エンタプライズ発信〜メールマガジン【№4】2011.4

震災後から電気をはじめとする自粛活動が続いており、このGWも海外組を除き旅行・行楽を差し控える人が多いと聞いています。心理的には被曝が濃厚な東北地方への旅行等は敬遠されるのはやむを得ないと考えますが、そのほかの名所・景勝地、あるいはイベント等へ出かけるのを地震・津波、放射能禍に結びつけるのはいかがなものかと思います。デフレ不況が長く続く中、観光資源で生計を立てている人たちには現在の風潮は二重苦にあたるわけで、経済のみでなく、日本の風土・風習・風俗の維持発展が危うくなるのではないかと心配されます。人が注目してこその日本の美や伝統だと思うからです。どの観光地も一部を除いて混雑は少ないと想像しますので、GWは家族・友人と連れ立って出かけてはいかがでしょうか。懐は少ないなりに楽しみを見つけられるといいですね。

★☆★━━━━━━━━━■ CONTENTS ■━━━━━━━━━★☆★
【1】統合医療の一翼を担う …あれこれシリーズ 「ホメオパシー」
【2】“推拿(すいな)”ってご存知ですか?
【3】カイロプラクティック・エネルギー治療へのパラダイムシフト
【4】補完・代替医療の真贋を斬る!
【5】“連動操体法”について、ちょっとばかり…
【6】NEWS
【7】刊行のご案内『チャートブック 骨格筋の解剖』『タオ性科学・男性編』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


## 統合医療の一翼を担う ……あれこれシリーズ② ##

“ホメオパシー” あれこれ。<第1話>

解説:板村論子(帯津三敬塾クリニック院長・日本ホメオパシー医学会専務理事)


「ホメオパシーとは」
ホメオパシーは、今から200年以上前にドイツ人医師サミュエル・ハーネマンによって体系化された医療です。私たちが本来持っている自然治癒力、自己治癒過程に働きかけ病気からの回復を手助けします。現代医療の薬のように症状を抑えこんだり(抗うつ薬、抗アレルギー薬など“抗”という名の薬)、取り除いたりする治療ではありません。
ある症状を引き起こす物質は、同じ症状を持つ病気の治療に効果があるという“類似の原則”が基本です。たとえば、不眠で悩んでいる人にカフェインを含んだコーヒーから作られるホメオパシーの薬(レメディ)で不眠の治療をします。病気の人の症状全体をひとつのパターンとしてとらえ、それにもっとも類似しているパターンを持つレメディによって、その人の持つ自然治癒力に刺激を与えると考えられています。
現在、世界の80か国以上で用いられているホメオパシーは、ヨーロッパでは約30%の人がヘルスケアとして利用しています。ヨーロッパでは日本における漢方のような位置づけにあります。世界ではホメオパシーの治療は医師(および獣医師、歯科医師)が中心ですが、国によっては医師の資格のない治療者も行っています。医師のみが患者さんにホメオパシーで治療ができる国として、フランス、イタリア、スペイン、オーストリア、ロシア、メキシコなど17か国があげられます。その一方で英国やドイツ、スイスなど医師以外の治療者がホメオパシーを行っている国では、現代医療を遠ざけるケースもあり色々な問題が起きています。
ほとんどの国でレメディは医薬品として認可を受けています。特にヨーロッパでは欧州薬局方(European Pharmacopoeia: EP) と欧州議会の指令(Council Directive)によって医薬品として法的に管理されています。

なお、一般社団法人日本ホメオパシー医学会では、毎年医療従事者(医師、歯科医師、獣医師、薬剤師)向けの研修コースを設けています。興味をお持ちの方は次のウェブサイトをご覧ください。http://www.jpsh.jp/entry.html


<<連載 ②>>

“推拿(すいな)”ってご存知ですか?

—-古えの『黄帝内経』に基づく手技療法
◆     孫 維 良 (東京中医学研究所所長、臨床中医推拿塾塾長)


1)体の修復力が余分に作用すると機能障害を引き起こす

筋肉やじん帯などの軟部組織が何らかの外力により、例えば「強すぎる力を受ける」「強くひねる」「けん引や圧迫を受ける」「転倒による打撲」「過度の運動が続く」「疲労がたまる」などの外力により筋肉細胞が破損すると、細胞液が流出します。その液体が接着剤の役割を持つため、破損した細胞は回復することができるようになるのですが、その破損した細胞が正常に回復するまでに再度損傷した場合、細胞液は流出し続けることとなります。
多少の分泌物は体の代謝で吸収されますが、量が多すぎるとその部位にたまってしまいます。そのたまった細胞液が、接着剤の役割を果たして周囲の細胞と癒着してゆき、これが積み重なると、どんどん筋肉の硬結は大きくなり、そして痛みや機能障害となって現われてきます。

2)病巣を守る保護膜を壊して通す

推拿療法では痛いところに施術をおこなうことが少なくありませんが、それは炎症やけいれんをなくし、硬結となった保護膜を壊して経絡を通じさせるためのもので、痛かったところを、痛みを感じなくなるようにすることができます。
保護膜とは、病巣を保護する周囲の軟部組織のことです。病巣の周囲の筋肉やじん帯などは、病巣がさらに刺激を受け、痛みを感じることがないようにバリアをはり、保護する状態となっています。つまり、病巣に手技を施す場合は、保護膜となった周囲の軟部組織の緊張を解いたうえで行うことが重要となります。保護膜を壊すときには痛みを伴ってしまいますが、このような状態でこそ、術者は病巣に深く浸透する施術をおこなうことができ、患者さんも施術後は楽になれるのです。

3)推拿の分筋・理筋手法は軟部組織損傷に最適

推拿の手法は数多くありますが、分筋法や理筋法はより早く確実な治療効果が望める手法です。指先を深層の異常部位まで浸透させ、メスのように使って癒着をはがし、正常な筋線維に修復させる分筋法、解剖学的に正常位置へ戻す理筋法は、ピンポイントで痛みの根源である軟部組織の不具合を修復させます。
具体的にいうと、固まった細胞に力を加え、癒着した筋線維を少しずつ引き離すようにするのですが、もちろんその際にも細胞液が流出しますが、これが一か所に留まらないよう、分筋法や理筋法のほかにも200以上ある手法を用いて、古くからたまっていた細胞液もいっしょに拡散・代謝されるように働きかけます。
また、病原を絶つ身体作りを目的とするため、完治したときにはあらゆる病気に対する免疫力があがることも推拿の特徴といえます。
「手当て」から始まる手技療法でも長い歴史を持つ中国では、痛いところに対し直接施す、体外手術ともいうべきこの分筋・理筋手法は、軟部組織損傷の治療において革命的であり、最適、最良の手技療法だといわれています。

(孫維良著『分筋・理筋によるスポーツ障害の治療法』医道の日本社刊より)


<<連載>>

カイロプラクティック・エネルギー治療へのパラダイムシフト<第4話>

保井志之(ファミリーカイロプラクティック院長、DC)


■考証:カイロプラクティックの概念(続き)

前号までで注目してほしい点は、筋骨格系の機能・構造的障害が、神経系に影響を及ぼすということである。関節の生体力学的ズレがあるから神経系機能障害が起きるのか、あるいは神経機能障害があるから生体力学的ズレが生じるのか? そして、もしも、いわゆる構造的ズレを基準とするならば、それを改善する本質は何なのか? カイロプラクターが脊椎にアジャストメントを施した瞬間に何が起こっているのだろうか? そして、アジャストメントによって何がどのように改善されるのだろうか?
サブラクセイションの定義も、構造的問題が先にあるのか、神経学的問題が先にあるのかの表現が曖昧に感じる。それらは、構造的、神経的、病理的な複合的要素が含まれ、二者択一的に表現できないのも確かである。しかし、自然治癒力は神経系を介して影響され、統合されるという原理原則に矛盾のない定義でなければならない。また、われわれの矯正最終ターゲットは神経系であり、関節や筋肉を介して神経系を刺激し、正常化しているのであるという本質を見逃してはならない。

椎間板ヘルニア、変形性脊椎症などによる症状は、構造的変化が機械的に神経系を刺激した結果であるという概念が一般であるが、カイロプラクターは、軟骨や骨・関節の構造異常を変える目的でアジャストメント(矯正)を行なっているのだろうか。多くのカイロプラクターは、全体のバランスと整える目的で、微妙な脊椎のズレや動きを正常化するためにアジャストメントを行なっていると思うのである。その結果、関節のバランスや位置関係も整えられて、椎間板ヘルニアなどの構造的な部分的影響も改善される可能性もあるし、全体のバランスが改善されても椎間板ヘルニアの程度、角度によっては、手術が必要な場合もあるだろう。
しかし、脊椎のズレや関節のアンバランスはなぜ生じるのか? それは、明らかに神経系が乱れているからバランスを崩しているのであり、神経系が正常に整えられた後もなお、構造的に歪みがあると判断される場合、その部分的構造異常は、われわれが矯正する適応範囲なのかどうか鑑別する必要がある。すなわち、われわれの矯正目的のターゲットとして、神経系異常をターゲットとすべきなのか、構造的位置異常をターゲットにすべきなのかを考えなければならない。

機械論的、西洋医学的には、構造的異常があるから神経系が阻害されると考えたほうが説明しやすい。しかし、そこには様々な臨床上のケースにおいて矛盾が生じる。本質的には、神経系の異常が生じているから構造学的変位が生じている、とカイロプラクターであれば説明してほしいところである。(つづく)


補完・代替医療の真贋を斬る!【連載④】

長谷川淳史(TMSジャパン代表)
***** ***** ***** ***** ***** ***** ***** *****

クワッカリーの有効性と安全性

ある治療法の有効性を主張したいのなら、「われ使った」⇒「治った」⇒「ゆえに効いた」という『三た論法』を繰り返すのではなく、臨床試験によってその治療法の効果を証明する必要がある。そして自然治癒、プラシーボ効果、偶然ではないこと、すなわちその治療法によってもたらされた真の効果であることを立証しなければ、有効だという主張は単なる思い込みや幻想でしかない。
だからこそ現代医学は、無作為対照試験(RCT:Randomized Controlled Trial)や二重盲検試験(DBT:Double Blind Test)といった研究デザインを駆使し、ありとあらゆるバイアスを排除しようと昼夜を問わず努力しているのだ。しかし、それでもなお以下のようなバイアスが潜んでいる可能性がある。

【1】企画バイアス(Submission bias)
研究費の獲得や自身のポストなどの問題から、すでに研究者は研究の企画段階からできるだけ有意差のある研究データや結果を求める傾向があり、研究にとって不都合と思われるデータを排除したり、その公表を遅延したりする傾向がある。

【2】出版バイアス(Publication bias)
研究チームのメンバーも医学専門誌の編集者も、できるだけ有意差のある結果を掲載したがる傾向がある。また、なんらかの形でスポンサーがついている研究は、スポンサーにとって有利な方向へ流されてしまう恐れがある。

【3】方法論的バイアス(Methodological bias)
研究方法に問題がある場合のほとんどは有意差のある結果となり、また問題が多いほどより有意差のある方向へ偏る傾向がある。

【4】要約バイアス(Abstracting bias)
特に要約の内容だけを検索データとしているデータベースが陥りやすいもので、本文より要約の方がより有意差を強調する傾向がある。

【5】計算値上バイアス(Framing bias)
統計計算上の偏りからくるもので、相対危険率などは陽性バイアスの原因となる。

【6】言語バイアス(Language bias)
有意差が確認された無作為対照試験は、自国語よりも英語で報告される傾向がある。

したがって、どれほど研究デザインが優れていようとも、どんなにエビデンスレベルが高い研究だろうとも、その結果を鵜呑みにすることなど到底できないのだ。ことに安全性を評価する場合は、有効性以上に慎重でなければならない。(つづく)


【連載コラム】

“連動操体法”について、ちょっとばかり… (4)

根本 良一(療動研究所主宰)


■     連動は全身に伝播する(続き)

4. 足首の動きから大腰筋へ連動させる
逆側の腰→腿→足
└→背→頚→肩→腕→手
このように、末端からの動きは、全身へ連動してさまざまな効果を現わします。連動の要点を理解し、うまく操作できれば、操体法には汲めども尽きぬ泉の宝庫があることを実感できるはずです。

障害部の歪力と歪力起点の処置
いろいろな障害がある場合、「手当て」といわれるように局所へ目を向けることが多いものです。しかし実際にその原因となる歪因は、ほかで発生していることが多いのです。
痛い、だるいなどという愁訴は、身体の警告反応であり、治りにくい障害は必ず歪みが連動しているので、局所へ連動している歪力の起点はどこにあるのかを発見し、そこから操作を始めるのが治療の早道となります。簡単そうに思えますが、実際にそれがどこにあるのか探すのは至難の業なのです。
本稿では、以下からどこからどのような動きをするとどこへ連動するか、逆どこに愁訴があればどこからどのように操作すればよいのか、それはなぜかを概略記していきたいと思います。

系統的・選択的に連動する
操体法の場合、気持ちよい、動きやすい動きが選択されます。この動きは、全身的な動きの中でそれぞれ相関しているので、各部の動きすべてが気持ちよくなります。前後(屈伸)、左右屈伸、左右回旋、伸縮など、人体は相反、対称な動きでバランスのとれた動きをしています。これが調和したときに“充実した動き”になります。
足指、足首、膝、股、腰、椎骨、肩、肘、手首、手指など多くの関節、例えば椅子に腰かけて方を左右にまわして左方が動きやすいときは足先(両方とも)右方へ向くのが楽になります。足指の基部の操体法で、基部内外のどちらを選ぶかはこれで決められます。腹部(外腹斜筋)や内腿部の操作、その他多くの連動操体法はこのような選択で成立しているのです。(つづく)


*** N *** E *** W *** S ***


NEWS ■ヨガ:心拍調律異常に半減効果あり■


不安・うつ症状減少させたという報告で、侵襲的、あるいは副作用の多い薬物などとは違うため期待が持てるという報告;
49名の運動制限のないリズム疾患患者で、ヨガ経験なし不整脈エピソードを、病院の研究者が6か月間測定した。最初の3か月間は好きな運動を許可、のこり3か月は、スーパーバイスされたヨガプログラム、呼吸運動、ヨガ姿勢、メディテーション、リラクセーションを含む45分のヨガセッションを、資格を有するプロが週3回行い、自宅でのヨガプログラムも勧めたトライアル中心拍調律異常エピソードを測定し、不安、うつ、全般的QOLを評価のための短期調査も行った。結果は平均的に、ヨガは心拍調律異常を半減し、有意にうつ、不安スコアを改善し、身体機能スコアを改善した。さらに一般健康、バイタリティー、社会的機能、メンタルヘルスなどが改善した。


NEWS ■男性の癌の10%がアルコール過剰摂取に起因■


西ヨーロッパでは男性の癌の10%、女性では3%がアルコール過剰摂取に起因するという。フランス、イタリア、スペイン、英国、オランダ、ギリシャ、ドイツ、デンマークの2008年のデータから、79,100人の癌患者のうち50,400人が推奨量以上のアルコールを飲んでいたとドイツの研究者が発表した。
英国では最近10年で口腔癌が増加した。WHOの国際がん研究機関(IARC)によれば、アルコール消費と肝癌、乳癌、腸癌、および咽頭癌、食道癌などの上部消化管癌の間に関連がある。
米国がん研究所の推計では、人々がより健康的な食事をとり、それほどアルコールを飲まず、もっと運動したならば、米国、中国、英国のすべての頻度の高い癌の3分の1が毎年予防できるだろうという。


NEWS ■男性ホルモン濃度の高い女性は競技出場禁止?■


国際オリンピック委員会が4月5日に推奨し、国際陸上競技連盟が同12日に認めた新しい女性の高アンドロゲン血症についてのガイドラインによると、生まれつきテストステロン濃度が高い女性は、女性としては競技できなくなるかもしれない。
この問題は2009年に南アフリカのCaster Semenyaが性判別検査を受けるよう求められたことで注目された。ほかにも問題になる事例があり、18か月にわたる議論の末ガイドラインが発表された。
IOCはまだカットオフレベルを決定していないが、通常閉経前の成人女性の総テストステロン濃度は15-70 ng/dLで、男性は260-1000 ng/dLであり、血中アンドロゲン濃度が男性並みの女性は、女性としては競技に参加できなくなるかもしれない。例外もある。高アンドロゲン血症でもテストステロン受容体が機能しないため遺伝子としては男性であっても女性となる場合がある。
この検査が実際に運用可能かどうか、何人のアスリートが排除されるのかは不明である。また遺伝子の個人差を認めているように、ホルモンの個人差も許容すべきであると主張する専門家もいる。


NEWS ■日本の核危機はつづく■


3月11日の東日本大震災地震以来、福島第一原子力発電所の危機をコントロールするための努力が続いている。これまで急性放射線障害の患者は確認されていない。
日本政府や東京電力は事態の正確な情報を提供していないと批判されているが、危機レベルに関しては世界ではいろいろな意見がある。チェルノブイリの健康影響推定についての見解は一致しておらず、2008年のUNSCEAR報告書では若い人の甲状腺癌以外には根拠は明確でないとしている一方、グリーンピースは93,000例の癌が発生すると主張している。
今号のThe Lancet OncologyではKirsten B Moysichらがチェルノブイリの最大の長期影響は子どもたちの甲状腺癌であることを強調している。日本の当局は子どもの甲状腺スクリーニングを始めているが、これまでのところすべて許容できる範囲内だった。
核事故の見過ごされがちな問題は、心理的影響である。1991年のIAEAの研究では、チェルノブイリの事故による心理的影響は生物学的リスクに比べて不釣り合いに大きいと結論している。国連チェルノブイリ・フォーラムの報告によれば、事故の最大の公衆衛生上の影響はメンタルヘルスに対してであった。福島の長期影響は不明であるが、今後数年は適切な安全確保とモニタリングとサポートのためには明確で利用しやすい情報提供が必要であろう。
(The Lancet Oncology, Early Online Publication, 26 April 2011)


NEWS ■風力発電で原発40基分の発電可能–環境省■


環境省は4月21日、国内で自然エネルギーを導入した場合にどの程度の発電量が見込めるか試算した結果を発表した。風力発電を普及できる余地が最も大きく、低い稼働率を考慮しても、最大で原発40基分の発電量が見込める結果となった。風の強い東北地方では、原発3〜11基分が風力でまかなえる計算だ。同省は震災復興にあたり、風力発電を含めた自然エネルギーの導入を提案していく方針。
今回の試算は、理論上可能な最大導入量から、土地利用や技術上の制約を差し引き、さらに事業として採算性を確保できることを条件に加えた。試算によると、固定価格買い取り制度など震災前に政府が決めていた普及策だけでも、風力なら日本全体で約2,400万〜1億4千万キロワット分を導入できる。風が吹いているときだけ発電するため、稼働率を24%と仮定。それでも出力100万キロワットで稼働率85%と仮定した場合の原発約7〜40基分に相当する。
ただし、東北など電力需要を上回る発電量が期待できる地域がある一方で、電力会社間の送電能力には現状では限界がある。試算どおりに導入するのは短期的にはむずかしいとみられている。
家庭以外の公共施設や耕作放棄地などを利用する太陽光発電や、用水路などを活用する小規模の水力発電についても検討したが、多くの導入量は見込めなかった。これらを普及させるには、さらに技術開発を促すなど追加的な政策が必要だという。


NEWS ■予防ガイドラインに従うことで癌リスクを下げる■


Cancer Biomarkers, Epidemiology, and Preventionに発表された10万人以上の男女を14年以上フォローした研究;
Cancer Prevention Study (CPS)-II Nutrition コホートでは 1992-93年に116,966人の非喫煙者男女に食事とライフスタイルについてのアンケートを行った。参加者の米国がん学会によるがん予防ガイドラインの体重・運動・食事・飲酒についての順守状況を0から8ポイントで評価した。8ポイントはすべての助言に従っていることを意味する。14年後、最もコンプライアンスの高い集団(スコア7.8)は低い(0-2)集団に比べて死亡リスクが42%低かった。
ガイドラインの内容はBMIは18.5から<25kg/m2、運動は最低週に5回30分以上の中程度以上の運動、食生活は野菜や果物を5単位以上・穀物は全粒粉・加工肉は制限、飲酒は男性1日2杯以下、女性1杯以下、である。


NEWS ■「買い物療法」は高齢者の癌リスクを下げる■


毎日買い物に行く高齢者は、買い物に行かない人に比べ寿命が長いことが台湾の研究により判明し、医学誌「Journal of Epidemiology and Community Health」(疫学・コミュニティーヘルス)オンライン版に4月6日掲載された。
この理由として「頻繁に買い物に行くと歩行量が増え、心臓の状態が改善するほか、身体のバランスや協調性が向上する」と説明している。また「買い物によって自分が地域社会の一員であると感じられるほか、頻繁な買い物で健康的な食物が家の中に増えることから、栄養状態の向上にもつながる」と指摘している。
今回の研究では、1999年および2000年に実施された高齢者の栄養と健康に関する調査をレビューした。被験者1,850人のうち約半数が全くまたはほとんど買い物に行かないと回答。22%が週2〜4回、17%が毎日買い物に行くと回答した。頻繁に買い物に行く人は、比較的若く見え、男性が多かった。また全体的な健康状態は良好で、1日1回買い物をする人は、買い物に行かない人に比べ、身体的・精神的障害因子の調整後も死亡率が全体で27%低く、男性では28%、女性では23%低かった。被験者のほとんどは「経済的に自立」しており、買い物に行かないのは貧困を示すわけではなかった。研究グループは「正式な運動に比べ、買い物は形式張らずに簡単に楽しく体を動かす方法であり、魅力的な選択肢である」と結論している。\


◆◆ 刊行予定のご案内 ◆◆


◎『チャートブック 骨格筋の解剖』→ 刊行されました。すぐのご注文ができます。
予約をいただいている方、刊行お知らせメールを登録いただいている方にはすでにご案内済みです。メールボックスをご確認ください。
<体裁と価格> A4、上製、2色刷、140頁、定価:10,500円
・・・・・・・◎『タオ性科学・男性編』→ 5月2日から発売を開始する予定です。
契約までに長期の時間がかかり申し訳ありませんでした。予約をいただいている方、刊行お知らせメールを登録いただいている方にはご案内を始めています。メールボックスをご確認ください。
<体裁と価格> 菊判変型、並製、296頁、定価:5,880円>

なお、『タオ性科学・女性編』と『タオ人間医学』については未だ交渉が進まずお詫びいたします。(海外出版社が『タオ性科学・男性編』とは異なります)


■次号のメールマガジンは5月20日ごろです。お楽しみに。【編集人:北島憲二】


[発行]産学社エンタプライズ