エンタプライズ発信〜メールマガジン【№66】 2016. 10

米国の大学での研究によりますと、運動不足な中年者が心臓を健康な状態に保つには「カロリー制限による体重減量」と「運動」のどちらが効果的なのか?の課題にトライアルしたところ、これらの単独あるいは併用がもたらす効果は、減量がある程度できていればいずれも同程度であったそうです。この研究は、カロリー制限だけを行う群と運動だけを行う群、両者を併用する群の3群に割り付けて比較したもの。いずれの群も3か月あまりの介入で体重が約7%減量できたと言います。その結果、カロリー制限単独群、運動単独群、併用群の3群すべてで、血圧、血清コレステロール、血糖のそれぞれの値が改善し、生涯にわたる心血管リスクが46%から36%に低下していました。つまり“何を行うか”よりも“どれだけ減量できたか”に注目すべきであることがわかりました。しかし研究者は、望むべきは、カロリー制限と運動の組み合わせが賢い選択肢だとの考えを述べています。併用した群では最も早く減量目標を達成し、減量した体重をその後も維持できていた。また単独群では約30%の参加者が途中で脱落したが、併用群の脱落率は5%にとどまっているからです。継続することは苦行にも似ています。日々実践する成功の秘訣は「楽しむこと」だと強調。エクササイズが苦痛であるならばダンスフィットネスや公園を散歩するなど、楽しみながら運動を続けていく工夫が相乗効果へと向かわせると助言しています。

★☆★━━━━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━━━★☆★

【1】エネルギー医学の将来〜期待される今後の研究
【2】“こころ” と “からだ”……臨床にモノ思う。
【3】伝統医学をシルクロードに求めて
【4】根拠に基づく腰痛の原因と治療 《腰痛治療の新常識》
【5】“連動操体法”について、ちょっとばかり…
【6】N・E・W・S

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Information -1-

小社は2006年刊の同書の販売権を再取得し、10月17日、再販売を始めました。人体を医学的見地からのみではなく、生きて考える社会的存在としての人間(ヒト)を維持している体内の構造と様々なプロセスの一環を、CGスケルトン技術を巧みに生かして図解化しました。

男女対照 生体の構造とデザイン
B4変型、264頁、フルカラー、定価:9,072円(税込)
URL:http://eppub.jp/archives/2658

Information -2-

アクティベータ・ネットワーク・ジャパンが設立15周年

2001年より米国アクティベータソッド・インターナショナル社(AMI)公認セミナーを開催しているアクティベータ・ネットワーク・ジャパン(本部:福岡市、保井志之代表)が設立15周年を迎えた。10月16日‐17日と東京・浜松町においてベイシックプログラムほかのセミナーと併せ、記念パーティもともに開催された。パーティ会場には受講者のほか元インストラクターらも集い、15年間のエピソードや思い出話などに花が咲いた。世界のカイロプラクター約70%が用いているアクティベータ・メソッドの技術を日本で学べる唯一の公認団体として数多くのプラクティショナーを輩出してきた功績は大きい。

Information -3-

日本構造医学会 大阪学術会議 10月23日開催

【日程】10月23日(日)12:30〜16:55 懇親談話会17:15〜
【会場】大阪大学中之島センター(大阪市北区中之島)
・詳細は096-212-8288 事務局

Information -4-

第12回 日本直立歯科医学研究会を大阪で開催 10月22-23日

【日程】10/22 (土)10:00〜17:00 懇親会18:00〜
     10/23 (日) 9:30〜16:30
【会場】大阪歯科大学創立100周年記念館 4階大講義室(大阪市中央区大手前)
・詳細は http://douken.kenkyuukai.jp/about/

Information -5-

「健康フォーラム2016」 開催予告(再送)

きたる11月27日(日)、カイロプラクティックの日本伝来100周年(横浜)および当時の神奈川県令を記念して日本カイロプラクターズ協会(JAC)は「健康フォーラム2016:日本の超高齢社会における健康寿命を考えよう」を厚生労働省、神奈川県、オーストラリア大使館後援で開催いたします。健康寿命実現について各分野の専門家、ケント・ギルバート氏(米カリフォルニア州弁護士・タレント)、蒲原聖可氏(健康科学大学客員教授)、フィリップ・エブロル氏(前セントラルクイーンズランド大学教授)にお話ししていただきます。神奈川県は「未病を治す かながわ宣言」を発表し健康寿命日本一を目指しています。また厚生労働省はスマートライフプロジェクトを立ち上げ健康寿命を延ばす活動を呼びかけています。
・健康フォーラム2016 公式サイト http://www.jac-chiro.org/healthforum2016.html


◎連載vol.24

エネルギー医学の将来 〜期待される今後の研究

<小社編集部編>


《 Extra issue 》 〜エピローグ〜

さて、現時点で明らかになっているシグナル伝達のカスケードと、電磁波の影響を受けやすいことが判明しているプロセスを思料すると、細胞シグナルのカスケードと増幅、個々の抗体、ホルモン、フェロモン、成長因子、におい、味、神経伝達物質、あるいは電磁気エネルギーの光子が、細胞から細胞へ次々とシグナルを伝えるカスケードを引き起こし、そのシグナルに従って生物学的反応が開始、加速または阻害される。たった1個の因子がカスケードを引き起こすには、最初のシグナルを何倍にも増幅して伝える必要がある。そこで細胞表面に因子が作用すると、大量のカルシウムイオンが細胞内に流れ込み、酵素を活性化させる。そして酵素が触媒として働くことにより生物学的反応が大きく加速する。酵素はこの反応で変化するわけではないので繰り返し機能を果たすことができる。

生物学的反応の中には、電磁波の影響を受けやすいものもあれば受けにくいものもあり、あるいは影響されるかどうかわかっていないものもある。電磁波の周波数によって、カルシウムイオンの流入が促進される場合と阻害される場合がある。カスケードの中でフリーラジカルが発生するようなプロセスは、磁気の影響を受けやすいと思われる。カスケードの中で作られた物質は、細胞表面に戻ったり、細胞外の組織に取り込まれたりすることもある。細胞内分子の反応は、電流、光、および電気力学的振動(音響粒子)を生み出し、これらがソリトンになって細胞基質と細胞外基質全体に伝わる。
このような細胞からのフィードバックによって、細胞や組織が全体としての機能を正確に果たすことが可能になる。細胞は、かすかな声と独自の言語で互いに囁きあっているようだ。そして遠く離れた相手からの囁きに「耳を澄まして」いるのである。

細胞表面に存在するレセプターは、低周波電磁波の作用を真っ先に受ける部位である。上に記したホルモンや成長因子、フェロモンなどが細胞の反応を引き起こすのは、それらがレセプターに働きかけるからである。このレセプターは、アデニレートサイクラーゼやG蛋白などの膜蛋白と密接な関係をもっており、細胞表面に分子が1個作用するだけで大量のカルシウムイオンを細胞内に流入させる。そして細胞内に入ったカルシウムイオンが種々の酵素を活性化させるのである。活性化された酵素は触媒として働き、生化学的反応が大きく促進される。触媒は反応によって消滅しないので、カルシウムの濃度が刺激を受ける前のレベルに低下するまで繰り返し機能を果たす。(次号につづく)(出典:『エネルギー医学の原理』 小社刊)


★連載エッセイ ㉞☆

“こころ” と “からだ” …… 臨床にモノ思う。

・保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


摂食障害の改善(臨床例)

【経緯】
最初は首や背中の痛みの改善目的で来院していた患者さんから「言いにくいことだけど相談がありまして…」と、長年「摂食障害」で悩まれているとのことで相談を受けた。摂食障害にも色々あるが、相談を受けた患者さんは、満腹感を得るまで食べて、嘔吐を繰り返すというタイプとのこと。以前は太っていたが、そのパターンを繰り返すことで理想の体型を保っているという。

・1回目の施術
〈PCRT検査〉
お腹いっぱい食べないと気が済まないというイメージ=陽性反応
太ってしまう恐怖=陽性反応
関連キーワード=「慈悲心」(自分に対する)⇒存在感⇒自分がどんな状態であっても認めてあげたい=陽性反応

・2回目の施術(5日後)
患者のコメント:施術後、気持ちが楽になった気がします。
〈PCRT検査〉
お腹をいっぱいにする恐怖=陽性反応
関連キーワード=「慈悲心」(自分に対する)⇒存在感⇒太っていても自分の存在を認めてあげる

・3回目の施術(4日後)
患者のコメント:お腹いっぱいにして吐く習慣はなくなったけど、その代わりに下半身のむくみや下腹部の張りが気になります。
〈PCRT検査〉
飲み物全般+執着心=吐きやすくするために飲むことに意識が向いていた。忠誠心=趣味=ダイエット=太らないようにすべき

・4回目の施術(3日後)
患者のコメント:吐く習慣がなくなったので当然なんでしょうけど体重が3キロぐらい増えて、お腹の張りやむくみが気になります。
〈PCRT検査〉
慈悲心=苦しんでいる自分に対して 成長(価値観)=乗り越えようとしている自分に対して満足度が低い 復讐心=今までダイエットのためにお腹いっぱいまで食べ、嘔吐してい
た自分

・5回目の施術(3日後)
患者のコメント:前回の施術の後、以前のように体重に対してはあまり気にならなくなり、今のままの自分でいいという意識がでてきました。今は、お腹を満たしたいというよりも、口を満たしたいという習慣が気になっています。
〈PCRT検査〉
口さみしくなるとき=陽性反応
⇒警戒心⇒つながり・愛情⇒お母さんとのつながり⇒痩せたとき自慢の娘と言われた⇒お母さんに認められたい(承認)

・6回目の施術(4日目)
患者のコメント:吐いたりする行為はなくなったが、数年前から夜中に起きて甘いものを食べる習慣があります。その行為も異常だと思っていませんでしたが、最近、嘔吐する摂食障害が良くなって、それも異常な習慣だと感じるようになりました。
〈PCRT検査〉
夜中に甘いものが欲しくなる記憶=陽性反応
意欲⇒つながり・愛情⇒ご主人⇒聴覚⇒ご主人からの言葉の満足度が低いための欲求

【考察】
摂食障害にも様々なパターンがあるが、満腹感を得られるまで食べ、嘔吐を繰り返すというパターンは比較的多いかもしれない。今回紹介した患者さんの摂食障害は15年以上も続いたとのこと。深層心理的に深い内容が絡んでいたにもかかわらず、PCRTの検査で施術を進めていくと比較的早期に改善がみられる。早い人では1回から2回の施術で異常な過食の欲求がなくなり、だんだんとスマートな体型、というよりも本人らしい理想の体型になっていく患者さんもいる。
恐らく通常の心理療法やカウンセリング療法であれば、ここまで深い誤作動記憶にたどり着くには相当な時間がかかるだろう。PCRTは摂食障害など、深層心理に関係する無意識の誤作動記憶の施術には効果的ではあるが、本人が本当に心から治したいという気持ち(コミットメント)の度合いが強くなければ効果が得られないというネックはある。しかしながら、摂食障害に限らずメンタルヘルスに関係する障害で、本人のコミットメントの程度が高ければ高いほど、PCRTによる施術効果は高いと感じている。


《連載48》

伝統医学をシルクロードに求めて

池上正治(作家・翻訳家)


<約4年にわたって連載した「伝統医学をシルクロードに求めて」に引き続き、やはり池上正治先生の著作『伝統医学の世界』より、「チベット医学」のコラムを著者の了承をいただき収載していきます。世界の屋根に位置し、ヒトにとって極限の地理にあって今日も脈々と伝承されるチベット医学の様相が今号よりスタートします。>

古代のチベットとインド文化の接点

■聖なる山、カイラス
チベットとインドの間には、想像以上の共通項があるようだ。チョモランマ峰(エベレスト)、ナムチャバルワ峰とともに、チベットの三大聖地とされるカイラス山(海抜6656m)はインド人にとっても聖なる山である。カイラスは奇異な山容をしている。黒々としてそそり立ち、お碗をふせたような形をしている。その山腹はあまりにも急であり、氷雪をとどめることがなく、周囲の万年雪をいただく山塊のなかにあって、圧倒的な黒の印象を与える。
インド平原から北を目指し、ヒマラヤを越えたインド人にとって、カイラスはいかにも異形の山であったろう。その衝撃の強さは、ヒンドゥ教徒がそれを「シヴァ・リンガ」と名づけ、シヴァ神のシンボル—黒々とした男根状の石柱—にたとえたことにも表れている。ヒンドゥの信仰によれば、シヴァの神はカイラス山中に鎮座ましましておられ、ヨーガの行をしておられるという。
チベット仏教(ラマ教)ではカイラスのことをカン・リンポチェ(尊い雪の山)と呼び、それを釈迦にたとえている。ひときわ高くそびえるカイラスを取り巻くように、これまた数千メートル級の山々があるのだが、チベット人はそれらの輪山を五百羅漢にたとえている。

チベット暦で午年にあたる1990年の5月、カイラスは巡礼の人たちで雑踏をきわめた。ラマ教の信仰によれば、午の年に“カイラス詣で”をすれば健脚になり、馬のようなバイタリティを授かるという。あまりの人出の多さに不測の事態の発生を警戒したチベット当局は、取材にあたっていた外国人を残らず強制退去させたほどであった。もっともこのカイラスを1周する約50kmは、年回りとは関係なく、巡拝の人たちでにぎわっているようだ。1988年8月、カイラスを訪ねた木村慧心氏は次のように報告している。
「私たちばかりではなく、何人もの巡礼が峠に登ってくる。軽々とした足どりで私たちを追い抜いていくのはチベット人たちだ。『もうこれ1回でたくさんだ』と言いながら登っていくのはネパールからの巡礼だ。私たちの行く方向から逆に降りてきたのはチベット古来のボン教徒たちだ。彼らはカイラスを左巡し、その数も割合に多い。岩蔭に雪の残る峠の上で休み、峠を少し下るとコバルトブルーに輝くグルクンドの池が見えてくる。(『アーユルヴェーダ研究』チベット・カイラス紀行 1989年版)(つづく)


根拠に基づく腰痛の原因と治療 – 腰痛治療の新常識(41)

長谷川淳史(TMSジャパン代表)
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腰痛に関する正確な情報には想像を絶するほどの治癒力があります。どうか情報の拡散にお力をお貸しください。

■硬膜外ブロック注射は侵襲的であり、稀に重篤な合併症を引き起こす危険性がある。椎間関節ブロック注射は侵襲的的ではあるものの、重篤な合併症を引き起こす危険性はきわめて低い。http://amzn.to/Hk8veA
……硬膜外ブロックは合併症のリスクがあるにもかかわらず、有効性に関するエビデンスは乏しいということを覚えておきましょう。

■椎間関節ブック注射は慢性腰痛の疼痛にも活動障害にも有効でないというエビデンスがあり、注射薬剤の種類だけでなく注射部位も臨床転帰を改善させない。急性腰痛に対する椎間関節ブロック注射の有効性に関するエビデンスはない。http://amzn.to/Hk8veA
……そもそも椎間関節症候群というレッテル自体に明確なエビデンスがありません。病名が増えると患者も増えますから、安易なラベリングは回避すべきです。

■椎間関節ブック注射は侵襲的だが重篤な合併症は稀である。バイオフィードバックの急性腰痛に対する有効性に関するエビデンスはなく、慢性腰痛に対する有効性に関するエビデンスには矛盾がある。http://amzn.to/Hk8veA
……腰痛疾患にはイエローフラッグ(心理社会的因子)が関与している事実が判明しているにもかかわらず、不思議なことにバイオフィードバックの効果は現在でも確認されていません。

■「スウェーデン式腰痛教室」(修正版)による集団教育は、職業的背景によっては有効な場合がある。職業的背景を考慮しない腰痛教室の有効性はまだ実証されていない。http://1.usa.gov/LtCyjV http://1.usa.gov/Kk6Bgl
……詳細は不明なのですけれども「スウェーデン式腰痛教室」というのは、理学療法士によるリハビリテーションを中心としたプログラムのようです。

■重症の腰痛に対する麻薬の投与に関しては、さらなる調査と管理による支援が必要で推奨しない。ベンゾジアゼピンには習慣性と依存性という重大なリスクがあるため推奨しない。http://amzn.to/Hk8veA
……この時点ではエビデンスが不足していたために麻薬系鎮痛剤も抗不安剤も推奨されていませんが、最新の腰痛診療ガイドラインではいずれも推奨するという勧告が出ています。

■急性腰痛に対する経口また静脈内コルヒチンの有効性を示すエビデンスは限られているか矛盾したエビデンスしか存在せず、重篤な副作用の危険性が報告されている。http://amzn.to/Hk8veA
……コルヒチンは痛風発作の緩解と予防にしか認可されていませんから、日本で処方されることはまずありません。たとえ認可されていたとしても、腰痛診療ガイドラインで推奨されたことは一度もありません。


【連載コラム】

“連動操体法”について、ちょっとばかり… (66)

根本 良一(療動研究所主宰)

【 連動操体法の応用編 】

[5] 頸部の異常(つづき)

b) 指、手関節、腕・肩の痛み
動かすと痛い(動作痛、不能)、じっとしていても痛みを感じるなどという場合は、かなり進行していると思料するのがよい。そのため異常部位がかなり広がっているので、関連部から連動関係を辿るようにする。
・まず腰に関わる部分である大腰筋の操体法を行う。この波及で、腰-背-首-腕-手へと大きな連動ができる。
・慢性化するほどに治りにくい。慢性化はよくあるケースで、一番多いのは姿勢が悪いことである。姿勢は起きている時だけの問題ではなく、気のゆるむ就寝時、つまり「寝る姿勢」が重要で、仰向けは良くない。仰向けに寝ると、腰椎の前弯ができなく、まっすぐになる。これは腰から首、手まで歪みが連動して手指が開かなくなる。前号で記したフィンガースケールで測ると実感できる。

2) 頸背部、腰のだるさ、痛み

首を中心とした一連の異常には、肩こりをはじめとする斜角筋症候群とも呼ばれるように斜角筋(首の前横)、胸鎖乳突筋などが緊張して、首の動きに支障が生じる。
・首の周辺には、腰からの歪みが連動して脇下の広背筋が緊張すると、肩の僧帽筋へ影響し、肩-首-背へと不調が及ぶ。
・腰は大腰筋と併せて腹部の外腹斜筋が緊張すると姿勢が悪くなり、腹直筋の緊張が胸鎖乳突筋や後頸部の板状筋が緊張して首の動きが悪くなる。
・内腿の筋が緊張すると頸背部に緊張が起こり、首の動きが悪くなる。

3) 仙棘筋(中仙骨稜側部)から

頸部と背部に緊張があると、頸椎、胸椎、腰椎まで、ある間隔を置いて棘突起がわずかに側方へ転移しており、触診すると指腹で触知できる。痛覚を伴うこともある。
椎骨を矯正する場合、各部に操作をすることになるが、仙棘筋からの連動操体法を行う場合は、伏臥位から左右の足の内外の動きおよびそれに伴う補助足の動きを見る。フィンガースケールの一番よく開く動きを選ぶと一気に全体が解消される。

 N  E  W  S

NEWS ■<非正規社員の健康格差> 健保、健診…制度見直しも

非正規と正社員の待遇格差で、賃金に加え指摘されるのが健康の問題だ。健康保険の加入は今月から適用条件が拡大されたものの、対象は従業員501人以上の事業所など一部。専門家からは雇用実態に合わせた制度の再構築を求める声も上がっている。
厚生労働省が2014年にパート労働者1万3417人と5065事業所に聞いた調査では、定期健康診断を「受診した」と答えた労働者は、従業員49人以下の事業所で57.9%、300人以上で82.2%。パートの健康管理規定が「ある」と答えた事業所は49人以下で53.1%、同300人以上で74.4%と小規模の事業所ほど低かった。
帝京大学大学院の井上まり子准教授(公衆衛生学)は「雇用されて働く人の4割が非正規雇用である今、大企業中心で終身雇用を前提とした現行の産業衛生の制度は見直し時期に来ている」と話す。「健康診断は予防や早期発見の第一関門ですが、週40時間以上働く人が対象の国内の調査でも、受診率は、派遣の若年女性で約6割、パートの男性で約4割と低く、社会問題です。問診に雇用形態を尋ねる項目を設けるほか、産業医は健診からもれる従業員を意識するなど、自治体や医療機関も含め全体で考えるべきでしょう」と提案している。(10/10 毎日新聞=一部)


NEWS ■食物を床に落としたときの「5秒ルール」の真実

食物を床に落としても、すぐに拾えば大丈夫―そんな「5秒ルール」を使ったことのある人は多いだろう。しかしその食物が本当に安全かといえば、おそらくそうではなく、細菌汚染は1秒未満で発生しうるという調査結果が報告された。研究を実施した米ラトガーズ大学のDonald Schaffner氏らは、スイカ、パン、グミのキャンディなど、性質が異なるさまざまな食物を、セラミックタイル、ステンレススチール、木、絨毯などの面に落下させた。それぞれの面はEnterobacter aerogenesというサルモネラ菌に似た細菌で汚染し、完全に乾燥させた後、食物を落として接触させた。
接触時間がそれぞれ1秒未満、5秒、30秒、300秒の場合に分けて、面から食物への細菌の移行率を評価した。128種類のシナリオを各20回、計2560回の測定を行った。その結果、細菌の移行率は、細菌に汚染された面への曝露時間の長さと、食物の水分によって上昇していた。ただし、細菌汚染は1秒未満でも起きうることも判明した。
Schaffner氏は、「細菌の移行リスクは食物の水分に最も影響されるようである。細菌は足があるわけではないので、水分を伝って移行するからだ。また通常は、食品の接触時間が長いほど細菌汚染も多くなった」と話している。実際に食物を落としたときの汚染リスクは、スイカで最大、グミのキャンディで最小であった。絨毯に落とした場合はタイルやステンレススチールよりも汚染が少なかった。木に落とした場合は汚染レベルにばらつきがあったという。(10/6 HealthDay News)


NEWS ■<柔道整復師> カルテなど提出義務化…不正防止

厚生労働省は、柔道整復師の施術に公的医療保険を適用する療養費制度について、不正請求対策を強化する方針を固めた。不正の疑われるケースは接骨院などにカルテなど関連資料の提出を義務付ける。柔整師の急増に伴う接骨院の過当競争で療養費の不正請求が横行しており、厚労省は近く都道府県など関係機関に通知。来年度から開始する。
柔整師は医療行為はできないが、骨折や脱臼などの施術に対して支払われる療養費は公的医療保険が適用され、利用者は原則3割の自己負担で受けられる。14年度は医療保険から約3,800億円が支払われた。
柔整師は毎年5000人前後が合格し、14年時点で約6万4000人が就業。接骨院などの施術所も約4万5000カ所に上り、1994年の約2万カ所から急増し、過当競争を招いている。その結果、肩や腰など部分を次々と変えて施術し、マッサージ代わりの利用が疑われる「部位転がし」と呼ばれる不正な請求や、白紙の申請書を悪用した架空請求が後を絶たない。
厚労省はこうした不正請求に早期に対応できるよう、全国健康保険協会(協会けんぽ)などがつくる審査機関、柔道整復審査会が「部位転がし」など不正請求が疑われる施術所の診療報酬明細書(レセプト)を抽出して調査し、資料提出や説明を求めることを可能にする。架空請求対策としては、施術所に領収書の発行履歴や、通院歴の分かる来院簿やカルテなどの提示を求めることができるようにもする。(10/9 毎日新聞)


NEWS ■鍼治療で重症の便秘が軽減か

「電気鍼治療」と呼ばれる現代式の鍼治療により、重度の便秘を緩和できる可能性があることが、新たな研究で示された。この治療法は、機器を取り付けた細い鍼を皮膚の下へ挿入し、電気パルスを体内に送るものだ。
今回の知見は、難治性の便秘症患者に対して安全かつ有効な選択肢を提供するものだと、複数の専門家がコメントしている。カルガリー大学(カナダ)准教授のChristopher Andrews氏は、「このような代替療法は裏づけとなるエビデンスがないまま実施されていることが多いため、今回の厳密な検証は励みになるものだ」と指摘する。
本研究では、慢性的かつ重症の機能性便秘(内科疾患や薬剤などの原因がなく、排便回数が週2回以下の便秘)をもつ患者を対象とした。患者1075人を無作為に2群に分け、半数は腹壁の筋層に鍼を刺す治療を、残りの半数は鍼治療では効果がないと考えられている位置に浅く鍼を刺す「偽治療」を受けた(対照群)。中国の15カ所の病院で、鍼師が1回30分、28回の実治療または偽治療を実施した。
8週間にわたる治療期間中、電気鍼治療群の31%に平均週3回以上の便通がみられたのに対し、対照群で同レベルの便通が得られたのは12%のみだった。
電気鍼治療の効果は、治療後も良好に持続した。12週の追跡期間中、電気鍼治療群では約38%が平均週3回以上の便通があると報告したのに対し、偽治療群では14%であった。研究著者の1人である中国医学科学院(北京)のJia (Marie) Liu氏は、治療後も効果がみられる理由について、「電気鍼療法には優れた持続的効果があると思われる。あるいは、効果が十分に表れるまでに8週間以上の時間を要する可能性もある」と説明している。(10/1 HealthDayNews)


NEWS ■国民医療費、過去最高の1人当たり32万円

厚生労働省は、2014年度の国民医療費が、過去最高の40兆8071億円だったと発表した。初めて40兆円を超えた前年度と比べ1.9%(7461億円)伸びた。国民1人当たり32万1100円も過去最高で、前年度と比べ2.0%(6400円)高い。
14年度の国民医療費のうち、医科診療の入院医療費は15兆2641億円(前年度比2.0%増)、入院外医療費は13兆9865億円(同1.5%増)、薬局調剤医療費は7兆2846億円(同2.4%増)、歯科診療医療費は2兆7900億円(同1.9%増)。
全体に占める割合は、医科診療の入院外医療費が34.3%で、前年度と比べ0.1ポイント減ったのに対し、薬局調剤医療費は17.9%で、0.1ポイント増えた。
都道府県別の1人当たり国民医療費が最も高いのは高知(42万1700円)で、以下は長崎(39万6600円)、鹿児島(39万600円)、山口(38万7500円)、大分(38万2300円)、北海道(38万1700円)などの順。一方、最も安いのは埼玉(27万8100円)で、千葉(27万9700円)や神奈川(28万5700円)、滋賀(28万8400円)、愛知(28万9300円)なども低かった。(9/29 医療介護CBニュース)


NEWS ■<後期高齢者医療> 保険料アップへ…特例廃止方針

厚生労働省は9月29日の社会保障審議会部会で、75歳以上を対象とした後期高齢者医療制度の保険料について、特例として実施している低所得者らへの最大9割の負担軽減を廃止し、2017年度から段階的に引き上げていく方針を示した。特例廃止は消費増税に伴う介護保険料の軽減などと合わせて実施する予定だったが、増税再延期を受け、先行して高齢者の負担増を求めることにした。部会は年内に結論を出す。
後期高齢者の保険料は全国平均で月5,659円で、所得などに応じて2〜9割の軽減措置がある。法令の定める低所得者の軽減の上限は7割だが、今は特例で最大9割まで認められ、保険料は同380円まで下がる。また、74歳まで扶養家族だった人についても、法令の規定は2年限定で5割軽減だが、特例により無期限で9割軽減されている。5割の場合の保険料は1,890円で、差額は税金で埋めているのが現状だ。
これらの特例の対象者は、約1600万人の後期高齢者の6割弱の約916万人。軽減のために国費945億円、地方負担159億円が投入されている。(9/29 毎日新聞)


NEWS ■チベット脱出時の日記見つかる=河口慧海

堺市は9月26日、仏典を求めて日本人で初めて鎖国下のチベットに入った同市出身の僧侶、河口慧海(1866〜1945)の新たな日記が見つかったと発表した。1902年のもので、チベット脱出時のことが書かれているという。これまでにチベットへの潜入ルートなどがほぼ判明することになった1900年と翌年の日記が発見されている。
日記はB4とB5サイズの紙で計17ページ。慧海がラサに滞在した1月1日から、チベットを脱出してインドのダージリンにいた8月17日までの出来事を記述し、6月14日にトモ・リンチェンガンという関門で、病人のためにダージリンに薬を求めに行く医者を装ったことなどが書かれている。
紙の傷みや汚れの状態から、日記は現地で書いたとみられる。帰国後に刊行された「チベット旅行記」にはほとんど書かれていないラサでの暮らしぶりなども記されているという。
慧海の生誕150年の記念事業開催にあたって親族から提供された資料の中に含まれていた。10月26日から12月4日まで開く「慧海と堺」展で初めて公開される。(9/26 時事通信)


NEWS ■5大がん以外も初集計=進行度や治療方法に違い

国立がん研究センターは9月26日、全国のがん診療連携拠点病院など421施設で2014年にがん登録された約67万件のデータをホームページ上で公表した。胃や大腸などの5大がんに加え、食道、子宮頸部、子宮内膜、膀胱、甲状腺、膵臓、前立腺の7部位についても初めて、がんの進行度や初回の治療方法を集計した。データの公表は今回で8回目。7部位については、院内がん登録の中級認定者が在籍している323施設での登録数を対象とした。
7部位のうち、一般的に見つかりにくいとされる膵臓がんは、症状が進行した段階の4期が最多の4割を占めた。それ以外のがんでは初期段階の1期までが半数前後に上り、治療法もがんの種類や進行度によって外科手術や放射線、薬物療法などさまざまだった。
同センターの奥山絢子研究員は「それぞれの部位の進行度ごとに多い治療法が分かり、今後患者が治療を受ける際の目安になるのではないか」と話している。(9/26 時事通信)


■次号のメールマガジンは11月10日ごろの発行です。
(編集人:北島憲二)


[発行]産学社エンタプライズ