エンタプライズ発信〜メールマガジン【№71】 2017. 3

あの強烈な畏怖感を覚えた東日本大震災から6年が経過した3月11日は、全国各地で追悼式典が行われました。私たち家族も町の防災放送に合わせて被災者に黙祷を捧げました。テレビでの震災関連特番の本数は昨年よりも少なくなったという報道もありましたが、ネットニュースや新聞では震災の記憶を風化させないよう、被災者の今の声を伝える記事を多く見ることができました。なかでも東北の幅広い被災地は復興の途上にありますが、東京電力福島第1原発事故に見舞われた福島県の苦難は現在進行形です。震災前202万人だった福島県の人口は190万人を割り込んでいるそうです。県内外に今も8万人近くが避難をしている状態で、原子力災害の悲惨さは、6年の歳月を経てなお目の前に立ちはだかっているのです。他方、震災および原発事故後も医療対応の一大拠点として病院機能を維持し、全国から医師を招聘するなど手腕を振るった福島県立医科大学学長兼理事長・菊地臣一氏が3期9年の任期を経て、この3月で退任されます。小人の編集子には世俗的な言葉でしか表現できませんが、危難と不安のただ中で毅然と局面に立ち向かった英傑としてその労を礼讃し心より敬意を表したいと思います。(理事長室からの花だより http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=448)

★☆★━━━━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━━━★☆★

【1】エネルギー医学の将来〜点と点からの発展性
【2】“こころ” と “からだ”……臨床にモノ思う。
【3】伝統医学をシルクロードに求めて 〜チベット医学
【4】根拠に基づく腰痛の原因と治療 《腰痛治療の新常識》
【5】“連動操体法”について、ちょっとばかり…
【6】N・E・W・S
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Information 1

「ホメオパシーを知ろう!」 オープンセミナー・静岡

毎年、ホメオパシーの啓蒙活動を推進している日本ホメオパシー医学会では、多くの方にホメオパシーについて知っていただくために、オープンセミナーを開催していく。4月は静岡市内にて行われる。参加費無料。

◇講義内容:ホメオパシーとは/ホメオパシーの薬とは/ホメオパシーの診察とは/
      ホメオパシーの適応は/ホメオパシーは安全か
◇開催日 :4月9日(日)14:00〜15:30 <参加無料>
◇講 師 :板村論子(MD., Ph.D., MFHom)
◇会 場:サンパレスホテル スターパレスホール(静岡市駿河区南町11-29 TEL:054-282-2277)
◇参加資格:医師、歯科医師、薬剤師
◇参加ご希望の方は日本ホメオパシー医学会事務局宛E-mailで「参加希望」とお送り下さい。
 info@jpsh.jp(URL:http://www.jpsh.jp

Information 2

心身条件反射療法(PCRT)2017研究会がスタート

心身条件反射療法(PCRT;別名ニューロパターンセラピー)は身体‐脳‐心‐外界などの関係性を検査して総合的なアプローチを図ることを特徴とし、現代医学では盲点となっている目には見えない原因に焦点を当てるべく「心と身体の関係性」にフォーカスすることで治療を進めていく。2017年の研究会がこの3月からスタートする(基礎1および中級3)。

◇開 催 日 3月26日(日)-27日(月)
◇開催時間 26日=13:00-19:30 27日=9:00-16:30
◇会 場 赤十字本社(東京都港区芝大門1-1-3)
◇申込締切 3月21日(火)
※研究会の詳細は http://www.mindbody.jp/

Information 2

ヒーリング・タオ 「気内臓療法 Chi Nei Tsang」 の再版予約のお知らせ

謝明徳(マンタク・チャ)原著の同書を重版し販売いたします。3月31日の刊行予定ですが、予約の受付をはじめます。小社HPよりご注文ください。http://eppub.jp/
〜謝明徳 原著 / 帯津良一 監訳 / 鎌崎拓洋 翻訳 菊判400頁 定価:7,344円(税込)

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連載vol.29

エネルギー医学の将来 〜点と点からの発展性

<小社編集部編>

本号から前著の発展版である『エネルギー療法と潜在能力』(小社刊)から関連要素のいくつかを紹介していきます。

序にかえて

どんな科学であれ、常識と信じられている事象のまわりには例外的な発見や稀にしか見られない常識外の小さな出来事が、まるで霞のようにもやもやと漂っている。この霞は、結局のところ、まじめに相手にするよりも無視する方が楽な存在と扱われるのが常だ。(中略)しかし常識外の現象を根気よく見つめ続けられる者だけが、科学の進歩を可能にする。そして新しい科学が生まれたとき、過去の定理は鳴りを潜め、過去の例外ばかりを含んだ公式がしばしば出来上がるものだ。(ウイリアム・ジェームス)

科学と医学を今ある姿につくりあげ、医学と人間がこれから進化していく道を開いた先駆者たち。彼らは、あらゆる科学の「常識と信じている事象」の先を見つめ、「稀にしか見られない常識外」の現象を探求しつづけた。そのパイオニア・スピリットから生まれる新しい科学こそが、私たち人類の将来を切り開くのである。
しかし歴史を振り返ればわかるように、新発見が先駆者たちに必ずしも栄誉をもたらすとは限らない。同時代の人々に快く歓迎された科学者もいれば、まったく逆の思いをした先駆者もいる。ここでのエネルギー医学をよりよく知るためのテーマとして、「生体コミュニケーションと不可視の力」を中心に過去の先駆者たちの足跡をたどってみることは、生体エネルギーの真価を自らに手繰り寄せるアプローチに供与すると考える。

「時を得た」先駆者

新しいアイデアが同時代の人々に早々と受け入れられ、しかも熱烈に支持されて「めでたし、めでたし」で終わったという先駆者はきわめて稀有だ。この恵まれた先駆者たちは運よく「時を得た」発見を成し遂げたか、あるいは「時を見る」賢明さを持ち合わせていたかのいずれかであろう。
その幸運な一例が、一酸化窒素(NO)の役割に関する発見である。NOが筋肉の血液循環をコントロールしていることを見い出した科学者は、1986年に初めて研究報告を出した後、1998年にノーベル医学生理学賞を授与されている。このような研究が約12年で評価されるというのは異例の速さだ。NOに関する画期的な発見により、生理学の大きな謎が解けたことが素早い評価につながったのである。

〜激しい運動時には、下肢の一つの筋肉が消費する酸素量が安静時の40-60倍に達する。この酸素需要に対応するために、心臓、肺、呼吸、血管、自律神経、副腎髄質、骨髄神経といった様々なシステムが機能する。(中略)筋肉の酸素需要がどのように心臓や全身にくまなく広がる細動脈へと伝わるのかについては、今のところわかっていない。〜 (アドルフ;1979)

「全身にくまなく」情報を伝えていた物質が気体であるNOだというわけだ。「1個の細胞がつくり出す気体分子がシグナルとなって、細胞膜を通過し、近隣の細胞の機能をコントロールする」という説は、調節生物学のまったく新しい概念であった。酸素を必要とする筋肉細胞がNOを産生し、このNOが近接する動脈の平滑筋へと速やかに移動することにより、平滑筋が弛緩する。その結果、血管が拡張して酸素の必要な部位の血流が増加するのである。

(出典『エネルギー療法と潜在能力』(小社刊))


★連載エッセイ ㊴☆

“こころ” と “からだ” …… 臨床にモノ思う。

・保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


「構造を修復する治療法」 と 「働きのバランスを整える治療法」

先日、久しぶりに中学生時代の同窓会に参加してきました。セミナーや研究会関係者とのパーティーは毎月のようにありますが、同級生というつながりで、いわゆる他業種の人たちとのパーティーは久しぶりでした。中学生時代の思い出話は楽しいひと時でした。何人かの親しくしていた同級生は、私が何をしているのかを知っていましたので、腰痛で悩んでいたある同級生に私に相談するように促してくれました。

話を聞くとかなりひどい腰痛で、入院した経験もあるとのことでした。椎間板ヘルニアの診断を受けたようですが、担当医は手術を勧めず、ブロック注射の治療を受けたとのことでした。それは10年以上も前の事だったようですが、未だに腰痛には悩まされていると訴えました。腰痛があるたびに担当医に診てもらっているとのことで、カイロプラクティックや鍼灸などの自然療法は受けていない様子でした。私は、その同級生に自然治癒力を引き出す治療者という立場で、腰痛が生じる因果関係をできるだけ分かりやすく説明しました。

最初、その同級生は理解しがたい表情もありましたが、話し終わる頃には納得してくれた様子で喜んでもらいました。私自身も話し終わった後、我ながら上手に説明できたかなと振り返りました。それは、前もって計画していた話の内容ではなく、どうしたら理解してもらえるかと必死に考えた末に無意識に出たたとえ話でした。
それは、ずいぶん前に自分のブログでも書いたことがある内容だったと思います。そのたとえ話のキーワードは「働きのバランス」です。西洋医学が得意とする「構造を修復する治療法」とカイロプラクターなどが得意とする「働きのバランスを整える治療法」との違いを説明しました。

特に分かりやすかっただろうと思うのは、オーケストラのたとえ話だったと思います。数十人で演奏するオーケストラの調和、すなわち強弱などのバランスが1人でもずれてしまうと、全体に影響を及ぼします。身体の「働き」も同じで、複数の筋肉、あるいは神経の働きのバランスが乱れると、関節がスムーズに動かなくなり痛み信号を発したりします。
もしも、10数人のオーケストラのメンバーが1人欠けたらどうなるでしょうか? 恐らく1人欠けたなりに、全体のバランスを整えれば素晴らしい演奏ができるはずです。それは4人のバンドメンバーが調和していれば、素晴らしい演奏ができるのと同じです。たとえ肉体構造の一部が欠けていても、あるいは、左右が不対称でも全体としての筋肉や神経の「働きのバランス」がとれていれば、身体は十分に機能してくれる力は持っているのです。
「構造を修復する治療法」は肉体の構造異常に注目して、変形や歪みを症状の原因とする傾向があります。世間一般では、ついつい「構造異常」に目を向けがちですが、慢性症状の場合には「働きのバランス」に注目することが大切なのです。


《連載53》

伝統医学をシルクロードに求めて

池上正治(作家・翻訳家)

インド文化のチベットへの伝播(つづき)

8世紀、第38代チソン・デソェン王の侍医をしていたユトク・ニンマ・ユンテングンポは、ヴァイロチャナの協力を得てアーユルヴェーダのサンスクリット原典をチベット語に翻訳、集大成して『ギュー・シ』(四部医典)の基礎をつくった。チソン王はインド仏教を正統として認定、中国仏教を退けたし、さらに3代後のチック・デツェン王は公式の宗教用語としてサンスクリットを採用した。このため8‐9世紀以降、チベットに対するインドの影響力は決定的なものになり、仏教や医学を含む各領域でインドへの傾斜は大きなものになっていくのである。

チベット医学のなかのアーユルヴェーダ

<トリ・ドーシャの機能と色の関係>
チベット医学が7-8世紀の吐蕃王朝の黄金時代を背景に、北は中国、南はインド、西はサラセンなど、各国の医学を貪欲なまでに吸収しながら確立したものであることは、すでに述べたとおりである。以下に、チベット医学のなかに見るアーユルヴェーダの要素を取り上げることとする。
チベット医学のバイブルともいうべき『ギュー・シ』、それを絵画化した『四部医典タンカ全集』については後述する。両書に頻出する「ルン」「チーパ」「ベーケン」というキーワードは、じつはインド起源なのである。インドの伝統医学アーユルヴェーダは既知のことであるが、アーユルは「生命」、ヴェーダは「経典」「知恵」を意味する。アーユルヴェーダでは人体の最も基本的な要素を三つに分類し、一括して「トリ・ドーシャ」と呼ぶ。そのサンスクリット語とチベット語の呼称とを対比させれば、次のようになる。
ヴァータ(Vata)→ルン
ピッタ(Pitta)→チーパ
カパ(Kapha)→ベーケン
トリ・ドーシャは人体を構成する最も基本的な要素であり、その三要素がバランスを保てば健康であり、アンバランスになれば病気となる。ルン、チーパ、ベーケンはすでにチベット語になり、チベット人の理解を容易にしているが、それは紛れもないアーユルヴェーダのトリ・ドーシャ理論である。

少し長くなるが、タンカのなかに現れたトリ・ドーシャと機能、その色の関係について、『アーユルヴェーダ研究』(1990年版、筆者稿)より引用したい。次号にて紹介する。(つづく)


根拠に基づく腰痛の原因と治療 – 腰痛治療の新常識(46)

長谷川淳史(TMSジャパン代表)
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腰痛、むち打ち症に関する正確な情報には想像を絶するほどの治癒力があります。どうか情報の拡散にお力をお貸しください。

■【薬物療法つづき】3)グレード1と2のWAD(むち打ち関連障害)患者に麻薬系鎮痛剤を処方すべきではないが、激しい痛みのある急性期のグレード3患者に限れば一時的に処方することができる。4)急性期のWAD患者に筋弛緩剤を処方してはならない。http://1.usa.gov/LYNegq
……ここでもう一度WADのグレードを再復習しておきましょう。【グレード1】頚部痛・凝り・圧痛のみで理学所見に異常なし。【グレード2】頚部の症状に加えて筋骨格系所見(可動域制限・圧痛点など)あり。【グレード3】頚部の症状に加えて神経学的所見(深部腱反射の低下や消失・筋力低下・知覚障害など)あり。【グレード4】頚部の症状に加えて骨折か脱臼あり。

■5)どのグレードであってもWAD患者に向精神薬は勧められないが、急性期(3ヶ月以内)の不眠や緊張状態に対する補助手段として処方してもよい。慢性(3ヶ月以上)のWAD患者には抗不安剤と抗うつ剤を処方することができる。http://1.usa.gov/LYNegq
……急性期の向精神薬とは抗不安剤や睡眠導入剤を指します。慢性期に入ると抗不安剤や抗うつ剤を用いてもかまわないという点では腰痛疾患とほぼ同じですね。

■【その他の治療】1)グレード1の患者には直ちに通常生活を再開するよう勧めるべきで、ネックスクール・仕事の変更・リラクゼーション法の適応はない。2)グレード2と3の患者にはできるだけ早く通常生活に戻るよう勇気づけるべき。http://1.usa.gov/LYNegq
……腰痛疾患と同じようにむち打ち症も骨折や脱臼がなければ、痛みの許す範囲内で可能な限り早く日常生活に復帰することが治癒を促すということです。むち打ち症だからといって安静に寝ていてはいけないのです。

■3)ネックスクール(頚痛教室)・一時的な仕事の変更・リラクゼーション法・鍼治療は、症状が3週間以上持続しているWAD患者の任意的補助手段として認められる。http://1.usa.gov/LYNegq
……明確な根拠があるわけではありませんが、それほど大きなリスクがあるとは考えられないので、活動性を維持するアドバイスとともに行われれば許容できるだろうという勧告です。

■4)磁気ネックレス・薬草(漢方薬を含むハーブ療法)・ホメオパシー・リフレクソロジ―(反射療法)などといった話題の治療法が有効だとするエビデンスはなく、特に磁気ネックレスは用いるべきでない。http://1.usa.gov/LYNegq
……磁気ネックレスはRCT(ランダム化比較試験)によって無効であることが確認されているので少し強い勧告となっています。

以上でWAD(むち打ち関連障害)の診療ガイドラインは終了します。本当ならこれ以降の新たな知見を織り交ぜて本を書いた方がよっぽど楽だったかもしれません。今回のWADシリーズは、日本カイロプラックティック評議会(CCJ)の森田正良DCから献本していただいた『むち打ち関連障害-「むち打ち」の再定義とその取扱い』を参考にさせていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。どうもありがとうございました。


【連載コラム】

“連動操体法”について、ちょっとばかり… (71)

根本 良一(療動研究所主宰)

【 連動操体法の応用編 】

[7] 首・肩に関わる障害

2)肩こりがひどく、頭が痛い
肩こりがひどいときは広背筋が硬くなり、僧帽筋が硬くこっている。また頭痛や腰痛を伴うことも多い。
a)広背筋の操作をする。広背筋と僧帽筋の関連を遮断して、首をリラックスさせる。
b)足からの影響があるので、足指まわし(中足骨まわし)を行い、足指基部からの操作もする。いずれも足と肩・首の関係と密接しているからである。
c) 大腰筋の操作をし、腰の状態を良くしておく。肩がこっても腰の形を整えておくと、それだけでも肩がラクになる。
d) 腹直筋も操作し、頸部の状況を良くしておく。腹直筋下部の緊張を足の動きで解消すると、頸部の筋がリラックスしてくる。

3)四十肩、五十肩について
肩の筋が硬いからといって、肩を構成する筋の問題として取り組むと難しくなるが、どこからどこへの「連動の流れ」としてとらえると容易に解決する。
a) 広背筋の操体法
伏臥位で足〜肩まで動くと、背部〜肩の僧帽筋までが弛緩して肩の筋や首までがラクになる。腕を上げる(僧帽筋)、腕を下げる(広背筋)、この両者のバランスが崩れるとき肩の動きが悪くなる。
この広背筋〜僧帽筋という流れがスムーズになると、四十肩、五十肩が緩解し肩の動きがラクになる。
b) 足指基部の操体法
・補助動作を選ぶ;椅子に掛けて上体を左右に捻り、フィンガースケールで手指のよく開く方、すなわちよく連動する動きのできる方を選ぶ。
・足先の動く向きは、主動作や日常動作の向く方へ、他力で折り曲げて、動く筋の張力をおとす「屈診」をする。このとき、左足、右足ともに上体の向きと逆方向になる。どの指の屈診で関連部の愁訴が解消するかをみて連動操体法を行う。

 N  E  W  S

NEWS■筋膜リリースは「はがす」のではなく 「ほぐす」が正しい

たった3分で肩こりが解消する――。そんなキャッチコピーで「筋膜リリース」が話題だ。痛そうだが、効果があるのか。理学療法士の竹井仁氏に聞いた。
「筋膜は、筋肉を包み込む膜のことです。筋線維一本一本を包む筋内膜、いくつかの筋線維を束ねる筋周膜、筋肉全体を覆う筋外膜があり、ボディースーツのように体全体に張り巡らされているのです」
・悪い姿勢や生活習慣によって、筋膜がねじれたり硬直したりすると、体にいろいろな悪影響が生じる。それを解きほぐすのが「筋膜リリース」だが、筋膜はがしとは何が違うのか?
「筋膜はがしは、医療資格のない民間療法で行われているもので、硬い部分の筋膜をむりやりはがしとるため非常に痛い。それで炎症が生じると、修復される際に組織が癒着し、逆に筋膜が硬くなるという悪循環を引き起こします。筋膜はがしは絶対によくありません」
・筋膜リリースはストレッチのようで痛くない。
「縦、横、斜めに走るコラーゲン線維の癒着やねじれを解きほぐすのが目的。さまざまな方向にゆっくりと気持ちいい程度に伸ばすのが肝心。決して勢いをつけたり、反動をつけたり、痛みを我慢してはいけません」
・効果は?
「中高年男性なら、肩や腰の痛みの解消、筋力アップ、柔軟性の回復、ゴルフやテニスなどのスポーツ動作の改善、内臓不調の改善などが期待できます」
ゆっくり、呼吸しながら90秒以上伸ばすのがコツ。どこが硬く緊張しているのか感じながら行うといいという。1日のうちに何度か繰り返すと、より効果的。2週間で体がスムーズに動くようになり、さらに2週間で「姿勢がよくなった」「若返ったね」と言われるようになる。「最初の4週間は、週5回必ず行うこと。それ以降は、1日置きでも大丈夫」だという。(3/12 現代DIGITAL)

NEWS ■日本人高齢者の不眠、男女間で異なる特徴:岡山大

不眠症の患者数は、高齢化社会に伴い急速に増加している。認知機能、情動機能、ADL機能に対する不眠症の影響は十分に研究されていない。岡山大学の菱川望氏らは、日本人高齢者の不眠の有病率や認知機能、情動機能、ADL機能に対する影響について、性別、年齢により比較した。Neurological research誌オンライン版の報告。
対象は、地方行政の健康診断を受けた高齢者コミュニティ住民142人。対象者は、MMSEを含む認知機能、情動機能、ADL機能テストを行った。アテネ不眠尺度(AIS)スコアに基づいて2つのサブグループに分類し(AIS 3以下とAIS 4以上)、性
別、年齢による認知機能、情動機能、ADL機能を比較した。主な結果は以下のとおり。
・主観的な不眠症(AIS 4以上)は、36.2%で認められ、男性よりも女性で多かった。
・AISサブグループ間での認知機能に差は認められなかった。
・男女ともに、老年期うつ病評価尺度(GDS)スコアは、AIS 3以下群よりもAIS 4以上群で有意に高かった。
・やる気(Apathy Scale)スコアは、AIS 4以上群の男性で有意に高かった。
・AISサブスケールのうち「日中の眠気」は、男性よりも女性で有意に高く(p<0.01)、とくに75歳以上で顕著であった(p<0.01)。
・この高齢女性群は、Trail Making Testスコアが有意に低かった(p<0.05)。
著者らは、「不眠症は日本人高齢者コミュニティにおいて36.2%に認められた。不眠症患者では、抑うつ症状が多く認められ、男性ではやる気の低下を示した。75歳以上の女性における最も特徴的な点は、日中の眠気の頻度が高いことで、注意や執行機能の低下に関連する可能性がある」としている。(3/10 careNet)

NEWS ■「リハビリ革命」、日慢協が7つの提言

日本慢性期医療協会(日慢協)の武久洋三会長は3月9日に記者会見を開き、リハビリテーションの「革命」に向けた7つの提言を発表した。少子・高齢化の進展を見据えて「高齢者リハビリ」を確立させる必要性を訴えるといったもの。来年春の診療報酬・介護報酬同時改定に向けた要望にも反映させる方針だ。
提言は慢性期に限らず、急性期のリハビリを充実させる必要性も指摘している。会見で武久会長は、患者が寝たきりになるのを防ぐため、高度急性期機能を担う医療機関などで、リハビリの専門職が手術前から患者にかかわり、早期の退院につなげるべきだと主張した。
また、人口ボリュームが大きい団塊世代の加齢に伴い、75歳以上の患者がしばらく増え続けることに言及。そうした患者に60歳代や70歳代と同じリハビリを提供しても効果が見込めず、75歳以上の高齢者らに特化したリハビリを確立させることが「喫緊の課題だ」と述べた。
さらに、リハビリの報酬体系の見直しも提言。現在、リハビリを提供した医療機関が算定する診療報酬は原則、決められた範囲内で提供する時間が長いほど高くなる仕組みだが、時間の長さと報酬とを切り離し、効果(アウトカム)に応じて評価する仕組みに改めるべきだとした。(3/10 医療介護CBニュース=一部)

NEWS ■腰痛治療の新ガイドライン―まずは薬物療法以外を

米国内科学会(ACP)が先ごろ発行した新たなガイドラインによると、腰痛患者にはまず薬剤を用いない治療法を試すことが推奨される。オピオイド鎮痛薬は最終手段とすべきであり、アセトアミノフェンには効果が認められないため、今後は推奨しないという。
ACP代表のNitin Damle氏によると、明確な原因のない短期的な「非特異的」腰痛の多くは、加温や行動改善などの簡単な方法で改善するという。これに対して、「神経根性(radicular)」腰痛は椎間板ヘルニアなどによる脊髄神経の圧迫に起因するもので、脚の放散痛や筋力低下、しびれなどの症状を伴う。
ガイドラインでは、一般に12週間未満の腰痛の場合は、温熱シート、マッサージ、鍼治療、脊椎徒手整復により効果が得られる可能性があるとしている。12週間以上続く場合でも、運動療法、鍼治療のほか、ヨガ、太極拳、マインドフルネスによるストレス軽減、ガイデッド・リラクゼーションなどの「心身」療法、認知行動療法が有効な場合があるという。
薬剤を用いる場合は、イブプロフェン、ナプロキセンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)または筋弛緩薬から開始し、効果がない場合はデュロキセチン、トラマドールなどが次の選択肢となる。オピオイドは依存症や過量投与のリスクがあり、有効性を示すエビデンスも少ないため、やむを得ない場合のみ使用し、数日にとどめるべきであると、Damle氏は述べている。(3/2 HealthDay News)

NEWS ■女86.99歳、男80.75歳=2015年平均寿命が確定

厚生労働省は3月1日、国勢調査に基づいて5年ごとに作成している「完全生命表」を公表した。人口推計に基づき毎年まとめる「簡易生命表」の確定版で、2015年の日本人の平均寿命は女性が86.99歳、男性が80.75歳だった。前回2010年から女性は0.69歳、男性は1.20歳延びた。昨年7月に公表した15年の簡易生命表(女性87.05歳、男性80.79歳)からは男女ともわずかに下方修正された。(3/1 時事通信)

NEWS ■スマホ使用、就寝前を避け良質睡眠を

福井新聞政経懇話会の第425回2月例会は2月21日、福井新聞社・風の森ホールで開かれ、快眠セラピストの三橋美穂氏が、「心もからだもスッキリ! 快適睡眠術」と題して講演した。三橋氏は寝具メーカー研究開発部門長を経て2003年に独立、実践的なアドバイスに定評がある。心地よく眠るための環境づくりや方法を紹介し「疲れをとることだけを睡眠の目的にせず、明日へのパワーを得る『快眠』を身に付けて」と語った。講演要旨は次の通り。
①日本大教授らの試算によると、睡眠不足による国内の経済損失は3兆5千億円。作業効率低下や遅刻・欠勤、交通事故の原因になる。医療費を含めると5兆円に膨れ上がる。米スリーマイル島原発事故やアラスカ沖・石油タンカー座礁事故などは、睡眠不足による産業事故。18時間起き続けた状態だと酒酔い運転と同等の注意力になる。
②脳が一番覚醒する時間帯といわれる「午前10時から正午」に頭がすっきりしているかどうかが、いい睡眠がとれているか否かのバロメーター。眠くなってから寝床に入った方がよく、30分たっても眠れなければ一度寝床から出るべきだ。布団に入ってから眠るまでの時間を短くすることで睡眠の質が高まる。なかなか寝つけない人は「遅寝・早起き」を心掛けるのがスタンダードな睡眠改善法。
③良質な睡眠をとるためには体内時計を整えることが重要で、▽毎朝同じ時間に起きる▽起床後、太陽の光を浴びて朝食をとる▽日中が青、夕方以降はオレンジ色の照明を使う-ことなどがポイント。長すぎる昼寝をせず、就寝前8時間はしっかり覚醒していることもスムーズな寝つきを促す。就寝の1〜2時間前に入浴し、以後はパソコンやスマートフォンの使用は避けたほうがいい。(2/25 福井新聞)

NEWS ■世界のうつ病患者3億人–WHO

世界保健機関(WHO)は2月23日、世界でうつ病に苦しむ人が2015年に推計3億2200万人に上ったと発表した。全人口の約4%に当たり、2005年から約18%増加した。世界的に一般的な精神疾患になりつつあり、若年層の自殺増にもつながっているとして、早急な対策が必要だと指摘した。
地域別ではインド、中国を抱えるアジア・太平洋地域で全体の約48%を占め、日本は約506万人。厚生労働省によると、うつ病など気分障害で医療機関を受診している人は約112万人(14年)だが、WHOの統計は専門家による推計値のため、医師にうつ病と診断された人以外も含んでいる。(2/25 毎日新聞)

NEWS ■腰痛治療の新たな救世主 「読書療法」

国民病とも言える腰痛。その中で効果的なのが「読書療法」である。なぜ、読むだけで腰痛が治るか? 腰痛が慢性化してしまう原因の一つには、<腰痛に関する正しい知識の不足>が挙げられる。急性腰痛(ギックリ腰など)のときに適切な処置を行わなかったり、我流で判断して、結果的に誤った処置の末に慢性化したり……。
書物で正しい知識が得たならば、腰を痛めても適切な処置を選択しやすくなる。そこに正しい知識を得るだけでも、自分の常識は間違っていたんだな」と気づく事ができる。
読書療法の効果的な理由の二つ目は、同じように腰痛に悩む人の体験談によって「自分だけじゃない」という安心感を得る。自分自身の隠れていた感情を知ることで、腰痛と前向きに対する気持ちが芽生えたり、その本来の原因が見えてきたりする。特に慢性化した腰痛には、「腰痛に対する間違った考え方や不安感が影響する」と最近の研究で明らかになってきた。腰痛の原因の一つが脳(考え方)ならば、その考え方を改める必要がある。それを読書によって行うのだ。
また、腰痛の85%は、構造的に問題のない、レントゲンなどの画像所見では原因が見つけられないものだ。その中には「心因性」の腰痛が含まれている。読書療法は心理的に働きかけるもので、自分自身の感情や状態に気づくことで、腰痛と向き合い改善を図っていく。これらは「腰痛に対して考え方、認知面を変えていこう」という最近流行りの「認知行動療法」だ。
もちろん、すべての腰痛が読書だけで治るわけではない。慢性腰痛の多くは、さまざまな破局的思考や間違った考えが染み付いて、腰痛の悪循環から抜け出せない。この大きな問題には、考え方を変化させる読書療法は有効だ。(2/20 Health Press)


■次号のメールマガジンは2017年4月10日ごろの発行です。(編集人:北島憲二)


[発行]産学社エンタプライズ