エンタプライズ発信〜メールマガジン【№60】 2016. 4

九州は地震が少ない地域、とは大方の認識するところではあったのですが、日本の地震史上、大きな禍根を残す状況に現在発展しています。直近では2005年3月にM7.0を記録した福岡県西方沖地震(玄界灘域、玄界島ほかが被害)がありますが、火山の多い地方としては地震への畏怖は薄かったと思います。しかしほんの3年前に「今後30年、九州全域でM6.8以上の地震が発生する確率は30〜42%」と警笛は鳴らされていました。しかも熊本県の布田川断層帯と日奈久断層帯が連動した場合はM7.8〜8.2と想定しています(文科省所管・地震調査研究推進本部発表)。今回の地震規模はM7.1が最大ですから、報道でよく使われる本震はまだ後の可能性があり、今は前震のプロセスとみることもできます。軌を一にして、ほかの学者筋は「これ以上の本震が今後あるかもしれない。地震連鎖の可能性は否定できない」と述べているところから、このたびの平成28年熊本地震は有史に深く刻まれる大過になりはしないかと危惧を深めています。火の国・熊本と呼ばれるように、震源地の北東には阿蘇山が永年活動中です。活断層の連鎖により巨大噴火が勃発することになれば、阿蘇カルデラ内で生活をする人々には甚大な影響が出ることは必至です。熊本出身者として早期の沈静安定を衷心より願っています。

★☆★━━━━━━━■CONTENTS ■━━━━━━━━━━━★☆★

【1】エネルギー医学の将来〜期待される今後の研究
【2】“こころ” と “からだ”……臨床にモノ思う。
【3】伝統医学をシルクロードに求めて
【4】根拠に基づく腰痛の原因と治療 《腰痛治療の新常識》
【5】“連動操体法”について、ちょっとばかり…
【6】N・E・W・S

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◆ BOOK Review ◆

『老いない人の健康術〜安保流vs太田流』

【 安保 徹・太田成男 対談集 】
今ある常識はもう古い!? 免疫と水素が変える医学の新常識「免疫学」と「ミトコンドリア学・水素医学」の世界的権威が、病気知らず・若返りの方法を徹底的に語る。何歳であってもこれからの時代を健康に生きていくためには、病気にならないだけではなく、元気に楽しめる気持ちを持つことがすごく大切と強調する太田氏。この対談集はその作戦会議、とも位置づける。ストレス、寿命、がん、認知症、高血圧、脳梗塞、メタボ、糖尿病、放射線障害ほかをターゲットにした、患者教育には大きな武器になる1冊。
四六判・206頁・1400円+税(産学社刊=最新刊)


◎連載vol.18

エネルギー医学の将来 〜期待される今後の研究

<小社編集部編>

《 Extra issue 》


エネルギーサークル

本書をまとめるうえで約15年の研究を経てきたが、この間、各地でワークショップを繰り返すうちにグループでエネルギーの流れを体験する方法ができあがった。このエネルギーサークルと呼ぶ主たる原理は、人間の集団における生体リズムの連係であり、つないだ手から伝わるエネルギーを意識しやすいように、イメージ療法と運動療法の手法を取り入れた。
エネルギーサークルのワークショップでは、まず集まった人たちに立って輪になってもらう。次に緊張をほぐすために、できるだけおもしろそうな笑顔をつくってもらう。これは楽しくなるだけではなく、各人の感情にも影響を与える。なお顔面筋の緊張と脳の血流量および主観的感情との関係についてはほかに詳しい研究報告があるのでそちらに譲ることにする。

笑顔の次は呼吸である。全員の呼吸のペースを合わせるために、合図に従って深く息を吸い、頬の筋肉に力が入るほど強く息を吐きだしてもらう。
それから心臓に意識を集中させるのだが、それにはまず肋骨に指を当てた状態で息を深く吸い、吸い終わるときに音が出るほど勢いよく唇を閉じる。この動作を何度か繰り返すと、心臓のあたりに音の振動が伝わってくるようになり、音の響きも深く強くなっていく。ただし頬がしびれたという人が続出する。

特定の脳波を同調化させるには、音、光、電気、磁気など、どのような振動を使ってもよい。筆者らはベル呼吸という方法を採用している。チベタンベルという2個で一対となったベルは、叩くとやさしい音が出る。筆者がこのベルの振動周波数を分析したところ、どちらのベルも基本周波数は2500Hzで、ビブラートがそれぞれ9Hzと26Hzであることがわかった。このビブラートの周波数は、脳波を同調化させるのに最適の数値である。9Hzという値のシグナルは、α波の領域に入る。ベル呼吸を始める前に、参加者同士で手をつないでもらい、目を閉じた状態でベルの音を聞いたら深呼吸をするように指示しておく。目を閉じてもらうのは、そのほうがα波状態に入りやすいからである。

ベル呼吸を数回繰り返したところで、心臓のリズムが調和してきたのではないかと聞いてみる。心臓は体内でもっとも強い電気の発生源であり、全身のどの部位の体表面からでも心臓の電気を検出することができる。また汗が導体として働くので、輪になった人たちの手から手へと心臓の電気が伝わっていくはずである。(以下、次号につづく)
(出典:『エネルギー医学の原理』 小社刊)


★連載エッセイ ㉘☆

“こころ” と “からだ” …… 臨床にモノ思う。

・保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


「ひらめき」から生まれる新たな施術法

今まで様々な施術法を開発してきたが、その過程は、初めに発想し、臨床現場で何度も繰り返し効果を確認し、改良に改良を重ねながら、さらにほかの施術者が使いやすいようにシステム化していく。このようにして、実際に研究会でほかの施術者に伝えるまでの過程は、数か月から数年に及ぶことがある。

新しい施術法の開発は、最初の「ひらめき」から始まるが、すべての「ひらめき」が効果のある施術法の開発につながるというわけではない。これはいい施術法になるだろうと予測しても、実際に臨床で試しても効果がない場合も多々ある。有名なエジソンは、電球を発明するまでざっと1万回失敗したが、そのことを失敗とは言わなかったらしい。エジソン曰く、「失敗ではない。うまくいかない方法を1万通り発見しただけだ」とのこと。一般的には、「失敗」という否定的な側面に目を向ける傾向があるが、それを上手くいかない方法を発見したという肯定的な側面に目を向ける人は少ないだろう。大きな発見をする過程において、上手くいかなかった経験がたくさんあればあるほど、学びの深い価値のある発見につながることが多いということはとてもうなずける。

また、アメリカ第26代大統領のルーズベルトは、「間違いを犯さないのは何もしない人だけだ」と言ったという。言い換えると、何か役立つモノを生み出すために失敗を恐れず繰り返し行動をしつづけた人が、間違いを犯したり失敗したりすることは価値ある過ちであり、価値ある失敗であるともいえるだろう。
最初から間違いを犯そうとか、失敗しようとして行動を起こす人はほとんどいないだろう。何か価値あるモノを創りだそうとして、失敗してしまうことがほとんどではなかろうか? 人間はこの地球に何か価値あるモ
ノを残すために生まれてきたという前提にたつとすれば、間違いや失敗を恐れず挑戦しつづけることが、生きることの意味につながるのではないかと思う。

私は施術法を教える立場にあるが、永年、施術法を研究する過程で、以前の手法がほとんど使われなくなることもある。もしかすると、参加者の中にはそれは失敗だったのではないかと捉える人がいるかもしれない。そして、そこから進化した現在の施術内容の方が数段良くなっており、過去に学んだ参加者よりも今の最新情報を学んだ参加者の方が得をしていると考えるかもしれない。
しかし、過去の学びがあるからこそ、現在の学びが深まるのであって、過去の学習は決して無駄ではなく、とても貴重な学習になっているはずである。そう私は考えているが、表面的に役立つ手法だけを学ぼうと考えている受講者にとっては、恐らくその学習は失敗でしかないのかもしれない。
時々、「どのようにして、そのような施術法が開発されたのですか?」という質問を受けることがある。私は、「朝、シャワーを浴びている時などに、ふとひらめくことが多い」と答えたりするが、恐らく脳は、無意識下の深いレベルで、常にそれを探し求めているのだと思う。
他方、その「ひらめき」が生じる前提条件として、「純粋な心」で求めていないと、不純な動機ではひらめかないような気もするし、たとえひらめいても効果がないように感じる。眉つば的に聞こえるかもしれないが、「純粋な心」になっていると、もしかしたら、神、仏、宇宙、誰かわからないハイヤーセルフ的な存在が教えてくれているのかもしれない、とふと思ったりもする自分がいることはたしかだ。


《連載42》

伝統医学をシルクロードに求めて

池上正治(作家・翻訳家)


6. 日本編 〜杉山和一小伝〜

伊勢からはるばる江戸に来て針術を修めたいという青年に対し、山瀬師匠は感激した。

「針術を以て天下の盲人を救う。これこそ上医は国を治すというもの。よし、互いに勉強しよう」と、一にも二にもなく、和一の入門はかなえられた。
こうして針術修業が開始された。針術の古典である『内経』『難経』の誦習、毫針(ごうしん;細い針のこと)の打ち方の実習などが、盲人の師匠によって盲人の弟子のために行われた。また和一は、ただ1人の内弟子であったから、治療に来る患者の応待係でもあり、師匠の雑用係でもあった。

その後、またたくまに江戸での修業が6年目になろうとしていた。ところが和一の針の技術は少しの進歩もない。針を刺そうとすると指先が震えだして、なかなか刺すことができない。エイッ、と思い切って刺すと、今度は針が抜けなくなってしまう。とても琢一師匠の言うような「気を得て針を止め、その気が去ってから針を抜く」どころではないのだ。何回、患者に怒鳴られたことか。
それに『内経』や『難経』の文句のむずかしいといったらない。「虚スレバ実シ、満ツレバ泄ス」とか「腎ハ精ヲ蔵シ、精ハ志ヲ舎ス」などと、何度聞いても頭に入らない。和一の手先は、おそらく生来の盲人のように器用ではなかったのだろう。それにもまして、ただでさえ難解な医書を、文字を介せず、暗唱だけに頼って教わることは大変なことであった。日本で石川倉次氏により点字が考案されるのは1890年(明治23年)になってからのことである。琢一師匠はやむなく和一の教育を断念した。今日限り針術の修業は中止する、と言い渡した。

<小伝3>

琵琶をひきながら平家物語を語る盲人・琵琶法師が中世における芸能の創造と伝播に果たした役割は大きい。また16世紀後半、沖縄から渡来した蛇皮線(じゃびせん)は、盲人の手で改良されて三味線になり、従来の琵琶や太鼓、笛などでは表現できなかった繊細な情緒を唄いあげた。三味線の流行は、遊里はもちろん民衆の間にも目覚ましく、一部の藩では三味線禁令を出したほどである。
江戸時代の失明者は、当道座(とうどうざ)という盲人の仲間組織に強制加入して、琵琶や筝、三味線、針治療、按摩などによって生活していた。この当道座の支配者が検校(2年任期)であり、その下に別当、勾当、座頭とつづき、これが当道四官と呼ばれていた。勝新太郎の演じた座頭市ならばご存知の人も多いだろう。(つづく)


根拠に基づく腰痛の原因と治療 – 腰痛治療の新常識(35)

長谷川淳史(TMSジャパン代表)
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腰痛に関する正確な情報には想像を絶するほどの治癒力があります。どうか情報の拡散にお力をお貸しください。

■患者の年齢・罹病期間や症状の内容・日常生活と仕事への影響・過去の治療に対する反応は急性腰痛の治療において重要である。病歴聴取によってレッドフラッグ(危険信号)を確認できる。特に55歳超の患者にとっては重要。http://amzn.to/Hk8veA
………言うまでもなく急性腰痛の初期評価は、画像検査よりも問診(病歴聴取)の方がはるかに重要だということです。

■心理的・社会的・経済的問題などの非身体的因子は評価と治療を複雑にする可能性があるため、初期評価の時点で患者の生活における心理的・社会的・経済的問題などを探る必要がある。http://amzn.to/Hk8veA
………このイギリスのガイドラインが発表された1996年の時点で、すでに心理的・社会的・経済的問題に目を向けるよう勧告が出ているのです。日本はいつまで患部に目を奪われているつもりなのでしょう。このままでは患者が増える一方です。

■若年成人の坐骨神経痛においては、SLR(下肢伸展挙上)テストを行ない記録する必要がある。脊柱管狭窄のある高齢者においては、SLRテストに異常が見られないことが多い。http://amzn.to/Hk8veA
………高齢者の場合はSLRが陰性というのも不思議ですけど、勉強不足のためかSLRの意義がいまいち良く分かりません。SLRでヘルニアの存在が確定できるわけではありませんし、痛みを誘発させる検査は心理的に好ましくないのではないかとも思います。いずれにしても最近の腰痛診療ガイドラインではほとんど重視していません。

■神経障害の検査ではアキレス腱反射と膝蓋腱反射、足関節と母趾の背屈力、感覚に関する愁訴の分布に重点を置く必要がある。http://1.usa.gov/Ht6ICY http://1.usa.gov/HyhYli http://1.usa.gov/HvJ3Gv
………これも最近の腰痛診療ガイドラインではあまり重視していませんが、稀に重篤疾患が潜んでいるかもしれませんので初期評価としてはありでしょう。特に知覚麻痺には気をつけなければなりません。

■画像検査についてはエビデンスをA〜Dの4段階で評価したAHCPRの『成人の急性腰痛診療ガイドライン』を踏襲している。臨床検査で危険信号が認められない限り、発症後1ヶ月以内の腰痛患者に単純X線撮影は推奨されない。http://1.usa.gov/uhlYSO
………全腰痛患者でレッドフラッグ(危険信号)が認められるのは10%未満ですから、日本の整形外科医が腰痛診療ガイドラインの勧告に従えば画像検査実施率は1/10になるかもしれません。大幅な医療費の節約にはなりますが、経営が成り立たなくなる恐れもあります。実に歯がゆい問題です。

■腰椎の単純X線撮影は、次のレッドフラッグ(危険信号)のいずれかが存在する場合は骨折の除外診断のために推奨される。最近の重大な外傷(全年齢)・最近の軽度外傷(50歳超)・長期ステロイド使用歴・骨粗鬆症・70歳超。http://1.usa.gov/uhlYSO
………骨折していても症状が軽くて気づかない場合もありますから高齢者には注意しなければなりませんが、それ以外はレントゲン写真を撮る必要はないということです。腰痛だからといって何でもかんでも画像検査をしてはいけません。そんなことをするのは世界広しといえども日本だけです。


【連載コラム】

“連動操体法”について、ちょっとばかり… (60)

根本 良一(療動研究所主宰)

【 連動操体法の応用編 】


4. 胸背部の異常

<症例1> 咳が出る
60歳、主婦。喘息まがいの空咳が出る。胸部がくすぐったいような、時として重苦しいような感じ。熱はなく、病院では喘息ではないと言われたが、腹部は硬くなり、咳をするたびに硬くなるという。
大殿筋の操作により腰の歪みをとり、腹部の操作で胸部の緊張を処理すると、しばらくして咳が止まった。帰宅させたが、1日程度はラクになるが、また苦しくなるというので数日治療を続けたら咳は鎮まった。この方法はぜひ覚えたいと言って、腰から背部の自療操体法を習いにくるようになった。

(この症状のナゼ?)
咳は気管に異物が入ったときに気管の繊毛が触知して起こる排出反射である。痰を触知すれば咳が出る。過剰な場合は大腰筋、背部、背部〜胸部の自療操作をする。時には背部の緊張により肋間神経が異常刺激を感じると、それに反応して咳は出るが痰は出ない。空咳である。
肋間神経の起始部である肋椎関節運動軸の処理、すなわち上位の頚背部への処理も必須である。これらの根源的問題は腰の操作と姿勢を正すことである。外腹斜筋の操作も必要なら行う。

<症例2> 足甲部〜足首痛
30歳、主婦。爪先立ちをすると痛い。余暇にバレエを習っているが、これからが心配だという。
(1)足先を床につけ、踵を上げると、右足甲部から足首が痛い。
(2)他力で足首を底屈しても痛くない。
・大腰筋の操作では、左右どちらにも効果はない。
・上体のラクな捻りから足指基部の操作も効果はない。
・内腿部の操作でも有用性は見受けられない。
(3)足底筋を圧迫したところ(1)は痛くない。
(4)(3)で本人が前屈して「ここ」と押さえるときは痛い。これは動作分析になる(外腹斜筋の緊張がなければ痛くない?)。
(5)前屈に問題がありそうなので、右外腹斜筋を押さえ(4)を行うと痛くない。
(6)右腹部の操作で右外腹斜筋の操作を行ったら痛みが解消した。


*** N *** E *** W *** S ***


NEWS ■脊髄損傷患者の脳にチップ。指が思いどおりに動く

脊髄損傷で手足にまひがある人の脳にコンピュータチップを埋め込み、指令を読み取って腕の神経に伝えることで、思いどおりに手の指を動かすことができるようになったと、米オハイオ州立大学などの研究チームが4月14日付の英科学誌ネイチャー電子版で発表する。
研究に協力したのは24歳の男性。6年前にダイビング中の事故で脊髄を損傷し、脳からの指令が腕の筋肉まで届かなくなった。研究チームは、運動をつかさどる脳の領域に埋め込むことで、腕を動かす信号を読み取るチップを開発。信号を、コンピュータを介して肘から手首にかけてつけた130個の電極に伝え、筋肉を刺激する仕組みをつくった。
2年前に同様の仕組みでこの男性は手を握ることができたが、今回はさらに、手の指を1本ずつ動かすことや、手首を動かせるようになった。びんをつかんで中身を別の容器に移すこともできたとしている。男性は「将来に対して希望が持てるようになった」と語っているという。
(4/14 朝日新聞)


NEWS ■温泉の効能は本当? 大分・長湯温泉の研究

最近、大分県の長湯温泉が実際に健康に良いとする研究結果が発表されている。長湯温泉は、各種のミネラルや硫化物に加え、高濃度の炭酸ガスを含んでいるのが特徴とされ、飲む利用者も多い。
竹田市の九州アルプス商工会は、温泉に詳しい医学博士・松田忠徳さんに委託した。湯治は、3泊4日の短期と、3カ月のうち週2回程度通う長期を調べた。短期の対象者は33〜72歳の男女23人、長期は27〜79歳の男女23人。いずれも「ふだん定期的に温泉浴していない」「現在病気などで通院していない」を条件とした。調査にあたり、松田さんは1日延べ15〜20分、湯につかるよう指導したという。
対象者の最高血圧の平均値は、短期が129から120に、長期が140から132に下がった。ストレスを感じると血液内に増えるという活性酸素の代謝物量も、長短期とも湯治前は「中程度」だったのに、湯治後は「正常」に。活性酸素の代謝物量は、糖尿病や動脈硬化などと密接な関係があるとされる。
飲む効能については、慶応大学先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)が、竹田市や地元の医院などと2014年に約1カ月間調べ、結果が昨年12月に国際学術誌のオンライン版に発表された。
26〜59歳の男女19人を研究対象とした。長湯の炭酸水素塩泉500ccを1日3回、1週間飲み、普通の水を同様に飲んだ場合と比べた。血液を調べたところ、血糖の状態を示す指標となる数値が16人で減少。ブドウ糖を消費してエネルギーを生み出す働きが高まった可能性がある、とみている。体重増加を抑える腸内細菌も増えた、としている。
(4/11 朝日新聞)


NEWS ■がん生存期間「在宅」でも変わらぬ傾向

自宅で最期を迎えたがん患者は、病院で最期を迎えた患者と比べ、生存期間にほとんど差がないか、自宅のほうがやや長い傾向があるとする研究結果を筑波大と神戸大のチームがまとめた。退院して自宅に戻ることで余命が縮むのではないかという不安を和らげられる結果だとしている。論文を米国がん協会の学術誌に発表した。
チームは、国内58の医療機関で、緩和ケア病棟に入院した患者や在宅の緩和ケアを受けた患者らを2012年9月から1年半かけて調査し、2069人について分析。最期を迎えた場所が病院か自宅かによって生存期間に違いがあるかを調べた。
(4/6 朝日新聞)


NEWS ■脳年齢を若く保ちたければ 「階段」を選ぼう

高齢になっても健康な脳を維持したければ、エレベーターを階段に変えるといいかもしれない―こんな研究結果が「Neurobiology of Aging」4月号に掲載された。研究著者であるコンコルディア大学(カナダ)のJason Steffener氏は、「年をとっても明晰な頭脳をもつためには、読書や勉強をする時間と同じくらい、体力も重要であることが示された」と話している。
Steffener氏らは、19〜79歳の健康成人331人について、MRIを用いて脳の状態を評価した。その結果、階段を多く利用する人、学歴が高い人ほど、脳が「若い」ことが判明した。具体的には、物理的な脳年齢は、教育期間が1年長いと1歳近く若かった。1日に登る階段が1階分多いと、物理的な脳年齢は半年以上若かった。
Steffener氏は、「生理学的な脳年齢と実年齢の差に対して、教育と身体活動が影響することがわかった。階段を使うという簡単な手法により、脳を若く保つために積極的に介入できることが示唆された」として期待を寄せ、「会社や駅で実施されている『階段を使おう』キャンペーンを高齢者にも拡大すべきだ。多くの高齢者にとって、階段を1日1回使うことは他の身体活動に比べて取り入れやすく、既に実施している人も多い」と話している。
(4/5 HealthDayNews)


NEWS ■若い世代に 「スマホ老眼」 増加中

情報の約80%は目から入ると言われています。目の働きは神秘的で、スーパーコンピューターでも追いつくことはできません。情報技術の進歩で、目に関連する情報機器や機能は向上しています。例えば、瞳の虹彩部分を個人識別に利用したり、眼鏡に付けたウエアラブル端末から画像が見えるようにしたり、生活をより豊かにする可能性を秘めています。半面、目はIT機器に酷使されています。電車の中で観察してみてください。多くの人がスマートフォンを見ていませんか。
近くを見る状態が長く続くと、目のピント調節を行う毛様体筋が酷使され目が疲れます。その状態で遠くを見ると、若い世代でもものがぼやけ、近くを見るのもつらくなります。老化で水晶体が硬くなり、ピント調節機能が弱る老眼と似た症状で、「スマホ老眼」といわれています。ゲームのように物体が小刻みに動く画面はなおさら。まばたきが少なくなり、目の乾燥も助長させます。本を読むときも目を近づけすぎると、同じ状態になります。
ただ、本当の老眼と異なり、スマホの使い方を改めれば回復するし、予防もできます。画面から時折目を離して遠くを見たり、意図的にまばたきしたりして目を休めましょう。(広瀬浩士・名古屋医療センター眼科医長)
(4/5 中日新聞)


NEWS ■梅干しを食べた8割がインフルや風邪を発症せず

和歌山県田辺市とJA紀南でつくる「紀州田辺うめ振興協議会」は、今冬に毎日梅干しを1粒食べたモニターのうち、80%がインフルエンザや風邪を発症しなかったと発表した。梅干しを食べなかった前年同期の症状なしは55%だった。
モニターは、梅干しを食べる習慣がなかった101人を公募した。うち有効回答64人。1月上旬〜3月上旬に60日間、梅干しを1日に1粒食べてもらい、風邪の症状の有無や体調の変化を調査した。モニター期間中にインフルエンザの症状があったのは3%、38度以上の発熱が3%、38度以下の発熱が14%、まったく症状がなかったのが80%だった。前年同期は38度以下の発熱が31%いたが、半分以上減った。
調査開始30日後〜60日までで体調に変化がなかったのは2%のみ。疲労回復効果が20%、胃腸調子改善とダイエット効果がいずれも15%、肌の調子改善が14%、食欲改善が13%あった。 モニターの大半が県外在住で、年代別では30代が35%で最も多かった。モニターを機に梅干しを食べる習慣ができたのは86%。「梅干しがこんなにおいしいと思わなかった」「梅干しの選び方も重要だと気づいた」などの声があった。
(4/4 紀伊民報)


NEWS ■心臓病リスク 「BMIより胴まわりのサイズ」、米研究

ある人が将来心臓病にかかるかどうかを予測する上で、体重と身長の関係から算出されるBMI(体格指数)より胴まわりのサイズの方が有力な指標になるかもしれない──このような研究結果が、4月2日に米シカゴで開かれた米心臓学会(American College of Cardiology)で発表された。
米メリーランド州の米ジョンズ・ホプキンス大学の医師ボアズ・ローゼン氏らの研究チームは、心臓病にはかかっていない糖尿病患者200人について調べた。その結果、胴まわりのサイズが大きい人は小さい人より、酸素濃度が高い血液を脳などに送り出す左心室の機能に異常がある場合が多いことを突き止めた。研究チームの一人は「胴まわりのサイズを落とせば、心臓病になるリスクを減らせる可能性がある」と述べた。
研究チームは、胴まわりのサイズが大きく心臓病の兆候がある糖尿病患者が将来、心臓の機能障害や動脈疾患を発症するかどうかについては引き続き研究が必要だとしている。
(4/3 AFP=時事通信)


NEWS ■腰痛を治すにはヨガのほうが効果的…米研究結果

アメリカ疾病管理予防センターは、慢性的な腰痛に対して、メディテーション(瞑想)や認知行動療法が、身体療法よりも効果的であるという研究結果を発表した。アメリカにおける腰痛の発生率は全人口の15〜20%で、45歳以下の就業不能原因の第1位であると言われるほど身近な疾患であり、今回の研究結果について複数の海外メディアが報じている。
米国医師会雑誌「JAMA」に掲載された論文によると、今回の研究では過去数年間、腰痛に悩まされている342人の患者を対象に調査が行われ、瞑想プログラム、認知行動療法、あるいは今まで通りの対応を行った場合の3パターンを比較した。認知行動療法は、通常、うつ病、不眠症、パニック障害などの症状に対して行われる心理療法の一種だが、痛みがストレスなどの精神的な問題が原因であった場合に効果を発揮すると言われている。
3パターンのプログラムを継続した結果、CDを使ったメディテーションやヨガを含む瞑想プログラムを行ったケースでは26週間以内に43.6%の人が、認知行動療法を行った患者のうち44.9%の人が痛みの改善を報告した。一方で、特別なプログラムを受けなかった患者は26.6%しか回復しなかったという結果が出たそうだ。つまり今回の研究によって、身体的なケアに特化した医学療法よりも、精神面もカバーした処置を行う方が効果があると証明されたことになる。
(3/29 Mag2 News)


■次号のメールマガジンは2016年5月10日ごろの発行です。
(編集人:北島憲二)


[発行]産学社エンタプライズ