エンタプライズ発信〜メールマガジン【№52】2015. 8

残暑お見舞い申し上げます。暦では立秋を迎えました。とはいえ炎暑の渦中です。お盆休みでは、この暑さゆえにビールなどの“清涼飲料”をたくさんいただいた人も多いと思います。一般にビールといえばプリン体。次に想像されるのは痛風です。ある機関が痛風発作で受診した初診患者を5年にわたり調べたところ、5〜9月が多かったと言います。賢兄からは「やばいビールは軽くにして焼酎に替える」という声が聞こえてきそうですが、ビールがNGなのではなく、アルコールそのものがNGなのです。さてさて尿酸値が高くなると痛風発作に注意が向きがちですが、本当の怖さはそこではありません。動脈硬化が進行し、心筋梗塞などの心血管障害のリスクが上がります。また腎臓が悪くなり、人工透析のリスクも出てきます。帰省などでアルコール過多の諸兄、まだ遅くないかもしれません。まずは脱水に気をつけて。脱水症状になると尿細管での尿酸の再吸収が増加し、尿酸の排泄が低下して尿酸値が上昇します。次に大事なのは言わずもがなのアルコールの減量。アルコールそのものに尿酸値を上げる作用があることは既述のとおりです。しかも体内を脱水状態へと導きます。そして暑さはまだ続くので清涼飲料水や缶コーヒーなどに多く含まれる甘味成分の過剰摂取の注意を。これらが尿酸値を上げることは実験で証明されています。つまり夏に痛風発作を起こさないようにするには、上の3つのマイナス要素に少しでも触れないようにすることが重要となります。加えて、尿酸値の排泄を促す野菜や海藻類、酢の物などを意識して摂るようにすれば、痛風知らずの夏を過ごせること請け合い、と言えそうですね。

★☆★━━━━━━━■CONTENTS ■━━━━━━━━━━━★☆★

【1】エネルギー医学の将来〜期待される今後の研究
【2】“こころ” と “からだ”……臨床にモノ思う。
【3】伝統医学をシルクロードに求めて
【4】根拠に基づく腰痛の原因と治療 《腰痛治療の新常識》
【5】“連動操体法”について、ちょっとばかり…
【6】N・E・W・S

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【 Information 】

「第11回 直立歯科医学研究会大会」のご案内

◆テーマ:ヒト直立から見た歯科医学〜頭頸部の機能障害はヒトの立つ仕組みに起因する〜
◆開催日時:9月20日(日)13:00〜18:40(19:00より懇親会)
      9月21日(祝)09:30〜16:00
◆開催会場:東京医科歯科大学 鈴木章夫記念講堂(東京都文京区湯島1-5-45)
◆主な講演:臼井五郎(顎口腔臨床センター代表)、伊藤学而(鹿児島大学名誉教授)、吉田勧持(日本構造医学研究所所長)=敬称略
◆参加費用:2日間・一般当日(医師および歯科医師33,000円、その他16,000円)
=詳細は下の研究会または弊社HP案内にて
◆主催:動的平衡・顎口腔医学研究会 http://douken.kenkyuukai.jp/
<タイムテーブルおよび発表演題ならびに演者略歴>


◎連載vol.10

エネルギー医学の将来 〜期待される今後の研究

<小社編集部編>


ホール効果と生体磁気のコントロール

生体磁気の微妙な変化が、細胞や組織にどのように作用するのだろうか。その答は、生体マトリックスの半導体的性質を証明したベッカーの研究を振り返るとわかるだろう。ベッカーの実験にはホール効果が応用されていた。ホール効果とは、1879年に画期的な実験を行った物理学者E・H・ホールにちなんで付けられた名称である。このホール効果はイオン伝導と半伝導の識別に利用される。半導体に含まれる電子の数は比較的少なく、したがって電子が自由に運動できるため、半導体を磁場の中に置くと流れる電流は一つの方向に流れていく。一方、イオン伝導の場合は、電荷を帯びた粒子が多数存在するために粒子は自由に運動できない。

電流の流れる方向と垂直に磁場を加えると、電流と直角の方向に電位差が生じる。この電位差をホール電圧とよび、半伝導の程度を知る指標となる。ベッカーは、トカゲの足を使った実験から、ホール電圧がイオン伝導ではなく半伝導を示していることを見い出した。このホール電圧は、麻酔状態からの回復期に上昇する。つまり半導体(生体組織)を流れる電流の量が、意識のレベルに関係しているということだ。

半導体にみられるホール効果は、生体に対する磁気の作用機序を物理学的に説明する一つの根拠になる。磁気の発生源は鉄の磁石かもしれないし、セラピストの手かもしれない。また複数の人間が意識的に生体リズムを同調化させようとする場合にも、半導体におけるホール効果が関係しているのだろう。さらに外界の磁気を感知する生物の能力には、ロフィが報告したプラズマ現象も関与していると考えられる。

循環系、筋骨格系およびそのほかの器官の二元性

デュアル神経系は、2種類のメカニズムによる神経支配を表現した概念だが、生体の主たる器官には、機能こそ違え、神経系と同様の二元的メカニズムが存在する。たとえば血管は、大動脈や大静脈から末梢の毛細血管に至るまで、すべて血管周囲結合組織で形成されている。血管周囲組織は、神経周囲系と同様に全身の隅々にまで行き渡っている。血管組織の役割はいうまでもなく血管が流れる道をつくることである。また生体マトリックスという観点からすると、血管周囲組織も連続した情報伝達系の一部であり、管としての機能以外に、全身のコントロールと生理学的反応の統合という役割を担っている。血管周囲組織を流れる電流は、炎症、止血、外傷修復といったプロセスに深く関わっており、癌の増殖を促す物質が血流に乗って運ばれることを考えると、癌の発生にも関与していることになる。(つづく)

(出典:『エネルギー医学の原理』 小社刊)


★連載エッセイ ⑳☆

“こころ” と “からだ” …… 臨床にモノ思う。

・保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)の改善

ご家族でファミリーカイロを利用していただいている小学6年生になる女の子がお母さまに連れられて来院。今回は数か月前から手の皮がむけてガサガサしている掌蹠膿疱症の症状。病院でも治療を受けているけれども治りが悪いとのこと。掌蹠膿疱症は、手掌・足底に無菌性の膿疱が反復して出現する皮膚病。基本的に慢性難治性の疾患とされている。

【初回の施術】
PCRTで関連領域を検査すると、アレルギー領域が示される。検査をしてみると『湿度』『お風呂で使う石鹸』そして、何か触れるものという反応が示されるが何か分からない。お母さまにお聞きすると、クラシックバレエの稽古でいつも触るバーではないかという指摘してくれた。検査をしてみると、アレルギー反応が示される。さらに複合してその時にかいている汗も反応が示された。そして最後に学校で使う手さげカバンもアレルギー反応を示した。

【2回目の施術】
症状は初回の症状を10としたら7割程度に改善。前回の検査で陽性反応が示された『湿度』『お風呂で使う石鹸』は陰性反応。バレエの稽古の際のバーは再度反応を示すので、次にバーに関係する関連感情を検査して診ると、『意欲』で陽性反応。手さげカバンも再診で陽性反応が示され、次に手さげカバンに関係する関連感情を検査して診ると、『喜び』で陽性反応。それぞれ呼吸振動法で調整。お母さまの提案で車のシートも影響しているのではということで検査して診ると陽性反応を示す。そして、最後に自分の手と手を合わせて検査をしてみると陽性反応が示されたので同様に施術を行った。これは、自分の皮膚と皮膚とがアレルギー反応を示していると考えられ、それを適合させた。

【3日目の施術】
症状は初回の程度を10として3程度に改善。順調に改善している様子で、前回示されたバレエのバー、手さげカバン、車のシートも陰性反応となった。しかしながら、自分の手と手を合わせる検査では陽性反応が示されたので、さらに関連感情を検査して診ると『喜び』の感情が示され、併せて施術を行った。

次の施術の予約を入れていたが、ご都合がつかなくなったとのことでキャンセルされた。その後の経過はお聞きしていないが恐らく良い方向へと向かっているだろう。まだ隠れた要因が存在していて、ぶり返してしまうこともあるかもしれないが、治療の効果としては明らかに表れていた。本症例は基本的にアクティベータメソッドで脊柱を調整後、PCRTで「五感」と「感情」のEB (エネルギーブロック)を消去して改善した症例だった。


《連載34》

伝統医学をシルクロードに求めて

池上正治(作家・翻訳家)


5. インド編 〜古代医学の最高峰〜

『ラーマーヤナ』にみる起死回生の薬(つづき)

もうすべてが終わりかと思われました。猿たちはおじけづき、ヴィビーシャナもあきらめてしまい、誰もいますぐにも橋を渡って逃げ帰る気持ちになっていました。
そのときでした。猿王スグリーヴァは風の神の子ハヌマットを呼び、こう言いつけたのです。
“わが軍はまだ負けたのではないぞ。ハヌマット、おまえがもし今からカイラーサ山に行ってくることができればだ。この山には死んだ者でも生かす薬草があるんじゃ。どうだ、ひととび行って探してきてはくれぬか”
“かしこまってございます”風の神の子はとび出していきました。
そしてカイラーサ山へ着いたのですが、どうしてもその薬草が見つかりません。ええい、めんどうなり、と猿は山ごと肩に担ぎ、ひととび飛んで味方の陣営に帰りました。すると、その薬草のにおいがしただけで、ラーマ、ラクシュマナの2人の王子をはじめ傷ついた人々はみな生き返ってしまったのであります。そこでハヌマットはもう一度山を担ぎ上げ、またも飛び上がって元へ返しに行ったということです」(『インド神話口承』愛の宮書房 1968)
王子ラーマの友軍であり、命の恩人でもある「猿王」は、インド・アーリア人がガンジス川流域に進出していく過程で関係をもった、おそらくは森林地帯を勢力範囲としていた先住民族のことであろう。また、現代医学で用いられている心臓の特効薬ジギタリス、血圧降下剤のセルペンチールなどが、もともとヒマラヤ薬草学(インド医学)の中から出てきたことを考えれば、「においがしただけで人々が生き返る薬草」も、神話の世界でにわかに現実性を帯びてくる。

医学史の資料としての仏教経典

唐の仏僧・玄奘(602-664)が中央アジアを経由してインドに行き、各地を巡礼しながら仏教を研究し、約700部の教典と多数の仏像を持ち帰ったことは、『大唐西域記』に玄奘自身が詳しく書き残している。この玄奘の遺骨は埼玉県の慈恩寺に安置されるに至るのだが、「カザエルのものはカザエルに」ということであろう。唐末から語り継がれた玄奘の事績は、伝説化されていき、やがて明代の呉承恩(1500-82)の手により長編小説『西遊記』に仕立て上げられる。天衣無縫の暴れん坊・孫悟空、優柔不断で途方にくれてばかりいる三蔵法師たちが天竺へ……の物語は、日本でも広く親しまれてきた。現在の中国でも、「取経(チューチン)」といえば先進的な経験や技術を学びとることを意味し、日常的に用いられている言葉の一つである。(つづく)


根拠に基づく腰痛の原因と治療 – 腰痛治療の新常識(27)

長谷川淳史(TMSジャパン代表)
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■18-50歳までの腰痛患者807名と健常者936名を対象に、腰部X線撮影で脊椎分離症の検出率を比較した結果、腰痛患者群は9.2%、健常者群は9.7%だった。脊椎分離症が腰下肢痛の原因と考えるのは非論理的。http://1.usa.gov/j2Jw5a
……成人の脊椎分離症は腰下肢痛の原因ではないという世界的コンセンサスがあります。

■発症後1年以内の腰痛患者144名と健常者138名を対象に、骨盤の歪みを厳密に測定して腰痛との関連を調べた研究により、どのような臨床的意義においても、骨盤の非対称性(歪み)と腰痛とは関連していないことが証明されている。http://1.usa.gov/kIBHZm
……代替医療にとってはもっとも受け入れ難い事実。肝臓は右、心臓は左、右肺は3つ、左肺は2つ。人間の身体は左右対称ではないことを解剖学で習ったはず。それを思い出していただきたい。

■港湾労働希望者208名、急性腰痛の港湾労働者207名、慢性腰痛患者200名のX線写真を比較した結果、両群間の異常検出率に差がなかったことから、将来の腰痛発症を予測できず、放射線被曝するX線撮影は雇用者の選別には不適切。http://1.usa.gov/kNXTVG
……レントゲン写真で検出される異常は腰痛と無関係なので当然の結果です。レッドフラッグ(危険信号)がない限り、腰痛疾患に対してルーチンな画像検査は行うべきではありません。

■明らかに効果がないか、僅かなエビデンスしかない治療法を奨励してはならない。患者や社会の利益を考慮すれば強力なエビデンスのある治療法だけを普及させるべきで、ある方法が他の方法より優れていることを明らかにする研究が必要。http://1.usa.gov/kKuYzg
……改めて説明するまでもなく、これはEBM(根拠に基づく医療)の基本です。

■椎間板造影は全米で年間20万回以上行われている侵襲的検査法だが、10年間にわたる前向きコホート研究によって、椎間板造影は椎間板の変性を加速させていることが判明。最新の技術を用いても椎間板穿刺は椎間板構造を変化させる。http://1.usa.gov/jQIEab
……椎間板造影や脊髄造影はリスク(害)がベネフィット(利益)を上回るので世界的に行われなくなっています。それは日本でも同じだと信じています。

■急性腰痛患者200名、慢性腰痛患者200名、健常者200名を対象にX線撮影で仙骨底角を比較した結果、3群間に差はなかったことから、腰部前弯と腰痛とは一切無関係なので、医師は腰部前弯に関するコメントを控えるべきと警告。http://1.usa.gov/jLuOXd
……背骨はS字状カーブを描くのが正しい姿勢といわれていますが、それはまったく根拠のない迷信だということです。自然界に左右対称がないのと同じように、腰痛の治療や予防に影響を与える正しい姿勢などないのです。医療関係者は根拠に基づく情報を提供すべきです。腰痛疾患を医原病にしてしまったことを猛省しなければなりません。


【連載コラム】

“連動操体法”について、ちょっとばかり… (52)

根本 良一(療動研究所主宰)


【 連動操体法の応用編 】

2. 腰に関わる障害

寝返りがつらい、痛い

寝返りを打てないと寝ていてつらい。そこでこの項では、1)殿部痛、2)そのほかの複合障害、3)腰痛(椎間板ヘルニア)、4)椎間板ヘルニアの順でまとめてみたい。
寝返りするときは身体を捻る動作が主となるから、基本として、受者には腕を組んでもらい腹部の緊張をとると操作がラクにできる。そのさいに腕の角度を変えてどの角度でラクになるかを決める。また腰の中枢部で働く大腰筋および腹直筋にも注目すると良い。

1)殿部痛
23歳。女性、会社員。座っていて右殿部が痛い。咳やクシャミをすると痛く、膝も時々痛くなる。スポーツはやらない。そのため太り気味。
・パソコンやテレビは好き。体格は良いが腰を丸くしている。腰はあまり痛くないという。殿部痛は内腿部右の影響であることから、腓腹部の硬さをチェックする。
・椅子にかけて左右の膝を交互に上げると、右膝が上がりにくいし、高く上げると殿部が少し痛い。→大腰筋、大腿直筋、中・小殿筋を点検する。
・腰背部の右側、右大腿後部(大腿二頭筋)がコリコリと硬く、膝裏にも硬結があり、触れると跳び上がるほどである。→左大腰筋、内腿部から腓腹部へ。
さらに左腹側部(外腹斜筋中間部)も硬くなっているので、動作はどうかと訊くと、前屈しにくく、腿が硬いという。背部から肋間神経経由で外腹斜筋が緊張。
腸骨上縁は両方とも緊張しているが、そのほかは右だけが緊張している。腸骨上縁の緊張をとり、左大腰筋の処置をし、伏臥位で踵を内外に倒し、フィンガースケールが最大値になる腰仙部から腰背部の処理を行った。
伏臥位で左外腹斜筋中央部に腕の角度を合わせ、操体法さらに右外腹斜筋下部、右内腿部の操作を行うと、背部の痛みも消え、膝が軽くなった。

(この症状のなぜ?)
大腰筋の緊張から発したとしても、関連部まで歪みが連動していると、どれかが残っているうちは大腰筋の操作が完全にできていないことがある。右内腿部の操作が殿部へ影響することを知悉しておく必要がある。


*** N *** E *** W *** S ***


NEWS ■奥歯ない高齢者「動脈硬化のリスク2倍に」

奥歯を全て失った高齢者は、全部ある高齢者に比べて動脈硬化になるリスクが約2倍に高まることが、厚生労働省研究班(研究代表者=前田芳信・大阪大歯学部付属病院長)の調査でわかった。研究班は「奥歯がない人は、かみにくい緑黄色野菜などの摂取量が減るためではないか」としている。
研究班は、大阪大や東京都健康長寿医療センターなどの研究者らで構成。高齢者の歯と健康との関係を明らかにするため、2010年から各地の70歳〜100歳以上の2300人を追跡調査している。今回、兵庫県内の70歳代の男女約500人について上下左右に4本ずつ計16本の奥歯の状態と動脈硬化との関係を調べた。奥歯が全部ある265人で動脈硬化が見つかった割合は約4割だったのに対し、全て失った121人では約6割だった。喫煙や歯周病などの要因を除外した上で比較したところ、奥歯がない人は、ある人に比べて1.87倍、動脈硬化になりやすいとの結果が出た。(8/14 読売新聞)


NEWS ■熱中症と間違えやすい脳梗塞のチェック法

熱中症とは異なる、脳梗塞特有の症状はあるのだろうか。脳の血管が詰まると脳に酸素や栄養が行き渡らなくなり、脳の組織が壊死、または壊死に近い状態になる。ダメージを受けた脳の場所やその範囲によって特徴的な症状が出てくる。くどうちあき脳神経外科クリニック(東京都)院長の工藤千秋医師によると、具体的には、顔や体の片方がマヒする、動かなくなる▽ろれつが回らなくなる(さ行、ら行、ぱ行などの破裂音が言いにくくなる)▽言葉が突然出なくなる▽半分の視野が欠ける--などだ。
気をつけたいのは、熱中症が脳梗塞を引き起こすようなケースもあるということだ。脱水で体内の水分が不足し、発汗による体温調整ができなくなるのが熱中症の一因だが、それは脳梗塞を引き起こす「ドロドロ血」を一層加速させる状態と言える。工藤医師は「1人住まいの高齢者は、夜エアコンを使っていない場合も多く、寝ている間に脱水が進んで熱中症になり、脳梗塞を発症していることがある」と指摘。また、「若い人でもコレステロールや中性脂肪の値が高い人は、血液の流れが元々悪い場合があり、熱中症から脳梗塞になるリスクが高い」という。
脳出血は比較的冬に多いが、脳梗塞と同じような症状が表れる。一方、くも膜下出血は、今まで経験したことがないような猛烈な頭痛に突然襲われるのが特徴だ。一日の気温差が大きい、春先や秋口に増える傾向があるという。工藤医師は「これから先、ふっと涼しくなる日は要注意です」と話す。(8/15 毎日新聞)


NEWS ■青年期に運動。後年の死亡リスクが低下

運動により骨量の減少した中年男性の骨の健康が改善され、骨粗鬆症リスクが低減する可能性のあることが、米ミズーリ大学コロンビア校栄養・運動生理学部の Pam Hinton氏らの研究でわかった。研究では、骨量減少があるものの健康で活動的な中年男性38人に1年間、ウェイトリフティングまたはジャンプのプログラムを行ってもらった。いずれの場合も対象者は週1回、60〜120分のトレーニングを行い、カルシウムおよびビタミンDのサプリメントも摂取した。
試験開始時、6カ月目、12カ月目に骨の健康を評価した結果、両群とも、6カ月目には全身および腰椎の骨量が有意に増加し、12カ月目も維持されていた。さらにウェイトリフティング群のみ、股関節の骨密度も上昇していた。骨量減少以外は健康な中年男性において、骨量増加に運動を用いた介入が有効だと示した研究はこれが初めてという。
Hinton氏は、「骨は機械的負荷がかかった箇所のみが強くなる。そのため、股関節と脊椎に負荷をかけるスクワット、デッドリフト、ランジ、オーバーヘッドプレスをしてもらった。また、筋力をつけるために負荷を徐々に上げ、骨の反応を最大限にし続けるため休養の週も設けた。この介入は有効かつ安全で、たいていの人が実行でき、自宅で行うこともできる」と話している。(8/4 ケアネット )


NEWS ■1日2時間、座るより「立つ」と健康に好影響

たとえ定期的に運動をしている人でも、座って過ごす時間が長いと心血管系に悪影響をおよぼすことが、オーストラリアの研究者らにより報告された。座る時間が長いと血糖値や脂質値が上昇し、体重増加、心疾患の発症につながるが、1日2時間、座位から立位に替えることで、これらの指標が改善し、ウエスト周囲長も低減するという。
オーストラリア糖尿病・肥満・ライフスタイル研究(Australian Diabetes, Obesity and Lifestyle Study)に参加した36〜80歳の男女782人に活動量計を提供。これにより、対象者が(1)座位、(2)臥位、(3)立位、(4)歩行、(5)走るという活動に費やす時間を追跡した。
その結果、1日2時間を座位から立位に替えると、空腹時血糖値が2%、トリグリセライドが11%それぞれ有意に低下し、立っている時間が長いほどHDL-C増加とLDL-C低下に関連していた。また、1日2時間を座位からウォーキングやランニングに替えることで、BMIが11%低下し、ウエスト周囲長が7.5cm減少することもわかった。ウォーキングに替えた場合には、さらに食後2時間血糖値の11%低下、トリグリセライド値の14%低下に関連していた。(8/4  時事通信)


NEWS ■代替療法の受診者の多くは医師に伝えていない

American Journal of Managed Careに発表された、ワシントンとオレゴンのKaiser Permanente会員で2009-2011年に18ヶ月以内で3回以上慢性痛で外来に来た6000人以上を調査した報告。このうち58%がカイロプラクティックまたは鍼またはその両方を使っていた。大半は医師に代替療法について情報を共有していたが相当数(鍼のみの使用者で35%、カイロのみの使用者で42%)が医師に使用を報告していない。ほぼ全てのこれらの患者が、医師に聞かれれば答えるとしている。(8/3 HealthDayNews)


NEWS ■<男性> 大腸がんが、胃がん上回る

国立がん研究センターは8月3日、全国のがん診療連携拠点病院(拠点病院)の2013年「院内がん登録」集計を公表。男性の5大がん(胃、大腸、肝臓、肺、前立腺)で、07年の集計開始以来初めて、大腸がんが胃がんを上回った。
今回の集計は、全国の拠点病院409施設が対象で、13年の1年間にがんと診断された患者の診療情報をまとめた。全登録数は、65万6272例で、日本全体のがん罹患数の約70%に相当する。院内がん登録の集計は07年に始まり、今回で7回目。国や都道府県ががん対策を立案したり、自施設の機能や診療方針などを他施設と比較するためなどに利用されている。
男性のがんは、大腸がんが5万4601例となり、胃がん(5万2807例)を上回ったほか、前立腺がんが5万257例、肺がんが5万255例となり、それぞれ初めて5万台に達した。一方、女性の5大がん(胃、大腸、肝臓、肺、乳房)では、乳房が6万4552例となり最多で、以下、大腸(3万6929例)などと続いている。(8/3 読売新聞)


NEWS ■使い捨てカテーテル再使用。神戸大病院

神戸大学医学部付属病院(神戸市中央区)は7月30日、不整脈を治療する際に心臓内部に入れて用いる使い捨ての「電極カテーテル」を、滅菌処理して再使用していたと発表し謝罪した。厚生労働省が再使用を禁止していた。再使用した可能性のある患者は少なくとも337人にのぼるが、今のところ健康被害は確認されていない。
病院によると、循環器内科の不整脈治療スタッフらが少なくとも2010年度から、保険診療の範囲を超える本数が必要になった際に、一回きりで再使用していた。肝炎などに感染した患者に使ったものは再使用していないという。今春着任した滅菌処理の担当者が気づき、院内に調査委員会を設置して調べていた。
同科の平田健一診療科長は「保険では3、4本までしか使えず、それ以上は病院負担になる。滅菌すれば安全なので使ってしまった」と話した。病院は専用電話(078・382・6600)で患者からの問い合わせに対応する。(7/30 朝日新聞)


NEWS ■歩き方から年齢推測 大阪大、コンテンツ開発

歩き方の個性を歩幅や腕の振り方から分析し、加齢に伴う一般的な歩き方の変化と照らし合わせることで、どれぐらいの年齢の歩き方をしているかを推測する体験型コンテンツを大阪大産業科学研究所のチームが開発し、7月13日発表した。
チームの八木康史教授(視覚情報処理学)は「自分の歩き方を客観的に見ることで、健康を保つための材料にしてもらえたらうれしい」と話した。チームは、歩幅や腕の振り方、歩行速度の他、背筋の状態や頭部のサイズなどの体形を分析。幼児から高齢者まで約4000人の歩き方を調査した。その結果、一般に20代では腕の振り方が小さく、40〜50代では猫背になりやすいなど、年齢ごとの特徴や傾向をデータ化した。
コンテンツは、カメラの前で体験者が6メートルほどの区間を歩いて往復。その姿を側面から撮影し、歩き方の特徴を評価する。収集した約4000人のデータと照らし合わせることで、年齢を具体的に推測する仕組みという。(7/14 共同通信)


■次号のメールマガジンは9月10日ごろの発行です。お楽しみに。(編集人:北島憲二)


[発行]産学社エンタプライズ