エンタプライズ発信〜 メールマガジン【№11】2012.2

1月の下旬にはいって気温が急にさがり、インフルエンザの拡大も加速。学級閉鎖が次々と報告されています。気象庁によれば、2月下旬まで気温はかなり低くなる見込みです。釈迦に説法ですがインフルエンザの潜伏期間は1〜3日とされています。近くに3日くらい前に接触した人が発症していたら、自分も感染を疑う必要あり。新型インフルエンザ(H1N1型)の特徴である高熱と倦怠感に併せて胸痛、腹痛、下痢、嘔吐、鼻血、歯肉出血などの症状があったら要注意。そこでまたぞろ、特定の乳酸菌を含有したヨーグルトを毎日児童に飲ませていたところ、インフルエンザの罹患率が低くなったという報告が話題になりました。この乳酸菌は1073R-1と呼ばれるブルガリア菌の一種で、インフルエンザの予防に有効であるという公表を受けて、このヨーグルトが入手困難になるほどの売れ行きとなっています。NK(ナチュラルキラー)細胞により免疫力が高まった結果、ウイルスを抑え込む力が十分だったということです。編集子も1月末から風邪を長引かせ、昨年に続いてまたインフルエンザかとおののきましたが最近やっと体調が回復しました。このヨーグルトを毎日飲んでいたら…と思うのはメディアリテラシーの偏向なんでしょうね。脚下照顧。

★☆★━━━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━★☆★
【1】<REVIEW> WHO『健康の社会的決定要因 確かな事実の探求』第2版
【2】CHIROPRACTIC REPORT「法的状況の国際調査報告書」
【3】カイロプラクティック・エネルギー治療へのパラダイムシフト
【4】補完・代替医療の真贋を斬る!
【5】“連動操体法”について、ちょっとばかり…
【6】NEWS
【7】ご案内『タオ性科学・女性編』『タオ人間医学』および『エネルギー医学の原理』の制作状況について
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【お知らせ】
『クラニオセイクラル・バイオダイナミクス』vol.1-2が先日刊行されました。再販のリクエストが多かったシリーズです。ぜひHPをご覧のうえご検討ください。URL http://eppub.jp


<<<  連 載 ② >>>
【REVIEW】

WHO『健康の社会的決定要因 確かな事実の探求』第2版

<訳:WHO健康都市研究協力センター・日本健康都市学会・健康都市推進会議>


・日本語版第二版発行にあたって  高野健人(監修・監訳者)

近年、諸外国同様、わが国においても、社会的な健康決定要因の関与が重要な関心事となっている。また、疫学分野の一つとして社会疫学も発展しつつある。一方、根拠に基づく保健政策が多くの人々の共通認識となっている。経験や主観的認識も多様な健康事象を扱うには有用であるが、今後は根拠に基づく意思決定がなされねばならない。
こうした状況を背景にして、WHOは1998年に「The solid facts」という題名で、現場において活動する人々をサポートするために、健康の社会的決定要因についての確かな事実をコンパクトにまとめた出版物を刊行した。その後5年間に、この分野の研究は著しく発展し、新しい多くのエビデンスが蓄積された。WHOは、最新の研究成果と情報をとりまとめた「The solid facts」の第二版を2003年に出版し、最新情報を現場に届け、根拠に基づく保健政策を世界各地で推進しようとしている。
「The solid facts」第一版の日本語版は「健康の社会的決定要因:確かな事実の探求」として発行された。同書は、政策決定、計画策定、公衆衛生活動に係わる実務者および公衆衛生学・社会医学研究者に大変注目され、「健康の社会的決定要因」は国内でも広く認識される概念となった。第二版の最新情報を日本国内で普及させるために、WHO健康都市研究協力センターと日本健康都市学会が翻訳を行った。健康都市推進会議に日本語版の発行をお願いしたところ、快くお引き受けいただき、「健康の社会的決定要因:確かな事実の探求 第二版」の発行に至った次第である。
アジア太平洋地域を中心に、地域、都市の単位で健康推進をめざす政策構築とその実践をはかるネットワークである「世界健康都市連合」が2004年10月に発足し、多くの自治体、NGO、研究機関などが参加して活動を展開している。日本もこのネットワークで主要な役割を果たしており、健康の社会的決定要因の情報を得て、根拠に基づく政策決定の実践に取り組んでいる。
本書の活動に携わった方々に謝意を表しつつ、WHO健康都市研究協力センターとして、今後とも健康都市にかかわる情報の共有、知識の普及を心から願うもので、本書が公衆衛生の現場に立つ多くの方にお役に立てば幸いである。


■□■□ CHIROPRACTIC REPORT □■■□

『カイロプラクティック業務に関する法的状況の国際調査報告書』(3)


1.1 法律のある国々(つづき)

1.1.3 全国もしくは地域での法律
多くの国では、この職業の法律は全国レベルで法規制されているが、主として、カナダ、スイス、アメリカでは州つまり地域ごとで法規制されている。その他の国々でも全国規模と地域ごとの法令の法令が存在する。オーストラリアではかつてカイロプラクティック業務が州ごとに規制されていたが、2010年に全国規模での法規制に移行した。

1.1.4 独自の法令またはそれ以外の形の法令
a)独自のカイロプラクティックの法令:
例として、キプロス、デンマーク、イスラエル、カナダおよびアメリカの多くの州

b)包括的現代医療業務の法令:
例として、ケイマン諸島、イラン、スイス、カナダおよびアメリカの一部の州

c) 包括的補完・代替医療業務の法令:
例として、ベルギー、フランス、フィリピン、南アフリカ

d)医療保健業務の広いカテゴリーの中にカイロプラクターを分類した法令:
例として、ドイツ(Heilpraktikersハイルプラクティカーとしてカイロプラクティック業務が分類されている)

1.1.5 ホームページ、登録機関の名称 =省略

1.1.6 直接アクセスする権利
カイロプラクティック業務が法規制されている29か国では、すべて患者に直接アクセスする権利が認められている。しかしながら今年導入のフランスの新しい法律では、6か月未満の幼児に対しカイロプラクティックケアを行なうさいに医師から事前に禁忌症ではないことの確認が必要であるという制限が設けられた。(以下、つづく)

(資料提供:日本カイロプラクターズ協会)


<<連載>>

カイロプラクティック・エネルギー治療へのパラダイムシフト<第11話>

保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


Universal Intelligenceの存在を無視して
本質的な治療効果が望めるだろうか?

カイロプラクティック治療のメインのターゲットであるサブラクセイションも様々な原因に対する結果であり、様々な症状を引き起こす第二原因として表現することもできる。カイロプラクティックの哲学も様々で、サブラクセイションが第一原因とするカイロプラクターも多く存在する。
その多くのカイロプラクターは機械論的にサブラクセイションを評価分析しており、心と身体の関係にまで踏み込んだ有機的・エネルギー的分析治療にまでには及ばず、どこどこのサブラクセイションがあるから、これこれの症状が生じるというように原因を生体内のハード面だけにとどめ、その生体ハード面のサブラクセイションの原因である精神面・環境面・栄養面などのソフト面の本質的な“ストレス情報”との因果関係にまで及んだ検査・治療は行われていない。
たとえ精神的ストレスという目には見えないモノが本質的原因であることをなんとなく理解していても、機械論的思考のカイロプラクターにとって、目には見えないモノは検査治療の対象にはならず、精神的ストレスによって生じた第二原因である生体内のサブラクセイションの結果、つまり、関節の位置異常や動きの悪さだけを治療する。言い換えれば第二原因の対症療法にとどまり、あとはInnate Intelligence(先天的知力)の生命力やUniversal Intelligence(宇宙的知力)にゆだねるという理屈である。
しかし、その内なる生命力や外から平等に与えられているUniversal Intelligence、すなわち東洋思想的には天・人・地からのエネルギーをブロックさせている原因の存在を無視して、本質的な治療効果が望めるだろうか?
実際に、治療を施しても施さなくても時間の経過とともに治るような障害は、そこまで踏み込まなくても人間の身体は自然に治るようになっており、もしも精神的ストレスが第一原因であれば、時間の経過とともに身体がその精神的ストレスに自然に慣れて良い結果を得ることができる。しかしながら、その精神的ストレスが無意識的に抑圧されて長いあいだ障害を患っている患者のようなケースは、早期に本質的な障害原因を分析検査し、治療を施すことが求められている。
健康の問題を解決する上で、“心と身体” をつなぐ神経伝達、情報伝達、エネルギー伝達障害の分析が正確であればあるほど良い結果がもたらされる。最良の健康を目的として患者を診る際に、心と身体の関係性や環境と身体との関係性などの影響を無視して、ただ単に生体内ハード面だけのエネルギーブロックであるサブラクセイションが改善されたから症状が改善された、と短絡的に結びつけるのはいかがなものであろうか。
(次号へつづく)


補完・代替医療の真贋を斬る!【連載⑪】

長谷川淳史(TMSジャパン代表)
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■クワッカリーの費用対効果(つづき)

ただし、「そもそもクワッカリーはエビデンスとは無縁の宗教である。信じる者は救われ、信じない者は救われないのだから、宗教以外の何物でもない。しかも宗教法人のような優遇措置がないにもかかわらず、製作費や人件費、広告宣伝費をかけて商品やサービスを提供しているわけで、安心感を得た見返りにお布施を差し出すのは当然だ」という考え方もある。

これはもっともな意見だ。たしかに医療の原型は、シャーマン、呪術医、魔法医、メディシンマン、ウイッチドクター、巫医(ふい)、ヴードゥー僧、カリャワヤ、ユタたちによる原始宗教にある。戒名に数十万円も支払ったり、結婚式や葬式に数百万円もかけたりしている現代社会からみれば、クワッカリーという宗教にお布施を差し出すのは当たり前なのかもしれない。
しかし忘れてならないのは、クワッカリーに入信するのは健康な信者ばかりではなく、心身を病んでいる信者や、死の淵にあって藁をもすがる思いでクワッカリーに望みを託す信者もいるという点だ。有効性や安全性が証明されていない(証明するつもりもない)のであれば、こうした弱者からのお布施はできるだけ安くしてほしいものである。

いずれにしても、購入意欲を刺激するキャッチコピーや宣伝文句に惑わされることなく、メリットとデメリットを慎重に考慮したうえで、各自の責任で入信するかどうかを決めるべきだろう。

◆ここまでの参考文献&ウェブサイト
1) 健康情報の読み方
2) 辞書の中の単語たち
3) 米国医師会編『アメリカ医師会がガイドする代替療法の医学的証拠』泉書房,2000.
4) National Council Against Health Fraud.
5) Quack Watch.
6) Health Watch.
7) Moseley JB.et al,A controlled Trial of Arthroscopic Surgery for Osteoarthritis of the Knee,N Engl J Med,347,p81-88,2002.
8) 2005 American Heart Association Guidelines for Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care.
9) FDA Consumer,Quackery Targets Teens,1990.
10) 小内亨『危ない健康食品&民間療法の見分け方』フットワーク出版,2000.
11) 小内亨『お医者さんも戸惑う健康情報を見抜く』日経BP社,2004.
12) 厚生労働省,無承認無許可医薬品の指導取締りについて,2004.
13) アンドルー・ワイル『人はなぜ治るのか』日本教文社,1993.
14) 小川鼎三訳『図説・医学の歴史』学習研究社,1980.
15) 笠原敏雄編『偽薬効果』春秋社,2002.
16) Beecher HK,The Powerful placebo,JAMA,159,p1602-1606,1955.
17) Roberts AH et al,The Power of Nonspecific Effects in Healing: Implications for Psychosocial and Biological Treatments,Clinical Psychology Review,13,p375-391,1993.
18) EBMに役立つインターネット.
19) 信州大学医学部医療情報部EBM.
20) 国立国会図書館:医療機器産業について調べるには.
21) 治験ナビ.
22) 国立健康・栄養研究所.
23) NCAHF Position Paper on Multilevel Marketing of Health Products.
24) The Mirage of Multilevel Marketing.
25) The Skeptic’s Dictionary Japanese Home Page.
26) 国民生活センター.
27) 厚生労働省:健機能食品・健康食品関連情報.
28) 松永和紀『メディア・バイアス』光文社,2007.
29) メディカル二条河原

(次号へつづく)


【連載コラム】

“連動操体法”について、ちょっとばかり… (11)

根本良一(療動研究所主宰)


2. 中足骨をまわす

立ち、歩くときに、足が地面を踏み歩行する。このときに、踵から足の外側を経て前足底で踏み返して前進し、内転筋、外転筋で方向を変える。
足底のアーチが作られて姿勢が安定するが、足底のたくさんの筋群は大変疲れている。病気で動けない人、運動しない人、足腰の弱い人などは足指が硬い、腓腹筋が硬いほかに、足底の筋群が硬いことが多い。

そこで、「中足骨まわし」をしてみると良い。
中足骨の先端は指の付け根の大きな“大頭”、そして足の中央部にあたる所は“小頭”にあたり楔状骨、立方骨に接していて、こうした骨・関節の近傍には必ず靭帯や筋がある。これらが重力を支えて大変疲労している。
これを、前項の足指をまわす要領で気持ちの良いほうへまわす。片手で中足骨小頭を軽く押さえ、ほかの指で中足骨大頭(中足骨指関節)を押さえて、ゆっくりスムーズに動く方へまわす。
足指ほど大きくまわらないが、受者が気持ちよい方、スムーズにまわる方を選んで行なうと「足指まわし」とまた違った効果が現れる。
片方だけの方は楽だが、特に上部へ快感が伝播するときは両方一緒に行なうようにする。特にこの部分が疲れているときには、関連部が癒される。(以下、つづく)


*** N  *** E  *** W  *** S  ***


NEWS ■脊椎マニピュレーション、頸部痛を改善■


急性または亜急性頸部痛患者272人を対象に、12週間の脊椎マニピュレーション(SMT)、薬物療法、助言付き在宅運動(HEA)の効果を無作為化試験で比較。患者による疼痛評価で、薬物療法群に比べSMT群で無作為化後8、12、26、52週時に統計的に有意な改善が見られた(P≦0.010)。SMT群とHEA群に大きな群間差はなかった。(Ann Intern Med.2012 Jan 3)


NEWS ■認知機能の低下は45歳からすでに始まっている■


認知機能の低下は中年期(45〜49歳)にはすでに始まっていることが、フランス国立保健医学研究所(INSERM)のArchana Singh-Manoux氏らが行ったWhitehall II試験で示された。認知機能は加齢に伴って低下し、認知状態の障害は認知症に顕著な特徴とされる。認知機能低下の開始年齢は知られていないが、最近の文献レビューでは60歳以前に低下が始まることを示すエビデンスはほとんどないという。(BMJ誌2012年1月21日号)


NEWS ■所得で生活習慣に違い—低いと喫煙率高く野菜不足■


所得が低い人ほど朝食抜きが多く野菜が不足しがちで喫煙率も高い。
厚生労働省は、1/31日に公表した「国民健康・栄養調査」で、所得と生活習慣の関連を探る調査を初めて実施。所得によって生活習慣に違いがある実態が浮き彫りになった。
厚労省は「低所得者ほど、所得の低さそのものや仕事の忙しさなどから、バランスの良い食事を取ったり、医療にアクセスしたりすることが難しいのではないか」と分析している。

3189世帯の回答を、世帯の年間所得で200万円未満(A)、200万〜600万円未満(B)、600万円以上(C)の3グループに分けて分析した。
習慣的な喫煙者の割合は、男性が(A)37.3%(B)33.6%(C)27.0%、女性は(A)11.7%(B)8.8%(C)6.4%で、男女とも所得が低いほど喫煙率が高かった。
朝食を食べない人の割合は、男性が(A)20.7%(B)18.6%(C)15.1%、女性は(A)17.6%(B)11.7%(C)10.5%。
1日当たりの野菜摂取量は「600万円以上」の方が「200万円未満」に比べ男性で37g、女性で35g多かった。運動習慣のない人の割合も、男女とも年収が低い層の方が高かった。(共同通信社  2月1日)


NEWS ■癌治療学会、「コメディカル」の表記を自粛へ■


日本癌治療学会は、医師以外の医療専門職を指す言葉として使われている「コメディカル」という用語について使用を自粛する。
今年10月に開催予定の第50回学術集会からこの方針を適用し、以降、同学会の発表や関連出版物では原則として使用しない。
「コメディカル」という用語は、以前のパラメディカルに代わり、医師以外の医療専門職である看護師、薬剤師、放射線技師などを総称する用語として、医療分野で広く用いられている。同学会では(1)適用される職種の範囲が不明確、(2)喜劇を意味する「comedical」と解釈される場合があり、不適切な和製英語である、(3)医師とほかの医療職の上下関係を暗示させ、対等であるべきというチーム医療の精神に反するなど、かねてからの指摘を問題視した。
そこで、理事会で用語使用の是非について審議し、学会員からパブリックコメントを募集した上で、代議員総会で用語使用の自粛を決定した。今後は「コメディカル」に代わり、個々の医療専門職の名称を使うように求めていく方針だ。(日経メディカル別冊)


NEWS ■睡眠5時間以下、糖尿病リスク5倍■


1日の平均睡眠時間が5時間以下の人は、7時間超の人と比べて糖尿病発症の危険性が5倍以上高くなることが、旭川大や北海道大などの分析で分かった。
研究チームは03年度、糖尿病ではない35〜55歳の地方公務員の男女3570人を対象に睡眠時間や眠りの満足度などを調べた。その結果、07年度までの4年間で121人が糖尿病を発症していた。うち、親や兄弟姉妹に糖尿病患者がいない人の発症リスクは、睡眠が5時間以下の人は7時間超と比べて約5.4倍高かった。
また、睡眠不足を感じている人は感じていない人より約6.8倍、「夜中に目が覚めることが深刻な問題だ」と答えた人は、そうでない人より約5倍、それぞれリスクが高かった。
欧米の研究でも、睡眠時間が極端に短かったり長かったりすると、発症リスクの上昇が指摘されている。今回の調査では、睡眠が5時間以下の人には長時間労働や、シフト勤務のケースが多かったという。(毎日新聞社  1月30日)


NEWS ■過剰なビタミンDは心臓に有害睡眠■


ビタミンDは骨の健康に欠かせないものであり、心臓保護というベネフィット(便益)があることはさまざまな研究で示されているが、多過ぎると実は有害である可能性が、新しい研究によって示された。
米国ジョンズ・ホプキンス大学のMuhammad Amer医学部教授は、「ビタミンDが心臓の健康に重要であることは明らかであり、特に血中ビタミンD濃度が低い場合はそうである。ビタミンDは心血管の炎症やアテローム性動脈硬化症を軽減し、死亡率を低下させる可能性があるが、どこかの時点で過剰になると思われる。ビタミンDにより軽減する炎症はその濃度が高くなると軽減しないようである」と述べている。
「サプリメント、特にビタミンDの摂取に関連するリスクの可能性を認識すべきである」とし、さらにAmer氏は「ビタミンDサプリメントを摂取する人は、それが必要であることを確認する必要がある。理論的には毒性でなくとも、健康に不測の事態をもたらしうる。より高濃度のビタミンDが心臓に有益でない理由は明らかではない」と述べている。


NEWS ■専門医制度に「総合医」の位置付けを-厚労省検討会■


専門医認定の見直しを検討する厚生労働省の専門医の在り方に関する検討会は、臓器・疾患を問わず幅広く患者に対応できる「総合医」をめぐり関係団体などからヒアリングを行った。この中で福井次矢委員(聖路加国際病院長)は、新たな専門医制度に「総合医」を組み込み、普及を図るよう提言した。
福井委員は、総合医のメリットとして「臓器・疾病ごとの専門医に比べ、複数の臓器に疾病がある患者を効率的に診療できる」と強調。患者に最初から専門医が対応するのではなく、まず総合医が患者を診療し、重症患者を適切なタイミングで専門医に紹介する医療体制が望ましいとの認識を示した。
一方で、総合医をめぐる問題として、教育体制の不備や、総合医を低く評価する医療界・患者の価値観などを指摘。総合医を普及させるには、医療体制に関する国のビジョンの中で総合医を位置付けるなど、制度面での裏付けが必要だと訴えた。(CBnews 1/12)


■次号のメールマガジンは2012年2月28日ごろです。お楽しみに。【編集人:北島憲二】


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