エンタプライズ発信〜メールマガジン【№12】2012.3

3.11が甦ります。1年前の当日は車で倉庫からの帰路で、運転中にハンドルが取られ前輪がパンクしたか? と思い、軌道を修正しようとしましたがどうも違う、ふと電線を見上げたら揺れている揺れている、地震か! と初めて気づきました。すぐに路肩に止めましたがスーパーの前では店から出てきた人たちが驚きとともに不安げに肩を抱き合う姿が…。幸い都心から離れているので渋滞の弊害は大して生じませんでしたが、その約30分後にまた強い揺れ。再び路肩に停車。電信柱が倒れたら交通はどうなるんだ? と慄きながらも徐行で再スタートして帰宅はしたものの家は停電と断水。急いで近所のスーパーへ水と電池の確保へ。幹線道路は歩いて帰宅する多くの人たちで非日常的な風景に変貌していました。その頃は夕暮れて、信号機が機能していないため渋滞おびただしい車のヘッドライトとテールランプの赤が路上を埋めてしまって、何とも異様な薄闇の現実に顔がこわばってしまったことを思い出します。
早いもので、というと他人事に聞こえますが、3.11から1年がたちます。放射能流失の忌々しさも忘れてはなりませんが、凄惨な地震被害地から離れて首都に暮らしているとややもすると日々の忙しさに流されて大災害の恐怖が薄らいできたりもしますが、1年前の教訓を自戒して防災と自己保全の方途を再認識する機会にしたいものです。

★☆★━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━★☆★

【1】<TOPICS>
 *コーチング・セミナーが開催される—保井DCが主宰
 *エネルギー医学のDr.オシュマンが3/20来日
 *2012アクティベータメソッド・セミナー
 *BOOK REVIEW『実用推拿療法』孫維良・監修
【2】WHO『健康の社会的決定要因 確かな事実の探求』第2版
【3】CHIROPRACTIC REPORT「法的状況の国際調査報告書」
【4】カイロプラクティック・エネルギー治療へのパラダイムシフト
【5】補完・代替医療の真贋を斬る!
【6】“連動操体法”について、ちょっとばかり…
【7】N・E・W・S
【8】ご案内『タオ人間医学』の制作遅延について
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【Information】

J.オシュマン著『エネルギー医学の原理』が2月22日、再販売を開始しました。生体エネルギーを知るうえで貴重な文献・情報が盛り込まれています。ヒトとエネルギーの関係をきわめて科学的に検証した秀逸の1冊です。弊社HPからどうぞ。 http://eppub.jp


【Topics】

◆コーチング・セミナーが開催される—保井DCが主宰◆

世界最大のコーチ団体ICC(国際コーチング・コミュニティ=本部:英国)認定トレーナー保井志之DC(ドクター・オブ・カイロプラクティック)が主宰する国際コーチ養成講座が、2月10日から3日間にわたって開催された。

コーチング (coaching) とは、クライアントが望んでいる方向へ変化し自己実現できるよう助けること。すなわち最高の自分になれるようにすべてのレベルでサポートすることである。医療系においては、身体的健康、メンタル的健康、組織的健康、社会的健康を考える上でとてもパワフルなツールになると言われている。その場合、健康面だけではなくクライアント (例:患者) の人生の様々な局面(個人と職業、健康と人間関係)において関与する。多くの場合、仕事が人生の上で重要な部分になるので、コーチはその支援も行う。そのためクライアントの生活のあらゆる側面に対処するための訓練を熟知しようというのが講座の中心となる。

会場では2012年度のモジュール2の講義が行われ、クライアントの自己表現に耳を傾け、自分自身の視点を保ち、クライアントの感情に巻き込まれることなくクライアントの様々なメッセージを評価し識別する管理方法や、発見と行動を引き起こすパワフルな質問のハウトゥなどがグループシェア形式で行われた。 1年完結式でモジュール4まで全10日の講座が用意されている。


【Topics】

◆エネルギー医学のDr.オシュマンが3/20来日◆

小社刊の『エネルギー医学の原理』の著者Dr.ジェームズ・オシュマンが来日し、エネルギーが医療にもたらす効果や健康への要訣などについて講演する。場所は福岡県久留米市と遠方だが、九州や関西の方は比較的行動しやすいと思われるので参加されてはいかが。概要は以下のとおり。(主催:NPO法人太陽文化振興会)

“ジェームズ・オシュマンほか講演会”

「太陽があなたの健康にもたらす100の恩恵」をキーワードに、太陽や大自然が放つエネルギーが身近な「くらし・健康」や「医療」にもたらす効果を米国からふたりのスペシャリストをお招きし現在の科学を超えて、わかりやすく証明していただきます。
・日時 3月20日(火・祝日)12:00開場 12:30開演
・場所 ホテル マリターレ創世(久留米市東櫛原町 TEL 0942-35-3511)

◎12:30〜15:00/ジェームズ・オシュマン博士
演題「太陽のスピリチュアルな科学」
◎15:30〜17:00/ジーン・サヴォイ・ジュニア氏
演題「光の黄金時代の幕開け」
◎チケット 前売券5,000円(当日券6,000円)
◎懇親会(お食事・ソフトドリンク付)17:30開始 会費:5,000円 ※要予約

※詳細は http://arsartis.juno.bindsite.jp/sol/まで。


【Topics】

◆2012アクティベータメソッド・セミナーが開催◆

1月の福岡セミナーを皮切りにアクティベータ・ネットワーク・ジャパン(ANJ)は2月26日から2日間にわたって東京セミナーを開催した。
会場となった浜松町・味覚糖UHA館には約50名の臨床家が参加、ベーシックグループとインターミディエイト/アドバンスグループに部屋を分け、前者はアクティベータメソッドの検査・評価法の座学と中核となる下肢長検査の実技を行い、後者は体幹・四肢・TMJの神経関節機能障害の評価とアジャストメントほかに取り組んだ。2日目午後は合同で「術前術後の評価報告の方法」および「新患への対応」をテーマに講座が組まれた。

次回の開催は5月20日(日)-21日(月)の予定で大阪市にて行われる。

◆BOOK REVIEW

“ポケットマニュアル『実用推拿療法』〜部位別手技の基本手順”
  孫維良・監修(東京中医学研究所・刊)

小社刊『内科の推拿療法』の著者でもある孫維良先生が製作した臨床向けポケットマニュアル。推拿は中国の伝統的治療法。圧痛点周辺の経穴に対し押す、さする、揉む、叩くなど幅広い手技手法がある。
本書では、体幹・四肢の部位別に適応症・施術ポイント・経穴の指標を示し、手技テクニックの要点を記してあり、手軽な指南書になるようコンパクトな製作に努めている。10.5cm×18cm。定価1,000円(税込)。お問合せは 東京中医学研究所

【訃報】
竹谷内一愿先生(東京カレッジオブカイロプラクティック副校長) 2月22日永眠

<昨夏のビアパーティでお話ができたこと、また同時期、小社の田中顧問と北青山のクリニックにお訪ねしたのが最後になりました。かえすがえすも残念な訃報に接し、これまでの事績に思いを馳せています。ごゆっくりと永眠されることを心より願っております。>


<<< 連 載 ③ >>>
【REVIEW】

WHO『健康の社会的決定要因 確かな事実の探求』第2版

<訳:WHO健康都市研究協力センター・日本健康都市学会・健康都市推進会議>


はじめに INTRODUCTION

最も裕福な国においてでさえ、低所得者は高所得者に比べて寿命が短く、疾病頻度は高い。このような健康格差は重大な社会的不平等であるだけでなく、科学的見地から現代社会における健康水準に最も強く影響を与えるいくつかの要因に注目を集めるきっかけを作ってきた。
こうした格差は、特に社会的環境に対する注目すべき健康に対する関心を増し、健康の社会的決定要因として知られるようになったものを導き出している。

本冊子は、公共政策分野に関連がある、この新しい認識の最重要部分を概説したものである。取り上げられた10テーマは、幼少期における健康の決定要因の生涯にわたる重要性、貧困、薬物、労働条件、失業、社会的支援、良質の食品ならびに交通政策の影響を含んでいる。

背景を説明するため、まず健康に対する社会的格差について検証し、続いて心理学的あるいは社会的影響が身体の健康と寿命にどのように作用するのか述べる。
どのケースにおいても、主眼はよりよい健康を得る一助になるという観点から社会的環境を形成する公共政策が果たす役割に置かれている。行動的な要因(養育、栄養、運動あるいは薬物乱用といったものの特質)を考えるのか、あるいはより構造的な点(失業、貧困、就業経験)を見るのか、それぞれに応じて主眼が置かれている。各章の冒頭には調査に基づく、最も信頼のおけるものとして確立した要約があり、公共政策との関連を示す項目が箇条書きにされている。参考文献も各章の末尾に載せてある。根拠についての充分な検証は「健康の社会的決定要因」(Socialdeterminants of
health: Marmot M, WilkinsonRG eds. Oxford, Oxford University Press,1999)にある。これは「健康の社会的決定要因 確かな事実の探求」第一版と同時に準備されたものである。

いずれの出版物にも多くの分野での最先端を行く研究者のご尽力をいただき、その専門性を活かし、多くの時間と労力を費やして、この2冊のそれぞれ異なる章を起草していただいた。多くはロンドン大学ユニバーシティカレッジの国際保健社会センター(International Centre for Health and Society at University College London)
の関係者であった。

(次号につづく)


■□■□CHIROPRACTIC REPORT □■■□

『カイロプラクティック業務に関する法的状況の国際調査報告書』(4)


2.2.1 定義の実例

法律の定義については内容と詳細に大きさに関してかなりの違いがある。法律が制定された当時の時代背景や環境が異なるためである。そのうちのいくつかを挙げてみる。

a)カナダ、プリンスエドワード島(1968年):
カイロプラクティックは体の関節および部位をアジャストする科学および技術の治療体系である。薬物や外科手術を用いずに神経の妨げを取り除く目的で特に脊柱に注目する。

同(2003年):
「カイロプラクティックの業務」はカイロプラクターによって通常行われるプロフェッショナル・サービスの提供である。薬の処方や外科手術を用いずに、関節マニピュレーション、ほかの手技療法、運動療法、患者教育を含む方法で神経筋骨格系の生体力学的障害を予防、診断、治療する。

b)キプロス(1991年):
「カイロプラクティック」は薬や外科を用いずに人体の脊柱や他の関節へのカイロプラクティック・アジャストメントとマニピュレーションを行う自然療法である。健康の回復と維持、正当な手順に従う分析器具の使用、治療法の適応と診断手順が含まれる。

c)デンマーク(1991年)
カイロプラクティック業務は、診断、予防、そして脊椎、骨盤、四肢の生体力学的障害の治療を含む。

d)香港(1993年):
「カイロプラクター」… 特に脊柱と骨盤を含む四肢関節に対しての関節マニピュレーションを用いることで人体の機能障害の予防、診断、治療の臨床行為を含めたカイロプラクティック業務を修得して資格を得た者。

e)イラン(2001年):
カイロプラクティック…脊椎と関節の調整とバランスの科学。
(次号につづく)

(資料提供:日本カイロプラクターズ URL:www.jac-chiro.org


<<連載>>

カイロプラクティック・エネルギー治療へのパラダイムシフト<第12話>

    保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


生体外との因果関係も改善されて
初めて良い結果が得られるという現実

筆者自身も開業当初から心と身体の関係性、生体内ハード面と生体外ソフト面との関係性にまで及んで治療を施してきたわけではない。臨床経験を蓄積する過程において、「サブラクセイションとはいったいなんぞや?」と生体内ハード面だけのサブラクセイションの分析に徹底的に集中し、生体外ソフト面との影響によるエネルギーブロックの検査分析までには踏み込んでいない時期があった。しかしながら、臨床現場において、本質的原因に対する様々な研究を積み重ねていると、生体外ソフト面までの検査治療を施さないと本質的な治療とは言いがたいということが明らかになってきた。

生体内だけの原因にとどまらず、生体外との因果関係も改善されて初めて良い結果が得られるという現実が見えてくると、治る患者と治りにくい患者の本質的原因も見えてくる。大局的に考えてみれば、患者の様々な障害を生物学的レベルだけで捉えて心理学的レベルの検査分析治療を行わなければ、治療の適応範囲も狭くなるということはいうまでもない。

長谷川淳史氏の『腰痛は<怒り>である』という本が7年ほど前に出版された。近代医学の情報に慣らされている一般の人や機械論的思考の医療従事者は、その題名だけで首を傾げるかもしれないが、ファミリーカイロプラクティックセンターの臨床現場では至極もっともな題名であり、腰痛患者の第一原因であるソフト面の検査をする際、感情のストレスが絡んでない人に遭遇するのは珍しいといえる。このことは腰痛だけに限っておらず、その他の関節痛、筋骨格系に生じる症状の第一原因には感情ストレスが絡んでいることが多いことから、当センターでは様々な症状を抱えた患者のほとんどに、感情のストレス解放治療をAMCTと合わせて施すようにしている。

エネルギー治療のキーワードは
「情報」=「エネルギー」=「物質」

D.D.パーマーが語る本来のカイロプラクティックは、生体外ソフト面までの治療、つまりUniversal Intelligenceにまで及んだサブラクセイション治療のことを言っているの
ではないかと筆者なりに解釈している。しかし、多くのカイロプラクターは、「いやカイロプラクティックはサブラクセイション(生体内ハード面)だけで、精神的ストレスや環境ストレス(生体外ソフト面)などの治療にまでは及ばない。そのような治療行為は、カイロプラクティックではない」と主張するかもしれない。

カイロプラクティックの業務も、生体内のInnate Intelligenceを阻害するサブラクセイションだけでなく、生体外ソフト面のUniversal Intelligenceを阻害するサブラクセイションにまで幅を広げると、カイロプラクティックの幅はさらに広くなる。そして、カイロプラクティックもいわゆる“エネルギー治療”の一環であるという概念が見えてくるのではなかろうか。
(次号につづく)


補完・代替医療の真贋を斬る!【連載⑫】

   長谷川淳史(TMSジャパン代表)
***** ***** ***** ***** ***** ***** ***** *****

世は空前の健康食品・サプリメントブームである。軽微な効果のあるものから禁忌の危ういものまである。この号からは著名な品種に対する“信仰”の真贋について注目してみる。

「アガリスク」

免疫力を高め、がんの進行を遅らせ、がん患者の生存率を高めるといわれ、わが国のがん患者がもっとも多く利用しているサプリメントに、アガリクス( Agaricus blazei Murril )というブラジルに自
生するキノコがある。柄が太長くて香りの強いハラタケ科ハラタケ属のキノコだが、わが国では「ヒメマツタケ」「カワリハラタケ」とも呼ばれている。
アガリクスは、他のキノコに比べるとタンパク質が豊富で、 多糖類、ビタミンB1、ビタミンB2 、ナイアシン、ビタミンB6 、ビオチン、パントテン酸、葉酸、アミノ酸、ビタ
ミンD、マグネシウム、カリウムなどを含む。ただし、菌株や栽培条件、産地によってその特性や含有成分が異なる。

わが国には1965 年にブラジルから菌株が持ち込まれ、1970 年代後半から 人工栽培されるようになり、食用の「ヒメマツタケ」として販売がはじまった。1980 年代に入ると、いくつかの研究機関から抗腫瘍作用や血糖降下作用などが学会で報告されはじめた。
また、米国のレーガン元大統領が皮膚がんの治療に利用していたという報道(真偽のほどは不明)、さらには「末期がんに効く」と謳った書籍が続々と出版されたことで、乾燥キノコや抽出エキスなどが瞬く間に普及し、巨大市場を形成するまでになった。
試験管内もしくはマウスを使った実験によると、アガリクスの 抗腫瘍作用 の有効成分として β- グルカンや低分子分画のABMK-22 などが知られており、具体的な免疫賦活
作用としてはマクロファージ、NK細胞の活性化、樹状細胞の活性化および成熟化誘導などが報告されている。
(次号につづく)


【連載コラム】

“連動操体法”について、ちょっとばかり… (12)

       根本 良一(療動研究所主宰)


3.自分で足指をまわす

自分(自動)で行なうときは、他動と基本的には同じだがちょっと工夫するとラクにできる。
・椅子にかけるか、床に座る。
・背もたれをつくってラクな姿勢で行う。

このような座位で片方の膝を折り、足を正面に配置し、足指の付け根(中足指節関節)を片手で軽くつまんで気持ち良い方へ、ゴロゴロしない方へ何回かまわすと、足底の筋→ふくらはぎ→腹部の筋、さらに頸部の筋までへと効果的に連動をつくりやすくなる。

足指をまわすにあたって、どちらかまわしにくい指の硬さがあったら、
・逆方の膝下に枕(当てもの)を置き、股関節を緩める。
・膝を立て、指の硬い方の膝裏の硬結をみる。足首を背屈させて内外の緩む方へ向け、腕を組んで補助動作として両肩、首を一緒に足先の向く逆方へまわす。足先、肩へ軽く底屈をかける操体法を行なう。
・膝裏の硬結がなくなると、足指が軟らかになる。

ヒトは二足歩行をするときに、必ず足底でしかも足指のサポートがなければスムーズにはいかない。足指のどこかを痛めて歩きにくかったなど、誰しも一度は経験したことがあると思う。なかでも、足指の付け根である中足指節関節は大切な部位。連動操体法では「足指基部からの操体法」を重要操作の一つとして挙げているほど大切な要素である。また、足指をうまくまわすことで、全身的な快刺激を送ることができることも大きな理由となる。
次号では、術者と受者のポジション、指のまわし方のコツなどについて紹介する。
(次号につづく)


*** N *** E *** W *** S ***


NEWS ■<メタボ> ストレスで同様の症状 名大大学院チームが証明■


マウスにストレスを与えると内臓脂肪が炎症を起こすなどしてメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)と同様の現象が起きることを、名古屋大学大学院医学系研究科の竹下享典講師(循環器内科)らのチームが突き止めた。米・科学雑誌「ダイアベーテス」電子版に発表した。竹下講師は「糖代謝異常や血栓症は、メタボの人に限らずストレスによっても引き起こされる可能性がある」と話している。
同大によると、メタボリックシンドロームは内臓脂肪の炎症が原因で、メタボになると血中の遊離脂肪酸の濃度が上昇し、炎症を起こした脂肪細胞の数も増える。
実験で、マウス約70匹を2グループに分け、半分は普通に飼育、半分は2週間にわたり1日2時間ずつ直径3センチ・長さ10センチのプラスチック管に閉じ込めてストレスを与えた。すると、ストレスを与えたマウスは、血中の遊離脂肪酸の濃度が約1.7倍に上昇。炎症を起こした脂肪細胞の数は2〜3倍に増えた。ストレスを受けたマウスはインスリンを注射しても血糖値の下がり方が20%悪かった。(毎日新聞3/7)


NEWS ■禁煙、節酒…健康習慣一つでがんリスク14%減■


禁煙、節酒など健康的な生活習慣を多く実践する人ほど、がんの発生リスクが低くなることが、約8万人を対象にした国立がん研究センターの追跡調査で分かった。
調査対象は、岩手や茨城、大阪、沖縄など9府県在住の45〜74歳の男女約8万人。がんの要因である喫煙、飲酒、食事(塩分)、運動、肥満度の5項目について、がんの発生リスクが高まるとされる数値基準を設け、何項目で健康的な生活をしているか調べた。
1995年から2006年まで約10年間追跡した結果、項目数が増えるほど、がんリスクは低下し、1項目増えるごとに男性は平均14%、女性は同9%下がる傾向が見られた。
調査をまとめた同センター予防研究部の笹月静室長は「がん予防につながる健康習慣を複数組み合わせることで、がんのリスクが段階的に低下することが分かった。生活習慣改善のきっかけとしてほしい」と話している。(読売新聞  3/5)


NEWS ■不正に報酬請求した医師を厳罰化-医道分科会が決定■


医道審議会の医道分科会は4日、診療報酬の不正請求などで保険医登録を取り消された医師や歯科医師の行政処分を厳罰化する方針を決定した。診療報酬を不正請求した医師らには、不正額が少なくても、最低3か月の医業停止を命じる。
これまで、不正請求した医師らに医業停止を課す際、最低期間は決められておらず、不正額が少なければ、1か月が課されていて、停止の期間としては最も短かった。
また、健康保険法に基づく監査を拒否して保険医を取り消された医師らの処分内容も明確化。診療報酬の不正請求より重い処分を課すことを定めた。
分科会は、厚生労働相の諮問を受け、詐欺や薬物使用などの刑事事件を起こしたり、診療報酬を不正に請求したりした医師・歯科医師に命じる行政処分の内容を審議する。同日検討した55人の審議から、この方針を採用している。(医療介護CBニュース3/5)


NEWS ■津波映像自粛を申し入れ 震災番組で –日医■


日本医師会は2月29日、東日本大震災の発生から1年を迎えて震災関連の番組を放送する際には、津波の映像を可能な限り自粛するなどトラウマ(心的外傷)を持った被災者らへ配慮するよう、NHKや民放連などへ申し入れると発表した。
申し入れ書では、被災地での医療関係者の活動を通じて、住民は震災の耐えがたい記憶が心に刻まれている上、将来に対する不安など多くの問題を抱えているため精神的なダメージが癒やされていない状況が見受けられると指摘。
津波の映像などは、当時の場面を想起するなど精神衛生的に好ましくない影響があるとの指摘が精神科の医師らから出されているとして、被災者、特に小さな子どもとその家族らへ配慮するよう求めている。(共同通信  3/1)


NEWS ■統合医療:針・アロマなど –大阪大が臨床開始、効果探る■


震災や大規模事故などで負傷した人たちの後遺症を改善するため、大阪大学大学院医学系研究科の伊藤寿記教授のグループが、西洋医療に加え、針治療やアロマテラピーなど補完代替医療も行う「統合医療」の臨床試験を始めた。JR福知山線脱線事故の被害者からの「後遺症で痛みが消えない」という声に応え約1年かけて受診データを集め、将来的には東日本大震災の負傷者らにも役立てたいとしている。
臨床試験は、負傷して3年以上経過した患者を対象に、昨年10月から始めた。けがから一定期間が経過し、症状が固定したと診断されたのに痛みに苦しむ人などに対し、痛みに合わせて針治療やアロマテラピー、カウンセリングを3か月単位で実施する。
約1年間で十数人の受診データを集め、回復度を調べ、有効性を検証する。国内では統合医療の効果の検証例が少なく、研究結果を12月の日本統合医療学会で発表する。伊藤教授は「東日本大震災の被災者にも、統合医療のニーズは出てくると予想される。効果の検証を早急に進めたい」と話している。(毎日新聞  2/21)


NEWS ■福島で出産激減 「里帰り」は4割も■


福島県内で出産する女性が激減している。県産婦人科医会の調査では、東日本大震災が起きた昨年3月〜8月に扱われたお産数は前年同期に比べ2割減少した。中でも県外に暮らす女性が実家に戻って出産する「里帰り出産」は4割近く減ったという。
福島県の昨年12月の出生数(県外での出産を含む)が25%減少したことが明らかになっているが、お産の空洞化と合わせ、福島県内で少子高齢化が加速する懸念が強まっている。関係者にとって、放射能に対する妊婦の不安の解消が大きな課題になっている。
調査は同会が昨年9月、県内でお産を扱う病院48施設にアンケートを実施、33施設から回答を得た。この結果、3〜8月の月平均のお産数は前年同期比20%減の1730件で、このうち里帰り出産は38%減の242件だった。
出産を予定していた妊婦が分娩予約をとりやめるケースも急増しており、計2014人に上ったという。同会は「ここ数か月は受診する妊婦も分娩予約も激減しており、出産数の回復は当面見込めない」としている。(産経新聞2/19)


NEWS ■脳卒中防ぐには1日8000歩 –厚労省が次期健康計画■


厚生労働省は2月15日、第2次「健康日本21」計画の素案をまとめ、専門委員会で公表した。2000年にまとめた現行計画を引き継ぐもので、脳卒中や心臓病の死亡率を減らし、1日の歩数を8000歩以上に増やす内容。介護を必要とせず元気に過ごせる「健康寿命」を重視する考えも打ち出した。少子高齢化が進む中、生活習慣病の予防に取り組む必要性が今後さらに高まるとし、専門委の議論を経て夏までに最終的な目標数値をまとめる。
素案によると、脳卒中の10万人当たりの年間死亡率を、男性は10年の49.5人から23年には37.7人に、女性は26.9から23.1に減らす。心臓病の死亡率は、男性が36.9から23年に28.9、女性は15.3から12.8とする。
1日の平均歩数は、男性が10年の7136歩から8500歩、女性が6117歩から8000歩を目標とする。70歳以上では、男性が4890歩から6000歩、女性が3872歩から5000歩。
健康寿命は現在70歳前後で、平均寿命を上回る延びを目指す。健康寿命は都道府県により3〜4年程度の格差があり、縮める必要があるとした。
食塩の摂取量を1日10.7g(09年)から8gに減らし、逆に野菜や果物は50gずつ増やす。喫煙率は19.5%(10年)から12.2%に下げる。(共同通信 2/16)


NEWS ■窓際の席、エコノミー症候群のリスク高い –米研究■


飛行機の長距離フライトの際に「窓際の席」に座ると、エコノミークラス症候群に代表される静脈血栓症のリスクが高くなると、専門医らが7日の米国医学誌「Chest」で警告した。
これまではシートの狭いエコノミークラスに搭乗したり、フライト中にアルコール飲料を飲むとリスクが高くなると考えられてきたが、今回の報告によれば、そうした要因を決定付ける確証はなかった。英国民健康保険(National Health
Service:NHS)は先に、脱水症状もリスクを上げる恐れがあると警鐘を鳴らしたが、これについても確証は見つからなかった。
しかし、体を動かさないことのリスクは過去に警告されてきたとおりで、特に8時間以上の長時間フライトで座ったままの乗客におけるリスクが最も高いことが強調されている。
ガイドラインを作成した医師の1人、カナダ・マクマスター大学のマーク・クローサー博士は、「長距離フライトで窓際の席に座る乗客は、体を動かす機会が限られがちでリスクが高くなる。他の要因が重なるとリスクはさらに上がる」と述べている。
6時間以上のフライトの際には通路側の席を選び、できるだけ客室内を歩き、ふくらはぎの筋肉をストレッチ運動でほぐし、膝下丈の弾性ストッキングをはくなどの対策を取るようガイドラインは勧めている。(2/12 Relaxnews)


NEWS ■軽度〜中等度パーキンソン病患者に太極拳が有益■


軽度〜中等度のパーキンソン病患者に対し太極拳トレーニングを行うと、平衡障害が軽減し、運動能力の向上、転倒の減少という付加的なベネフィットが得られることが報告された。米国・ウィラメット大学のFuzhong Li氏らが行った無作
為化試験の結果による。パーキンソン病患者では平衡障害が著しく、運動能力の低下と転倒リスクの増加が知られる。これまでも運動が推奨されてきたが、これまで効果が実証された運動プログラムはほとんどなかった。

研究グループは、オーダーメードの太極拳プログラムが特発性パーキンソン病患者の姿勢制御能力を高めることができるかどうかを評価する無作為化対照試験を行った。
ホーエン・ヤールの重症度分類(1〜5の範囲で数値が大きいほど重篤)で病期1〜4の患者195例を、太極拳群、筋力トレーニング群、ストレッチ群の3つのプログラム群に無作為に割り付け、24週間にわたり、毎週2回60分の運動セッションが行われた。
結果、最大可動域と方向制御について太極拳群が一貫してよい成績が示された。また太極拳群は、すべての副次評価項目についてストレッチ群より成績がよかった。ほか転倒の発生率は、太極拳群は他の2群より低かった。その差はストレッチ群とは有意だったが、筋力トレーニング群とは有意差ではなかった。太極拳訓練の効果は介入後3か月間持続し、重篤な有害事象は観察されなかった。(NEJM誌2/9日)


■次号のメールマガジンは2012年4月5日ごろです。お楽しみに。


[発行]産学社エンタプライズ