エンタプライズ発信〜メールマガジン【№64】 2016. 8

ゲームはやらない編集子ですが、「ポケモンGO」が一時ほどのフィーバーぶりは衰えてきたものの依然注目を浴びています。公式サイトに「モニターの中だけで完結せず、プレイヤーは実際に家の外に出てポケモンを探したり、他のプレイヤーと出会ったりしながら楽しむことができる」と説明されているように、街に出ていくことで面白味を増すゲームです。外へ出て愉しむところがミソで、歩くということだけでも、運動量の増加に直結します。運動不足解消の第一歩は「歩く」こと。運動不足を自覚している患者さんでポケモンGOに関心がある人には、片手にスマホ、もう一方には給水ボトルを持って、踵から足の親指に体重が移動することを意識しながら歩くように心がけ、そして背筋を軽く伸ばし、腕の振りはふだんより大きくするように指導してください。自然と小股が大股に変移し姿勢がよくなります。またスマホは歩数計が付いていることが多いので、体調に合わせてチェックしたいものです。注意点は、熱中してスマホをずっと見ながら歩くと危険ですから、「ながら歩き」は禁忌です。編集子は車の運転をしますが、ディーラーさんからポケモンGOが流行っているのでドライブレコーダーをつける方が賢明ですと言われ、予定外の出費となりました。この夏休み、特に注意して運転しています。

★☆★━━━━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━━━★☆★

【1】エネルギー医学の将来〜期待される今後の研究
【2】“こころ” と “からだ”……臨床にモノ思う。
【3】伝統医学をシルクロードに求めて
【4】根拠に基づく腰痛の原因と治療 《腰痛治療の新常識》
【5】“連動操体法”について、ちょっとばかり…
【6】N・E・W・S

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臨床セミナーのご案内

=ヒト直立から見た新しい歯科医学=

「原因がわからない訴え」に困っていませんか?
〜下顎平衡機能のしくみと全身への影響〜

小社刊『図説 直立動態と心身症状』の著者である臼井五郎氏(顎口腔臨床センター代表)が大阪歯科大学同窓会ポストグラディエートコースでセミナーを開きます。歯科領域における主訴や視認できる器質的破壊現象は、ヒトが立って歩いているときの咬合干渉(スウィング干渉)であることがわかってきています。直立2足歩行における頭部(上顎)と下顎の動きを検証の視座とし、咬合バランス〜直立バランス〜多彩な心身障害との具体的な関係を紹介します。
・9月25日(日)10時から16時
・大阪歯科大学 創立100周年記念館(大阪市中央区大手前)
・研修費 歯科医師15,000円 同会員10,000円
詳しくはhttp://www.osakadent-dousou.jp/pgc/pgc-schedule/

Information -1-

「みんなの統合医療カフェ2016」を開催 〜女性ホルモンがテーマ〜

一般社団法人日本統合医療学会 統合医療女性の会は「みんなの統合医療カフェ」を2013年より定期的に開催しています。今回はさまざまな年齢における女性の不調に向き合ってきた医師・対馬ルリ子氏を招き、女性ホルモンでいつでも「最高の自分」でいるために、をテーマに講演してもらいます。
・9月17日(土)15:00〜17:00(受付開始=14:30)
・日本赤十字看護大学 205教室(東京都渋谷区広尾)
・参加費:2,000円
詳しくはhttp://aimw-r.com/

Information -2-

「正しいホメオパシーの理解のために」 Amazonで販売開始

WHO安全指針に準拠した、一般の方のための副読本。ホメオパシーとは何か?/メカニズム/有効性/副作用などをコンテンツに30ページほどにまとめてあります。世界を見渡すと、補完代替医療の中では最も多く用いられているホメオパシーが、日本では正しく理解されていないという現状に鑑み、また今後、混合診療や統合医療が進展すれば大きく普及することが予測できることから、一般の人向けに平易な表現と内容で綴られています。
日本ホメオパシー医学会刊、産学社発売。
A5判。32p。
送料共で417円。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4782550995


◎連載vol.22

エネルギー医学の将来 〜期待される今後の研究

<小社編集部編>


《 Extra issue 》 〜エピローグ〜

長いあいだ信じられてきた仮説の中には、誤りが証明されたものもある。生物学者も物理学者も、エネルギーは生体組織に熱や電離を発生させるほどの強度がなければ、影響を及ぼさないと信じ続けてきた。つまりあらゆる生物学的刺激の指標は、原子同士の衝突(熱)とノイズという固有の物理学的現象に限定されていたということだ。しかし今や、一定の周波数をもつエネルギーは、微弱であっても、またはるかに強力なノイズが共存していても、熱や電離を発生させることなく生物に大きな作用を及ぼすことが分かっている。

細胞は集団の秩序を維持するために、微かな声と独自の言語で「囁き」を交わしあっている。細胞の囁きは、化学物質や電磁波というメッセンジャーによって伝えられる。この囁きを伝える電磁波に込められた暗号を解読することが、これからの重要な研究テーマであり、また当然のことながら実際に治療にも大きく役立つことだろう。

細菌にせよ、癌細胞にせよ、生体のあらゆる細胞が使っている「電磁語」は、まもなく解読されるに違いない。従来、「生命の言語」とは神経を伝わる電気の波と分子のことを指していたが、今ではよく知られたこれらのプロセス以外にも、より深いレベルの情報伝達系があることが分かってきている。神経の活動電位やビリヤード・ボールのような分子同士の相互作用は比較的遅い反応だが、その陰にははるかに進行の速い、形のない反応系が存在しているのだ。この反応系には、エネルギー、電磁波および振動といった量子的な性質がある。化学物質によって運ばれるメッセージも、最終的には電磁語に翻訳されるのだ。したがって実際には、電磁語の暗号の方が基本になっているのである。神経の興奮や情報伝達物質は個人の体内にとどまっているのに対し、エネルギーは無限の空間へと放出されるので、そばにいる人に作用を及ぼす。エネルギー療法に携わるセラピストたちは、何千年も前からその作用を実際の治療に生かしてきたのだが、現代に至ってようやく科学者たちが研究テーマとして取り上げるようになってきたのである。

電磁語には、周波数と強度という2つの性質がある。ホメオパシーやアロマテラピーの世界では、治癒反応を導き出すには「小は力なり」あるいは「少は多に勝る」ということが昔からよく知られてきた。この現象は、科学者たちをずいぶん混乱させてきたが、電磁波に関する研究が盛んに行われた結果、小が大を上回るということの意味が明らかになったのである。したがってこれからの研究の焦点は、特定の患者の特定の疾患を改善するような磁気の電磁波スペクトルと、そのスペクトルをもった化合物を探すことに向けるべきかもしれない。(次号につづく)
(出典:『エネルギー医学の原理』 小社刊)


★連載エッセイ ㉜☆

“こころ” と “からだ” …… 臨床にモノ思う。

・保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


「生体反応検査法」の原理とは?

以前、ナノテクノロジーを使って早期がん検査の開発を行っているという番組をたまたまテレビで見ました。最近ではナノテクノロジーの発展に伴い、1滴の血液だけでがんを判別する方法を開発したということを紹介していました。その早期発見につながる原理となったのは、分子レベルでの電荷状態の応用です。簡単に言うと、がん関連物質がもつプラス荷電状態を利用して、マイナスの荷電の検査用チップに吸着させてがん有無判定を行っているとのことです。

私はこの番組を見て、以前行っていた生体反応検査法の研究でいろいろと臨床現場で試していた時のことを思い出しました。留学時代、様々なカイロプラクティックのセミナーを受けて、生体の異常のある部位を触ると、筋力が弱化したりすることを学んでいました。その詳しい原理は分かっていませんが、その学びをヒントに生体に磁石を当てながら、生体反応検査法を行っていました。磁石にも色々な種類や磁力の強さがあり、強い磁力の磁石も海外から取り寄せたりして、様々な角度から生体のエネルギー反応を研究していました。

その時に明らかに感じたことは、症状や病気に関係する自然治癒力は、磁力や電荷などのエネルギー的な観点でとらえる必要があるということです。そして、自然治癒力を引き出すことを目的にしている治療者は、身体を「物質的」にとらえるのではなく、「エネルギー的」にとらえることが必要であるということを確信しました。身体の状態を「物質的に診る」のか、あるいは「エネルギー的に診る」のかでは、症状や病気に対する考え方も治療法も随分と異なります。
カイロプラクティックを例にいえば、物質的に診るカイロプラクティックの場合、「背骨がズレているから腰が痛い」となりがちです。エネルギー的に診るカイロプラクティックの場合、「身体をコントロールしている神経エネルギーが滞っているから腰が痛い」となるでしょう。私は「エネルギー的」という意味をナノテクノロジー的にいえば「分子レベルで生体内のプラス、あるいはマイナス電荷のバランスが調和されていない状態、偏りのある状態」だと考えています。

PCRT研究会では、エネルギー的に異常がある部位をエネルギーブルロック(EB)と呼んでいますが、そこには分子レベルでマイナスの電荷ばかり、あるいはプラスの電荷ばかりが偏って、生体エネルギー的なバランス異常をきたしているという仮説です。今回のテレビ番組のような最新技術による科学的な研究をみると、私が想像しているEBの仮説もまんざら捨てたものではないと改めて感じました。いつの日かこのような仮説が科学的に検証され、社会に役立つことを願いながら、今後も臨床での研究を継続していきたいと考えています。


《連載46》

伝統医学をシルクロードに求めて

池上正治(作家・翻訳家)


6. 日本編 〜杉山和一小伝〜

6. 日本編 〜杉山和一小伝〜

<小伝5>(つづき)

針医として開業した当初の杉山和一は、封建支配層の侍医とは性格を異にしていた。また僧侶の副業としての医療とも違っていた。それは「町医者」ともいうべき存在であり、商品経済の発展によって繁栄を遂げた都市の町人や、農村の富農層を対象とした、新しいタイプの医者ということができる。この新領域に盲人の職業が開拓されていく。その最初の盲人針医が山瀬琢一であり、その弟子・杉山和一によって大きな流れがつくられたことになる。この過程で、和一が創始した管針の果たした役割は計り知れないものがある。

1670年(寛文10年)、61歳の和一は、当道座の支配者である検校(けんぎょう)に任命された。当時の検校は3人以下であった。杉山検校は武士の出身であったことも関係してか、一介の町医者から、しだいに諸大名の江戸藩邸に出入りし、やがては幕府にも接近していく。1680年(延宝8年)、4代将軍・家綱の病気を治療したのを最初に、5代・綱吉の代には「針治の妙を以て常に御治療に召さるる」(『徳川実記』)ほどになり、晩年には都合800俵を給せられるまでに出世した。1692年(元禄5年)には、83歳の和一は検校を監督する総検校に任命され、当道座についての法律(式目)の改正を任されている。これは盲目の老針医に対する思いやりというよりは、寛文から元禄にかけて完備する、綱吉の「文治主義」の一環と考えるべきである。

このころ、オランダ人の医者ライネとドイツ人の医者ケンベルが江戸に滞在している。杉山和一がこの2人に会ったかどうかは不明である。この2人の医者は当時の日本の針灸術を研究し、ヨーロッパに紹介している。その結果、モグサによる灸のことを英語でMoxaまたはMoxibustionと言うようになった。また幕末に日本を訪れたオランダ商館医シーボルト(ドイツ人)は、日本の針灸についての医書を翻訳し、数年後、帰国してからやはりヨーロッパに紹介している。これが契機となって今日の注射針が考案されたという説がある。(つづく)


根拠に基づく腰痛の原因と治療 – 腰痛治療の新常識(39)

長谷川淳史(TMSジャパン代表)
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腰痛に関する正確な情報には想像を絶するほどの治癒力があります。どうか情報の拡散にお力をお貸しください。

■急性あるいは亜急性腰痛に対する脊椎マニピュレーションは、他の治療法に比べて短期間で疼痛および活動障害の改善、ならびに患者の満足度という点でより高い効果が得られる。http://amzn.to/Hk8veA
……脊椎マニピュレーションを行なっている先生は大いに自信を持ってください。

■脊椎マニピュレーションが奏功する患者の選択基準もなければ、最も有効なマニピュレーションテクニックに関するエビデンスもなく、マニピュレーションを実施する最適なタイミングも明らかになっていない。http://amzn.to/Hk8veA
……脊椎マニピュレーションは腰痛に有効であるけれども、その適応などに関してはまだ不明な点が多いということです。

■熟練した術者によるマニピュレーションで症状が悪化するリスクはきわめて低いが、稀に重篤な神経障害が生じる危険性があるため、重度または進行性の神経障害のある患者にマニピュレーションは実施すべきでない。http://amzn.to/Hk8veA
……重篤な神経障害というのは馬尾症候群を指しているようですが、腰椎へのマニピュレーションで生じる可能性はきわめて低いことが明らかになっています。ただし、頚椎へのマニピュレーションは腰椎より若干リスクが高いようです。

■急性腰痛患者に対して特定の腰痛体操が臨床的に意味のある改善が得られるか否か、さらに各腰痛体操が奏功する患者の選択基準を設定できるか否かについては、これまで確定的なエビデンスは得られていない。http://amzn.to/Hk8veA
……現在でも急性腰痛(ぎっくり腰)に対して運動療法が有効だというエビデンスはありません。

■これまで得られているエビデンスの中には体操とリハビリテーションが慢性腰痛患者の疼痛と機能障害を改善することを示すものもある。発症後6週目から体操とリハビリテーションを開始することの妥当性にはエビデンスがある。http://amzn.to/Hk8veA
……運動療法は急性腰痛の適応ではありませんが、慢性腰痛には有効性が証明されています。むしろ慢性腰痛には運動療法が不可欠です。

■物理療法(アイシング・温熱療法・短波ジアテルミー・マッサージ・超音波)は一般的に急性腰痛の症状緩和のために用いられるが、これらの受動的な方法は臨床転帰に対して何ら影響を与えないと考えられる。http://amzn.to/Hk8veA
……たいへん厳しい勧告ですけれども「治療してもらう」「治してもらう」という受け身的な治療法は慢性化を助長することが明らかになっています。腰痛疾患は自分の力で治してやるという攻めの姿勢が必要です。


【連載コラム】

“連動操体法”について、ちょっとばかり… (64)

根本 良一(療動研究所主宰)

【 連動操体法の応用編 】

7. 背が丸くなる、腰が曲がる

背が丸くなるのは、体幹の前側の筋が緊張し腰が丸くなる、それに対応して背中が丸くなるからである。以下の要因が疑われる。
①大腰筋が緊張して腰が丸くなり、結果、大腿二頭筋が緊張して膝が緩み、腰が下がる。
②背部から肋間神経経由で外腹斜筋、腹直筋が緊張しているので腰が伸びない姿勢である。
③股関節の部分で、「お尻の芯が苦しい」と腰を丸くする場合、中殿筋、小殿筋が硬い。
④腿の屈曲部、大腿直筋が硬い。

8. 心因性頻脈:中足骨まわし

50歳台、女性。以前から精神的緊張が重なると心因性頻脈が起こることから、近医から薬を出してもらい、そのつど服用していたが、連休の時にあたり、近医が不在であった。
血圧178mmHg、脈拍174/分、専門医のいる救急病院を紹介されたが、病院が遠いこともあり、当院にまずは来てみたという。そこで、
①仰臥位にて、背部から肋間神経経由で胸部への操作を行う。
②足指(左第4指)をまわすと、外側は痛い、内側まわしが快い。
③中足骨をまわす。左第3中足骨の内側まわしが特に心地よい。
3分ほど快いほうへゆっくりまわしていると、心拍数がすーっと下がり、脈拍が感じとれるようになった。これで脈拍、血圧ともに正常になり、病院の手配を中止した。


*** N *** E *** W *** S ***


NEWS ■人間ドックで「歩行姿勢」をチェック……長野の病院

人の歩き方を調べて病気治療や健康維持に生かそうと、長野県佐久市の佐久総合病院が全国で初めて人間ドックに「歩行姿勢検診」のメニューを導入、7月から検診を始めた。腰痛やひざの痛みに悩む患者の歩行姿勢の特徴や問題点を精密な計測機器で調べ、治療や指導に生かすという。検診への導入は、地元のセンサー・計測器メーカーによる画期的な小型計測装置の開発がきっかけ。全国への普及も始まっている。
検査は4.5センチ角ほどの小さなセンサーを被検者の背中のほぼ中央と、腰の仙骨部分にベルトなどで留め、自然に10メートルほど歩いてもらう。その動作の記録情報はセンサーから解析機器に送られ、動きの軌跡が赤と青の線でパソコン上に表示される。
この記録をもとに理学療法士などがその場で患者に歩行の特徴や問題点を指摘でき、患者も専門家とともにデータを見て理解することができる。同病院では検査開始以来、毎日4人が受検。「腰が曲がっている、ひざが痛いなどの理由で検査を受ける60代の女性が多い」と同病院。当面、1日5人前後のペースで検診を軌道に乗せていく方針だという。
市川彰技師長は「人の歩行を観察していると、これでは腰が悪くなる、ひざに負担がかかっているなどと気になることが多い。介護を受けている人の4人に1人は関節、筋肉の故障で身のまわりのことができていない。悪くなる前にこうした検査で問題点を見つけ対策を講じていく。予防は治療に勝るという観点でこの機器を導入した」と話している。
(8/9 THE PAGE=一部改変)


NEWS ■柔整師の養成、厳格化……職業倫理を必修に

厚生労働省は、柔道整復師(柔整師)の養成カリキュラムを厳格化する方針を固めた。養成施設の卒業に必要な単位数を85から99に引き上げた上で、職業倫理の授業などを必修化する。柔整師らが関与する療養費の不正請求が後を絶たず、養成段階での質の向上が必要と判断したためだ。制度発足以来、大幅な規制強化は初めて。来年度中にも省令改正し、2018年度からのスタートを目指す。
養成施設については、かつては旧厚生省が行政指導で新規開設を制限していた。しかし、養成施設に指定されなかった事業者が起こした訴訟で福岡地裁が1998年に処分の取り消しを命じたのをきっかけに規制を緩和。00年度に25施設だった養成施設は15年度に109施設に急増している。
これにより、柔整師は近年、年間4000〜5000人が合格し、14年時点で約6万4000人が就業。一方で、昨年11月には暴力団組員や接骨院経営者らが架空請求し、療養費を詐取する事件も発生。この事件の被害額は約1億円に上るとみられている。
柔整師の質を確保するため卒業に必要な単位数を増やして、保険の仕組みなど社会保障制度の基礎や職業倫理の授業を必修化。施術技術向上のため臨床実習も拡充する。現在は最低履修時間数が設けられていないが、新たに「2750時間」に設定する方針だ。さらに専任教員の実務経験年数を従来の「3年以上」から「5年以上」に見直す。
有識者による同省の検討会がこうした内容を盛り込んだ報告書を9月にまとめる予定。報告を受けて厚労省が省令改正に着手する。はり師やきゅう師、あん摩マッサージ指圧師の養成課程も単位数を引き上げるなど、同様の見直しを行う。
(8/19 毎日新聞)


NEWS ■オリンピックで注目される「カッピング」の効果

リオ・オリンピックで、体のあちこちに紫色の円いあざのある選手の姿を見て驚いた人も多いだろう。このあざの原因は、「カッピング療法」(または吸い玉療法)と呼ばれる古代中国の医術。特殊な丸いカップを皮膚に取り付け、熱やポンプで吸引するというもので、筋肉や血流を刺激し、痛みを和らげるとされる。
伝統的な中国医学では、カッピングによって全身を巡る生命力である「気」の流れが改善されると考えられている。一方、西洋医学では、カッピングによって組織が損傷されたり締めつけられたりすると、その修復のために血流が増大し、酸素供給も向上するため、健康効果が得られるとされている。
また、カッピングはマッサージと同じように筋肉をほぐし、関節可動域を改善させる可能性もあるという。複数の小規模研究で、カッピングによって治療部位の抗酸化物質と抗炎症物質が増加し、抗炎症効果が得られることも示されている。他方、米レノックス・ヒル病院(ニューヨーク市)救急医のRobert Glatter氏は、「局所的な組織の損傷が全身状態を向上さ
せるという考えを裏づけるデータはない」と指摘する。
しかし、米メイヨー・クリニックとマウント・サイナイ病院はいずれも統合医学プログラムの一部としてカッピングを実施している。研究者は「優れた施術者が治療プログラムの一環として適切に使用することで、多くの患者でベネフィットが認められている」と述べている。
(8/8 HealthDayNews=一部)


NEWS ■PTとOTの将来需要、3パターンで推計へ……厚労省

厚生労働省は8月5日、医療従事者の需給に関する検討会の分科会に対し、医療や介護などに従事する理学療法士(PT)と作業療法士(OT)の将来の需給を推計する際の算出方法を示した。現在のリハビリ提供体制を基準として推計するもので、需要推計については、「上位」と「中位」、「下位」の3パターンを提示する方針を示した。
この日に開かれた理学療法士・作業療法士需給分科会で、厚労省は需要と供給のそれぞれの推計方法を提示。PTとOTの需要推計については、「医療」と「介護」、「その他」の3分野に分けて推計するとした。
医療の分野は、▽一般・療養病床の入院医療▽精神病床の入院医療▽外来医療▽在宅医療―の4つに分類し、一般・療養病床の入院医療については、「地域医療構想と整合性を保ちながらリハビリ需要の将来推計を行う」とした。
精神病床の入院医療は、精神病床のリハビリ算定回数が精神病床数と比例して変化すると仮定。将来の人口構成の推移や近年の受療率の年次推移(変化率)などを反映させる方向性を示した。
一方、介護分野に従事するPTとOTの推計は、「施設・居住系サービス」と「在宅サービス」に分けて行う方針を提示。需要数については「介護保険事業計画および介護人材需給推計の方法を参考に推計を行う」などとした。
厚労省が示した算出方法について、分科会の委員からは「将来的に高齢者が増えていく中、高度急性期における理学療法士の必要性は高まるのか」といった質問や、推計に使う変化率などの詳しいデータの開示を求める意見が出た。委員の意見などを踏まえ、厚労省は10月をめどに開催予定の次回の会合で、それぞれの分野の需要推計を示す予定。
(8/5 医療介護CBニュース)


NEWS ■<大阪の食文化> 粉もん+ごはん「控えて」……府が警鐘

うどんとかやくごはん、お好み焼きとごはんなど主食を2種類同時に食べる頻度は、やせている人より太っている人の方が高い--。大阪府が行った食生活の調査でこんな実態が明らかになった。府は「大阪ではよく見られる食習慣で否定はしないが、太っている人は回数を減らすなど工夫してほしい」と呼びかけている。
調査は昨年11〜12月、18歳以上の府民1858人から回答を得た。米・パンと麺類や「粉もん」を一緒に食べる頻度は、男性の約6割、女性の約5割が週1食以上で、男女とも4人に1人が1日1食以上と答えた。世代別では高齢者(65歳以上)の頻度が最も高かった。
週1食以上の割合を肥満度を示す体格指数(BMI)別でみると、肥満の人は63.9%で、普通(51.6%)、やせ(44.6%)の人より高かった。
(8/3 毎日新聞)


NEWS ■週刊誌うのみにせずかかりつけ医に相談を……日医が見解

日本医師会(日医)は8月3日、一部週刊誌が連載の特集記事で、特定の医薬品や手術について否定する内容を掲載していることについて、「医薬品や手術を一部の限られた側面からのみ論じることはかえって国民の不安をあおることになり、適切なアクセスを阻害することになる」と懸念を示した上で、国民には情報をうのみにせずかかりつけ医に相談するよう求める見解を公表した。
日医のこの見解は同日開かれた記者会見で、道永麻里常任理事が説明した。道永常任理事は、医療情報を扱うメディアに対して、「患者さんやご家族が専門的な難しい説明を受けたり、処方される薬が切れたり、メディアやインターネットから得た不確かな情報に触れたりすることで、大きな不安を覚えることを医療者のみならず、医療報道に携わる方々も忘れてはならないと思っている」と述べた。
道永常任理事はまた、患者を診療する医師に対して、「専門家として意見を述べるとともに、患者さんのライフスタイルや価値観を尊重するよう努める必要がある」と強調する一方、「日医として、玉石混交の情報が氾濫しているこの情報社会で、かかりつけ医を中心として医師が患者さん1人ひとりに最適な治療を提供できるよう国や関係職種の皆さまと共に医療の質向上に尽力していく」とした。
(8/3 医療介護CBニュース)


NEWS ■日本女性、首位転落……平均寿命で香港に抜かれる

平成27年の日本人の平均寿命は、男性が80.79歳(前年80.50歳)、女性が87.05歳(同86.83歳)で、ともに過去最高を更新したことが7月27日、厚生労働省の調査で分かった。過去最高の更新は男性が4年連続、女性が3年連続。男女差は前年より0.07歳縮まり、6.26歳だった。
厚労省は「27年は冬にインフルエンザがあまりはやらず、肺炎などで亡くなる高齢者が少なかった。医療技術の進歩で寿命はまだ延びる余地がある」と分析している。厚労省は毎年、各年齢の人が平均何年生きられるかを表す「平均余命」の見込みを計算。0歳の平均余命を「平均寿命」としている。
主な国・地域の平均寿命をみると、男性の1位は香港で81.24歳。2位はアイスランドとスイス(2014年)の81.0歳で、日本は前年の3位から4位に落ちた。女性のトップも香港で87.32歳。前年まで3年連続首位だった日本は2位で、3位はスペイン(同)の85.58歳だった。
平成27年生まれの日本人で75歳まで生きる人の割合は男性74.6%、女性87.7%。90歳まで生きる人の割合は男性25.0%、女性は49.1%だった。
(7/29 産経新聞)


NEWS ■喫煙者率19.3%、過去最低更新……女性は微増

日本たばこ産業(JT)が7月28日発表した2016年の「全国たばこ喫煙者率調査」によると、成人男女でたばこを吸う人の割合を示す喫煙者率は前年比0.60ポイント減の19.3%で、過去最低を更新した。2014年以降3年連続で20%を下回った。健康志向の高まりや、度重なる値上げが背景にあるとみられる。
男女別では、男性が1.3ポイント減の29.7%で、初めて30%を割り込んだ。女性は0.1ポイント増の9.7%だった。全国の喫煙人口は、前年比57万人減の2027万人と推計している。調査は今年5月、全国の成人男女3万2000人を対象に郵送で行い、1万9650人が回答した。
(7/29 読売新聞)


■夏季休暇のため発行が遅くなりましたことをお詫びいたします。次号のメールマガジンは9月10日ごろの発行です。
(編集人:北島憲二)


[発行]産学社エンタプライズ