が処方していた。
漢方治療に対する姿勢を問うと、「今後より積極的に取り組みたい」が21.3%、「機会があれば取り組みたい」が30.3%、「関心はある」が37.1%で、注目度の高さがうかがえた。(4/3、共同通信社 )
NEWS ■腸からの尿酸排出も重要—痛風に新たな仕組み■
激しい関節痛を起こす痛風の発症は、原因物質の尿酸を尿から出す機能だけでなく、腸から排出する機能が低下することも一因との新見解を、東京薬科大や防衛医大などのチームが4/3付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズに発表した。
チームの市田公美東京薬科大教授は「腸からの排出も重要だと判明したことで、腸からの排出を促す生活習慣の検討や、原因遺伝子を対象にする新しい治療法の開発につながる可能性がある」と話している。(4/4、共同通信社 )
NEWS ■<髄液漏れ>治療法に先進医療適用を申請–日医大病院■
激しい頭痛を伴う脳脊髄液減少症で、厚生労働省の研究班が「髄液の漏れ」の画像診断基準をまとめてから約半年。次の目標である治療法の保険適用を視野に、研究班に参加する医療機関が検査や入院費用に保険が適用される「先進医療」を先月中旬に申請した。交通事故で発症したのかが争われる民事訴訟でも、基準がどう補償に反映されていくのか注目される。
研究班は基準をまとめた報告書で「外傷による発症もまれではない」と強調し、基準に合致しなくても疑いがあるケースもあると指摘した。交通事故で発症した患者への補償に慎重な損害保険会社への影響が大きいとみられる。3月22日の参院国土交通委員会で国土交通省の中田徹自動車局長も「基準を自賠責の適用に活用するよう、保険会社に強力に働きかけた」と答弁した。(4/3、毎日新聞=一部収載)
NEWS ■自民党、「統合医療」推進で政策提言へ-今通常国会にも提出■
近代西洋医学に、漢方やはり・きゅう、健康食品などを取り入れた「統合医療」の推進に向け、自民党は党内のプロジェクトチーム(PT、座長=橋本聖子参院議員)で議論を重ねている。PTでは、政策提言をまとめて今通常国会に提出したい考えだ。
橋本座長は、統合医療の推進により、医療費の自然増を抑制できるとの期待感を示し、国に調査・研究機関がないことを問題視している。
PTでは、統合医療を推進すべきとの方向性では一致しているものの、各論をめぐっては意見が分かれており、政策提言の内容は「今後も勉強会を重ねて決める」という。
3月27日の勉強会では出席議員から、「整体・マッサージなどにいかがわしいものがあるから、統合医療に対する誤解や偏見が解けない」など、有効性・安全性を評価する仕組みづくりの必要を指摘する意見が出された。
■次号のメールマガジンは2012年5月10日ごろです。お楽しみに。
[発行]産学社エンタプライズ