エンタプライズ発信〜メールマガジン【№67】 2016. 11

入浴中の心肺停止で年間約1万9000人が命を落としています。一般にヒートショックと呼ばれており、風呂内外の温度差による肉体的ショック症状のことはご承知のことでしょう。湯船につかったまま意識を失えば、そのまま溺死してしまうのは自明のことと思います。危ないのはやはり寒くなる今の時季。死亡者数を月別で見てみると、11〜3月の5カ月間に約7割が集中しています。日本に多い原因は、「熱い湯に首まで浸かる入浴文化」によるものと考えられています。熱い湯が好き、長風呂というとご老人をイメージしますが、心配なのは高齢者だけではありません。糖尿病や高血圧など成人病の持病がある人、コレステロール値が高くメタボリック症候群あるいはその予備軍の人なども、急激な血圧の変化でヒートショックになってしまう危険があります。中高年の男性はそれらの健康状態であることが多い上、晩酌の後お風呂に入ってしまうことも珍しくありません。そうなると余計にリスクが上がってしまい危険です。意外だなと思ったのは“温暖”といわれる地域に住んでいる人たちに多いことです。東京都健康長寿医療センターの調査によると、高齢者1万人当たりの「入浴中の心肺停止件数」のワーストは香川県だそうです。兵庫県、滋賀県と西日本が続き、東京都がワースト4位に顔を出します。逆に北海道は46位、青森県も44位と死亡者が少ないのです。北海道など寒冷地は浴室や脱衣所に暖房施設が備えてあり、寒さ対策がしっかりしている家が多いことが窺えます。高齢者に多いヒートショックですが、誰にでも起こり得る症状でもあります。家族全員がヒートショックに注意して、自分のことだけではなく、みんなが無事お風呂に入れているのか気にかけることも有効な対策となるでしょう。編集子の妻は長湯なので老婆心がはたらくときは声がけするようにしています。みんなでヒートショックを防ぎましょう。

★☆★━━━━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━━━★☆★

【1】エネルギー医学の将来〜期待される今後の研究
【2】“こころ” と “からだ”……臨床にモノ思う。
【3】伝統医学をシルクロードに求めて 〜チベット医学
【4】根拠に基づく腰痛の原因と治療 《腰痛治療の新常識》
【5】“連動操体法”について、ちょっとばかり…
【6】N・E・W・S
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Information -1-

小社は2006年刊の同書の販売権を再取得し、10月17日、再販売を始めました。人体を医学的見地からのみではなく、生きて考える社会的存在としての人間(ヒト)を維持している体内の構造と様々な連接プロセスの一環を、CGスケルトン技術を巧みに生かしてカラー図解化しました。ヒトの解剖をイメージとして意識描写へと高めることのできる秀逸の書。

男女対照 生体の構造とデザイン
B4変型、264頁、フルカラー、定価:9,072円(税込)
URL:http://eppub.jp/archives/2658

Information -2-

「健康フォーラム2016」 開催間近(再送)

カイロプラクティックの日本伝来100周年(横浜)および当時の神奈川県令を記念して、日本カイロプラクターズ協会(JAC)は11月27日(日)、「健康フォーラム2016:日本の超高齢社会における健康寿命を考えよう」を厚生労働省、神奈川県、オーストラリア大使館後援で開催いたします。健康寿命実現について各分野の専門家、ケント・ギルバート氏(米カリフォルニア州弁護士・タレント)、蒲原聖可氏(健康科学大学客員教授)、フィリップ・エブロル氏(前セントラルクイーンズランド大学教授)にお話ししていただきます。神奈川県は「未病を治す かながわ宣言」 を発表し健康寿命日本一を目指しています。また厚生労働省はスマートライフプロジェクトを立ち上げ健康寿命を延ばす活動を呼びかけています。
・健康フォーラム2016 公式サイト http://www.jac-chiro.org/healthforum2016.html

Book Review 1

『下顎平衡機能から考える 〜直立二足歩行と歯科医療〜』

臼井五郎(顎口腔臨床センター院長)著……小社刊『図説直立動態と心身症状』の姉妹編にあたる導入テキスト(歯科医師対象)。新刊では「上下の顎がどのように動いているのか(スウィング)」に注目し、形態論をはなれ論理展開している。時間軸を含めた四次元の視点、つまり「動態論」による歯科医学である。動態は形態を包含する関係にある。そうすることによって「ヒトの基本動作である直立二足歩行における頭部と顎の運動軌跡、そしてヒトそれぞれ固有の運動軌跡」の理解が進み,その接触面である咬合曲面をどのように修正すればよいのかが見えてくる。おそらくこの「動態論」が、100年来続いてきた咬合論争に終止符を打つ、基本的な思考法であるとの示唆がうかがえる。
(医歯薬出版刊、定価:4104円=税込)
http://www.ishiyaku.co.jp/dental/index.aspx

Book Review 2

『総合医療手技学の理論と技能
〜真のゴッドハンドへの道としての入門実技と実践応用技』

安達和俊(D.C.・醫王堂院長)著……カイロプラクティックやオステオパシーをはじめ現在世界中に残るさまざまな効果ある手技療法を母体として、生体力学ならびに総合的に医療のふるいにかけ体系的に集大成した手技学の実践応用が網羅されている。“肢・幹技力学”という日本発の学問にまで発展させようと考える著者が、手技療法家を目指す人にとっての入門実技と実践応用技法などを紹介している。
(科学新聞社刊、4,320円=税込)
http://www.chiro-journal.com/category/item/


◎連載vol.24

エネルギー医学の将来 〜期待される今後の研究

<小社編集部編>


《 Extra issue 》 〜エピローグ〜

ここで重要なのは刺激の頻度である。たとえばマイトゲンによってリンパ球を刺激するいくつかの実験では、3Hzの弱い磁気パルスによってカルシウムイオンの流入が著しく「減少」し、同一の条件下で60Hzのパルスを作用させたところ、流入が「増加」したことが報告されている。
最近の研究では、酸化窒素のようなフリーラジカルが、シグナル伝達カスケードのなかの化学反応と電磁波との結びつきに、どのような作用を及ぼしているかが示されている。この研究もまた、医学的意義が認められてノーベル賞を受賞した。酵素反応の過程では、中間産物として電荷を帯びたフリーラジカルができるので、反応基質同士が相互に作用しあう瞬間にねじれたり、震えたりすることによって磁気が生じる。
このような現象については「フェムト化学」の手法を用いることで詳しいプロセスを調べることができる。フェムト化学というのは、レーザー光線を超瞬間的に当てることで、化学反応の各段階を一種の「スローモーション」にして分析する方法である。化学反応プロセスの精密な分析を可能にしたこの方法の重要性は、ノーベル賞審査委員会からも認められている。

ベンヴェニステの仮説によると、一般によく知られている一連の細胞反応は、シグナル分子ではなく、電磁波によって引き起こされるという。このプロセスについてもっとも詳しく研究されているのが、目の網膜にある光受容体と日光からエネルギーを吸収する葉緑体である。光受容体に関するレビューを書いたストライヤーは、各種のホルモンに対する細胞の反応が、電磁波(光)に対する反応と実質的に同じであるという仮説を示した。このストライヤーの予測は、ベンヴェニステの仮説と概念的に同じである。

以前紹介したエネルギーサークルでは、ベンヴェニステの仮説にある電磁エネルギーの直接的相互作用をじかに体験することができる。ある薬用植物センターで行ったワークショップでは、ハーブの一種であるセイヨウサンザシ(西洋山査子)を使ってエネルギーサークルを実施した。1枝のセイヨウサンザシをテーブルに載せ、サークルの先頭と最後尾の人が、植物に触れないようにして手をかざす。するとサークルでつながった人の多くが、すぐさま心の落ち着きを感じたり、チクチクするような感覚を覚えたりしたのである。この効果が暗示によるものではないことは、次にイギリスで行ったワークショップでも同じ現象が起こった。20年間も嗅覚を失ったままの女性がすぐに植物のにおいを嗅ぎとったのである。また数日前から風邪で鼻の利かない女性もセイヨウサンザシを言い当てた。
これらの予期せぬ現象は、植物固有の電磁シグナルがサークルを伝わるエネルギーの流れにすぐさま吸収されて、それぞれの参加者に作用したものと考えられる。ベンヴェニステが予測したとおり、分子は、どんなに離れた別の分子の囁きも「聞きとる」ことができるのである。(次号につづく)
(出典:『エネルギー医学の原理』 小社刊)


★連載エッセイ ㉟☆

“こころ” と “からだ” …… 臨床にモノ思う。

・保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


PCRTの原因療法

昔、何かのコマーシャルで「臭い匂いは元から断たたなきゃダメ!」というキャッチフレーズがありました。症状や病気の改善も同じ理屈で、本質的に症状を改善させるためには「元」から改善することが必要だと私たちは考えています。つらい痛みなどの症状を軽減するために、痛み止めなどの対症療法も必要ですが、痛みを引き起こしている元の原因を追究する原因療法がさらに重要です。

元の原因は何か? ということはそれぞれの学説によって異なります。例えば、椎間板ヘルニアと診断を受けた腰痛の患者さんの場合、腰痛の原因はヘルニアの構造異常が原因だと考える傾向があります。しかし、腰痛のない人たちを対象にした研究では、8割近くの人たちに椎間板の構造異常が認められました。つまり、構造異常が直接的な腰痛の原因ではないことが多いのです。
痛みの発生源の多くは筋肉や関節で、そのバランス異常の信号が脳に伝達され痛いと感じます。筋肉や関節のバランスを調節することで多くの腰痛が改善されます。では、筋肉や関節のバランスに異常をきたす元の原因は何でしょうか?
それは、脳・神経系のバランス異常です。脳・神経系は、筋肉の働きなどをコントロールする司令塔で、この司令塔に異常が生じると神経伝達に誤作動を生じさせます。そして、その誤作動が生じると筋肉や関節のバランスが悪くなり痛みなどの症状を引き起こします。

では、司令塔である脳・神経系のバランスに異常をきたす元の原因は何でしょうか?
それは、様々な「刺激情報」に関係する誤作動です。人間は常に外界と接しながら生活をしています。ゆえに人間関係や食生活、環境汚染やウイルス、最近などと関係しあいながら様々な「刺激情報」(ストレス)を受け生かされています。
脳・神経系のバランス異常は、そのような外界からの「刺激情報」との関係性による誤作動によって引き起こされます。つまり、身体の中の内界と外部環境の外界とがうまく適応できずに脳・神経系にバランス異常が引き起こされているのです。
症状が慢性的に繰り返される場合は、脳がその誤作動を「学習記憶」した結果です。身体に誤作動が引き起こされるように「クセ」がついてしまったということです。このように症状を引き起こす原因にはレベルがあり、そのレベルに応じて治療することで本質的な原因療法が期待できます。


《連載49》

伝統医学をシルクロードに求めて

池上正治(作家・翻訳家)

(前号よりつづく)
またチベットの湖水や空の色であるコバルト・ブルーは、ラサの西にあるヤンツォヨンボ(羊卓擁錯、ヤムゾク湖)にしてもそうだが、実際に見た人でなければ信じられないほど美しい碧(みどり)である。神々しいほどの美しい自然に対し、人々が信仰の心をもったとしても、それは当然であろう。

■神話と伝説に包まれたチベットの歴史

古代のチベット人は自国のことを「ボット」と呼び、それは「能力をもった」という意味であり、王家は「上等」を意味する「スプ」という姓をもっていた。どこの国でも建国の神話は勇敢なものであり、民族の矜持を示すものである。だがチベットでは事情が少し異なるようだ。チベットのニャロン地区の地主の家に生まれ、8歳でインドに亡命し、14歳で来日したペマ・ギャルポ氏は、その著書『チベット入門』(1987)の中で、チベット建国の神話と歴史について次のように述べている。

「紀元前7世紀以前のチベットの歴史は、神話と伝説に包まれている。この時代の古文書が発見されていないためである。よく知られた伝説では、チベット人の先祖は1匹の雄猿と1匹の岩女(イワメ)であったとされる」
「チベット人の歴史は、6つの部族の支配の歴史である。チベットの最初の王は、紀元前127年に王位に就いたニャティ・ツェンポである。現在、正式のチベット暦はこの時をもって始まりとしている」
「この王の出現についてはおもしろい伝説がある。ある日、牧者たちが山で、特に魅力的な人物と出会った。牧者たちが『どこから来たのか』と尋ねると、その見知らぬ人物はインドの方向を指さした。しかし牧者たちはこの人物が天の方を指さしているので、天から来たのだと思い、自分たちの上背部に席をつくって町に連れてきて、王にした。だから初代の王はニャ(上背部)、ティ(御席)、ツェンポ(権力者、王)という名前になったというのである。またこのニャティ・ツェンポ王はインドの王子で、パンドゥ一族に追われた末に、チベットに逃げ込んできた人物であるという説がある」。

王家はスプ(上等)の姓をもち、自国をボット(能力がある)と称していたチベットとチベット人が、いかなる理由で、こうした不名誉な原始祖説話をもつようになったのであろうか。山口瑞鳳氏はその理由を「インド文化に接触すると、一転して卑下する傾向があらわになってくる。自分たちの国を『餓鬼の国』(Pretapuri)と言ったり、猿と岩女の精の末裔であると称したりするようになる。ともにチベットを観音菩薩の教化を受ける土地と特定し、この国に観音信仰を植えつけようともくろんだ仏教徒の策略に、見事に乗ぜられた結果である」(『チベット』上巻、1987)と述べている。そして以下のような説話を紹介している。(つづく)


根拠に基づく腰痛の原因と治療 – 腰痛治療の新常識(42)

長谷川淳史(TMSジャパン代表)
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腰痛に関する正確な情報には想像を絶するほどの治癒力があります。どうか情報の拡散にお力をお貸しください。

■ギプスジャケットが急性腰痛や坐骨神経痛に有効だというエビデンスはなく、脊椎のこわばり、筋肉の衰弱、ギプスによるただれ、呼吸器系の合併症を誘発することがあり、心理社会的影響も大きい。http://amzn.to/Hk8veA
……ギプスジャケットで腰を固定しても急性腰痛や坐骨神経数には無効で、リスク(危険性)がベネフィット(有益性)を上回るから勧めないということです。コルセットやサポートベルトも無効だというエビデンスがあるのですから、当然といえば当然でしょう。

■硬膜外ステロイド注射は坐骨神経痛患者の費用対効果の高い治療法とされてきたが、腰椎や仙骨への硬膜外ステロイド注射に関する二重盲検比較試験はなく、坐骨神経痛に対して有効性を示す根拠がないためオーストラリアでは使用制限を検討。http://1.usa.gov/Kyps98
……局所麻酔剤を使うにしろステロイドを使うにしろ、現時点では硬膜外ブロックが有効だという明確なエビデンスは存在しません。

米国のAHCPR(Agency for Health Care Policy and Research)が1994年12月に『成人の急性腰痛診療ガイドライン』を発表した翌年の1月、カナダのケベック特別調査委員会が『むち打ち関連障害の診療ガイドライン』を発表しています。今号からその勧告を紹介します。http://1.usa.gov/LYNegq  
腰痛疾患の話は少し中断して、これからむち打ち症の話をさせていただきます。参考にしていただければ幸いです。

■ケベック特別調査委員会(タスク・フォース)は、最優先課題としてむち打ち症(whiplash injury)の定義を明確にする必要があった。特別調査委員会でコンセンサスが得られたむち打ち症の定義は以下のとおりである。http://1.usa.gov/LYNegq
……先ずは「むち打ち症」もしくは「むち打ち損傷」と呼ばれるものは何ぞやという点を明確にしたかったのでしょうね。

■むち打ち症とは、自動車の衝突事故や落下事故などで前後または側面からの加速減速エネルギーが頚部に衝撃として伝達されることによって、骨組織や軟部組織の損傷を招いて多種多様な症状が生じるもの。http://1.usa.gov/LYNegq
……頚部の症状を何でもかんでも「むち打ち症(もしくはむち打ち損傷)」として議論するわけにはいきませんから、とりあえず発症機序を明確にしたわけです。

■またケベック特別調査委員会は、むち打ち症によって引き起こされる一連の臨床症状を、「むち打ち関連障害(whiplash-associated disorders:以下WADと記す)」という用語で論じることを採択した。http://1.usa.gov/LYNegq
……むち打ち症(むち打ち損傷)に起因する症状は実に様々です。それらの症状をまとめてWAD(むち打ち関連障害)と呼ぶことになったというわけです。

■WAD(むち打ち関連障害)には、頚部痛・頚部緊張・頭痛・肩の痛み・腕の痛みや麻痺・感覚異常・疲労倦怠感・嚥下困難・視覚障害・聴覚障害・めまい・耳鳴り・睡眠障害・情緒不安定・記憶喪失・顎関節疾患などが含まれている。http://1.usa.gov/LYNegq
……こうして症状を眺めていると「むち打ち症」は恐ろしいと思うかもしれませんけど、けっしてそんなことはありません。本来、むち打ち症の自然経過はきわめて良好です。


【連載コラム】

“連動操体法”について、ちょっとばかり… (67)

根本 良一(療動研究所主宰)

【 連動操体法の応用編 】

[5] 頸部の異常(つづき)
4) 足指基部から

頚腕障害は、ただちに首というのではなく、局所で回復しないときは、遠い脚からの影響を見ることが大切である。その一つ、足指基部から始めると良い。まず動作分析をして、どの足指の内外のどちら側か、そしてどの角度がよいかを診る。(動作分析)椅子に掛けて、・上体を左右に捻り、左右どちらへ捻ったときに、フィンガースケール上でよく指が開くかをみる(補助動作の方向をみる)
・上の動きから、主動作の向きは補助動作と逆向きになるから、主動作の動きに抵抗をかけて弛緩する方(補助動作の向きに一致)へ足指を他力で屈曲して(屈診)、受者のフィンガースケールがよく開く指をチェックする(どの指、どの角度:右足第1指、内側45°、左第3指、外側60°など)。
・屈診して足指骨間筋の弛緩する状態を動きで操作するよう、足指の外転+背屈、または内転+背屈させる(いずれも足指の筋は底屈動作で負荷がかかっているから背屈が必要)。
・上体の捻り(補助動作)は、足の向きと逆方になる。

[6] 手・腕の異常

手・腕の問題は、外因性の場合と内因性の場合があるが、すぐに良くなる場合と、予想外に治りにくい場合がる。局所だけのケースは簡単に良くなるが、連動関係が複雑なときは、関連関係をよく診て操作するように心がける。
・外因性のもの……動診したり、触診したり、圧診したり、屈診したりして、どのようにも連動操体法で処理できるが、見えない損傷があるときには期待した効果が出ないことがある。早期に医師の診断を受ける方がよい。
・内因性のもの……生理的、病理的因子による場合は、効果の見えないことがあるので、医師の検診を勧める。
・組織に硬結のないもの……いろいろな原因があるが、必ず関連部をたどり操作する。
・組織の硬結のあるもの……どこかにバランス関係の乱れがあり、意外に近い部位に問題の糸口が見つかることが多い。

 N  E  W  S

NEWS ■寝たきりを半分に。「10カ条」-医療費も半分に減る?

日本慢性期医療協会(日慢協)の武久洋三会長は11月17日に記者会見を開き、寝たきりの患者の数を半分に減らすための「10カ条」を発表した。武久会長は「寝たきりが半分に減れば、遠い将来、医療費も半分に減る」と述べ、リハビリテーションの充実や患者の早期離床の重要性を訴えた。10カ条では、急性期病院における入院早期のリハビリの充実を掲げ、早期リハビリを提供できない病院に対しては、入院後20日までに患者を別の施設に移すことなどを提言している。会見で武久会長は、「日本の急性期病院の入院後半は、外国に比べて極端に長い」と指摘し、入院日数が90日を超える脳卒中患者が慢性期病院に転院した場合、「(診療報酬の)リハビリの支給限度額は6カ月。あと3カ月しかリハビリは許可されない。ほとんど硬直しているような患者さんを歩けるようにするのは至難の業だ」と述べた。その上で、急性期病院に対して、入院早期からリハビリを行うとともに、それが困難な場合、他の医療機関へ早期に転送することを求めた。「これが日本の寝たきりを少なくする最大のポイントだ」とも語った。武久会長はまた、「急性期病院の入院期間を半分にして、リハビリをきちんとやり、離床させることで寝たきりが半分に減ったら、遠い将来、医療費も半分に減っていくだろう」と主張し、患者の離床を支援するため、リハビリスタッフや介護職員らによる「離床コーディネーター」の必要性を示した。さらに、武久会長は「積極的に治療をして、リハビリをどんどんやることで、日常に帰っていく人をできるだけ多くする。これがわれわれの仕事だということをもう一度、思い起こさせる意味もある」と述べ、今後の活動に向けた意欲を示した。(11/18 医療介護CBニュース)


NEWS ■年収と歩行速度は比例する? 高所得者は「早歩き」

歩行速度を計測できる同社の活動量計「ムーヴバンド3」のユーザー1229人を対象に、今年3〜10月にかけてデータを集計。収入に関するアンケートも実施し、歩行データと合わせて分析した。その結果、「年収1000万円以上」と答えた人の平均歩行速度は時速3.18キロだったのに対し、日本の平均年収(415万円)を含む「400万〜500万円」と答えた人の平均歩行速度は時速2.72キロ。高所得者は平均的な年収を得ている人々よりも「早歩き」だったという。また、全体的に年収が上がるにつれて平均歩行速度も上昇しており、両者が比例する傾向があった。ボーナス額と歩行速度の関係についても同様に、多少のばらつきはあるものの、金額が上がるほど歩くスピードが速くなる関係にあった。ただ、歩数の多さと年収には特に関係はみられず、高所得者ほど歩く機会が多いわけではないようだ。「年収が高い人ほど忙しく、その忙しさを早歩きでカバーしているのかもしれない」という。(11/18 ITmedia ビジネスオンライン)


NEWS ■よく噛まないとメタボに? 50代以上

よく噛んで食事をする人はそうでない人に比べ、メタボリック症候群になる割合が低いとの研究結果を、新潟大学や大阪大学などのグループがまとめた。研究グループは50〜70代の男女1780人にグミを30回噛んでもらい、グミの表面積の増加量をもとに噛む能力を測定した。能力の高い順に4グループに分け、各グループでメタボ症候群の有無を調べた。噛む能力が下から2番目のグループは、1番高いグループに比べ、メタボ症候群のリスクが1.46倍高かった。各グループの70代の人たちを比べると、噛む能力が2〜4番目のグループは1番のグループに比べ、メタボ症候群のリスクが1.67〜1.90倍高かった。(11/10 時事通信)


NEWS ■1日3杯で脳腫瘍リスク減? 過剰摂取は逆効果も

日本人でコーヒーを1日3杯以上飲む人は、脳腫瘍を発症するリスクが低いという研究成果を国立がん研究センターの研究チームがまとめた。コーヒーの成分の一部が発がん抑制に関係している可能性があるという。国内10地域に住む40〜69歳の男女約10万人に、コーヒーを飲む頻度など習慣を聞き、その後約20年にわたり経過をみたところ、157人が脳腫瘍を発症した。研究チームは、コーヒーを1日3杯以上、1〜2杯、1杯未満と飲む頻度で3グループに分けて、年齢や喫煙歴などの影響を取り除き、脳腫瘍のリスクを調べた。その結果、1日3杯以上飲む人は、1杯未満の人に比べて、脳腫瘍の発症リスクが53%低かった。コーヒーに含まれるクロロゲン酸やトリゴネリンという成分には抗酸化作用などの働きがあり、発症を抑えた可能性があるという。一方、海外では1日7杯以上と過剰に飲むと逆にリスクが高まるとの報告もあり、研究チームは、予防効果が出やすい適量があるとみている。緑茶についても同様に調べたが、関連は見られなかった。同センターの澤田典絵室長は「脳腫瘍の症例そのものがあまり多くなく、科学的根拠として確立するには、さらなる研究成果の蓄積が必要」と話している。(11/5朝日新聞)


NEWS ■頭の中で鳴り続けるあの音楽、止まらない理由は? 英調査

頭の中で何度も何度も鳴り続けて止まらないあの音楽。曲名が目に入っただけでまた同じ繰り返しが始まる――。そんな現象が起きる理由について解説した論文が、11月3日の米心理学会誌に掲載された。特定の楽曲が耳にこびりついて離れない現象は、推定90%が週に1回以上の頻度で経験する。英ダラム大学の音楽心理学者ケリー・ジャクボウスキ氏の研究チームはその主な理由として、テンポ、旋律の形態、独特の音程の3つの要因があることを突き止めた。ジャクボウスキ氏によると、条件となるのは「単純すぎず、複雑すぎない」楽曲であること。まずはリズムに合わせて体を動かしてしまうような、テンポの速さと軽快さが求められる。2つ目として、頭から離れない音楽は旋律の構造は単純でもリズミカルなパターンを持っていて、音程の上下が繰り返される。童謡の多くは子どもたちに覚えてもらいやすいよう、このパターンで作曲されているという。3つ目の条件は、全体的には単純で均一なパターンを保ちながら、不意に独特の音程が入ること、「つまり単純ながら変わっている」(ジャクボウスキ氏)楽曲だという。研究チームは2010〜13年にかけて主に英国の3000人を対象に調査を行い、耳にこびりつきやすい音楽を挙げてもらった。その結果、レディ・ガガの「バッド・ロマンス」を筆頭として、圧倒的にガガの楽曲が多かった。「私も頭の中でバッド・ロマンスが流れ続けている」というジャクボウスキ氏は、曲名を見るたびに頭の中でこの曲がかかってしまうとこぼしている。(11/4 CNN.com)


NEWS ■ヒトの寿命はもう長くならない?

ヒトの寿命は、すでにほぼ限界まで長くなっている可能性がある―こんな研究結果が、米アルベルト・アインシュタイン医学校(ニューヨーク市)遺伝学部長のJanVijg氏らにより報告された。この知見は、長寿を達成する人が増えなくなるという意味ではなく、単に、最高齢の記録が現在の122歳を超えることはおそらくないだろうという意味である。研究者らによると、平均寿命は食事や公衆衛生などの改善により19世紀以降大きく伸びた。1970年代以降、世界最高齢も上昇し、1997年に死亡したフランス人女性は122歳という最高寿命を記録した。今回の調査では、40カ国以上の死亡およびその他の人口データの統計をとったヒト死亡データベース(Human Mortality Database)を追跡した。その結果、高齢者の割合は1900年以降増加し続けていたが、100歳以上になった人では、生まれた年にかかわらず100歳以降の生存率はさほど変わっていなかった。この年齢群では、死亡時の年齢は1970年代〜1990年代初期にやや上昇したものの、それ以降は横ばい状態であった。このデータに基づいて考えると、平均寿命の最大値は115歳で、絶対的な寿命の上限は125歳であるとVijg氏らは結論づけている。世界的にみて、ある人が125歳に到達する確率は1万分の1未満だという。Vijg氏は、「人口統計学者や生物学者は、最大寿命の延伸がまもなく終わると考える理由はないと言うが、今回のデータは、1990年代にすでに限界に達していることを強く示唆している。治療の飛躍によりヒトの寿命が延びる可能性も考えられるが、そのためには寿命を総合的に決定している多くの遺伝的変異を克服する必要がある」と話している。(11/4 HealthDayNews)


NEWS ■高血圧が認知症リスクを上昇させる可能性

高血圧、特に中年期の高血圧が、認知症リスクにつながる可能性があると、米国心臓協会(AHA)が新たな科学的声明のなかで警告している。世界では3000万〜4000万人が認知症に罹患している。世界人口の高齢化が進むなか、依然として明確な治療法が確立していないため、患者数は2050年には3倍になると予想されている。声明の著者である米ワイルコーネル医科大学(ニューヨーク市)のCostantinoIadecola氏は、「高血圧の人は認知症になりやすい傾向がある。ただし、血圧をコントロールすることにより認知症リスクを低減できるかどうかは、科学的に裏づけられていない」と述べている。Iadecola氏によると、高血圧は「脳にとって最も良くないこと」だという。第一に、高血圧は脳の血管を損傷し、動脈硬化をもたらす。第二に、小血管を傷つけ、脳が血流をコントロールする能力にも影響を及ぼす。「科学的根拠はないものの、血圧を治療することは重要だと考えられる。脳だけでなく、心臓や腎臓を守ることにもなる」と同氏は述べている。このAHAの声明は、「Hypertension」オンライン版に掲載された。米マウント・サイナイ病院認知医療センター(ニューヨーク市)のSam Gandy氏は、「中年期の血圧コントロールによって後の認知症リスクを低減できる可能性は高いが、中年期に高血圧を放置した場合、高齢期に治療を開始しても便益はないか、むしろ有害となる可能性がある」との見解を示している。認知症は中年期に始まることが明らかにされつつあり、最終的には45歳くらいから介入措置を開始する必要があると思われると、同氏は述べている。(11/3 HealthDayNews)


NEWS ■飲酒によるがん死者、2012年に36万人…国連機関調査

仏パリで開催された「世界がん会議(World Cancer Congress)」で11月2日、2012年に飲酒が原因で発生した新規がん患者は70万人以上で、がん関連の死者も約36万6000人に上るとする調査データが発表された。これらの発生件数は、主に富裕国でのものだという。研究チームは、飲酒をする人としない人のがん発症リスクを比較し、がんの年間新規症例数の約5%、年間死者数の4.5%に、アルコールが関与しているとの結果を算出した。公式発表を控えた今回の予備報告書の共同執筆者で、国連の国際がん研究機関(IARC)のケビン・シールド氏は「アルコールによってがんが引き起こされる恐れがあることに多くの人が気づいていない」と語った。アルコールと最も強い関連性が認められたのは乳がんの新規診断例で、アルコールに起因する全がん症例の4分の1以上を占めていた。次いで関連が強かったのは大腸がんで、全体の23%だった。このことについてシールド氏は、特に乳がんでは「発症リスクが(アルコールの)摂取量とともに増加する」ことは明らかだと述べた。アルコールとがんによる死亡との関連について評価した結果では、食道がんで最も関連性が強く、次いで大腸がんが続いた。世界全体でみると、疾病負担が最も大きい地域は北米、豪州、欧州(特に東欧)などだが、発展途上国での飲酒量増加とともに、この傾向には緩やかな変化がみられると、研究チームは指摘している。(11/3 時事通信)


NEWS ■サービス業の男性、脳卒中や心筋梗塞で若年死のリスク

男性では、飲食店員や美容師などサービス職が脳卒中や心筋梗塞で若くして死亡するリスクが他の職業よりも高い――。国立国際医療研究センターの和田耕治医師(産業保健学)のチームが研究成果をまとめ、国際医学誌(電子版)に発表した。米国でも同様の傾向があるという。人口動態統計や国勢調査の結果をもとに、2010年に死亡した25〜59歳の男性のうち、脳卒中などの脳疾患で亡くなった約2300人と、心筋梗塞や解離性大動脈瘤など心疾患が原因の約2800人を、11種類の職業別に分析した。無職の人は除き、女性は調べなかった。統計学的な調整を加えて計算したところ、介護職員や飲食店員、美容師、看護助手、旅行ガイドなどのサービス職が脳疾患や心疾患で亡くなるリスクが最も高かった。脳疾患で販売職の4.6倍、心疾患で3.7倍だった。管理職、農林漁業職、建設・採掘職、輸送・機械運転職が続いた。和田さんは「職業によって過労死と関連する脳卒中や心筋梗塞で早く亡くなるリスクが異なることが明らかになった。リスクの高い業態では、労働時間の短縮やストレスの低減、禁煙など、より積極的な対策をとってほしい」と話している。(10/28 毎日新聞)


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(編集人:北島憲二)


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