エンタプライズ発信〜メールマガジン【№42】2014. 10

編集子は青汁、温泉水、ウコン、いくつかのサプリメントをほぼ毎日飲んでいます。よく言われる健康オタクを地で行っているようなものですが、青汁には硝酸態窒素(硝酸塩とか硝酸イオンとも)が使われていると最近耳にしました。硝酸態窒素は、特にハウスものなど葉を大きく青く育てるために使われる窒素系の肥料です。これを人間が大量に摂取すると、メトヘモグロビン血症を起こし(肺炎や肺気腫、心疾患に影響)、酸欠状態になって全身が青くなる症状が出る可能性があるということです。EUでは硝酸態窒素の残存量に厳しい基準を設けていますが日本には基準がありません。そのため、EUの基準の3倍近い残存量が検出され、日本の野菜が輸入禁止になるケースもあるようです。反面、以前から人気のある野菜ジュース(濃縮還元)のほとんどは中国や東南アジアほかの海外の野菜が使われており、これにも硝酸態窒素が用いられているというから日本人はけっこうな量を身体に取り込んでいると見られます。健康産業には「売らんかな」の不誠実な企業や生産者がいることは残念ながら事実ですから、ことほどさように消費者(私たち)は製品仕様の真贋を見極める目をもっと肥やす必要があります(もっとも商品情報の偽造をやられた日には慧眼も何もありはしませんが)。さて、ここまで書いておいて、約20年続けている青汁はいかがしたものか。詳細な情報をリサーチしなければなりません。

★☆★━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━━━★☆★

TOPIC
【1】カイロプラクティックの安全性に関するガイドライン
【2】“こころ” と “からだ”……臨床にモノ思う。
【3】伝統医学をシルクロードに求めて
【4】根拠に基づく腰痛の原因と治療 《腰痛治療の新常識》
【5】“連動操体法”について、ちょっとばかり…
【6】N・E・W・S
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【TOPIC】
心身条件反射療法(ニューロ・パターン・セラピー)研究会を開催

9月7日-8日にわたって心身条件反射療法(ニューロ・パターン・セラピー)研究会(中級2)が、東京・日赤本部会議室で開催された。心身条件反射療法は、生体エネルギーバランス不全(ハード面)および心身相関・学習記憶により生じている誤作動(ソフト面)を神経反射検査などで鑑別評価し、術者による振動刺激で神経生理の健全パターンの賦活化を図るというもの。初日には脳神経機能検査の応用、基礎感情チャートなどを用いたソフト面の施術法を学び、翌日は意味づけ・思い込み(意味記憶)およびセルフイメージ(映像記憶)ほかのメンタル学習、また自己療法などの高度なスキルを多彩な実技を交えながら進行した。同研究会では来年3月から2015基礎講座をスタートさせる。


■ 連載 10(最終回)

カイロプラクティックの安全性に関するガイドライン

〜 Chiropractic Guideline-Safety 〜
<一般社団法人日本カイロプラクターズ協会>


今後の課題(つづき)

3)WHO基準の施術者(カイロプラクター)の登録制度の確立
カイロプラクティックと称して施術する者がおよそ2万人と推測される中で、利用者自らが安全性の高い施術者を選別できる環境を整える必要がある。これに対してカイロプラクティック側が成すべきことは、WHO基準カイロプラクターの登録機構を作り、その情報を利用者にわかりやすく提供することである。
2008年に日本カイロプラクティック登録機構(Japan Chiropractic Registers:JCR)が設立され、WHO基準カイロプラクターの登録作業が始まっている。現状では任意の登録となっているが、将来的にはわが国すべてのWHO基準カイロプラクターの登録とその情報提供が期待されている。

4)カイロプラクター認定のための試験制度
WHO基準のカイロプラクティック教育機関で修学した経歴は、その施術者のカイロプラクターとしての質を保証できる重要な要素である。本来なら、さらに国家試験などのように、施術者の知識や能力が第三者的に認められて初めて臨床に携わることが許されるシステムが必要である。例えば米国では、全米カイロプラクティック試験委員会(National Board of Chiropractic Examiners:NBCE)が実施する試験がそれにあたる。
近年、わが国でもカイロプラクターの知識や能力を第三者的に評価し認定する必要性が認識され、2011年から日本カイロプラクティック登録機構(JCR)により、「カイロプラクティック統一試験」が始まった。ここでは、国際カイロプラクティック試験委員会(International
Board of Chiropractic Examiners:IBCE)-注1-によって作成された試験問題が実施されており、試験内容の中立性が保たれるとともに、世界的なカイロプラクターの評価基準に合わせることでわが国のカイロプラクターの質を確保することができる。試験の合格者はカイロプラクターとしてJCRのリストに登録される。

  注1:IBCEは世界各国のニーズに応じてカイロプラクター登録のための試験を作成する団体で、全米カイロプラクティック試験委員会(NBCE)の協力のもと設立された独立機関である。

こうしたJCRのような組織とその活動は、将来的なカイロプラクティックの法制化や資格制度化の礎になることが期待されている。(了)

【監修:蒲原聖可…健康科学大学客員教授、日本薬科大学客員教授、昭和大学大学院非常勤講師、DHC研究顧問、日本統合医療学会理事、国際個別化医療学会常任幹事、統合医療学院監事】


★連載エッセイ ⑩☆

“こころ” と “からだ”  …… 臨床にモノ思う。

保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


仮性近視は筋肉系-神経系-脳(潜在意識)の関係性による誤作動(つづき)

3回目の治療では、あまり勉強していなかったとのことでしたが、3段階の改善が維持されたままでした。さらに遠近の動きによる検査では、陽性反応が示されたので誤作動の原因パターンを検査してみると、「恐れ」の感情が奥に隠れているようでした。仮性近視の多くは心因性で単にメンタル面がいいとか悪いとかではなく、肯定的な感情も含めて筋肉調整の誤作動に影響を及ぼしています。
このように仮性近視の多くは、筋肉系‐神経系-脳(潜在意識)の関係性による誤作動で生じることが多く、その誤作動を調整することで改善されます。しかしながら、原因があっての結果です。同じようなパターンを繰り返さないように、長時間近くを見過ぎないようにすることも大切です。近くと遠くを見る網様体筋の運動を繰り返しながら柔軟性をつけるリハビリも必要になります。
今回の症例では、見えにくくなって早めに来院されたこと、眼鏡をかけたくないという患者さんの強い思い、そして、この治療を信頼してくださっているお母様が勧めてくださったことが良い結果につながりました。特に、小中学生の時期に眼鏡で矯正する前の段階で調整すると効果的です。
仮性近視の原因は、単に近くを長時間見続けるというだけでなくメンタル(感情)面も関わることが多いので、その関係性による誤作動を調整することで早期に改善されます。DSなどのゲームやスマホなどの利用が増えていくに伴って近視の子供も年々増えてきているようです。
近視を手術で治す方法も増えてきているようですが、危険が伴いますし、できれば眼鏡も必要のない自然の状態を維持していくことができればと願います。眼鏡が当たり前にならないように、子供の時期から視力の健康にも気をつけていきましょう。


《 連載24 》

伝統医学をシルクロードに求めて

       池上正治(作家・翻訳家)


■4. ベトナム編〜 盲目の愛国詩人・阮廷炤(グエン・ディン・チウ)

南医vs北医から「東医」へ

北回帰線より少し南のモンスーン地帯に、龍が逆立ちをしたように、竹と英雄の国—ベトナムが南北に細長く延びている。ベトナム北部に産する美竹が、矢柄の高級材料であることは、すでに秦以前の中国で知られていた。現在でも、竹やぶに囲まれた集落は、平和な農村の代表的な風景である。だが、ベトナムの歴史では、平和な時代があまりに短く、外敵を撃退するための混乱の時代があまりにも長い。
記憶にも生々しいアメリカ、フランスの侵略があり、日本、フランスの植民地時代があり、さらに時代をさかのぼれば約1000年にもわたる中国への隷属期間があった。それはインドシナ半島における中国とインドという二大勢力の角逐の結果ともいうべきものであった。そしていつの時代にも抵抗の中から、幾多の英雄、愛国者を輩出している……。

ベトナムの医学には長い歴史がある。かつてベトナム人は自身の医学を「南医」中国のものを「北医」と呼んで区別していた。現在ベトナムでは、中国の影響を大きく受けた祖国医学のことを「東医(ドンイ)」と呼んでいる。
ベトナムと中国の間には、非常に古くから医薬の交流が見られる。早くも紀元前2世紀には、中国人が龍眼、茘枝(れいし)、菖蒲などの薬剤をベトナムから持ち帰った記録がある。また漢時代の将軍・馬援は、南ベトナムから一車分の薏苡仁(よくいにん:ハトムギの実)を持ち帰った。約3万の軍を率いた馬援がベトナムに向かったのは、徴側(チュンチャク)・徴弐(チュンニ)姉妹の“反乱”を鎮圧するためであり、薏苡仁は瘴気(しょうき:悪霊による熱病)を予防するための常備薬であった。その後、徴姉妹はベトナムのジャンヌダルク—民族主義運動の象徴として敬慕されて今日に至り、ハノイに近い徴姉妹の廟では、命日になると盛大なお祭りが営まれるという。
10世紀以後になると、ベトナム-中国間の薬剤の交易は一段と活発になった。なかでも宋朝が滅んだときにベトナムに避難した中国人が、薬剤作りを生業としたことは有名である。また、南下を準備していた蒙古軍の動向を調べるために、ベトナムの密偵は薬剤買いに扮して中国各地を歩いたという。(つづく)


根拠に基づく腰痛の原因と治療 – 腰痛治療の新常識(17)

   長谷川淳史(TMSジャパン代表)
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■イギリスで行なわれた701名を対象としたRCT(ランダム化比較試験)では、数回にわたる集団での認知行動療法によって慢性腰痛の疼痛と活動障害が改善され、その効果は12ヶ月も持続しただけでなく、費用も一般的な腰痛治療の約半分に抑えられた。http://1.usa.gov/mobdNx
……現時点で慢性腰痛に対して有効性が証明されている精神療法は認知行動療法の他にありません。

■精神療法が慢性腰痛の有効な治療法になり得るという考えを理解するのは、患者にとっても医師にとっても難しい。腰痛は身体的に治療されるべき症状であり、腰痛が改善すれば身体的問題も心理的問題も軽減されるはずだと多くの人々が考えているからだ。だがその方法論では症状の一部しか軽減されない。
……勉強されている医療関係者はすでに気づいています。ただ現行の健康保険制度がそれを許してくれないのです。

■腰痛疾患の分野では十分な試験が行なわれることなく新しい技術が普及してしまう。アメリカでは脊柱管狭窄症に対する固定術の実施率が15倍に増加したが、それに伴い重篤な合併症、死亡率、再入院による医療費なども増加している。明らかに過剰診療。http://1.usa.gov/lrHYry
……脊椎固定術が他の手術方法より優れていると証明されたことはないのですから、医療仕分けの対象になるのも当然です。

■脊柱管狭窄症の治療では、特異的な適応がほとんどない症例やより簡単な治療で高い効果が得られる明確なエビデンス(科学的根拠)がある症例に対しても、より複雑な新しい手技(固定術)が行なわれている。エビデンスのないリスクを伴う高価な治療の急増は問題だ。http://1.usa.gov/mntabq
……もうそろそろ危険で無効な治療はやめて安全で有効な治療法を選択しましょう。

■脊柱管狭窄症で複雑な固定術を受けた患者は、除圧術に比べて命に関わる合併症リスクが3倍(5.6%対2.3%)。術後30日以内に再入院する可能性も高く(13%対7.8%)、手術費用も3倍強にのぼる(80,888$対23,724$)。http://1.usa.gov/lrHYry
……リスクとコストに見合うだけのベネフィット(有益性)があれば問題ないのですけど、それを無視してまで固定術を強行する意味が分かりません。お金のためだと思われても仕方がないのではないでしょうか。


【連載コラム】

“連動操体法”について、ちょっとばかり… (42)

       根本 良一(療動研究所主宰)


【 連動操体法の応用編 】
1.足首、腓腹部の異常(つづき)

4)椅子から立ち上がるとき痛い

立つときは、どんな動作から始めるとよいだろうか。必ず次の3つの動作がある。
①まず、身体を前屈させる。
②腹筋に力が入る。腹部の前の腹直筋、腹部の両脇を斜め前下に走る外腹斜筋で、肋間神経経由の操作を行う。
③さらに、腰椎からの大腰筋の処理をする。
股関節の部分で、大腿直筋、中・小殿筋の処理をすると、足の動きがラクになる。

5)ボールを投げる

ボールを投げることは誰でもできる。しかし、よりよい投球は誰にでもできるわけではない。
①足で踏ん張り、②腰が出て、③肩が動き、④腕が動き、⑤手首が動き、指が動いてボールが手から放たれる。
これを概説すると、①が基本になり、③の肩が出るとき、逆方の肩と腕の動きは補助運動として注意が必要。体力だけでなく、全身の力をうまく連動させることでより大きな力が生まれる。

“ボールは足で投げる”“空手の突きは足で突け”という工夫はいかがなものか?
①ボールを握ったら足を決める。途中を略して…
②後ろ足で踏ん張り、膝〜腰〜肩〜腕〜手首、と移る。
③前足はこれらの力を受けるため、膝を重心のほうへ絞り、肩、肘を引き付けて、身体の重心線を回旋させる。
④この一連の動作で投球するのであるが、初動の後ろ足の踏ん張りが、腓腹筋の力である。腓腹筋が十分収縮できるよう、硬さのないゴムのような状態であればよい。これは、足指をまわす、膝の屈伸、ストレッチなどである。
⑤もっと効果的には、筋を鍛えること。省エネも含めて、連動操体法で一連の筋を調整すればよい。相反するようだが、筋を鍛えることと、筋を軟らかくしておくことが大切といえる。

6)歩きはじめが痛い

歩くときは筋が動いてラクになるが、歩く前、休憩中の姿勢はどうだろうか?
①座っている姿勢。だいたいこの症状の人は座っているときだけではなく、立っていても姿勢が悪いことが多い。
②疲れて、大腰筋が緊張しているとか、腹部の筋が硬いとか、そうした条件下ではちょっと姿勢が悪い。地球の重力に逆らう姿勢では、立つときも苦しいかもしれないが、そのとき、腹部の筋、腰の筋が緊張すると、相乗して身体への負荷が増大するので、腰を伸ばすのがつらく、痛い。したがって当該部を緩解させる必要がある。
(つづく)


*** N *** E *** W *** S ***


NEWS ■国民医療費、24年度は39.2兆円。過去最高更新、6年連続


厚生労働省は10月8日、平成24年度にけがや病気の治療で医療機関の保険診療に対して支払われた国民医療費の総額が、39兆2117億円(前年度比1.6%増)になったと発表した。1人当たりの医療費は30万7500円(同比1.9%増)で、いずれも6年連続で最高を更新した。
高齢化の進展に加え、診療報酬の高い高度な検査機器の普及など医療技術が進歩し、医療費が膨らんだ。ただ、最近5年間の2〜3%台の伸び率に対し、24年度は1%台に縮小。厚労省は入院日数など受診日数が減少傾向にあることが主な要因と分析している。
医療費を賄う財源の内訳は、国と地方を合わせた公費が15兆1459億円(前年度比2.3%増)、国民や企業が負担する保険料は19兆1203億円(同比2.0%増)、患者の自己負担は4兆6619億円(同比1.7%減)だった。(産経新聞 10/8)


NEWS ■乳がんの発症リスク、肥満が高める要因に


肥満は日本人女性が乳がんになる危険性を高めるとの調査結果を、国立がん研究センターが10月7日、発表した。欧米では、閉経前は肥満が乳がんの発症リスクを下げるとされてきたが、日本人女性では閉経前でも後でもリスクが高いことが初めて明らかになった。
調査は国内の8つの大規模研究に参加した35歳以上の女性18万人以上が対象で、うち1783人が平均12年間の追跡期間中に乳がんを発症。体格指数(BMI)と閉経前後別に乳がん発症の危険性を分析した。
その結果、閉経前でも後でもBMIが大きいほど危険性は高まり、閉経前にBMI30以上の肥満では、基準値内(23以上25未満)の人の2.25倍。閉経後ではBMIが1上がるごとに危険性が5%上昇した。肥満だと、乳がんの増殖に影響を与える女性ホルモンが閉経前では低く、閉経後では高い傾向にある。欧米では、閉経前は肥満が発症リスクを下げる調査結果が報告されている。(読売新聞 10/8)


NEWS ■アレルギーの発症、保湿で減少か アトピー抑制が効果?


生まれた直後から皮膚の保湿を続けることで、アトピー性皮膚炎だけでなく、食物アレルギーなどのアレルギー疾患の発症を抑えられる可能性があると、国立成育医療研究センターが10月1日発表した。皮膚の防御機能が守られ、アレルギー疾患につながる原因物質が体内に入るのを防ぐためとみている。
同センターで生まれ、アトピー性皮膚炎になった家族がいる118人の赤ちゃんを、1日1回以上全身に保湿剤を塗る子と、ほとんど保湿剤を塗らない子に、くじ引きで半分に分け、生後約1週から32週まで経過をみた。この結果、アトピー性皮膚炎になったのは、保湿剤を塗った子が19人、塗らなかった子が28人で、塗った子はアトピー性皮膚炎の発症リスクが32%低かったという。また、アトピー性の湿疹がある子とない子を比べると、湿疹がある子の方が卵アレルギーを発症している割合が高かった。(朝日新聞 10/2)


NEWS ■公立病院、半数超が赤字 13年度、厳しい経営続く


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地方自治体や地方独立行政法人が運営する892の公立病院のうち、2013年度に経常収支が黒字だったのは414病院で、全体の46%にとどまることが9月30日、総務省の調査で分かった。09〜13年度を集中改革期間として経営効率化などを進めた結果、08年度の30%よりは改善したが、半数超が赤字という厳しい状況が続いている。
公立病院の経営難は、医師不足に伴う人件費高騰や、救急や小児医療のような不採算部門を維持する必要があることなどが原因。対策として、自治体は定員の見直しや経費節減などを進めたが、大幅な改善には至らなかった。(共同通信 9/30)


NEWS ■健康寿命、男女とも伸びる—厚労省が専門委に報告


日本人の健康寿命が伸びていることが、厚生労働省の調べで分かった。健康寿命は、日常生活に制限のない期間を示すもので、2010年の前回調査に比べて13年は男性が0.78歳、女性が0.59歳それぞれ伸び、男性が71.19歳、女性は74.21歳となった。
平均寿命から健康寿命を引いた日常生活に制限のある期間は、10年の前回調査に比べて男性で0.11年、女性で0.28年短縮した。厚労省は、この調査結果を9月1日に開かれた厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会の健康日本21推進専門委員会に報告した。
これについて委員からは、健康管理に積極的に取り組む人が増えている点などを挙げて、「国民の健康に対する意識が着実に高まっている」とし、国の施策や個人の取り組みの積み重ねが健康寿命の延伸につながったとする見方が出た。また、健康寿命が伸びたことについて「地域間の格差などの相関関係を見れば、背景因子を推測できるのではないか」などとして、さらに詳細な調査を求める意見もあった。(医療介護CBニュース 9/30)


NEWS ■風景写真の癒やし効果、予想以上 見るだけで疲れ軽減


手軽でよく効く疲労対策はないだろうか――。理化学研究所が、穏やかな海や花畑の風景など「癒やし画像」と呼ばれる写真に注目し、効果のほどを調べたら、予想を超える威力が見えた。日本疲労学会で発表した。
理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センター(神戸市)の水野敬研究員らはまず、風景写真約200枚を20〜40代の男女22人に見せ、「癒やされる」度合いを5点満点で評価してもらい、集計。各人のトップ12枚を「癒やし写真」、ワースト12枚を「非癒やし写真」とした。「癒やし写真」に選ばれたのはほとんどが海や川、野原の風景で、青や緑の多い写真だった。「非癒やし写真」は人混みやビルが密集する風景が多かった。(朝日新聞 9/29)


NEWS■胃がん8割、ピロリ菌が原因…除菌で30〜40%発生減


がんの発症につながるとされるヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)について、世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関の作業部会は、全世界の胃がんの約8割はピロリ菌の慢性的な感染が原因とする報告書をまとめた。ピロリ菌の除菌で胃がん発生の危険性が30〜40%減る可能性があることから、各国がピロリ菌を考慮した胃がん対策をとるよう勧めている。
報告書では、ピロリ菌は全胃がんの78%、特に日本人に多い噴門部以外の胃がんでは89%がピロリ菌が原因と推定されるとした。除菌の効果は、まだ十分なデータがないものの、これまでの研究結果の解析では胃がんの発生を30〜40%減少させ、1人が1年にかかる医療費も削減する効果が出ているとした。
ピロリ菌対策として、日本では昨年から内視鏡で慢性胃炎と診断された人に除菌治療を保険適用で行うなど、各国の取り組みを紹介。一方で、除菌によって抗生物質の耐性菌が増える可能性なども示し、「各国が患者数や医療優先度、経済効果の分析をした上で、ピロリ菌の検査と治療戦略を地域ごとに模索することを勧める」と結論づけた。胃がんは日本人が最も多くかかるがんで、死亡者数も肺がんに次ぎ2位。世界では年間約100万人が発症する。(読売新聞 9/24)


NEWS ■<厚労省> 脱薬物依存を支援…治療プログラム導入へ


危険ドラッグが原因の暴走運転が相次ぐなど薬物乱用問題が深刻化していることを受け、厚生労働省は薬物依存症からの回復に効果がある「認知行動療法」に基づく再乱用防止プログラムを全国すべての精神保健福祉センターに一斉導入する方針を決めた。2015年度予算の概算要求に専門職員の人件費や研修費約1億4000万円を盛り込んだ。
日本の薬物行政はこれまで違法薬物の取り締まりという司法分野に重点が置かれ、依存症という病気の側面を重視した治療・回復支援策は遅れてきた。今回の施策が実現すれば薬物乱用対策の大きな転換となる。
実施に向けての課題は、専門知識を持ち、講義を行える人材が不足している点だ。このため、各センターが医師や臨床心理士、精神保健福祉士などの専門職を1人、プログラム担当の非常勤職員として採用し、国立精神・神経医療研究センター(東京都)などが実施している認知行動療法の研修を受講してもらう。非常勤職員1人分の年間人件費約300万円の半額を同省が助成する。(毎日新聞 9/22)


NEWS ■がん患者のうつ、未治療率73%—ランセット誌


オックスフォード大学などの研究者らにより、がん患者において、うつ病併存率が高いにもかかわらず、73%は効果があるとされる治療を受けずにいる状況が明らかになったとの報告が、8月28日の「ランセット-精神医学:The Lancet Psychiatry」電子版に掲載された。
同研究では、乳がん/肺がん/結腸直腸がん/尿生殖器がん/婦人科がんに罹患し、2008年5月12日から2011年8月24日の間に、スコットランドのがんクリニックでうつ病のスクリーニングを受診した21,151例について分析が行われた。
分析の結果、大うつ病罹患率が最も高かったのは肺がん(13.1%、95%CI:11.9〜14.2)で、次いで婦人科がん(10.9%、95%CI:9.8〜12.1)、乳がん(9.3%、95%CI:8.7〜10.0)、結腸直腸がん(7.0%、95%CI:6.1〜8.0)、尿生殖器がん(5.6%、95%CI:4.5〜6.7)としている。
また、社会的剥奪スコアが低い、肺がん、結腸直腸がん、女性患者の各グループで、より若年層において、大うつ病の診断を受ける傾向が強いとしている。
さらに、うつ病の診断を受け、且つ、患者報告治療データが全て揃っている1,538例中、1,130例(73%)が、有効と考えられる治療を受けていなかったという。報告では結論として、がん専門治療を受診中の患者における大うつ病への対応について、緊急の取り組みが行われる必要性を指摘している。(医療ニュース 9/19)


■次号のメールマガジンは11月1日ごろです。お楽しみに。


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