エンタプライズ発信〜メールマガジン【№41】2014. 9

9月に入ってから朝夕がずいぶんと涼しくなりました。台風14号が過ぎればさらに清涼感を増すことでしょう。1年から見れば短期間の炎暑・酷暑の夏ではありますが、寝苦しい夜になかなか寝つけなかった人も多かったのでは…。エアコンが頼りの現代でも、温度の調節や管理はたやすく体感に与するものではありません。暑さが残ったり冷えすぎたりすると入眠障害になってしまうこともあります。そのほか眠れない要因としては、寝る前についついスマホを見る、なんてやってしまいがちですが、寝つけなくなるだけでなくすぐに目が覚めて慢性的な不眠症になってしまう可能性があります。パソコンやスマホの画面に使われているライトには、神経を興奮させる作用があるからです。反面、寝酒を軽くやると寝つきがよくなるという人がいます。たしかにアルコールは入眠を誘う効果はありますが、良質な睡眠を持続させる力はありません。自分では認識していなくても、睡眠中に数分間の中途覚醒が起きて、朝までぐっすり眠ることができません。また、深いレム睡眠の割合は増えますが、睡眠時間の合計は変わらずとても非効率な眠りとなってしまいます。さらに体がアルコールに慣れてきて少量の飲酒では眠れなくなり、徐々に飲酒量が増えてしまう依存型になることを指摘する睡眠外来の医師もいます。幸い、涼感の漂う時節へ移ろいます。パソコンは早々と消して、湯船にゆったりと浸かって血行がよくなったところで早めに休むことにしましょう。おっと、寝酒はナシということで……。

★☆★━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━━━★☆★

TOPIC
【1】カイロプラクティックの安全性に関するガイドライン
【2】“こころ” と “からだ”……臨床にモノ思う。
【3】伝統医学をシルクロードに求めて
【4】根拠に基づく腰痛の原因と治療 《腰痛治療の新常識》
【5】“連動操体法”について、ちょっとばかり…
【6】N・E・W・S
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【TOPIC】
「カイロプラクティック・安全教育プログラム」 第二期受講生を受付…JAC

カイロプラクティック・安全教育プログラムは、日本カイロプラクターズ協会(JAC)が、日本カイロプラクティック登録機構(JCR)と連携して企画立案したものです。日本国内でカイロプラクティックを標榜している施術者の中で、WHO基準を満たしていない人を対象として、受療者の「安全性」を担保するための教育プログラムです。 JACから東京カレッジオブカイロプラクティック(TCC)に本プログラムの実施が委託され、この講座の開講となりました(3年制)。
この講座を受講し終了することで、JCRの登録に必要な試験(IBCE)の受験資格を得ることができます。また、JCRの登録をもって「カイロプラクター」に位置付けられます。施術者として患者の健康被害を未然に防ぐためにも履修しておきたい講座です。第二期の受講受付は9月30日で締め切られます。本プログラムの目的、内容、登録試験等の詳細についてはwww.jac-chiro.org/safety_education.htmlをご覧ください


■ 連載 9

カイロプラクティックの安全性に関するガイドライン

〜 Chiropractic Guideline-Safety 〜
<一般社団法人日本カイロプラクターズ協会>


今後の課題

カイロプラクティック教育のあり方をはじめとして、わが国のカイロプラクティック業界内で意思を統一することができない現状では、法的な規制に委ねて強制的に業界の方向付けを図ることも有用な解決策だろう。しかしカイロプラクティック業界自らが安全性の改善へ向けた積極的な努力を怠っていては、決して法制化はされないであろう。カイロプラクティックの法制化はあくまでも結果であって、目的ではないことを認識する必要がある。
カイロプラクティックの安全性の改善に向けての喫緊の課題は、WHO基準のカイロプラクティック教育の推進、カイロプラクティック業務における自主規制、カイロプラクターの登録制度の確立、カイロプラクター認定のための試験制度の確立、の4点である。

1)WHO基準のカイロプラクティック教育の推進
わが国のカイロプラクティックの安全性を向上させるための解決策として最も有用なのは、教育機関における初学者への「教育」であり、カイロプラクティック類似施術者への「再教育」である。初学者に対しては正規なカイロプラクティック教育を行い、WHOガイドラインの教育基準を満たさない短期養成校を卒業した者に対してはWHOガイドラインにある限定的なカイロプラクティック教育に則して再教育を行うなど、世界に伍するカイロプラクターを養成しなければならない。
目下の急務は後者であり、カイロプラクティックの安全性を脅かす施術者、すなわちカイロプラクティック類似施術者の教育履歴を精査した上で、あらためて正規なカイロプラクティック教育または期間限定の経過措置としての限定的なカイロプラクティック教育を行う必要がある。当然ながら、そうした教育がカイロプラクティック類似施術者養成校やセミナーのレベルで提供されても本質的な解決にならず、CCEA(大洋州カイロプラクティック教育審議会)から認定された、もしくは認定のための申請手続き中の国内に既存する正規のカイロプラクティック教育機関が担わなければならない。

2)カイロプラクティック業務における自主規制
手技療法であるカイロプラクティックでは、身体評価や治療の際に利用者の身体に直接手を触れて施術を行う。また臨床業務上で患者の個人情報を知りうる。こうした立場を悪用し、業務内で公序良俗に反する言動や行為が行われる事件が散見される。
カイロプラクティックと称する施術者はすべて、行動に高い倫理性をもった上で社会的責務を果たさなければならない。そのためにはカイロプラクティックの施術者に対して倫理規定を設け、それを遵守させることでヘルスケア業務としてのカイロプラクティックの信頼を獲得する努力が必要である。
世界カイロプラクティック連合に加盟しているわが国の代表団体である一般社団法人日本カイロプラクターズ協会(JAC)には倫理規定が設けられており、業務の自主規制の細則を遵守することが会員登録の条件になっている。こうした倫理規定や業務の自主規制は、JACの会員だけでなくカイロプラクティックと称して業務を行っているすべての施術者が共通して守るべき規範である。(つづく)


★連載エッセイ ⑨☆

“こころ” と “からだ”  …… 臨床にモノ思う。

 保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


仮性近視は筋肉系-神経系-脳(潜在意識)の関係性による誤作動

高校受験を控えた受験生が、急に視力が落ちたとのことで、お母様の奨めで来院されました。最初は天井に貼られている張り紙がぼけて見えにくいとのことでしたが、治療後にはその文字がはっきりと見えやすくなったとのことで、「えっ、見えやすくなった!」「何でよくなったのですか?」と喜ばれていました。
近視には、仮性近視、屈折性近視、軸性近視があります。視力回復の治療で比較的に効果が出やすいのは初期段階の仮性近視、もしくは軽い屈折性近視です。仮性近視が始まる原因は様々ですが、この患者さんは今、受験勉強の真っただ中。毎日集中して本やノートを見ているのでしょう。

近視の原因の多くは、目のレンズ(水晶体)調整に関わる筋肉の機能障害です。視力調整はレンズ(水晶体)の両端についている網様体筋で調整されています。この網様体筋が緊張したり弛緩したりして、レンズを厚くしたり、薄くしたりして遠近を調整しています。もしも、この網様体筋がうまく働かなくなるとレンズの調整ができなくなり、視力が悪くなります。
この視力障害も腰痛や肩こりなどの症状と同様に筋肉系が関わっていますので、他の関節障害と同じように筋肉系‐神経系-脳(潜在意識)の関係性をニューロパターンセラピーで検査して調整を行います。
検査では主に網様体筋の機能障害を検査します。本症例では「意欲」「義務感」「期待」「不安」などの感情が、網様体筋の誤作動に関係していました。2回目の治療では、最初の治療後は良かったけれども、その後、勉強した後に症状が戻った感じになったとのことでした。しかしながら、2回目の治療前と治療後の視力検査では視力検査表で3段階の改善が見られました。(つづく)


《 連載23 》

伝統医学をシルクロードに求めて

       池上正治(作家・翻訳家)


「汝の隣人を愛せよ」とは

ドクター岩村が“一大事件”に遭遇し、発想の転換をしたのは、山中を巡回診療している最中のことであった。村人たちに手持ちの薬をすっかり渡した後、彼自身が細菌性赤痢にかかってしまったのである。薬を持たない医者が病気にかかったときほど途方に暮れることはないだろう。ムシロの上に横たわっているドクター岩村を、「あんたもわしのアプノ・マンチェ(身内)だから」と村長がかつぎあげ、運んでくれたのは祈祷師(バイディア)のところであった。意識も朦朧としている岩村医師の耳たぶを引っ張ったり、耳元でギャッと叫んだり、舌を引っ張り出したりしたあと、祈祷師は“患者”の口の端から何やら緑色の液体を注ぎ込んだ。
翌朝、すっかり元気を回復している自分に気づいた岩村氏は、緑色の液体がヒマラヤの薬草から作ったものであり、祈祷師がじつは村の長老であり、かつては英連邦軍の衛生兵であったことを聞いて、「まさしく目からうろこを落とされた」思いであったと語る。

すなわち、それまでのネパールでの医療伝道活動を、バイディア(祈祷師、民間医療法師)やアジ(村の産婆さん)との関係を基準にして、3期に分けることができるという。第1期=彼らが迷信家であり、人間の生命をスポイルするものであるとして排除。第2期=やはり存在を無視できなくなり、手を結び、結核対策を手伝ってもらう。この第1期、第2期には、近代医療のセンターを作り、その中で、ネパールの農民を待ったり、診療班で巡回し、農民に近代医療を“輸出”していたことになる。第3期=患者と住民本位の現地方式でやり、ネパール特有の結核対策を作り上げる。パイディアやアジこそがその担い手であり、こうしたネパールの草の根ともいうべき人たちの経験の中から、実際の役に立つ科学的なものを学び、非科学的な迷信で、役に立たないものを改めながら、自分自身が教育されていく。これが第3期の、将来への課題であることが、14年間の総括として出されたのである。また「医学と福音」の関係について、岩村昇氏は次のように結論している。

—-思えば、先進国から出かけて行って、発展途上国の人たちに教えてあげ、結核から救ってあげるのだ、私はそう信じ、さらにキリスト教徒としてのそれが隣人愛の実践であると信じてネパールに来た。ところが、ネパールのお百姓さんたちと生活していると、「汝の隣人を愛せよ」のその「愛」という言葉がだんだんわからなくなってしまったのである。……ネパールでいま、やっと仲間に入れてもらい、病気を民間医療で治されてみてはじめて、イエスさまのおっしゃった「汝の隣人を愛せよ」という意味がわかったのである。それは「相手の身になってみい」ということなのである。
(『ヒマラヤから祖国へ』主婦の友社、1976)(つづく)


根拠に基づく腰痛の原因と治療 – 腰痛治療の新常識(16)

   長谷川淳史(TMSジャパン代表)
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■88,000名以上を対象としたコホート研究により、筋骨格系疾患を持つ患者の死亡率と発がん率の高いことが判明。死亡率が高いのは股関節痛・腰痛・肩関節痛の順で、発がん率が高いのは腰痛・股関節痛・頚部痛の順だった。http://1.usa.gov/mnkHNZ
……理由は不明とありますが、後の研究では運動量や食事習慣などの関与が疑われています。だからこそ筋骨格系疾患は慢性化する前に治してしまわないといけないのです。

■腰痛の原因はいまだに謎だが、椎間板変性を腰痛の原因と考える脊椎外科医は23%のみで、その患者に固定術か椎間板置換術を選択すると答えた脊椎外科医はわずか1%しかいない。もし自分が患者なら99%が保存療法か放置すると回答。http://1.usa.gov/katDsM
……あらゆる研究が椎間板変性(椎間板が潰れている状態)と腰痛は無関係だと証明しているにもかかわらず、それを腰痛の原因だと信じ込んでいる医師が23%も存在するとは驚きです。もちろん手術の適応になるはずがありません。

■1966年から2010年2月までに発表された論文を検索した結果、現在の腰痛管理システムはけっして理想的なものではなく、腰痛を悪化させる可能性すらあることを示す豊富なエビデンスがあることが判明。http://1.usa.gov/lr6fyx
……従来の腰痛治療は思っていた以上に効果がないことが明らかになっています。同時に効果のある方法も明らかになってきています。21世紀の腰痛治療は無効な治療法の排除と有効な治療法を3つ以上組み合わせることです。

■2年間にわたる追跡調査によると、坐骨神経痛を有する椎間板ヘルニアの手術は保存療法より有益とはいえない。職場復帰率や長期活動障害率においても手術の優位性は認められなかった。坐骨神経痛は手術を受けるか否かに関わらず時間が経てば改善する。http://1.usa.gov/igqtA0
……いわゆる坐骨神経痛も風邪や逆剥け(さかむけ・ささくれ)と同じグリーンライト(自己限定性疾患)だということです。風邪や逆剥けで手術を考える人がいないように、腰痛や坐骨神経痛で手術をするのは慎重でなければなりません。


【連載コラム】

“連動操体法”について、ちょっとばかり… (41)

       根本 良一(療動研究所主宰)


【 連動操体法の応用編 】
1.足首、腓腹部の異常(つづき)

2)片足が上がらない

75歳の患者。階段や道の縁石を上がるとき、右足が上がらず足を踏み替える。上がらないほうの足が悪いと思って、市内の約20か所の病院と治療院を訪ねてみたがどうにも解消しない。痛いのではないが、外出することに不便だという。しかし痛くないし、歳だからぐらいに思っているのか、あまり重要視していない。話のように足を上げてもらうと、たしかに右足が上がらない。
① 椅子に掛けさせ、股関節、大腿部、腓腹部をみると、左足の腓腹部が硬い。
② この緊張を処理するため、両足ともに足指を気持ちよく、ていねいにまわした。
③ 内腿部の操体法で殿部:坐骨結節〜脛骨神経〜腓腹筋という流れで腓腹筋が軟らかくなった。
そこで立って足を交互に上げてみると、これが同じように上がった。上がらない足が悪いのではなく、立って、足を上げるときに、重心側の足の支えが不安定なだけであった。

3)片足で立って靴下が履けない

現代では、子どもが靴下を履くとき、床に座って履くことが多い。まるで老人の所作である。なぜだろう? 靴を履く生活が多い。そして歩く地面も、田舎の凸凹道ではなく舗装道
がほとんど。これは足に変化のある負荷は少なくなっている。したがって片足立ちが苦手、というのが一つの特徴だ。
次に、家でもテレビ、ゲーム、学習補習など座っていることが一般的で、多くの子どもに足が硬い、腰が痛いという身体現象がある。もう一つ加えれば、和式のトイレがない。そのため腓腹部をストレッチする機会がない。硬くなった筋はそのまま放置される。
運動をしようとする子どもでも、床に足底をつけてしゃがめない。正座はできても、しゃがんで膝を折ることができない。これをよく診ると、やはり腓腹部が硬い。運動する子どもにとって(大人にも)一大事である。また運動をするときには十分に柔軟運動をするはずだが、中には手抜きをしてしまうことがある。
小学高学年から中学生にかけて、オスグッド症候群(成長痛)の子どもが多い。骨の成長に筋の成長が追いつかないからだ。また腓腹部が硬い。大腰筋が緊張して大腿二頭筋が緊張し、膝が痛いなど、まるで半病人のようである。この対策として考えられるのは、
① 大腰筋をいつも正しく整え、大腿二頭筋を柔らかにする。
② 内腿部から腓腹部を軟らかにする。
③ オスグッド症候群は成長期に生じるから、上の2項をしばらく中学後期くらいまで心がけるとよい。この時期を過ぎると、背はよく伸び、元気になる。
(つづく)


*** N *** E *** W *** S ***


NEWS ■不眠症…週3回1カ月続いたら要治療


9月3日は「秋の睡眠の日」。人は年を重ねて老年期になると、睡眠リズムが崩れやすい。朝起きてスッキリ感がなく、昼間の眠気や倦怠感などがよくあるようなら要注意。きちんと眠れているか、自分の睡眠を振り返ってみよう。
年寄りは朝が早い-といわれるが、昼寝もする。つまり、睡眠も起きている力も両方長く維持できなくなる。そのため睡眠の質が低下するという。ただし、加齢による睡眠の変化は生理的な現象なので、不眠症とは別もの。朝早く目が覚めても、昼寝する、夜早く眠くなる。夜中何度も目が覚めても、再度眠れれば不眠症ではない。
「不眠症は、脳が過覚醒の状態で、夜昼問わず眠れなくなります。昼間に眠気が出て、寝ようとしても眠れない。だから、イライラや倦怠感、集中力・注意力の低下、仕事能力の低下などが起きてつらくなるのです」(スリープ&ストレスクリニックの林田健一院長)
また、鬱病の9割は不眠を合併し、鬱病から不眠、不眠から鬱病と双方に関係性があるが、そのメカニズムはハッキリ解明できていないという。「不眠症には入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒とあります。週3回以上あり、1カ月も続いていれば治療すべき状態です」(同)
《不眠症の症状による分類》
(1)入眠困難…布団に入っても、なかなか眠れない
(2)中途覚醒…夜中に何度も目を覚まし、再度なかなか眠れない
(3)早朝覚醒…朝、起床しようと思う時間より早く目が覚め、そのあと眠れない
(夕刊フジ 9/2=一部)


NEWS ■医療費40兆円に迫る 13年度概算


厚生労働省は8月26日、2013年度に病気やけがの治療で全国の医療機関に支払われた医療費が概算で39兆3千億円となり、11年連続で過去最高を更新したと発表した。前年度と比べ8千億円増え、伸び率は2.2%。高齢化に加え、医療技術の高度化も影響した。このペースが続けば14年度にも40兆円に届く可能性がある。12年度の医療費の地域差分析も公表。都道府県別の1人当たり医療費が最も高い高知県と最も低い千葉県では1.5倍超の開きがあった。
政府は医療費抑制のため入院治療から在宅医療への移行を促し、都道府県ごとの医療費支出目標を15年度から導入することを目指している。医療費の膨張は国の財政を圧迫しており、実効性ある対策が求められそうだ。
13年度の1人当たりの医療費は前年度から7千円増え30万8千円。75歳未満が3千円増の20万7千円だったのに対し、75歳以上は1万2千円増の92万7千円と大きく膨らんだ。医療費を診療別にみると、外来と調剤が20兆6千億円で全体の52.6%を占めた。入院が15兆8千億円(40.2%)、歯科は2兆7千億円(6.9%)だった。
都道府県別総額の伸び率では、東日本大震災のため12年度に医療費が伸びた反動で宮城県だけがマイナスとなった。首都圏や中部、関西などの都市部が比較的伸び率が大きかった。(共同通信 8/27)


NEWS ■電子たばこ「公衆衛生上の脅威」WHO


世界保健機関(WHO)は8月26日、電子たばこに関して、非喫煙者や若年者に狙いを定めた広告や、公共の屋内での使用禁止などを求める内容の報告書を公表した。10月中旬にモスクワで開かれるWHOのたばこ規制の会議で話し合われる。
一般的な電子たばこは、ニコチンや香料などの混じった水蒸気を吸い込む仕組みになっている。風味の種類は8千程度あるとされ、チョコレートといった明らかに未成年向けの風味のものも多いという。
報告書によると、電子たばこには現在、466のブランドがあり、2013年の時点でその市場規模は30億ドル(約3千億円)にまで拡大。多くの国で使用実態は不明だが、米国などでは08年から12年の期間で大人や青少年の使用者が少なくとも倍増したとのデータもあるという。これらの動きは、これまで培ってきた、たばこ規制努力を骨抜きにする可能性がある。(朝日新聞デジタル 8/26)


NEWS ■生活不安のうち老後57% 過去最高


内閣府が8月23日付で発表した「国民生活に関する世論調査」によると、日常生活で悩みや不安を「感じる」と答えた人は66.7%で、そのうちの57.9%が具体的な内容(複数回答)として「老後の生活設計」を挙げた。昨年の前回調査と比べて2.6ポイント増で、1992年に同じ質問を始めてから過去最高の数字となった。年金制度や景気の先行きへの不透明感が背景にありそうだ。
ほかの悩みや不安は「自分の健康」(49.7%)、「家族の健康」(41.9%)、「今後の収入や資産の見通し」(41.0%)が続いた。「現在の収入や資産」は前回比3.0ポイント増の35.2%で、増加幅は設問中で最も大きかった。
現在の生活への満足度は「満足している」「まあ満足している」を合わせて70.3%で前回比0・7ポイント減。「不満だ」「やや不満だ」の合計は29.0%で1.4ポイント増えた。内閣府は「ことし4月の消費税率引き上げが影響した可能性がある」としている。
政府に対する要望(複数回答)を全体に聞くと「医療・年金などの社会保障の整備」との回答が68.6%でトップ。「景気対策」(58.7%)、「高齢社会対策」(54.9%)、「雇用・労働問題への対応」(42.5%)、「物価対策」(38.8%)が上位を占めた。調査は6〜7月に全国の成人男女1万人を対象に実施。回答率は62.5%だった。(共同通信  8/25)


NEWS ■断食は究極のアンチエイジング。免疫系が再生


断食の効用については、これまでにもさまざまな研究がなされてきた。栄養学の専門家などの間では異論もあるが、先ごろ、興味深い研究報告が発表された。半年に一度、2〜4 日間の断食をすると、免疫系が再生するというのだ。
南カリフォルニア大学(USC)長寿研究所のヴァルテル・ロンゴ教授らの研究によると、断食によって血液や免疫系の生成にかかわる造血幹細胞が活性化して、新しい白血球が生み出され、免疫系が再生することがわかった。
6月5日付のUSC Newsが伝えたところでは、「飢餓状態になると、体はエネルギーを節約しようとして、ダメージを受け不要になった免疫細胞をリサイクルしようとするのではないか」とロンゴ教授は分析している。断食はさらに、幹細胞の活性化を阻害する酵素(PKA)や、老化やがんのリスクと関係するホルモン(IGF-1)を減少させるという。「断食は、老化や化学療法の副作用でダメージを受けた免疫システムを再生する。文字通り、新しい免疫系をつくる」とロンゴ教授。
そのメカニズムは動物実験上で明らかになってきたという段階だが、確証を得られれば、免疫力が低下した高齢者や、がん治療などの化学療法を受けている人にとって福音となる。
研究チームは断食について、免疫系だけでなく、ほかの組織や器官でも同じ効果を得られるか、実験を続けているという。そこで気になるのが断食によるアンチエイジング効果だ。体のさまざまな組織が「再生」されれば、肌や髪など見た目の若返りも可能になるのではないか。(J-CASTニュース 8/23)


NEWS ■依存症多い日本。ギャンブル536万人 厚労省研究班


成人の依存症について調べている厚生労働省の研究班(研究代表者=樋口進・久里浜医療センター院長)は8月20日、パチンコや競馬などギャンブル依存の人が成人人口の4.8%に当たる536万人に上るとの推計を初めて発表した。インターネットから離れられないIT依存の傾向がある成人は421万人となり、5年前から約1.5倍に増えた。また、アルコール依存症の人は初めて100万人を超えて109万人に達し、女性は2008年の8万人から14万人に急増した。
研究班は昨年7月、成人約4000人に面接調査を実施した。その結果、ギャンブルについては、国際的に使われる指標で「病的ギャンブラー」(依存症)に当たる人が男性の8.7%、女性の1.8%だった。海外の同様の調査では、米国(02年)1.58%▽香港(01年)1.8%▽韓国(06年)0.8%--などで、日本は際立って高い。
IT依存は、国際指標で「問題使用者」に当たる人が男性の4.5%、女性の3.5%に上った。若いほど高く、20〜24歳は男性の約19%、女性の約15%が該当した。スマホの普及が影響しているとみられる。
一方、飲酒は「1年間で1度でも飲んだ」という男性は約84%、女性は約63%で、10年前と比べて女性が横ばい、男性は約3ポイント下がった。だが、アルコール依存症の推計数は03年の83万人から増えた。樋口院長は依存症対策について、「啓発と学校などでの予防教育、治療や社会復帰のシステム作りが必要だ」と話した。(毎日新聞 8/21)


NEWS■<がん> 採血で診断、開発へ…乳がんで実施へ


国立がん研究センターなどは8月18日、乳がんなど13種類のがんを1回の採血で発見できる診断システム開発に着手したと発表した。血液中の物質「マイクロRNA」が、がんになると量が増減することに着目した方法で、身体的、経済的な負担の少ない新たな早期がん発見方法として確立を目指す。このうち解析データが多い乳がんの検査は、来年度にも東京都内の検診機関と提携して先行実施を目指す。
血液などに含まれるマイクロRNAは2578種あり、特定のがんの腫瘍マーカーになることが分かっている。だが、がんの有無や部位発見には分析が不十分だった。同センターや東レなどの開発チームは、同センターが保有するがん患者約6万5000人分の血液データを解析する。がんの種類ごとにマイクロRNAの種類とその量のパターンを調べ、どの部位のがんにどのマイクロRNAが多いのかなどを探り、がんの有無と部位の特定を目指す。従来の腫瘍マーカーは、がんの早期から高い数値を示すケースは少なく、腫瘍がある程度、大きくならないと検出できない限界があった。
がん検査を巡っては、乳がんはマンモグラフィー(乳房X線検査)、肺がんや胃がんはX線検査などと、各がんに対応する検査があり、大型検査装置が必要なことが多い。また、初期のがんを見落としたり、良性腫瘍を悪性と判断したりすることもある。今回の検査が実現すれば、初期に陽性と判明する割合がわずか2%程度とされる乳がんで、早期発見率が大幅に上昇することが見込まれている。
来年度の先行実施を目指す乳がん検査は、がんと分かっていない人が希望すれば受けられるようにする予定。受診料は未定だが、従来の装置による検査より大幅に低くなる見込みだ。また、今回の診断システムを認知症の診断にも応用する研究を進める。(毎日新聞 8/19)


NEWS ■危険ドラッグの通報7割増。都内で乱用止まらず


幻覚や意識障害などの恐れがある危険ドラッグに関する110番の件数が、東京都内で今年1〜7月で計379件に上り、昨年同期に比べ7割増えていたことが8月14日、警視庁への取材で分かった。国の規制をかいくぐり、乱用に歯止めがかからない現状が浮き彫りとなった。
危険ドラッグの影響とみられる交通事故が相次ぎ、警察庁などが「脱法ドラッグ」の呼称を改めたばかり。今後、実効性ある対策につなげていけるかが課題だ。警視庁によると、主な通報内容は「危険ドラッグを吸って気持ちが悪いという客が駆け込んできた」(店員)、「夫がハーブのようなものを吸って具合が悪くなった」(女性)、「インターネットで購入した危険ドラッグを使用し、近所の住民とトラブルになった」(男性)など。
今年1月の通報は38件で、2月は24件、3月は44件と推移。JR池袋駅近くで危険ドラッグを吸った男の車が暴走し8人が死傷した事故があった6月には70件に急増し、7月は115件とさらに増えた。警察庁によると、全国の警察が今年1〜6月、危険ドラッグに絡んで摘発した事件は128件で、昨年同期の2・5倍に急増。昨年1年間の125件を既に上回っている。(共同通信  8/14)


NEWS ■外食は食べ過ぎに直結—米シカゴ大学


外食をすると、自宅での食事に比べて1日当たり平均約200カロリー多く摂取し、飽和脂肪、糖分、塩分の摂取量も多くなることがわかった。米シカゴ大学(イリノイ州)健康政策・行政管理教授のLisa Powell氏らの研究。この結
果は、2003年〜2010年の連邦調査に参加した20〜64歳の1万2,000人超の回答結果に基づく。被験者は、別々の2日間の食事に関する質問に回答した。自宅で食事した人に比べて、ファストフードで食事をした人の摂取カロリーは1日当たり平均194カロリー多く、飽和脂肪は3g、塩分は296mg多かった。フルサービスのレストランの場合は、摂取カロリーは205カロリー、飽和脂肪は2.5g、塩分は451mg多くなった。
この余分なカロリーは、エネルギー密度の高い食品、量の多さ、加糖飲料などのカロリーしか含まない食品から来ているという。以前の研究では、1日のうち成人の36%がファストフードで、27%がフルサービスのレストランで食事をすることが示唆されており、通常の米国人は外食で年間2万4,000カロリー余分に摂取していると推定される(年間6〜7ポンド[約2.7〜3.1kg]に相当)。
今回の研究は、外食の多い人が自宅で食事をする人より不健康かどうかには触れておらず、社交などの外食のベネフィットも考慮していない。Powell氏は、「それでも、この結果は外食を標準にせず例外にすべきであることを示している。肥満率の上昇に伴い米国人の外食は増加し、外食では平均約600カロリー摂取することが判明している」と述べている。(Public Health Nutritionオンライン版
8/7)


NEWS ■ランニングは寿命を3年延長する


ランニングをする人はしない人に比べ寿命が3年長い可能性があることがわかった。米アイオワ州立大学運動学助教授のDuck-chul Lee氏らの研究で、最大の朗報は、一日のわずかな時間でも、
ゆっくり走ってもベネフィットがあるということだ。
毎週少し走ると(51分未満、6マイル未満、1時間6マイル未満の速度、または1〜2回のみ)、走らない場合よりも健康に有益で、週1時間未満のランニングを定期的に行えば週3時間以上走る場合と同程度に死亡リスクが低下するという。研究では、18〜100歳の成人5万5,000人超を15年間追跡調査し、ランニングと長寿の関連性の有無を調べた。被験者の約4分の1が、走る習慣をもっていた。
被験者にランニングの習慣に関する質問票を記入させ、研究期間中に死亡した人を調べた結果、走らない人の寿命は走る人より3年短かった。ランニングをする人ではしない人に比べ全原因死亡リスクが30%、心疾患または脳卒中による死亡リスクが45%低く、週30〜59分(1日5〜10分)走ると死亡の全体リスクが28%、心疾患による死亡リスクが58%低下した。
便益は体重や喫煙、飲酒、健康問題などの因子を考慮してもみられたが、平均6年間、定期的に走る継続的なランナーで最も大きかった。走る人のほうが体力は30%高く、走る時間に伴い増大した。Lee氏は、「この研究が、多くの人がランニングを始め、続けるきっかけとなってほしい」という。(Journal of the American College of Cardiology 8/5)


NEWS ■不眠と腰痛、その因果関係は


腰痛は成人における最も頻度の高い疼痛性障害の1つで、不眠症を伴うことが多い。しかしながら、腰痛が不眠症に先行するのか、はたまた不眠症が腰痛に先行するのか明らかではなかった。イスラエル・ハイファ大学のMaayan Agmon氏らは、健康な人における不眠症は、腰痛発症のリスク因子である可能性を報告した。また、逆のエビデンス(腰痛は不眠症のリスク因子)は見つからなかったという。
不眠症と腰痛の時間的関連を調べる試験は、縦断的評価の方法にて、活動的で健康な労働者コホートを対象に行われた。評価は3回(T1、T2、T3)行われた。ロジスティック回帰分析にて、不眠症状の増大がT1からT2の腰痛の新規発症を予測するかを調べた。また最小二乗法を用いて、T2時の腰痛が、T2からT3の不眠症の増大を予測するかを調べた。
主な結果は以下のとおり。
・被験者は2,131例で、そのうち34%が女性であった。
・3回の評価は、追跡3.7年(範囲:2.2〜5.12年)の間に行われた。
・社会経済的指数、自己申告による健康状態、ライフスタイル習慣、身体測定値について補正後、T1-T2の不眠症増加が認められた人は、T3で腰痛を有するリスクが1.40倍高かった(OR:1.40、95%CI:1.10〜1.71)。
・反対に、腰痛は不眠症の発症増大を予測するといった逆の相関性の裏付けは見つからなかった。
(PLos One誌 8/1)


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