エンタプライズ発信〜メールマガジン【№16】2012.7

編集子の出身は九州北部(福岡県大牟田市)です。11日からの断続的な豪雨で、近郊の柳川市や八女市では全戸に避難指示(命令)が出ました。大変な雨量のため、「これまでに経験したことのない規模」(気象庁)と象徴的な警句を初めて使用しました。例年、8月から9月にかけ、いくつもの台風が日本に上陸しています。台風による被害を最も受けやすいのは「屋根」です。 風速20mを超えると軽い屋根材や傷んだ屋根材は吹き飛ばされ、風速30m以上になると、屋根材のほか、野地板まで剥がされて一緒に飛んでしまうといったケースもあるようです。ほかに被害を受けやすい箇所として、「窓ガラス」があります。対策としては、雨戸がある場合は雨戸を閉めることが最も効果的です。またべランダのプランターも飛ばされ、通行人などに当たることがあるのでご留意を。これから増えるゲリラ豪雨も視野に入れながら、自然災害から逃れうる手立ては怠りなく。

★☆★━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━★☆★

【1】WHO『健康の社会的決定要因 確かな事実の探求』 第2版
【2】意識に基づくエネルギー療法“ BodyTalk ”
【3】CHIROPRACTIC REPORT 「法的状況の国際調査報告書」
【4】カイロプラクティック・エネルギー治療へのパラダイムシフト
【5】補完・代替医療の真贋を斬る!
【6】“連動操体法”について、ちょっとばかり…
【7】N・E・W・S
【8】ご案内『タオ人間医学』 発売へ。(New!)

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【TOPIX】
■小社刊 『タオ人間医学』が、8/2に発売見込みとなりました。ヒーリング・タオを知る恰好の基本的テキストです。 新しい情報も増え、全616pの圧巻です。


【TOPIX】
■心身条件反射療法(ニューロ・パターン・セラピー)ベイシック2を開催

6月30日-7月1日にわたって心身条件反射療法(ニューロ・パターン・セラピー)ベイシック2が、東京・日赤本部会議室で開催された。4月のベイシック1に引き続くもので、今回は新たにブレインマップを確認しながら神経学的筋バランスの調整法、筋肉エネルギーブロックの特定法、そして筋膜への持続圧のありかた、東洋医学概論(経絡)などが盛り込まれ、実技トライアルと併せ熱気の漂うセミナーとなった。心身条件反射療法は、生体エネルギーバランス(ハード面)および心身パターンや学習記憶による誤作動(ソフト面)を総合的に評価し、カイロプラクティック的振動刺激(アジャストメント)で治療を行うというもの。アクティベータ・メソッドの原理とアプローチが活かれている。


<<<連 載 ⑦ >>>
【REVIEW】

WHO『健康の社会的決定要因 確かな事実の探求』第2版

<訳:WHO健康都市研究協力センター・日本健康都市学会・健康都市推進会議>


■ 2. ストレス

ストレスの多い環境は人々を不安に陥らせ、立向かう気力をそぎ、健康を損ない、ひいては死を早めることもある。

【現 状】
社会的・精神的環境は長期にわたりストレスの要因となりうるものである。長く続く心配、不安定、自信喪失、社会からの孤立、仕事や家庭生活でのコントロールの欠如などは、健康に強く影響を及ぼす。このような心理社会的要素によるリスクはしだいに蓄積されていき、精神の健全性を欠如させ、死を早める危険を増大させている。長期間にわたる心配、不安定、希薄な人間関係などは、どのような生活レベルでも起こりうる。先進工業国における社会の下層部に位置する人々は、一層病気にかかりやすいのである。

なぜ心理社会的要因は身体的健康に対し影響を与えるのであろうか。何らかの問題に直面した時、ホルモンと神経系統の作用により、我々の身体は事態に対する備えをするために、心拍数の上昇、蓄積されたエネルギーの有効利用、筋肉への血流の増加、緊迫感の増大などの「闘争あるいは逃避反応」が引き起こされる。
現代の都市生活からくるストレスそのものは、適度な、あるいは活発な身体的行動を必要とはしないが、ストレスに対して反応することは長期にわたる健康維持に重要な意味を持つ多くの生理学的な過程からエネルギー源を奪い取ることになる。心臓血管系と免疫機構の双方とも影響を受ける。短期間であるなら、影響は深刻ではない。しかし長期にまたは頻繁にストレスにさらされると人は、感染症、糖尿病、高血圧、心臓発作、脳卒中、うつ病といった病気にかかりやすくなり、あるいは攻撃的になる。

【提 言】
医学上、ストレスによる体調の変化は、薬でコントロールすることはできる。しかし、それ以前に、慢性的なストレスの根本要因を減らすことに着目すべきである。

・学校、職場、その他の社会組織などにおける社会環境・安全対策は、物理的環境対策と同じくらい重要である。人々がそれぞれの組織の一員であるとの自覚を持ち、自らの存在価値を感じることができる社会は、人々が疎外され、無視され、使われていると感じる社会よりも健康水準が高い。
・行政は、福祉事業において、心配と不安定の原因になっている心理社会的ニーズと物質的ニーズの両方を満たす必要があることを認識すべきである。特に乳幼児を抱えた家庭へのサポート、地域活動の奨励、社会的孤立の解消、物質的・経済的な不安定の軽減、教育による健康への意識の改善、さまざまな社会復帰などの施策を推進していく必要がある。
(次号につづく)


◆◆◆ ③ ◆◆◆

『 意識に基づくエネルギー療法 “ BodyTalk ” 』

…… 今 田  泰(IJBA東日本支部 支部長)……


前回はBodyTalkの施術について述べた。今回は「優先」という考え方について述べていく。

〜「症状」と「優先」〜

治療家の皆様はクライアントの持つ症状が複数ある場合、何から手を付けていくだろうか。
BodyTalkの施術においては治癒の順番というのが重要な要素となる。
この概念の解説には以下の例を挙げよう。

・内科医を訪れ、胃痛を訴え、制酸剤を処方された男性
・カイロプラクターに腰部の痛みを訴え、腰椎の調整を受けた男性
・カウンセラーを訪れ、抑うつ感を訴え、カウンセリングを受けた男性
・薬草療法を訪れ、倦怠感を訴え、解毒のためのハーブを処方された男性

そしてこれらの男性が同一人物であったという事実。
こういったことは珍しいことではないであろう。ただし、珍しくないからと言って理想の姿とは限らない。
通常、治療家は自分の専門分野というフィルターを通してクライアントに接することになる。したがって腰椎の専門家であれば腰椎に不具合を見つけるであろうし、心理の専門家は感情や認知の問題を見つけることになる。しかしそれが果たして本来手をつけていくべき最優先箇所なのか。
腰椎の調整をする前に感情のアンバランスを整える必要があるかもしれないし、その逆のケースもあろう。時にはこの順番を誤ることによって起こるヒーリング・クライシスに直面することになる。症状の悪化や問題をこじらせてしまうことがそれである。
腕のいい治療家ほど、どの箇所から手を付けていくのがふさわしいか理解していることであろう。

〜BodyTalkにおけるバランスの手順〜

多くの場合、症状や疾患というのは氷山の一角に過ぎない。その裏に潜む本当の原因は、様々な要因の組み合わせである。種々のストレス要因、有害物質、感情のアンバランス、そのほか私たちが気づいていない他の多くの要因が組み合わさったものが症状として表面化しているだけなのである。
近年の医学の発展は、私たちに“人体がいかに精妙なバランスを保っているか”を教えてくれている。しかし私たちは体に「こう治すべき」という先入観を持ってアプローチしてはいないだろうか。
治療家がこの精妙なバランスの、莫大な複雑さを完全に理解しようとしても不可能である。そのような驚異的なことができるのは、人智をはるかに超えた自己調整機能を持つ、インネイトウィズダム(天生の知恵)だけなのであるから。
BodyTalkでは、このインネイトウィズダムに神経-筋バイオフィードバックによってバランスをとっていく優先順位や、裏に潜む要因の関係性を尋ねていくのであり、この「優先」という考え方を重視したシステムになっているのである。 (次号へつづく)


■□■□CHIROPRACTIC REPORT □■■□

『カイロプラクティック業務に関する法的状況の国際調査報告書』(8)


5. 2. 磁気共鳴映像法(MRI)

MRIに関する回答では、
a) 3か国ですべての権利(撮影、依頼、読影)が認められている。
  ケイマン諸島、香港、アメリカ(すべての権利を求めている州と、撮影依頼と画像診断のみ認めている州がある)
b) 10か国で撮影依頼と画像診断する権利(撮影指示と読影のみ)が認められている。
  ブラジル、コロンビア、キプロス、デンマーク、ホンジュラス、イラン、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイス、ウガンダ
c) 3か国で撮影依頼の権利のみ(指示はできるが読影はできない)が認められている。
  レバノン、フィリピン、アラブ首長国連邦

上記に挙げたうち5か国はカイロプラクティック業務を規制する法律がないため、その他の法律また/もしくは一般法規のもと撮影依頼と画像診断の権利が与えられている。
要約すると、
・カイロプラクティック業務が法律で管理されている29か国中20か国(69%)で、カイロプラクターが単純X線の撮影依頼をする権利を持っている。
・カイロプラクティック業務が法律で管理されている29か国中11か国(38%)で、カイロプラクターがMRIの撮影依頼をする権利を持っている。
・29か国中18か国(62%)と大多数の国々ではMRIの撮影依頼の権利を認めていない。オーストラリア、カナダ、イギリスなど業界がかなり成熟している国々が含まれる。このアンケート調査では理由を聞いていないが、理由の一つとして政府と民間保険会社の原価管理対策が挙げられる。

5. 3. 診断用超音波

診断用超音波に下記の回答がある。
a) 29か国中7か国(24%)ですべての権利(撮影、依頼、読影)が認められている。
  ケイマン諸島、デンマーク、香港、日本、ノルウェー、アメリカ、ジンバエブ
b) 5か国で撮影依頼と画像診断する権利(撮影指示と読影のみ)が認められている。
  ブラジル、コロンビア、ホンジュラス、イラン、南アフリカ
c) 5か国で撮影依頼の権利のみが認められている。
  キプロス、レバノン、ニュージーランド、フィリピン、アラブ首長国連邦

要約すると、カイロプラクティック業務が法律で管理されている29か国中13か国(45%)で、診断用超音波を撮影依頼する権利が認められている。いくつかの規制がない国々でもカイロプラクターは認められている。(次号につづく)

(資料提供:日本カイロプラクターズ協会 URL:www.jac-chiro.org


<<連載・第16話>>

カイロプラクティック・エネルギー治療へのパラダイムシフト

       保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


カイロプラクティック矯正の
治療メカニズムの解明

カイロプラクティックのアジャストメント、矯正とはいったいなんだろうか? その矯正治療効果のメカニズムのことが当たり前のように語られているようで、語られていないし、あまり研究もされていないという事実がある。文献においてもカイロプラクティック矯正治療効果のメカニズムについての客観的な説明は、いまだにほとんど行われていない。
高い可能性をもつとされているその治療メカニズム説では、変位椎体の矯正(リアライメント)、脊柱関節のモビリゼーション、そして反射経路を利用した背筋の緊張緩和、呼吸バースト(respiratory burst)の誘導、関節内の瞬間的空洞化(キャビテーション)、関節間隙の瞬間的増幅、炎症性因子の体内への解放、および構造上機械的刺激に過敏な求心性体性神経回路の同時活性化などが挙げられている。
カイロプラクティックの徒手矯正治療法には大きく分けて、背骨や四肢への徒手療法として、アジャストメント、マニピュレーション、ならびにモビライゼーションという表現がある。その説明は、それぞれのカイロプラクティック大学によって異なるようだ。米国パーマー大学で教育を受けた筆者のカイロプラクティック徒手矯正治療法に対する解釈は次のとおりである。
まず、アジャストメントとは、脊椎の特定の場所に対し、特定の方向へ、すばやくスラスト(突く力)を加える矯正法で、限局性が重要視される。一方、マニピュレーションとは、複数の脊椎に対して、複合された方向へのスラストを加える矯正法、そしてモビライゼーションとは、特定あるいは複数の脊椎分節に、より緩慢な振動性の動きを非特定的に加える治療法である。
現在、多くのカイロプラクターは、カイロプラクティック徒手矯正治療法をより効率的に行うために、ドロップテーブルや、手に代わる矯正補助器具を使っている。最近では、コンプレッサーの圧力を利用した治療器具や、電動矯正器具も増えてきているが、アクティベータ治療器のような手動の矯正補助器具は、30年以上も前から進化を遂げながら使われ続けてきている。治療器具の仕組みの多くは、バネ仕掛けによって弾き出された金属ハンマーが他方の金属を叩くメカニズムになっており、その衝撃によって物理的位置エネルギーが繰り出される仕組みになっている。 (次号につづく)


補完・代替医療の真贋を斬る!【連載⑮】

   長谷川淳史(TMSジャパン代表)
***** ***** ***** ***** ***** ***** ***** *****

アガリスクの費用対効果

アガリクス自体は1万円ほどから出回っているようだが、サプリメントとして商品化されたものの大部分は1ヶ月分10万円、あるいはそれ以上の価格で販売されている。有効性を示す根拠がまったくないにも関わらず、350億円市場を築くまで 飛ぶように売れたのは、典型的なバイブル商法だったからである。
1994年に発刊された『1日5グラムこの茸を飲んでいればガンは怖くない』を筆頭に、これまで『即効性アガリクスで末期ガン消滅!』『証明された!ガンに克つアガリクス茸の驚異』『ガンが消えた!治った! 101人の証言』『ガン・「飲んだ、効いた、助かった!」』『なぜ、アガリクスはガンに一番効くのか』『ガン臨床医も実証した「超吸収アガリクス」の威力』『ガンが消えた!臨床医の証言』などといった書籍が120 冊近く出版されている。
これだけの書籍点数に加えてマスコミ広告で大々的にキャンペーンを展開されれば、アガリクスはがんに効果があると考えても当然だろう。サプリメントに懐疑的な者でも心を動かされるのではないだろうか。いわんや、藁をもすがりたい思いのがん患者においてをやだ。
しかし、東京国税局は2002年1月、書籍を利用してアガリクスの売り上げを伸ばしていた健康補助食品販売会社を脱税容疑で告発し、経営者らが実刑判決を受けることになる。さらに2005年5月には、警視庁が書籍でアガリクスを宣伝していた複数の出版社と健康補助食品販売会社を家宅捜索し、薬事法違反(未承認医薬品の広告・販売)容疑で6人を逮捕した。
この一連の事件で明らかになったのは、書籍の内容にある体験談はすべて、1冊60-70万円の報酬で執筆したフリーライターが、図書館などで調べた症例を参考にでっち上げた架空のものだったことである。また、監修にあたった東海大名誉教授も「薬学やがん治療については門外漢」と認め、「表現や語句をチェックしただけで、データや証言内容の真偽は確認しなかった」と述べているから驚きだ。

「溢れる根拠なき情報と宣伝文句」

われわれはこの事件を教訓にすべきである。いくらプラシーボ効果が期待できるとはいえ、有効性が証明されていないものに大金をつぎ込むのは馬鹿げている。もし本当にアガリクスに抗がん作用があるのなら、大手製薬会社が黙っているはずがない。特許を取ってしまえば3兆円規模の抗がん剤市場を独占できるからだ。
これは何もアガリクスに限ったことではない。店頭やインターネットでは、即効性や過剰な効果を謳った根拠のないサプリメントで溢れかえっている。抗酸化ビタミン剤の有害性が徐々に明らかになりつつある今日、水にでさえ致死量があることを常に念頭に置き、インパクトのあるキャッチコピーや誇大広告に飛びつくことなく慎重に判断しなければならない。 (次号につづく)


【連載コラム】

“連動操体法”について、ちょっとばかり… (16)

       根本 良一(療動研究所主宰)


あるとき、仙台の橋本敬三先生の治療を長く受けたという人が来院した。いろいろ話すうちに、「橋本先生の治療には型がない。足にかけた手はしょっちゅう動いている。で、あるところで、ストン!と脱力させられる。それでラクになる。ほかの先生はそうではなかった」という話を聞いた。
“千の風になって”宇宙を飛び回っておられる橋本先生に聞けるはずもないが、おそらく「手をセンサーにして即リアクターに」という神技に近い開祖の技法であったのだろう。
筆者もいろいろな機会に試してみた。あるときには足首の背屈動作に手をかけて、左右に揺さぶってみると(他力)、ある一方で抵抗をやや強く感じることあった。スーッといくと、イヤッというそぶりを示す力があるのだ。そこで、
1) 強く行うとわからなくなる。弱くやってみる。
2) 二度三度と繰り返すとわかりにくくなる。一度で読み取らないといけない。
3) この足の動きに補助動作を加えてみたらどうだろう。つまり腰から上、上体の捻りである。これが足先の動きをさらに大きくし、よく連動できる動きになる。

以上のことがわかった。このように行うと、腓腹部から膝裏の緊張が一度で解消できる。しかも椅子に座ったままでもできるので、膝が痛い、足が攣れるというときでも有効となる。

話を戻すが、この「動きたくない」という感触は何だろう?  複数の筋の中での歪みの存在、分布、例えば足関節と足指の背屈動作に関わる筋、あるいは膝関節の動きまで関わる2関節筋の由縁かということになる。しかしいずれにしても、操体法では「動きたい方」という選択で良いと思う。臨床の現場では、現象が先にあって、説明、理由づけがあとになってついてくることがある。これは使って大変役に立つことが往々にあることの一例だと言える。(次号につづく)


*** N *** E *** W *** S ***



NEWS ■医療・介護、20年に50兆円の新市場 - 政府原案


政府は7月11日の国家戦略会議(議長=野田佳彦首相)で、2020年までの成長戦略となる「日本再生戦略」の原案を示した。11分野で計38の重点施策を打ち出しており、医療・介護を含む「ライフ成長戦略」では、約50兆円の新市場、284万人の新規雇用を創出することを目標に掲げた。
ライフ成長戦略の重点施策は、▽革新的医薬品・医療機器創出のためのオールジャパンの支援体制、臨床研究・治験環境などの整備▽医療機器・再生医療の特性を踏まえた規制・制度などの確立、先端医療の推進▽東北発の次世代医療などの実現▽介護・福祉分野などにおけるロボット技術の研究開発・実用化促進と、医療・介護等周辺サービスの拡大―の4つ。
介護・福祉分野におけるロボット技術の研究・開発では、ものづくりの高度な技術がある大学や民間研究機関、企業などと、現場の連携を促進し、研究・開発と実用化のための環境を整備する。=一部を抜粋=(7/12 医療介護CBニュース)


NEWS ■精神科への入院、原則1年以内に…厚労省が方針


厚生労働省は6月28日、精神科への入院を原則1年以内とする方針を決めた。入院治療の必要性がない患者を早期に退院させ、地域で暮らせるようにするのが狙い。退院支援に携わる精神保健福祉士らを配置するなどの取り組みを、早ければ来年度から始める。
国内の精神疾患による入院患者は約33万人(2008年)で、約22万人が1年以上の長期入院だ。10年以上の入院も7万人を超える。統合失調症が多いが、近年は認知症も増えている。
入院期間を短縮させるため、発症間際で症状が激しい患者に対応する医師の配置基準を、現在の3倍と一般病院並みに増やす。精神保健福祉士や作業療法士など、退院支援に当たる専門職も置くようにする。(6/29読売新聞)


NEWS ■和漢薬データベースが好評。富山大学の研究所


富山大学和漢医薬学総合研究所(富山市)がインターネット上に開設した和漢薬のデータベース「和漢薬ウィキ」が好評だ。各分野の専門家が記事を掲載し、和漢薬全体を網羅しているのが特徴で、アクセス数は約1年半で12万超に。田中謙准教授は「和漢薬のことならここを見れば分かると認知されるようなデータベースにしたい」と意気込む。
国立大で唯一、漢方薬をはじめとする伝統医薬の研究に取り組む同研究所。所長の済木育夫教授は「皆に効く薬を良いとする西洋医学と異なり、同じ病気でも体質や状態によって処方する薬が違う『個の医療』であることが東洋医学の特徴だ」と話す。
和漢薬ウィキは専門家から一般の人まで、幅広いニーズに応えられるデータベースを目指しており、現在はニンジンやカンゾウなどの「生薬」182種類と、生薬を組み合わせた「方剤」の348処方を掲載。生薬の原料や薬効も調べることができる。(6/28共同通信社)


NEWS ■横断用信号機の時間設定は短すぎる…高齢者


多くの横断歩道に自動信号機が設置されているが、ほとんどの高齢者は、設定された歩行者横断時間内に道路を渡りきる速度で歩けないことが、英国の新しい研究で明らかになった。
医学誌「Age and Ageing(年齢と加齢)」 6月14日号に掲載された研究で、英ロンドン大学(UCL)のLaura Asher博士らは、英国健康調査(HSE)に参加した65歳以上の高齢者の平均歩
行速度と、設定された歩行者横断時間で道路を渡るのに必要な速度を比較した。この必要速度は、英国や世界の多くの国で4フィート(約1.2m)/秒とみられている。
研究の結果、高齢男性の平均歩行速度は約3フィート(約0.9m)/秒、高齢女性では2.5フィート(0.76m/秒)であった。加齢に伴い、歩行速度は低下した。全体では男性の76%、女性の85%で、歩行速度が必要速度よりも遅かった。また、男性の84%および女性の93%に歩行障害がみられた。
Asher氏は「高齢の歩行者は若年者に比べて歩行速度も意思決定も遅く、知覚障害があるため、道路交通事故に巻き込まれる可能性が高い。また事故に遭った場合、その損傷により死亡する可能性も高い。コミュニティ(地域社会)は、横断時間を延長することを検討する必要がある」と述べている。


NEWS ■25%が重いトラブル経験。インプラントで歯科医調査


あごの骨に人工歯根を埋めて人工歯を付けるインプラントを実施している歯科医の4人に1人は、治療した患者に神経まひなどの重い症状が起きた経験のあることが、日本歯科医学会の調査で6月24日分かった。
調査は、厚生労働省の委託で3月に実施。日本歯科医師会の会員千人に昨年1年間の治療実績などを尋ねる調査票を配り、423人が回答した。
自らインプラントを実施しているのは289人で68%だった。このうち、治療後に患者が重い症状を起こした経験があるとしたのは25%。内容は神経まひ、鼻の横にある空洞の炎症やそこへの異物の侵入、異常出血の順に多かった。ほかの歯科医が治療した後のトラブルを経験した歯科医も約9割に上った。内容はインプラント周囲炎、人工歯の破損、インプラントのぐらつきが多かった。
インプラントは症例により難易度が大きく異なり、歯科医の経験数もさまざま。調査を担当した栗原英見広島大教授は、結果は症例数に占める割合ではないことを強調した上で、「素晴らしい治療法であり、安全な治療指針と、それが守られる仕組みをつくりたい」と話している。(6/25共同通信社)


NEWS ■「羊が1匹…」では眠れない? 日本語だからという理由


「羊が1匹、羊が2匹……」と数えると早く眠れるというのは本当か。
広島国際大学の田中秀樹教授(精神生理学)らが大学生を使って実験したところ、腹式呼吸のほうが効果的という結果が出た。6月29日に横浜市で開かれた日本睡眠学会で発表した。
田中教授らは、眠くない状態の大学生14人を昼間に眠らせる実験を行った。それぞれの学生について、羊を数えることと、鼻から吸った空気を口から吐く腹式呼吸の2通りで実験した。その結果、まどろんだ際に出る脳波が表れるまでの平均時間は、羊を数えたときは14分4秒。それに対し、腹式呼吸は9分32秒と短かった。実験を行った20分の間に3分以上継続する眠りまで至ったのは、羊を数えた場合の5人に対して腹式呼吸は9人と約2倍だった。
田中教授は、英語なら、「シープ(羊)」という発音を繰り返せば自然に腹式呼吸になることもあるが、日本語の「ひつじ」だとそうはならないと指摘。「日本人には単調な雨音やせせらぎ、電車に揺られる音を聞く方が効果的ではないか」と話している。(6/24 読売新聞)


NEWS ■機嫌が悪い、起きない…中学生の7割、睡眠に問題


歯ぎしり、いびきや目覚めた時の機嫌の悪さなど睡眠に関する何らかの問題を抱える子どもは、中学生で約7割にのぼることが厚生労働省研究班(分担研究者=三島和夫国立精神・神経医療研究センター部長)の調査で明らかになった。朝の目覚めの悪さも目立ち、背景には夜更かし傾向があるものとみられる。6月28日、日本睡眠学会で発表した。
研究班は2009年12月、北海道、秋田、富山、長野、埼玉など全国10道県の148小学校、71中学校に調査票を郵送し、2010年4月に回収した児童生徒2万5211人のデータを分析した。歯ぎしり、いびき・呼吸停止、目覚めの機嫌が悪いといった23項目のいずれかについて、あてはまる頻度を保護者らに尋ねたところ、週2回以上と回答したのは小学生で59.4%、中学生では69.3%に上った。週5〜7日は小学生で29.1%、中学生では36.6%だった。
中でも、「目が覚めた時に機嫌が悪い」、「寝床からなかなか起き出せない」など、朝の目覚めに関する5項目のいずれかが週2回以上みられるのは、小学生の42.0%、中学生の43.3%。就寝時間が午後10時以降の小学生は35.6%、中学生は94.0%だった。(6/24読売新聞)


NEWS ■肥満は地球の脅威」=人口爆発に匹敵 ― 英論文


人類の肥満化が米国民と同じペースで進行すれば、9億人以上相当の新たな食料需要が生じ、限られた地球の食料資源に重大な脅威となる。ロンドン大学衛生学熱帯医学大学院の研究チームがこんな警告を盛り込んだ調査論文をまとめ、6月18日、米電子ジャーナル、BMCパブリック・ヘルスに掲載された。
地球資源への主な脅威として、アフリカなど第三世界の人口爆発が指摘されるが、論文は、先進国にまん延する肥満も深刻であるとの見解を示している。
論文によれば、体重が重くなれば、食料から摂取するエネルギーの必要量も増大する。すべての国が米国並みの肥満者の割合になると仮定すると、平均体重の人に換算して世界全体で人口が9億3500万人増える計算になり、それだけエネルギー源が必要になる。研究チームは、2005年時点の世界の15歳以上の人口は推定46億人、平均体重を62キロとはじき出している。(6/19 時事通信)


NEWS ■認知症の在宅支援強化へ、厚労省が新対策


厚生労働省は6月18日、急増している認知症の新対策を発表した。家族を含めた早期からの在宅生活支援が柱で、精神科病院などへの長期入院を防ぐのが狙いだ。
今夏にも5か年計画をまとめ、早期診断など初期対応の強化や地域での生活を支える取り組みなどを進める。対策の目玉が、発症間もない高齢者宅を訪問する「初期集中支援チーム」。看護師、保健師、作業療法士などの専門職からなり、本人や家族が在宅生活を円滑に続けられるよう、早い段階で準備する。医療面では、徘徊、暴力などの症状が激化した際に、自宅や介護施設へ往診する「身近型認知症疾患医療センター」を創設する。
このほか、薬の過剰投与などで悪化するケースもあるため、薬物治療の指針を、1年以内に作る。働き盛りで発症し、経済的な負担も重いとされる、若年性認知症の支援ハンドブックも今年度内に作成する。(6/19読売新聞)


NEWS■統合医療大学院大の新設不可


文部科学相の諮問機関「大学設置・学校法人審議会」は6月18日、来春開設予定の「統合医療大学院大学」(東京都新宿区)の新設を「不可」とするよう平野文科相に答申した。
しかし回答は「準備不足」との判断がでた。大学新設に不可の答申が出るのは10年間で4例目。答申を受け、平野文科相は正式に開設を不認可と決めた。
同大は、西洋医学と漢方などの補完代替医療を組み合わせた「統合医療」を担う人材育成を目的としていたが、同審議会は、教育課程が体系的に編成されていない点などを指摘。通常、審査は秋まで続けるが、2009年度に導入した「早期不可」制度を初適用し、書類審査のみで打ち切った。
学長に就任予定の生命科学振興会の渡辺昌理事長は、「統合医療を担う人材養成は必須であり、仕切り直したい」と話している。(6/18読売新聞)


◆◆ ご案内 ◆◆
◎ 『タオ人間医学』は8月2日の発売予定となりました。大変お待たせしました。ご予約をちょうだいしている皆さまには随時e-mailにてご案内いたします。


■次号のメールマガジンは2012年8月10日ごろです。お楽しみに。


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