エンタプライズ発信〜メールマガジン【№108】 2020. 4

新型コロナウイルス一色の社会生活になっています。経済支援や生活補償という国家政策は見えぬところで動いていますが、一般生活者の日々は行動自粛・制約・不安等の精神ストレスのまっただ中です。家庭内で過ごす時間が長くなったぶん、運動不足、活動不足のほかに暇をもて余し、間食が増えているといいます。自宅にいるとついつい食べてしまいがちなスナック類はどれも塩分が高いものばかり。最近の研究では、塩分の摂り過ぎが著しく免疫力を低下させることが明らかになっています。免疫力と聞くとコロナ感染にリンクします。ご存知のように塩分の適切な摂取量は1日あたり5g程度です(WHO指針=約小さじ1の量に相当)。塩分過剰は腎臓に負担がかかり、血液中にある免疫細胞を弱らせるグルココルチコイドと呼ばれるホルモンの蓄積を促進します。つまり、効率よく細菌やウイルスをやっつけることがむずかしくなるというのです。過ぎたる塩分怖し…。そこで塩分過剰のサインを4つお教えしましょう。1)喉が異常に渇く…喉が渇くのはナトリウムとのバランスをとるだけの水分がないため、体が脳にもっと水を飲むよう指示を出すから。2)おなかが張る…血中にナトリウムが多すぎると、水分が細胞から出て行ってしまうので体がむくみます。これは体液のバランスが崩れているため。3)頭痛がする…塩分を摂りすぎると脳内の血管が拡張し、頭痛を引き起こすことがある。4)料理がおいしく感じない…過剰塩分によって味覚が変わる。塩気に舌が慣れてしまうと、もっと塩を加えないと食べ物が味気なく感じるようになります。いかがでしたか。じつは塩分だけの話ではないのです。閉じこもり?により糖分も加速度的に増える可能性があります。直截的な物言いで申し訳ないですが、新型コロナウイルスには糖尿病は危険疾病でしたね。恐る恐るこちらも気をつけたいですね。

★☆★━━━━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━━━━━━━━━★☆★

【1】老いない人の健康術 〜免疫と水素〜
【2】エネルギー医学の将来〜点と点からの発展性
【3】“こころ” と “からだ”……臨床にモノ思う
【4】円熟したプロフェッショナルになるための
バウンダリー・マネジメント・スキル
【5】根拠に基づく腰痛の原因と治療 《腰痛治療の新常識》
【6】N・E・W・S

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BOOK Review

石井克昇・著
(石井堂クリニカルオフィス、石井堂街の接骨院代表)

北米を中心に安全で有用度の高い治療法として知られるアクティベータ・メソッドをはじめ、脳の誤作動記憶の調整法であるPCRT療法(心身条件反射療法)や神経学、心理学、コーチング、東洋医学を学んだ著者による「脳バランス体操」と呼ばれる新しいアプローチの健康法。左右の脳機能のバランスを整えることで、神経・筋・骨格系障害、うつ、自律神経失調症やイップス、ジストニアほかを改善できるなど、《 心-体-脳-社会 》 の関係性に着目した心身不調の克服方法を詳細に解説する最新刊。
KADOKAWA刊 208頁 定価:1,430円(税込)
https://www.amazon.co.jp/dp/4046046929

★★★★★★ 連載対談 ★★★★★★★★★★

老いない人の健康術 〜免疫と水素〜老いない人の健康術 〜免疫と水素〜

* 安保 徹(元新潟大学名誉教授)
* 太田成男(日本医科大学教授)

【 総 括 編 】老化を遅くする方法

[太田] 人間が老化する原因についてはまだ明らかになっていないことも多いのですが、大枠としてはかなりのことがわかってきました。私たちの細胞や遺伝子は、何度も修復されるたびにエラーや損傷を繰り返して、しだいに壊れていくのです。細胞を修復する酵素がうまく機能しなくなってきて歳をとるわけです。
[安保] ミトコンドリアでうまくエネルギーが作れなくなり、免疫力が落ちてきた状態ですね。
[太田] 歳をとると、体の中に異物が増えてくるわけですね。例えばコレステロールについて考えると、それ自体は体に悪さをしません。単にコレステロールがたくさんあるだけでは動脈硬化を起こしません。ところがコレステロールが酸化すると、異物が刺激され、体の敵になります。体内では敵を攻撃する反応が多くなり、体がダメージを受けてしまいます。
トランス脂肪酸が体に悪いとよく言われます。なぜ体に悪いかというと、あれもやっぱり私たちの体からしてみれば異物、つまり敵なんですね。それを排除しようとしているうちに動脈硬化を起こす危険性が出てきてしまうのです。
[安保] 歳をとると、免疫系の働きは体内異物への対応が多くなってきます。大事なことは、体の中になるべく異物を作らないように気をつけることですね。
[太田] そうですね。そのためにはやはりミトコンドリアを増やして活性酸素を極力減らすことです。エネルギーを効率よくたくさん作って、活性酸素によるダメージの少ない生活を送ることが望ましいと言えます。そのミトコンドリアを増やすには、何よりも適度な運動が大事です。本人にとって少し負荷の強い運動を、ウオームアップとクールダウンをうまく取り入れて行うことが要訣ですね。
[安保] 何事も急がない。急激にやらないことが大事だね。
[太田] そうなんです。活性酸素が生まれるのは、急激にエネルギーを作ったとき、急に酸素を取り入れたとき、それから早食いやストレスがかかったときです。なんでも急激に行うことが良くない。心の余裕をもってゆっくりやることを心がけるのがいいです。[安保]ストレスで疲弊しない生活を心がけることが大事。酸素を使ってエネルギーを作るミトコンドリアは、体温が適度に高い状態で元気になります。健康な人の平熱は36.5℃くらい。これが35℃台まで下がると、体調不良やさまざまな病気につながります。
ストレスで緊張して、低体温・低酸素の状態は解糖系のがんの世界だから、リラックスして血流を促して体を温めると免疫力が高まって健康長寿の世界に近づきます。


連載vol.66

エネルギー医学の将来 〜点と点からの発展性

<小社編集部編>

エネルギーの流れ(つづき)

生体磁気などという現象は、数年前なら、裏づけとなる理論がないとして科学界から完全に無視されただろう。しかし本書で述べてきたように、強い生体磁気を発生させる生物物理学的なメカニズムは幾通りもある。瀬戸らの研究の被験者たちが行っていたさまざまな修行(気功、ヨガ、瞑想、禅)によって、前腕や全身の結合組織および細胞骨格の成分、あるいは組織に付随する水分子などが、結晶状の構造を作り出したのだろう。おそらく「気」は、生体組織の結晶構造中を移動する電子や陽子の協力効果がもたらす現象に違いない。修行の結果、緊張していた結合組織が弛緩したり、線維の配列が変わってより結晶に近い構造を作り出したり、あるいは別の効果が現れたりすることによって協力効果が増強されたのではないだろうか。

個々の高分子で巨大なコヒーレント振動が起きる仕組みは、フローリッヒが明らかにしている。きわめて規則正しい配列をもつ結合組織では、大規模な協力現象が起きて強力な生体磁気が発生するのだろう。強い「気」を放出しているにもかかわらず、同じ手の表面から電気が検出されなかったという瀬戸らの所見は、磁気が電気によって誘導されたものではないことを示している。しかしこれは体内に流れている電気が皮膚の表面まで到達しなかっただけかもしれない。また腕や全身の腱、靭帯、骨などの組織では結晶状に並んだ分子の周囲に水のネットワークができており、そこに生じたプロティシティが磁気を作り出しているとも考えられる。生体には間違いなく「創発的」現象を生み出す能力がある。強力な「気」もその能力を示す1つの証拠なのだ。

連続体の振動

生体マトリックスという力学的連続体は、種々の振動粒子をメッセンジャーやエネルギーとして発生させ、維持し、伝導し、変換している。ここで言う「エネルギー」とは物理学的な意味でのエネルギーであり、仕事量のことを指している。
生体の線維組織は、簡単に言うと、互いに連結した弦楽器のようなものだ。それぞれに固有の共鳴振動数や調和振動数があり、弦に加わる張力は常に変化しつづけている。細胞に生じる様々な現象、つまり形状の変化、膜の変化、運動性、病変などがシグナルを発生あるいは変換させ、そのシグナルがマトリックス全体へと伝わる。このシグナルは、成長因子、ホルモン、がんの発生、トラウマなど、生体内外のあらゆる要因によって変化する。また生体マトリックスは、弦楽器の集合体のような存在であるから、各成分の機能の総和は、オーケストラが演奏する交響曲と同じである。
つまり、私たちの体内のオーケストラが奏でる交響曲が、私たちの健康状態や生命そのものであり、美しく調和するときもあれば、調和が乱れることもあるのだ。(つづく)(出典『エネルギー療法と潜在能力』 小社刊)


連載エッセイ 75☆

“こころ” と “からだ” …… 臨床にモノ思う。

・保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


身体は「症状」を記憶する

タイトルを見て、「えっ、身体が『症状』を記憶する? それってどういうこと?」と思った方がいるかもしれません。
筋肉や内臓の働きを司る脳や脊髄の神経系には、コンピュータのメモリのように高性能の記憶装置が備えられています。私たちはその記憶装置のお陰で充実した健康生活を営んでいます。でもその一方で、記憶装置があるがゆえに慢性症状を繰り返して不健康な症状に悩まされる場合もあります。
例えば、梅雨の時期になると調子が悪くなる。台風が近づいてくると頭痛がする。このようにある条件づけ(学習記憶)で症状が繰り返されるパターンがあります。このパターンは患者さん本人が自覚している場合と自覚していない場合があります。最初は、「気のせいかな?」と思うのですが、毎回、その条件づけが再現されると、これは気のせいではなく確かにそのようにパターン化されていると確信します。しかし、通常の医療ではこのような場合、薬で症状を抑えるしかなく、当院に来院されて初めて、症状につながる原因である誤作動記憶のパターンにアプローチして治療することが分かります。

複雑な原因が関係している慢性症状は、何が条件づけ(記憶)されて症状を引き起こしているのか自覚できないことがほとんどですが、当院で身体の反応を診る生体反応検査をすると、何が記憶されているのかすぐに分かります。長く放置された慢性症状ほど複雑化する傾向にあり、治療回数もそれなりに必要になります。しかしながら、回数を重ねるごとに、誤作動につながっている記憶が正常なパターンに上書され、消去法のように複数の誤作動がだんだんと消えていきます。

誤作動は主に脳と脊髄に記憶されており、当院では症状の原因となる『誤作動の記憶』を脳の三層構造に照らし合わせて検査していきます。脳の第一層目は「脳幹脊髄系」、あるいは「反射系」と呼ばれており、この領域はメンタル面が関係しない「身体面だけの誤作動の記憶」が関係します。脳の第二層目は「大脳辺縁系」と呼ばれており、この領域は感情や信念、価値観などの情動を司るメンタル系領域の記憶に関係しています。無意識の情動脳の領域です。脳の第三層目は「大脳皮質系」と呼ばれる領域で、経験や様々な情報から得た理性的な知識によって条件づけされた理性脳の記憶に関係します。いわゆる「思い込み」によって生じる症状に関係する脳の領域になります。

症状に関係する脳の記憶は、私たちがふだんほとんど意識していない無意識的な内容ですが、当院の検査でその件に関連することを質問されると、ほとんどの患者さんがそのことを認識されます。症状に関係している誤作動の記憶を認識することができれば、パソコンやスマホを再起動するように誤作動を消去します。症状の程度や抱えている期間によって、誤作動の記憶の深さや数は人それぞれですが、治療回数を重ねるごとに誤作動は調整され、それに伴う症状もだんだんと改善されていきます。

誤作動を調整した後で大切なことは、何が症状の原因に関係していたかをしっかりと認識して記憶しておくことです。「慢性症状=記憶」です。脳の可塑性といって脳の神経回路は常に変化する機能を備えています。新たな学習と記憶の繰り返しで、新たな神経回路のネットワークが構築されます。施術によって原因パターンに気づいて学習し、記憶すれば神経回路が強化され変化が促されますが、記憶しなければ、元の症状を引き起こす神経回路に戻ってしまうわけです。
「すべての慢性症状=記憶」とは言い切れないにしても、多くの慢性症状には「記憶」が関係しているということが重要なキーワードです。「記憶」が慢性症状に深く関係していることをもっと多くの人に知っていただけることで、たくさんの人々の健康レベルが向上すると思います。現代ではこのことを知らない人がほとんどです。慢性症状から解放される可能性は十分にあるのです。

連載…15

円熟したプロフェッショナルになるための
バウンダリー・マネジメント・スキル

Nina McIntosh /廣瀬寛治・訳

バウンダリーに関するヘルプ、サポート

私たちのほとんどがプロフェッショナル・リレーションシップ(プロとしての関係)に関するスキルについてのトレーニングを受けたことがありません。実際には、良識や直感で凌いでいけることが多いのですが、立派なプロになるためには、外部からの助けやサポートが必要となるケースがあるのです。そういったサポートによって私たちはワークに対する情熱やひらめきを絶やすことなく保っていられるし、バウンダリー(プロとしての存在や立場、関係を取り囲む防護壁)をうまく維持していけるようになります。良いバウンダリーを守っていくことは、単にルールを暗記しておけば済む問題ではありません。私たちはどうすればいいのかわかっているにも拘わらず、ミスを起こすことがあります。うまくバウンダリーを守れるかどうかは、私たちの精神状態にもかかっていますし、その日どういう気分かによっても変わってきます。がっかりしていたり、孤独だったり、退屈な思いをしていたりすると、バウンダリースキルは鈍ってしまうのです。たぶんバウンダリーに関して一番よくみられる問題(施術者がクライアントを話し相手として利用してしまう)が起きる理由は、施術者が孤独を感じていて、誰か話し相手がほしいからなのです。

学校や養成所ではこうしたことについて教えてくれませんが、実際、営業をすると私たちは孤独なのです。私たちは隔離したところ(自宅や個人のオフィス)でワークをしていますし、困窮し、傷ついて私たちに助けを求めてくるクライアントと2人っきりになるのです。

ほとんどのマニュアルセラピストは、この仕事は単に揉みほぐせばいいだけの仕事ではないことがわかっています。私たちは日々親密さや依存性、また痛みに関する問題を取り扱っています。また私たち自身も、営業上支障をきたさないような確たる信念や思考をもてないでいます。例えば、一部の人々は小さいころから疼きや痛みを口には出さず。じっとこらえることで自分の強さを見せることができると躾けられてきたのです。そして身体の不調についての長ったらしいリストを持って私たちのもとを訪ねてくるクライアントをどう思います? それが彼らの権利
なのでしょうか…。またある人たちは、自分を大切にするだけで他人にはノーと言うのはわがままであるというふうに育てられてきました。では背中の痛みを訴えるクライアントが、あなたの休みの日に予約を入れたいと言ってきたら、どのような線引きを行いますか?

私たちがワークにおける人間関係の側面をどのようにうまくやっていくか、また私たち自身やクライアントの身をどのくらい守れるかによって、営業の成功がかかっています。ですから仕事において、十分なサポートやフィードバック、新しい観点の得られる方法を築いていくことが必要になってくるのです。
ヘルプを求める場合には、いくつかオプションがあります。ともに個人かグループで受けられるコンサルテーション(※1)と臨床的スーパービジョン(※2)、ピア(仲間)サポートグループやスーパービジョンのグループ、そしてメンターリングです。
(※1)コンサルテーション:精神力学のトレーニングを受けた専門家に会って、特定のクライアントや営業問題に関する意見やアドバイス、対策を継続的にしてもらうこと。
(※2)スーパービジョン:施術における人間関係の問題や課題に対しアドバイスをもらい、現場対応の継続的な一助とする。
(出所:『エデュケーティド・ハート』The EducatedHeart Professional Boundaries for the Massage Therapists,2nd ed. )


根拠に基づく腰痛の原因と治療 – 腰痛治療の新常識(82)

長谷川淳史(TMSジャパン代表)
***** ***** ***** ***** ***** ***** ***** *****

腰痛に関する正確な情報には想像を絶するほどの治癒力があります。どうか情報の拡散にお力をお貸しください。

■患者を短期間のうちに通常の仕事に復帰させる計画を立て、その計画に従って短期間に職場復帰するよう患者を指導した場合は、欠勤時間や失業期間が短縮される可能性がある(★)。http://amzn.to/Hk8veA
……急性腰痛(ぎっくり腰)を起こしてもできるだけ仕事を休まない、休んだとしても1日も早く職場復帰するように指導することが回復を早めます。

■急性あるいは亜急性腰痛に対する脊椎マニピュレーションは、他の治療法に比べて短期間で疼痛および活動障害の改善、ならびに患者の満足度という点でより高い効果
が得られる(★★★)。http://amzn.to/Hk8veA
……脊椎マニピュレーションを行なっている先生は大いに自信を持ってください。★3つですよ。

■脊椎マニピュレーションが奏功する患者の選択基準もなければ、最も有効なマニピュレーションテクニックに関するエビデンスもなく、マニピュレーションを実施する最適なタイミングも明らかになっていない(★)。http://amzn.to/Hk8veA
……脊椎マニピュレーションは腰痛に有効であるけれども、その適応などに関してはまだ不明な点が多いということです。

■熟練した術者によるマニピュレーションで症状が悪化するリスクはきわめて低いが、稀に重篤な神経障害が生じる危険性があるため、重度または進行性の神経障害のある患者にマニピュレーションは実施すべきでない(★★)。

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……重篤な神経障害というのは馬尾症候群を指しているようですが、腰椎へのマニピュレーションで生じる可能性はきわめて低いことが明らかになっています。ただし、頚椎へのマニピュレーションは腰椎より若干リスクが高いようです。

■これまで得られているエビデンスの中には体操とリハビリテーションが慢性腰痛患者の疼痛と機能障害を改善することを示すものもある(★★)。発症後6週目から体操とリハビリテーションを開始することの妥当性にはエビデンスがある(★)。http://amzn.to/Hk8veA
……運動療法は急性腰痛の適応ではありませんが、慢性腰痛には有効性が証明されています。むしろ慢性腰痛には運動療法が不可欠です。

■物理療法(アイシング・温熱療法・短波ジアテルミー・マッサージ・超音波)は一般的に急性腰痛の症状緩和のために用いられるが、これらの受動的な方法は臨床転帰に対して何ら影響を与えないと考えられる(★★)。http://amzn.to/Hk8veA
……たいへん厳しい勧告ですけれども「治療してもらう」「治してもらう」という受け身的な治療法は慢性化を助長することが明らかになっています。腰痛疾患は自分の力で治してやるという攻めの姿勢が必要です。

 N  E  W  S

NEWS ■ 世界のコロナ感染者、200万人超に… 8割は欧米

米ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると、世界の新型コロナウイルス感染者が4月15日、200万人を超えた。8割は欧米に集中、各国の検査態勢の充実も反映し、数は増え続けている。死者は14日に12万人を上回り、被害拡大が下火になる気配は見えていない。ロイター通信も独自集計として感染者が2200万人を超えたと報じた。
世界全体の感染者は4月2日に100万人、9日に150万人を上回った。同大によると、世界最多の60万人の感染者が確認されている米国では、ウイルス検査を312万件実施。イタリア当局によると、107万件の検査を行って16万人の感染者が判明した。(4/15 東京新聞)

NEWS ■ ラジオ体操で筋肉量が維持される…糖尿病患者で実証

高強度の筋力トレーニングではなく、ラジオ体操でも糖尿病患者の筋肉量維持に有効とする報告が「BMJ Open Diabetes Research & Care」オンライン版に掲載された。2週間の入院中にラジオ体操をしなかった人は除脂肪体重(筋肉や骨の量を表す指標)が低下したのに対し、1日2回ラジオ体操をした人は除脂肪体重が減らず、上肢や体幹の筋肉量の増加傾向も認められたという。
京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学の研究グループは、同大学附属病院の糖尿病教育入院患者42人のうち15人に対し、朝食前と夕食後の1日2回、ベッドサイドでのラジオ体操を指示。入院中(14日間)の体重と体組成の変化を後ろ向きに検討した。
ラジオ体操をした群(15人)としなかった群(27人)で、入院時点の年齢(62.9±14.5対65.8±12.6歳)やBMI(26.4±7.9対24.6±4.8 kg/m2)、除脂肪体重(25.2±6.8対23.3±5.3kg)に有意差はなく、その他、男女比やHbA1c、eGFR、糖尿病罹病期間、骨格筋量指数(SMI)、飲酒・喫煙・運動習慣、インスリン治療患者の割合なども含め主な患者背景に差はなかった。
ラジオ体操には第1と第2があるが、本検討では筋力強化に向いている第2を用いた。ラジオ体操の所要時間は1回3分で、それ以外に入院患者全員に1日60分の有酸素運動(主に速歩)を指導した。食事に関しては、病院から提供する食事のみとし、間食やサプリメントの摂取を禁止した。
結果について、まず入院中の体重の変化を見ると、ラジオ体操をした群としなかった群の両群とも、有意に減少していた。しかし除脂肪体重とSMIは、ラジオ体操をした群では有意な変化がなかったのに対し、ラジオ体操をしなかった群では有意に減少し、SMIに関してはその変化量に群間の有意差が認められた(-0.01±0.09対-0.27±0.06 kg/m2、P=0.016)。またラジオ体操をした群でSMIが低下したのは46.7%だったが、ラジオ体操をしなかった群では85.2%に上った。
研究グループは「2週間の教育入院中に糖尿病患者の筋肉量が減少することが改めて示された。これに対し、年齢に関係なく容易に行える運動介入が必要であり、ラジオ体操がその有効な手段となり得る」と述べた。(4/14 HealthDayNews=部分)

NEWS ■ 幼児期から海苔を摂っていると高血圧になりにくい?

小児を対象に海藻類の摂取と血圧の関連を検討した研究論文が、日本疫学会誌の電子版3月21日付に掲載されました。海藻類は過去の研究において、血圧を低下させる可能性が示されていました。この研究では愛知県の幼稚園に通う4〜5歳の小児89人が対象となっています。被験者は、標準的な食事に加え、焼き海苔を1日1.76グラム(1パック)食べてもらうグループと、標準的な食事のみを食べてもらうグループにランダムに振り分けられ、研究開始から10週間後の血圧変化が比較されました。
最終的に81人の被験者を男女別に解析した結果、収縮期血圧(上の血圧)の変化は、焼き海苔を食べていた男児で8.29㎜Hg低下した一方、標準的な食事のみの男児では0.50㎜Hg増加していました。拡張期血圧(下の血圧)も同様に、焼き海苔を食べていた男児で6.77㎜Hg低下していましたが、標準的な食事のみの男児では0.05㎜Hgの低下にとどまりました。なお、女児ではグループ間で血圧変化に明確な差を認めませんでした。
男児では海苔を積極的に食べ続けることで、高血圧を予防できる可能性が示されていますが、示された血圧の差が成人以降の健康状態にどれほど影響を与えうるのかは不明です。とはいえ、海苔は食物繊維やミネラルが豊富であり、バランスの良い食習慣を維持するための食材として積極的に取り入れていいように思います。(4/13 日刊ゲンダイ)

div style=”font-weight:bold; font-size:1.1em”>NEWS ■ 医療危機、真っ先に延期される手術は脊柱菅狭窄症か

ついに日本でも新型コロナウイルスの感染者・死者が急増し始めた。しかし、医療機関ではコロナ感染よりも恐ろしい事態が起こり始めている。ベッドや人工呼吸器の不足などで、「後回しにされる患者」が出てくるのだ。
執刀日が決まっていた手術が延期される事態が各地で起こっている。それは新型コロナ患者の受け入れが多い医療機関で顕著だ。元東京大学医科学研究所特任教授で、NPO法人・医療ガバナンス研究所理事長の上 昌広医師が指摘する。
「現在、関東地区の感染症指定医療機関では、新型コロナ患者で集中治療室(ICU)が満床となっているところがあります。本来ICUとは、心臓疾患の手術や、交通事故などによる緊急手術が行なわれる場所。そこに空きがないということは、心臓病の手術や緊急外科手術に対応できないということを意味します」。
この傾向は、感染症指定医療機関ではない病院にも広がりつつある。千葉大学医学部附属病院副病院長で、病院経営管理学研究センター長・特任教授の井上貴裕氏が指摘する。「今は一部の病院で、緩和ケア病棟、精神病棟などを閉鎖し、新型コロナ患者を受け入れ始めています。病床を確保するためには新規患者の受け入れを制限する必要がある。そのため、直ちに命に関わらない手術は延期する病院も出てきています」。今は一部の病院というが、このまま感染者が増え続ければ、今後多くの病院で延期されかねない。
真っ先に延期される手術として挙げられるのが、「ヘルニア」「脊柱管狭窄症」など整形外科部門の手術だ。日本整形外科学会専門医で、清水整形外科クリニック院長の清水伸一医師が語る。「椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症は、強い痛みを伴うものの命に関わることはないため、延期になる可能性は高い。とくに高血圧や糖尿病を併発している患者は、手術にあたり血圧や血糖値をコントロールするため内科との連携が必要になりますが、新型コロナで医療現場がパンクすればそうした連携も取りにくくなる。そのため延期せざるを得なくなるケースも想定されます」。
しかし、これらの手術の延期にもリスクはある。「ヘルニアや狭窄で神経が圧迫されているまましばらく放置すると、手術をしても完全に回復できなくなる恐れがある。首のヘルニアなら手、腰のヘルニアなら足などに一生消えない麻痺が残ってしまう可能性もある」(清水医師)(4/10 週刊ポスト)

NEWS ■ 感染拡大で脳梗塞患者にもたらす深刻懸念

3月18日、新潟県内のリハビリ科職員に新型コロナウイルス感染者が発覚した。回復期リハビリテーション病棟の職員で、脳血管疾患や脊椎損傷、大腿骨骨折など命にかかわる急性期医療を受けた患者が早期に日常生活に復帰するために入院しながら、医師や理学療法士らがリハビリを行なっている。
感染の拡大で回復期リハビリ病棟の閉鎖が増えると、深刻なのは脳梗塞やくも膜下出血のリハビリがストップすることだ。くどうちあき脳神経外科クリニック院長の工藤千秋医師(脳神経外科)が解説する。「回復期リハビリは『発症から1か月』が“ゴールデンタイム”といわれ、脳機能の回復のために重要な期間となります。術後すぐにベッドで手足を動かして、筋肉と損傷した脳の部位の周辺の神経に刺激を与えることが脳の回復につながります。この期間のリハビリが中断されると、麻痺を起こした手足の筋力が低下したり、委縮して固まってしまうため、病棟が閉鎖されると患者の回復に大きな影響が出ます。回復期リハビリができる施設そのものも少なく、待機者が多いので転院も難しい。閉鎖が増えれば “お手上げ” 状態といっても過言ではないでしょう」。
腰痛やひざ痛などでリハビリが欠かせない高齢者も多い。清水整形外科クリニック院長の清水伸一医師が指摘する。「変形性膝関節症の場合、週2〜3回ほどの軽めの体操で膝の上下の筋肉を鍛えるリハビリを行なうことで、進行を食い止めることが重要です。リハビリができずに筋力が衰えると症状が悪化して痛みから歩けなくなる。最悪の場合、寝たきりで要介護になることも考えられます」。
リハビリで回復を目指していた最中に中断を言い渡されると、“希望の光” を失ったと感じてしまう患者は少なくないという。そうした中で、清水医師は「家族の支えが重要な役割を果たす」と指摘する。「リハビリ病棟が閉鎖しても、自宅でできる簡単な体操だけでも続けることが大切です。本人のやる気が落ちていたら、家族や周囲の人が一緒に取り組んであげるような支えが重要です」(編集部注:現在は外来のリハビリ科業務および入院のリハビリ科業務をともに休止し、また回復期リハビリ病棟を閉鎖している)(4/10 週刊ポスト)

NEWS ■ 自転車通勤は負傷リスクを上げるか?/BMJ報告

自転車通勤は、公共交通機関や自動車による通勤と比較して、がんの診断や心血管イベント、死亡が少ない一方で、負傷で入院するリスクが高く、とくに輸送関連事故による負傷リスクが高いことが、英国・グラスゴー大学のClaire Welsh氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌3月号に掲載された。英国では、自転車通勤は傷病への罹患や死亡のリスクが低いとされてきた。
研究グループは、自転車通勤と負傷のリスクの関連を評価する目的で、地域住民ベースの前向きコホート研究を行った。対象は、英国の22の地域から登録された通勤者23万390人(平均年齢52.4歳、女性52.1%)。徒歩、自転車、徒歩を含む混合型(非活動型+徒歩)、自転車を含む混合型(自転車+他の輸送方式)の通勤と、非活動型(自動車/エンジン駆動の乗り物、公共交通機関)の通勤とを比較した。
うち5,704人(2.5%)が、自転車が主な通勤の輸送方式と答えた。非活動型通勤者(17万8,976人[77.5%])と比較して、自転車通勤者は年齢がわずかに若く、BMIが低く、白人男性が多く、現喫煙者や心血管疾患、糖尿病、がん、長期の疾患の病歴を持つ者が少なかった。
その結果、自転車通勤と自転車を含む通勤では、通勤中の自転車での移動距離が長いほど、負傷のリスクが高くなったが、非活動型通勤では、通勤距離は負傷のリスクとは関連しなかった。また自転車通勤は、外的要因が輸送関連事故の場合は、負傷者数が非活動型通勤の約3.4倍多く(発生率比:3.42、95%CI:3.00〜3.90、p<0.001)、自転車を含む通勤でも約2.6倍だった(2.62、2.37〜2.91、p<0.001)。
自転車通勤と自転車を含む通勤は、自転車以外での通勤に比べ、心血管疾患(HR:0.79、95%CI:0.69〜0.90)、がんの新規診断(0.89、0.84〜0.94)、全死因死亡(0.88、0.78〜1.00)のリスクが低かった。また、10年間に1,000人が自転車または自転車を含む通勤に変更した場合、負傷による新規入院は26件(1週間以内の入院23件、1週間以上の入院3件)増加するのに対し、がんの新規診断は15件減少し、心血管イベントは4件、死亡は3件減少すると推定された。(3/25 CareNet=部分)

NEWS ■ 骨折による寝たきりで泣かないための栄養・運動・睡眠

骨は40代以降になると、加齢とともにだんだん弱くなる。新しい骨と古い骨を入れ替えるために行われている、骨を作る「骨形成」と骨を壊す「骨吸収」の骨代謝のバランスが崩れていくからだ。それを維持するためには、バランスのとれた食事と運動、規則正しい生活がポイントになる。山瀬整形外科(神奈川県相模原市)の長谷川亜弓医師が言う。
「骨を強くするにはカルシウムの吸収を高めるビタミンD、また亜鉛やマグネシウムなどのミネラル分も必要です。それらの栄養素が十分な状態で、運動や体を動かすことで骨に負荷をかけて刺激することにより、新しくて強い骨を作ることができるのです」。一般的にサプリメントは食品と一緒に摂取しないとほとんど吸収されないので、できるだけ食品から栄養素を取った方がいいと言う。日光浴は、夏なら木陰で30分ほど、冬は日なたで1時間程度当たるのがいい。屋内でガラス越しに日光浴しても紫外線を十分に吸収できない。窓を開けるか、屋外に出て日光を浴びるようにしよう。
運動はどのようなメカニズムで骨を強くするのか。「骨には重力を感知するセンサーがあり、感知した骨細胞が新しい骨を作る指令を出し、カルシウムを呼び寄せます。その指令により破骨細胞が古い骨を壊し、新しい骨を作る骨芽細胞が活性化してカルシウム沈着が促進され、骨密度(骨量)が上昇します」。
骨を強くする運動は、「骨に刺激を与える運動」で週3回、1回30分くらいの頻度でやるといい。ウオーキング、階段や踏み台を使った昇降運動など、きつければ休みながらでもいい。健康な人なら縄跳びなどのジャンプ、四股踏みなども効果的だ。膝痛があるようなら、爪先立ちになり、そのままストンとかかとを床に着ける「かかと落とし」を1日50回くらいやるのであれば、膝への負担も少なくてできる。
次に重要なのは「規則正しい生活」だ。骨を強くするには「睡眠」が大きく関係している。「睡眠中に分泌される『成長ホルモン』は、骨に働きかけて骨を強く成長させる作用があります。このホルモンは入眠後3時間までのノンレム睡眠に多く分泌されるので、少なくても4時間以上の睡眠が必要になります。また、目覚めてから14〜16時間後に分泌が始まる睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンは骨芽細胞を活性化して破骨細胞の働きを抑える作用があります。そのため、決まった時間に睡眠を取ることが大切なのです」(3/19 日刊ゲンダイ)


次号のメールマガジンは2020年5月15日ごろの発行です。

(編集人:北島憲二)


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