エンタプライズ発信〜メールマガジン【№10】2011.12

いよいよ年の瀬も深まりました。あと暦を2枚めくれば新年です。そうそう、正月にはお雑煮を代表に餅を食べる習慣がありますね。遡れば平安時代から、餅は福の源であり福神であるという縁起があり、また餅を食べると力が付くと考えられていました。ゆえにでしょうか、新しい門出の正月に餅を神仏に供え、豊作の感謝と祈りを捧げるという風習が加わり、正月には不可欠になったようです。ところで、お正月の餅搗きはいつするものだか知っていますか? 地域にもよると思うのですが、大晦日は「一夜餅」と言って一夜だけの飾りだからとして避けられ、29日は「二重苦」を搗くとの言い伝えから、28日か30日に搗く家庭が多いと聞いています。でも“福餅”につながるといって、わざと29日に搗く地域もあるとか。編集子の郷里は熊本県です。サラリーマンが多くなったこの時世なので仕事納めのあとの29日に親戚縁者総出で搗くそうで、“福餅”にあやかるべく搗き立ての餅を送ってくれるということです。これは新春から縁起がいい。

★☆★━━━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━★☆★
【1】<INFORMATION> アルカノン・セミナーズ、セミナー案内
【2】<REVIEW> WHO『健康の社会的決定要因 確かな事実の探求』第2版
【3】CHIROPRACTIC REPORT「法的状況の国際調査報告書」
【4】カイロプラクティック・エネルギー治療へのパラダイムシフト
【5】補完・代替医療の真贋を斬る!
【6】“連動操体法”について、ちょっとばかり…
【7】NEWS
【8】ご案内『タオ性科学・女性編』『タオ人間医学』および『エネルギー医学の原理』の制作遅延について
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


【I・N・F・O・R・M・A・T・I・O・N】
「心とからだのプロフェッショナル」を目指す人に対して、高度な知識と磨きあげた能力・技術をもつ講師陣によるクオリティの高い講座、そして各種の独立支援活動によって、専門性の高い知識と実用スキルを身につけ自己確立を遂げるための育成を手伝っているアルカノン・セミナーズ(東京・渋谷)が、2012年の講座をスタートさせる。講座には、命術、ト術(ぼくじゅつ)、相術があり、入門講座からスキルアップ講座、特別講座まである。1、2月の主なセミナー・講座は以下のとおり。

◆四柱推命 初級(昼間クラス)
受講回数:全12回 初回講座:1月20日(金)14時から
講師:鎌﨑拓洋

◆四柱推命 初級(夜間クラス)
受講回数:全16回 初回講座:2月3日(金)19時から
講師:鎌﨑拓洋

◆周易 初級講座
受講回数:全8回 初回講座:2月7日(火)14時から
講師:鎌﨑拓洋

◆ボディ・タイプ診断法(セミナー)
〜からだから読む人物鑑定法の基本〜
開催日:3月25日(日)14時から
講師:堀内信隆

詳しくは、アルカノン・セミナーズまで。
東京都渋谷区渋谷3-10-14 長崎堂ビル7F
WEB: http://www.arcanumseminars.com/


<<< 新 連 載 >>>
【REVIEW】

WHO『健康の社会的決定要因 確かな事実の探求』第2版

訳:WHO健康都市研究協力センター・日本健康都市学会・健康都市推進会議


WHO(世界保健機関)が展開する「健康都市プロジェクト/プログラム」の理念に基づき、健康都市と都市政策研究の推進普及に携わっているWHO健康都市研究協力センターおよび日本健康都市学会、健康都市推進会議が、WHO刊行による「健康の社会的決定要因確かな事実の探求」(Social determinants of health. The solid facts)第2版を翻訳し発表した。連載でその概要を紹介していきたい。初回は序文を紹介する。

<序>
健康保健政策を構築する過程に関する情報を提供し、裏付けるための明確な科学的根拠を求める必要性とその需要はかつてないほど増している。健康の社会的決定要因の研究は、おそらく最も複雑で興味をそそる仕事である。この分野は人々の生活環境や労働環境、ライフスタイルに関わっている。また保健政策への投資がもたらす利益とともに社会済政策への健康問題の関わりについても関与している。「健康の社会的決定要因確かな事実の探求」(Social determinants of health. The solid facts)第1版が1998年に発刊され、ここ5年の間に科学的な根拠が新たに、しかもより強力な形で出てきている。この第2版は新しい根拠を統合し、グラフや参考文献、推奨ウェブサイトの情報をふんだんに載せている。
私たちの目標は健康の社会的決定要因に関する意識を高め、十分な情報に基づき議論を重ね、そして行動を促すことである。第1版は25か国語に翻訳され、ヨーロッパ内外であらゆるレベルの政策決定者、公衆衛生専門家そして学術研究者に使われており、さらにその成果を発展させたいと思う。疾病の根源的原因、健康格差、さらに貧困や社会的不利益に影響を受ける人々からのニーズを明白な形で扱う政策やプログラムを展開中の加盟国がますます増えているということは朗報である。
本冊子はWHO都市保健センターとロンドン大学ユニバーシティカレッジの国際保健社会センター(International Centre for Health and Society, University College London, United Kingdom)との密接な協力関係を通して発刊の運びとなった。発刊にあたり編集にご尽力いただいたリチャード・ウィルキンソン、サー・マイケル・マ-モット両教授に謝意を表したい。またこの意義深い冊子作成に貢献した学術専門家チームのすべてのメンバーに感謝したい。この冊子は健康の社会的決定要因に関する議論と行動を促進するものとなることを確信している。

アゲス・D・ツーロス(WHO欧州地域事務局都市保健センター所長)


■□■□ CHIROPRACTIC REPORT □■■□

『カイロプラクティック業務に関する法的状況の国際調査報告書』(2)


1.1 法律のある国々(つづき)

そのほか、今回報告はないが17か国で法律が存在する。
バハマ、バルバドス、ボツワナ、コスタリカ、グアム、グアテマラ、リーワード諸島、レソト、マルタ、ニューカレドニア、ナイジェリア、ポルトガル、プエルトリコ、サウジアラビア、セルビア、タヒチ、タイ

この報告結果によれば少なくとも44の国と地域で正式な法制度とカイロプラクティック業務の保障がなされている。正式な法令が存在しなくとも正規の教育履修が証明できればカイロプラクティック行の資格を認め、免許を発行している国もある。ボリビア、フィジー、メキシコ、中国などである。

法制化されていない国々

この報告書では、22か国でカイロプラクティック業務の法律が整備されていないことが明らかになった。
アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、エジプト、ギリシャ、ホンジュラス、ハンガリー、アイルランド、日本、レバノン、モーリシャス、オランダ、ペルー、シンガポール、スロバキア、スペイン、台湾、トルコ、タークスカイコス諸島、ウガンダ、ベネズエラ

さらに、これら22か国で次のことが報告されている。
a)7か国において、法律のもと業務は適法である。
ブラジル、ホンジュラス、オランダ、ペルー、シンガポール、タークスカイコス諸島、ウガンダ

b)6か国において、業務は違法である。
コロンビア、ハンガリー、モーリシャス、台湾、トルコ、ベネズエラ
(ハンガリーと台湾とトルコでは告訴される恐れがある。また回答はなかったが韓国でも同様の告訴の恐れがある)

c)8か国では、カイロプラクティック業務が合法とも違法ともいえない。
アルゼンチン、チリ、エジプト、ギリシャ、日本、レバノン、スロバキア、スペイン
(例えばギリシャでは1989年に最高裁において憲法は自然療法を行なう権利を認めるとしたが、診断権は医師に属すと条件付を定めた。チリと日本でも似た形である。スペインでは法律がなく、過去には医師法違反でカイロプラクターの起訴もあったが、税法ではカイロプラクターを認める特定の選別番号を与えている)
(次号へつづく)

(資料提供:日本カイロプラクターズ協会 URL:www.jac-chiro.org


<<連載>>

カイロプラクティック・エネルギー治療へのパラダイムシフト<第10話>

保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


生体の情報変換システムの原理と
脳の神経の『可塑性』を臨床に生かす

その情報伝達による条件反射回路が正常であれば問題はないが、神経エネルギーをブロックさせるサブラクセイションが存在する場合、病的な条件反射が構築され、神経系に反応を示し様々な症状を引き起こす。イメージによっても伝達されるこの「情報」という概念は、有機的治療、エネルギー的治療、さらには心と身体の関係性を診る心身相関的治療を行う上で重要な意味を持つ。
われわれが臨床現場で診ている「治る変化」とは、「情報伝達の変化」の結果の現れでもある。例えば、腰や首などの運動時痛、あるいは違和感などを抱えている患者が、治療の直後にその場で症状が軽減、あるいは消失する現象は当たり前のように毎日の診療で観察される。この結果の現れは情報伝達変換によるものであり、治療によって生体の情報変換システムが変化した結果である。よって身体の不調もこの情報変換システムが誤作動を起こしたための結果であるという逆の表現もできる。
アクティベータメソッドも厳密には生体の情報変換システムの原理を利用した検査治療法である。アクティベータメソッドに限らず、他のカイロプラクティックテクニックや西洋医学の機械論的治療以外による治療効果も、この情報変換システムの変化の結果であると言えよう。
そして、生物学的にこの情報変換システムの変化は、脳神経細胞の再編成につながり、具体的には脳内に数千億個存在するニューロン(神経細胞)が、それぞれ所有する軸索(神経線維)と他のニューロンの樹状突起の間を取り結ぶシナプスの発生と消滅によってなされる。これが、脳の神経の『可塑性』(plasticity)であり、外の環境からの情報入力の影響を受けて、自由にその神経回路の編成を変えることを可能にする。したがってわれわれの行なっている治療の結果を神経学的に語れば、脳の神経の可塑性の結果であると言える。
人間にはこの可塑性という機能を通じて、病気から健康へと導く能力が備えられている。しかし、この可塑性も病気や様々な障害の本質的な原因ではなく、原因と結果の間のプロセスに過ぎない。健全な可塑性を構築させるためには、原因と結果の因果関係を分析し明確にしなければならない。
Universal Intelligenceの存在を無視して本質的な治療効果が望めるだろうか?
(次号へつづく)


補完・代替医療の真贋を斬る!【連載⑩】

長谷川淳史(TMSジャパン代表)
***** ***** ***** ***** ***** ***** ***** *****

■クワッカリーの費用対効果

クワッカリーの興味は、利用者の健康よりもむしろ経済的利益を上げることにある。中には自分がクワッカリーだと自覚していない者もいるが、いずれにしろ利益最優先であることに変わりはない。だからこそ、有効性や安全性の検証をおざなりにしてまでも、あらゆるメディアを使った虚偽誇大広告によって、高価な健康関連商品の購入意欲を刺激するのだ。
そもそも、医薬品メーカーでも医療機器メーカーでもない業者が有効性や安全性の検証に時間と費用を割くことはない。たとえ有効性や安全性が証明できたとしても、薬事法に抵触するために証明された効能効果を標榜することはできない。ならば、有効性や安全性の検証を犠牲にしてでも宣伝広告費に多額の費用を投入し、手っ取り早く利益を上げようとするのはごく自然な成り行きである。

では、クワッカリーによる被害額は一体どれくらいに上るのだろうか。それを正確に把握するのは不可能である。しかし2003年8月には健康増進法が、2005年4月には薬事法がそれぞれ改正され、虚偽誇大広告が厳しく規制されたことで、これまでの警告や回収命令では済まずに摘発される業者が増えてきた。もちろんそれは氷山の一角でしかないが、クワッカリーにかかる費用はけっして安いとはいえない。支払った費用に見合うだけの効果が得られるならまだ救いもあるだろう。ところが、健康被害という直接的問題、治るチャンスを失うという間接的問題、金銭や信頼を失うという心理社会的問題が潜んでいることを考えれば、買い手危険負担(caveat emptor:悪い商品を買ってもその責任は売り手ではなく買い手にある)などと悠長なことは言っていられない。自分自身や家族の健康を守るためには、クワッカリーを見抜く能力を養うメディアリテラシー教育、もしくは健康リテラシー教育が必要ではないだろうか。
(以下、次号へつづく)


【連載コラム】

“連動操体法”について、ちょっとばかり… (10)

根本 良一(療動研究所主宰)


足指をまわす

足指は人間が二本足で立つときに大地と接触する最も重要な部分である。足への刺激は脳を活性化し、脳からの正しい指令が心身ともに元気にする。元気な人でも足の骨を折って動けなくなると、たちまち全身が衰退してしまう。
座って本を読むとついウトウト眠たくなるが、立っていると電車に揺られていても「ゆりかご」の気分とはならず静かな書斎以上に効率が上がる。バランスをとるための足への刺激で、脳の活動が高まるのである。
病気で寝ていても、よく足指をまわすと褥創(床ずれ)を防止できるし、出産時の陣痛が楽になるなど、良い報告がたくさんある。

<足指のまわし方>
ここで述べる方法は、自分で行なう自動運動ではなく、術者による他力で動かす操作である。
まわす部位は足指の付け根で、術者は利き手の人差し指第2節を曲げ、受け手の足指の付け根(中足骨骨頭部)から第1節に軽く当て、上から母指を添える。足指は握らない。握るとまわす手首が固くなり、不快な操作になる。
片方の手を添えて、軽く中足骨をはさみ、利き手でゆっくり、大きく(100%)まわしてみて、左右のどちらのまわしが快いか(ゴロゴロまわるほうは不快、軽く抵抗なくまわる方は気持ちが良い)が判ったら、
快い方へだけ、やや小さめ(70-80%)に、足指1本につき20-30回まわす。
コマがまわるように、指の付け根(中足指節関節)の周りを、柔らかに、大きくまわす。
まわす速度は、ゆっくり丁寧に、受け手のリズムに合わせる。「この速さはどうですか? 気持ちよさがありますか」と訊くようにするとよい。
“気持ちよくまわす”…これは手技療法なので、技術とやさしさが大切である。高度(?)な医療よりも、やさしく、気持ちよくという、心のこもった癒しに優るものはない。
(以下、つづく)


*** N  *** E  *** W  *** S  ***


NEWS ■臨床心理士を国家資格に。民自、法案提出で調整■


民主、自民両党は25日、心の病を抱える人へのカウンセリングなどを行う民間資格「臨床心理士」を国家資格とする方向で調整に入った。人材を確保し専門性や能力の向上を図る狙い。「心理師」などへの名称変更も検討する。関連法案を来年の通常国会に議員立法で共同提出、成立させたい考えだ。
うつ病や自殺の増加などにより、心理療法のニーズが高まっているのが背景。国家資格として地位を安定させれば、志望者が増え、能力も向上するとの判断がある。
2005年にも同様の法案が検討されたものの、精神科の開業医から競合の懸念が示されるなどしたため提出に至らなかった経緯がある。今回も日本医師会はじめ関係団体との調整が課題だ。
資格認定は現在、日本臨床心理士資格認定協会が実施。日本臨床心理士会によると、今年4月1日時点の有資格者は約2万2千人。精神神経科や心療内科で心理相談に応じるほか、スクールカウンセラーとして学校に勤める場合や、児童福祉施設で子育て支援に従事するケースがある。

※臨床心理士
臨床心理学に基づく知識や技術を用いて心理的な課題を抱えている人を援助する専門家。心理テストや面接、夢分析など手法は多岐にわたっている。1988年から日本臨床心理士資格認定協会による資格認定がスタートした。能力の維持や向上のため5年ごとに資格更新が規定されている。医療施設や福祉施設、少年院、刑務所などに勤務する以外に、私設の心理相談機関として個人やグループで開業しているケースもある。(12/26 共同通信社 )


NEWS ■アーユルベーダのベールに穴を開ける■


インドにアーユルベーダと統合医療に関する研究所「Institute of Ayurveda and Integrative Medicine (IAIM)」ができた。昨年5月にEUがアーユルベーダの治療薬に含まれる水銀やその他の重金属に懸念を表明し、承認されていないアーユルベーダ製品の販売を禁止した。以降、検閲を通った製品は1つもない。アーユルベーダを3500年も使用してきたインドですら、ほとんどの人はアーユルベーダは文字どおり最後の手段とみなしている。そこでインドだけでも約50万人の登録ヒーラーがいるこの技術を近代化しようという試みが始まった。ただし、この試みの支持者であってもヒーラーらが自分たちは何を行っているのか秘密にしているため苦労している。ヒーラーは秘密にすることが必要なのだと主張している。(Science誌 12/11)


NEWS ■「患者様」の呼称、医師の7割が違和感■


メドピアの調査によると「患者様」という呼称について「違和感があるので自分では使用しないようにしている」と回答した医師は68%に上った。理由として「患者はお客様じゃない」「お互い対等な関係であるべき」といった意見が寄せられた。
最近のほとんどの病院のホームページでは「患者様」という呼称を使っており、医師がどう考えているかを同社の医師コミュニティーサイトで会員医師を対象に調査した。11月16〜22日のネット調査で有効回答数は2,714件。そのほか「患者様」の呼称を「あまり気にしていない、どちらでもよい」と回答した割合は14%、「違和感はない」は6%だった。「使用しないように積極的に周囲に働きかけている」は9%で、「医者をお医者様と呼ぶこともないようにしている」「患者はともに病気と闘う仲間という意味合いで、『様』はふさわしくない」といったコメントがあった。(メドピア調査より)


NEWS ■サッカーのヘディングによる脳損傷■


ニューヨークのアルバートアインシュタイン医科大の研究者が34人のボランティアを募集した。子どものころからサッカーをし、現在成人のサッカーリーグで出場している人たちで、脳振盪の経験だけでなく、前年何回ヘッディングをしたか詳細なアンケートで調査した。その後、記憶・認知機能検査を施行し、拡散テンソルイメージングMRI検査を行った。
過去12か月で1,100回以上のヘディングをした場合に、大脳白質の損傷が見られ、記憶・注意・視覚認知に問題があった。外傷性脳損傷で見られる所見と似ていた。前頭葉と頭頂後頭に障害が見られた。
カリフォルニア州のフンボルト州立大学のエリザベスラーソンは、12歳未満ではヘディングはすべきではないとしている。また、練習後に頭痛やめまいがした場合は、練習頻度を減らすようにコーチに頼む必要があるとしている。(12/7 A New Worry for Soccer Parents: Heading the Ball. by GRETCHEN REYNOLDS)


NEWS ■髄液減少症で一斉提訴へ —交通事故相手に賠償請求■


交通事故で頭痛やめまいを起こす脳脊髄液減少症になったとして、北海道の男女4人がそれぞれの事故の相手に1人当たり数百万円〜数千万円の損害賠償を求め、来年2月にも札幌地裁に一斉提訴する。札幌市で12月7日に開かれた支援団体の集会で、代理人の村松弘康弁護士が明らかにした。
脳脊髄液減少症は、脳や脊髄を覆う硬膜に衝撃で穴が開き、髄液が漏れて頭痛などを引き起こす病気。明確な診断基準がなく、同様の裁判で争っても原告が勝訴するケースは少なかったが、厚生労働省の研究班が10月、髄液漏れの診断基準をまとめた。司法判断が注目される。
4人は20〜40代の男女で、2008〜10年に交通事故に遭い、頭部を負傷して脳脊髄液減少症と診断された。髄液が漏れた部位をふさぐブラッドパッチという治療で回復したが、事故の相手は事故と症状との因果関係を争い、治療費の一部しか支払われていないという。村松弁護士は「病気と認められずに苦しんできた人は訴訟に参加してほしい」と呼びかけている。
NPO法人「脳脊髄液減少症患者・家族支援協会」(和歌山市)は、全国の患者数を約30万人と推計している。(共同通信社  12/8)


■次号のメールマガジンは2012年1月25日ごろです。お楽しみに。【編集人:北島憲二】


[発行]産学社エンタプライズ