エンタプライズ発信〜メールマガジン【№5】2011.6

政治に空白をつくってはならないのは国民生活のためにはいうまでもないことです。ましてや大震災後の復興施策や原発事故の収拾が未だついていないこの時にあって衆議院の解散などとは愚中の愚です。与党・民主党の内紛や権力争いは、政権交代を実現させた有権者からすれば今日のすべての政治家がいかに体たらくしているかをまざまざと見せつけています。野党もしかりです。いくら菅おろしを企図したとはいえ、超党派を組んでこの国難に立ち向かわねばならないときに、不信任決議案を持ち出し結局政争の具にしてしまった。菅首相が依怙地に解散を表明していたら、この国は世界から見離されていたはずです。いま被災者に政治を考え投票を思案する気力などあるわけがありません。すでにポスト菅を見込み根回しは進んでいますが、この局面をどうしたいのかを明確にし、国民の安心・安寧を少しでも増幅させ、政治の信頼を大きく回復させていく度量と革新の気概のある士が登場するのを待ちたいところです。

★☆★━━━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━★☆★
【1】統合医療の一翼を担う …あれこれシリーズ 「ホメオパシー」
【2】“推拿(すいな)”ってご存知ですか?
【3】カイロプラクティック・エネルギー治療へのパラダイムシフト
【4】補完・代替医療の真贋を斬る!
【5】“連動操体法”について、ちょっとばかり…
【6】NEWS
【7】刊行のご案内『チャートブック 骨格筋の解剖』『タオ性科学・男性編』
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お知らせ


◆ヒーリング・タオの著者・実践者、謝 明徳師が来日。◆

「チネイザン」や「タオ性科学」など小社からの出版物も数多い謝 明徳(マンタクチャ)師が来日し、ワークショップならびに個人セッションを披露します。独特の概念をもつ気功やマッサージなどを身近に見て学べる絶好の機会です。以下のスケジュールですので参加してみてはいかがでしょう。

【ワークショップ】
日時:6月17日(金)、18日(土)、19日(日) 9:30〜18:00
場所:代々木ニューパラダイムセンター(東京)
費用:78,750円(3日間)

【個人セッション】
日程:6月20日(月)、21日(火)、22日(水)
時間:予約制(セッション約1時間)
場所:代々木ニューパラダイムセンター(東京)
費用:52,500円

【お問合せ】
MMS(モダン・ミステリー・スクール)

http://mmsjapan.jp


## 統合医療の一翼を担う ……あれこれシリーズ② ##

“ホメオパシー” あれこれ。<第2話>

解説:板村論子(帯津三敬塾クリニック院長・日本ホメオパシー医学会専務理事)


「レメディとは…」

レメディは現在では3000種類以上あります。その原材料の約65%が植物由来で、そのほか動物、鉱物などです。
世界中の薬局などで売られているレメディの多くは物質のあるレベルですが、治療として用いるレメディには化学的な反応を引き起こす分子が存在しないレベルまで希釈されているものもあります。超希釈された液の浸み込んだショ糖の粒を用いるので、一分子も含まれてないのでは、ただの水ではないか、それがどうして効くのかと、誰でも疑問に思います。
これには連続的に薄めるごとにバイブレーション(振とう)が行われ、エネルギー的な変化として考えられています。超希釈によって薬剤の化学的物質性ではなく、薬剤の情報あるいはその物理的エネルギーが残り、それが身体のエネルギーと共鳴し反応が起こる。これは太陽の光で葉の光合成が起こるのと同じような考えだとする人もいます。よく「毒をもって毒を制する」ということがホメオパシーであるかのように言う人がいますが大きな間違いです。レメディの中には、トリカブトや砒素(ヒ素)のように、一般的に毒薬と見なされているものもありますが、身体の害のないレベルまで希釈されていることから問題はありません。

「ホメオパシーの診察とは…」

西洋医学にもとづいた診察や検査、予後の判断はもちろん、通常の診察に加え、ホメオパシーの問診を行います。ホメオパシーの診察は2つの柱からなっていると言えます。ひとつは病気の人をホリスティックに理解し、その人特有のパターンをとらえること、そしてそのパターンに最も類似したレメディを探すことです。喘息であっても一人ひとり違ったレメディとなり、オーダーメードにレメディを選んでいくのです。診察は待合室から始まっています。
患者さんの外見やジェスチャー、癖、アイコンタクトからその人を理解することが始まります。患者さんが自分から話をできるような場をつくっていくことも大切です。
問診は全身の状態として、体温、気候への反応、症状の悪化する時間や体位。発汗、睡眠、月経。食欲、食べ物の好みなど生理的な状態について質問をします。精神的状としては情緒面や性格面のほかに、意思、理解力、記憶などの認知に関する状態も聞いていきます。そして一番つらい症状については、原因や部位そしてどんな感覚があって、症状が悪くなったり良くなる要因を詳しく聞いています。

なお、一般社団法人日本ホメオパシー医学会では、毎年医療従事者(医師、歯科医師、獣医師、薬剤師)向けの研修コースを設けています。興味をお持ちの方は次のウェブサイトをご覧ください。http://www.jpsh.jp/entry.html


<<連載 ③>>

“推拿(すいな)”ってご存知ですか?

—-古えの『黄帝内経』に基づく手技療法
◆     孫 維 良 (東京中医学研究所所長、臨床中医推拿塾塾長)
・・・・・・・・・・・・・・・・推拿術者に求められる精神―「心・意・気」


前回は推拿療法における作用機序について述べましたが、今回と次回で推拿療法の最大の特徴である「心・意・気」と「円の動き」について記したいと思います。

洋の東西を問わず、手技療法で病を改善させるには、その根源がどこかを見極めてそれを改善させる手技のテクニックが必要なのは言うまでもありません。しかし、推拿で求められるのはテクニックだけではなく、特に求められるのは「心・意・気」という精神的な要素です。「心」は精神の集中を指し、「意」は意識やイメージのことを言います。そして「気」は経絡を流れる生命エネルギーのことを指します。術者は精神を集中し、意識を手掌に集め、圧痛点や経穴に気を注ぎ込みながら手技を施します。
「心・意・気」を用いずに、力まかせの手技を施すと、深層の患部に作用させることができません。そればかりか、表層の軟部組織や関節部を損傷させるなどの悪影響を及ぼすこともあります。

“精神を集中し、意識を持って気を引き出せば、力は自ずと深層に到達する”…これは武術、太極拳に共通して言える理論です。もちろん、武術と起源を同じくし、治療法として派生し発展してきた推拿にもあてはまります。
気の元は丹田(臍下三寸)にあります。丹田の気を背骨に伝えて頭部中央に上がらせ、丹田とつりあうように頭部を正しい位置に置くイメージを持ちます。それにより、いっそう丹田における気の集中を促し、無念無想の境地を求めます(背骨に沿って気が昇るように意識することを「ちょうけい頂勁」(頂上への気力)と言う)。こうして全身をリラックス(放松)させ、肩を沈めて肘を下ろします(沈肩墜肘)。これは一種の気功法でもあります。
呼吸も同様です。鼻からの吸気を一旦丹田に下ろし、背骨を伝わって頭部中央に上がらせ、ゆっくり口から吐き出します。
手掌あるいは指先、指腹に力を下ろすとき、堅い力や無理な力を用いては、患部に浸透させることはできません。全身をリラックスした状態で丹田の気を手掌に集めるような意識を持ちます。肩を沈めて肘を下ろし、肩から腕にかけても、力を入れて堅くしたり余分な力をためたりしないよう注意します。こうして患部に力を下ろして作用させていくのです。

東京中医学研究所ホームページ  http://www.tuina.jp


<<連載>>

カイロプラクティック・エネルギー治療へのパラダイムシフト<第5話>

保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


■サブラクセイションと生命エネルギー

カイロプラクターが矯正目的としているターゲットはサブラクセイションである。そのことは、カイロプラクティックの哲学を学んだカイロプラクターであれば共通の認識である。ここにおいても注目してほしい点は、機械論的思考のサブラクセイションと、生命論的思考(エネルギー論的思考)のサブラクセイションについてである。

D.D.パーマーは、サブラクセイションという言葉を最初に用いたのは自分だと主張している(1910)が、記録によれば、1746年にHieronymiという内科医が、脊椎のわずかな不整列と可動性の減少をサブラクセイションと呼んでいる。1820年にはイギリス人医師エドワード・ハリソンが、サブラクセイションによって脊椎が圧迫され、その結果その部位の器官に通じている神経が障害を受けるとしている。そして、D.D.パーマーは、脊椎関節のサブラクセイションによって神経インパルスの伝達が阻害され、身体に生理学的機能障害や病気をもたらすと説いている(『カイロプラクティック総覧』より)。
大切なポイントは、誰が先にサブラクセイションという言葉を使用したかではなく、サブラクセイションの本質とは何か、ということである。D.D.パーマーのいうサブラクセイションとは、いわゆる脱臼のことではない。解剖学上の正しい隣接関係からはずれた脊椎不整をさしている。彼は可動性の減少をサブラクセイションの重要な特徴に上げ、サブラクセイションと病気の因果関係には、神経系が大きく関与しており、神経の正常な機能喪失の原因は、すべてサブラクセイションにあると考えた。ここではやはり、西洋医学的にも分かりやすい、機械論的思考が優先され、構造学的歪みが神経学的障害を引き起こすと述べられている。

しかし一方で、D.D.パーマーは次のようにも語っている。
* 「狭窄は病気の原因ではない。神経は衝突や圧力を受けるが、圧搾されたり挟まれたりはしない」(D.D.パーマー 原書275頁)
* 「いいですか、もし病理学の眼で歪められたカイロプラクティックの考えを受け入れるなら、それは生理学の眼で見たカイロプラクティックではない」(D.D.パーマー 原書845頁)
* 「(略)外部の力で動く、生命の無い機械の規則を、内部の知力を備えた生命力によって機能している有機的身体に当てはめてはならない」(D.D.パーマー 原書85頁)
* 「生命力は器官や生物に内在している。生命のエネルギーは生命力の表現であり、各器官に内在している。機能はこの生命力によって、あるいは生命力を通じて現れるエネルギーである。したがって、生命力は“脳からの神経に沿って器官に”動くわけではない」(D.D.パーマー 原書379頁)
* 「たいていの病気は過度のエネルギーのためであって、神経の力が遮断されたからではない」(D.D.パーマー 原書617頁)
* 「パーマーはサブラクセイションが遠心性インパルスの過多につながると考えていた。過剰な運動神経インパルスが筋肉の収縮を引き起こし、過敏と痛みをもたらすという点が問題なのだ」(『カイロプラクティック総覧』44頁)
(次号へつづく)


補完・代替医療の真贋を斬る!【連載⑤】

長谷川淳史(TMSジャパン代表)
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■クワッカリーの安全性

クワッカリー(イカサマ師・インチキ療法・健康詐欺師)は、「即効性がある」「万病に効く」「奇跡的な効果」と声高に主張し、さまざまな健康関連商品(医薬品もどき・化粧品・意味のない食品・不必要な健康補助食品・ニセモノ医療機器)を盛んに勧める。だがその安全性を考えるとき、主に3つの問題点があることに気づく。

第1は、健康被害という直接的な問題である。
クワッカリーの宣伝文句の中には「天然だから」「自然だから」「食品だから」という記述がよくみられる。化学製品ではないことを強調し、あたかも副作用がないかのように思い込ませたいのだろう。
ところが、天然や自然のものには毒素を含んでいることもあれば、食品とはいえ特定の成分が濃縮されているもの、不純物が含まれているものがある。さらには、表示成分がまったく含まれていないものや、逆に違法医薬品が含まれていることを表示していないものまであり、安全どころか命に関わる危険性をはらんでいる。

また、特許番号や利用者の体験談、動物実験の結果、医学博士の推薦、あるいはマスメディアが取り上げた回数も、安全性とはまったく無関係である。なぜなら、いずれも科学的根拠(エビデンス)が元になっているとはいえないからだ。
エビデンスがあるというためには、ヒトを対象とした対照群のある臨床試験を行い、高い再現性が確認されなければならない。ところが、クワッカリーは医学の専門家ではないし医学教育を受けていない場合が多く、エビデンスよりも経済的利益を優先する。

そもそも、利用者が体調を崩すような副作用があったとしても、クワッカリーにその事実を公表する義務などない。それどころか、表沙汰になるのを恐れて隠そうとするだろうし、瞑眩(メンゲン)反応や好転反応と称して一時的なものだと説明するだろう。
これはきわめて危険なことである。とりわけ高齢者、妊産婦、授乳婦、小児、ならびに医師の治療を受けている患者やCAM(補完・代替医療)を利用している患者は注意を要する。エビデンスが存在しないということは、どんな悪影響や相互作用が現れるか予測できないことを意味するからだ。
もしクワッカリーから購入した健康関連商品を利用して体調が悪くなった場合は、直ちにその利用を中止して医療機関を受診し、またその際には「何を」「いつから」「どの程度」利用して「どんな症状が出たか」を医師に報告するよう勧めてほしい。また近くの保健所か国民生活センター、もしくは消費生活センターに相談し、過去に同じようなケースがなかったかを問い合わせてみるのもよいだろう。(つづく)


【連載コラム】

“連動操体法”について、ちょっとばかり… (5)

根本 良一(療動研究所主宰)


連動の発現と完結

身体の連動は動きに伴い必ず発現するので、少しでも動けば少し連動します。すなわち少しは効果があります。さらに効果を出そうとするなら、臨床家である以上、より良い成績が要請されるから、正確な診方と、より良い連動ができなければなりません。
連動は、局所の動きが完了して、それからさらに動こうとするときに起こる補償動作であるから、動きの極限で終わるものではありません。例えば指の開指角でみると、歪源を解消する連動があるところまで到達したときに急に拡大します。このときから連動が始まると思ってよいでしょう。それ以前では連動が生じないから効果はあまり期待できません。十分に連動ができたら、開指角が大きくなるし、患部の愁訴が消失し、動作が楽にできるようになります。

これまで述べたほかに大事なことは、連動〜脱力の仕方、脱力後のケアです。脱力がうまくできると、気持ちよい感覚帯で交感神経の昂揚が解放されます。そこであくびをしたときのように気持ちよい感覚の時間帯では副交感神経が活性化して「癒し」系の体質になるので歪体が改善されるのです。
運動はどこまで展開するのか? 動けば動くほど良いというのでは、動くほうが疲れてしまいます。筋肉は休止期間をおいて作動させないと疲弊して“副作用”を招くことにもなるので、心地よいところで、ていねいに最小限の操作をすることが望ましいといえます。(次号へつづく)


*** N  *** E  *** W  *** S  ***


NEWS ■睡眠の質の不良は糖尿病を悪化させる可能性■


研究を率いた米シカゴ大学助教授のKristen Knutson氏によると、糖尿病患者は睡眠障害の影響を受けやすいのかもしれず、逆に糖尿病コントロールができない患者は、コントロールできている患者よりも睡眠の質が悪いのかもしれない」と述べ、「糖尿病患者での睡眠の役割を詳しく調べる必要がある」と付け加えている。
今回の研究でKnutson氏らは、2型糖尿病患者40人と非糖尿病者531人について、睡眠の質、血糖値、その他の糖尿病コントロールについて比較した。その結果、糖尿病患者で睡眠に問題があった人は、糖尿病患者で睡眠が正常な人に比べ、空腹時血糖が23%、空腹時インスリン値が48%、インスリン抵抗性が82%それぞれ高かった。非糖尿病患者では、このような関連がみられなかったという。
睡眠の質に注意を払う必要性のあることが、糖尿病患者は今回の知見から学ぶべきであり、「もし睡眠検査を受けていないならば、医師に実施を希望するのもよい」と述べている。(May 20, 2011)


NEWS ■コーヒーが前立腺ガンのリスクを減らす■


約5万人の米国男性の研究によれば、コーヒーは前立腺ガンによる死亡リスクを減少させるという。6杯以上飲む人は発症率が20%低いとわかった。さらに、転移する侵襲性の高いタイプの発症リスクは60%減少する。しかしながらまだ不明瞭な問題もあり、前立腺ガンを防止するためにコーヒーを飲むことは勧められないという。
米国の約48,000人の1986-2006年の20年間のコーヒー摂取を調査した。20年間で5,035人に前立腺ガンが発症し、642人が死亡した。カフェイン含有かカフェイン除去かには関連なかった。1日1-3杯の少量でも致死性の前立腺ガン発症は30%少なかった。コーヒーの中に発病を防ぐ未知の化合物が含まれている可能性がある。
しかし、他の研究ではこうした関連を示すような証拠は見つかっていない。カフェイン多量摂取は他の健康問題を引き起こす可能性があり、良性の前立腺障害のある人は尿路系症状を悪化させるかもしれない。(May 19, 2011 http://kurie.at.webry.info/201105/article_14.html)


NEWS ■プラセボの力■


最新調査の結果、カナダの精神科医は他の科の医師よりプラセボのメリットを認めている。カナダの医学部の医師や精神科医の5人に1人はプラセボを処方し、精神科医ではさらに高く35%以上が治療量に達しない医薬品を投与している。慢性不眠にビタミン剤を投与するといったような、その病気には効かないであろうなんらかの医薬品を投与するという行為は思っている以上に広く行われている。精神科医の60%以上はプラセボに治療効果があると信じていて、他の科の医師より多い。(12-May-2011 http://www.eurekalert.org/pub_releases/2011-05/mu-tpo051211.php)


NEWS ■音楽が高齢者の脳の健康を維持■


音楽のレッスンが、高齢者の脳の健康の維持に有用であることが、新しい研究で示された。米カンザス大学メディカルセンター(カンザスシティ)の研究グループは、60〜83歳の健康な高齢者70人を音楽の経験に基づき分類し、音楽経験のない群、1〜9年レッスンを受けた群、10年以上習っていた群の3群に分けた。音楽経験のある人は半数以上がピアノを習った経験があり、約4分の1がフルートやクラリネットなどの木管楽器、その他は弦楽器、打楽器または金管楽器などの演奏経験者であった。

被験者(いずれも健康状態および学歴に差がなく、アルツハイマー病はなかった)にいくつかの認知力検査を実施した結果、最も音楽経験の豊富な群は、知力検査の成績が最も優れており、次いで音楽経験の比較的少ない群、全く経験のない群の順であった。音楽経験のない人に比べ、経験の多い人は視空間記憶(visuospatial memory)、物品呼称、新しい情報に対する脳の適応力(認知的柔軟性)などの認知力検査の成績が大幅に高かった。このベネフィットは、今は楽器の演奏を行っていない人にも認められたという。この研究は医学誌「Neuropsychology(精神心理学)」オンライン版に4月5日掲載(印刷版は2011年5月号掲載)された。(May 10, 2011)


NEWS ■手首や指の痛み、ゲーム機や携帯機器の使い過ぎが一因■


Xbox、PS3、Wiiといったゲーム機やPSP、iTouch、iPhoneなどの携帯機器は多くの子供たちが携帯電話とともに使用しており、またこれらの機器を用いて文字打ちをすることも多い。こうした機器の使い過ぎと手首や指の痛みとの関係を調べた研究で、ゲーム機を長期に使用すればするほど痛みが増すなどの関係が明らかになった。米国NYU Hospital for Joint DiseasesのY. Yazici氏らが明らかにしたもので、5月25日、ロンドンで開催されている欧州リウマチ学会(EULAR2011)で発表した。
全体でゲーム機器と痛みとの関連を調べたところ、痛みのレベルは、Xboxとゲームボーイ/ゲームボーイアドバンスの使用に関係したものが最大であった。報告された痛みがゲーム機使用と関係があるかどうかを検討するため、ゲーム機ごとに年齢、性別、学校、ゲーム機使用時間について補正し、多変量一般化線形モデルを用いて検討した。分析の結果、Xboxとゲームボーイ/ゲームボーイアドバンスの使用による痛みの報告が、iPhoneによるものより統計的に多かった(それぞれp=0.036とp=0.042)。また、使用時間も独立して報告された痛みと関係があり、1時間遊ぶ時間が増えるごとに、痛みのオッズが2(95%信頼区間:1.50-2.89、p<0.001)上昇することも分かった。
これらの結果をもとに演者らは、「子供たちの間では、ゲームを長期に使用すればするほど痛みが増していた。また、女子生徒の方が男子生徒よりも携帯電話の使用による影響が大きかった」などと結論。その上で、今回の知見は、ゲーム機や携帯ゲーム機、携帯電話の使用開始年齢の制限、あるは使用時間の制限などを検討する一助になるかもしれないと指摘した。(May 28, 2011)


NEWS ■携帯電話は「発がん性があるかもしれない」■


いくつかの新聞が携帯電話はがんを誘発するかもしれないと報道し、Daily Mailは何年もの矛盾した意見のあと、ついにこの問題に「正式判決がくだった」と報道した。
このニュースはIARC(国際がん研究機関)が携帯電話の使用を、ある種の脳腫瘍との関連を示唆する研究がいくつかあることから「発がん性のおそれがある」に分類したことをうけたものである。
しかしながらこの分類は、関連は確実とは言い難いことを意味する。IARCは脳腫瘍との関連は「限られている」とし、この結果は他の要因によるかもしれないとしている。さらに他の種類のがんとの関連を支持する適切な根拠はなかった。
全体として、この分類は携帯電話の使用ががんと関連することを確定したのではなく、一部の研究で関連が示唆されているためしっかりした研究が必要であることを強調したものである。(June. 1. 2011 http://www.nhs.uk/news/2011/05May/Pages/iarc-mobile-phones-brain-tumour-cancer.aspx)


◆◆ 刊行のご案内 ◆◆

◎『チャートブック 骨格筋の解剖』
<体裁と価格> A4、上製、2色刷、140頁、定価:10,500円


■次号のメールマガジンは7月1日ごろです。お楽しみに。【編集人:北島憲二】


[発行]産学社エンタプライズ